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はじめに

  •  近年、我が国に長期間滞在する外国人数は増加傾向にある。法務省の統計によれば、平成18年末における外国人登録者数は208万4,916人となっており、前年末の数を約7万人上回り過去最高を記録している。
  •  この背景としては、近年不足傾向にある国内労働力の確保の観点から外国人労働力へのニーズが高まってきていることや、平成元年の出入国管理及び難民認定法の改正に伴い日系人が「定住者」等の在留資格を得て日本に定住し就労することが可能になったこと等の事情が考えられる。
  •  今後、我が国においては、少子化に伴う人口の減少や高齢化、また、社会・経済のグローバル化が一層進展していくことになるものと予想される。このような中で、我が国に入国し滞在する外国人の数は将来的にも増加していく可能性がある。
  •  国では、平成18年12月25日に外国人労働者問題関係省庁連絡会議において「「生活者としての外国人」に関する総合的対応策」が取りまとめられた。本対応策では、「我が国としても、日本で働き、また、生活する外国人について、その処遇、生活環境等について一定の責任を負うべきものであり、社会の一員として日本人と同様の公共サービスを享受し生活できるような環境を整備しなければならない」ことが述べられており、そのような取組の一つとして「外国人の子どもの教育」が位置づけられている。
  •  また、先般、中央教育審議会において教育振興基本計画に関する答申が取りまとめられたが、同答申においても、国が今後5年間において総合的かつ計画的に取り組むべき施策として、外国人児童生徒の教育が位置づけられ、外国人児童生徒等の指導に当たる人材の確保や資質の向上や、指導方法の研究及び改善、就学の促進に関する取組を推進することが提言されている。
  •  外国人の子どもの教育については、我が国では、従来より、国際人権規約における規定等を踏まえ、義務教育の就学年齢にある外国人の子どもが公立の小学校、中学校への就学を希望する場合には、無償での受入を行うとともに、学校においては日本語指導や適応指導などの必要な配慮を行うなどして、外国人の子どもの教育を受ける権利を保障している。
  •  一方、近年、我が国に在留する外国人数の増加や、滞在の長期化、定住化など様々な状況の変化が生じてきており、このような中で、外国人の子どもの不就学の問題や学校での指導体制の整備の必要性等が指摘されている。
  •  本検討会においては、これらの課題に対応し、公立の小学校、中学校等における外国人児童生徒の教育の充実を図るため、今後5年間程度の期間において国、地方公共団体、企業等の関係者が取り組むべき施策の基本的かつ具体的な方向性を取りまとめ、提言した。
  •  国、地方公共団体等の関係者におかれては、本検討会の報告に盛り込まれた内容を十分に踏まえ施策を実施するとともに、国においては、適切な時期において、本報告に盛り込まれた提言の実施状況について検証を行い、関係施策の一層の改善・充実に努められるよう希望する。