資料1

子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議(第2回)概要

【石川県野々市町「ののいちっ子を育てる町民会議」の取組】

【茨城県PTA連絡協議会の取組】

(質疑、自由討議)

【野々市町の取組に関して】

  • 単にネットトラブルを回避するとか、携帯電話やインターネットの使い方のプログラムといったことではなく、もう少し広範囲な視点で、子どもたちのコミュニケーション能力を作り上げるプログラムを学校や保護者、地域全体で作り上げるということが、野々市町のメディアリテラシーに対する考え方。
  • (町一帯が携帯電話の禁止という形で取り組むことに対して、町の住民の同意はあるのかという質問に対して)町全体で取り組むことの意義は、ただ携帯電話を持たせないというのではなく、付随するあらゆる教育環境を整備しようということ。教育の質を高めるという形でまちづくりの一環として携帯電話問題に着手しており、保護者の85パーセントから支持を得ている。
  • (ノーテレビ・ノーゲームデーを実施するためには、地域全体のコンセンサスが必要。こういった運動は人口規模の小さい地域だからできることなのかという質問に対して)ノーテレビ・ノーゲームは小さな町であるという地域の利便性を生かしながら、町内会の後押しを受けて実施している。2年前から保育園で先行して取り組み、現在は町民会議も入って、中学生まで拡大して取り組んでいる。

【茨城県PTA連絡協議会の取組に関して】

  • 電波の向こうには人格があって、自分が尊重してもらいたいことと同じように、相手も尊重しなければならないということをしっかり考えてメディアを使いこなす教育が必要。自分が発信する情報の向こう側にも尊重されるべき人格があることをしっかり理解することがメディアリテラシーだと考える。
  • 保護者の活動に対して開かれている学校と、そうでない学校がある。学校としては、保護者の立場での啓発活動はありがたい。
  • 携帯電話の所持率が相当高くなっている状況で、この地域の子どもだけ全く免疫のない子どもになってしまってはまずいので、子どもたちに携帯電話を持たせないのではなく、買って与えた親が、何を買って与えたのかをしっかり認識して、賢く使いこなせる子どもを育てることが大切だと考えている。広い地域で活動しているため、まず、賢く使いこなせるようにしようという立場を選んでいる。
  • 保護者の認識はまだまだ自分の立場での認識で、子どもが使用したときの弊害のところまでは至っていない。

【インターネットと子どもの問題全般に関して】

<思春期の子どものインターネットや携帯電話の利用に関する問題について>

  • 携帯電話を禁止して使わせないことは、小中学校というある程度物理的に限定された環境の中では有効だが、高校生になり、社会との接点を開いていく段階になって、免疫がないために、逆に急激に使うようになってしまうというようなこともあるのではないか。
  • 思春期というのは、小学校の高学年から中学校にかけて、世界が広がる時期であり、そういう時期に制限・禁止をかけることでどこまで対応できるか。制限や禁止よりは、使い方のルール作りが大切なのではないか。
  • テレビでも携帯電話でもメールでも、それ自体が悪いのではなく、それ自体はすばらしい技術であるが、それにはまり込むのがよくない。一方で、どこかで免疫をつけないといけない。大事なのは、どの段階でどういう風に使わせて、どういう風に制限するかということ。
  • 思春期にはコントロールされた形での体験の与え方が必要。インターネットを使った世界の広がりや関心等をすべて禁止するのではなく、子どもたちに情報を得るための選択肢は与える。その上で、パソコンは、個人の部屋ではなく共有のスペースでインターネットに接続するよう各家庭に呼びかけるなどしている。
  • 携帯電話というメディアは、自立をしたいと願いながら、誰かとつながっていたいという思いもある思春期の子どもたちに、強いつながりを与えている。子どもたちはメールの中で人間関係をつくろうとしている段階まで来ていて、子どもたちの携帯電話への依存度は、大人にとって考えられない度合となっている。

<学校・社会におけるインターネットや携帯電話に関する問題への対応について>

  • 学校では、携帯電話の預かり制度をとっているところもあるが、結局はケースバイケースで対応しているのが現状。学校の問題として上がってきたときに、学校ごとにとる対策はばらばらで、それに対応する学校としての体制が整っていない。そのため、生徒指導担当教諭や養護教諭が大きな負担を抱えながらこの問題に取り組んでいる。
  • 例えば、お金の重みをわかってこそネット上でお金を管理できるのであり、発達段階に応じた体験活動をきちんとやらせることが、情報化社会に対応した教育の在り方ではないか。
  • 都市部では、だめと言っても子どもが携帯電話を持ってしまうのが実状。どう規制するか、どう歯止めをかけるかというのが都市の子どもたちの1つの課題。
  • 子どもたちに与えるような準備ができていないネット社会をそのまま子どもたちに与えてしまったことがまず間違いで、子どもたちに与えられるものに作り直して渡し直さなければならない。大人がフィルタリングになって、よしとしたものを子どもに与えるしくみを企業と一緒に考えていくことが必要。

<その他>

  • トラブルをどう防止するかということと、携帯電話やパソコン、テレビとどう接していくかということとを分けて考える必要がある。
  • 高学歴の方がネットゲームにはまり、ニートとして存在しているのは、国家的な損失ではないか。