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資料5−6

課題別1 “いじめ”レジュメ

2005年10月2日
東京都スクールカウンセラー
植山 起佐子

1.  “いじめ”問題の困難性
 
1 いじめられているという訴えは来るが、いじめているという申し出はほとんど来ない
 ⇒事実関係の把握の難しさ
2 事実関係を確認できても、いじめの意識の無い生徒への対応(教員への対応)
3 教員に事実を伝えないで欲しいと生徒や保護者が訴える場合
4 いじめられても仕方ないモノがその生徒の中にあるという認識が加害側にも教員側にもある場合
5 日常的にいじめが多発していて、生徒も保護者も教員も解決をあきらめている場合

2.  “いじめ”問題を考える時の視点
 
1 “いじめ”とは何か?⇒対応のヒントの定義参照
その他の定義や説明でも、いたずらやふざけと区別する必要が説かれている。
例えば、中学生向けに書かれた「まじめな大疑問」では、
“情報をつかってイジメに勝とう!”の中に、
ア. 冗談のつもりが相手にはイジメと受け取られる場合
例) ふざけて髪の毛をひっぱったり、皆である人をワザと無視したり笑いものにしたりする
イ. 法律に違反する行為
例) 脅してお金やモノをとる、暴力をふるう
どちらも卑劣な行為だが、犯罪とそうでない行為をキチンと整理することがまず大事犯罪でなくても相手の心をひどく傷つける行為(集団でイタズラや仲間はずれにする、無視、悪口、モノを隠す)は“人権侵害行為”であることは間違いない。
⇒他人の人権を侵害する自分を許すこと、侵害された自分を放っておくことは両方とも「人間であること」を捨てるのと同じ
人権とは…をここでしっかり教えることが必要
犯罪でなくても、「子どもの権利条約」(1984年国連採択、94年日本批准)の精神に反する非難されるべき行為 ※5に共通
2 “いじめ”はなぜ起こるのか?⇒ヒント集参照
他の説明にも、
ア. 社会の病理の反映(大人社会の鏡)
イ. 差別意識の存在
が加えて説明され、大人の姿勢が問われている。
3 加害側と被害側に共通するもの…4と共通するもの
トレボーロメインの本 紹介
4 “いじめ”とストレス、感情コントロール、アサーション、問題解決スキルの問題(感受性と人権感覚)
5 いじめと法律
⇒犯罪かそうでないかの区別と整理、人権侵害の視点、子どもの権利条約との関係

3. SCとして対応する時の留意点
 
1 カミングアウトしてくれた勇気を褒める(不安の解消…承認、肯定)。
2 事実関係を確認する。⇒どうすれば、できるかの相談を本人とする。(対処法を考えたり、告発したりするには証拠が必要。しかし、学校は警察や裁判所じゃない…)
3 一人で解決することは難しいが、多くの仲間を見つけることなどで解決が可能である事を説明する。←対処方法がある事を伝えて希望を持たせる。(険しい道であっても可能性があることがわかるとエネルギーが回復する。)この時、相応の覚悟をもって対することが必要。中途半端な対応は返って生徒を傷つけ二度と大人を信頼しなくなる可能性もある。
4 教員との連携の際、教員側のいじめ認識に配慮し、お互いが防衛的にならなくても良い関係を作る。(いじめは教員の対応が悪い…というステレオタイプがこれまでの大抵の風潮。傷ついている学校や教員も多い事を認識する。)
5 自分の力でできること、助けを求める方が良い事を整理し、本人にできそうな事を聞く。本人の判断でできる事を試してもらう。その結果を受けて、次の作戦を立てる。(イコール自力復興、自己効力感の重要性)
6 加害側、被害側、双方の中立的立場での支援を通常以上に心がける。
7 事後対応だけでなく、予防啓発的対応を心がける。(事後対応は次の事件の予防になる)

風通しの良い開かれた学校であることがもっとも重要、民主主義的に解決できる事を、身をもって学べる機会、そういう機会を大人が提供できるか否か…

4. 社会的資源やその他の情報
各地自体の設けている相談機関の電話番号や紹介パンフレット
弁護士会の相談窓口


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