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資料5−1

スクールカウンセラーの活動状況

東京都スクールカウンセラー 植山 起佐子

以下のような活動を学校状況(ニーズ)に応じて、先生方と協働して行っている。
 
1.  生徒・保護者の個別相談
申し込みは、直接電話や相談ポスト経由で、あるいは担任を通して、いずれも可能。
先生方から「相談を勧めたいがどの様な勧めかたが望ましいのか?」などの質問を受けることがあるので、その点は教育相談係で共通理解し、他の先生方にも伝えるよう留意している。

2.  教職員のコンサルテーション
“必要に応じて時間など調整できますので、気軽に声をかけてください。”と伝え、実際に先生方との接点を持ちやすい時間帯に職員室にいるよう心がけたり、先生方の様子を見ながら、こちらから声をかけるように心がけている。

3.  “不登校生徒の親の会(A中では仮称「語り合う会」と呼んでいる)”実施
A中学校では、月に1回の頻度で実施。保護者同士の支えあいを目的としている。これは、着任当初不登校生徒の数が非常に多く、個別対応だけでは対応が難しいと判断したためである。参加は希望者のみ。会の中で話されたことはメンバー間での守秘とする事、お互いに安心して語り合える環境を作る工夫をする事を参加の条件としている。案内は、担任を経由して配付。会場は、現在のメンバーは学校内でも抵抗がないが、当初は学校外の施設を借りていた。

4.  学生ボランティアのマネージメント
A中学校においては、学生による自主学習教室開催や個別の学習支援ボランティアのマネージメントを教育相談係と連携しながら行っている。放課後の自主学習教室では、学年の先生方の補習や各種検定試験への挑戦講座とも連携して、生徒たちが学習への意欲を高め、自己学習力を獲得するための支援を行うことを目的に学生ボランティアによる学習支援を行っている。また、個別学習支援は不登校生徒の教室復帰を助けることや進学を支援する目的で授業時間中に学生ボランティアによる個別学習支援を実施している。それぞれに、生徒各個人のニーズの査定から支援方法の決定まで、教員とSCが連携して決定し、学生への研修や指導を行いながら実施している。

5.  相談室便りの発行
A中学校、B中学校共に“まるまる通信”という相談室便りを学期に2〜3回を目途に発行している。教育相談係の先生方と相談しながら、生徒たちの中で問題になっていそうな事に焦点をあてて、その解決のヒントなどを掲載するように心がけている。可能な限り、教育相談係の先生方との協働作業としたいので、トピックスの選択や内容など係会を経て(あるいは稟議形式で確認作業を経て)発行するようにしている。対象は、生徒であるが、保護者向けのコラムも設けて保護者への情報提供や支援も行っている。

6.  家庭訪問
不登校生徒などで家庭訪問の必要のある生徒には担任や学年の先生方と相談しながら適宜行っている。目的や方法に関しては個別の事例に即して関係教員や保護者と相談しながら決定する。

7.  相談室登校生徒への対応
教室には入れないが、相談室や保健室には登校できる生徒への対応を担任や学年の先生方と相談しながら行っている。学習だけでなく、自己認知や状況認知、自己表現、自己主張の課題など適宜話題にするなどして対応している。

8.  外部専門機関への紹介、連携
各事例の必要に応じて、外部専門機関への紹介や紹介後の連携について調整役を担っている。担任や学年の先生方、養護教諭、教育相談係、管理職の先生方と相談しながら最も適切な紹介と連携を行えるよう工夫している。

9.  研修会や研究会への協力
教職員や保護者、地域からの要請に応じて、適宜、研修会や研究会への協力を行っている。対象や目的によって、テーマ設定や方法など主催者と相談しながら決定している。

10.  クライシスへの対応
生徒個人のクライシス(友だちとの深刻な対立など)のみならず、学級全体や学年、学校全体に影響を及ぼす可能性のあるクライシスが生じた場合には、教職員と協働してクライシスの鎮静化と再生プランの立案・実施・結果の確認作業など適宜行う。また、クライシスの発生が予想される場合の予防的対応や未然防止にも協力する。

11.  コミュニケーションに関する授業への協力
B中学校においては、養護教諭や担任との協働で、生徒へのコミュニケーション・スキルに関する授業を実施した。現在、生徒間で課題となっている事に焦点を当て、先生方と相談しながら授業の進め方などを工夫し、実際にTTの形式で授業を行った。今後も状況に応じて計画していく予定である。

【基本的な考え方】
 
1. 教員の学習指導、生活指導への側面的支援
2. 生徒個人のコミュニケーションスキルや問題解決技法の獲得の支援
3. 生徒の将来展望獲得の支援
4. 保護者への情報提供や保護者自身へのサポート

これらに関しては、教員集団のサポートという視点からニーズを査定し、提案、方法の修正と実施、結果の確認を経て、次のニーズ査定へと螺旋階段を上る気持ちで行っている。
臨床心理士のトレーニングとSC活動の関係性を考えると、
1 個人の内界や発達などの心理社会的発達の査定に関する知識とスキル、
2 心理面接技術の知識とスキル、
3 臨床心理学的地域援助の知識とスキルが上記の活動の基礎となっており、

 また、同時に絶えず現場で生じていることの意味や対応方法に関して研究し、自らの活動を振り返る作業を行うために臨床心理学的研究に関する知識とスキルが有用であると言える。


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