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インターンシップの期間が14日間に伸びたのはなぜか。
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最初は3日間でやるということだったが、実際に体験が始まると挨拶もしないなど、何のためにインターンシップに来ているのかが分からない生徒が目立ったため、企業のほうから14日間に伸ばしたいという申し出があった。
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企業が危機感を感じたから始まったということか。また、特定の企業ではなく、全体的にそのような傾向があるのか。
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毎年、受け入れ企業、商工会議所等、関係者に集まってもらい、反省会を行っている。積極的に挨拶ができない、言われたことはするが言われたこと以外のプラスアルファができないなど、これらの反省を踏まえて次年度、企業にインターンシップの中身について要望をしている。
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地元の企業は、県外への人材の流出を防ぐ観点からもインターンシップ等のキャリア教育を行っているようだが、キャリア教育のそもそもの考え方としてどう整理すべきなのか。生徒、保護者、企業との間でキャリア教育について、意識にすれ違いがあるのではないか。具体的にインターンシップを経験する側と受け入れる側で意識のすれ違いがあるのではないか。
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他の地域でもそうだが、担任の教員と生徒、保護者はともに地元指向が非常に強い。そのため、自宅から通える範囲の企業に就職したがる傾向がある。また、企業も地元の生徒をインターンシップに受け入れる傾向がある。
文科省の調べでは、18年3月の就職内定率のトップは福島県だったが、県外の企業に就職する率が高くなっている。
県内にはいくつか工業高校があり、それらの高校がインターンシップを行っている中で、ある工業高校は資格取得に力を入れており、インターンシップは行っていない。そのため、資格をもとに大企業の本社に就職したりするなど、県外への流出率が高くなっている。
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有名企業への就職は1つの目標かもしれないが、インターンシップの手伝いをしている身として言いたいことがある。インターンシップを経験した企業の社長と一緒に仕事がしたいということで、インターンシップを経験した企業への就職を強く希望する生徒もいる。これこそがまさに生き甲斐ではないか。受け入れた企業もインターンシップで受け入れた生徒のことを覚えていて積極的に採用するという例が増える傾向にある。
中小企業は自分のところに若い生徒が来てくれないと思っている場合が多く、学校に求人票も送らない場合が多い。中小企業が名前を売ろうとしても大企業には勝てない。そうであればインターンシップで社長のやる気を生徒に直接見せなければ、生き甲斐探しをしている生徒はその企業に来てくれない。
保護者の中には、生徒が中小企業に就職が決まっても企業のネームバリューの低さから中小企業への就職を止めさせることもあった。
インターンシップを実施する場合、先生が受け入れ先企業の開拓をするが、企業の中には、高校生は採用対象外ということで、生徒を受け入れないということもあり、これは企業側もインターンシップを就職のための手段と捉えてしまっている例である。
産業界からの立場から言わせてもらえば、地元で育ったからにはやはり地元の企業に就職して欲しいと思う。インターンシップをやった結果、地元の企業に就職する者が全くいなくなったりすれば、商工会議所は何をやっているのかということになりかねない。そうなれば、商工会議所としてインターンシップの事業を続けていくことは難しくなってしまうだろう。
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産業界と学校、関連機関がどう連携していけば、日本社会のため、子どものためのキャリア教育になるのだろうか。これまで、この部分で双方が自分のテリトリーのためのキャリア教育を行ってきたということではないのか。どのように連携していけばよいのか。連携して真に子供のための支援をするにはどうすれば良いのか。
また、子どもでも地域に留まらずに広い世界に飛び出したいという生徒もいるわけで、学校側としても生徒を地元に留まらせるためのインターンシップということでは困るのではないか。 |
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本校は毎年120名の卒業生が出るが、地元に残る生徒は例年約4、5名若しくは3、4名である。キャリア教育で調べ学習をやればやるほど、生涯賃金、勤務条件等の数字の比較になりがちである。本校では進学者も含め、全員がインターンシップを経験している。地元の商工会議所も都会の大企業のノウハウを盗んで、機会があれば地元に戻って生徒たちに自分で産業を興してほしいと考えている。そして、商工会議所もその手助けをするため、協力している。
インターンシップで、生徒が会計士、弁護士、医者などの体験を希望した場合、他県はどのように対応しているのか。
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主に卒業生のつてなどを頼って対応している。将来、そのような道に進みたいということであれば前向きに受け入れてくれる。
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インターンシップには体験型、探求型、習得型、見学型等、様々なタイプがあるが、それらを全て組み合わせてやっているのか。
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日数は1〜2日しかないので、仕事の内容の説明が半日、残りはジョブシャドウイングになるため、体験というのはなかなか難しい。
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受け入れ企業の数だけ企画して欲しいと先生方にお願いしているが、実際には、そう出来ていないのが現状である。我々としては、生徒の希望がわかればそれに対応した企業を探すので、先生方は生徒の希望をぜひ聞いてほしい。生徒一人一人の希望を聞いて、その希望にあった企業を探してマッチングさせるべきである。
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1つの案として、生徒達のことをよく知っている人を校内コーディネーターとして配置するのもいいかもしれない。
普通科高校で高大連携事業に関わってきたが、その事業において生徒の希望を聞き、希望の大学を探すなど、マッチングをしてくれる組織を立ち上げた。しかし、大学側のメリットがなかったため長続きしなかった。同じように受け入れ側の企業にとってのメリットがないとこのようなインターンシップは長続きしないのではないか。
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コーディネーターとしての役割は主に工業高校が中心だと思うが、その他の学校に対しての働きかけというのは行っているのか。
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桑名の場合、普通科の進学者の多い高校とそれより進学者の少ない高校があるが、進学者の多い高校はほぼ就職活動する必要がなく、また、それより進学者の少ない高校でも就職者を減らすよう努力しており、全員が進学できるように努めている状況。
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現状では生徒の選択は進学か就職の2択しかないのか。キャリア教育の中心は進学か就職かではないはず。
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高校の進学担当の先生方が就職に関してどれだけの意識があるのか心配している。
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進学者の多い高校において就職に対する意識が低いというのは、進学者の多い高校のもつ象徴的な問題ではないかと思う。産業界の学校への関わりとして、産業界についての知識、産業界の求める人材等について教えるなど、進路指導の終わりの部分について学校に関わっている印象が強い。もっと、将来の人材を育てるという意味では、産業界はもっと違った形での学校への関わり方というのがあるのではないか。
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桑名の景気動向について調査しているのは桑名商工会議所のみなので、ぜひ話しておきたいと思っているのだが、進学者の多い高校にこのお願いをしても、授業時間を削るということ、また積極的な生徒もいないという理由で断られてしまう。中学校については受け入れてくれているのだが。
我々としては、保護者にも知ってもらいたいという提案をしているのだが、保護者が集まってくれないので難しい面がある。
3者懇談の席で保護者も一緒に聞いて欲しいというお願いをして、就職の話をしたが、保護者の考え方と子供の考え方は異なっていた。本来、それらの話は家庭で行うべきことだろう。保護者の学校教育への参画が少ないと感じている。
中には、子どもがインターンシップをやっているということを知らない保護者もいる。これは企業にとって残念だ。
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本校では保護者と生徒が一緒に座り、科目説明会や進路説明会などを実施している。出席率は非常に高い。
我々のキャリア教育は就職だけに直結するものではない。先ほど、医者、会計士、弁護士等のジョブ・シャドウイングの話が出たが、本校ではこれらの一流の職業のすごさを生徒に見せて、勉強、働くためのモチベーションを高めるために使いたいと思っている。
また、地元についてもっと知ってもらいたい。それについても地域の人に協力してもらって色々な価値観を付けさせたい。
紆余曲折させながら自分のやりたいことを見つけさせるのが重要ではないか。そのための手段として、インターンシップを本校では利用している。
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桑名の場合は医者、弁護士志望の生徒は中学の時から生徒自らが事務所に電話するなどしている。
中には社長業を学びたいという生徒がいるが、その場合、社長に電話して、社長につきっきりで社長業を学んでいる。
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一番の問題は先生の温度差である。普通科高校では、全くインターンシップを理解しない先生、また進路指導、就職担当で一生懸命な先生もいる。この問題をどうやって解決していくべきか。
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ある県の進学者の多い高校の教員もやはり企業でのインターンシップは授業時間がもったいないということを先生方は言っている。しかし、行政インターンシップに抵抗はないようだ。主に夏休みを利用してやっている。また、職員のキャリア教育についての研修が必要ということが言われている。
ある県では、中学校の99パーセントは職場体験を3日間実施している。それについて現在の3日間を5日間にしたいということで、残りの2日間をどうするかについては、商工会議所会員の自動車会社等にお願いしており、いくつか良い返事をもらっている。
大学、専門学校については、地元の新聞社にお願いして、県内の大学、専門学校のオープンキャンパス、特色などを掲載してもらっている。新聞だと保護者と一緒に生徒も見るので、大学、進学者の多い高校へ向けてのキャリア教育については新聞社とも連携している。
企業のメリットに関してだが、そこに就職してくれれば良いが、中小企業では難しい。工業に限ると、市の教育委員会のホームページに建設会社のインターンシップの受け入れ状況について掲載している。これは企業のPR活動にもつながっている。
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進学者の多い高校は授業時間がもったいないということでインターンシップには消極的だが、それは教育委員会が県内すべての普通科の高校に積極的に指導する姿勢が必要ではないか。 |