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資料2

「新教育システム開発プログラム」の基本コンセプト

1.問題意識
 
(1) 中教審の提言

   我が国の義務教育制度は、昭和20・30年代に、学校教育法、免許法、国庫負担法、地教行法、義務標準法等の法令に基づいて、根幹となる制度が整備されて現在に至っている。これらは我が国の義務教育を支えてきたものであり、その基本的な役割が重要であるのは今後も変わらないと考える。
 しかし、それは義務教育制度を現状に安住させればいいという意味ではない。戦後60年を経る中で、制度やその運用の硬直化が生じている面はないか。新たに対応すべきものや見直すべきものはないかなど、常に検証して改革を行っていく必要がある。

 中央教育審議会(中教審)は、昨年10月26日に「新しい時代の義務教育を創造する」(答申)により「義務教育の構造改革」を提唱している。これは、教育行政を
1 インプット(目標設定とその実現のための基盤整備)の保障
2 プロセス(実施過程)を担う市区町村や学校の権限の拡大
3 アウトカム(教育の結果)の検証のための評価の実施
の三要素でとらえて、義務教育を質的に保障しようという考え方である。
 文部科学省としては、この中教審答申を具体化・実現化させることが大きな課題と考えている。

(2) 研究の必要性

   中教審答申を受けて、文部科学省として検討すべき課題はさまざまであるが、今回は特に「プロセスを担う市区町村や学校の権限の拡大」に焦点をおいて検討すべきと考える。
 そこで、以下の現状について「このままでいいのか」と問題提起し、それらに関する理論的・実証的な研究を「新教育システム開発プログラム」として平成18年度より実施したい。

 
学校運営について
 
資源が乏しい現状
裁量が少ない現状
閉鎖的である現状
都道府県と市区町村が、地方教育行政を重層的に担っている現状

2.「新教育システム開発プログラム」の特徴
 
(1) テーマ設定
  1.で述べた問題意識に基づき、文部科学省において、以下のテーマを設定した。

 
テーマ 問題意識
1学校運営と教育条件整備
(リソース)
学校運営に資源が乏しい現状
現場で教材費や図書費などが足りない
地域間格差(特にへき地など)が大きい など
2学校運営の裁量拡大
(権限・責任)
学校運営に裁量が少ない現状
人事・予算等の学校の裁量が少ない など
3地域に開かれた学校運営
(多様な主体)
学校運営が閉鎖的である現状
学校教育に多様な人材や活動が受け入れられない など
4新しいタイプの自立的な学校運営
(地方教育行財政)
地方教育行政を重層的に担っている現状
都道府県教委と市町村教委の関係で市町村教委が十分に力量を発揮できない状況がある など

(2) 「戦略的実施型」と「公募型」の2種類で実施

  (1)で設定したテーマに基づき、以下の2種類の方式で調査研究を実施する。
 
「戦略実施型」
   文部科学省が全国的な規模で調査研究を実施する必要があると認める場合は、文部科学省が調査内容、実施団体を選定し、実施する

「公募型」
   優れた現場のアイデアを活用する観点から、テーマに沿った研究内容と実施団体(市区町村、公益法人、NPO、株式会社等)の公募を行い、実施する

(3) ステアリング・コミッティーの設置
   「新教育システム開発プログラム」の実施主体は文部科学省であるが、このプログラム全体の活動が戦略的かつ効果的なものとなるよう有識者から構成される「ステアリング・コミッティー」を設置する。
 ステアリング・コミッティーは、プログラムの進め方に関して以下のような役割を負う。

 
公募に先立つ基本コンセプトに対する意見
公募案件の審査(公募案件の採択、配分金額は文部科学省が最終的に決定)
それぞれの研究が終了した際の評価の監修
その他、文科省に対する政策提言

(4) 研究成果の還元
   各研究は「やりっ放し」にせずに、その成果に基づき、厳密な評価を経た上で具体的な提案につながることを目指す。

その場合、次の二つの手法が考えられる。
文部科学省は、全国的な制度化にふさわしいものであれば制度改正に発展させることを検討する
制度改正に至らずとも、研究過程で生じた優れた事例については、それを他の学校や地域で再現するためのノウハウを分かりやすく整理して全国に紹介する


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