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各種会議における外国人児童生徒に関わる主な提言の抜粋

中央教育審議会

○「教育振興基本計画について」(答申)(平成20年4月18日)

第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策

(3)基本的方向ごとの施策
基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし,個人として,社会の一員として生きる基盤を育てる
6特別なニーズに対応した教育を推進する

 改正教育基本法第4条第2項において,障害のある者への教育上の支援について新たに規定された。障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育を推進する。あわせて,外国人児童生徒など,特別なニーズを有する者に対応した教育を推進する。

  • 【施策】
    • 外国人児童生徒等の教育及び海外子女教育の推進
        小・中学校等における外国人児童生徒等の受入体制の整備や指導の推進のため,外国人児童生徒等の指導にあたる人材の確保や資質の向上,指導方法の改善,就学の促進等の取組を推進する。
       また,在外教育施設に在籍する児童生徒への教育を推進する。

規制改革・民間開放推進会議

○「規制改革推進のための3か年計画」(平成19年6月22日)

2重点計画事項

9 国際経済連携
(2)国境を越えた「ヒト」の円滑な移動のための法整備
1在留外国人の入国後のチェック体制の強化
  • オ 在留資格の変更、及び在留期間の更新許可のガイドライン化並びに不許可事例の公表等【ガイドライン化については平成19年度措置、不許可事例の公表については19年度以降逐次措置、情報収集の在り方については1アの施行までに検討・結論】
     したがって、当初の上陸許可から一定の期間が経過した後に申請される在留資格の変更、及び在留期間の更新の許可においては、法務大臣の自由な裁量を認めつつも、出入国管理及び難民認定法第22条、及び「永住許可に関するガイドライン」(平成18年3月31日法務省入国管理局公表)に倣って、「素行が善良であること」及び「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」、かつ「その者の在留が日本国の利益に合する」との事情を考慮し、運用の明確化と透明性向上を図る観点から、その内容をガイドライン化するとともに、許可されなかった事例についても併せて公表する。
     なお、考慮する事項としては、出入国管理行政の透明性の向上に加え、各市町村や関係行政機関における行政事務の遂行・窓口事務の円滑化の観点から、ア 国税の納付状況、イ 地方税の納付状況、ウ 社会保険の加入状況、エ 雇用・労働条件、オ (家族が同時に滞在している場合には)子弟の就学状況、カ (在留資格の特性に応じ)日本語能力等をガイドラインにおいて明示的に表記すべきであるが、列挙した事項を外形的に利用することについては、徴収猶予等の付随する状況を慎重に判断して運用することにも留意して措置する。
     特に、オの子弟の就学状況に関しては、我が国に居住する外国人児童・生徒の保護者には日本国憲法第26条の規定が適用されないとされる中、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)(昭和54年条約第6号)第13条は外国人児童・生徒も対象として含むことから、同条が外国人児童・生徒の我が国における教育の機会を保障していながら、その不就学の問題が指摘される状況にあって、どのような場合に在留資格の変更、及び在留期間の更新に係る要件を充足したと認めるかどうかといった点だけでなく、不就学外国人児童生徒支援事業のほか、外国人児童・生徒に学習の機会を確保する方策について、関係者のコスト負担のあり方にも留意しつつ、幅広く検討を行う。さらに、カの日本語能力に関しても、我が国においては各地の国際交流協会等が中心となって在留外国人に日本語教育機会を提供する現状にあって、地域日本語教育支援事業、JSLカリキュラム(日本語を第2言語として学習するカリキュラム)の開発に加え、我が国の受入れ機関の関与の在り方、送出し国における態勢の構築支援など、同様に幅広く検討する。

外国人労働者問題関係省庁連絡会議

○「「生活者としての外国人」に関する総合的対応策」(平成18年12月25日了承)

2.外国人の子どもの教育の充実

 外国人の子どもは、希望すれば公立の義務教育諸学校で無償で教育を受けることができる。しかし、日本語能力が十分でないため、日本語による授業を理解できない者や、就学しない者が少なからず存在することが指摘されている。外国人の子どもの教育は、日本における生活の基礎となるものであり、その充実のため、積極的な取組が必要である。
 このため、日本語指導の充実等公立学校における外国人教育の充実を図るとともに、就学の促進を図る。また、外国人の子どもにとって、外国人学校が、教育を受ける場所の一つの選択肢になっており、その活用を図っていく。さらに、母国政府の協力の要請等も行っていく。

【対策】
(1)公立学校等における外国人児童生徒の教育の充実

 日本語を母語としない外国人児童生徒が日本語で学習に参加する力を育成するため「JSL(Japanese as a second language 第二言語としての日本語)カリキュラム」の開発を進めている。すでに小学校編を作成しているが、平成18年度中に中学校編を完成させる。
 日本語指導経験が少ない教員がJSLカリキュラムによる授業を行うのは難しいため、効果的な指導ができるよう、好事例の収集・提供、ワークショップの開催等により教員の指導力の向上を図り、JSLカリキュラムの活用を促進する。(外国人の生活環境適応加速プログラム)
 外国人の児童生徒の日本語指導に対応する教員の配置、日本語指導者等に対する講習会の実施等の取組を進める。

(2)就学の促進

 外国人の子どもの就学促進を図るため、関係機関と連携しての就学支援の実践研究を行うとともに、就学啓発資料の作成、フォーラム開催等により、その成果を活用し、地域における就学支援体制を構築する。(外国人の生活環境適応加速プログラム)
 警察においては、外国人少年を対象とした補導活動を実施するとともに、補導した少年が不就学の場合には、両親や教育委員会等関係機関と連絡をとり、就学に向けた指導を行うほか、各種会議等に参画するなどして関係機関との連携を強化する。

(3)外国人学校の活用、母国政府との協力等

 平成16年に各種学校の認可基準が緩和され、外国人学校についても各種学校の設置認可が受けやすくなったところであり、その趣旨等について今後とも更なる周知を行う。
 ブラジル政府との「在日ブラジル人コミュニティに関する共同プログラム」及びその後締結された日伯政府間の覚書に基づき、ブラジル人児童生徒の母国との情報交換及び教育分野での協力の促進を図るため、ブラジル人児童生徒の母国政府との協議会を開催する。(外国人の生活環境適応加速プログラム)

初等中等教育における国際教育推進検討会

○「初等中等教育における国際教育推進検討会報告−国際社会を生きる人材を育成するために−」(平成17年8月3日)

第3章 国際教育の充実のための具体的方策

1.学校教育活動における国際教育の充実
(4)外国人児童生徒教育の充実
  • 日本語指導等の一層の充実・不就学等新たな課題への確実な対応
  • 外国人にかかわる政府関係省庁や地方の関係機関の連携促進
  • 外国人児童生徒とともに進める国際教育の推進

 外国人の子どもたちへの教育については、従来より、日本語指導等に対応する教員の配置、母語のわかる指導協力者の派遣、JSL[Japanese as a Second Language:第二言語としての日本語]カリキュラムの開発、日本語指導者に対する講習会など、必要な支援が行われてきた。

〈日本語指導等の充実〉

 今後とも、日本語指導の内容充実や指導方法を改善するため、日本語指導等に対応する教員の配置、教員に対する実践的研修の実施、JSLカリキュラムの普及などを通じ、外国人児童生徒の日本語能力の向上や学校生活への適応を着実に図っていくことが必要である。あわせて、母語を活用した教育支援が、日本語指導・適応指導の両面で効果的なことから、母語が理解できる人材を指導協力者や教育相談員等学校支援スタッフに登用するなど、受入体制の充実を図ることが求められる。
 また、問題となっている外国人の子どもたちの不就学についても、教育委員会が地域の関係機関やNPO、企業と連携して取り組むことにより、不就学の実態把握及びその要因分析、それらを踏まえた就学支援を行い、外国人の子どもたちの学ぶ機会を確保することが必要である。

〈関係機関の連携促進〉

 外国人の子どもたちを取り巻く環境は、保護者の意識、経済状況や来日前の学習歴など多様である。このため、子どもたちの教育環境の整備に当たっては、教育機関のみで取り組むことは容易ではなく、入国管理面や労働環境面など関係機関との一層の連携が不可欠である。従来より、市町村での外国人登録の際、公立学校への編入学に関する情報を提供するなど、地方公共団体内で必要な連携が図られているところであるが、外国人の子どもたちの教育環境の一層の充実のためには、関係省庁や地域の関係機関の密な連携が期待される。

〈外国人児童生徒と共に進める国際教育〉

 各学校においては、外国人児童生徒の母語や母文化を紹介し、国際理解を進めるという取組が行われている。このような取組は、外国人児童生徒にとっては達成感、存在感等の涵養に資し、その他の児童生徒にとっては異文化・異言語に身近に接することができ、教育上の効果も大きい。外国人児童生徒の異文化性を過度に強調してしまうことがないよう、児童生徒一人一人の実態を十分に踏まえ、学級運営において必要な配慮や継続的な指導を行いながら、取り組むことが必要である。児童生徒がお互いの違いを理解・尊重し、対等な立場で意見や考えを述べ、また協力しあう関係を構築するという「共に進める」視点をもち、今後とも、外国人児童生徒とその他児童生徒との相互理解を通じた国際教育を推進していくことが大切である。

 外国人の子どもたちも日本人の子どもたち同様、国際社会に生きる人材として育成していかなければならない存在である。自立して学び働くことのできる学力の育成とともに、国際社会に通用する態度・能力を有する人材として育成していくことが求められる。その際、母語・母文化を尊重し、家庭や地域の諸活動を通じてその保持・伸長がなされるよう配慮していくことも大切である。