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全国にある保育所の数及び、第三者評価を受けている保育所の割合についてお聞きしたい。100パーセントではないと思うので、その場合、どのような機関が第三者評価を受けているのか、また、その機関の第三者評価の受け止め方についてお聞きしたい。
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全国の認可保育所は約2万千余箇所で、人数的には、公立より私立の方が若干多い。全国的な受審率に関しては把握していないが、まだわずかではある。ただし、東京都などは第三者評価の受審に際して補助金を出すなど積極的に取り組み、受審率が高まっている。
受審した園は質の向上等に向け非常に積極的に取り組む園が多く、第三者評価の受審を契機に園全体の保育の見直しができたという肯定的な意見が多い。、
一方で、評価について「わずか1日で何が見られるのか」という否定的な意見もある。これについては、3人の調査員で論じ合い検討することと、評価機関が組織として決定していくことによって的確な評価に近いものが実施できていると認識している。
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公表の在り方についてはA、B、Cの3段階で出すことに疑問を持たれていたとの説明だったが、その点についてより詳細にご説明いただきたい。また、A、B、Cの割合は実際どうなのかについて伺いたい。
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評価がABCの3段階で示されることは、非常にわかりやすいことである。しかし、保育所保育指針に準ずるというガイドラインはあるものの、A、B、Cの判断は難しく、誰もが納得するような完璧な状況にはなっていない。したがって、ABCによる評価をそのまま公表することが、質の向上に向けてという本来の目的に沿ったものとなっているか否かは、検討の余地が有る。個人的には、園の特徴を示した上で課題も示し、できるだけ詳細に評価し、自己評価・自己変容に繋がるように6段階等の評価を行うが、そのすべてを公表はしない、という方法が有効だと思う。
なお、現在は前向きに取り組む保育園が第三者評価を受審しているので、A評価がかなり多い。一方で、長時間に及ぶ保育・小学校との連携等に関する評価項目については、B評価がまだまだ多い。
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1点目として、3段階の評価だとB評価が非常に多いと考えられるがどうなのか、伺いたい。
2点目として、評価をするにあたっては評価調査者3人が最も適切であるとの話があったが、それは専門性を考えて、多様な分野からの3人を含むイメージなのか、その辺りはあまり考慮されていないのか、お伺いしたい。
3点目は、公表される内容に関して、ABCの3段階による評価と、文章による評価の双方があるというお話だったが、保育所自身の改善案のようなものは公表されてくるのか。
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3人ということは、最低限3人という意味である。費用としては、40万円位から70万円等様々であり、評価機関にとってはかなり厳しい金額であるが、その限られた財源の中でも3人は評価者として必要であると考えている。
本来ならば、保育の専門家、福祉の中での経営の専門家等、異なる専門を持った方が一緒に行くことが求められるが、現段階では厳しい状況である。しかし、今後はそれらの条件を備えた質の高い評価機関・評価者が生まれてくるようにしなければならない。
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2万2,000の保育所の中で、全国保育士養成協議会の第三者評価を受審している保育園が約1パーセントであるということだが、受審の障害となっているものは何か。
また、保育園のような社会福祉施設では、小学校や中学校と違って安全配慮義務が求められているが、実際に232園を評価されて、ここが変わったという事例があれば教えてほしい。
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第三者評価が進まない理由としては、他者による保育園内の細部に渡っての評価が、まだ保育界にはなじんでいないということが挙げられる。具体的には、なぜこんなにがんばっているのに評価されなければならないのかという思いを持っている施設が多いのではないかと考える。
また、保育所は多く、それに伴い職員の人数が非常に多いので、第三者評価についての認識が浸透するのに時間がかかることが挙げられる。さらに、評価を受けるからにはオールAがほしいというような心理も見受けられる。
園内の変化としては、それぞれの園にある保育理念や保育目標と、保育実践との関係が、評価を通じて見えてきた、また職員の連携が強化されたということが挙げられる。
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1点目として、第三者評価の根拠となる自己評価は、義務的にされているのか。
2点目として、保護者の利用サービスということでアンケート調査はやっているとのことだが、保護者からの聞き取り調査は行っているのか。
3点目として、評価の依頼先は園長なのか理事長なのか。
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保育所の自己評価は、義務教育における自己評価とは違い、第三者評価の前提となるものであり、第三者評価機関は、評価の項目を園に事前に送付し、自己評価を行ってもらう。その結果を事前に評価調査者に送付される。
今のところ利用者への聞き取り調査は行っていないが、評価機関によっては、直接聞くという手法をとってるところもある。利用者アンケートにより、利用者の実態がどのようなものであるかということが明確になり、園も利用者の受け止め方に大きな関心をもっている。
なお、受審の依頼については、基本的には理事長の決裁だと思うが、1法人1施設というような小規模の園の場合、園長と理事長が同一という場合もある。 |