「教育の情報化に関する手引」作成検討会(平成30年度)(第1回) 議事要旨

1.日時

平成31年2月14日(木曜日)18時00分~20時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 「教育の情報化に関する手引」の作成について
  2. 「教育の情報化に関する手引」作成検討会 今後の進め方について
  3. その他

4.出席者

委員

安藤構成員,稲垣構成員,金森構成員,柴田構成員,高橋構成員,中川構成員,西端構成員,長谷川構成員,原構成員,堀田構成員,村松構成員

文部科学省

永山初等中等教育局長,矢野大臣官房審議官(初等中等教育担当),髙谷情報教育・外国語教育課長,折笠情報教育・外国語教育課情報教育振興室長,上野教科調査官,鹿野教科調査官 他

5.議事要旨

○永山局長より挨拶

○折笠室長より構成員及び事務局の紹介

○座長及び副座長指名
 座長に堀田構成員,副座長に中川構成員が選出

○座長,副座長挨拶
 堀田座長,中川副座長より挨拶

○堀田座長より本検討会の運営規則について提案
 議事概要について,座長が非公開とすることが適当と認める場合を除き,ホームページへの掲載等により公開する旨を提案し承認される。

○事務局より「教育の情報化に関する手引」の構成や内容の方向性等について資料3~7に基づき説明

○事務局からの説明後,質疑応答及び意見交換が行われた。(●:構成員)

● 高校でのeポートフォリオ等の影響について構成案にないが記載しないのか。
(事務局)あくまでもたたき台であり,今後の御議論を頂きながら見直したい。
● 平成22年以来の久しぶりの改訂となるが,今回の手引の耐用年数はどの程度と考えているのか。
(事務局)これまでは10年に一度の学習指導要領の改訂に合わせて都度改訂。今回どうするかは今後の議論であるが,技術の進展を踏まえて例えば5年で見直すことなどもあり得る。
● 手引を読む対象は先生,教委,財政部局など様々。読み手に応じて使いやすくする必要があるのでは。
(事務局)例えば全体としては一覧性を持ちつつ,HPでの掲載は部分ごとにダウンロード可能にすることなどが考えられる。
● 全体構成について,関連箇所など見やすいようにプロットを図示するとともに,ハイパーテキスト化して使い勝手を向上させてはどうか。
● プログラミング教育は小学校にフィーチャーされてしまっているが,中高との接続や,幼稚園なども含めて幅広く捉えていければよい。
● 前回は特別支援教育が始まって間もないため章立てしたが,今回は当たり前になったため,中に含まれているのは良いと思う。他方,特別支援教育の部分だけや特定の学校段階のみを見たい人もいるので情報を探すためのガイドになるようなものがあると読みやすくなる。
● 確かに取り出しやすくする工夫は必要。
● 前回の手引改訂時に市教委で校務の情報化に取り組んでおり,手引がバイブルとなった。今回も現場,特に教育委員会や学校の役立つものとして取りまとめてほしい。
● 高校について「高大接続改革」「教科情報の見直し」「スマートフォンのBYOD」などの取組が始まっている。執筆に当たっては,高校のバックボーンをお持ちの方にも参加してもらい,校種・専門などのバランスを取るとリアリティのある学習活動が描けるのではないか。
● ICT環境整備の6章だけボリュームがあり,前章までの活用場面等とのつながりが見えてこない。なるべく整備してもらえる方向で進めるために6章の工夫が必要ではないか。
「遠隔教育の推進」がこの章の目次にだけ含まれているのもテレビ会議システムだけ整備すればよいようにも見えてしまう。どういう子供たちがどういうことをやりたいから遠隔教育が入っているのかのつながりが必要。
● ICT環境整備はなるべく整備してもらえる前向きな書き方をするべきと思う。第6章(4)の留意事項についても,いろいろな活用の中での留意点とするなど気を付けて記述することが必要。
● 高校をゴールに見据えて,小学校・中学校を考えるなど体系的な教育・接続が重要。
特に情報モラルについては,今の子供たちは幼稚園や保育園以前からスマートフォンに触れているデジタルネイティブであり,幼稚園や家庭との連携も入れてほしい。
● 情報活用能力について従来の「3観点」と,新しい「3つの柱」の概念を分かりやすく整理しないと,現場の先生たちにとっては難しい。
● ビジュアル化して視覚に訴えることや,参考事例をパッと検索できるなど,先生方がタブレットでも使いやすいものにしてほしい。例えばプログラミング教育のカリキュラム・マネジメント例がフローチャートのように即時に見られるとか,写真やイラストを活用するなど。
● 前回は,写真は肖像権の問題でイラストにした。イラストの方が説明力がある場合もある。今回も是非掲載したい。カリキュラム・マネジメントについてはIEスクールなどで議論されており,反映したい。
● 前回の手引では,p17~の学習指導要領における関係記述が大学の授業や研修等では分かりやすいと好評であった。今回も冊子なりウェブ上の資料なり何らかの形で参照できるようにし,橋渡しすることは大事。
● プログラミング教育の手引の第2版も早く出たように,プログラミングの分野では10年後を見据えて書くのは難しいのでアップデートも考えていく必要がある。また,紙媒体の限界を超える見せ方も考えていくことが必要。
● プログラミング教育について,事例をただやればよいではなく,各事例の指導のねらいをきちんと理解した上で指導に当たってもらうことが重要であり,プログラミング教育の必要性と併せてアピールすることが必要。
● IEスクール事業において情報活用能力の系統を整理している。その中にプログラミング教育も含まれており,小中高の目安が形になると思うが「情報の科学的な理解」と「プログラミング教育」との関係性が薄くなってきているように感じるため,「情報の科学的な理解」にも改めて触れる必要がある。
● 小中高では中学校がカギとなる。中学校でどこまでできるか検討した上で,高校で更に踏み込む必要がある中で,これまでのノウハウもある中学校の技術をうまく生かすやり方もある。また,中学校でもプログラミング教育を技術だけに任せず,各教科等の学びに生かしていく方向性も必要。
● 今回も既存の内容の取りまとめをする方向だが,それでも相当のエネルギーが必要。前回はICT活用について,学習指導要領の記述を具体化するよう修正を行った。
● ICT活用はこれまでは学習形態や機器にひも付けて記述する例が多いが,新しい学習指導要領の「学習過程の繰り返し」における学習指導の質の向上にどうICT活用が寄与するかの整理が必要。分かりやすくまとめる努力をしたい。
● 表現の形態として冊子だけではなく,動画などもあり得る。
● 情報モラル教育は,前回は章立てを特出ししたが,今では多くの学校で日頃から行われるようになったので今回は情報活用能力の一部という本来の形に戻した。一方,プログラミング教育は断片的な情報しか現場に届いていないため,体系的に見せるため,章立てしている。
● 環境整備も地域格差が大きく,デジタル教科書の法制化や働き方改革などの状況も含め,見せ方が非常に重要。6章をどうするかは十分整理したい。
留意事項としては健康影響など影の側面をどのように入れ込むか。EdTechや遠隔教育など他の章にも関わるものをどう織り込んでいくか。
● 教員研修は子供に届かないと意味がない。具体的には「事例に始まり事例に終わる」もの。できる限り研修の好事例を示してほしい。
● 政令市の教育委員会として毎年担当者が,整備方針に示す機器を整備した場合の金額の試算をしているが上司に言いにくいくらいの額になる。段階的に整備を進めていくことで,目指す教育の情報化の姿に近づくということを示していけるとよい。
本市でもトップランナーの学校に続く2番手がなかなか整備できない。担当者が整備に取り組む際のマイルストーンとなるものをこの手引で示したい。
● 「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」として,タブレットのソフトウェアキーボードでよいのかという問題がある一方で,実際にキーボードを使う学習場面をどう設けるのか現場で困っているという声もある。現実的にはハードウェアキーボードを使う機会がまだ多いことを踏まえて,キーボード入力を使う学習場面,入力メソッド指導をうまく位置づけている事例もどこかにいれるとよい。
● 平成22年当時はICT活用の主体は教員で,どちらかと言えば分かりやすく教えるためのものであった。今は学習者用コンピュータも普及し,基本的操作も含めて情報活用能力が高まることで,教科の学習が充実し,深い学びにつながるというモデルなので,学習指導要領総則にもあるように操作スキルの育成も重要。書くのであれば情報活用能力の部分かもしれないが丁寧に議論したい。
● プログラミング教育の研修現場で実体験をしようとすると,対応ブラウザやセキュリティの問題などで体験ができないことも多い。セキュリティの専門の方の知見も入れてキチンとできるようにしていきたい。
● 校務の情報化について,「この規模感であればこのようなもの」という具体例やパターンを示してあげられるとよい。
(事務局) 文部科学省で出しているセキュリティポリシーガイドラインについては使いづらいという声もある。技術の進展もあり,在り方も含めて少し整理が必要になると問題意識を持っている。
● 第4章で「ICTでできること」のリストがあり,それを受けて第6章でそのためにはこのような整備が必要ということを示すといった,第4章と第6章とのリンクが大事ではないか。
● 「イラストのある所以外はなかなか見てもらえない」という場合もあり,イラストの意味は大きい。選び方は慎重に考えてほしい。
● 前回はイラストに大きめに予算をかけてイラストを増やした。また,他にチャートなどの見せ方もある。
● キーボード入力にはある程度リテラシーの確保に時間がかかる一方で,今の子供たちは音声入力を使いこなす子も多い。今はちょうど過渡期にあり,今後リテラシーがずれてくる可能性もある。このため,どのような力を身に付けさせたいのかというところを,第2章でしっかりとベースとして学校に示していく必要があり,今の章立てに賛成。
● カリキュラム・マネジメント表を作成しプログラミング教育を行ったが,プログラミング的思考は情報活用能力とも重なることから,現場の感覚として一つに見ていった。第3章を独立させた場合,プログラミング的思考はどのように位置付けるのかが重要。
● ICT環境整備について,財政当局との予算調整の際にも手引は役に立った。今,文科省が示している資料で,ステージ1~4の段階的整備の図があり,これは説得力があった。自治体によって目標や状況は異なっており,スモールステップで進めざるを得ない場合もあるので,様々なステップの記述があるとよい。また,パソコンやタブレットをだれが用意するのかについても,今まさに混とんとしており,学校が用意する,保護者が用意するなどいろいろな選択肢を示すような書き方ができるとよい。
● 段階的な整備により,そこでそれぞれ何ができるかが重要。他方,1人1台でないとできないと思っていたことが今のクラウド環境や家庭など学校以外の機器を活用することで,それと同様な学習効果を得ることができることもある。ステップを示しながら,それぞれのステップでできる取組を具体的に示すことが重要。
● 事例に勝るものはない。事例を出す際には,具体的なソフト名は出すのは難しいと思うが,このようなソフトならこのようなことができると想起できるギリギリのラインまで書いてほしい。そのステップや自分の環境でできること,あとちょっと環境を追加すればできるものなどを,読んだ人が切り分けできるように,第2章や第4章などは書き方をかなり意識して書く必要がある。
● 第7章の企業との連携は相当難しい。単にボランタリーベースとするのではなく,どうやって持続可能な形にするのかがポイント。持続可能でやっているところをしっかりと取材して,具体例を示すことが大事。
● 今ある資料をまとめることも大事であるが,先を見通して,将来の学校がこうなる,こういう学校を目指していけばよいというマイルストーンになるものも示していくことが大事。
● 特別支援教育については「学習上の支援機器等教材活用促進事業」の元となった「障害のある児童生徒の教材の充実に関する検討会」の報告書も参考となる。
● 障害があるために学習にアクセスできない子供たちがアクセスできるようになることがICTの魅力。このために,ICT環境の整備やデジタル教科書の制度化,教科等の指導におけるICT活用などの文脈の中に記載していく中身を作っていく必要がある。
● 教員のICT活用指導力の向上について教職課程コアカリキュラムにICT活用や情報活用能力育成のための指導法について定められたのは大きな進展。一方,教員養成課程の先生にICT活用の必要性が十分伝わっていないこともある。プログラミング教育なども含めて大学の講義等で直接使えるようなものを示せるとよい。
その際に,プロジェクターや電子黒板の活用などは応用範囲も広いため,第5章でも扱うし,第4章のICT活用とも連動して書いていくことになる。
● ICT環境整備について,ICTを活用した効果のエビデンスを示せとよく言われる。過去に示してきたエビデンスを紹介するとともに,それに対する考え方や評価指標なども示してほしい。
特に,すぐに学力向上に結び付くもののみならず,先生が指導しやすくなるなどの効果もあり,学力向上に限らず様々なメリットの示し方を提示できるとよい。
● 「何をメッセージとしてこの手引を出すのか」が大事。これまでの取りまとめから何を抜き出していくかで手引の方向性を決定付ける。順番1つでも印象が変わるため,慎重に作業をやっていく必要がある。
● 「誰が読者か」も考える必要がある。教育委員会と学校というが,教育委員会の担当者にも幾つも兼務しているものの1つが「情報」という人もいる。そのような人にも分かりやすい表現・構成とすることが大事であり,「セグメント」と「リンク」の両面から検討していくことが必要。
● 賞味期限という話もあった。不断の見直しやバージョンアップをどのように行うか体制を含めて事務局で検討してほしい。
また,最先端の人に合わせて改訂していくと,スタートしたばかりの人などは付いていけなくなる。いろいろな段階の人が10年間参照できるよう,最新の情報だけ載せればよいのではなく段階を付けて丁寧に行うことが大事であるとあらゆる角度からお伝えする手引とすることが必要。
● 「何をメッセージにするのか」について,前回・前々回との最大の違いは,情報活用能力が学習指導要領に「学習の基盤となる資質・能力」として書き込まれたこと,ICT環境整備が強く推進されていることによって,教育の情報化について文部科学省内で情報教育・外国語教育課だけが考えればよい話ではなく,教育課程課や教科書課,特別支援教育課などが関わり,ありとあらゆる教育活動・教育体制に情報化が影響するようになったこと。
学校のICT環境整備は職場環境でもあり教育環境でもある非常に重要なものとなり,情報活用能力も,学習の基盤としてきちんと身に付ける必要があり,それが学習を豊かにする。そういう時代の世界観になっているということをちゃんとメッセージとして打ち出す必要がある。それが伝わらない限り,相変わらずお金がないので整備できないということの繰り返しが起こり,学習指導要領が想定する社会の情報化に合わせた内容と現実が更にかい離してしまう。そういうメッセージや時代観の打ち出しは非常に大事。


○今後のスケジュールについて
事務局より今後のスケジュールについて資料7に基づいて説明。



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