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参考資料15

教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第2回)議事概要(速報版)



 この議事概要は、事務局の責任においてとりまとめたものであり、今後変更の可能性があります。

1. 日時:平成17年6月1日(水曜日)15時〜18時

2. 場所:丸の内東京會舘 11階 「シルバールーム」

3. 議題:
(1) 山形県における少人数教育への取組について(ヒアリング)
(2) 少人数教育について
(3) その他

4. 配付資料:
資料1 山形県における少人数教育への取組について(ヒアリング資料)
資料2 少人数指導・少人数学級の評価
資料3 学級規模の基準と実際[国際比較]
資料4 学級規模等と教育効果に関するこれまでの研究について
資料5 今後の日程について(案)

参考資料1 検討の論点(案)
参考資料2 30人学級等の実施について(鳥取県教育委員会)
参考資料3 今後の児童生徒数の推移
参考資料4 小・中学校の1学級当たり児童生徒数の推移
参考資料5 公立小・中学校の教員1人当たり児童生徒数の推移
参考資料6 小・中学校における週当たり授業時数の推移
参考資料7 教諭の平均教科担当授業時数について
参考資料8 指導方法の工夫改善定数の配置について
参考資料9 公立小・中・高等学校の年齢別教員数(平成17年3月31日)
参考資料10 教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第1回)議事概要(速報版)

5. 出席者
(委員) 高倉座長、小川座長代理、吾妻委員、天笠委員、伊藤委員、梅田委員、大平委員、門川委員、島宮委員、高浦委員、渡久山委員、橋本委員、堀内委員、宮崎委員
(事務局) 藤原財務課長、杉浦初等中等教育局企画官、小熊教職員配置計画専門官

6. 議事概要
事務局による資料説明のあと、山形県教育委員会より、山形県における少人数教育への取組について報告があった。(○:委員、●:山形県)

山形県教育委員会による報告概要)
山形県 山形県において平成14年度以来実施している少人数教育、「さんさんプラン総合推進事業」について説明したい。昨年度までに小学校の全学年について33人以下学級を完成。1学年1学級の場合は非常勤講師を配置して少人数教育を実施している。山形県が全国に先駆け実施。様々な児童生徒の今日的課題を解決するためには、学級規模を小さくすることがよいと考えた。ねらいは「きめ細かな指導のもと、基礎・基本を徹底するとともに、いじめ・不登校など今日的な教育課題を解決を図る」とした。

山形県 生活集団を基盤としながら、いろいろな人間関係の中で多様な学習の場を設定し、きめ細かな指導を行う、また、少人数化することによって、学習面でのねらいの達成だけでなく、日常生活における効果が大きいと考える「温かな人間関係づくり」を目指した。そのためには、多様な指導方法の工夫改善が必要。

山形県 少人数学級を推進することは、TT等の少人数指導を否定するものではなく、少人数指導を包含するものと考えている。一斉指導の中での指導の工夫、学級の枠を越えた習熟度別指導なども可能となった。

山形県 学級規模について、21人〜33人と上限と下限を定めることに特徴がある。当時は適切な学級規模について根拠となるような研究等はなかった。21人は共同学習が効果的に成り立つ最低人数、33人は基礎基本を徹底する個々の学習を保障できる最大人数と経験により考えた。30人という考え方もあるが、予算上の制約等もありこうなった。

山形県 学級規模を小さくしただけの効果はすぐに消えると予想。小規模校から来た教員にとっては多人数となり、多人数を受け持ってきた教員にもその人数に慣れてしまえば当たり前の環境となる。単に少人数化するだけでなく、授業改善によるきめ細かな指導といじめ、不登校等の教育課題の解決を目的として、「何が変わるのか」という受動的な態度でなく、「何を変えるのか」という積極的な姿勢を教員に求めた。

山形県 平成14年度以来、調査研究として山形大学との連携により専門的な見地から研究、実態調査を実施した。個々の児童生徒の変容を尋ねる調査等も併せて行った。教育事務所ごとに継続的な研修を行うとともに、全国・全県へ成果を発信した。本事業の検証と修正に役立つ貴重な意見がもらえた。

山形県 成果の検証は3つの方法により実施。1学力調査、これは標準学力検査と教育課程実施状況調査を利用、2指導方法の改善や人間関係の改善の確認のためのアンケート調査、3不登校、欠席数の調査である。成果の検証とともに目標設定に役立った。不登校、欠席数の減少傾向、学力は上昇傾向が見られた。

山形県 事業を継続するためには、成果が上がり続けることが重要であるが、これを求めるのは学校にも過重負担となる。アンケート調査は継続するものの、学力検査や欠席、不登校数の調査等は、良好な傾向を確認する程度にとどめることとするなど、見直しを行っている。

山形県 本年度からは、中学校1年生でも副担任にするか又は少人数学級にするかの選択制を取り入れており、少人数学級の成果をこれからも活かしていきたい。

質疑応答)
委員 前回協力者会議の報告では、学級を生活集団と学習集団に分けて考えるとされている。山形県はこの方向とは異なって生活集団と学習集団を分けてないが、一方で指導方法の改善は必要としている。そのほかに生徒指導面での効果、あるいは生徒指導面での学年間の違いをどう考えるか。

山形県 生活集団を基盤にしつつ学級経営を行うことにより、児童生徒に対しきめ細かな配慮が生じ、これが学習にも影響を与えると考える。学年間の違いについては調査しておらず、はっきりしたことは言えないが、学年が上がるにつれて学習集団を分け、教科ごとに多様な形態の教育を実施した方が良いのではないかという感覚もある。今年度からの中学校1年への導入に当たっては、少人数学級編制か、重点教科における副担任制と言うことで、いずれかを選択できるようにしたが、少人数学級編制の選択がほとんど。教科全体の指導の規模を小さくするほうが選択されたと考える。

委員 生活集団と学習集団の関係性は重要なテーマ。生活集団と学習集団の一体化を考えたとのことだが、その根本にある生活指導観、学習指導観はどういったものか。犬山市では、生活集団と学習集団をつなぐものとして、生徒が授業の中で学び合い、教え合う「共同学習」を軸としている。日ごろから意識し、日常の生活場面で生活集団をきちんと作ることで、学習集団での学び合いがスムーズなものとなる。特に低学年の場合には、生活集団と学習集団を同一にすることが必要だとのことだった。実際にも学びあいの姿が多く見られた。

山形県 本県のプランのねらいは、学習面のみならず生徒指導上の諸課題の解決。このため、生活集団の中での学び合いに期待。低学年においては生活集団を中心とした学習、中高学年においては、学習集団の多様な形態を取り入れながら個々の学びに対応している。山形大学に授業分析研究をお願いしているが、少人数学級のメリットは、学習の共同化にある、あるいは人数の減少により、個々の子どもの活躍の場が広がり、学びの共同化のチャンスが広がるとの指摘を受けている。人数が少ないと学び合いが少なくなるとの懸念も聞くが、山形大学からも十分に学びの共同化が成立するという研究成果をいただいているところ。

委員 事業実施により必要となった教職員数と費用を伺いたい。鳥取県は総額裁量制により費用を概ねカバーしているとのことだが、山形県は実施が早い分違う推移を遂げているのではないか。また、教職員の確保について、数のみならず質的な観点からも課題がなかったか。

山形県 14年度は非常勤講師を40名配置。当初は7億2,500万円。15年度で9億9,600万円。16年度で振り替えが可能となり6億3,600万円。今年度については、小学校分で県単1億6,000万円。講師は今年度、中学校導入も開始したため、およそぎりぎりの線での確保。今後の採用は、少子化を考慮すると大幅増の必要はなく、現状維持で対応可能と考えている。知事の方針は、橋1本より教育にお金をかける方が重要というもの。財政的にも県の理解を得られている状況である。

委員 額の大幅な減少は、いわゆる総額裁量制の実施によるものか。

山形県 昨年までは緊急地域雇用特別交付金なども当てており、県単持ち出しを抑えることができた。総額裁量制による振り替えによる予算減は確かにある。

委員 質についても回答をお願いしたい。

山形県 本県の教員採用倍率は10倍を超える。こうした状況の中、講師は経験も積んでおり、質の低下の心配はない。教員の質を高める研修等に本務者に限らず講師も参加させ、指導力向上の努力をしている。

委員 あくまでも人件費だけの数字か。非常勤講師で対応されているが、校務分掌、事務負担等を考えたとき、常勤で少人数学級を実施する場合の問題点はあるか。また、教員以外の事務職員等の職種を雇用するということはなかったか。

山形県 常勤で実施する場合の問題点は今のところない。また、非常勤の方が経費は安いが、学校からは常勤の要望が多い。教諭以外の事務職員等の採用は、少人数学級編制とは別と考え実施していない。

委員 学級数の増え方に比べて、増加教員数が少ないのではないか。小規模の学級をまとめるようなことが行われているのか。

山形県 説明が足りなかった。15年度は非常勤講師を15名、常勤を63名採用。16年度は常勤58名、非常勤75名。クラスをまとめるようなことはしていない。

委員 人件費のみであれば、単価が高すぎると思うが数字は確かか。

委員 今日でなくても結構なので人件費がどうなっているか、義務教育費国庫負担金との絡みでお話を伺いたい。

山形県 正確な数字が手元にないので、後日資料を事務局にお届けしたい。

高浦委員より配付資料について説明)
委員 学級の適切な規模、少人数指導等の効果について研究し2つの報告書を作成。適切な学級規模について具体の数字は見いだすことができなかった。また、限られた教科において少人数指導の効果が見られたが、一斉指導でも効果が見られるなど、一つの結論には至らない状況。指導方法の改善が重要。

質疑応答)
山形県 本報告の公表に際し、本県のプランの効果に疑問があるのではないかという問い合わせもあった。少人数学級にすれば効果が上がるものではないことは痛感している。少人数学級導入を機会に、学級・学校経営の改善、指導方法の改善を図ることがポイントである。

委員 非常勤講師対応が増えている。非常勤であっても優秀であれば問題ないとのことだが疑問。学校は生活全般を通して人格形成をする場所である。学力向上のみを目指すわけではなく、非常勤講師にはそれだけの時間的余裕がない。毎時間子どもと接しながら、子どもの成長とともに、教員の質を高めていくには苦労があるが、非常勤講師ではそこまでできない。正規教員を計画的に増加させ、少人数学級を編制していくべき。中学校では、非常勤が増え、生活指導ができず学級が崩れていく状況がある。

山形県 本務者の方が十分な指導がなされることは認識しているが、大量退職時代を迎える中、過剰要員を多く抱えることはできない。事業として実施するため、やむなく非常勤で対応しているが、研修実施等により対応している。

委員 高浦委員に質問。指導法の改善は教師のチームワークが1つの大きな要因だと考えている。教師の集団の柔軟性と子どもの集団の柔軟性をあわせて相乗的に効果を出すことがよりよい結果になると思うが、これを指導法の改善というと教材の工夫などと理解しがちだが、教師集団のチームワークについて、どのような感想をお持ちか。

委員 タイプ6、7の違いは何か。

委員 タイプ6は、新しい単元に入る前に習熟度を確認しグループに分ける。タイプ7は、共通授業をしたのち、習熟状況を確認してグループを分ける。習熟していない子どもを主に対象としている。
 山形県の例では、生徒指導面では不登校やいじめが減ったというが、教師の指導の在り方が変わったのではないか。少人数学級の実施との関連を今後明らかにしていってほしい。

少人数教育について審議)
委員 京都市では平成15年度から中学校1,2年生の35人学級を実施。途中から構造改革特区として市費負担の教員採用が可能となった。生活集団と学習集団を一致させる方が望ましいという判断。生活集団づくりが大切にされている。現在は優れた常勤講師が確保できているが、全国実施された場合は懸念。また、非常勤講師が増えることは心配だが、教員採用が非常に少ない。教科によっては50倍など。教員を目指してやまない人が、非常勤講師として研鑽を積み、10年後の大量採用時代に採用されれば素晴らしいこと。常勤を減らすようなことはあってはならないが、現在の行財政状況の中でベターな方法として、非常勤講師の利用も効果的である。
 40人の学級集団は多すぎる。中学校3年時点で35人、30人学級にして、きめ細かい進路指導をするという提言もあり、多様な方法を研究し、実践しながらよりよい姿を求めていきたい。生活集団を小さくすれば多くの教職員定数が必要になるから、学習集団と分けるという議論は避けたい。定数改善が重要である。

委員 山形県の取組の成果を聞きたい。少人数学級、少人数指導が即ち教育効果につながる訳ではなく、授業の工夫改善が必要不可欠。また、教師のチームワークが重要。複数の自治体の実態は、各学校の担当教諭に丸投げであり、県、市町村をあげて成果をあげようという態度がないと成果が出ない。自覚的に実践に取り組むことが、住民に対するアカウンタビリティにもつながる。県の指導や、教師の授業づくりの姿勢、意識の変容を具体的に聞きたい。

山形県 県からは、少人数になることによってできる教室の空間を活用した工夫や、複式学級における直接指導・間接指導のよさを生かす方法、あるいは、学級が増えれば担任が1人増えるため、学年全体で課題別学習、習熟度別学習、合同学習の実施が可能となるなどの方法について提案している。丸投げにしないために、各学校に取組計画を作成させ、事務所単位で訪問指導しながら評価・改善を行っている。各学校の支援に当たっては、今まで何ができず、何ができるようになったかを具体的に示すように指導している。

委員 少人数学級も少人数指導もそのこと自体はあまり効果がなく、むしろ指導方法を改善すればよいという話が出ているが、一方で、指導方法さえ改善すれば学級編制などの人数は関係ないのではないかということになる。そうすると、評価の方法が違っているのではないか。個別の課題では効果が見えなくても、学校単位で見た場合に効果が見えないか。若い補助教員を複数配置することにより、学校の雰囲気が明るくなり、子どもたちが生き生きしたという事例も聞く。分析的な評価が多いが、学校全体を見る総合的な評価の視点が改善につながるのではないか。

委員 第7次改善により少人数指導の加配が進んでいる。限られた時間の中、打ち合わせをすることにより、指導法の改善の努力が行われているのは成果である。少人数学級の実施に当たっては、下限の設定が必要。正規教員の採用が難しい場合、非常勤講師に対する十分な研修を行い、学校全体で成長させていく必要がある。実際の配置は各学校の実態に応じ、校長権限によって選択することも考えていくべき。

委員 義務教育における課題として、子どもへの教育課程の定着と、いじめや不登校の問題に見られるような学校が楽しくない子どもの増加がある。これらに対応するため、各都道府県は持ち出しで少人数学級・指導を実施している状況。これを国でしっかり負担するべき。画一的に40人学級とせず、校長の裁量でバラエティに富んだ学級規模にできるようにしたい。
 特別支援教育への加配に関連しては、免許を一つにすることにより、定数が減るのではないかとの懸念もある。機能的な学校事務、警備員の配置、外国籍の子どものための教育など、多様なニーズがある。職種等についても抜本的に見直し、検討すべき。財政の問題に阻まれる前に、あるべき姿をきちんと示す必要がある。

委員 学校における生活集団と学習集団は一体不可分。生活集団を少人数化すれば、学習集団も質的に変化する。学級が増えれば教員が増え、課題別学習が可能となるなど、子どもにとってはよいこと。児童生徒の少人数指導、TTへの期待が高い。日本の子どもは自己肯定感が低く、学習意欲が極端に落ちていることを考えると重要な視点。意欲興味関心が高まる。学校全体として見れば、教師の授業改善に取り組む意欲も変わってくる。
 山形に質問。不登校は統計でわかり減っている。いじめなどはなかなか見えにくい。どのように評価されたのか。

山形県 いじめの件数が減ったとは必ずしもいえない。しかし、いじめの発見件数やそれが解消したという報告が増えた。これは以前の調査結果と大きく違うところである。

委員 昨年初めて不登校の件数が減少した。この不登校をどのように解消していくかが大事な視点である。

委員 不登校の減少については様々な取組があって改善されたと思うが、それぞれの事例を整理すればポイントが見えてくるだろう。様々な取組が事態の改善に影響していることを教員が認識することが重要。少人数教育の課題や成果を教員自ら確認することが重要である。近年、学校評価の改善や充実が求められているが、今回報告いただいたものは、こうした観点とは距離がある。少人数教育の評価だけでなく、学校評価というフィルターを通して成果を確かめていくことが必要。組織としての機能や個々の連携、少人数が生む波及的な効果などの検証が重要。

委員 本校も子ども、保護者、進学先の中学校などから学校評価を受けている。複数の教諭での指導は高い評価。子どもたちの自由記述からは、すぐ質問できる、先生がのぞいてくれるなど教師との近さを感じていることがわかる。保護者も少人数指導を高く評価し、安心感を得ている。山形の例でも、チームを組んだ教育への教師の意識改革が授業の改善、指導力の向上に結びついているのではないか。本校は山形から多く視察があるが、教員がさんさんプランを誇らしい顔で話していく。県の教育施策、子どもへの思いを教員自身が感じていることが重要。

委員 少人数学級・少人数指導は効果があるようだが、一律に数字の固定をしない方がよいのではないか。よい教員がいても校長が活かしきれなければだめで、校長の指導力が問われる。責任ある立場にある校長の力量が学校を左右する。

委員 高校は選抜されて入学するため、学校ごとに進学指向、生活に問題が多いなど、課題が様々。学校によって、少人数指導や習熟度別指導の加配の活用の仕方が変わってくる。クラスの編制については上限と下限をある程度明示し、その範囲で学校に任せることが個別課題に対応できてよいのではないか。

委員 学級はもはやホームベースではなくなっており、生活集団の指導はないかというと、そうではなく教科指導を通して行っている面もある。生活集団、学級集団という概念をやめてはどうか。算定基礎は教員1人に対する子どもの比率にし、学校、県の配分数を決め、実際に集団編成は学校に任せてはどうか。

7. 今後の日程
 次回は6月8日17時から開催することとなった。


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