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組織マネジメント;目的は環境適応 |
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組織内外の刻々と変化する環境からの規制作用や影響に対して、それをうまく受け入れたり回避したりしつつ、求める目的に向かって効率的・効果的に組織全体が動くために、内外の資源や能力を統合あるいは開発し、人々の活動を調整すること(活動や機能)/一人で担うことも、それ以上の人々が協働して取り組むこともある。
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(2) |
学校における組織マネジメント= |
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学校の有している能力・資源を開発・活用し、学校に関与する人たちのニーズに適応させながら、学校教育目標を達成していく過程(活動) |
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学校経営といわれてきたもののなかで、環境との相互作用、計画(Plan)−実施(Do)−評価(Check)−更新(Action)のマネジメント・サイクル、その過程を円滑化するスキル(技術)やストラテジー(方略)、これらのあり方を基本的に方向づけるミッション(職責)とビジョン(目指すところ)を強調する概念(認識枠組み)。
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計画(Plan)→実施(Do)→点検・評価(Check)→更新(Action)
そのために;学校経営計画(経営方略)の策定と創造的思考
→そして、行動計画(Action Plan)の策定へ
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めざすは学校組織開発;
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共同(コラボレーション)の推進 |
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創造(クリエーション)の促進 |
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考究(リフレクション)する組織づくり |
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外に開く(オープンマインド)学校づくりの展開 |
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(3) |
学校評価前提 |
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評価が改革を導くのではなく、評価をもとにした人々の知恵と現状打破の意志が改革へのネットワークを形成する。
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目標管理システムの限界 ;複雑系システムとしての学校 |
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問題を問題と捉えられる組織認識がないと評価は機能しない。
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外部評価に意味があるのは、校内では気づきにくい事柄への向性と学校では調達できない知恵が備わっているときである。
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これらが噛み合うのは、職責に対する専門職的自覚と、自らの職分が脅かされるとの危機意識が組織に働くときである。
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目標管理システムの限界 ;自律的な主体によるセルフコントロール依存 |
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そのもとで、組織の何が活かせるのか、どんな機会を設けたらよいのかを各場面で評価し、知恵を集め考え、可能な策を実行していくことが、学校改革を導く。
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(4) |
M県内の「学校自己評価」を義務化したK市のH小学校の実態 |
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H小学校の学校自己評価は、市の学校管理規則による規定に基づいて始まった。しかし、
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同校の学校経営方針;例えば「子どもが生き生きと輝く学校生活を送れる教育環境を整える」など、抽象的なものが記されている。
これは、教育上、きわめて当然の内容を記しているわけであり、学校教育目標としてみればもちろん否定すべきものではない。しかし、これを学校経営方針としてみると、学校で組織的に仕事を進めていく上では、たとえば上記の「生き生きと輝く」という「経営方針」は、個々人間の解釈の幅が大きすぎる。この「生き生きと輝く」の内容が誰にとっても必ずしも同じではないという問題は、個々の教職員の経験や常識に委ねるのではなく、本来は「経営」によってクリアされているべきである。
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具体的に何をすることが学校教育目標の達成として位置づけられるのかを明定し、 |
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事後評価が可能なように、現状で「できること/できないこと」を把握した上で、今後の(長期/中期/短期)教育課題を設定すること |
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 によって得られた教育課題について、それを具体的にどのような方法で達成するかを表明すること |
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自己評価のあり方について;いずれの評価報告においても、子どもの様子を中心に述べている。それによれば、共通に「(子どもの)主体性を育てたい」ということで仕事をしていることは伺い知ることができる。だが、どのような体制で行ってきたのか、今後どのような役割分担をするとか、学校全体/各部/個々の教師で、どのような手段を講じるか、といった次の成果を生み出すための課題がみえてこない。
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評価対象を決められていない。具体的な取り組み―「子どもの主体性」のためにとった仕組みや体制―が評価対象として設定されるべきである。 |
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評価報告では、子どもの活動そのものを評価している。各部の活動の結果としての子どもの活動、という論理的つながりはあるのだが、それが全校の取り組みの結果なのか、各部の取り組みの結果なのか、担任の教師の努力の結果なのか、子どもの努力の結果なのか、ブラックボックスになってしまっている。 |
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後に改善策を講じることを前提として評価を行うならば、ある結果につながった取り組み・プロセスを明らかにしておかなければならない。要するに、計画がないままに評価だけを行ってはいけない。 |
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「全員が公開授業をやること」は評価対象でもなく、目標にもならない。やれば済んでしまうというような話になっている。「全員が公開授業をやれた/やれなかった」では、後の改善策につながらない。どの程度行うのか、段階を明記すること、やはり計画が必要である。 |
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