第5章 学校における情報モラル教育と家庭・地域との連携

 本章では、情報教育の一環である情報モラル教育について、学習指導要領の内容を踏まえ、発達の段階に応じた情報モラル教育の必要性や具体的な指導について記述する。
 情報モラル教育については、「教育振興基本計画」(平成20年7月閣議決定)において、地域・学校・家庭における情報モラル教育を推進することとされているほか、平成21年4月から施行される「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」においても、青少年が「インターネットを適切に活用する能力」を習得することができるよう、社会教育及び家庭教育と併せて学校教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進を図ることとされている。
 文部科学省では、情報モラル教育を体系的に推進するための「情報モラル指導モデルカリキュラム」や情報モラルの指導用ガイドブック「情報モラル指導実践キックオフガイド」を作成し、公表してきており(平成19年5月)、本章ではこれらも踏まえながら解説する。

第1節情報モラル教育の必要性

1.情報モラル教育の基本的な考え方

 社会の情報化が進展する中で、情報化の「影」の部分を十分理解した上で、情報社会に積極的に参画する態度を育てることは、今後ますます重要になる。パソコンや携帯電話などを通じたインターネット利用が急速に普及し、児童生徒の間にも普及が進む中で、現在、インターネット上での誹謗中傷やいじめ、インターネット上の犯罪や違法・有害情報などの問題が発生しており、こうした問題を踏まえ、「情報モラル」について指導することが必要となっている。
 「情報モラル」とは、「情報社会で適正に活動するための基となる考え方や態度」のことであり(学習指導要領解説 総則編 及び 道徳編)、その範囲は、「他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつこと」、「危険回避など情報を正しく安全に利用できること」、「コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解すること」など多岐にわたっている。
 第4章で詳しく述べた情報教育の目標の3観点との関係で言えば、情報モラルは、「情報社会に参画する態度」の重要な柱であり、情報モラル教育は、情報教育の一部として、「情報活用の実践力」や「情報の科学的な理解」との連携を図り、それら全体のバランスの中で指導する必要がある。
 「情報社会に参画する態度」が最終的に目指す「望ましい社会の創造に参画しようとする態度」とは、情報社会に積極的に参加し、よりよい社会にするために貢献しようとする意欲的な態度のことである。この意味から考えて、「情報モラル教育」とは、情報化の「影」の部分を理解することがねらいなのではなく、情報社会やネットワークの特性の一側面として影の部分を理解した上で、よりよいコミュニケーションや人と人との関係づくりのために、今後も変化を続けていくであろう情報手段(ICT)をいかに上手に賢く使っていくか、そのための判断力や心構えを身に付けさせる教育であることをまず念頭に置くことが極めて重要である。

2.情報社会の特性と児童生徒の利用の実態

 情報社会の進展により、携帯電話やパソコンなどを通じたインターネット利用の普及が急速に進む中、その流れは小中高生まで広がった。誰もが情報の送り手と受け手の両方の役割を持つようになる情報社会では、情報がネットワークを介して瞬時に世界中に伝達され、予想しない影響を与えてしまうことや、対面のコミュニケーションでは考えられないような誤解を生じる可能性も少なくない。
 日常生活では、家庭、他人、集団、社会などとの関係を順に経験しながら、ゆっくり時間をかけて理解していくことができるのに対し、インターネットの世界は、携帯電話やパソコンを通じてコミュニケーションを開始した瞬間に、見えない人とのつながりや社会との接点が生じてしまう。
 しかし、多くの子どもたちはインターネット上の危険に対して無防備な状態で、しかも、自分が危険な目に遭いかねない状態であることも分からずに利用している。何気なくプロフに書き込んだ個人情報や悪気のない掲示板への書き込みが世界中に発信されていることや、対面のコミュニケーションとは異なり、それは記録され、削除されない限りいつまでも残る可能性があること、悪質な書き込みが犯罪となったり訴えられたりするケースもあるとの認識も低い。インターネット上のトラブルに関係する被害者、加害者も低年齢化している状況にある。
 中でも、常に持ち運ぶことができる携帯電話は、子どもたちにとって最も身近なインターネット端末となったが、子どもたちは携帯電話の小さな画面が世界中に繋がっていたり、主に文字だけの情報交換となったり、従来のコミュニケーションとは異なることを理解しないまま利用している。
 従って、情報モラル教育には、即座に出遭うかも知れない危険をうまく避ける知恵を与えるとともに、一方では、情報社会の特性の理解を進め、自分自身で的確に判断する力を育成することが求められる。
 ここに、情報モラル教育を発達の段階に応じて体系的に推進していく必要性、学校だけでなく地域や家庭・地域との連携を図りつつ情報モラルを身に付けさせる指導を適切に行う必要性があるのである。

情報モラル教育が必要!

○「ネット上のいじめ」
 インターネット上の学校非公式サイトや掲示板・ブログ・プロフ、メール等を利用して、特定の児童生徒に対する誹謗中傷が行われるなどの「ネット上のいじめ」が多発している。「平成19年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(文部科学省;平成20年11月)によると、いじめの態様のうち「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる」の認知件数は、5,899件(前年度:4,883件)に昇り、ネット上のいじめが急増している。

○学校非公式サイト
 「青少年が利用する学校非公式サイト等に関する調査(平成20年1~3月)」(文部科学省)においては、全国で38,260件の学校非公式サイトが確認されている。これらのサイトの多くで、誹謗中傷やわいせつ表現、暴力表現などの書き込みが認められた。
 a特定学校非公式サイト…858件
 (特定の学校の生徒が閲覧や書き込みをするもの)
 b一般学校非公式サイト…1,931件
 (全国の中高生が誰でも掲示板を閲覧し書き込みもできるもの)
 cスレッド型学校非公式サイト…33,527件
 (巨大掲示板にスレッドとして掲載されているもの)
 dグループ・ホームページ型非公式サイト…1、944件
 (生徒が数人のグループで遊ぶサイト)

学校非公式サイトについてのデータ

 こうしたサイトのほかにも、児童生徒たちが危険に巻き込まれる可能性がある掲示板やブログ、プロフ、出会い系サイト等があるということとその危険性を理解する必要がある。そして、これらのサイトを見ることが良いか悪いか判断できないままに、児童生徒に口コミで広がり、保護者や教員が知らないところで利用が増加している。

○児童生徒にとって有害または不適切な情報のあるサイトの例

  •  ポルノ画像や風俗情報を載せたサイト
  •  出会い系サイト、家出サイト
  •  暴力・残虐画像や情報を集めたサイト
  •  他人の悪口や誹謗中傷を載せたサイト
  •  犯罪や自殺を助長するサイト
  •  薬物や麻薬情報を載せたサイト

 また、一見、出会い系サイトや自殺サイトではなくても、チャットやネットゲーム、プロフなどが、使い方によってはそれらのサイトと同様の機能を果たしていたり、画像にアダルト画像を使うなどゲームの内容や構成が不適切であったり,児童生徒の興味を引くプレゼントの送付や占いの条件として個人情報の入力を巧みに誘引するサイトなども増えてきている。

3.発達の段階に応じた体系的な情報モラル教育の推進

(1)情報モラル教育における心構え

 今やインターネットは当たり前に利用される時代である。情報モラル教育を行うに当たっては、教員が、インターネットの世界で起きていることを把握し、児童生徒が将来、インターネット上の問題に直面しないように、また、直面しても児童生徒が心身に大きな傷を受けることなく対応できるように指導することの重要性を認識する必要がある。

 また、インターネットの世界も社会の一部であり、携帯電話やパソコンなどを通じてインターネットを利用する際にも、日常生活におけるモラルが大切であることは当然である。掲示板やブログに他人の悪口を書き込む、勝手に他人のプロフを作って個人情報を載せる、他人になりすましてメールを送ったり掲示板等に投稿する、迷惑メールやチェーンメール、コンピュータウイルスを撒き散らす、ポルノや残虐な画像をウェブサイトに投稿したり掲載したりするなどの行為は、そもそも、人としてのモラルに反する行為である。インターネットの世界は公共の場であることや、インターネットの向こうには人がいることを意識させることが重要である。

 携帯電話をはじめインターネット利用は急速に普及し、必要不可欠なものとなるとともに、日々変化している。そうした情報社会の特性を教員自身が理解した上で、新たな変化についての知識を取り込み、柔軟に対応しながら、児童生徒に指導することが必要である。インターネット利用がどのように変化していくかを予測することは難しいが、新たな情報の収集に積極的に取り組むことにより、対策を迅速に検討することができる。
 まずは、新聞記事やニュースを活用し、児童生徒が巻き込まれた事例を把握しておく必要がある。
 また、教員が情報モラル教育を特別な教育と意識せず、日常の問題として取り組むことにより、児童生徒とのコミュニケーションの中から自然と新たな情報を知ることができる。情報の一つ一つを大切にし、着実に対応していくことが重要となる。そして、情報を知るところに留まらず、実際に機能やサービスを利用してみることで、そこに潜む問題などをより具体的に確認することができる。

(2)学校全体での体系的な情報モラル教育の推進

 情報モラル教育は、学校を挙げて体系的に取り組む必要がある。
 教科指導におけるICT活用は,学習指導要領の中で豊富に記述されており,携帯型の情報通信端末やコンピュータを活用した教育の推進のためにも、学校全体で情報モラル教育を取り入れることが必要である。各教科の目標と連動しながら、情報通信端末等を利用した情報モラル教育を効果的に実施することが重要となる。
 情報モラル教育に取り組むに当たっては、従来の授業の中に情報モラルの視点をもった学習活動を取り込むことが必要である。その際、情報モラルの指導内容には様々なものがあり、それぞれを一回説明したりするだけでは、態度として定着するまでには至らないことから、各教科等や学級活動において指導するタイミングをうまく設定したり、繰り返し指導したりすることが大切である。
 これにより、情報モラルの重要性に対する学校全体としての理解や認識が発信され、児童生徒の関心のきっかけとなり、保護者にも関心を持たせることができる。

○「情報モラル指導モデルカリキュラム表」の活用
 文部科学省委託事業において作成・公表した「情報モラル指導モデルカリキュラム表」では、情報モラル教育を「情報社会の倫理」「法の理解と遵守」「安全への知恵」「情報セキュリティ」「公共的なネットワーク社会の構築」の5つに分類し、小学校低学年、中学年、高学年、中学校、高等学校の5つの発達の段階に応じた指導目標を示している。
 「情報社会の倫理」と「法の理解と遵守」は、日常生活におけるモラル指導の延長線上にあり、主に「他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつこと」(学習指導要領解説 総則編より)に主に対応している。
 特に小学校低学年では、日常生活におけるモラルの指導が優先され、中学年からは情報機器の活用などにあわせて、徐々に情報社会の特性やその中での情報モラルについて触れるようにしていくことになっている。小学校高学年や中学校・高等学校になると、自他の権利を尊重することについて身の回りの課題から自ら考えさせ理解させ、情報社会へ参画する場合の責任や義務、態度に関する内容へと発展するような指導内容となっている。この場合、情報社会もルールや法律によって成り立っていることを知り、情報に関する法律の内容を理解した上でそれらを遵守する態度を養うことが必要である。
 安全教育に関わる「安全への知恵」と「情報セキュリティ」は、主に「危険回避など情報を正しく安全に利用できること」、「コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解すること」(解説 総則編より)に対応する。
 小学校の段階では、「情報社会の危険から身を守るとともに、不適切な情報に対処できる」や「安全や健康を害するような行動を抑制できる」、「危険を予測し被害を予防するとともに、安全に活用する」などが具体的な目標になっている。中・高等学校の段階では、「情報セキュリティに関する基礎的・基本的な知識」を身に付け、「情報セキュリティの確保のために、対策・対応がとれる」ようになることなどが求められている。
 これらの健全な心と社会のルールの理解、安全に活用する知恵の育成を前提に、「公共的なネットワーク社会の構築」へ積極的に参画する態度を育成するようなカリキュラム構成になっている。

 上記の内容を踏まえて、学校教育においては、先に述べた5つの柱に基づいて体系的に取り組む必要があり、心の発達段階や知識の習得、理解の度合いに応じた適切な指導が大切である。このモデルカリキュラムを参考にしながら、地域や学校の実態に応じて系統的なカリキュラムを作成することが必要であり、その内容を学校全体で教員がそれらを共通理解して指導することが必要である。そのためには、校種にかかわらず、それぞれの学校で年間を通した情報教育の指導計画のなかに情報モラルの項目を設定し、指導事項や指導内容を位置づけるなどの工夫が必要である。

第2節情報モラル教育の具体的な指導

1.情報モラルの指導の在り方

(1)不易の部分の指導と変化への対応

 情報モラルは、道徳などで扱われる「日常生活におけるモラル(日常モラル)」が前提となる場合が多く、道徳で指導する「人に温かい心で接し、親切にする」「友達と仲良くし、助け合う」「他の人との関わり方を大切にする」「相手への影響を考えて行動する」などは、情報モラル教育においても何ら変わるものではない。
 道徳における指導の内容には、
・主として自分自身に関わること
・主として他の人とのかかわりに関すること
・主として集団や社会とのかかわりに関すること
などがあるが、情報モラルでは、ネットワークを介してこの「他の人」や「集団や社会」と関わることとなる。
 したがって、その指導に当たっては、パソコンや携帯電話などを通じてインターネットを利用することにより、知らない人や社会とのつながりが簡単にできることや、顔を見なくてもあるいは名前を知られなくてもコミュニケーションができるといった、情報社会やネットワークの特性を踏まえることが必要であり、それに伴う危険などにも触れていく必要が出てくる。
 情報モラル教育において重要なことは、前節でも述べたとおり、情報社会やネットワークの特性とその危険を知ることのみがねらいではなく、ネットワークを通じて他人や社会とよりよい関係を築けるよう、自分自身で正しく活用するために的確な判断ができる力を身に付けさせることである。

(2)考えさせる学習活動の重視

 前節で述べたとおり、情報モラルの指導は、各教科等や学級活動において指導するタイミングをうまく設定したり、繰り返し指導したりすることが大切であるとともに、児童生徒どうしで討論したり、インターネットで実際にあるいは擬似的に操作体験をしたり調べ学習をしたりするなどして、「情報モラルの重要性を実感できる授業」を実践する必要がある。特に、学習指導要領解説総則編においては、情報モラルの指導のための具体的な学習活動について、一方的に知識や対処法を教えるのではなく、児童生徒が自ら考える活動を重視していることである。(学習指導要領解説総則編より(情報モラル教育の学習活動関連))

1)小学校
 「情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動,ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる学習活動,情報には自他の権利があることを考えさせる学習活動,情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる学習活動,健康を害するような行動について考えさせる学習活動などを通じて,情報モラルを確実に身に付けさせるようにすることが必要である。」

2)中学校
 「ネットワークを利用する上での責任について考えさせる学習活動,基本的なルールや法律を理解し違法な行為のもたらす問題について考えさせる学習活動,知的財産権などの情報に関する権利を尊重することの大切さについて考えさせる学習活動,トラブルに遭遇したときの主体的な解決方法について考えさせる学習活動,基礎的な情報セキュリティ対策について考えさせる学習活動,健康を害するような行動について考えさせる学習活動などを通じて,小学校段階の基礎の上に,情報モラルを確実に身に付けさせることが必要である。」

 こうした指導内容を計画的に配置し指導することが望ましいことは言うまでもないが、また同時に、各教科等の授業や学級活動の中で、随時行う日常的な指導も大切である。特に、コンピュータを使った各教科等の授業では、情報モラルを指導できる場面はたくさんあり、その場に応じて必要な情報モラルの指導を行うことは大変効果的である。

2.情報モラルの各教科等における指導例

(1)小学校

1)道徳
(題材)ネットいじめと人権
(教科等のねらい)謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を大切にする。
(内容)高学年では、自分を謙虚に見て,他人の過ちを許す態度や相手から学ぶような広い心をもつことが大切である。今日の重要な教育課題の一つであるいじめの問題に対応するとともに,いじめを生まない風土や環境を醸成するためにも,インターネット上でのいじめの事例に触れ、相手を思いやり親切にすることや,友達と信頼し合い助け合うことなどに関する指導が必要である。ここでは、ネット上に流した情報はコピーや加工が容易であり、自分がその情報の伝達をコントロールできなくなったり、流したデータを完全に回収することができなくなったりすることを、疑似的に体験できる教材などを利用して考えさせ、軽い気持ちで書き込んだということでは済まない行為であることを理解させる。

(題材)悪意のない掲示板への書き込みによる誤解
(教科等のねらい)公徳心をもって法やきまりを守り,自他の権利を大切にし進んで義務を果たす。
(内容)書く側には悪意のない内容でも,受け手の立場で考えると良くない内容になる場合があることを具体的な事例をとりあげて考えさせる。結果的に相手がどのように受け止めるかを考えることが大切だということに気づき、書く前に十分に考えるという態度を身につけさせる。誰に見られていない場面でも,自分の公徳心に従って,自身の責任を果たそうとする心情を育てる。

掲示板への書き込みイメージ

2)社会
(題材)正しいメールの書き方
(教科等のねらい)人々の生活や産業と国内の他地域や外国とのかかわりについて理解する
(内容)都道府県内の人々の生活や産業が,都道府県内や国内の他地域,外国とも結び付いていることを交通網や産業,特色ある地域の人々の生活などの学習と関連付けて取り上げる場合、児童一人一人が学習問題などを解決するために電子メールを用いて、県内のいくつかの施設に質問をすることや、自分達の地域の情報をコンピュータで発信するなどの活動が考えられる。そこで、電子メールで質問する場合や情報を発信する場合のルールについて考えながら活動させる。手紙と同様に宛名や自身の名前、挨拶、内容文の書き方などに気づかせるとともに,発信する情報に対する責任などについても指導する。

(題材)著作権
(教科等のねらい)社会的事象を具体的に調査する場面で資料などから必要な情報を読み取る
(内容)小学校の中学年では、地域の様子や生活をしらべ、その特色を理解する調べ学習、高学年では社会的事象を具体的に調査するとともに,地図や地球儀,統計などの各種の基礎的資料を効果的に活用し,社会的事象の意味について考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てる場面があり、その中で図書やインターネットで検索して調べたことを整理して発表するような活動が含まれている。これらの活動場面で、相手に許諾を得て内容を公開することや、著作物からの引用時に、出展を明記する約束などを取り入れることで、著作物などに対する正しい取り扱い方を身につけることができるようになる。

インターネットで調べ物をする男の子

(題材)誤った情報を見抜く
(教科等のねらい)放送,新聞などの産業と国民生活とのかかわりを理解する
(内容)人々が日常の生活や産業活動において必要な情報をどのように入手しどのように生かしているのかなどについて具体的に調べる。その際,例えば,それらマスメディアの働きや,それを通して送り出された情報が国民生活に大きな影響を及ぼしていることを調べ,情報を発信する側に求められる役割や責任の大きさ,情報を受け取る側の正しい判断の必要性などについて考える。これらの学習をとおして、自らの情報活用でも同様の態度が必要であることを理解する。

(題材)悪意のある情報
(教科等のねらい)情報化した社会の様子と国民生活とのかかわりについて理解する
(内容)情報ネットワークの利便性に目を向け,情報化の進展によって人々の生活の向上が図られていることを具体的に調べさせる。このことにより、情報を有効に活用しながら生活する必要があることや,情報の送り手として,発信する情報に責任を持つことが大切であることについても触れ、正しい情報だけでなく悪意のある情報や、人をだます情報があることについて考えさせ、それらから身を守る方法について理解させる。

3)国語
(題材)責任を持って情報発信
(教科等のねらい)考えたことなどから書くことを決め,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理する
(内容)図書やインターネットや資料から情報を集め、自分の考えの裏づけや立場をはっきりさせて発表する。話し合いの場面では、相手の立場や意見に耳を傾け、それに対する自分の考えを伝える。その過程で、内容の信ぴょう性などに配慮し相手に分かりやすく作成すること、相手の発信した情報を聞き取る活動をとおして、情報発信の責任について考えさせる。

4)図画工作
(題材)著作権
(教科等のねらい)自分たちの作品や身近な美術作品や製作の過程などを鑑賞して,よさや面白さを感じ取る
(内容)身近にある作品や自分や友人の作品や材料,表現に関連がある作品や日用品,伝統的な玩具,地域の美術館の作品など,生活の中で児童が身近に感じられるものを対象に,自分たちの表現の過程や人が体全体でものをつくっている姿など,そこに人々の工夫やアイデアなどが込められていることなどを話し合い,鑑賞の能力を育てる。この時に,自分自身の作品だけでなく友だちの作品や玩具や美術品を作った人の工夫やアイデアを尊重し,大切に扱うにはどうすればよいか場面に応じて適時考えさせ,話し合わせることをとおして,著作物に対する意識を高める。

5)特別活動
(題材)節度ある利用
(教科等のねらい)心身ともに健全な生活態度を育てる
(内容)デジタル機器を長時間使い続けることによる健康被害について話し合い、「身体被害」と「心の被害」に分けて考えさせる。さらに、それらの健康被害に遭わないようにするために、家庭でもルールを作ればよいか、それぞれ考えさせる。

6)総合的な学習の時間
(題材)情報活用と責任
(教科等のねらい)問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりする
(内容)情報の収集の場面では,図書やインターネット及びマスメディアなどで必要な情報を得る方法や,それらの長所や短所,場面に応じた使い分けなど,入手した情報の重要性や信頼性を吟味したり,比較・分類したりする。ここでは,意図的に作られた情報や,悪意を持って作られた情報があることなどを考えさせ,自分たちの生活でも判断しながら適切な情報を取捨選択する必要性を理解させる。
 さらには,複数のものを関連付けたり組み合わせたりして新しい情報を創り出し,発信する学習においては,他者の作成した情報を参考にしたり引用したりすることがある。この場合,情報の作成者の権利を尊重し,出典を明記することで著作権について考えさたり,責任を持って情報を創造することを日常的に行い態度として定着させるようにする。
 このように,総合的な学習の時間の様々な場面で,児童自身が情報を収集・整理・発信する活動を通して,自分自身が危険に巻き込まれないことや情報社会に害を及ぼさないこと,そして,情報社会の一員として生活していることについての自覚を促し,発信情報に責任をもつなどの意識をもたせることが必要である。

7)各教科等
(題材)IDとパスワード
(教科等のねらい)目的に応じた情報を収集する
(内容)総合的な学習の時間やその他の教科等で、コンピュータ室を初めて利用する際に、最初のルールとして10分程度を用いて指導する。コンピュータにログインする際に用いるIDとパスワードが、情報社会では大切な役割を果たすことや、他人に盗まれたり、なりすましされたりしないように自分のIDとパスワードをしっかり保護する態度を育てる。指導に際しては、これまでの経験や事例などに簡単に触れながら、その重要性を考えさせることが必要である。

(2)中学校

1)道徳
(題材)誹謗中傷・いじめ
(教科等のねらい)それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解して,寛容の心をもつ
(内容)インターネットのブログやプロフは、大勢の人が見ているという特性を理解し、書き込むことでどのような事態へ広がってしまう可能性があるのか、書き込みをするときは注意しなければならないことを教材化された模擬的なツールを活用して体験的に考えさせる。その場合、記載されている内容に対して、その個人の個性や立場を尊重し、いろいろな考え方やものの見方があることを話し合わせ、理解したうえで閲読することを指導する。一方、なぜ悪口などを書き込んでしまうのか、他者の書き込みへの同調、書かれた側の気持ちなどの意見交換を行い、考えを深める。「○○してはいけない」という指導ではなく、どうしていくかを生徒が主体的に考え判断できるように、資料やその提示の仕方、発問の内容を吟味することが必要である。

掲示板への書き込みイメージ

(題材)ケータイ依存
(教科等のねらい)望ましい生活習慣を身に付け,心身の健康の増進を図り,節度を守り節制に心掛け調和のある生活をする。
(内容)ケータイは、生徒を夢中にさせる様々な仕組みやコンテンツが用意され、その利用に夢中になる可能性があることをさまざまな体験を話し合うことで共有し理解する。また、その中には、表面的な仕掛けだけではなく、裏の仕組みなどが準備され、規則的な生活を阻害する可能性があることを知る。この時期は、心と体の発達が必ずしも均衡しているわけではないので,軽はずみな行動によって健康を損なってしまったり,時間や物の価値を軽視してその活用を誤ったりするなど,衝動にかられた行動に陥ることもあることを指導し理解させる。指導にあたっては、習慣,時間や物を大切にすることなど,望ましい生活習慣を身に付けることが,充実した人生を送る上で欠くことのできないものであることを,生徒自らが自覚できるようにすることが大切である。

2)国語
(題材)情報発信の責任
(教科等のねらい)目的や状況に応じて,資料や機器などを効果的に活用して表現する
(内容)情報の集め方,調べ方,まとめ方,報告内容を作成することやそれらを用いて発表し、自分の思いや考えを的確に表現する力を身につける。この場合、情報発信の手段としてコンピュータや情報通信ネットワークを活用する機会を設け、教室の仲間だけでなく、ネットワーク上の不特定多数の人に情報を発信する場合の責任について考え、そのことを意識した適切な情報作成の方法や内容の吟味について考え、理解させる。

携帯電話使用時のマナーについてのイメージ

3)技術・家庭
(題材)著作権や情報発信の責任
(教科等のねらい)著作権や,情報の発信に伴って発生する可能性のある問題と,発信者としての責任について知ることができるようにするとともに,情報社会において適正に活動する能力と態度を育成する。
(内容)情報通信ネットワーク上のルールやマナー,法律等で禁止されている事項に加えて,D(1)のアの情報のディジタル化や,D(1)のイの情報通信ネットワークの学習と関連させて,情報通信ネットワークにおいて知的財産を保護する必要性を知ることができるようにする。その上で,情報通信ネットワーク上のルールやマナーの遵守,危険の回避,人権侵害の防止等,情報に関する技術の利用場面に応じて適正に活動する能力と態度を育成する。例えば,映画や楽曲等の違法な複製は,制作者に経済的な損害とともに制作意欲の減退などの悪影響を及ぼすことを知らせ、どのように知的財産を保護すべきかを考えさせることが考えられる。

(題材)違法コピー、知的財産権
(教科等のねらい)基本的な情報処理の仕組みを知り、著作権や情報モラルについて考える
(内容)情報のデジタル化技術によって、デジタル化されたコンテンツが劣化することなく複製できる技術について理解する。それらをコンピュータ等を用いることで誰でも簡単に複製が作成できること、ネットワークを介すると不特定多数の人に配布できることなどについて、ファイル操作などを通して体験的に理解する。しかし、映画や楽曲などの違法な複製は、制作者に経済的な損害を与えると共に、制作意欲の減退などの悪影響を及ぼすことを、具体的な事例を紹介することや、自身の身になって考えることで理解する。

絵を持つ女の子のイメージ

(題材)フィルタリングとウィルスチェック
(教科等のねらい)インターネットの構成と、安全に情報を利用するための基本的な仕組みについて知ることができるようにする。
(内容)通信ネットワークの速さ(bps)や仕組みなどについて、興味や関心の高い携帯電話の情報量や伝達スピードなど身近な題材を用いることで理解させる。また、校内の情報通信ネットワークの構成について,サーバや端末,ハブなどの機器及び光ファイバや無線などの接続方法に加えて,TCP/IPなどの共通の通信規約が必要なことについて簡単に知ることができるようにする。さらに、これらを安全に利用するための基本的な仕組みについて,ID・パスワードなどの個人認証とともに,フィルタリング,ウイルスチェック,情報の暗号化などが必要であることについて、身近なネットワークを例に理解させる。

4)音楽
(題材)著作権
(教科等のねらい)音楽に関する知的財産権について,必要に応じて触れるようにする
(内容)授業の中で表現したり鑑賞したりする多くの楽曲について,それを創作した著作者がいることや,著作物であることを生徒が意識できるようにし,必要に応じて音楽に関する知的財産権に触れることが大切である。作曲や作詞者側に立ち、それらを勝手に改変されたり、対価を支払わずに利用されたときの心情などを考えさせるなど、相手の立場を考慮した指導が必要である。さらに、著作権には,著作物を保護する著作者の権利,実演等を保護する著作隣接権があることなどについても、これらの機会に指導するようにする。また,インターネットを通じて配信されている音楽についても,著作権が存在するということについての認識が十分でない現状も見られるので日ごろ視聴している音楽などを題材にして、スポット的に考えさせる場面をつくるなどの工夫が必要である。

5)総合的な学習の時間
(題材)肖像権
(教科等のねらい)学び方やものの考え方を身に付ける
(内容)目的や意図に応じた情報の集め方や調べ方,整理・分析の過程で、デジタルカメラやビデオカメラを活用した情報収集場面がある。撮影してきた写真や映像を比較する,分類する,関連付けるなど多角的に物事を見るなどのものの見方や考え方を身につける。このような学習活動で、人物の写真を用いる場面を設定し、どのように取り扱うことが適切かについて互いに考え、個人のプライバシーや肖像権について理解する。

6)特別活動
(題材)不正請求
(教科等のねらい)諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる
(内容)携帯電話を日常的に使い始めた頃の自己形成期の生徒に対し、不正請求をはじめとする社会の裏側の仕組みを示し、携帯電話の使い方について考えさせ、このような問題に合わないように自主的に判断、対応できるようにする。一方的な説明だけではなく、映像や資料を見せながら、より自分の体験や経験と重ねて真剣に考察できるように配慮する。自分の経験や考えを共有するために、班活動や掲示板などの利用を取り入れる。

7)各教科等
(題材)誤解を生じないコミュニケーション
(教科等のねらい)言語に対する関心や理解を深め, 言語に関する能力の育成を図る
(内容)各教科等では,基礎的・基本的な言語活動の充実を図ることが必要である。言語は論理的思考の場面で用いるだけではなく,コミュニケーションや感性・情緒の基盤でもあり,豊かな心をはぐくむ上でも,言語に関する能力を高めていくことが求められている。そこで,生徒が日常生活における言語の役割や機能などについて意識や関心をもち,正しく美しい国語を用いるように指導することが各教科等で必要である。例えば,発表の場面で自分の考えを相手に正しく分かりやすく伝えるための文章表現や話し方を考えさせることなどは,すべての教科等で共通の学習活動である。また,校内放送や校内の掲示板,配布物など情報を発信するような学校生活全体における言語活動の環境を整えておくことも大切である。このように,各教科等で日常的に正しい言語の活用を心がけることが,インターネットや情報ネットワークを利用する場合にも,その能力や態度が生きて働く力となる。

第3節情報モラル教育に当たり教員が持つべき知識

 これまでに述べたように、情報モラルを児童生徒に指導するにあたっては、学校と保護者が連携して児童生徒のインターネット利用の実態を把握することが必要であるが、併せて、教員自身が情報モラルに関する知識を持っている必要がある。

(1)インターネット上で起きていることに関する知識

 教員がまず、学校非公式サイト、プロフ、出会い系サイト、アダルトサイト等のウェブサイトが存在することを知る必要がある。また、新聞やニュース等から、児童生徒が事件に巻き込まれたり関わったりした事例も把握しておく必要があるとともに、自分の学校の児童生徒が携帯電話やパソコンを通じてインターネットをどのように使っているかについても調査することが重要である。
 教員が上記のようなウェブサイトの危険性を知らなければ、児童生徒を守ることはできないのであり、現状をしっかり把握することが、情報モラル指導の第一歩であることを銘記すべきである。
 なお、学校において教員間でそうした情報が十分に共有されるために、校務用のコンピュータのネットワークについて、児童生徒用とは異なるフィルタリングの設定(そのための情報セキュリティの確保を含む)にも留意することが必要である。

(2)情報モラルの教材・授業実践事例の情報に関する知識

 情報モラルの教材には、無料で利用できる教材、市販されている教材があるほか、ビデオクリップや指導案形式による授業実践事例の資料も公開されている。先進的な取組みをしている教員の授業実践事例を参考にすることは、授業構想の負担を軽くするだけでなく、質の高い授業づくりにも役立つ。
 「情報モラル指導実践キックオフガイド」等に掲載されている、無料公開されている教材・授業実践事例も参考になる。このガイドブックについて解説した「5分でわかる情報モラル教育」や、「情報モラル指導ポータルサイト~やってみよう情報モラル教育」に掲載された指導事例、「ちょっと待って、ケータイ」のリーフレットやDVD等も是非活用したい。特に、「ちょっと待って、ケータイ」のDVDは、4つの事例をそれぞれ子どもの目線と保護者の目線からドラマ形式で構成したものであり、保護者に対する啓発にも積極的に活用したい。

(3)法律の知識

 児童生徒がインターネットに起因する問題の加害者にも被害者にもならないよう、教員が関連する法律の知識を持って、児童生徒の指導に当たる必要がある。プロフ上で他人の個人情報を勝手に公開したり、掲示板やブログへの誹謗中傷で相手の名誉を傷付けたり、著作権処理をせずに音楽や映像をファイル共有サイトに投稿したり、ソフトを違法コピーしたりすることなどが法に触れることがあることを教員がしっかり認識しておくべきである。
 なお、法令やそれに関する解説については、その所管する官庁等のホームページで情報を入手することができる。
・個人情報保護に関する法令
・プロバイダー有限責任法(総務省)
・出会い系サイト規正法(警察庁)
・不正アクセス禁止法(総務省)
・迷惑メール防止法(総務省;特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)
・青少年インターネット利用環境整備法(内閣府)
・著作権法(文化庁)、特許法(特許庁)等
・青少年健全育成条例

(4)問題への対処に関する知識

 情報モラル教育は、問題発生の予防的な側面を主に担うものであるが、教員は、問題が起きた場合の対処についても知っておく必要がある。
 具体的には、児童生徒や保護者等からの相談により問題を把握した後、書き込み内容やURLの確認・保存(プリントアウト)、掲示板等の管理者やプロバイダへの削除依頼等を把握しておくとともに、教育委員会と協力して日頃から警察や法務局・地方法務局との連携について体制を構築しておく。
 なお、特に「ネット上のいじめ」については、文部科学省が作成した「ネット上のいじめ対応マニュアル」も参考にしたい。

第4節情報モラル教育における家庭・地域との連携

1.家庭・地域との連携に当たっての学校内の体制づくり

 家庭や地域との連携を図るためには、まずは学校内での体制づくりが必要である。例えば、教員による「情報委員会」などを設置し、各学年から1~2名の委員を選出し、児童生徒からの情報を共有するとともに、PTAや地区の連絡協議会に働きかけて連携した体制とすることで、共有の認識が生まれ、問題を未然に防ぐことにもつながるものと期待できる。

2.学校と家庭における理解の共有

 児童生徒が、携帯電話やパソコンなどを通じてインターネット上のトラブルに巻き込まれたり関わったりする事例の多くは、保護者が契約した通信サービスを児童生徒に利用させた際に、児童生徒がどのように利用するかを十分検討しなかったことに起因する。守るべきルール、マナー、危険から身を守るための注意事項などを教える必要があることを保護者に理解してもらうことが必要である。
 まず、携帯電話やパソコンなどを通じたインターネット利用に起因するトラブルや事件について、保護者に理解してもらうことを最初のねらいとし、使い方によってはトラブルの加害者にも被害者にもなりうる手段を児童生徒に持たせているという危機感を持ってもらうことが重要である。
 そのためには、学校と保護者が協力して、保護者会などの前や、学校で情報モラル教育を実施したタイミングを捉えて、児童生徒がインターネットをどのように使っているか、保護者がそのことをどのくらい知っているかなどをアンケートで調査し、その結果を共有することが望ましい。特に、児童生徒と保護者へのアンケート調査結果を比較して示し、大人との利用方法の違いを知ったり、保護者は児童生徒に指導しているつもりでも児童生徒は全く分かっていなかったりという実態がデータで見えてくることは重要である。
 インターネット利用によって児童生徒が巻き込まれたり関わったりしたトラブルや事件の実例を新聞やニュースなどから示し、可能な範囲で自校や近隣の学校で起きた事件を取り上げるなどして、保護者に切実感を持ってもらうことも効果的である。
 そして、学校で行っている情報モラルの指導の内容を説明するとともに、学校での指導には限界があり家庭での指導が不可欠であることや、指導や啓発における学校と保護者との役割分担について説明することが必要である。例えば,
 パソコンや携帯電話の利用に関するルールやマナーは、家庭でも十分に話し合う必要があるが、多くの家庭では実施していない。そこで、学校から,一般的なトラブルの事例や法律に触れる行為など話し合いのポイントを記載したプリント等を保護者に配布して児童生徒との話合いを持たせるようにし、その後、話合いの内容を学校でもう一度取り上げるなどの方法が考えられる。

3.学校・家庭・地域による最新情報の共有

 情報モラル教育を効果的なものとするためには、子どものインターネットの使い方の変化に伴い、その実態や影響に係る最新の情報の入手に努めることが重要である。学校のみならず、家庭・地域の大人達に児童生徒が安全に使用できる機能についての理解が備わっているかがポイントになる。児童生徒が安全に使用できる環境を確保するためには、携帯電話を持たせるに当たり、フィルタリングシステムや・迷惑メール対策を万全に施すことための知識を持つことが必要不可欠である。まずは、大人達が児童生徒の使用実態を把握し、トラブルが起きた際の解決方法や対応策を学ぶことが大切である。
 具体的には、学校・家庭・地域が連携して、学校主催のオープンスクールや、PTA主催の総会や各委員会での勉強会、地域の家庭教育講座や教育委員会主催の研修会などの場を活用して、定期的に、情報モラルの専門家から最新情報を得るための講演会や携帯電話端末等に関する実演講習会を実施する。NPO団体や携帯電話事業者、警察などの出前講座を利用することも有益である。
 その際、参加者が専門的な指導者レベルの知識を身に付け、その後の学校や地域での指導に当たれるよう、意識的に指導員の育成に取り組むことも大切である。
 また、学校と保護者が連携して、児童生徒が巻き込まれやすいインターネット上のトラブルへの対処方法をまとめた冊子を作成し、各家庭や地域に配布することで意識を高めることもできる。
 地域における携帯電話端末の事業者直営販売店や販売代理店、ネット販売や売買の利用に使うコンビニエンスストアなどとの情報交換・意見交換なども、児童生徒の実態を把握する上で活用するとよい。

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