1 兵庫県におけるスクールカウンセリング実施のためのガイドライン、試案 はじめに

  スクールカウンセラー制度は、激増するいじめ不登校に対応するため、平成7年度に始まった。当初その目的は、学校内に臨床心理士等のいわゆる「心の専門家」を置き、

  1. カウンセリングなどの専門的な技法を通じて激増するいじめ、不登校に対応する。
  2. 教職員がカウンセリングマインドを持って児童生徒に対応できるように援助する。

  の2点であった。
  その後この制度によって配置されたスクールカウンセラーは、不登校やその他の多くの問題行動に対して大きな成果をあげることができ、学校へのカウンセラーの配置が有効であるということが実証され、年々配置される人員、学校の数が増加しつつ現在にいたっている。文部科学省では、平成17年度までに、全国の中学校のすべてにスクールカウンセラーを配置していく方針をうちだしており、今後もこの制度は拡充の方向に進んでゆくだろう。兵庫県でも、はじめ16名から始まったスクールカウンセラー制度は、年々拡充の方向に進み、今年度スクールカウンセラーの人数及び配置されている学校の数は、まるまる名まるまる校を数え、これは県下の全中学校の80パーセントにあたり、平成17年度には全中学校への配置が完了する予定である。
  さてこのように年々充実するスクールカウンセラー制度ではあるが、もう一方で、人的拡充の当然の結果として、カウンセリングを学んできた経緯や実際の臨床経験の異なる多様な人材が各校に配置されるようになり、スクールカウンセリングを行う上で、時として、カウンセラーと学校の間で事例に対する意見、見解の相違が現れたり、実際に行われる対応に学校間格差が現れたりする可能性が予測されるようになってきた。これについては、現在進行形の学校現場では、現れる問題そのものがまだ分析、解明の途上であり、問題の理解についてのある程度の見解の相違は仕方がないし、それを統一することも困難であろうが、スクールカウンセリングの実際的活動の側面では、一定の合意が必要とされるであろう。そこで今回、スクールカウンセラーとして配置され活動する場合に、おおよそこの程度の活動が行われることが望ましいという観点で、「活動のガイドライン」を作成することになった。このガイドラインは、今すぐに記載されていることのすべてができなければならないというものではなく、スクールカウンセラーとしての活動の方向性を指し示したものである。ここに記載された内容について、不十分なところの自覚できるカウンセラーは、ぜひその未研究、未経験の分野に関する研鑚をつむべく努力を続けていただきたい。

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