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外国人児童生徒教育の充実方策について(報告)の概要

1 外国人児童生徒の受入状況と外国人児童生徒教育の意義

1.外国人児童生徒数の動向

  •  公立の小・中・高等学校等に在籍する外国人児童生徒数は70,936人(平成18年5月1日現在)
  •  これらの学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒数は22,413人(平成18年9月1日現在)で、前年度より8.3パーセント増加(母語別では、ポルトガル語8,633人、中国語4,471人、スペイン語3,279人の順。)。

2.外国人の子どもの就学状況

 「外国人の子どもの不就学実態調査」(平成17年度〜18年度にかけて1県11市に委嘱して実施)の結果からは、以下の状況が見られた。

  •  調査対象者9,889人のうち、小・中学校及び外国人学校等への就学者の割合は81.4パーセント。
  •  不就学が確認された者は112人(1.1パーセント)。また、転居・出国等の事情により就学状況が確認できなかった者は1,732人(17.5パーセント)。

3.外国人児童生徒の教育の意義

  •  学校教育を通じて外国人児童生徒に我が国の社会の構成員として生活していくために必要となる日本語や知識・技能を習得させることが必要。
  •  外国人児童生徒と共に学ぶことにより、日本人児童生徒にとっても、広い視野をもって異なる文化を持つ人々と共に生きていこうとする態度などが育まれること。
  •  外国人児童生徒に対して丁寧できめ細やかな指導を進めることにより、学校にとってもその教育活動を一層向上させ、児童生徒一人一人を大切にした教育の実現につながること。

2 外国人児童生徒教育に関する検討課題と国、地方公共団体等の役割と責任

1.外国人児童生徒教育に関する検討課題

 「外国人の子どもに対する就学支援について」、「外国人児童生徒の適応指導や日本語指導について」等に関して、今後、概ね5年間において実施すべき施策について検討。

2.国、地方公共団体等の役割と責任

  •  国は、基本的な政策の企画立案や取扱いの方針の策定、教員の配置やモデル事業等を通じた先進的な取組の普及等による支援を実施。
  •  都道府県は、域内における政策の企画立案や事業の実施、外国人児童生徒の指導にあたる教員等の確保と教員研修の開催等を実施。
  •  市町村は、外国人を受け入れる学校の管理運営に携わるとともに、外国人の就学相談などの就学促進活動や学校への支援員の配置等を実施。
  •  外国人労働力を活用する地域の企業や経済団体は、社会貢献活動の一環として、外国人学校への備品や教材の寄付、インターンシップ制の受入等を通じたキャリア教育への協力、教育支援のための基金の創設などの支援を実施。

3 外国人の子どもに対する就学支援について

(1)外国人の子どもの就学状況に関する調査の実施

 国は、一部地域を対象とした抽出調査により定期的かつ継続的に、外国人の子どもの就学状況に関する調査を実施。

(2)外国人に対する就学案内や就学相談の実施

 市町村においては、就学ガイドブックの作成・配付や、外国語の話せる相談員を配置し、外国語による就学案内、教育関連情報の的確な提供を推進。

(3)関係機関・団体の連携による就学促進活動の実施

  •  市町村の外国人登録の担当部署と教育委員会の就学事務の担当部署の連携による外国人登録情報の共有や就学案内の実施。
  •  地域のNPOやボランティア団体、児童相談所等の関係機関、スクール・ソーシャルワーカー等と連携・協力した就学相談や就学案内の実施。

(4)拠点校方式による受入等

 外国人児童生徒の分散的な受入の場合への対応として、地域に拠点校・センター校を設け、外国人児童生徒を通学させたり、外国人児童生徒担当教員や指導補助員を重点的に配置し、近隣にある学校に巡回指導を行う等を推進。

(5)進学・転校等の場合の学校間の連携

 国は、外国人学校に通う外国人の子どもが小・中学校への進学や編入学を希望する場合の柔軟な取扱を検討するとともに、高等学校への進学を希望する場合における中学校卒業程度認定試験の制度の十分な周知が必要。

4 外国人児童生徒の適応指導や日本語指導について

(1)指導内容・方法の改善・充実

1学校入学前の初期指導教室の開催

 外国人児童生徒の学校生活への円滑な適応や、外国人の子どもの就学促進の観点から効果的であり、その普及を推進。

2JSLカリキュラムの普及・定着

 国、都道府県においては、各種研修の機会において外国人児童生徒の指導を担当する教員や指導主事等を対象に、JSLカリキュラムを用いた実践的な指導力を育成。また、学校等に適切な授業実践の事例を情報提供。

3日本語能力の測定方法及び体系的な日本語指導のガイドラインの研究

 国は、学校において活用可能な外国人児童生徒の日本語能力の測定と学習への反映方法や体系的かつ総合的な日本語指導のガイドラインを開発。

(2)学校における指導体制の構築

 学校においては、校務分掌の中に外国人児童生徒教育を位置づけるなど、全校的な指導組織の整備を図ることが必要。

(3)外国人児童生徒の指導にあたる教員や支援員等の養成・確保等

1外国人児童生徒の指導にあたる教員や支援員等の配置の推進

 国は、日本語指導に対応した教員の加配措置について必要な定数を改善するとともに、都道府県は、その必要性に応じ、これらの教員の学校への配置を推進。また、都道府県や市町村は、外国人児童生徒の支援員の配置を推進するとともに、国はその取組を支援。

2外国人児童生徒の指導にあたる教員や支援員等の人材の養成・確保

  •  教員養成系大学等は、地域の必要性に応じ、教職課程に在籍する学生等が日本語教育や国際理解教育を履修することを促進。
  •  都道府県・市町村は、地域の必要性に応じ、外国人児童生徒の日本語指導等にあたる教員や支援員の採用、確保等にあたり、日本語教育や国際理解教育等に関する知識・経験等を考慮。
  •  国は、教員研修に関するモデル事業を実施し、研修マニュアルの開発や研修事例の情報提供などの支援を実施。
  •  国・都道府県等は、校長、教頭、教育委員会の指導主事等の中核的な教職員を対象とした研修を充実。
  •  都道府県・市町村は、地域の必要性に応じ、教員に対する日本語指導等に関する専門的な研修の実施や、現職教員のための様々な研修の機会に外国人児童生徒に対する日本語指導等に関する内容を考慮。
  •  都道府県・市町村は、地域の必要性に応じつつ、支援員等の資質向上を図るため日本語指導等に関する研修を実施。
  •  都道府県等は、外国人児童生徒の受入校に、経験の豊富な管理職や教員を配置したり、在外教育施設教員派遣制度等による海外派遣経験のある教員を配置。
  •  国においては、外国人児童生徒を対象とした日本語指導の能力に関する資格・認定制度の在り方を調査研究。

(4)外国人児童生徒の進路指導や生徒指導等の諸問題への対応

1進路指導の充実等

  •  市町村は、外国人生徒や保護者を対象に合同の進路説明会を開催。
  •  都道府県は、高等学校入学者選抜において、外国人生徒を対象とした特別定員枠の設定や受験教科数の軽減等の配慮措置を実施。

2生徒指導上の諸問題等への対応

 国は、いじめ、不登校等の生徒指導上の諸問題や、LDやADHD等の問題への対応として、母国語が使える支援員の活用などによる効果的な対処方法に関する調査研究を行い、その事例を情報提供。

5 地域における外国人児童生徒等の教育の推進

 市町村においては、次のような地域の教育力を活用した取組を推進。

  •  学校や地域のボランティア団体と連携しながら、外国人児童生徒も含めた放課後等の日本語指導や学習支援等のための居場所づくりを推進。
  •  地域住民やNPOやボランティア団体、大学等の教育機関、企業と学校との連携協力による外国人児童生徒教育等を含む学校支援体制の構築。
  •  外国人の保護者や外国人学校在籍者等地域の外国人を対象とした地域の日本語教育の取組を推進。