平成19年7月24日(金曜日)17時〜19時
東京商工会議所502会議室
天笠委員、小松委員、青木委員、今村委員、岡田委員、久保田委員、竹原委員、千々布委員、中西委員、檜山委員、松尾委員、山口委員
金森初等中等教育局長、布村大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、藤野教育水準向上PTリーダー、岸本学校評価室長 他
【委員】
全国公立小中学校事務職員研究会からは、今後の指針となるものを是非検討していただきたいとともに、学校が元気になる学校評価にしていただきたいという意見を出させてもらった。
【委員】
経団連の教育問題委員からは、「産業人の立場からすると、学校評価は遠い世界のものであるという印象が強い」という意見があった。
【委員】
学校評価制度、あるいは学校評議員制度について知らない保護者が約8割いるが、これは保護者にも問題があると考えられる。
また、保護者による評価が「外部」ととらえられているのが気になる。
さらに、親は二極化しているため、PTAの役員だけのアンケートでは保護者の考えを反映していない。保護者へのアンケートは全般的に行うことが必要。
【委員】
日本の学校評価は、長年、学校の中の関係者による評価を中心に展開してきたが、近年は外部からの評価も重要となっており、本協力者会議でも時間をかけて議論してきた。しかし、外部評価を丁寧にやっても、肝心の内部評価がしっかりしていないと本末転倒である。
【委員】
自己評価の義務化を考える上では、どのような項目を自己評価の項目とするのか、また、共通項目の分量をどの程度とするのかについて議論が必要。
また公表については、PTA新聞や学校便りでの公表だけでは保護者に伝わっていない例もあり、公表の手段を定義する必要がある。
ガイドラインの扱いについても課題。ガイドラインに沿った評価項目等で行っていくのか、共通部分を少なくして自由度を高めていくのか。
【委員】
個人的には、ガイドラインの中身に沿って行うことで自己評価の一定のレベルが維持されるのではないかと考える。
【委員】
本町では、全方位型の学校評価を第一段階として行い、2学期には課題点を絞っていく課題指向型の学校評価を行った。
評価の内容については、本町では、学校評価ガイドラインに示されている内容にさらに項目を加えて行った。公表の義務化については、昨年度はホームページに掲載を行ったが、今年度は、地方の広報誌への掲載や、地域住民への説明会も実施していきたい。
【委員】
学校側は公表したと言っても受け止める側は認識していない場合がある。少なくとも学校の公表に関する定義を明確にする必要があるのではないか。
【委員】
努力義務化と義務化はどう違うのか。義務化となった場合に、学校評価をしない自由というのはあり得るのか。義務化をする場合、学校評価を確実にやっているということが証明できるシンプルなものにならざるを得ないのではないか。
また、公表という行動を方向づけることがあり得るのか。地方分権後は通達が原則廃止されたことから、省令の通達化や、通達に書かれていた事項をガイドラインで示すという傾向があると聞く。ここで義務化と言った場合、どのような手法で方向づけを行うのか。
【事務局】
努力義務の場合は、目的を果たさなかったとしても何らかの違法状態が生じるわけではない。しかし義務規定では努力義務とは違い、必ずやらなければならない義務が課せられているため、違法状態になるのが大きな違い。
省令で規定すべき事項と、ガイドライン等で規定すべき事項の仕分けについては、どこまでが法令で規定することになじむかという問題が1点、また、どこまで国が統一的に定めるかという点がもう1点ある。
省令規定事項については、通常、書いた以上はそのとおりにやってくださいということが基本となるので、学校種別や設置者を問わず全体に通じるような共通した事項を省令で書くということが基本となるのではないか。モデルとしての目安を示すのは、省令よりもガイドライン等の方が適切であると考えられる。
【委員】
学校評価結果の公表については、保護者・地域住民が理解できるような公表の仕方が重要。内容については、保護者・地域住民等に一緒にやりましょうというメッセージが届くような公表とすべき。外からの批判を恐れるのではなく、地域の共感を得られるような公表の仕方はないか。
【委員】
学校評価の目的としては、第一に、公共性をもったものはすべからく説明責任を行う必要がある点が挙げられる。また、未履修のような問題を避けるためにも、学校に対する義務がしっかり行われているかどうかを自己評価しなくてはいけない。ポジティブな面で言えば、保護者・地域住民との理解や連携協力のため自己評価を行っていく必要がある。まず学校自身が、こういう学校教育をやりたいということを出していくことが重要であり、それを前提として、保護者、地域住民との連携協力があるのではないか。
保護者、地域住民には連携協力を求めるものの、最終的な責任は学校の教職員にあり、そのためには改善に役立つ自己評価がされ、改善に役立つ評価結果の公表がされる必要がある。学校改善のためには、年度ごとの反省にたった中期目標のようなものが自己評価の中で示され、それを保護者・地域住民に約束していくことが重要。その意味で、評価結果の公表の義務化は必要。
【委員】
学校評価と、保護者・地域住民との連携協力のための情報提供という、改正学校教育法の第42条と第43条の規定の関連性について理解することが重要。省令やガイドラインは大綱的にならざるを得ないが、一方で、関連する実践情報の位置づけが課題。
【委員】
学校は何のために自己評価をして公表するのかといった場合、それはやはり学校改善のためではないか。学校経営計画自体は非常に整っているが、その中で学校としての改善策が示されていないものも多い。現状とともに、自己評価結果を示していくことが重要ではないか。
【委員】
学校関係者とは誰かについて、定義をしっかりと行わないといけない。また、保護者については、学校の内部ではなく外部の関係者としてとらえるべき。保護者の位置づけについて考える場合、同じ義務教育でも学校選択制の有無によって区別すべき。学校を選んだ保護者とそうでない保護者とでは位置づけが違う。保護者については、選択制について、あるいは義務の有無についてどう位置づけるべきか整理する必要がある。
また現状では、評価のための資料や、評価のための研修プログラムも不十分であり、条件整備がされた時点での学校関係者の位置づけとは分けて考える必要がある。
【委員】
それが内部であろうとも外部であろうとも、保護者ももっと学校の中に入り、学校と話し合っていかなければならない。いろいろな学校があって初めて特徴ある学校づくりができるのであり、5教科に偏った学力で自己評価がされるようなことがあってはならない。
【委員】
学校評議員や学校運営協議会など、非常に会議が多いというイメージがあり、どのような実施体制を組んでいくかが気になる。
自己評価を義務化する際には、時限的にその充実期間と、学校関係者評価者がトレーニングをする期間を設けられれば良いのではないか。そうすることで、学校は自己評価を充実させる、保護者・地域住民は参画していくという自覚が出てくるのではないか。
いきなり法令上の規定について議論する前に、もう少し課題を洗い出すことも必要ではないか。
【委員】
学校関係者評価を成り立たせるための条件整備が重要。学校関係者に対して評価を求めている一方で、十分に情報が提供されていないという現状がある。したがって、情報環境の整備など、どのような条件が必要か考えなければならないのではないか。
【委員】
ある市の学校評価の会議の委員をさせてもらっているが、協力校の報告は、概ね会議の開催回数や委員構成に関することで、学校改善の成果についての報告は聞かれなかった。
外部評価そのものを規定すると、学校はその目的だけに流れる。自己評価だけだと不十分なので外部評価の力を借りるという意味合いを規定することが重要。学校評価は学校改善のためにあるというのが基本。
【委員】
学校評価は子どもたちのために行うものであり、学校選択のために実施し公表するとなると、項目が変わってくる。
何のために公表を行うかというところが、中教審の答申を見てもはっきりしない。それが学校の裁量であるというなら自由でよいが、そうすると一律にはできないのではないか。
【委員】
今は、「学校」と名のつくものが必要最小限行うべきものについて議論を行っているのではなく、児童生徒、保護者、納税者のためにどのような教育を行っているかを学校が自己評価し、保護者や地域住民が、学校に対する顧客満足度のような形で応えることが、新しい時代には必要ではないか。納税者や、学校に子どもを預けている保護者が満足していることを公的に示す、そのためのアイディアとして学校関係者評価が出てきたのではないか。
したがって、自己満足ではない学校の自己評価が少しづつ整備されていくのではないだろうか。その際、学校選択制をとっている地域では、選んでもらうための情報が必要となる。地域によって学校の状況は変わっており、地域や学校に応じた学校の自己評価、そして学校関係者評価があってもよい。
【委員】
児童生徒、保護者ともにそれぞれ願いはあるが、それらの意見をいただきながら、学校が客観的に学校をよくしていこうという気持ちで取り組むときに、学校評価がきちんと位置づけられる。ニーズに応えることは大事。学校関係者の方々の意見を反映させることが、日本全国の学校の質を高めることにつながっているのではないか。
【委員】
学校評価を行う際に、これを公表するという前提で学校評価を行った。内容的に報告をいただいたのは、教育活動の改善、保護者・地域住民の方々の学校への内容、教職員がどのように意識改革をしたか、教委はどのように支援をしたら良いか、の4点であった。
教育委員会に対する要望は多くあったが、物的なものは予算がないためにすぐには実行できず、厳しく受け止めた。しかし、学校の方と家庭、地域の方と教育委員会がお互いに課題を共有して1つの方向に向かうことで、取り組んで行けると確信している。
【委員】
三重県では平成12年に、学校自己評価を管理運営規則に規定し、自己評価の実施と公表の義務化を行った。しかし実施に当たっては年々形式化してしまったので、マネジメント研修の実施や裁量予算の設定を行い、学校には具体的な要望を公表してもらうこととした。
このような取組を行なうことは、校長や学校のモチベーションにつながるのではないか。
少額の予算であっても、認められたということが大きい。このような取組を法令上どのように規定すればよいかはわからないが、指導と人事が一体となった場合に、学校は支援されているというような気持ちを持てるのではないだろうか。
【委員】
学校選択のために学校評価があるというよりは、改善するためには、学校が無批判に割り当てられた児童生徒を受け入れるより、主体的な選択をした児童生徒を受け入れる方が、児童生徒や保護者にとってもいいだろうという意味であり、したがって、学校経営の改善のための手段として、学校評価があり、学校選択がある、というとらえ方だと思う。
設置者への報告に関しては、設置者は学校を管理し、予算配分もしているのだから、何らかの報告をするのは当然ではないだろうか。
【委員】
自己評価の公表と設置者への提出はセットではないか。教育委員会への報告により、教育委員会の責任が明確になるのでないか。
自己評価の実施と公表の義務化については、前向きな目的で行うことをくどいくらい明示していかなければならないのではないか。
【委員】
自己評価結果の教育委員会への報告に基づく予算の傾斜配分について、どのような問題があるのか議論すべき。年によって必要な額が違うことは有り得るし、学校のクラス数で一律予算が決まることの方がそもそもおかしいのではないか。
各団体からの意見を見ると、評価結果に基づく支援について誤解があるように感じた。評価結果をマイナス面での格付けと考えず、評価結果を踏まえた教育委員会による丁寧な精査と、それに伴うメリハリある予算と人事の審査が行われる方が、まともなマネジメントではないか。その点に関して議論が必要。
【委員】
今、全国の教育委員会で評価結果を踏まえた予算配分や人員配置を行うことができるかは疑問。
私学の場合は建学の精神があり、親の選択による負託にこたえ、学校は一生懸命やる。公立の場合は、イギリスの教育水準局でも、評価が低いとされている学校に対する支援が、遅れているという指摘がある。日本でも同様のことが危惧される。
【委員】
どうしても学力を中心としたナンバリングに目が行ってしまうが、学校評価ではプロセスを大事にしてほしい。学力調査は学校評価の一部分であり、学力調査を中心に置いた学校支援にこだわり過ぎると、学校の本体を見失う恐れがある。あくまでも学校経営全体を見て、地域とどれだけ情報共有されているかを見て、学校評価を行っていくべき。
【委員】
市町村としては、学校の実態を把握するために学校訪問を行い、指導の内容と同時に、教職員、児童生徒、保護者との対話を持つ。様々な場面を通して学校を見せてもらい、学校の困っているところがないか点検をしている。
【委員】
公立学校の評価結果公表率が58.3パーセントであり、一方で設置者への提出率は36.1パーセントである。これは、各学校には評価結果を提出するという認識がないことの裏返しである。したがって、この会議で、評価結果は提出するものであると高らかに言ってみるのが一つある。
また、このような行動を義務化できるのかというのが若干気になるところ。予算と関連させるというのが一つの手法としては考えられる。例えば、提出を義務化するのではなく、評価結果の提出を学校改善向け予算の交付要件とすることなどが考えられる。
(初等中等教育局学校評価室)