学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成20年3月27日(木曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 7F1会議室

3.議題

  1. 教育CIO及びICT支援員の役割、資質・能力等について
  2. 教育CIO及びICT支援員の研修プログラムについて
  3. 「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」報告書について
  4. その他

4.出席者

委員

 山西座長、南部副座長、井上委員、岩原委員、大塚委員、梶本委員、下田委員、中川委員、野中委員、平山委員、藤村委員、宮田委員、森田オブザーバー

文部科学省

 前川大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、安藤初等中等教育局参事官、中沢情報教育調整官その他

5.議事要旨

(1)教育CIO及びICT支援員の役割、資質・能力等について

  • 藤村委員より、前回検討会での指摘を踏まえて修正したものとして、資料1に基づき説明。

【山西座長】
 「学校のICT化のサポート体制の全体イメージ」として、CIOとICT支援員という全体の流れが分かるようになったと思うが、ここに外部人材のことは盛り込んでいないのか。

【藤村委員】
 最初の資料はシンプルにし、まずはイメージできるように配慮した。外部人材は別のところで触れることとし、具体的には、「教育CIO機能の実現形態 2.‐人的配置‐」の図に外部人材の登用について記載している。

【山西座長】
 教育委員会がこの図を見て、何をすればよいかがわかるかどうかが問題。

【中川委員】
 「全体イメージ」について、教育委員会の枠が大きく描かれている。本検討会は学校のICT化の議論であるのに、結果として教育委員会のみの問題だと誤解されると思うので、修正した方がよい。

【藤村委員】
 もう少し工夫したい。

【山西座長】
 「教育CIOの機能の実施方針」にある「横断的に必要となる要素」とはどのような意味合いか。

【藤村委員】
 上方に示した機能について教育CIOが考える上で、各機能にわたり横断的に意識しなければならない共通項目として整理したもの。

【山西座長】
 「RPDCAサイクル」の「R」はどのような意味か。

【平山委員】
 「R」はレビューの略。前段階の「A(アクション=改善)」をさらに一歩進めてレビューする。そしてバージョンアップした次の「P(プラン=実施計画)」の構築に活かしていくことが重要であり、提案した。

【堀田参与】
 「教育のCIO機能の実現形態 1.‐人材配置‐」について、教育CIO補佐官のところに人のマークが2つあり2名配置するようにイメージされるが、この点についてはもう少し議論が必要である。

【藤村委員】
 「教育CIO補佐官」に2人必要ということではなく、機能として「教育担当」と「技術システム担当」の2つが必要になるという趣旨なので、人のマークは「教育CIO補佐官」のところに1つだけ付けるように図を修正したい。

【山西座長】
 工夫して図を整理してほしい。

【野中委員】
 「教育CIO機能の内容」の各機能の詳細を示したものが「具体的機能例」として「機能1」から順に付いているのだと思うが、機能例の項目について順番が合っていないとか抜けている項目があるとか、整合性がとれていない。

【中沢調整官】
 「教育CIO機能の内容」には優先順位の高いものから記述したいと考えているので、ご議論いただきたい。なお、順番の整合性がとれていない箇所もあるが、ご指摘いただき、いずれにしても適切な順番を明確にしていただきたい。

【山西座長】
 優先順位の高いものから順に記述したとのことだが、「機能1」については何故「全体最適による情報システム整備」が最上位なのか。

【藤村委員】
 「全体最適」は、いわゆる「EA(Enterprise Architecture)」を日本語に訳したもの。社会教育なども含めて全体を最適化しバランスをとって学校のICT化を進めてほしいというメッセージにしたいので上位にしている。なお、文言は「全体最適化」とするのが適当だと思うので、修正する。

【山西座長】
 この資料は、学校のICT化のサポート体制の重要性について理解していない人に理解してもらうように示さなければならないが、「全体最適化」では理解してもらえないと思う。「全体」とは、学校教育に関わる組織全体を指しており、組織全体が効率化して成果を生み出すような設計を考えたのだと思うが、「全体最適」の説明については本文に書くということか。

【中沢調整官】
 報告書本文は読まずにこうした概要資料のみを読む方もいると思うので、ここにも注を加えるなどして分かりやすく示すようにしたい。

【堀田参与】
 「全体」がどこまでを指すのか分からないので、明示した方がよい。

【藤村委員】
 「全体」について説明文を入れるようにする。

【野中委員】
 教育CIOの機能別の具体的機能例について、各項目間の並びは妥当であると思うが、抽象的な記述が多いので、一目見て理解できる具体的なものにしてほしい。
 例えば、「学校のICT環境の戦略的整備」では、現在特に進めなければならない「普通教室におけるICT環境整備」などと書けないか。また、「人材育成・活用」で重要なのは「管理職研修」だと思うので、最も上位に記述すべき。「学校のICT環境の戦略的整備」における「整備計画」も、「教育の質的改善のための整備計画」と記述できないか。
 報告書を読んだ人が理解しやすいよう、抽象的な表現にとどまらず、もう少し踏み込んで記述できればと思う。

【山西座長】
 踏み込まなければメッセージとして伝わらない。

【堀田参与】
 教室のICT環境の整備が重要であるとともに、授業におけるICT活用の促進のためにICT支援員を配置するというように、環境整備と人的支援の連携を記述できればと思う。

【山西座長】
 再度記述を工夫してほしい。

【梶本委員】
 「機能1学校のICT環境の戦略的整備」の資料について、校務の情報化の色が強いと感じる。授業に関する面も盛り込むべき。

【山西座長】
 機能1のうち「教育の質的改善」の部分をもっと細かく記述できないか。

【藤村委員】
 「機能3.情報化による授業改善・情報教育の充実」に授業改善の項目があるので、ここでは踏み込まない記述とした。

【山西座長】
 両方に記述しておいても構わないと思う。

【藤村委員】
 機能1のうち「ICTによる業務の効率化」と「教育の質的改善」は、「まる」のレベルで記述し、その下に詳細な内容を盛り込むよう整理したい。

【山西座長】
 「機能5.人材育成・活用」のうち「管理職研修の実施」は、管理職への意識付けの観点からも上位に記述しておいた方がよい。

【井上委員】
 管理職が重要性を理解しているところは進むが、そうでないところは情報主任やICT支援員がいても進まない。そういう意味でも管理職研修を上位にしておくべき。

【藤村委員】
 教育委員会や学校に対してインパクトを与えられるものは何か。学校のICT化の推進のために何が大事で優先順位が高いのか、もう一度整理したい。

(2)教育CIO及びICT支援員の研修プログラムについて

  • 宮田委員より、前回検討会の資料からの変更点を中心に資料2に基づき説明があった。

【中川委員】
 資料1にある能力や資質に沿って研修プログラムを作成したと思うが、教育CIO補佐官研修について、組織設置の場合、組織に集まった人間にも受けてもらうものなのか。組織設置を想定したときに本プログラムは活用できるのか。

【宮田委員】
 教育CIO補佐機能を組織設置により実現する場合に、その中で中心的な役割を果たす人物が対象となると考えている。

【山西座長】
 教育CIO補佐官は、これらの内容を全て身に付ける必要があるのか。

【宮田委員】
 前回の検討会において、必要なユニットを選択して受講できるようにすることが適当ではないかという議論があった。そのため、資料2の研修プログラムの項目一覧は、教育CIO補佐官に必要な能力の全体像を示すために研修ユニットを全て並べている。

【山西座長】
 教育CIO補佐官レベルについては誰が研修の実施主体になるのか。

【宮田委員】
 自主的な研究会や研修グループ、勉強会が組織されて実施できると考える。例えば、市町村の教育CIO補佐官であれば、都道府県が主導して実施する。ただし、都道府県の教育CIO補佐官については、全国的な規模での実施が必要になると思う。

【中川委員】
 教育CIO補佐官を置くのは理解できるが、教育CIO補佐機能を組織設置により実現する場合は、「教育情報化推進本部」を設置して終わりではなく、その設置した組織に明確に権限を与えて教育の情報化を進めていく、というインパクトのある内容の報告書にする必要がある。

【野中委員】
 ICT支援員の研修プログラムは、見た目として項目が多い。OFFJTは必要に応じて受講すればよい。教育委員会でこれをやらなければならないと思わせるのではなく、ここを押えておけばよいというイメージを持たせるようにすべき。「ユニット2」については「必要に応じて受講する」という説明書きを付して一覧から外してはどうか。「地域共通導入ソフトウェアの活用実践」や「ネットワークとセキュリティ」は、実際に導入されているシステムについてのOJTの方が良いと思う。

【宮田委員】
 「ユニット2」はオプションという位置付けで考えていたので、野中委員のご意見のように「必要に応じて受講する」という形にすれば教育委員会の負担感をなくせると思う。

【山西座長】
 「ユニット2」についてはそのように修正することとする。
 「ICT支援員」は「教育情報化コーディネータ」とは異なるのか。

【森田オブザーバー】
 取り扱う分野としては同じだが、担当する業務の範囲が異なる。

【山西座長】
 「教育情報化コーディネータ」はICT支援員につながるのではないか。

【森田オブザーバー】
 そのような理解で違和感がない。

【山西座長】
 「ICT支援員」は資格ではないが、どのようにオーソライズするか。

【森田オブザーバー】
 教育情報化コーディネータは、国の「資格」ではなくJAPETが「認定」しているものである。情報化リーダー、3級、2級といったレベルで認定している。

【山西座長】
 大学では、社会人に、正規の形ではないが何らかの学習を120時間(8単位程度)履修してもらい、それが修了すれば履修証明書を出せる。このような仕組みを取り入れて、ICT支援員のオーソライズに向けて何か工夫ができないか。この点については、平山委員の意見を伺いたい。

【平山委員】
 大学生などはそのような仕組みがあればよいと思うが、一般的には資格などを目指しているというより、資料2の案くらいのレベルの方が入りやすいのではないか。今後、浸透させるのであれば「認定」程度に留めておくのがよいかと思う。

【山西座長】
 ICT支援員の人材をどう確保するのか、何かアイディアはあるか。

【藤村委員】
 理想は、教育CIOを配置し、予算化してICT支援員を確保すること。ただ、現実問題としては、大量退職により企業のOBで活躍できる人材が豊富にいるので、そのことを示しボランティアとしての採用を促すことだと思う。まずは来てもらって、実際に教員を支援しながらスキルを高めていくというやり方もあると思う。

【山西座長】
 報告書には、理想ではなく、容易に浸透させるための方策を記述したい。ボランティアに頼ることは良い方法ではないと思う。教育CIOや補佐官を制度として置くべきで、その上でICT支援員をどう位置づけるかを考えるべき。

【藤村委員】
 現実としていくつかの事例を示すのはどうか。謝金の形で支払うケースもあれば、交通費のみ又は保険のみなど様々なケースがあり、これらを報告書で詳細に解説していくのがよいと思う。

【山西座長】
 事務局としてはどう考えているのか。

【中沢調整官】
 その点についても是非ご議論いただきたい。

(3)報告書について

  • 中沢調整官より、報告書案について簡単な説明があった後、報告書において強調すべき点や盛り込んでおくべき点について議論された。

【山西座長】
 最終的に報告書が公表され、本検討会の成果として広まることになる。教育CIOを制度化すべき等、しっかりとしたメッセージを送りたい。まず、報告書の一番最初に全体がイメージできる図を入れてはどうか。

【藤村委員】
 資料1の「全体イメージ」の図を報告書の前の方で強調して示すのはどうか。
 また、報告書の内容をカバーするような「全体イメージ」とするためには、ここに研修プログラムの文言も盛り込んだ方がよい。

【山西座長】
 教育の情報化について理解のない人たちに対しては、学校のICT化のサポート体制の整備によって、学校や地域がどう変わるのかが伝わらないと意味がない。例えば、子どもたちの学力が向上する、校務の効率化により教員が子どもと向き合う時間が増える、ということが分かるように記載すべき。

【下田委員】
 ここでは手段ばかりが論じられており、目的が記述されていない。何を実現したいのかを示し、そのために何をするのか、何を解決する必要があるのかを示すべき。ICT環境のことを詳細に論じているが、これにより何を実現するのかが分からない。

【山西座長】
 「はじめに」の中で教育の情報化の目的は記述されている。その目的の達成に向けてどのように計画的に取り組んでいけばゴール(目標達成)に近づくのか、目標達成のために教育CIOなどの制度を作るということ、このような点をわかりやすく記述した方がいい。

【岩原委員】
 報告書の最初の方にイメージ図を入れることに賛成である。
 ICT支援員の雇用については、本検討会で多く議論しておきながら、ボランティアの活用という結論で終わってしまうのはどうかと思う。首長部局が予算を出すことを意識させられるような内容をきちんと記述すべきである。

【山西座長】
 ICT支援員についても制度化(予算化)が必要。制度化していく過程でボランティアの力を借りることもあるかも知れないが、地域(教育委員会)においてしっかり予算を確保する必要があることを記載すべき。

【平山委員】
 報告書を読む人にインパクトを与えるには、まず結論を示し、かつそれがわかりやすくチャートなどで示されているのがよいと思う。さらに、それを補完する形で詳細な内容が記されているとよい。また、全体のサポート体制図をいかにわかりやすく提示するかがポイントである。サポートの実施効果、各担当の役割、研修プログラムなどを列記してはどうか。
 また、「全体イメージ」の図で教育CIOから学校CIOに矢印が伸びているが、学校CIOから教育CIOに伸びるボトムアップの矢印がない。教育CIO補佐官からICT支援員への矢印のみとなっているが、例えば、教育CIOあるいは補佐官から学校CIOに対する管理職研修の実施を意味する矢印も必要ではないか。

【藤村委員】
 資料1の「全体イメージ」の図は、当初細かく矢印を付していたが多くなり見づらくなったのでシンプルにしたもの。この図は構成のイメージを示したものであり、機能は報告書の本文で補説することにした。

【岩原委員】
 学校では、情報担当者と教員とICT支援員が相談しながら情報化を進めるので、資料1の「全体イメージ」の学校のところで、この三者を三角形で結んでそうした関係が見えやすくなるようにしてほしい。そして、その上に校長が立つという見せ方にする。
 また、教育委員会の脇に「情報化推進会議」を入れられないか。これは教員の集まりとして組織されるもので、ここで出た要望が教育委員会へ反映させられるイメージである。

【野中委員】
 情報主任が、学校の情報化について学校CIOの下で責任を持つことを報告書に記載すべき。情報主任がリーダーシップを持つという意味合いで、「全体イメージ」の図は原案で良いと考える。
 ICT支援員については、「理科支援員などのように国が一定期間制度として予算化し普及を図るべき。その上で普及の進まない地域では教育委員会が直接雇用することが望ましい」と記載すべき。「ボランティアとして雇用している間、一定の時間給を払って普及を進めるべき。それが困難ならば、直接雇用を考えるべき」とまで踏み込んで記述したい。
 教育CIOや学校CIOについては、例えば「全国的な会議や連絡協議会を設けて、全国レベルで意見交換や情報共有できるような体制を整備すべき」と記載してはどうか。このような体制がなければCIOが形骸化してしまうおそれがある。報告書に制度上CIOを設置する必要性を記載すべき。

【井上委員】
 普及という観点から、全部やらなければならないと思わせるのではなく、何か一つでも実行すれば前進するというものを記述してほしい。

【梶本委員】
 「全体イメージ」の図に、教育情報化推進本部とは組織設置による教育CIO補佐機能であることも明記してほしい。
 教育CIOを置くとこんな効果があるということを強調して記述してほしい。社会情勢がどうこうではなく、教育CIOを設置したときの効果を表に示すべきである。

【宮田委員】
 「全体イメージ」は体制の図なので、機能とは別のものにした方がよい。なお、教育CIOと学校CIOは範囲や立場の違いだけで、求められる機能は同じと考える。

【大塚委員】
 ここに書かれていることが実行できるかということで見ると、だいぶ明確にはなった。ただ、教育CIO補佐官への研修は誰がやるのか。先ほど意見が出ていたが、強制力をもってまずは都道府県で実行し市町村へ下ろしていくことを記述して、全国的な普及を促してはどうか。
 学校評価について、東京都が区市の総括系を集めて説明会を行った結果、各区市が学校評価について考えるようになったという例もある。それぞれの地域で中心的な者を集めて進めていくことを盛り込んでいただきたい。
 ICT支援員については理科支援員のICT版のイメージにしてほしい。理科支援員の派遣により子どもたちの理科に対する興味関心が高まったという報告もあり、ICT支援員は「子どもたちに良い効果をもたらすものである」と記載すれば、インパクトを与えることができるのではないか。

  • 報告書の取りまとめ作業については座長預かりとすることが了解された。必要に応じて、各委員からも協力を得ることとなった。

(4)最後に、前川審議官より挨拶があった。

(以上)

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初等中等教育局参事官付