学校評価の推進に関する調査研究協力者会議 (第18回) 議事要旨

1.日時

平成19年12月17日(月曜日)16時30分~18時30分

2.場所

学術総合センター 中会議室

3.出席者

委員

天笠委員、青木委員、今村委員、岡田委員、木岡委員、小松委員、竹原委員、中西委員、千々布委員、長尾委員、橋本委員、檜山委員、松尾委員、山口委員

文部科学省

布村大臣官房審議官、藤野教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他

4.議事要旨

  • (1)事務局より、「ガイドラインの改訂のための議論の素案(第3次案)」について説明。その後、ガイドラインの改訂について議論。
    • 【総論・流れ・自己評価関係】

      【委員】

       現行のガイドラインでは、学校関係者が自己評価と同じくらいの精度をもって学校を評価することは不可能であることを前提に、外部評価を行う際は自己評価にかかわる説明が妥当かどうかの検討のレベルにとどめ置くことが妥当とし、外部評価は自己評価結果の評価であると表現されている。
       一方このガイドライン案では、学校関係者評価について「自己評価結果を踏まえて」とあるが、何をどう評価するかが書かれておらず、相当幅のあることを学校関係者に期待することになりかねない。学校関係者に相当の負担を強いることが見込まれる中、学校関係者評価の表現はもう少しやわらげられないだろうか。

      【委員】

       「評価のための評価」にならないための留意点については、「総論」部分とともに「評価の流れ」部分で記述がある。「総論」の学校評価の効果のところで書くと、現に実施されている学校評価の大部分が「評価のための評価」になっているかのようにとらえられるので、ここで記述しなくてもいいのではないか。

      【委員】

       4ページの学校関係者評価に関する部分について、「自己評価結果を踏まえて」とあるものを「自己評価結果をもとに妥当性や納得性を吟味する」くらいの表現に変えたらどうか。

      【委員】

       最近の学校関係者評価は、教職員、保護者、地域住民がひとつの組織を設けて行ったり、大学教員等の有識者を加えるなど、第三者評価的な要素を加えたものも見られる。今の意見にあったような書き方だと、専門家を呼んだ第三者評価的な学校関係者評価がやりにくくなるのではないか。一方で、学校関係者評価の実施にあたり、自己評価結果をほとんど見もせず、いきなり自分の意見をいうケースもまだまだ見られるので、それに対する牽制の文言は必要。
       また、学校の先生方の学校評価への意識として、生徒や保護者に対するアンケートの集計に対する負担感が非常に大きい。全員を対象にしたアンケートを必ず行う必要はないと考えられるが、そのような趣旨をガイドラインで示せないか。

      【委員】

       学校関係者評価について「自己評価結果をもとに妥当性や納得性を吟味する」としても、第三者評価的な要素を加えた評価を否定したわけではなく、やわらかい表現とした中での多様な運用はありうる。
       逆に、5ページの学校評価の実施形態に関する部分で、「第三者評価的な要素」という表現は曖昧なので、「専門的な視点による評価」などとするべきではないか。

      【委員】

       外の声の聞き方として外部アンケートというスタイルが普及しているが、本来これはもう少し多様であっていいものであり、例えば省力化を図る意味でモニター制のようなものも考えられるという提案があってもよい。

      【委員】

       学校評価結果の公表率は約6割に達しているが、保護者の7~8割が公表されていることを知らない事実がある。一方で、学校の情報についてはホームページに載ってはいるが、大事な部分が載っていない事実もある。保護者まで学校の情報を伝えるためには、公表の仕方をもう少し具体的に示す必要がある。

      【委員】

       学校評価の目的部分について、学校・家庭・地域の連携協力が新たに加えられているが、非常に重要な点である。また、学校評価を通じた質の保証・向上により何が叶えられるかを明記して、明るい展望が開けるような記述にできるとありがたい。

      【委員】

       学校評価の目的の部分についてこの3つに異論はないが、学校評価はそもそも学校の説明責任に関する議論からでてきた話なので、3つの目的と並列で書くのかそもそも論として書くのかはともかく、説明責任についてはどこかに明記する必要がある。

      【委員】

       説明責任の話だけを明記すると、学校関係者評価、第三者評価の話に傾斜するので、その場合は併せて学校組織開発に関する点も明記し、自己評価の目的について触れるべき。

      【委員】

       世間一般における学校評価の認知度が低いという話もあり、そもそも論の部分では、学校評価について世間に知ってもらう必要があるということを述べるべき。

      【委員】

       説明責任の話は現行のガイドラインより目的の2番目に入っていた。連携協力についても重要だが、ここでは保護者・地域住民への説明責任について述べるべき。その前提として、学校は組織的・継続的に改善する努力を重ねるという改善に関する目的が1番目に入っているのではないか。
       また、5ページの外部アンケート等の説明部分に言葉の混乱があるように思われるので、整理が必要。

      【委員】

       説明責任といったときに、連携協力や理解というレベルではなく、納税者に対する説明という意味で重要。今後、学校予算を各学校の独自性のもとで配分する際に、財務面の説明は納税者への責任という意味で必須。

      【委員】

       学校だけが評価に追い立てられているという誤解が広がっているが、実は今回の地教行法改正で教育委員会も評価の対象になっており、文部科学省はもっと前から評価の対象となっている。つまり、行政改革の流れの中ですべての公的機関は評価にさらされているという背景の中に学校評価も位置づけるべき。

      【委員】

       学校評価の実施手法について、自己評価、学校関係者評価、第三者評価の3つが書かれているが、それぞれの関係がわかりにくい。特に自己評価と学校関係者評価の関連については、これまで自己評価をベースにしている、あるいは重なっているとの表現がされているとおり、それぞれ独立のものでないということについてわかるような記述が望ましい。

      【委員】

       「学校関係者評価」という言葉を生み出したが故に、方法の問題、視点の問題、評価の種類の問題等が生じている。現行のガイドラインでは、外部評価の枠の中に関係者も専門家も含まれており、その結果を受けてまた自己評価するという流れがあった。現状だとそれぞれが別の評価であると読まれる危険性がある。

      【委員】

       イメージ図については非常にわかりやすい。ただし、学校に対する意見・要望等については、9ページの下の部分でも書かれている通り、目標設定する際に重要であることから、イメージ図の中でもそれを反映してほしい。

      【委員】

       10ページの目標設定の部分で「校長のリーダーシップの下で」という記述が削除されているが、学校評価結果を全教職員の中で共有するといったときに、責任の所在が不明確になってしまうので、残した方がいい。

      【委員】

       イメージ図の中で「評価委員会」とあるが、学校関係者評価委員会なのか、自己評価を行う際に全教職員が参加して行う評価委員会なのかを明示する必要がある。

      【委員】

       評価委員会の機能を強調することは学校の実態にそぐわない面もあるので、学校の企画委員会や運営委員会で一括して自己評価が進められる仕組をモデル化して提案すべき。
       目標については、重点目標や目標の精選という言葉が使われているが、本来、段階的な目標設定を行うことが重要であるのではないか。
       自己評価と学校関係者評価の流れについては、自己評価を行い、それを関係者や専門家に評価してもらい、それを受けて自ら再評価を行って完結するのが基本的な流れだと考えているが、14ページの書き方だと、自己評価と学校関係者評価が別個に存在しているように感じる。自己再評価とか、改めて学校が自ら評価するとかいった記述が必要ではないか。

      【委員】

       「成果」と「結果」の使い方について整理する必要がある。「成果」とは良いことを期待して使っていると思うが、これはなるべく使わないほうがいいのではないか。

      【委員】

       学校評価の場合は取組と成果を一緒に考えることが大事。学校評価の場合には、学校が行う取組を年初に明言し、その取組の状況を年度末または中間的に報告する。この報告を成果と呼ぶのであって、学校評価の根本は、取組と成果の両方を学校が一体的にとらえることだと思う。

    • 【学校関係者評価・評価結果の公表・設置者への報告・学校種の特性関連】

      【委員】

       学校関係者評価について、学校教育法施行規則の改正通知にある留意事項に従えば、外部アンケートでも学校関係者評価になりうるとの主張がある。そのような誤解を生まないよう明確に記述すべき。
       また、自己評価はきちんとやることを求めてもよいが、学校関係者評価は自己評価のチェックという意味合いで十分なのではないか。現在の書きぶりだと要求が厳しすぎる印象がある。
       学校関係者評価については、学校評議員や学校運営協議会等の既存組織をもって学校関係者評価委員会に代替しても良いのではと考える。よりスムーズな実施のためにはあまり厳しいしばりをかけなくていいのではないか。

      【委員】

       「重点化された自己評価の結果を基礎とする」という部分が不明確。基礎というと他にもあるという意味を含んでいるので広がってしまう危険性がある。
       学校関係者評価の手法については、基本的には自己評価結果の説明を聞く中で行い、不明確な部分についてその他の手法を用いてという書きぶりがいいのではないか。
       学校関係者評価をする際の視点については、学校の教育活動の全てを見るのではなく、それぞれの評価者が得意とする視点から見ることが重要。
       学校評議員等、既存の組織の活用については、それぞれの組織にはそれぞれの目的があって運営されているため、評価を行う組織としては適さない部分もある。このことから、既存の組織による代替については「考えられる」くらいにしておいて、その中で適切な運営を学校に委ねたらいいのではないか。

      【委員】

       学校関係者評価といったときに、パーフェクトに見ながら、かつ評価の軸もきちんと定めてとなると非常に難しいように思える。それぞれの評価委員がそれぞれの視点から評価を行うとともに、様々な分野の方がまざって評価を行うことが大事。
       また、学校関係者評価とは学校に何かあったときにアクションを起こす人や学校を支える人とだと思われるので、「第三者的な評価」というと引っかかる。また、学校関係者評価者は学校の担い手であるという解釈はそれでよいのか。そうであればどこかに明記するべき。

      【委員】

       保護者を評価者として入れるかどうかについてもう少し説明が必要。ここでは適当としているが、その判断の根拠を学校評価の目的との相関で説明する必要がある。また、学校内では多くの個人情報に触れるという危険性もあり、そのことを踏まえてもなお保護者を入れる趣旨をここでは書くべき。

      【委員】

       学校運営の改善・向上のためには、学校関係者の理解が不可欠であり、「理解者」という文言が入っていることは望ましい。
       評価結果については、設置者として非常に大事に取り扱っている。ここで述べている内容については、学校教育法施行規則にも明確に位置づけられており、ありがたく思っている。その方法をより具体的に示していけば、それぞれの学校や教育委員会の責任が明らかになっていくのではないか。

      【委員】

       設置者からの支援と指導・助言について、評価結果に対しての教育条件の支援という部分も重要だが、学校評価の取組そのものに対する設置者の支援も、この指導・助言の部分に書いていただけると学校としてはありがたい。

      【委員】

       自己評価結果の公表に関する留意点が書かれているが、実際には外部アンケートの公表が広く行われており、外部アンケートに特化した公表の留意点が追加されるべき。
       21ページでは学校評価の在り方に関する指導・助言ということで、設置者の責任が書かれているが、現実には指導主事の能力が非常に大きな問題となる。学校評価結果を指導主事がどう分析し、アドバイスをしていくかの弱さが、学校評価をここまで大きくしたのではないか。指導主事に対する研修や、指導・助言力を高めるための措置についてここに記述されるべき。
       最後の評価者研修の部分については、指導主事の研修についてもっと全面的に入れればいいのではないか。また、国として学校評価コーディネーターの設置なども検討しているというような記述ができないか。

      【委員】

       指導主事は、学校の問題点に気づいているのに学校をほめることしかしない。これは指導主事に時間的な余裕がないことが大きな要因である。指導主事の研修も大事だが、指導主事は既に精一杯がんばっている。指導主事の定数を増やすことまでは書けないので、教育委員会として組織体制を改善することが望まれる、といった書きぶりになるのではないか。

      【委員】

       これからは教育委員会が支援という形で学校評価にかかわっていかないといけない。その際に、学校評価の結果、改善点が見えたときに支援を取り付けるのが指導主事の役割となる。したがって指導主事を鍛えることには意味がある。
       第三者評価を進めていく上では、結果の公表方法については慎重に考えていかなければならない。また、第三者評価を行った際に、それをかなり細かい点も含めて学校の状態、進むべき方向性についての示唆があったときに、どこまで公表するかについてのガイドラインが必要。

      【委員】

       専門高校は、産業界を担う人を育てることが大きな狙いであり、その部分がこの加筆で十分に示されていると考える。

      【委員】

       学校関係者評価の役割として、評価を行うだけなのか、それとも学校教育の改善活動に一緒に加わるのか。学校関係者評価委員会は合議体であるので、学校評価結果のとりまとめにあたっては、言いっぱなしではなく合議の結果をとりまとめてもらわないといけない。そこで提言された改善策が専門的には的外れであっても、評価者の間で「学校と運命共同体」であるというような想いがあれば、学校の先生方も動くのではないのか。

      【委員】

       結果の公表については簡単に書かれているが、例えば、細かすぎるデータを公表したことによって、こんなことをするくらいなら生徒指導に力を入れるようにと指摘された例もある。公表の方法についてはより丁寧に書くべき。

    • 【情報提供・教員評価との関係・項目、指標の例】

      【委員】

       情報提供については、ホームページでの公表を前提とした記述となっている。実際にはホームページを見る親は限られているので、学校便りや学級通信での情報提供についてまず記述し、それからホームページでの情報提供について記述するべき。
       34ページの匿名性の担保については、アンケート自体を匿名で取るべきだという誤解が広がっているので、これは公表を匿名で行うという意味であり、アンケート自体は記名式もあり得ることを明確にすべき。
       教員評価との関係については相当すっきりしたが、より明確に両者は違うということを冒頭で書くべき。

      【委員】

       評価結果の公表については今あったとおり、ホームページは見ない保護者が多い。教育熱心な保護者とそうでない保護者の間の差の問題もある。PTAの立場としては子どものためにいい学校をつくっていきたいという想いがある。

      【委員】

       新しく今回のガイドラインで高等学校を入れたことで、義務教育ではなく、選ばれる高等学校にとしての情報についてしっかり書くべき。特性の部分ではあまり触れられていないが、義務教育と高等学校は選ばれるかどうかという点で異なる。選んでもらうための学校評価という機能もあっていいのではないか。

      【委員】

       項目・指標の例については、専門高校の部分で、「実験・実習に関わる」と書かれた部分があるが、いわゆる体験を重視した教育活動を積極的に展開するという視点であれば、このようなものが含まれてよい。
       ただし、「栽培植物、飼育動物の適正な管理」「農薬、肥料の適正な管理と使用」の部分については農業に特化した内容になっており、水産科など他の学科の内容も踏まえた書き方とすべき。

      【委員】

       情報提供の在り方について、学校では、地域の方々と保護者の方々が一緒になって取り組んでいるということが特色としてある。授業参観や学級・学年だよりなど、情報提供の具体的な内容を幾つか具体的にお示しいただければ学校や教職員としても取り組みやすのではないか。児童生徒と保護者と地域住民が一体となって学校が運営されていくと情報提供になるということをお示しいただければと思う。

      【委員】

       「随時学校公開を実施したり、学校だよりやホームページを通じて」の部分については、多分9割以上の学校はすでに行っており、それで安心してしまう。しかしより一層学校を開くことを考えると、情報のわかりやすさとか、地域の人が出入りする、学校支援ボランティアが入る、というようなことを丁寧に書く必要がある。

      【委員】

       情報提供について現行のガイドラインでは、情報提供する前に情報を蓄積、整理しないといけないということがエビデンスの徹底の観点から書かれているが、新しいガイドラインの案からは落ちてしまっている。積極的に情報を蓄積・整理するということは残した方がいい。

      【委員】

       児童生徒のアンケートが翌年度の目標につながるというイメージがわかるような図が必要。今回の図では上から下にとなっているが、PDCAサイクルといった場合にはぐるっと回る図となるのではないか。

      【委員】

       学校評価の流れと設置者の支援をつなげた絵を同時に書かないとわかりにくいのではないか。1年間の学校の中の流れと、それに関わる関係者の流れと、設置者の、特に予算編成に関わる部分を書かないと、評価をしても人と物と金がきちんとつながってこない。

      【委員】

       学校が評価をしていくときに、7ページの図は非常に参考になる。皆がここを参考にすると思うので、教育委員会等の位置づけも入れていただきたいと思う。また、右側に「児童生徒・一般の保護者」ということが設けられているが、やはりここが中心となる学校運営の改善、評価であってほしい。

  • (2)天笠座長より、本協力者会議におけるこれまでの意見を十分に踏まえ、文部科学省においては学校評価ガイドラインの改訂を速やかに行っていただきたいとの発言があり、閉会。

お問合せ先

初等中等教育局学校評価室