県費負担教職員の人事権等の在り方に関する協議会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成20年5月12日(月曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省5階 6会議室

3.議題

  1. 本協議会の検討課題及び今後の進め方等について
  2. 県費負担教職員の人事権等の在り方についての意見交換
  3. その他

4.出席者

委員

 藤原委員、中村委員、鈴木委員、高橋委員、西条委員、石原委員、井出委員、安谷委員、小川委員、堀委員、太宰委員、新井委員、大久保委員、土屋委員

文部科学省

 金森初等中等教育局長、前川大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、常盤初等中等教育企画課長、関財務課長、堀野初等中等教育企画課長補佐

5.議事要旨

 議事に先立ち、会議の公開・非公開等の取り扱いについて、資料1のとおり了承された。また、本日の会議についても、人事権に係る議題であるため、非公開とされた。

(1)本協議会の検討課題及び今後の進め方等について

 事務局より、資料2~4に基づき説明があり、次のように意見交換が行われた。

意見交換

【委員】
 人事権の移譲の是非について議論するのではなく、人事権を移譲する場合の方法論について意見交換しようということか。

【文部科学省】
 人事権移譲の是非について結論が出ているわけではない。平成17~18年の検討の際に関係者の意見が分かれたのは、実効性のある広域調整の仕組みを本当につくれるのかという点について関係者の意識がそれぞれ異なっていたからではないかと考えられる。中央教育審議会でも広域調整の仕組みと合わせて検討するとされているので、人事権を移譲するとした場合の仕組みについて、具体的に議論したい。

【委員】
 各団体間の意見の隔たりが大きいのは、広域調整などの方法というよりは本質論があるわけで、そこの部分なしに方法論から入るということであるとずいぶん考えていたことと違う。私としては、入り口の部分として、まず教職員の給与を政令市の負担とすることを先行的に行うことを提案しているから、これがクリアできた時に次のステップに進める、と考えている。その都度提案するものがこういうふうに整理された上で、都道府県教育長協議会として意見交換に臨みたいと思っている。

【委員】
 この会議で行うのは、地方分権推進委員会や中央教育審議会の議論を踏まえての議論だと考える。都道府県の立場では、人事権を移譲することを前提とした上で方法論について議論するのは難しいということだが、ざっくばらんに具体的な議論をしてみてはどうか。

【委員】
 中核市としては、中央教育審議会等で答申がでて、方向性は決まっているものと考えている。現在、中核市は、教員研修が義務化されているにも関わらず人事権がないという厳しい状況にある一方、教員の身分は市町村の公務員という複雑な状況である。信頼される先生を育成するにあたり、何に配慮すべきか検討すべき段階であると思う。教育改革として、小さい町村のことも考えながら、小さいから人事権が行使できない、というだけでなく、小さいなら教育行政自体が十分にできるのか、他と一緒にやるのか、ということも含め、前回の議論も踏まえて具体的なものを検討していきたい。

【委員】
 今後の進め方にも関して、地方分権推進委員会で勧告の用意をしているが、前回の中間まとめと、今回の報告の間では、中身が変わってくるのか。月1~2回開催、年内に一通り議論する、と時期をある程度明示して説明があったが、地方分権推進委員会でも結論を出す時期を示唆するような形で勧告されるのか。

【文部科学省】
 地方分権委員会の勧告がどうなるかはまったくわからないが、4月のヒアリングの際には、いつ結論が出るのかと聞かれ、答えられないと回答している。委員会としては、結論を出す時期も含めて勧告を出したいと言っていたが、それがどういう形で出てくるかわからない。年内と申し上げたのは、この協議会での議論の後に、中央教育審議会でも議論をしていただくことを考えると、年内に一通りの議論を終えたほうがよいのではないか、という目安である。

【文部科学省】
 これまで資料2にあるように、各団体の意見には隔たりが大きく、この問題については、中央教育審議会でも引き続き検討を進めていく必要があるとされた。この会議としては、各団体間の意見の隔たりを埋めていくために、広域調整や給与などの具体的な方法を検討をしていきたいと考えている。そういう観点から、検討課題例をお示ししている次第である。

【委員】
 人事権をずっと県が持つべきであるということを主張しているわけではない。地方分権の流れからも、県から市町村に移譲していくことは大事である。例えば、島根県では、教育事務所の機能のうち、財源の問題を別にすれば、市町村教育委員会でできることは移していこうと考えている。ただ、人事権移譲の議論が、始めから広域調整の検討や採用・異動・懲戒のどこまで移すのかにまで飛んでしまうと、私としては飛躍があると考える。

【文部科学省】
 教職員の人事は、都道府県教育委員会が義務教育に関わる上で、大きな問題である。資料では、具体的な議論をするためのイメージとして論点を示させていただいた。

【委員】
 たとえば、採用や全体の人事管理を引き続き県として実施する中で、最大限市町村の権限を強めていくという選択肢もあると考えるが、資料では選択肢から削られているように見える。町村のことを考えれば、一括採用にすべきという意見のほうが多数であるはずだ。それを前提として、どこまで市町村に権限を移譲できるかについては、大いに議論すべきであろう。しかしすでに選択肢から消されているというのは問題である。

【委員】
 県で一括採用し、それ以外の人事権について市町村に移譲するという選択肢についても排除されていないと思う。空中戦にならないよう、具体的な議論をできればと思う。例えば、採用にあたりどういう問題があり、どう配分するか、というようなことを具体的に検討すればよいのではないか。

【文部科学省】
 都道府県の代表として、市町村に人事権を下ろさないという前提で議論するということならば、それで構わない。

【委員】
 資料の作り方が、ほかの選択肢を排除しているように思える。採用を一緒にやるかということも含めた幅広い選択肢の中で類型化するなら理解できる。

【文部科学省】
 仮に、人事権を移譲するとして、その場合の広域での人事調整の仕組みについて議論した上で、人事権移譲は難しいということであれば、移譲はしないという結論になることもあると思う。結論に至る前に、いろいろな選択肢を議論したい。結論ありきで、全てを市町村に移すといっているわけではなく、あくまで検討ということである。

【委員】
 静岡県では、静岡市、浜松市を含めた三者で一緒に採用をしているが、静岡市や浜松市にもへき地があるので、希望者は各々均等にいる。仮に、政令市に受験生が集まってしまい、中山間地域で人材が確保できないという懸念があるならば、そこで調整の仕組みを練っていけばいいと思うのだが。

【文部科学省】
 資料に示した検討課題例は、今後、具体的な議論を行っていただきたいということを示すために例示したものである。今の段階で、最初から全員が完全に納得できるような複数の類型の案を示せるとは考えていない。具体的に議論していく中で、みなさんのやりたいことは、権限を残した上で、一部を改良すればできるのではないか、ということになるかもしれない。仮に権限を移譲したらどうなるか、という案をもとに、いろいろ議論していただき、他の検討の方法も出てくれば、とりいれて議論していきたい。

【委員】
 都道府県によって、政令市をたくさん抱えている地域、離島へき地を抱えている地域など、地域的な事情は様々であるから、一つの制度で担う必要はなく、いろいろな制度を選択できるように弾力的にすることも考えられるのではないか。

【文部科学省】
 広域調整の仕組みだけでなく、権限の移譲の仕方ということについても、複数の類型的な案があると考える。いろいろなパターンをシュミレーションしてみて、複数の案についてどういう課題があるかご議論いただきたい。

【委員】
 中核市としても賛成である。都道府県といっても事情は様々であるので、人口規模、指定都市の有無などいくつか類型化しながら、一部を特区のような形で取り入れるという考え方も含めて、移譲されたところでしっかり教員の養成、資質を身につけられるように考えていけばいいと考える。都道府県によっても立場は様々であり、温度差があるが、この点を強化すれば移譲できるなど、前回よりも前向きな議論はできるのではないか。

【委員】
 指定都市となった静岡市、浜松市が、人事権を付与されたからといって、静岡県から離れて独立独歩になっているわけではない。両市との人事調整や交流に関しては、あくまで県が中心となっている。指定都市のように人事権を付与された市が、県と離れて独立独歩で人事管理をするような事態にはならないのではないか。

【文部科学省】
 ここ数年、中核市から指定都市になるという自治体がいくつかあった。この会議では、実際に人事権移った場面で、どういう問題があり、どのような調整がなされたのか、ということについても情報提供いただきたい。
 進め方については、はじめから人事権を移譲するという前提で議論するのではなく、ただ具体的な議論になるように、進めさせていただきたい。

【委員】
 任命権を残しつつ現状の課題を解決するような方法も選択肢として挙げていただき、両面から議論したい。

【文部科学省】
 今後、そのような考えを排除しないように議論を進めるということでよろしいか。この会議は、中央教育審議会答申を受けての議論であり、その答申では移譲の可否ではなく、調整の在り方について議論するということであったので、そのような資料にさせていただいたのである。

【委員】
 いろいろな議論をして、人事権は移譲できないということになることもあるだろう。ただいまの意見のような懸念はわかるが、まずは、人事権を移譲するとしたらどこに隘路があるのかについて議論してみればよい。

【委員】
 市町村によって規模が異なるので、どの程度の市町村であれば人事権を移譲できるのか、という規模別で考えるべきである。すでに政令市には人事権が付与されているので、次の段階として中核市にも人事権は付与できるのか否かということを議論すべきだと思う。文部科学省でも、広域の人事調整を検討課題例として挙げているわけだから、教育委員会の規模別で議論をしたい。

【文部科学省】
 我々として、中核市に人事権を移譲しても大丈夫かという心配はしていない。小さい町村への影響を心配している。

【委員】
 都道府県も同じである。

【委員】
 今でも小さな市町村については県が面倒を見ているのだから、人事権が移譲された際の新しい仕組みを考えることが必要である。

【文部科学省】
 心配しているのは、採用段階で、みんな中核市を希望するのではないかということ。

【委員】
 現に保健士ではそうなっている。

【委員】
 しかし一般行政職では各市町村が採用し、人事を行っている。あらかじめ採用の規模などを決めておけばそういうことにはならないのではないか。

【文部科学省】
 具体の議論に入ってきたが、進め方については、藤原教育長(都道府県)の意見も充分に踏まえ、移譲そのものの議論を排除するのではなく、一方で理念論のみにならないように、具体的な検討もすすめ、立場や事情の異なる皆さんが歩みよれるような具体的な提案をできればと思う。

(2)県費負担教職員の人事権等の在り方についての意見交換

 引き続き、次のような意見交換が行われた。

意見交換

【委員】
 仮に、中核市には人事権を移譲するということになったときに、各県には移譲するか否かの選択の自由はあるのか。県によって事情も違うので、全国一律にやっていくことになるのかについて心配している。

【文部科学省】
 地方自治法上、「事務処理特例」がある。これは、都道府県と市町村が合意した場合に、市町村に権限をおろせるというものであるが、これに類する仕組みをつくるということもあり得ると考える。

【委員】
 これまで都道府県が事務所単位でやっていたことを、どのように変えて、どのような単位でやったらいいのかということだと思う。人事業務といっても異動だけでなく、新規採用、管理職登用などもあり、どこまで市町村に任せるのか、それとも県が全部掌握して市町村に処理だけをさせるのか、ずいぶん違いがあると思う。事情は各都道府県によって様々であるので、弾力的且つ柔軟な対応ができる仕組みを作ればよいのではないか。私が強調したいのは、現実の人事調整の仕組みがどうなっているのか、指定都市と他市町村との交流はどうなっているのかということである。現に、当県では、指定都市と他市町村との交流はうまくいっている。政令市と他市町村うまくいっていないところがあるなら、なぜうまくいっていないのかを分析をしてみるべきであり、それが新しい仕組みをつくる際の参考になるはずである。手始めに、新規採用と管理職登用について、中核市等に移譲するのかについて検討し、処分の問題や叙勲などの細かいものについては、後から検討していけばよいのではないか。みなさんからの意見を伺うと、広域的な仕組みを導入した上で、移譲していくことは大切かと思う。

【委員】
 中核市は人事権を移譲されても心配はないが、指定都市や中核市とその他の市町村の間で広域の人事異動を行う協議会をどのようにつくっていくのか。小さい市町村で、人事権を移譲して欲しいという希望は今のところない。

【委員】
 人事権の移譲に関する問題は、仮に中核市に人事権を移譲した場合に、その他の市町村にどうやって優秀な人材を確保するかということを考えればよいのではないか。教育事務所は、しっかりとした広域調整のメカニズムをもっており、人事管理についてのノウハウも持っているので、都道府県から中核市が抜けたとしても、それまでの教育事務所の仕組みを活用していけば、やっていけるのではないかという楽観的な見方もできると思う。県の人事に関するこれまでの知識と経験、特に管理主事の力を活用し、教育事務所単位で、広域教員人事機構のようなものをつくってそこで人事管理をしていくことも、ひとつの選択肢ではないか。

【文部科学省】
 中核市以外の市町村についても、人事権を移譲するということか。

【委員】
 仮に中核市が抜けたとしても、他市町村については、都道府県が人事権を持ったままで、教育事務所がいまの機能をいかせば、充分広域調整できるだろうという趣旨である。人事権の所在が問題なのではなく、どの自治体にも確かな教員を確保していくことが大切なのである。小さい町村などは、優秀な教員を確保できるかどうかというところに危機意識がある。

【文部科学省】
 いまは、教育事務所を廃止するところもでてきているようだが、どうか。

【文部科学省】
 教育事務所がなくなり、本庁直轄というようなところが増えていると聞く。そのような場合に、どこで広域調整を担うことになるのかについても、この協議会のひとつの論点になると考える。

【委員】
 新たに人事行政単位としての教育事務所をつくるのではないか。協力者の方々の意見も聞いてみたい。

【委員】
 教育事務所は縮小傾向にある中で、今回の議論は行われることになる。現在、政令市で人事権を持っていて、どのようなところに課題があるのか、例えば都道府県がやっている管理職試験は、指定都市がしている試験とどう違うのかなど、現状を分析しないいけない。新しい仕組みをつくるのであれば、周りとうまくなじむようなシステムを提案しないといけない。

【委員】
 へき地は、中核市に併合されるなどして、へき地指定校が減少し、人事交流ができなくなっていると聞く。山間へき地の先生は苦労して立派な授業をしているが、頑張っても都市部に戻れないという声も聞く。おらが町は指定都市になったから、あんたのところの村はへき地ではないよと、場所はかわっていないのに、へき地という立場ではなくなってしまう。へき地を壊すような人事異動は止めていただきたいと思う。

【委員】
 当市にも小学校では14校のへき地校がある。当市では、人材育成の一貫としてへき地を経験させることがあるが、一度へき地にいったからといって、二度と戻ってこれない、ということにならないようしている。これからの人事権付与というのは、例えば該当県の中で、へき地でも人材が確保できるような、人事交流の仕組みができればいいと思う。

【委員】
 フィンランドでは、市町村が教員を採用し、原則として同じ学校にいると聞く。日本では、人事異動をさせることで質を向上しているというが、それは本当の資質向上なのか。人事権の移譲を広域調整・異動に関する議論だけで終わらせるのではなく、どうしたらよい教育ができるのか、地域に根付いた学校の教員はどうあるべきか、ということについても議論したい。また、単に県から市町村に人事権を移譲するだけでなく、人事の中立性、公平性、透明性を保つ仕組みを作る必要がある。市町村に人事権を移譲すると、小さい市町村で優秀な教員が確保できなくなるという意見があるので、都道府県別の類型化と市町村の人口規模によるマトリックスで考えていくことも必要である。

【委員】
 指導行政は町村に委ねるということになっているが、すべてに指導主事が配置されているわけではなく、指導行政がやりにくくなっている。また、市町村合併が進めば、大きな市町村ではその中で人事管理ができるが、その他の町村にはなかなか人が来ない。優秀な教員はその他の市町村には出さず、さらには大きな都市に若い人がいって、小さな町村には年齢の高い人ばかり回されると言うこともある。町村が人事交流を積極的にできるシステムを検討したい。

【文部科学省】
 この協議会では、各県市で人事行政の実務を担当しておられる方々に協力者をお願いしている。これまでの議論を踏まえ、人事権を移譲するとしたらこのような問題が出てくるのではないか、こういう角度から検討してみてはどうか、などのご意見をいただきたい。

【委員】
 問題は、中核市に人事権が移譲された後に残された市町村である。本県では、離島をはじめとするへき地の学校が全体の約5割を占めるとともに、中核市への人口等の一極集中といった状況にある。
 中核市に人事権が移譲されるとなれば、中核市以外の広域の人事異動における一定水準の人材確保が困難になること、市町村内部と広域の両面における人事異動の停滞が生じ、教育水準の地域間格差を拡大させるなどの問題が懸念されるとともに、人事異動等における中核市とそれ以外の市町村間の調整が極めて困難な状況になり、本県教育の充実・振興が図れなくなるのではないかと考えている。
 また、本県は離島が多く、離島の教員数の確保が極めて厳しいことから、全員に離島への交流を進め、中学校などは離島への2回の交流を進めているが、もし、中核市が抜けた場合に、残りの教育事務所単位での人事調整で、離島へ異動する教員の確保が本当にできるのか、かなりの不安がある。
 委員の方々の意見交換から、人事権の移譲に関する議論のポイントを絞るのは難しく、それぞれの意見はもっともだと思うが、離島やへき地等を多く抱える状況では、全県的な教職員の採用及び人事異動を行うことにより、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることができるものと考える。中核市を含めた広域での調整が本当にうまくいく仕組みをこの協議会で検討していきたい。

【委員】
 昨年度から指定都市になったが、その2年前から準備を進めてきた。その中で県との協議にもっとも時間を割いたのは、管理職を含めた広域異動の仕組みである。指定都市になるにあたり、多くの指定都市に問い合わせをして準備を進めたが、結果として、同じような指定都市はひとつもなかった。まず県の実態が大きく異なる。教職員数や面積、離島や山間・へき地の有無、県における当該市の位置づけなど全て事情が異なる。現在、県との人事交流は、転出入を併せて約400人であり、他の指定都市にない規模だと思う。このような規模の人事交流を行うのは、当県が山間・へき地や教員確保困難地域を有しているからである。県は、都市部に異動希望が集中する中で、当市を含め都市部との人事交流・広域異動を進めなければ、教員確保困難地域の人材の確保は難しい。また、現在市内に住所を有している教員が約600人市外に勤務しているが、人事権移譲の合意の中で、市内勤務の希望者は、人事交流により、計画的に市内に配置していく予定である。実情は各地域によって異なり、様々な地域事情を踏まえて、一番有効性のあるやり方をとっていくべきではないかと考える。

【委員】
 国は、教育水準の確保の観点から、人事権移譲などを含めた地方分権を考えていくことが必要である。県費負担教職員制度は、あらゆる地域で人材を確保するとうことについてはいい制度だと考える。当県では、平成元年に指定都市ができたが、採用と管理職選考については、共同でやっている。人事に関する会議も月1回程度定例でやっており、協力的な関係でやっている。指定都市出身の教員が多く、市内の勤務を希望する教員が多い一極集中型であり、指定都市から市外を希望する教員は少ないのが現状である。いま県に人事権があるといっても、市町村にヒアリングをしたりして、十分に意向を尊重して人事調整を行っている。広域的な調整機能とは、どういう権限になるのかまだイメージがわかないが、いま以上の広域的な全県的な人事交流の仕組みができるのであれば、人事の活性化にもつながるのではないか。

【委員】
 都では、特別区に比べてその他の地区の採用が難しい。また島嶼部も含めた広域的な人事交流制度を考えなければならないが、これを都としてやるのか、いくつかのブロックに分けていくのかは検討しなければならないと考えている。協議会や事務組合を作ってそこに人事権を任せられるのかという部分を含めて、この会議で検討していければと思う。

【委員】
 人事権の問題の一つとしては、危機管理の問題がある。災害があった場合、学校が避難場所になるが、いまは校長の家が一番遠かったりする。

【委員】
 現在の人事異動については、新採用をAという市でやったら、3~5年くらいで別の市にいく、へき地に何回行くなど、県が細かく異動の方針を決めている。県の人事異動方針をどうするのか検討してする必要がある。

【文部科学省】
 へき地だけの採用を行っているところもあると聞いているが。

【委員】
 全県でやっても回らないから、そこに腰を落ち着ける、というように、へき地だけを別の採用にしている。限定採用にしてからはまだ日が浅く、人事交流などでその他市町村に異動した例はない。人事権を県が持つべき、市町村が持つべき、という議論だが、県が人事権をもっていても調整が必要なことはある。人事権を県に残しておいてもできることはあるのではないか。

【文部科学省】
 県によっても内申の位置づけが全然違うのではないかと思う。今回の法改正により、実質的に市町村内の異動については市町村に委ねることとなった。ただそうなると、いつ市町村外に出るのか、その標準については都道府県が定めることとすれば、人事異動方針の中でエッセンスとしてこれだけは市町村に示し、それ以外は市町村に任せるということにすればできるのではないか。この法改正がどのように運営されるのかということも見ておくべき要素だと思う。

【委員】
 中核市については、内申を尊重してもらっているかというとかなり少ない。内申はあくまでも内申にすぎない。小さい町村の場合は、人数も少ないこともあり、要望通りということも見受けられる。

(3)その他

 次回の会議では、協力者から実際の広域調整の現状等についてヒアリングを行うこととするとともに、次回の議事についても、人事権に関する議題であるため、非公開とすることで了承された。また、資料4については、記述が不十分であるとの意見があったことから非公表とし、次回までに修正することとした。

(4)閉会

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課

(初等中等教育局初等中等教育企画課)