「教育の情報化に関する手引」作成検討会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成20年10月20日(月曜日) 10時~12時

2.場所

旧文部省庁舎2階 第1会議室

3.議題

  1. 「教育の情報化に関する手引」の作成について
  2. ワーキンググループの設置について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料1 「教育の情報化に関する手引」作成検討会について(平成20年10月14日初等中等教育局長決定)
  • 資料2 「教育の情報化に関する手引」構成(案)
  • 資料3 「教育の情報化に関する手引」作成検討会ワーキンググループの設置について(案)
  • 参考資料1 小学校学習指導要領
  • 参考資料2 小学校学習指導要領解説 総則編
  • 参考資料3 中学校学習指導要領
  • 参考資料4 中学校学習指導要領解説 総則編
  • 参考資料5 情報教育の実践と学校の情報化‐新「情報教育に関する手引」‐(平成14年6月)
  • 参考資料6 「初等中等教育の情報教育に係る学習活動の具体的展開について」報告書(平成18年8月)

5.出席者

委員

(構成員:敬称略)
 赤堀、五十嵐、梶本、金森、佐藤、清水、高橋、玉置、永野、中村、西田、野中、野間、堀田、本田、桝田、安川、山本、横山

文部科学省

 金森初等中等教育局長、斎藤初等中等教育局参事官、中沢情報教育調整官その他

6.議事概要

  • 金森局長より挨拶があった。
  • 各構成員及び事務局の紹介が行われた。
  • 座長に清水構成員、副座長に赤堀構成員が選出された。
  • 清水座長、赤堀副座長より就任の挨拶があった。
  • 議事の取扱いについて事務局案が諮られ、会議及び配付資料は原則公開とし、議事概要についても発言者の氏名を除き原則公開することとなった。報道関係者によるカメラ取りは会議冒頭のみとすることとなった。

(1)「教育の情報化に関する手引」の作成について

  • 事務局より、資料1に基づき手引作成の趣旨について、参考資料1~4に基づき小・中学校の新学習指導要領における教育の情報化に関する主な記述等について、資料2に基づき手引の構成案について、それぞれ説明があった。その後、以下の意見交換が行われた。
  • 情報化が進展し、情報教育については学習活動の整理が、ICT活用については効果の検証が、情報モラルについてはガイドブックの作成がなされるなど様々な取組が行われており、これら最近の取組みや政策とリンクさせると、現場も扱いやすいものに仕上がると思う。
      情報モラルは喫緊の課題であり盛んに話題になっているが、一方で情報活用能力が話題にならなくなった印象がある。情報モラルのみが強調されないよう、第3章の情報活用能力について、新学習指導要領の内容に絡めてしっかり記述できればと思う。
     今回の学習指導要領改訂により教育の情報化が充実され、この中で、アプリケーション操作は中学校ではなく小学校で学習することとなった。第3章で、小学校で「何年生ならどういうことができる」などのICT操作スキル基準が必要だと思う。
  • 技術・家庭科技術分野における情報の内容が大きく変わったが、現場にはそのことが今ひとつ浸透していないように思う。第3章で、情報教育が他の教科でどのように位置づけられているかを記載してはどうか。
     また、光と影の部分について、特に第3章の情報教育と第4章の情報モラル教育の関係を明確にすべきである。新学習指導要領の総則の解説では、具体的な教科の中で情報活用能力を身に付けさせるにはこうした方がよいということは記述されているが、それがなぜなのかということまで記述した方が、現場にとって分かりやすいものになると思う。
  • 第5章(学習指導におけるICT活用)について、実践事例を取り上げることがよいと思う。最近特に、現場では授業でのICT活用の実践例を示してほしいという要望が多いので、特にここの実践事例を充実させてほしい。
  • 新学習指導要領において教育の情報化がこれだけ網羅されているということが分かるように整理し、表などで示すことが必要だと思う。
     また、現場経験者として、いかに校内で伝えていくか、研修で伝えていくかということを考えると、そこで活用できるよう1ページ程度で各章のダイジェスト版が付録などにあるとよい。
     校務の情報化については、整備のみが目的ではなく、その先にある教育の質にどのような効果があるのかをクローズアップして記述すべきと考える。
  • 現行の手引ができたときは小学校にいたが、学習指導要領との関係は網羅的に記述されているものの、分かりやすさを考えると、第3章~第5章について、具体的に新学習指導要領のどこと関連しているのかを表などで明確に示すことが必要である。
     また、タイミング的に難しいとは思うが、具体的に教科書に反映されないと、ICT活用などで関連づけが分かっていても、実際の授業ではなかなか扱われない。実践事例とうまく組み合わせて記述することが重要である。
     また、学校のICT環境整備があまり進んでいないため、特に普通教室でのICT環境モデルを示すことが重要である。
  • 第4章の情報モラルはもっと詳細な柱を立てるべきである。
     また、第3章と第4章の関係について、第3章は適切に使うことを述べるが、第4章は使うことによる危険性を教えることがねらいとなる。うまく使っていくには、それぞれ両輪として考える必要があることを第3章と第4章で整理してほしい。学校では表面的な問題が喫緊の課題として認識されている。根本的な考え方や態度の指導をどうするかについて第4章に触れるべきと考える。第3章では、ICT活用スキルの話に偏り過ぎるのではなく、情報そのものを扱う力として何が求められるかに触れてほしい。
     第10章の学校におけるICT環境整備について、校務のための環境という面と子どものための環境という面がある。前者は情報セキュリティが重要で、設定の変更などができない固定的な環境が必要になり、後者は様々な教材の活用や設定変更などに対応できる柔軟性が求められる。これらの両立を図ることが必要になることを記述してほしい。
  • 教員研修の講師を経験して思うのは、具体的な情報教育の学習内容を示すことが重要ということである。
     また、教員のICT活用について、先進的で華やかな取組みが話題になりがちだが、現場では単純なことに効果を感じていることが多く、ごく一般的な活用を具体的に示し、教員がすぐに取り組めるようにすることが重要である。
  • 多くの先生の参考になる手引とすることが重要であるが、中学校は教科担任制なので、自分の教科以外での取組みは参考にしにくい面がある。他の教科の先生が参考にできるような内容とすべきである。また、情報担当以外の教科の指導主事にも分かりやすい内容とするべきである。
     第3章の情報活用能力と第4章の情報モラルはうまく連携させて実践的な内容を記述する必要がある。
  • 教員のICT活用指導力チェックリストは単純に書かれていて明確で分かりやすいのと同時に、どこまでやらなければいけないのかを難しく捉えてしまう教員もいる。第9章(教員のICT活用指導力)において、詳細に分かりやすく記述する必要がある。
     また、今回の学習指導要領の改訂により道徳に情報モラルが入ったが、道徳での情報モラルの指導が知識の習得に偏らないか心配である。
  • 第4章の情報モラルについては喫緊の課題であるが、取り上げ方として実践と絡めた記述にしてほしい。
     また、第9章の教員のICT活用指導力については、第1章や第2章といった前段の方で、「全ての教員が当然身に付けなければならない資質」として示しておくことが重要である。
  • 第3章と第4章について、情報モラルは各教科等で扱われることになるので、例えばまとめ学習であれば、そこで使われている絵や写真の著作権問題に気づくといった実践を盛り込んでほしい。
     また、子どもにICT操作スキルを身に付けさせることは、手段であって、目的は情報活用能力の育成であり、その意味が伝わるような記述にしてほしい。
     第7章の校務の情報化については、留意点や具体的な活用方法を記述して、校務の情報化を促進させるようにすることが重要である。
  • 現場の教員の立場としては、普段の授業に関わる第5章の内容が最も気になる。国語でも、数学でも、音楽でも、教科教育の専門家の中にはICT活用を積極的に実践・指導している方がいる。そのような各教科教育の専門家にヒアリングして、ICTの活用についての意見を求め、具体的な教科での活用方法を示す内容にすべきだと思う。また、教員が授業でICTを活用する上で、第3章、第5章、第9章の関係が簡単に分かるような工夫が必要だと思う。
  • 小学校ではICTへの関心が低い。関心が低い学校では、せっかく手引を作成しても読まれない可能性が高い。第3章や第5章の実践事例で略案やワークシートなどを示してほしい。
     また、情報モラルについては、45分の授業すべてを使って行うのは困難だという先生が多いので、日常の授業でコンピュータやインターネットを使うときでも、児童に「この情報は本当に正しいのかな」と言ってあげるだけでもよい。そうした声掛けをするだけでも情報モラルにつながるといったヒントを先生に示すことで、最初のステップを低く見せることが必要である。
  • 情報モラルについて、教員が子どもたちの携帯電話やインターネット利用の現状を分かっていない。学校裏サイトなどがここまで広まったのは、学校できちんと指導できてこなかったことにも原因がある。このような指導をすれば学校裏サイトへの書き込みを減らせるといった具体的な指導方法まで踏み込んで記述する必要がある。
  • 手引の見せ方として、教育の情報化によって効果的・効率的になるということを示すことが必要で、現場の先生にとって何か新たにプラスアルファとしてやらなければいけないものと見られないようにすべきである。こんな教育的効果を上げるために、こう使えばいい。また、使うところはこの教科でこんなことができる、という具体的な例示があればよいと考える。
    教科書やその解説書を出版する会社に情報を提供していくことが重要である。教科書等の作成には各教科の専門家が関わるので、そうした方とも連携し、教科と絡めたマトリックス表があれば各教科と情報教育の関係が分かりやすくなる。
  • 新学習指導要領で技術・家庭科技術分野のウェイトが大きくなったと思っている。第3章~第5章との関係で、小学校での情報モラルの指導について「なになにしてはいけない」という指導が強くなると考えるが、なぜいけないのかという点が必要である。技術分野では、情報手段の構成・仕組みなどを踏まえて情報モラルの必要性を指導するなど、情報の科学的な理解に重点を置いた上で指導することを明確化したいと思う。
     また、高等学校との接続も考えて、中学校や小学校で身に付けるべき能力を示す必要があると思う。
  • 特別支援教育については、まだ新学習指導要領が固まっていないのでどこまで記述するのか少し考えたいと思う。特別支援教育に特化した情報活用や情報モラルもあるので、色々と相談しながら記述する必要があると思う。また、特別支援学級などにおける配慮事項も示すべき。
  • 今回の手引は第3章が重要になると思っていた。学校現場では、どの教科のどの単元でどういった情報活用のどの部分をやるかというマトリックス作りに時間がかかっている。そのため、実際の場面でどのような情報教育ができるのかを記述する必要がある。
     また、皆さんの意見を聞いていて、第5章の学習指導におけるICTの活用が重要であるので、情報活用能力の育成とICTの活用を混合しないような記述について注意が必要だと感じた。
     第3章と第4章の内容は分離せず、情報活用能力の中の情報モラルということを明確に記述することが重要である。
  • 第4章の情報モラル教育で記述する具体的な項目、また、この手引は誰を対象とするのか、そして、手引の内容面、これら3点について、特に意見をいただきたい。
  • 手引の対象者を全教員とすることは難しい。全教員向けには、ダイジェスト版として、内容をブレークダウンしてイラストを多く取り入れ分かりやすくかつ具体的なものを別に示す必要がある。
     また、新学習指導要領の中学校の内容には、社会科で地域のことをインターネットで調べるとか、国語で機器を使って説明するとか、ICTの活用を前提とした学習活動がある。社会や国語の時間のこうした学習活動の際にICTの操作から学ぶのは無理である。しかし、教科の中に書かれている以上、それは評定の対象にもなるし、入試の範囲にもなることを考えると、小学校段階で基本的なICT操作スキルが身についていないことは子どもたちにとって大変不幸なこととなる。このような事情が教員や教育委員会に伝わるよう解説しないといけないと考える。
  • 情報モラルは日常的な中にも存在するので、教科とどうクロスさせるのかという観点が必要である。
  • 情報モラルについては、「情報モラル指導実践キックオフガイド」の内容や予想される事例を整理して総括的に記述する方がよい。事例も数多くあるので整理しリンクを貼るなどの工夫が必要である。
  • 現場では、情報モラルについて道徳との関連が注目されている。情報モラルについては、学習指導の場面、生活指導の場面など各指導場面との関連で記述するのがよいと思う。
  • 情報モラルについては、これまで作成した「情報モラル指導モデルカリキュラム」やガイドブックの内容と整合のとれたものにしてほしい。
     また、現場の先生は教科書やその解説書を見て指導するので、教科書との関係を意識すべき。
  • 道徳の情報モラルの副読本を見たが、そうした読み物教材が用意されていれば、授業で使われると感じた。道徳と情報モラルとの関連を色濃く出す必要がある。
  • 情報モラルについて、道徳の教科書や副読本に取り上げられていると授業で扱われやすい。
  • 第8章について、自治体にはそれぞれの事情があるが、文部科学省の「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」の報告書をもとに、最低限求められることは記述すべき。
  • 自治体における教員研修の予算獲得において、現行の手引を根拠としている。やはり、研修の進め方などを明確に記述してあれば、研修経費の予算獲得に繋がりやすい。
  • ウェブ上で公開する際には、文部科学省の他の取組みにリンクを貼るなど工夫が必要である。
  • 第8章について、学校の情報化を具体的に進めるために後ろ盾が必要。管理職に求められるものが大きいが、実際には管理職の意識がまだまだ低い。モデルプランなど教育の情報化の重要性を管理職に分かりやすく示せるものとしてほしい。
     また、手引のダイジェスト版を作成し配付することも考えられる。
  • 第8章と第9章の関連が必要だと考える。教員研修はまだ操作重視の研修が多く、講師も操作に熟練した者が務めているのが現状。もっと各教科等の授業で活用されるようにするための研修モデルプランを示したり、教員研修センターとの連携にも触れられるとよい。
     また、全教員に広めるためにもダイジェスト版がほしい。
  • 手引の対象者として、教員養成を行う大学教員も使うことをねらいとしてほしい。
  • 特別支援教育について、それのみで1章を立てているので、普通校での活用の付け足しではなく、特別支援教育に固有の内容を記述してほしい。
  • 普通校でも配慮が必要な子どもがいる。そのような子どもを抱えた先生にも参考となるような内容で記述したい。
  • 第1章から第10章までの章立てについては、資料2のとおり了解いただいたものとし、小項目については、ただ今の議論を踏まえてWGで検討してほしい。

(2)ワーキンググループの設置について

  • 事務局より資料3に基づきワーキンググループの設置について説明があり、了承された。その後、事務局より具体的な作業要領について説明があった。

(3)今後のスケジュールについて

  • 事務局より資料4に基づき今後のスケジュールについて説明があった。また、第2回検討会での検討内容等ついて説明があった。その後、以下の質疑応答があった。
  • 手引の各章に「初等中等教育」の文言があり、これは高等学校も含まれるものであるが、高等学校分の手引についてはどうするのか。
  • 高等学校分については、今のところ、小中学校分を完成させたものに追記していくイメージで考えている。(事務局)
  • 現行の手引を作成した際、社会の情報化がこれだけ進展するとは考えていなかった。今回も予想できない部分はあるが、社会的な状況を踏まえて作成願いたい。

(以上)

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初等中等教育局参事官付