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(杜)全国学校栄養士協議会説明資料
1.学校における食育の推進の必要性について
朝食欠食、偏食など現在の子どもたちの食生活は極めて憂慮すべき状況にあり、それに伴う肥満傾向や体力低下等が大きな問題となっています。
子どもたちの疾病の一次予防の観点からも、子どもたちに対する食に関する指導を充実させることは、最も緊急を要する国政の最重要課題の一つと考えられます。
また、最近、国や自治体が実施した学力関係の調査において、朝食を摂る児童生徒が摂らない児童生徒に比べて点数が高いとの結果が出されておりますが、このような例をみると、学力向上といった点でも望ましい食習慣の形成は重要であると考えられます。
さらに、正確な情報を選択して安全安心な食材を選ぶ力を育成することや食を通じて地域の産物や食文化を理解することも重要となっております。
折りしも、先般、国会においては、食育基本法が可決、成立したところですが、この法律においては、子どもたちに対する食育の推進を重視し、学校における食育の推進、そのための指導体制の整備などの取組が求められております。
政府においては、法律の施行後、総理大臣を長とする食育推進会議が設けられ、政府全体で食育を推進していくことになると伺っております。また、この法律を受けて、各都道府県や市町村でも食育推進のための取組が進められていくことになると理解しております。
今後、この食育基本法を踏まえて、各自治体や学校では、関係者が相互に連携をしつつ食育を推進していくことがますます必要になっていくと考えております。
2.食に関する指導体制の整備の必要性について
このように学校における食育の推進が強く求められる中、関係の皆様の多大なる御理解とお取組によりまして、昨年5月の法改正により栄養教諭制度が創設され、本年4月から開始されました。
栄養教諭は、子どもたちに対する食に関する指導と学校給食の管理を職務として一体として担うこととされております。
今後、学校において食育を推進する上では、学校全体での食に関する指導の計画の作成、個々の教科や特別活動等における食に関する指導の充実やそれらの体系的な実施、一般教職員の理解と取組の推進、家庭や地域との連携など数多くの取組を行っていくことが必要と考えられますが、栄養教諭はこのような食育推進の取組の中核的な役割を担うものであり、学校における食育の推進に大いに貢献するものと考えております。
早速、この4月から全国で16人の栄養教諭が採用、配置され、それぞれの学校や共同調理場において積極的な取組を行っております。さらに、今年度中に栄養教諭の採用、配置を開始することを検討中の自治体もいくつかあると聞いております。
栄養教諭の採用、配置につきましては、各都道府県教育委員会が判断するものとされてはおりますが、来年度以降、多くの自治体において積極的な取組をしていただくことを強く期待しております。
私どもの団体一同といたしましても、この夏に各都道府県で開催される栄養教諭免許状取得のための免許法認定講習会の受講などを通じて一層の資質向上のための研鐙に励みたいと心を一にしているところであり、今後とも、引き続き、子どもたちの食育に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
3.義務教育費国庫負担制度の堅持と栄養教諭制度の配置改善について
各学校において食育を推進するためには、各学校における指導体制の整備が不可欠であり、栄養教諭等が各学校での食育に十分に関わることができるよう、栄養教諭等の配置の改善が強く望まれます。
そのためには、まず、義務教育費国庫負担金制度の堅持が不可欠であり、この点につきまして御理解を賜りますよう、強くお願いいたします。
各都道府県教育委員会が栄養教諭や学校栄養職員を配置する場合の定数につきましては、これまでの定数改善計画により改善が図られてきたところであり、現在の小中学校等における配置状況はおよそ3校に1人の割合となっております。
今後、全ての子どもたちが、食の専門家から十分な指導が受けられますよう、今後の定数改善について格別の御配慮をお願いいたします。
私どもといたしましては、今後とも、食を通じて、子どもたちの健康の維持増進等に積極的に努力してまいりたいと考えております。今後ともご理解を賜りますようお願い申し上げます。
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