資料1

子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議(第3回)概要

【株式会社ディー・エヌ・エーの取組について】

【社団法人電気通信事業者協会の取組について】

(質疑、自由討議)

【株式会社ディー・エヌ・エーの取組に関連して】

<子どもたちのコミュニケーション能力について>

  • (携帯電話でのコミュニケーションがどんどん増えることに対して学校現場の者として不安を感じるが、コミュニケーション能力を高めるためにどのようなコンセプトを持っているのかという質問に対して)当サイトでのコミュニケーションを通じてコミュニケーション能力を高めるということを考えているわけではない。対面での会話能力ということを前提にすれば、このサイトによってコミュニケーション能力が高まるものではないが、論理的思考やそれを伝えることについては、このサイトを利用することで、そういった能力が減退するということはないと思う。
  • 携帯が普及して、情報量はむしろ増えているかもしれないが、書いたり読んだり、あるいは実際に話したり聞いたりという領域を侵している可能性はあり、そういった問題については、別途考えなければならない。
  • コミュニケーション能力というのは、基本的には社会的な対人関係の構築であるが、携帯電話によるコミュニケーションは非常に閉じられたやりとりである。自分の言いたいことだけ言って、相手から返ってくるもので不快なものは無視し、気持ちのいいものにだけ返信するというようなことで、コミュニケーション能力が育成されるとは思わない。
  • 最近は近くにいてもメールで連絡をするなど、コミュニケーションの取り方が変わってきている。メールは確かに効率的であり、大人もメールに依存しているという現状を認識した上で、コミュニケーションがどうあるべきかということを考える必要がある。
  • 若い世代は「死ね」とか「うざい」といった言葉を普通に使い、それに対して、反応しすぎる子どもが多くなっている。
  • 携帯電話でコミュニケーション能力が上がるとは思わない。むしろ、語彙が減り、思考が短絡的になるのではないか。携帯電話会社など産業界の方々に、そうならないように工夫していただくとともに、読書の時間をしっかり確保し、語彙を増やし、コミュニケーション能力や思考力、判断力を養うことが必要。
  • 携帯電話でのコミュニケーションは、相手が見えない気楽さがあり、安易な対人関係になってしまう。そういったことに歯止めをかけるために、人間として成熟できるよう学校教育の中でも何かしら取り組んでいく必要がある。

<サイトの運営やサービスの内容について>

  • 「質問広場」のようなものは非常におもしろいが、ただそこで感想を述べるのではなく、例えばテーマが「赤ちゃんポスト」なら、「赤ちゃんポスト」が誕生した経緯を調べるなど、子どもたちが知識を得ようとする姿勢につなげることはできないのだろうか。
  • (携帯電話を使ったネットいじめに対しては、書き込まれた内容を管理する側がどれくらいしっかり見張っていて、対応するかということが、状況を改善する一つのアプローチである。ユーザーが増えれば、ますます対応する体制も強化しなければならない。今後のビジネスモデルとしてその辺りの体制づくりについてどのように考えているのかという質問に対して)人的体制については、これだけいれば十分ということは言えない。人的にできることには限界があり、システム面でどうチェックしていくかということも常に考え、反映させていかなければならない。また、外部から通報があったときに迅速に対応する体制を整えることで、社内だけでなく、外部の体制も活用して対応できるようになるので、そのような体制整備も非常に重要である。
  • インターネットのサイトをつくっている方達に、何が課題なのかを真剣に考えてもらえるよう、今後何らかの処置をしないといけない。

【社団法人電気通信事業者協会の取組に関連して】

  • (契約時点で全ての携帯電話にフィルタリングがかかっていることが前提で、それを解くこともできるというしくみをとることはできないのかという質問に対して)法律がそのようになれば、できないことはないが、現在でも親の意思が確認できないときは契約していないので、そのようなしくみをとっても結果的にはあまり変わらないと思う。
  • 実際に携帯の申し込みをするときは、フィルタリング以外にもいろいろなサービスがあって、面倒になって全部いらないといって、その中にフィルタリングが入っていてもわからないという場合がある。また、保護者が契約して、それを子どもに与えてしまう場合も多い。保護者にフィルタリングの認識がないためにそういったことになってしまうのであり、契約の際に携帯電話の危険性やフィルタリングの意義を説明することは、保護者の方々にそういった問題を意識してもらうよいチャンスになっている。
  • 携帯電話ではないが、日本でも新規契約者は最初からフィルタリングがかかった状態で契約するというしくみをとっているところがある。設定を変えてはずすには、それなりのインターネットリテラシーが必要であり、そういったリテラシーを持っている方は、はずしても問題ない。
  • イギリスでは、18と格付けされたコンテンツには、契約時点ではアクセスできないようになっており、販売店で自ら証明書を提示し年齢確認をして、制限を解除するというしくみをとっている。
  • フィルタリングには、出会い系サイトやアダルトなどいろいろな切り口があるが、現時点では、その切り口が粗いのが問題点であり、フィルタリングの在り方についてもう少し細かく検討する必要がある。
  • 携帯電話業界では、「モバイル・コンテンツ・フォーラム」を開催しており、表現の自由を守るよう自らコントロールし、第三者的な倫理委員会のような機関を設置することもやり方としてあるのではないかということについても検討している。
  • テロ、出会い系、オカルト、政治などといったものが、現在のフィルタリングではじかれるようになっているが、切り口が粗いため、ユーザーは、これらが全部使えないならば、フィルタリングは使わないという選択をしかねない。ユーザーがはじかれる分野をもう少し細かく選べるような形をとらないと実効性がない。
  • どの辺りまで法で禁止するかという議論もあるが、実際の運用レベルの話として細かく議論していかないと結果として有効なものにならない。
  • (当事者からの通報はどのくらいの頻度であるのか。また、該当する当事者や会関係機関への通報というものをサービスとして考える可能性はあるのかという質問に対して)通報は1日に1,2件。被害者と加害者が次々と入れ替わるケースやネット上ではいじめはないものの、リアルにいじめられているケースなどは、通報があっても対応が非常に難しい。どの段階で外部に連絡して、どういう形でやりとりするのかということは非常に大きな問題として認識している。
  • (フィルタリングではなく、サービスを提供する側への制限に関して何らかの法制化をすることはできないかという質問に対して)どこのサイトにどのような情報があるかを全て把握するのは不可能に近く、有害情報を掲載したら何らかの罰則があるとされると、実際問題として困る。