1, |
自他の尊厳を実感できる教育活動
自己がかけがえのない存在であり、他の人もかけがえのない存在であること、つまり「自他の尊厳」を実感できるよう、人間関係を基盤とする児童・生徒指導と教育相談の推進を図るとともに、児童・生徒活動の充実を図るなど、学校教育全体での重点的な取組の強化を図る必要がある。
(具体的な取組)
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人権教育の充実 |
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体験的な道徳教育の実践推進 |
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子どもが主役の学校づくり |
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2, |
相互理解を図るためのコミュニケーション能力の育成
児童生徒間の相互理解を十分に図ることができるように、体験的な学習の場の提供や、対人関係を結ぶコミュニケーションの能力の育成を図るための学習展開を重点的に行う必要がある。そして、こうして自他相互のコミュニケーションのあり方を学ぶ学習を通して、人へのかかわり方や人間関係調整能力の育成を図る必要がある。
(具体的な取組)
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教育相談体制の充実 |
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学校カウンセラーの活用 |
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児童・生徒活動の充実(話合い活動の活性化) |
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3, |
客観的な自己認識と共感の醸成
小集団における相互関係を重視した集団活動の場を意図的につくり、相互関係における葛藤の克服や目的達成等を集団として共感できる場面が必要である。こうした集団と個のかかわりに関する学びを通して児童生徒は、客観的な自己認識や集団帰属の楽しさの基本を身につけていくことができる。そのためには、親密な小集団での体験的な育成プログラムや指導が必要となってくる。
(具体的な取組)
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児童会、生徒会活動の活性化 |
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学校行事の活性化 |
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地域行事への児童生徒の積極的な参加 |
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4, |
葛藤克服の体験と人間形成
児童生徒の人間関係上のトラブルや相互不信の状況について的確に把握し、共感的な理解のうえに立って積極的にかかわり、健全なかかわりに向けた指導を行う必要がある。人間関係上の相互不信や葛藤の克服体験は、将来の人格形成に大きな資源となる。
(具体的な取組)
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「伝え合う力」を高める指導(すべての教育課程を通して) |
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豊かなふれあい体験、社会体験の学習活動 |
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5, |
自己責任の明確化
地域社会のなかで、様々な人とのふれあい体験や社会体験が不足しがちな児童生徒にとって「自己と他者」、「自己と所属集団」、「自己と実社会」との関係を自分のこととして実感できるように指導や支援を展開することは大切である。暴力行為のもつ意味やいじめのむごさなどについて、実感できるよう教育相談的な指導や支援に取り組むとともに、あらゆる場面で自己責任を実感できるよう指導する必要もある。器物破損など故意や過失がある場合においては、一定範囲で弁済を求めるなど、教育的な意味で自己責任を明確に学ばせる工夫も必要となる。
(具体的な取組)
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規範意識の育成 |
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暴力に対する毅然とした対応 |
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学校への甘えと決別(社会で許されないことは学校でも許されない) |
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悪質な器物破損行為に対する弁済要求 |
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6, |
家庭・地域・関係機関連携の強化
都市化や高度情報化社会の進展にともない、人間関係が希薄化し、価値観が多様化する中で、家庭や地域社会と児童・生徒指導のめざすべき方向性を共有していくことは重要である。児童生徒一人ひとりの豊かな成長を支援していくためには、今まで以上に家庭や地域社会、関係機関と連携・協働した教育実践が必要になる。それはめざすべき方向性の一つ一つが、保護者の人間観や生き方、家族関係やその体験からの学びの影響を強く受ける範囲のものであり、また、社会そのもののありようとも密接に関わり合っている事項であるからである。ともすれば、そのことによって、指導や実践の遂行が困難になることも考えられ、今後、早急に、効果的で、具体的な連携強化の方策が整えられなければならない。
(具体的な取組)
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学校家庭地域連携事業による地域連携の一層の推進 |
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「警察と学校との相互連携に係る協定」の積極的な活用 |
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各学校単位に「サポートティーム」の設置 |
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7, |
学校と教師の役割
健やかな社会性の取得と人格形成を支援する児童・生徒指導においては、教師だけでなく家庭や地域関係者、警察や児童相談所、相談機関など、多くの人々や機関との協働のなかでこれを行う必要がある。そして、学校や教師は、家庭・地域などの理解と協力のもと、総合的な指導・支援体制の中核を担うコーディネーターの役割を果たさなければならない。児童生徒の成長にともなう危機を克服することを支援し、健全育成をめざすサポートティームの構成や展開など、工夫に満ちた取組のリーダーとして、学校、そして教師には大きな役割への期待が寄せられている。加えて急激な社会環境の変化と児童生徒にかかる諸課題の深刻な状況を目前にしている現在、こうした機能の継続、発展と小・中連携を視野に置いた児童・生徒指導に関する人的措置について拡充・充実が望まれる。とりわけ小学校においては、児童指導担当者の専任化や授業時間数の軽減などの条件整備に向けた検討が必要である。
(具体的な取組)
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子どもの心や非行行為に係る情報の組織的集約と、関係機関等の人的資源との協働 |
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