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資料3−9

障害者の権利に関する条約について

1.概要

 障害者の尊厳、自律及び自立、差別されないこと、社会参加等を一般原則として規定し、障害者に保障されるべき個々の人権及び基本的自由について定めた上で、これらを確保し促進するための措置を締約国がとること等を定めている。

2.経緯

平成18年12月 国連総会において採択
平成19年9月 日本国署名(114か国目)
平成20年5月 発効(※我が国は未批准)

(今後の見通し)

可能な限り早期の締結を目指して必要な国内法令の整備を図る。
(「重点施策実施5か年計画」(平成19年12月25日障害者施策推進本部決定)より)

  • 今後、政府部内における検討→国会承認→批准というプロセス

3.教育関係の主要な条文

  • 第24条
    • 1 締約国は、教育についての障害者の権利を認める。締約国は、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、次のことを目的とするあらゆる段階における障害者を包容する教育制度(an inclusive education system)及び生涯学習を確保する。(後略)
    • 2 締約国は、1の権利の実現に当たり、次のことを確保する。
      • (a) 障害者が障害を理由として教育制度一般から排除されないこと(not excluded from the general education system)及び障害のある児童が障害を理由として無償のかつ義務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。

【参考】教育関係の規定内容

第4条 一般的義務

  • 2 締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、これらの権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、また、必要な場合には国際協力の枠内で、措置をとることを約束する。ただし、この条約に定める義務であって、国際法に従って直ちに適用可能なものに影響を及ぼすものではない。

第24条 教育

  • 1 締約国は、教育についての障害者の権利を認める。締約国は、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、次のことを目的とするあらゆる段階における障害者を包容する教育制度及び生涯学習を確保する。
    • (a) 人間の潜在能力並びに尊厳及び自己の価値についての意識を十分に発達させ、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。
    • (b) 障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
    • (c) 障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること。
  • 2 締約国は、1の権利の実現に当たり、次のことを確保する。
    • (a) 障害者が障害を理由として教育制度一般から排除されないこと及び障害のある児童が障害を理由として無償のかつ義務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。
    • (b) 障害者が、他の者と平等に、自己の生活する地域社会において、包容され、質が高く、かつ、無償の初等教育の機会及び中等教育の機会を与えられること。
    • (c) 個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。
    • (d) 障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を教育制度一般の下で受けること。
    • (e) 学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられることを確保すること。
  • 3 締約国は、障害者が地域社会の構成員として教育に完全かつ平等に参加することを容易にするため、障害者が生活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。このため、締約国は、次のことを含む適当な措置をとる。
    • (a) 点字、代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに適応及び移動のための技能の習得並びに障害者相互による支援及び助言を容易にすること。
    • (b) 手話の習得及び聴覚障害者の社会の言語的な同一性の促進を容易にすること。
    • (c) 視覚障害若しくは聴覚障害又はこれらの重複障害のある者(特に児童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること。
  • 4 締約国は、1の権利の実現の確保を助長することを目的として、手話又は点字について能力を有する教員(障害のある教員を含む。)を雇用し、並びに教育のすべての段階に従事する専門家及び職員に対する研修を行うための適当な措置をとる。この研修には、障害についての意識の向上を組み入れ、また、適当な意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式の使用並びに障害者を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れるものとする。
  • 5 締約国は、障害者が、差別なしに、かつ、他の者と平等に高等教育一般、職業訓練、成人教育及び生涯学習の機会を与えられることを確保する。このため、締約国は、合理的配慮が障害者に提供されることを確保する。

障害者権利条約の状況について

  • 2006年12月 国連第61回総会において採択
  • 2007年9月 日本国署名(114か国目)
  • 2008年5月3日 発効(20か国が批准書又は加入書を寄託した30日後に発効)
  • 批准国(2008年8月1日現在)
    • 【アジア・太平洋】(6)
      • インド
      • バングラデシュ
      • フィリピン
      • オーストラリア
      • タイ
      • 中国
    • 【中南米】(10)
      • エクアドル
      • エルサルバドル
      • キューバ
      • ジャマイカ
      • ニカラグア
      • パナマ
      • ペルー
      • ホンジュラス
      • メキシコ
      • チリ
    • 【欧州】(5)
      • クロアチア
      • サンマリノ
      • スペイン
      • スロベニア
      • ハンガリー
    • 【中東】(3)
      • カタール
      • サウジアラビア
      • ヨルダン
    • 【アフリカ】(9)
      • エジプト
      • ガボン
      • ギニア
      • ケニア
      • チュニジア
      • ナミビア
      • ニジェール
      • マリ
      • 南アフリカ
    • 計33か国