「研究機関等主体型」の学校の第三者評価に関する実践研究 実施要項

平成19年8月9日版

• ○　本実践研究は、国立教育政策研究所を主体とする学校の第三者評価を試行的に実施することを通して、評価手法の在り方等を調査研究することを目的とし、その成果を蓄積することによって適切な学校評価システムの構築に寄与するものである。
• ◎　本実践研究は、調査研究が第1の目的であるが、協力校の学校評価システムの不足する部分を補い、学校やその設置者等による学校運営の改善を促すことを目指すものである。
• ◎　本実践研究は、各種法令・基準等への適合性の審査や会計監査を行う訳ではなく、学校の取組状況を把握することを主眼とするものであることに留意する。また、調査研究であるため、様々な評価手法による試行や、試行に伴う実際的な知見の収集が重視される。

• ◎　本実践研究は、文部科学省からの依頼により、国立教育政策研究所を主体とした研究開発的な事業として行うものである。
• ○　本実践研究の予算は、文部科学省平成19年度予算のうち、「学校の第三者評価の試行」による。また、本実践研究では、昨年度から実施されている文部科学省による「学校の第三者評価に関する実践研究」の実施要項・評価フォーマット等を参考にしている。
• ◎　本実践研究の評価者としては国立教育政策研究所の研究官等を充てる他、以下のような有識者等を、学校評価委員として、所定の研修等を経た上で選任する。学校評価委員は、文部科学大臣が任命する非常勤職員とする。
  • 現職の教育委員会の指導主事・管理主事
  • 大学教授（教員養成系大学・学部の教授等）
  • PTA協議会、青少年団体、社会教育関係団体、生涯学習関係団体等の構成員
  • 民間研究機関（調査研究機関、監査法人、NPO法人等）の構成員
  • その他、学校の教育活動等に造詣が深い者
• ○　学校評価委員の任命手続等は、文部科学省が定めるところに従い、文部科学省の事務として行う。国立教育政策研究所側の実践研究事務局（以下、事務局という）は、その事務を下支えする。

• ◎　実施に先立って、各教委・学校に対する十分な説明を行うように努める。
• ◎　実施は、次の4段階からなる。
  • 自己評価（17項目からなら「自己評価シート」を利用して各学校で実施）
  • 事前訪問（の2週間前までに、評価目的、評価項目、評価手順等についての協議）
  • 学校訪問（3〜5人のチームによる、3日ないし2日の訪問）
  • 事後訪問（学校の改善ポイントや評価報告書（案）の内容等についての協議）
• ○　評価項目については、
  • の各学校における自己評価では、事務局所定の「自己評価シート」記載の全項目について行うこととする。
  • の各学校への事前訪問においては、の自己評価の結果等を参照しつつ、各学校における「評価目的」とともに「評価項目」を学校側と相談し、決定する。

• 国立教育政策研究所では、候補とする教委に対して、評価協力校を複数校（原則として、小学校、中学校各1校ずつを含む）推薦するよう依頼し、応諾のあった学校を評価協力校とする。
• 評価協力校名は、本実践研究の趣旨にかんがみ、国立教育政策研究所及び文部科学省としては公開しないものとする。
• 評価は、原則として、1校あたり3日間の日程で実施することとする。
• 事務局は、教委や各学校と相談のうえ、候補となる日程を決定する。評価チームは、この日程の候補を極力尊重する。
• あわせて、「自己評価シート」等の関係書類を学校に送付し、保護者との懇談会の日程調整、及び、可能な限り評価日程を通じて評価チームが打ち合わせ等に使用できる部屋の確保を依頼する。

• 各学校について、（1）で得られた訪問日程候補を参考にしつつ、評価チームを編制する。
• 評価チームは、3名から5名の学校評価委員で構成することを基本とする。また、試行内容や評価協力校の規模等に応じて、適宜、評価チームの人数を増減させる。
  　なお、学校評価委員は、原則として、その推薦者である教育委員会が設置又はその教職員の任免権を有する学校には派遣しない。また、同一の教育委員会が推薦する複数の学校評価委員を、同一の学校には派遣しない。

• ◎　事務局は、評価協力校に、「自己評価シート」に基づく自己評価の結果である「自己評価シート」及びそれに附属する資料を、原則として予定する事前訪問日の1ヶ月前までに返送いただくよう依頼する（但し、9月末日を過ぎないものとする）。
• ○　事務局は、返送を受けた上記「自己評価シート」及び資料各1部を評価チームの構成員に配付・送付する。

• ◎　評価チームは、で収集した「自己評価シート」などの情報をよく把握するよう努める。
• ◎　評価チームは、具体的な評価の目的・項目・行程を定めた評価計画を決定する。評価計画の決定に当たり、担当者は、評価協力校に対し事前訪問を行って協議する。
• ◎　担当者は、評価チーム内及び評価協力校と日程等の最終調整を行い、評価協力校に対し、学校訪問の原則として1週間前までに、日程や評価チームの構成員等を連絡する。

• ◎　評価委員評価チームの交通手段、宿泊先等に関する検討・手配などの事務は、担当者と事務局が協議して行い、評価協力校との訪問前の連絡調整は、担当者が行うこととする。
• ◎　評価チームの移動は、原則として、公共交通機関を利用するものとする。
• ◎　評価チームが訪問中、打ち合わせや休憩に利用できるスペースまたは部屋の提供を学校側に依頼する。

• 評価チームは、校長に対して、学校の教育活動その他の学校の管理運営の状況等をヒアリングする。その際には、学校の課題をどのように把握・分析し、具体的にどのように改善しようとしているのかについて、重点的にヒアリングする。

• ◎　評価チームの各構成員は、具体的な教育活動等の把握のために、次の6項目を行うものとする。
  　但し、評価計画や学校の実情に照らして適宜省略することができる。
  • 授業観察
  • 課外活動等の観察
  • 教職員からのヒアリング
  • 児童生徒との対話
  • 職員会議等の参観
  • 保護者（PTA役員等）や地域住民等からのヒアリング
  　など
• ◎　教職員、保護者・地域住民からのヒアリングには、学校の管理職や委員会関係者は同席しないようにお願いする。

• 原則としてすべての学級（注：すべての授業ではない。）の授業を観察し、学習指導等の状況を把握する（道徳や学級活動等を含む。）。

• 朝の会、帰りの会、部活動、掃除、登下校等を観察することとし、これらを通じて、児童生徒の状況等を把握する。

• 校長の他、教頭、教務主任、学年主任、生徒指導主事、保健主事（養護教諭）、進路指導主事、事務職員などから、それぞれが担当している校務分掌等に係る教育活動等の状況をヒアリングし、教職員の取組状況等を把握する。

• 給食の時間や休み時間、可能であれば生徒会・児童会などを通じて、児童生徒との対話を行うこととし、児童生徒の意見や要望、授業に対する満足度等の状況を把握する。

• 職員会議や各種会合等を必要に応じて参観し、教育活動の取組や学校運営の状況等を把握する。

• 保護者、地域住民や学校評議員、学校運営協議会等より、評価協力校に関するヒアリングを行うこととし、保護者や地域住民等の意見や要望、学校に対する満足度等の状況を把握する。
  　なお、保護者等からヒアリングを行う際には、保護者等が意見や要望を表明しやすい環境（時間設定、参加者の構成など）を整えるよう、適切な配慮を行う。
  　あわせて、保護者等に対して、ヒアリングの趣旨が正確に伝わるよう配慮する。

• ○　評価終了後、学校評価委員の間で、、評価チームとしての評定や主だった課題等について意見交換を行う。
• ○　学校評価委員は、各々が記入した評価シートを整理して、1週間以内に担当者に提出する。
• ○　担当者は、評価シートに記入されている各学校評価委員の評定を調整し、評価終了後2週間以内に評価報告書（案）に取りまとめる。
• ◎　評価報告書（案）は、下記の内容を含むものとする。
  • 学校の総合的な状況（学校の良さと課題）
  • 評価計画の策定の状況
  • 評定、講評
  • 学校の課題とその改善方策

• ◎　担当者は、評価協力校への事後訪問を行い、評価報告書（案）の内容の説明を行い、事実誤認の有無等について意見調整をする。同時に今後の改善方策等について意見交換を行う。
• ○　評価協力校から意見が寄せられた場合、当該意見が単純な事実関係に関するものである場合は、担当者は、必要に応じて担当の学校評価委員と連絡調整し、評価報告書（案）の内容を調整する。
• ○　評価協力校等から、事実誤認の訂正にとどまらず、評価内容自体に異議の申し立てがあった場合には、担当者は、事務局の指示の下、評価内容を変更するかどうかについて担当学校評価委員と連絡調整し、その結果を評価協力校等に連絡する。それでもなお、評価協力校等と評価チームとの間で合意に至らない場合には、評価チームによる評価内容とともに、評価協力校等より寄せられた意見を評価報告書にあわせて記載する。
• ○　担当者は、評価協力校との協議の内容を踏まえて、評価報告書を作成し、事務局に提出する。事務局は、学校に送付し、同時に、評価チームの構成員にも送付する。
• ○　評価報告書は、本実践研究の趣旨にかんがみ、国立教育政策研究所及び文部科学省として、上記以外の者に対しては開示しないものとする。

• 代表者は、本実践研究の進捗状況等について、適宜、学校評価室に報告する。
• 代表者は、本実践研究により得られた成果を「研究機関等主体型の学校の第三者評価に関する実践研究報告書（仮称）」としてとりまとめる。
• 代表者は、平成20年1月30日までに、上記報告書のコピーを20部作成し、学校評価室に提出する。