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高等学校におけるキャリア教育の推進に関する調査研究協力者会議(第3回)議事概要

1. 日時
  平成18年5月12日(金曜日) 10時〜14時

2. 場所
  文部科学省宇宙開発委員会会議室

3. 議題
  高等学校と産業界・関係機関等との連携について(特に普通科高等学校について)

4. 出席者
 
(協力者) 渡辺(主査)、新井、上田、鹿嶋、甲田、西山、和田の各協力者
(文部科学省) 布村大臣官房審議官、坪田児童生徒課長ほか

5. 議事概要
   桑名商工会議所 阪野事務局長からヒアリング後、自由討議が行われた。

 

日本商工会議所(桑名商工会議所)からのヒアリング

阪野事務局長 地元の高校によく招かれて、企業が求める人材についてよく話している。企業が求める人材とは利益を生み出す人材である。商品に例えると、人材は売れ筋商品、たなざらし商品、不良財の3種類ある。現場の判断では、利益を生み出す人財、そこにいるだけの人在、辞めさせるべき人罪である。
 商工会議所としては、地元で育った生徒は地元の中小企業に就職して欲しいと考えている。多くの場合、中小企業では社長と一緒に仕事ができるが、大企業では部署で仕事をするという、この違いを理解して欲しい。
 ある社長が言っていたことだが、大企業ではベルトコンベアーの流れのように仕事をするという点で専門的知識・技術は必要ないが、中小企業では直接モノづくりをするということで、中小企業でこそ成績が良い生徒が必要なのではないかと仰ってもいた。
 これまでは社員教育が十分に行われていたが、現在、大企業でも即戦力を欲しがっている。今は大企業であっても社員教育の経費を削っているのが実情ではないか。大企業では、大学院生を即戦力として使いたいという願望を持っている。また、中小企業においても手取り足取りの教育ができないことがあり、即戦力の人材を採用したいというのが実情である。
 我々が参加した産業セミナー等でも、地元には良い企業が多くあるということをお伝えしている。PTAの役員、保護者にもこのことはぜひ知ってもらいたいことであり、生徒には企業名だけで就職先を選ばせないでいただきたい。
 キャリア教育に関しての要望、意見ということでは、インターンシップは、普通科高校ではなかなかうまくいかないということをこれまでの経験から感じている。中学校の時に全員が職場体験を経験できれば良いと思う。桑名市は全部で9校の中学校があり、全体で2年生を対象に職場体験を実施している。
 しかし、企業が1年間に1,400名の生徒を受け入れるということで、先生は受け入れ先の企業があるかどうか危惧している。中学校の場合だと、学校間で受け入れ企業が重複するということで苦労している状態である。教育委員会で中学校職場体験協議会をつくって、9校の校長先生、教育委員会の担当者、産業界として商工会議所、農協関係、漁協関係の事務局長メンバーが入って、受け入れ先の検討を議論している。
 中学校卒業後の進路としては専門高校、普通高校の2つに分かれるが、専門高校の場合はおおよその生徒が就職を考えて進学している。専門高校の生徒は、企業もインターンシップで受け入れやすく、生徒自身もインターンシップに前向きなため、ぜひとも地元の企業に就職して欲しいと思う。
 一方、問題なのは普通科の高校である。桑名市内の工業高校で行われているインターンシップを普通科の高校でそのままやろうとしても難しい。学校、生徒、親にそれぞれ意識のずれがあるため、やり方を変える必要がある。特に普通科の高校で進学希望の生徒に話を聞いてみると、大学進学のことで頭がいっぱいで自分の勤労観、職業観というものが全く見えてこない。
 さらに、就職も進学もしたくないと思っている生徒は勤労観、職業観を全く持っていない。中にはフリーターになるのが当然と思っている生徒もいる。
 中高一貫のインターンシップが必要との意見もあるが、インターンシップの手伝いをした経験で感じたことでは、中学校で職場体験を経験した生徒は高校でインターンシップをする場合にとても入りやすいと感じた。逆に中学校で職場体験を経験していない生徒は高校で「中学校の時に職場体験を経験しておけばよかった、それから高校でインターンシップをやればもっと良いインターンシップになっただろう」ということを言っているのをよく聞く。
 できれば、早いうちから働くことの重要性を知ってもらいたい。中学生の頃は素直に聞いてもらえるので、できれば中学校で職場体験を経験してもらいたい。先生にも中学校での職場体験はできるだけ楽しく経験してもらうようにお願いしている。先生が受け入れ企業にインターンシップの実施に関してお願いする際に、職場体験と職業体験の意義を一緒にしている。職場の雰囲気を学ぶのか、職場の技を学ぶのかということがきっちり企画されていない。受け入れ企業で職場の雰囲気を話してもらうということが一番重要であり、実際、そうすれば、簡単に3日間程度、店、工場におけるインターンシップの受け入れをしてくれる。企画する際に先生と受け入れ先企業とのすり合わせが大事ではないか。
 受け入れ先企業の立場としては、2〜3日くらいの職場体験が適当ではないか。教育委員会からは5日間ということを要望されているが5日間は少し難しいのではないか。どちらにせよ、高校に進学したらもう一度インターンシップをやりたいと思えるような体制をつくっていきたい。
 進学者の多い高校に関しては、インターンシップはまだまだ他人事である。進学者の多い高校にも1日でもいいからインターンシップを実施してもらいたい。進学者の多い高校のほとんどの生徒は卒業後、大学を目指して大都市に出てしまう。卒業した何人かが地元に戻ってきてくれるようなインターンシップをやっていきたい。
 大学生の場合、多くは大企業指向であるため、大企業が少ない地元では希望のインターンシップ受け入れ先が少ないというのが現状である。
 我々、商工会議所は商工会議所法で定められており、公共性の高い、地域の総合経済団体であり、定款の中にも商工業の発展と地域の発展、活性化に寄与することが使命と規定されている。商工会議所が地域の生徒のためにインターンシップを通じて即戦力となる人材を育て、企業で活躍してもらうことが重要であると思う。
 桑名方式のインターンシップでは、商工会議所は受け入れ先企業と学校の仲介役をしている。桑名商工会議所は企業とのつき合いをよくしているため、企業のことをよく熟知し、企業からの苦情、先生たちの本音をよく聞いて、聞き役となっているのがうまくいっている秘訣であると思う。
 もう一点はインターンシップの受け入れ事業を商工会議所の部会事業として持っている点である。
 例えば、鋳物部会、鉄鋼部会といったまさに工業高校にマッチングできる部会を持っている。このような企業がインターンシップを受け入れるというのは、商工会議所の部会事業で受け入れるということなので、商工会議所は企業の斡旋をするのは当然のことであり、先生方は受け入れ先の企業を探す必要はない。先生方には、企業と生徒のマッチングに時間を費やしてもらっているのが現状である。
 桑名のインターンシップ推進協議会は本音が語れる会議となっており、厳しい意見交換もなされているが、我々がうまく整理していると思う。その辺がうまくいっていないところは企業と学校の先生の双方が遠慮してしまい、なかなか取り組みにつながらないのではないか。
 最後に、日本の産業全体の99.7パーセントは中小企業であるので、中小企業でインターンシップの受け入れを行うのは必須条件ではないか。インターンシップ事業に、自社が中小企業だからと拒否反応を示す社長もいたりするが、まったく逆であると思う。中小企業が受け入れをしないと地元の高校のインターンシップができない状況である。日本全国の商工会議所が動き出せば受け入れ先企業を探すのに先生が苦労することも少なくなるだろう。

教育委員会(三重県教育委員会)からのヒアリング

西山委員 本県は、平成16年度から3年間のキャリア教育総合推進事業等、様々な事業を実施しており、また、19〜22年度までの新たな事業を計画しているが、その中の柱の一つがキャリア教育の観点から、県内の児童生徒の人間力をどう育成するかということである。
 昨年、県内の73の高校の教員、保護者、企業等へのアンケートを実施し、中学校、高校の教員がキャリア教育の推進についてどのような考えを持っているか、また保護者はどのような意識を持っているかを大学教授が中心となってまとめた。
 高校の教員に対するアンケートでは、保護者とキャリア教育の推進に向けてどのような連携を図っているという質問では、71校の教員が回答したが、進路ガイダンスで保護者に説明しているという回答が79パーセント、保護者に対する個別面談を実施しているが68パーセント、授業公開を実施しているが56パーセントだった。しかし、キャリア教育の中身に踏み込んだ回答はなかった。
 また、地域との連携がとれていない、進学者の多い高校では約4割の教員が地域との連携が取られていない、そして具体的にどのようにやっていけば良いかが分からない、あるいは、特に進学者の多い高校においては、地域と連携する必要がないという意見が5割もあった。
 キャリア教育を開始する段階はいつ頃が良いのかに関しての回答について、幼稚園からが15パーセント、小学校からが34パーセントであり、小学校段階から進めるべきだとする意見が最も多かった。
 最後にキャリア教育で最も効果的だと思うものは何かについての回答で最も多かったのは個別面談で約21パーセント、次はインターンシップが約20パーセントで多かった。同じ質問で保護者からは、インターンシップが48.6パーセントで最も高く、保護者の意識としてはキャリア教育でやってほしいことの一番はインターンシップだった。次に企業人・人事担当者・経営者による体験講座を行ってほしいという意見が44パーセントで多かった。
 その他、保護者からの意見としては、子どもの働く意欲が減退しているが、やる気を減退させている原因は何かについての質問において、67パーセントが子供とのコミュニケーションがとれていないとの回答だった。キャリア教育について子供と話す機会がないとの回答が複数寄せられている。
 県内のキャリア教育の推進に関して、昨年のキャリア・スタート・ウィークの本県での取り組みはあまり進んでいない。県内のある市の6中学校がキャリア・スタート・ウィークに取り組んだ。県教育委員会も参加した支援会議等において、企業の関係者、市の教育委員関係者、そして、保護者の代表等で話をする中で、地域を挙げてキャリア教育について語る会を設けないと地域としてキャリア教育は進まないと感じた。
 昨年、5日間以上の職場体験を実施すること、また、地域住民、保護者、学校、企業が連携してキャリア教育を推進するためにはどうしたらよいかを検討するための会が行われた。ある地元の高校の校長が学校と地域、産業界の連携が重要だと講演した。意見交換では、企業の代表からは、高校生に望むこととして、基礎学力、マナー、協調性、保護者からはキャリア教育について子供とのコミュニケーションがとられていないなど、家庭の教育力が低下していること、また自立意識の養成についても意見がなされた。参加者からも、進学者の多い高校の教員は地域について知らないから、進学者の多い高校の教員がインターンシップを経験してほしい、そうすればキャリア教育の重要性が分かってもらえるのではないかという意見もあった。
 また、地域として連携して、地元で生徒を育て、地元から県外へ流出することを防ぐことが地域に課せられた課題であるということが話された。その結果、小学校では3日間の職場体験が実施されるようになったり、他の中学校6校でキャリア・スタート・ウィークが開始されるようになった。
 ある学校では、最初は3日間での実施であったが、受け入れ企業の担当者が職場体験の重要性に気付き、14日間のインターンシップにつながった事例もある。進学者の多い高校では今のところ企業でのインターンシップは実施していないが、県では行政インターンシップを実施し、受け入れている。また、理学部や法学部に進学した学生に依頼して、病院、裁判所等におけるジョブシャドウイングでのインターンシップを計画している。
 学校だけではなかなか取り組みは進まないし、進学者の多い高校と専門高校では温度差がある。そこで、ある地域においては、県と市教育委員会、関係団体が推進協議会を立ち上げてインターンシップの重要性を訴えている。
 本県のある市では、市教育委員会、県教育委員会、高校、中学校参加し、キャリア教育を推進していくためのキャリア教育推進協議会を立ち上げた。地域として推進していこうとする協議会はまだ少ないが徐々に広がりつつある。

質疑応答

 インターンシップの期間が14日間に伸びたのはなぜか。

 最初は3日間でやるということだったが、実際に体験が始まると挨拶もしないなど、何のためにインターンシップに来ているのかが分からない生徒が目立ったため、企業のほうから14日間に伸ばしたいという申し出があった。

 企業が危機感を感じたから始まったということか。また、特定の企業ではなく、全体的にそのような傾向があるのか。

 毎年、受け入れ企業、商工会議所等、関係者に集まってもらい、反省会を行っている。積極的に挨拶ができない、言われたことはするが言われたこと以外のプラスアルファができないなど、これらの反省を踏まえて次年度、企業にインターンシップの中身について要望をしている。

 地元の企業は、県外への人材の流出を防ぐ観点からもインターンシップ等のキャリア教育を行っているようだが、キャリア教育のそもそもの考え方としてどう整理すべきなのか。生徒、保護者、企業との間でキャリア教育について、意識にすれ違いがあるのではないか。具体的にインターンシップを経験する側と受け入れる側で意識のすれ違いがあるのではないか。

 他の地域でもそうだが、担任の教員と生徒、保護者はともに地元指向が非常に強い。そのため、自宅から通える範囲の企業に就職したがる傾向がある。また、企業も地元の生徒をインターンシップに受け入れる傾向がある。
 文科省の調べでは、18年3月の就職内定率のトップは福島県だったが、県外の企業に就職する率が高くなっている。
 県内にはいくつか工業高校があり、それらの高校がインターンシップを行っている中で、ある工業高校は資格取得に力を入れており、インターンシップは行っていない。そのため、資格をもとに大企業の本社に就職したりするなど、県外への流出率が高くなっている。

 有名企業への就職は1つの目標かもしれないが、インターンシップの手伝いをしている身として言いたいことがある。インターンシップを経験した企業の社長と一緒に仕事がしたいということで、インターンシップを経験した企業への就職を強く希望する生徒もいる。これこそがまさに生き甲斐ではないか。受け入れた企業もインターンシップで受け入れた生徒のことを覚えていて積極的に採用するという例が増える傾向にある。
 中小企業は自分のところに若い生徒が来てくれないと思っている場合が多く、学校に求人票も送らない場合が多い。中小企業が名前を売ろうとしても大企業には勝てない。そうであればインターンシップで社長のやる気を生徒に直接見せなければ、生き甲斐探しをしている生徒はその企業に来てくれない。
 保護者の中には、生徒が中小企業に就職が決まっても企業のネームバリューの低さから中小企業への就職を止めさせることもあった。
 インターンシップを実施する場合、先生が受け入れ先企業の開拓をするが、企業の中には、高校生は採用対象外ということで、生徒を受け入れないということもあり、これは企業側もインターンシップを就職のための手段と捉えてしまっている例である。
 産業界からの立場から言わせてもらえば、地元で育ったからにはやはり地元の企業に就職して欲しいと思う。インターンシップをやった結果、地元の企業に就職する者が全くいなくなったりすれば、商工会議所は何をやっているのかということになりかねない。そうなれば、商工会議所としてインターンシップの事業を続けていくことは難しくなってしまうだろう。

 産業界と学校、関連機関がどう連携していけば、日本社会のため、子どものためのキャリア教育になるのだろうか。これまで、この部分で双方が自分のテリトリーのためのキャリア教育を行ってきたということではないのか。どのように連携していけばよいのか。連携して真に子供のための支援をするにはどうすれば良いのか。
 また、子どもでも地域に留まらずに広い世界に飛び出したいという生徒もいるわけで、学校側としても生徒を地元に留まらせるためのインターンシップということでは困るのではないか。

自由討議

 本校は毎年120名の卒業生が出るが、地元に残る生徒は例年約4、5名若しくは3、4名である。キャリア教育で調べ学習をやればやるほど、生涯賃金、勤務条件等の数字の比較になりがちである。本校では進学者も含め、全員がインターンシップを経験している。地元の商工会議所も都会の大企業のノウハウを盗んで、機会があれば地元に戻って生徒たちに自分で産業を興してほしいと考えている。そして、商工会議所もその手助けをするため、協力している。
 インターンシップで、生徒が会計士、弁護士、医者などの体験を希望した場合、他県はどのように対応しているのか。

 主に卒業生のつてなどを頼って対応している。将来、そのような道に進みたいということであれば前向きに受け入れてくれる。

 インターンシップには体験型、探求型、習得型、見学型等、様々なタイプがあるが、それらを全て組み合わせてやっているのか。

 日数は1〜2日しかないので、仕事の内容の説明が半日、残りはジョブシャドウイングになるため、体験というのはなかなか難しい。

 受け入れ企業の数だけ企画して欲しいと先生方にお願いしているが、実際には、そう出来ていないのが現状である。我々としては、生徒の希望がわかればそれに対応した企業を探すので、先生方は生徒の希望をぜひ聞いてほしい。生徒一人一人の希望を聞いて、その希望にあった企業を探してマッチングさせるべきである。

 1つの案として、生徒達のことをよく知っている人を校内コーディネーターとして配置するのもいいかもしれない。
 普通科高校で高大連携事業に関わってきたが、その事業において生徒の希望を聞き、希望の大学を探すなど、マッチングをしてくれる組織を立ち上げた。しかし、大学側のメリットがなかったため長続きしなかった。同じように受け入れ側の企業にとってのメリットがないとこのようなインターンシップは長続きしないのではないか。

 コーディネーターとしての役割は主に工業高校が中心だと思うが、その他の学校に対しての働きかけというのは行っているのか。

 桑名の場合、普通科の進学者の多い高校とそれより進学者の少ない高校があるが、進学者の多い高校はほぼ就職活動する必要がなく、また、それより進学者の少ない高校でも就職者を減らすよう努力しており、全員が進学できるように努めている状況。

 現状では生徒の選択は進学か就職の2択しかないのか。キャリア教育の中心は進学か就職かではないはず。

 高校の進学担当の先生方が就職に関してどれだけの意識があるのか心配している。

 進学者の多い高校において就職に対する意識が低いというのは、進学者の多い高校のもつ象徴的な問題ではないかと思う。産業界の学校への関わりとして、産業界についての知識、産業界の求める人材等について教えるなど、進路指導の終わりの部分について学校に関わっている印象が強い。もっと、将来の人材を育てるという意味では、産業界はもっと違った形での学校への関わり方というのがあるのではないか。

 桑名の景気動向について調査しているのは桑名商工会議所のみなので、ぜひ話しておきたいと思っているのだが、進学者の多い高校にこのお願いをしても、授業時間を削るということ、また積極的な生徒もいないという理由で断られてしまう。中学校については受け入れてくれているのだが。
 我々としては、保護者にも知ってもらいたいという提案をしているのだが、保護者が集まってくれないので難しい面がある。
 3者懇談の席で保護者も一緒に聞いて欲しいというお願いをして、就職の話をしたが、保護者の考え方と子供の考え方は異なっていた。本来、それらの話は家庭で行うべきことだろう。保護者の学校教育への参画が少ないと感じている。
 中には、子どもがインターンシップをやっているということを知らない保護者もいる。これは企業にとって残念だ。

 本校では保護者と生徒が一緒に座り、科目説明会や進路説明会などを実施している。出席率は非常に高い。
 我々のキャリア教育は就職だけに直結するものではない。先ほど、医者、会計士、弁護士等のジョブ・シャドウイングの話が出たが、本校ではこれらの一流の職業のすごさを生徒に見せて、勉強、働くためのモチベーションを高めるために使いたいと思っている。
 また、地元についてもっと知ってもらいたい。それについても地域の人に協力してもらって色々な価値観を付けさせたい。
 紆余曲折させながら自分のやりたいことを見つけさせるのが重要ではないか。そのための手段として、インターンシップを本校では利用している。

 桑名の場合は医者、弁護士志望の生徒は中学の時から生徒自らが事務所に電話するなどしている。
 中には社長業を学びたいという生徒がいるが、その場合、社長に電話して、社長につきっきりで社長業を学んでいる。

 一番の問題は先生の温度差である。普通科高校では、全くインターンシップを理解しない先生、また進路指導、就職担当で一生懸命な先生もいる。この問題をどうやって解決していくべきか。

 ある県の進学者の多い高校の教員もやはり企業でのインターンシップは授業時間がもったいないということを先生方は言っている。しかし、行政インターンシップに抵抗はないようだ。主に夏休みを利用してやっている。また、職員のキャリア教育についての研修が必要ということが言われている。
 ある県では、中学校の99パーセントは職場体験を3日間実施している。それについて現在の3日間を5日間にしたいということで、残りの2日間をどうするかについては、商工会議所会員の自動車会社等にお願いしており、いくつか良い返事をもらっている。
 大学、専門学校については、地元の新聞社にお願いして、県内の大学、専門学校のオープンキャンパス、特色などを掲載してもらっている。新聞だと保護者と一緒に生徒も見るので、大学、進学者の多い高校へ向けてのキャリア教育については新聞社とも連携している。
 企業のメリットに関してだが、そこに就職してくれれば良いが、中小企業では難しい。工業に限ると、市の教育委員会のホームページに建設会社のインターンシップの受け入れ状況について掲載している。これは企業のPR活動にもつながっている。

 進学者の多い高校は授業時間がもったいないということでインターンシップには消極的だが、それは教育委員会が県内すべての普通科の高校に積極的に指導する姿勢が必要ではないか。

(初等中等教育局児童生徒課)

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