資料3 第2回「県費負担教職員の人事権等の在り方に関する協議会」ヒアリング資料

宮城県教育庁教職員課
小中学校人事専門監 太宰 明

1 現在の人事異動方針と人事異動(広域)の現状

(1)人事異動方針

学校教職員人事異動方針について

  1. 本県教育の充実向上を図るため、本県の実態を踏まえ、長期的展望及び全県的視野に立って適材を適所に配置するよう学校教職員の異動を行う。
  2. 異動は、次の諸点に重点を置いて行う。
    1. 有為な人材の登用を図る。特に相当期間、へき地教育、特別支援教育又は複数の教育事務所管内勤務等の経験を有する成績優秀な者については考慮する。
    2. 仙台市を含む広域にわたる交流を図る。特に市部と郡部、へき地指定地域とその他の地域との交流を推進する。
    3. 各学校及びその地域の実情を考慮して職員構成の適正化を図る。
    4. 同一校在任期間の長い者については、積極的に異動を行う。
    5. へき地指定学校教職員及び特別支援教育担当教職員の充実強化に努める。
  3. 異動は、市町村教育委員会、県立学校長との密接な連携のもとに行う。
    1. この方針に定めるもののほか、学校種別ごとの人事異動に関する実施要領については、別に定める。
    2. この方針は、平成17年度(平成16年度末を含む)異動から適用する。

(2)人事異動(広域)の現状

  • 各教育事務所、仙台市教育委員会の人事担当者会議(11回)を開催し、広域及び交流人事を行っている。教育事務所においては、市町村教育委員会及び校長とヒアリング(3回程度)を実施している。
  • 平成17年度(市町村合併以前)までは、他市町村及び他管区への広域異動者数が全体の4分の3程度となっていた。
  • 市町村合併以降、市町の規模が大きくなり同一市町内での異動が多くなっている。(4分の1から3分の1程度に)
  • 新任教員は原則として出身教育事務所管外に配置している。但し、出身者の少ない教育事務所においては、出身管内に配置している。
  • 採用後3年経過の者は、原則として異動対象者としているが、都市部への異動を希望する者が多い。
  • 少子化による学級減や学校統廃合によって定数減となる教育事務所では、定数を超える教員を他管区へ異動せざるを得ない。
  • 管内出身の教員が少なく当該管内への異動希望者が少ない教育事務所では、他管区からの転入者より転出者が多い出入り差を生じている。
  • 広域の教育事務所間異動に加え、隣接教育事務所間の「近隣市町村異動」を行っている。(近隣市町村異動:現在勤務している教育事務所管内を生活本拠地としている者が他の教育事務所管内にある通勤可能な近隣市町村に異動すること。原則3年後、前教育事務所管内への異動を配慮)

(3)人事異動(広域)の課題

  • 管内出身の教員が少ない教育事務所では、異動の出入り差(欠員)を新任教員で補充せざるを得ない。その後任にも新任教員を配置するという状況である。また、逆に学級減等による定数減で他管区へ教員を異動せざるを得ない教育事務所では、新任教員を配置する余地が無く、教員の高齢化が起きている地域もある。
  • 仙台市及び仙台市周辺市町出身の新任教員が多く、採用3年経過後に出身地への異動希望者が多い。仙台市及び仙台教育事務所はその数を全て受け入れることができない状況である。
  • 管内出身の教員が少ない地域には、管内出身の教員を増やす方策が必要である。なお加えて、優れた教員を確保する上で「教員養成と教員採用の制度」をどのようにするかという政策を改めて考える必要があろう。

2 中核市に人事権を移譲された場合に発生する組織、事務

(1)採用(管理職を含む)

県:
 現状のまま

中核市:
 独自の採用業務が難しいのであれば県教委と共同実施

(2)異動

県:
 広域人事異動を推進するための調整機能を持つ協議会等の設置(政令市、中核市を含めたもの)
 教育事務所学事担当の縮小

中核市:
 人事担当部署の設置(管理主事等の配置)

(3)懲戒・分限

県:
 基準(指針)作成の技術的支援

中核市:
 基準と審査組織の整備

3 仮に一部の市町村に人事権を移譲した場合、広域調整の仕組みを構築するにあたって必ず考慮すべき事項

  • 現在、長期的・全県的な視野に立って人事異動を行っているが、市町村に人事権を移譲した場合、優秀な教員の囲い込み及び都市部や財政力のある市に希望が集中し、人材の地域偏在が懸念される。
  • 仙台市への人事権移譲後の経過を見ると、県との交流は停滞・硬直化してきており、市町村に人事権を移譲した場合も長期的に見ると同様の傾向が危惧される。
  • 人事権を移譲した市町村内の長期間勤務を避け、広域人事を行うためには他市町村への異動を義務づけるなどのルールを定める必要がある。
  • 広域調整が合意に至らない場合を想定すると、広域調整を行う権限が市町村の人事権を超えるものであることが必要である。それが担保できないのであれば、現行の県費負担教職員制度を維持する必要がある。
  • 任命権者の異なる市町村へ異動する場合、事務手続き上本人の退職願を必要としており、本人の承諾が必要になることが課題である。

参考

 平成19年10月に宮城県市町村教育委員会協議会教育長部会から、現行の県費負担教職員の任用制度の継続を要望されている。

4 仙台市(政令市)との人事異動の現状と課題

(1)現状

  • 教員採用選考及び管理職選考は、県、市共同で実施している。
     ただし、管理職選考については選考基準を作成し、記述問題は共通で、選考は両教育委員会それぞれで行っている。
  • 管理職及び教諭等の人事については、県教職員課、教育事務所、仙台市教職員課の合同会議を開催している。(管理職:14回、教諭等:11回)
  • 仙台市が政令市になる以前は、市への異動が100名を超えていたが、3~10年前は40~60名程度、2年前からは20名台となり大きく減少している。一方、県への異動はここ10年間は3~10名で、出入り差が大きい。
  • 平成18年度から相互に同数で交流する人事交流を実施している。
     (交流期間3年原則で戻る。小・中学校教諭 各2名)

(2)課題

  • 政令市になって以降、県との異動規模が縮小しており、人事の停滞・硬直化が進むことを懸念している。
  • 仙台市との異動では、それぞれ異動後は元へは戻らないのが実状であり、相互に交流している異動は、非常に少ない。
  • 仙台市を生活本拠地とする者が多いことから、仙台市への異動希望者は実異動者の2倍程度になっている。
  • 更に、仙台市の受け入れ数が減少していることも影響して、仙台市を希望せず仙台教育事務所管内(仙台市周辺市町)への希望者が増加しており、仙台教育事務所管内への異動が仙台市より多くなっている。しかし、実状は希望者の5~6割程度だけの受け入れが可能な状況である。

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