資料5 参考資料

財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構 発表資料 自己評価と公表について

【自己評価に関する会議〔主催:財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構〕】

平成19年3月9日 平成18年度自己評価・公開方法の推進会議〔都道府県担当者プラス役員出席〕
平成19年4月13日 第1回自己評価プロジェクト委員会〔各地区担当者プラス役員出席〕
平成19年5月1日 第2回自己評価プロジェクト委員会〔各地区担当者プラス役員出席〕

第3回自己評価プロジェクト委員会開催予定日⇒7月2日

【平成18年度 自己評価・公開方法の推進会議(平成19年3月9日)】

財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

1「幼児教育振興アクションプログラムと幼稚園等における評価について」

文部科学省 初等中等教育局 幼児教育課 専門職 梅原弘史

〔経緯〕

平成17年1月 中央教育審議会答申:「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」⇒幼児教育に特化した答申
平成18年2〜8月 新幼児教育振興プログラム策定フォーラム(全4回)
「幼児教育振興アクションプログラム(素案)」の意見募集
平成18年7月 経済財政諮問会議:「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(骨太の方針2006)閣議決定
  • 豊かで活力ある社会の形成に向けた人材育成のため、幼稚園・保育所の教育機能を強化するとともに、幼児教育の将来の無償化について歳入改革にあわせて財源、制度等の問題を総合的に検討しつつ、当面、就学前教育についての保護者負担の軽減策を充実するなど幼児教育の振興を図る。
平成18年10月 認定こども園法「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」の施行
  • 1就学前の子どもに幼児教育・保育を提供する機能(保護者が働いている、いないに関わらず受け入れて、教育・保育を一体的に行う機能)
  • 2地域における子育て支援を行う機能(すべての子育て家庭を対象に、子育て不安に対応した相談活動や親子の集いの場の提供などを行う機能)
    「幼児教育振興アクションプログラム」決定
    本プログラムは幼児教育に関する総合的な行動計画であり、7つの施策の柱の下、具体的な取り組みを記載している。
    • (1)幼稚園・保育所の連携と認定子ども園制度の活用の促進
    • (2)希望するすべての幼児に対する充実した幼児教育の提供
      • 学級規模の在り方(1学級30人以下)の検討
    • (3)発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実
    • (4)教員の資質及び専門性の向上
    • (5)家庭や地域社会の教育力の再生・向上
    • (6)生涯学習振興施策における教育力の再生・向上
    • (7)幼児教育を地域で支える基盤等の強化
      • 自己評価・外部評価の推進、幼児教育を推進しやすい行政体制の構築、地域の人材の活用 等

〔幼稚園等の評価について〕

幼稚園設置基準(抄):平成14年3月
(自己評価等)
第二条の二  幼稚園は、その教育水準の向上を図り、当該幼稚園の目的を実現するため、当該幼稚園の教育活動、その他の学校運営の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとする。
2  前項の点検及び評価を行うに当たっては、同行の趣旨に即し適切な項目を設定して行うものとする。
(情報の積極的な提供)
第二条の三  幼稚園は、当該幼稚園の教育活動その他の学校運営の状況について、保護者等に対して積極的に情報を提供するものとする。
認定こども園に係る国の基準:平成18年8月
第八  管理運営等
 認定こども園は、自己評価、外部評価等において子どもの視点に立った評価を行い、その結果の公表等を通じて教育及び保育の質の向上に努めなければならない。
幼稚園振興アクションプログラム:平成18年10月
7.幼児教育を地域で支える基盤等の強化
(2)1評価の充実
  • (ア)国は、幼稚園における教育の水準を維持・向上し、子どもの健やかな成長を保障する観点から、自己評価,外部評価の充実を図るための評価のガイドラインを策定する。このガイドラインにおいては、幼小免許状併有率、一種免許状所有率、園内研修の実施状況等の項目を設ける方向で検討する。
  • (イ)国は、幼稚園設置基準などの改正も視野に、自己評価とその結果の公表の義務化について検討する。

〔学校評価の実施状況(平成16年度)〕

  • 公立幼稚園
    自己評価82パーセント(内、公表18パーセント),外部評価45パーセント(内、公表74パーセント)
  • 私立幼稚園
    自己評価43パーセント(内、公表15パーセント),外部評価14パーセント(内、公表34パーセント)

〔学校評価の目的〕

学校評価の最終的な目的は、学校をよくすること。

  • 各学校が、教育活動その他の学校運営について、具体的な目標を設定し、その達成状況を整理して取り組みの適切さを検証することにより、組織的・継続的に改善すること。
  • 各学校が、自己評価及び外部評価の実施とその結果の説明・公表により、保護者、地域住民から教育活動その他の学校運営に対する理解と参画を得て、信頼される開かれた学校づくりを進めること。

幼稚園における教育水準の維持・向上
−幼稚園教育要領に基づく質の高い幼児教育の提供−

〔幼稚園における「学校評価ガイドライン」作成事業(平成19年度新規)〕

 幼稚園における評価ガイドラインを作成し、自己評価、外部評価等を通じて幼児教育の質の評価を充実するとともに、認定こども園を含めた幼児教育に関する評価の在り方についても検討。

幼児教育の質の向上

2「評価と研修」について

財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構 研究研修委員長 安家周一

【背景】

平成12年12月 教育改革国民会議『新しい時代に向けた新しい学校づくり』
平成12年 『学校評議員制』の導入(文部科学省)
平成14年3月 『改正・幼稚園設置基準』(文部科学省)
●幼稚園設置基準(抄):平成14年3月
(自己評価等)
第2条の2  幼稚園は、その教育水準の向上を図り、当該幼稚園の目的を実現するため、当該幼稚園の教育活動、その他の学校運営の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとする。

●幼稚園振興アクションプログラム:平成18年10月
  • 1幼児教育を地域で支える基盤等の強化
    自己評価、外部評価の推進
  • 2自己評価とその結果の公表の義務化について検討する

●平成19年度文部科学省予算:平成18年12月
二、幼稚園教育内容、方法の改善充実等
1、幼稚園における「学校評価ガイドライン」作成事業(新規) 6百万円
  • *1991年アメリカ ミネソタ州『チャータースクール法』と第三者評価機関
  • *イギリス オフステッド・学校監督庁、第三者評価監督機関

【一般的な評価】

◆内部評価
  • 園内評価委員会による評価
  • 園長・主任等管理職による評価
  • 自分自身に対する評価(自己評価)
  • 同僚からの評価(相互評価)
◆外部評価
  • 保護者・OB・評議員・地域社会・小学校・専門家・学者・有識者による評価
  • それらのネットワークによる評価、委員会の行う評価
  • NPOや民間、学者、行政等が構成する第三者評価機関による評価

【財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構の考えている評価】

◆内部評価

上記内部評価と同じ。

◆外部評価

評議員の中から教職員・保護者・卒園生・学識経験者などに地元地域の人々などを加えた外部評価委員会を組織し、学園を一定基準で評価する。

※第三者評価

今後、第三者評価機構ができ、学校法人に対する評価が実施される場合でも、第三者評価機構は、学園の外部評価機構に対する監督等を実施し、改善を促すようなシステムとする。

【学ばなければならない内容の俯瞰と保育者の資質向上、そして人材確保】

  • 1何をどのように学ぶのかを明らかにする
  • 2研修会の開催を計画的に行い俯瞰図に記録する
    保育者資質向上ハンドブック
    データベース化:個人の特定が難しい
  • 318歳人口が激減する
  • 4教員免許更新と在宅免許保持者のトレーニング
  • 5人材バンクが必要となる。

3パネルディスカッション「自己評価の課題について」

パネリスト 秋田喜代美〔東京大学大学院教育学科研究科教授〕
宮下友美恵〔静岡県・静岡豊田幼稚園園長〕
東 重満〔財団法人全日私幼研究機構研究研修副委員長〕
コーディネーター黒田秀樹〔財団法人全日私幼研究機構研究研修副委員長〕

【自己評価に関するQ&A】

Q1.自己評価をなぜ実施するのか?

A.幼児教育において、保育内容や教員の資質向上といったものは外部評価しにくい。よって、自分の保育を見直し、明日の保育を創造するための自己評価が重要になってくる。

Q2.全国の都道府県での自己評価の実施状況は?

A.現在は全国規模での実施はされていないが、静岡県においては「自己評価完全実施3年計画」が県主導で実施されていて、評価項目の見直しが行われている。

Q3.私立幼稚園は毎年園児募集の際に保護者から選ばれているという点で、外部評価を受けているのではないか?

A.私立幼稚園が私学としての独自性を有していると言えども、公金(税金)が補助金として出ている以上、『公教育の担い手』として、良好な経営状況の保持・教育内容の保障・教員の資質向上を実施する義務があり、自己評価は必要不可欠なものとなる。

Q4.自己点検・自己評価の内容は?

A.自己点検・自己評価は人間ドック的で網羅性と包括性を有し、色々多くの項目を評価し、なおかつ全体像として保育を評価する。また、専門性を生かして、自分(専門家)だから見えるものを評価する。さらに、自分の、あるいは我が園の保育を語る場、あるいは自らのアイデンティティを高める場としての役割も有している。

【望ましい評価と評価項目とは?(東京大学大学院教育学研究科教授 秋田喜代美)】

  • 「starting strong」世界の幼児教育において、保育の「評価と見直し」を行うことにより、「保育の質」の保障が重要視されている。
  • 幼稚園教育要領をガイドラインとして、自己評価を保育を振り返る機会と捉える。
  • 自己評価のチェック時に、事例を思い起こしながら、学ぶ事が重要である。⇒『事例に学ぶ』
  • 最終的に「自分の保育・子ども」に返って行く評価であることが重要である。
  • 評価を『保育実践の改善プログラム』とし、自園で大切にしているところ、子どもの育っているところを公にして行くためのツールとする。

【第1回自己評価プロジェクト委員会(平成19年4月13日)】

財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

【自己評価の概要】

1現状

  • 幼稚園設置基準では、「自己点検・自己評価」は努力義務である。
    →自己点検・自己評価の内容については触れていない。
  • 幼児教育アクションプログラム(平成18年10月4日)では(2)幼児教育の質の向上のための評価・研究・拠点機能の推進1評価の充実 において、(ア)「国は、幼稚園における教育の水準を維持・向上し、子どもの健やかな成長を保障する観点から、自己評価,外部評価の充実を図るための評価のガイドラインを策定する。このガイドラインにおいては、幼小免許状併有率、一種免許状所有率、園内研修の実施状況等の項目を設ける方向で検討する。」(イ)「国は、幼稚園設置基準などの改正も視野に、自己評価とその結果の公表の義務化について検討する」となっている。
    →いつから実施されるのか?法的根拠があるのか?は未確認である。ただし、現在改正審議中の学校教育法第3章「幼稚園」の中に「学校評価」が含まれているため、法案が可決成立すれば法的根拠となりうる。
  • 平成19年度文科省予算要求において、外部評価・第3者評価検討委員会を設置要求している。

2財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構の対応

  • 自己評価・外部評価への流れに対して、どういうスタンスでいくのか?
〔受け入れの方向の場合〕
  • →外部評価について⇒学校法人の場合/公益法人を担保するものとして、(外部評価機関として)評議委員会を活用(評議員プラスα)※αとは地域の人
    • →園内(設置者・園長・教職員)で自己評価した内容(結果)について、評議委員会で評価し、公表して行く
  • 評価結果の公表については公立ではホームページを利用する見込み
  • 静岡県では「内部評価と公表(平成18年〜平成20年の3年計画)」が各園に求められた。県私幼団体で自己点検・評価モデルを作成して各園に提示した。なお、県の見解では保護者アンケートは外部評価とみなさず、自己評価のための資料として扱われる
〔受け入れ拒否の場合〕
  • →教育内容の充実をどう担保するのか?が課題となる

3自己評価の普及

  • 自己評価の内容と方法については、財団法人全日私幼研究機構を中心に検討する
  • 財団法人全日私幼研究機構が編集した「私立幼稚園の自己評価と解説」の活用方法について
  • 普及の方法
    • →平成19年度地区教研、都道府県団体において自己評価の仕方の伝達会を実施したい
      • →この講師旅費費用については文部科学省と折衝中であるが、地区教研で「自己評価」の講座を設けていただければ5万円、各都道府県団体で実施する場合も年1回に限り5万円を支給する予定(※会場費・講師旅費など)
  • 自己評価の内容充実に向けて
    • →教員の資質向上(初任研・10年研の100パーセント参加を目指す)
    • →2種免許から1種免許への向上について努力する
      • →現状としては、教育委員会・大学が認定機関であるが、今後、財団法人全日私幼研究機構が認定できる方向で折衝中

【各委員への宿題:次回委員会までに提出】

  • (1)「私立幼稚園の自己評価と解説」(フレーベル館)を基に、項目等の削除・追加
  • (2)園内の自己評価・自己点検、並びに公開の方法について

以上、2点について各委員の意見をまとめて提出する。

【第2回自己評価プロジェクト委員会(平成19年5月1日)】

財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

1自己評価・自己点検、公開方法の検討について

 前回委員会からの宿題に関して、提出した広島県・福岡県・鹿児島県・神奈川県の4名が各々資料を基に意見発表を行った。⇒以下に、各委員からの意見の抜粋を掲載します。

  • 「自己評価」と「その結果の公表(公開)」は分けて考えるべきであり、自己評価は「保育の見直し、課題の発掘、次なる保育展開の道標」とし、結果の公表(外部公開)は園長・設置者の総合所見等、園の全体像を示す形で提示すべきである。(⇒評価結果をそのまま公表するのはリスクが高く、自園の弱いところを曝け出すことは難しく、こうした公表方法では「自己評価」自体が普及しない恐れがある。
  • 「自己評価」をP(プラン)⇒D(ドウ)⇒C(チェック)⇒A(アクション)の一環として捉え、自己の、あるいは自園の教育内容・教育環境、並びに経営の改善に役立てる。
  • 現在、文部科学省が進めている義務教育学校での自己評価は「公立学校の選択性」をめざした「学校選択のための資料としての評価」という意味合いが強い。学区割のない幼稚園としては、公立・私立ともに既に選択性は実施されている状況にあるので、義務教育学校と幼稚園の評価は違っていても良いし、もっと言えば、違っていなければならないのではないか。ただし、評価の実施は不可欠と考える。
  • 現在は自己評価・公表のプロセスは自園に委ねられている状況にある。
  • まずは全国8,000の私立幼稚園で自己評価100パーセント実施(⇒園説明会を文章化したもの程度でも可)を実現し、その後に評価内容の選択と精査、そして公表の手順で進めて行ったらどうか。
  • 自己評価結果の公表については、1我が園は自己点検・評価を実施しています、2我が園の課題と今後の取り組みを明示する(課題抽出と対応ができてます!)、3我が園でできていること(自園の独自性)の3点を示して行けば良いのではないか。
  • 自己評価・公表の時系列プロセスは以下のとおり。

    教育内容の保障、並びに教員の資質向上を目的とした『自己評価の実施』

    評価結果を基にしたグループ(経験年数等)内、学年内、園長と教員の話し合い

    設置者・園長による総合的所見(園全体としての評価)

    自己評価結果(総合所見)の公表 例:園だより、園説明会、HPなど

2今後のプロジェクト委員会の運営について

 財団法人全日私幼研究機構として、自己評価ガイドライン(最低限の、あるいは理想的な)を6月末までに作成して、各地区教研や各都道府県団体研修会で自己評価を普及していただきたい。
 自己評価ガイドライン作成ワーキンググループは、財団法人全日私幼研究機構 副理事長 田中雅道・奥先 楓,同機構研究研修委員長 安家周一,同 副委員長 東 重満・黒田秀樹の5名で構成する。

【各委員への宿題:5月14日までに提出】

  • (1)自己評価の手順
  • (2)自己評価チェックポイント(評価項目)の簡略化
  • (3)保護者の意見集約の方法
  • (4)公開方法

以上の4点について、各自意見をまとめて、E-mailまたはFAXで事務局まで送付する。