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はじめに

 教職調整額の見直しについては、平成19年3月の中央教育審議会答申「今後の教員給与の在り方について」において、「今後更に専門的・技術的な検討を行っていくことが必要である。」とされたことを踏まえ、文部科学省において検討が行われてきたが、平成20年度予算においては、教員の勤務の在り方と時間外勤務の評価等の在り方について引き続き検討し、平成21年度以降に実施することとされた。

 これを受け、学校の組織運営の在り方を踏まえた上で教職調整額の見直しなどについて専門的・技術的な観点から検討するため、平成20年4月に「学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議」が設置された。

 本検討会議では、都道府県・市町村の教育委員会関係者、小学校・中学校・高等学校などの関係者、教職員団体などから、幅広くヒアリングを行い、そこでの意見も踏まえ、学校の組織運営の在り方なども含めて広範な検討を行ってきたところである。
 このたび本検討会議として、専門的・技術的な観点から検討した結果を「審議のまとめ」としてとりまとめたので、報告する。

 なお、教職調整額の見直しは、単に給与の問題に留まらず、学校の組織運営、教員の勤務時間管理、教員の勤務時間の内外における勤務の在り方、教員の果たすべき職務の内容や責任などにも大きく影響する問題であり、特に教員の勤務時間管理や時間外における勤務の在り方などに直接影響が及ぶものである。そのため、本検討会議としては、教員の勤務時間管理などについて、今後どのような在り方が求められるのか、そして、その中で教職調整額をどのように見直していくことが適当なのかという観点に立ち検討を進めてきた。
 そして、このためには、我が国の社会情勢の変化やそれに伴う学校に求められる役割や使命の変化などを踏まえた、これからの時代にふさわしい学校の在り方や教員の職務の在り方の検討が前提になると考えた。

 そのため、「審議のまとめ」としては、まず、これからの時代にふさわしい学校の在り方や教員の職務の在り方について、次に、それらを踏まえた今後求められる教員の勤務時間管理、時間外勤務、適切な処遇の在り方について、そして、これらを受けて、教職調整額制度の見直しについての課題や論点を整理している。

 これからの時代にふさわしい学校の在り方や教員の職務の在り方は、まさに学校教育の根幹に関わる問題である。また、それらを踏まえた教員の勤務時間管理などについては、その実現に向けて様々な課題があり、幅広い観点からの議論が必要である。そのため、本検討会議としては、この「審議のまとめ」を踏まえ、これからの時代の学校の在り方などについて、様々な論点を包括的に捉えた幅広い検討が中央教育審議会においてなされることが必要であると考える。