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「学校評価ガイドライン」においては、学校評価を「自己評価」「外部評価」「評価結果の説明・公表、設置者への提出及び設置者等による支援や条件整備等の改善」の3つの要素から構成されるものと定義している。
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そのうち自己評価については、「校長のリーダーシップの下で、当該学校の全教職員が参加し、予め設定した目標や具体的計画に照らして、自らの取組について評価を行うものである。」と定義している。
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また、外部評価については、「学校の自己評価結果を、学校評議員、PTA役員(保護者)、地域住民等の外部評価者が評価する方法を基本として行うものである。」と定義している。
あわせて、「設置者は、各学校ごと又は同一地域内の複数の学校ごとに、外部評価者によって構成される委員会等(以下、「外部評価委員会」という。)を設置する。外部評価委員会にかえて、学校評議員や学校運営協議会等の既存の保護者、地域住民等による組織を活用して外部評価を行うことも考えられる。」としている。
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ここに示された考え方は、学校評価を推進する上で今後も重要な理念と考えられることから、引き続きその基本的な考え方に立つことが適当である。しかし、次のような点に留意してさらに検討を深める必要がある。
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外部評価者の例示として挙げられた者が、学校との関係の中で「外部」と言い切れるのかどうか。むしろ、企業についていわれる「ステークホルダー」(地域社会も含めて学校に利害関係を持つ者)として位置付けて考えることが適当なのではないか。 |
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第三者評価も、学校の内部による評価ではないという点で外部評価の一種であるため、「外部評価」が具体的にどの範囲までを指すのかがわかりにくくなっている。 |
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設置者等による支援・改善は、学校評価の活用を図る上で極めて重要な要素であるが、厳密な意味での支援・改善そのものは評価とは異なるので、この際、あらためて概念を整理する必要があるのではないか。 |
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以上を踏まえ、学校評価については、「自己評価」「外部評価」「第三者評価」の3要素で構成し、それぞれ以下により行うことを基本とすることが適当と考えられる。
「自己評価」
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校長のリーダーシップの下で、当該学校の全教職員が参加し、予め設定した目標や具体的計画等に照らして、その達成状況の把握や取組の適切さを検証し、評価を行う。 |
「外部評価(学校関係者評価)」
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当該学校の自己評価結果を、保護者(PTA役員等)、学校評議員、地域住民等の外部評価者により構成された委員会等が、当該学校の教育活動の観察等を通じて自己評価結果を検証し、評価を行う。 |
「第三者評価」
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当該学校に直接関わりをもたない専門家等が、自己評価及び外部評価(学校関係者評価)結果等を資料として活用しつつ、教育活動その他の学校運営全般について、専門的・客観的(第三者的)立場から評価を行う。 |
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このうち、自己評価及び外部評価(学校関係者評価)は、おおむね、学校が主体となって、当該学校の教職員により行う評価(自己評価)であったり、保護者や地域住民、有識者等を招いて行う評価(外部評価)である場合が多い。その観点から、両者は学校が主体となって行う、表裏一体の評価として整理できる。それに対して第三者評価は、学校以外の者が主体となる評価と整理でき、基本的に学校評価の3要素はその2類型に大分することができると考えられる。
ただし現在、外部評価として、例えば設置者である市町村教育委員会が中心となって中学校区単位程度で外部評価委員会を構成し、校区内の小・中学校の評価を行う例もみられる。この場合、必ずしも学校に主体性があるとは言い難いが、この場合も構成員に学校の保護者や地域住民などが入ることが通例である。このような類型も、外部評価(学校関係者評価)に第三者評価の要素を加えた発展型と考えられ、必ずしも学校が主体であるかどうかが必要条件とまでなるものではないと考えられる。 |
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具体的に第三者評価において、何をどのように評価すべきかについては、
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学力の状況を含む様々な基準を満たしているかどうかを検査するチェックリスト型監査、 |
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各学校が教育目標その他の教育上達成すべき目標の設定・達成に向けて適切に取り組んでいるかどうかの検証、 |
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自己評価・外部評価(学校関係者評価)が実施されていることを前提として、それらが適切に実施され、その評価結果が学校運営の改善に適切に結びつけられているかどうかや、学校に関する情報が保護者等に適切に提供されているかどうかなどを含む、学校運営全般の在り方に関する評価、 |
を行うことが考えられる。
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このことについて、
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の広範にわたる諸基準(例えば、施設・設備や衛生に関する基準、など)の適合性について逐一検証することは、人員・日程的に事実上不可能であり、これらについては、本来、設置者の各担当部局等において適宜検証すべきではないか。 |
・ |
このため、現実的には、 について基準適合のための学校や教育委員会の取組が妥当かどうか等を検証する監査としての要素(インスペクション)を盛り込みつつも、 ・ の各学校の目標の設定・達成に向けた取組状況など学校運営全般の在り方について評価し、その結果を踏まえて、今後の学校運営の改善につなげるための課題点等を提示することを基本とすべきではないか。 |
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このことを通じて、
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全国的に波及させることが望ましい優れた取組を広く紹介し、 |
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課題の多い学校については、人事権者や設置者による改善支援を促す、 |
などの役割を果たすことが期待される。
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実際に評価するにあたっては、
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定量的評価がどこまで可能か、あるいは、どこまで重視すべきか。
少なくとも、学力調査の結果や学校の現状で単純にランク付けを行うことは適当ではない。しかし、置かれた条件が異なる学校を、どのようなものさしで図るのか。 |
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定性的評価による場合、評価者の経験・知見に左右されることとなるのではないか。 |
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学校側が外部にアピールしたい特色や、専門家による評価を求めている部分を適切に把握し、評価することが、その学校の取組水準を測る上でも重要ではないか。 |
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第三者評価を行う際に、改善のための方策も提示すべきかどうか |
などの課題について検討する必要がある。
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また、第三者評価の主体についても、そもそも誰が実施するのが適当かどうかの検討が必要であるが、その際、
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評価者となる者が、もともと学校に対して有する権限等との関係で、公正中立な評価が可能かどうか。 |
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評価の信頼性・客観性を担保するため、高い独立性を保つ仕組みが必要ではないか。 |
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システムの構築・維持に要するコストを誰が負担するのか。 |
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誰が最終的に学校改善に責任をもつのか。 |
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国・都道府県・市町村は、それぞれ第三者評価においてどのような役割を担うべきか。 |
等を勘案し、教育行政制度全体を見通した慎重な設計が求められる。
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第三者評価の在り方については、平成18年9月より平成19年1月にかけて、国において試行事業を全国124校を対象に実施したところである。また、教育再生会議においても議論が行われているところである。これらの状況を踏まえながら、引き続きさらに検討を深めることが必要である。 |