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教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第10回)議事録

1. 日時: 平成17年8月22日(月曜日)10時30分〜13時20分
2. 場所: 丸の内東京會舘 12階 「ロイヤルルーム」

3. 議題:
(1) 中間報告案について
(2) その他
4. 配付資料:
資料1   今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告案)
資料2   今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告案)
(素案からの見消し版)
参考資料1   今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告素案)
参考資料2   教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第9回)議事概要
5. 出席者:
(委員) 高倉座長、小川座長代理、吾妻委員、梅田委員、大平委員、島宮委員、高浦委員、渡久山委員、橋本委員、宮崎委員
(事務局) 銭谷初等中等教育局長、山中大臣官房審議官(初中局担当)、前川初等中教育企画課長、藤原財務課長、瀧本特別支援教育課長、高橋総括教育改革官、杉浦初等中等教育局企画官、茂里財務課課長補佐、小熊教職員配置計画専門官
6. 議事内容

【高倉座長】  おはようございます。ちょっと定刻を過ぎてしまいまして、申しわけございませんでした。
 ただいまから、第10回の教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議を開催いたします。ご多忙の折、しかも朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございました。今日は前回のご論議、つまり中間報告の素案についてご論議をいただきましたその結果を踏まえまして、今後の教職員配置等の在り方についての中間報告案、前回は素案でしたが、今度は案に格上げをしましたので、その案についてご論議をいただき、できればその案を取っていただければと。しかし、そういくかどうかはやってみなけりゃ分からないということでございます。よろしくお願いいたします。
 それではまず最初に、配付資料の確認と説明を事務局、小熊専門官からお願いいたします。よろしくどうぞ。

【小熊教職員配置計画専門官】  それでは、資料の確認をお願いいたします。
 まず、資料1「今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告案)」でございます。第9回、前回いただいたご意見をもとに、高倉座長、小川座長代理、事務局で修正をしたものでございます。これについては後ほどご説明を申し上げます。
 資料2は同じ表題の<見え消し版>でございます。前回の意見をもとに修正をしたところを分かりやすくしたものでございます。
 次に参考資料1でございますが、今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告素案)でございます。第9回会議のときに配付させていただいたものでございます。
 参考資料2 第9回の議事概要の速報版でございます。事務局で取りまとめたものでございます。正式な議事録については、また後ほどご確認をいただきたいと思います。
 以上でございます。

【高倉座長】  ありがとうございました。申しおくれましたが、前回お約束いたしましたように、事前に本日審議をさせていただきます中間報告案が委員の先生方のお手元に届くようにということで、事務局にかなり無理をお願いしましたが、うまく届いてよかったと思います。どうぞ、それをもとにして、十分なご論議をいただきたいと思います。
 それでは、最初に資料1の中間報告案でございますが、それについて今日ご議論をいただくわけでございますが、事務局から前回、第9回の会議からの変更点について、簡潔にご説明をお願いいたします。茂里課長補佐、お願いいたします。

【茂里財務課課長補佐】  私のほうから変更点についてご説明を申し上げたいと思います。恐縮でございますが、お手元の資料2、見え消し版をご用意いただけたらと思います。
 前回、大きく3点について指摘がございました。1つは一番最後にありますように、諸課題への対応が網羅的過ぎるのではないか。アからケまで流れているわけですが、それは網羅的ではないか、もっと整理をすべきではないかというようなご意見。そして、2つ目といたしましては、30人学級が望まれている、そういう声もある中、今回それを導入しない理由をきちんと書く必要があるのではないのか。もう一つは、重複部分など、読みにくい箇所等があるので、誤字の修正と合わせてそれは整理すべきではないかというような、大きく3点かというふうに認識してございます。
 それで、1ページずつ順を追って変更点についてご説明を申し上げたいと思っております。
 まず、1ページをお開きいただきたいと思います。括弧のところの10回というものを入れた上で、真ん中、中ほど下のほうに赤字で修正を加えておりますが、これは若干重なり、その2行上、「40人学級が全国すべての学校で実現する」ということが1つのポイントでございますので、そこと重なりがあるので、修正をしたということでございます。
 そして、2ページでございます。2ページの近年の取組みの17次改善計画で何をやったかということを記述する部分でございますが、まず6次改善のところに触れまして、ティーム・ティーチングが行われるようになったと。7次は学習集団という単位による指導が可能になったというのがポイントかというふうに議論でもございましたので、そこは分かりやすく、くどくどと書いている部分も整理いたしまして、「学級単位での学習指導だけではなく、学習集団単位での弾力的な指導も可能とした」ということに整理させていただいてございます。その他、字句の整理でございます。
 3ページ、お開きいただければと思います。3ページは確か橋本委員からだったと思いますが、総額裁量制の導入の部分で、あまりにも雑に書き過ぎているというご指摘をいただきましたので、まず教育水準の維持向上という部分と、機会均等という理念を掲げた上で、そのために義務教育費国庫負担制度が設けられているということをきちんと整理しろということを踏まえて、以下のように整理してございます。
 あと、16年度の数字を17年度に更新させていただきました。42道府県が45道府県になってございます。
 それから、飛びまして5ページでございます。5ページの(3)これまでの取組みの評価のところを3行加えてございますが、これは前回の案だと「少人数教育は」といきりな唐突でございましたので、これまでの議論の展開を踏まえて「以上のように」ということで、リード文を加えて読みやすくしたということと、あと、中ほど以下の部分でございます。この部分は若干くどい部分を消すと同時に、ナショナル・ミニマムとスタンダード、両方書いてあったわけでございますが、中教審等における議論でナショナル・スタンダードという言葉が使われているということと、あとはミニマムという概念もナショナル・スタンダードの中に包含した概念として考えまして、以下ナショナル・スタンダードで統一させていただいてはどうかと考えてございます。
 続きまして、6ページをお開きいただければと思います。6ページのところ、これは門川委員からのご指摘だったと思っておりますが、総額裁量制の導入により、いいことだけではない、改善を加えなきゃいけない部分もあるんだ。もともと学校現場ということを考えた場合に、市町村の意向というのを反映させるような仕組みについて、その検討をすべきではないかというようなご指摘もございましたので、「総額裁量制の導入により教職員配置等において大幅な弾力化が図られたものの、学校現場や市町村の意向が十分に反映されていないなどの指摘もあり、その運営に当たっては学校・市町村・都道府県間の相互の連携を図ることも必要である」と整理してございます。
 飛びまして8ページをお開きいただければと思います。2番目の今後の取組みという段階に移っていきまして、その最初の(1)基本的な考え方の部分でございます。橋本委員から、知の部分が強調され過ぎている。知だけではないということをきちんと踏まえた上で書くべきだというご指摘がございましたので、その部分を整理いたしまして、「知・徳・体のバランスのとれた人材を育成することが一層重要になっている」という文で書き改めてございます。
 若干、字句の修正を行いまして、下の部分でございますが、これが先ほどのポイント3つのうちの1つでございまして、30人学級を全国一律でやらない理由というのをきちんと書くべきだというご指摘がございました。これまでのご議論を踏まえまして、一応3点があるのかなと。1つは、11万人の教職員が増えるということと、年間約8,000億円、さらに教室の増加に加える経費を合わせますと、莫大な財政負担を強いることになるというのが1点。もう一つは、30人学級編制とした場合に、15人と16人に分かれる。本当にそのような生活集団で切磋琢磨ができるのか、人間性、社会性をはぐくむことができるのかというご指摘もございましたので、それを2つ目。さらには、全国一律ではなくて、学校、学年ごとに抱える課題がそれぞれ異なっているという実態を踏まえて、一律ではなくて、それぞれ柔軟な取り組みを可能にするということが大事なんではないかというようなご議論を理由として3つ整理してございます。
 その後、9ページに続きますが、以下、基本的な考え方の部分を進めるに当たりまして、かなり重複部分が見られましたので、それを整理いたしまして、今ほど申し上げました30人学級を一律に導入しない理由を述べた後、「したがって」といたしまして、「国がナショナル・スタンダードを確立し、地方がその上にローカル・オプティマムを実現するという考え方の下に」、ここは変わっておりませんが、まるの3つを書き加えてございます。さらに各委員からまるの3つ目が学校全体として取り組むことができるようにするとさらっと書き過ぎているので、学校というものを1つの学習空間としてとらえて、柔軟に対応できるというような趣旨が表れるように書き改めるべきだというご指摘もございましたので、そこを書き加えてございます。すなわち以下、これは重複部分、くどいかということを踏まえまして、削除してございます。
 続きまして10ページ、ここは具体的にどのように改正を行っていくかというところに入ってくるわけでございますが、最初の段階で制度の改正という部分がございます。当初案ではaの仕組みの改善とbの標準の改善というふうに整理をしてございましたが、ここはわざわざ分ける必要はないんではないかというご意見もございまして、そこは仕組みということで大きくとらえまして、学級編制に係る算定を都道府県から市町村にするとか、学級編制の仕組みを見直すとか、あと、40人を下回る学級編制は自由に選択できるとか、その3点をそれぞれ並べて書いてございます。bは今までのcをbに格上げし、字句の整理を行ったというところでございます。
 11ページでございます。ここで具体的な定数の改善の部分に入ってくるわけでございますが、この中で門川委員、またその他委員から専門的な職員、ただ単に「学校間を越えたコーディネートが可能」ではなくて、より具体的にそこは書いたほうがいいんではないかというご指摘がございましたので、「各地域が抱える教育上の諸課題に効果的に対応できるよう、専門的な職員を配置し、学校間を巡回するなど」と例示をした上で、「学校を越えた取組みが可能となる仕組みについても検討する必要がある」というふうに改めてございます。
 12ページの部分、これは一番最初に申し上げました3つのうちの一番最初の部分でございますが、諸課題への対応の以下がアからケまでとかなり多岐にわたっており、それが羅列的だと、すべて全部可能になるかというような印象を与え過ぎてしまうのではないのかというご指摘をいただきましたので、柱書きを加えてございます。この中間報告の基調といたしましては、基本的に学校現場がそれぞれの実情に合わせてその課題に対応し、また、その課題に対応するための指導方法を工夫するということでございますので、この場でこれだけが課題だとかいうのがなかなか難しい点がございましたので、そこはある種メニュー方式で、幾つかの今日的な教育上の課題を書き並べました。その上で、各学校ないし各市町村、さらには都道府県がそれぞれの自分の足元の実態を見た上でご判断いただくということになろうかと考えてございます。
 あと、今日的な課題というものを捉えて書かなければ、その改善の必要性というのがなかなか説得力を増さないということがございます。何となく大変だからというわけにはまいりませんので、今日の状況を振り返ってみて、どのような課題があるのかということを整理する必要もあろうかと考えてございます。以上の考え方に基づきまして、柱書きをちょっと読み上げてみます。
 「前述のとおり、現在、これまでの教職員定数改善計画の策定の時期にはなかった教育上の新たな課題が生じている。学校教育の充実を図るためには、これらの課題に迅速かつ的確に対応する必要がある。また、教育上の諸課題は全国の学校で一律一様に発生するものではなく、地域や学校によって必要な体制も異なっている。今後、学校・市町村・都道府県が教職員配置をはじめとした教育条件の整備に自主的・自立的に取り組み、それぞれに課題を克服することが求められる。全国的な見地から考えられる教育上の課題及び対応方策としては、以下のようなものが考えられる」と柱書きを整理させていただきました。
 さらに個別のテーマごとに字句の整理を行いまして、「次期教職員定数改善計画では」というフレーズをすべて削ってございます。その上で、個別の字句の整理でございますが、13ページ、特別支援教育の充実と改めまして、特殊教育というところを特別支援教育にすべきではないかというご指摘もございました。その後続く22万5,000人というのは、LD・ADHDも含んだ特別支援教育ということの数字になってございませんので、そこは若干限定をかけるという趣旨から、盲・聾・養護学校及び小・中学校の特殊学級等に在籍するということに限定を加えてございます。その後続きますように、6パーセントの割合で在籍している可能性が示唆されているわけですが、その具体的な数字はなかなかとらえ切れておりませんので、このような形で現状をまとめさせていただいてございます。
 さらに進みまして、若干飛びますが17ページのキ.学校事務処理体制の充実というところで、確か渡久山委員だったと思うんですが、学校運営協議会というのが抜けているんではないかという指摘がございました。確かにごもっともでございまして、そこは加えてございます。
 18ページ、これは関係課から高校における読書活動の充実が求められていることをきちんと書いてくれという話がございましたので、改めて整理をしてございます。
 教職員の質の向上については、座長をはじめ、いろいろな委員の方々から具体的に検討は進んでいるということのご指摘もございましたので、その具体的な書きぶりということを念頭に、再度書き加えてございます。
 学校評価の部分については、第三者評価と、あと学校自体の自己点検評価という部分をきちんと整理して書くようにというご指摘もございまして、以下改めてございます。
 最後になりますが、21ページの「おわりに」というところ、ここは前回さらっと「これまでも」から入っていたわけでございますが、ここはこれまでの議論を踏まえ、一言で今回の中間報告のポイントを言うとどうなるのかというところを加えて充実を図りました。
 大体前回からの主な改正点は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【高倉座長】  ありがとうございました。
 今、茂里さんからご報告いただいたことに対するいろいろな確認的なご質問等はあろうかと思いますが、ご議論の中で、もしそういったご質問があれば、是非お願いしたいと思います。
 最初に、ちょっと私、聞き損じてすいません。3つの、諸課題への対応の問題、それから30人学級を見送った理由の問題、3番目は……。

【茂里財務課課長補佐】  重複文とか、読みにくい部分とか、字句の整理という部分で、全部一括にまとめてしまったんですけれども。

【高倉座長】  はい。分かりました。ありがとうございました。
 そのほかにもいろいろと先生方、イメージとして持っている問題点、あるいは今日議論すべき課題等々あろうかと思いますが、それはまた後ほどご発言の中で表明していただければと思います。また、私もまとめのところでそのあたりについてマネージさせていただきたいと思います。
 それでは、ご議論をいただく方法でございますが、まず最初に大きな1番、これまでの学級編制及び教職員配置の改善施策等という7ページまででしょうか、ここのところ、それから今後の取り組みのところは基本的な考え方、ここのところをやや中心的に考えて、具体的な方策につきましては、先ほどかなりご丁寧に説明をいただきましたので、それを踏まえながら議論をいただくと。最後におわりにということにつきましても、前書き等々との関連も重視しながら、最後に締めていくというようなことになろうかと思います。幾つかに分けて考えていきたいと思います。
 それでは、最初に大きな数字の1番、これまでのというところ、6ページまででございますが、そこについてご意見を頂戴したいと思います。この前、十分にご意見をいただきましたので、初めからずっと見ていきまして、もう一遍ローラーのかけ直しをするというような、前回と同じような方法で進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。そうしますと、1ページのところ、これは回数を入れたのと、それからこれにより云々ということを削除したということですね。トートロジーといいますか、同じことの繰り返しにもなるということで、整理をしたということですが、この整理も含めて、従来の取組み、(1)、それからその次、近年の取組み、第6次、7次について説明がなされており、2ページ目の第6次、7次につきましては、まず前半のほうは簡潔に書くと。それから、後の消してしまったところというのは、9ページに第8次の考え方というようなことに関連して出てきますので、2度出てくるのはいかがかということで削除してあるということになろうかと思いますが、1ページ、2ページ、このあたりをめぐって、ご意見いかがでございましょうか。
 どうぞ、高浦先生。

【高浦委員】  私もこれ送ってもらって全体を見まして、なかなかよく苦労されてよくできておると思っておるんですが、ただ、その中で、全体的に見たときに、少し説明不足とか、もう少し充実してほしいというところが何カ所かあるんですが、そのことに関連して、この2ページから探すと、第7次の計画のところで、「学級単位での学習指導だけでなく、学習集団単位での弾力的な指導も可能とした」ということは確かにそのとおりで、これにより、20人程度の少人数指導が可能となったというんですが、これが第7次の受け止め方が一定してないんですよね。20人程度の少人数指導が可能になったのは確かなんですが、そうすると、ほかに、例えば習熟度別指導とか、ティーム・ティーチングとか、いわゆるきめ細かな指導という点についての指摘がないんですよね。つまり、弾力的な指導も可能としたということですが、その上の文章の学習集団単位での弾力的な指導を可能としたということは、実は少人数指導など、きめ細かな指導ということの一環としてこういうことが出たんですよね。そのことでできたのは、20人程度の少人数指導が可能となったというんですが、えらいこれが後で思うと随分高く評価されておるんですよね。
 私の感じでは、そんなにそれは言うべきことでもないような気もして、むしろきめ細かな指導という点とか、指導形態のいろいろな工夫とか、いろいろな指導形態が見られるようになったということのほうが大事であって、あまり20人程度の少人数指導ばかり強調すると、少しぐあいが悪いのではないかという気がして、ここのところはそういうことで合っていますが、後にもなるんですが、6ページの最後のまとめのところにいくと、個に応じたきめ細かな指導とか、少人数教育の充実とかがポンと出てくるんですよね。そうすると、きめ細かな指導というのは一体何だったのかなと、どこにも定義もないんですよね。何のためにそういうきめ細かな指導をしたのか、私はここに第7次改善計画の資料を持ってきたんですが、そこには基礎学力の向上を図りという目的と、きめ細かな指導というのはこういうことだという例示が少しでも書いてあるんですよね。それで、私はこの中間まとめから、これから私が引用するところをどこかと思って探したときに、こうだというポイントがはっきりしないんですよね。そんな気がちょっとしたもんだから、ちょっと舌っ足らずというのか、加える方向で書いたらどうかなという気がしています。

【高倉座長】  ありがとうございました。先ほど茂里さんのご説明もありましたように、このあたり、簡潔に整理したので、簡潔過ぎたのかもしれませんので、若干、これまでの丁寧にといいますか、あんまりたくさんというわけにいきませんが、必要不可欠なものは取り組むような形で、やや丁寧に書き込んでいくというようなことをさせていただければと思います。ありがとうございました。
 その後ずっと、今、高浦先生おっしゃってくだすったその次のところで3行ほど消しておりますが、そこのところで一律的な改善ではなく云々というようなところ、これは確かにそのとおりなんですが、それと同じような表現が第8次、今回のをめぐって9ページにまた出てまいりますので、逆に何遍も出てくるのは煩瑣でもあるし、あまりスマートではありませんので、これはカットして、後のほうできちっと書いてあるということで、これはいかがでしょうか。特に問題ないでしょうか。加えた部分とカットした部分と両方ですね。
 それでは、一旦また見ていって、またいろいろなご意見が後から出てくると思いますので、2ページ、3ページのところの総額裁量制の導入ところにプレアンブルがついているわけですね。これは橋本先生からのご指摘でしたが、この場合は学校教育法第5条の設置者負担主義から書き始めたというのは確かにそのとおりなんだけれども、もうちょっと思想的といいますか、内容的というか、本質的、憲法的といいますか、そういうふうな書き方が必要なんではなかろうか、吾妻先生からもそういうご意見をいただいておりますので、こういうふうに整理した、これいかがでしょうか、橋本先生。

【橋本委員】  前回のいろいろな各委員の意見を本当に取り入れていただいて、このようにおまとめいただいてということで、大変ありがたく思っております。
 私は今の3ページのところではなくて、2ページに戻らせていただきたいと思います。今、ご意見がありましたが、私も同じような意見を持っております。この2ページのところで、「実際の学習指導では教科等に応じて20人程度の少人数指導が可能となった」というふうになっているんですが、現状をちょっと申し上げますと、各学校においては、1教科または2教科程度が少人数学習指導が実施できるようになっているんですね。ですから、このような記述になりますと、ここでは教科等に応じてとありますから分かるんですが、本当に全教科、またはかなり多くの教科が少人数学習指導ができるようになったのかなと思われてしまうといいますか、そういったことは現状はあまりないということですね。まだ少人数学習指導ができてない学校もかなりありますので、それだけの配置がされていないということがありますね。ですから、先ほどティーム・ティーチング、習熟度に応じた指導、それから少人数学習指導等、きめ細かな学習指導が可能になったというようなことで、何かもう少し丁寧な記述が必要ではなかろうかということがありましたが、それはとても大事なことだと思っております。誤解を招かないほうがいいのかなと思っています。
 それから、3ページのところでは、総額裁量制の導入についてこのように記述していただきまして、前回よりもさらに分かりやすくなったというふうに思っております。国が何をせねばならないのかということがある程度理解ができて、しかもという形でまとめられているのでよかったかなと思っております。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。そうしますと、2ページのところは先ほど高浦先生のご指摘のように、ここのあたり、あまりにも簡潔にまとめ過ぎたので、やや誤解を招くかもしれない、あるいは説明が不足しているかもしれないというような一連のご指摘と思いますので、そのあたりにつきましても、また事務局とご相談しながら、最後の詰めをさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 橋本先生、3ページにつきましてはこういう形でよろしいでしょうか。
 どうぞ、大平先生。

【大平委員】  3ページの下から3行目の段落ですが、「その結果、上記学級編制の弾力化と相俟って、全国的に40人を下回る学級編制が進み、平成17年度には45道府県において全学年又は一部の学年で少人数学級が実施されている」とあります。この表現だと、道府県単位でもって全校が全学年または一部の学年で少人数学級を実施していると受け取られるのではないかなと思います。実際は、4ページの表1の2で書かれているように、実態に応じ一部の学校で実施しているという県が相当数あると思うんですね。前回、ヒアリングのときにご出席いただいた山形県などの場合には、この表記でもよいと思うんですが、実際全国的に見ると、一部の学校において行われているという実態ではないかと思います。そういう意味で、この表記ではちょっと誤解を生じないかなという懸念を持っております。

【高倉座長】  そのあたり、表現の問題ですので、工夫をさせていただければと思います。
 渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】  今のもあまり興味なかったんですが、議論がありますので少し言わせてもらえれば、3ページの最初の中に「40人を下回る学級編制基準の設定が可能になった」とありますよね。そういうようにして、40人を下回る少人数学級なり少人数指導なりが可能になったといえばいいのではないでしょうか。20人という言葉がどうも何か強烈過ぎますね。実態から少し離れているのではないですか、率直に申し上げて。今の4ページの表から見ても。ですから、3ページのあれを参考にして。
 それから、3ページの総額裁量制の導入について、これは別に書けというわけではないんですが、意見という形で、それをやることによって、ここにもありますように、都道府県ごとに平均給与の単価が算定されるんですね。そうすると、教職員の給与、あるいは賃金は各都道府県によって違いが出てくるというようになっていますよね。これは意見によっては必ずしもそうであっていいのかというような部分があるんですね。例えば同一労働、同一賃金ということであれば、地域のいかんにかかわらず、同じような仕事をしているから同じ賃金でいいのではないかという考え方もあるんですね。だが、しかしまた地域の地場賃金からの相対化をしていくと、地場賃金に呼応すべきではないかという意見もありますが、そういう同一労働、同一賃金という考え方も1つあるということで、3ページのここについては、特に書いてほしいというよりは、そういう意見が1つありますので、それだけはご理解いただきたいと思います。
 それから、5ページにこれまでの取組みの評価というのがありますね。これで、ここにも少人数指導とそれから少人数学級について2つの方法があって、どちらが効果的なのかをめぐって議論があるというんですけれども、これは議論は確かにあるんですが、ただ、ここでは評価ですから、私はもっと積極的に各現場の選択によるというような積極性が必要ではないかなという気がいたします。議論というと、何かちょっとネガティブな感じがいたしますので。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。それでは、40人を下回るという表現と、前のページにある20人程度というのは、こういうのというのは具体的な数字で示しますと、何かその間に違和感があるような感じも出てくるんでしょう。そのあたり、後ほどまたいろいろとご相談させていただきますが、茂里さん、何かご意見ございますでしょうか、今の40人と20人の話というのは。

【茂里財務課課長補佐】  そこは高浦先生おっしゃったように、本当の大目的は何かというのは、きめ細かな指導という部分だったわけでございまして、この報告書自体が最終的に第6次、7次のこれまでの流れを踏襲しという基本的な考え方に基づいているわけですので、そこは丁寧に書きたいと思っております。

【高倉座長】  ありがとうございました。それから、5ページの2つの方法があり、どちらがより効果的なのかをめぐって議論がある云々、これは最初のころの会議のときに、高浦先生からもデータに基づいて、あるいはその他に基づいてご発言があったところと記憶しておりますが、高浦先生、この議論があるというような表現、このあたりはいかがでしょうか。

【高浦委員】  ここは、私がそう思わずにすっといって、これはとにかく議論があって、両方いいんですよということを書かれているんですよね。だから、ここは私は気にならなかったんですが、どうもナショナル・スタンダード、ローカル・オプティマムというのがやっぱりひっかかるんですよね。つまり、報告書全体の考え方にも影響することなんですが、私がこれを読んだ限り、第8次はとにかく学校にすべて任せる。だから、それを補助するのが市町村ですと一方で言いながら、国としてきめ細かな指導とか、いわゆる少人数指導と少人数学級と、それから、いろいろな教育課題が出てきたので、それに対応する必要があるということを言うんですが、その兼ね合いですよね。
 そうすると、結局ここで言うのは、国が義務教育を継続してその効果を上げるために、教員加配半分を維持するんですよというのが、しかも、教育条件はそういうナショナル・スタンダードというから国の教育水準ですよね。そのもとで、地方が今度はいろいろな方策をして、それぞれ地域でいい案を出してしなさいよということだろうという気はするんですが、そのときに、9ページの、「したがって、次期教職員定数改善計画」というところを見ると、こう言いながら、そして学校でもしっかりやりなさいよと言うもんだから、どっちをより重く見ていくのか、ナショナル・スタンダードとローカル・オプティマムというのが何か違和感を感じるんですよね。そうすると、そういういろいろなことを言わずに定数だけつけて、後はいいように使いなさいというのか、何かするんだからこれも使いなさいよと言いながら、いや、それも選択肢に入れてくださいよと言っている気もして、何が言いたいのか、ちょっとこの文章が分かるようになって、何のためにここに入っているのか、後にも入ってくるんですよね。これがあるばっかりに、ある意味では後の具体的な提案がしぼんでくる気がするんですよね、私は。そんな気がちょっとここでして、議論があるということは確かに議論があって、両方効果があるし、両方やりましょうという形で来ているわけですよね。

【高倉座長】  ありがとうございました。議論があるということをこういう表現で用意して原案を出させていただきましたが、今までのディスカッションですと、議論があるというのはどちらがすばらしいかということについて確定的な証拠というものがまだ出てきていない。それからもう一点は、そういった成果、評価といいますか、それはまさにこれから始まる作業ではないかということがディスカッションされましたよね。そのあたりを議論があるということで取りまとめた。それから、今カタカナ書きのことにつきましては、これまでも若干、先生、前回お休みになりましたときにもいろいろ議論がございましたが、その中では、何とか片仮名書きをやめられないかというような話が主でしたね。それについて、これまで中教審の親委員会といいますか、総会、あるいは初中分科会などなどで、ナショナル・ミニマムではなくて、ナショナル・スタンダードという言葉を盛んに使っていると。それから、ローカル・オプティマム、これは初中分科会で使われ始めたのではなかったかと思いますが、寺島委員がこれまでのローカル、ナショナル、両方スタンダードで考えるのをローカルの場合にはオプティマムと、このほうがより適切だろうと、そんなことで、最近こういうふうな流れ、全体的に中教審の議論の流れもこういうことだということで、それにのっとっていると私は理解しておりました。ただ、あっちでもこっちでも出てくる、使われている回数があまりにも多いのでいかがなものかという議論を内部でやりまして、若干は削ったところがあるわけですが、それは削るか削らないかの話でもって、もうちょっと本質的なものとはちょっと違う。そのあたりも、今それを議論しますと大変なことになると思いますので、もう一度最後に総括して、その議論ができればと思います。ありがとうございました。
 続いて、どうぞ橋本先生。

【橋本委員】  3ページのところになりますが、総額裁量制の導入についての直していただいた部分については先ほど申し上げたとおりですが、先ほど渡久山委員が指摘されたところがありますが、下の「このため」から「活用ができるようになった」そこのところの6行にわたってです。ここで、実際はそうであっても、ここまで記述してしまっていいのかどうなのかと思います。その前の「都道府県の主体的判断が尊重されるような工夫が必要となった。その結果」という形で、ここの部分要らないのではないかと思ったんですね。これを入れることによって、各都道府県ごとに教員の給与が変わるというようなことが出てしまう。これが今一番大きな課題になっているわけですよね。いわゆる総額裁量制の導入によって、本当に都道府県で教職員の給与が変わっていいのかどうなのかという。やはり国で基準を決めないにしてみても、隣の県と隣の県で全然違うとか、そういったことが起こると、今懸念されている教職員の人材確保のこと等々、全部かかわってくるわけですね。根本的に揺らいでくるわけです。ですから、この6行を検討していただきたいと思いました。
 それから、下から2番目のところですが、45道府県または市町村において、いわゆる市町村で取り上げているところがありますよね。道府県全体で行っているところはまだ本当に若干だと思うんですね。この文章ですと、都道府県でどんどん推進をしているというふうに思われてしまうことがあると思うんです。市町村のほうが実施しているのは多いのではないかと思います。そういったことを思いました。
 以上です。

【高倉座長】  後の発言は先ほどの大平先生のご発言と内容的に一致することですね。前半のところは非常にデリケートなところがあろうかと思いますが、また事務局のほうとそのあたり詰めて考えていきたいと。それから、なお、今公務員給与の改革というのがいろいろ議論されている中に、地域給与制というのか、そういったこともまた出ておりますし、そういったことの関係で言うと、一体どういうふうな表現がより今日的なのか、そういった点も私、勝手にそういうふうに感じているわけですが、また専門的なご意見も伺いながら、一番適切な表現になるように整理したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、5ページ、6ページ、これまでの取組み、前の素案の場合にはこれまでのというのはございませんでした。取組みの評価とずばっと出ていましたが、これまでの取組みの評価というように丁寧に書きまして、議論のところが出てまいりました。それから、6ページ、総額裁量制により云々ということで、さらに後のほうは同じですが、6ページに「また」のところが挿入されているわけですね。ここで学校・市町村・都道府県の相互の連携を図ることの必要性を書き込みました。ただ、またこれは最後にいろいろとご意見をいただかなきゃと思いますが、学校、校長の裁量ということも盛んに言われたと。しかし、校長が代われば180度変わってしまうぞというようなご発言もあり、やはり設置者あるいは市町村との連携、これが大切だと。で、最後に、そうは言うけれども、都道府県の役割、機能というのをどう考えるんだと、そこのところもやはりきちっと書いておかなくてはいけないのではないかというお考え、小川先生からきちっとそういうふうなご発言もいただいておりますし、そういうことで、相互の連携を図ることも必要であるという、そのとおりなんですが、そういった書き方をもうちょっと強めてもいいのかどうかというようなご意見もあろうかと思います。また後ほどそういう基本的なことはお伺いしたいと思います。一応よろしいでしょうか、もう少し進んでいきまして。
 それでは、8ページ、今後の取組み、ここで前回非常にいろいろなご意見をいただいたのが基本的な考え方でございますね。いろいろここで工夫をしていただいておりまして、ここでのきわめつけは8ページの一番下の段落で、30人編制の実現を望む声が強いけれども、しかしながら、事実できないんだということ、それは非常に難しいんだということの理由を3つに分けてここにきちっと書き込んでいるということですね。ここが一番のポイントかと思います。ここのところの文章表現なども含めていかがでございましょうか。なお、ここのところに関連して、この前吾妻先生から少人数学級も可能なんだというような、そんな含みといいますか、少人数学級はできないんだということではなくて、少人数学級も可能なんだというような表現、あるいはそんな中身がどこかに書き込まれるといいというようなご発言があったように、私はメモをしてませんが、そんなことを含めて、特に8ページの下の段落ですね。
 その前に上のほうの段落で知・徳・体、知だけに偏重するということ、知・徳・体・食なんて、食育が出てきまして、食欲ではなくて食が出てくるかもしれませんが、あるいは前の文部大臣の森先生だと、知・徳・体はけしからんと。徳・知・体と言えと、体・徳・知と言えというようないろいろなご意見もあるようですが、知・徳・体というのは普通言っている言い方ですから、これでいいのではないかと思います。
 一番最初の「国際的なグローバル化」というのは、「国際的にグローバル化が進展し」なのか、「国際的なグローバル化」、どっちでも形容詞として使うか、副詞として使うかの話ですが、これはどうなんでしょうかね。
 気になり始めると、いろいろと気になりますが、後ほどまた内部でディスカッションさせていただきたいと思いますが、やはり一番の問題は一番下のパラグラフですね。赤い色でもって新しく書き込んだ部分ですが、3つの理由で書いている。財政的な理由、それから2つに分けてしまったときの問題ですね。さらに地域によっていろいろと課題が違うんだということですね。1つの現場主義でございますが、この3つで、全国一律に引き下げるという画一的な取り組みにはしないということをきちっと書いてあると。ここの書き方、3つの理由でこれを説明していると。ここのところが非常に大きなポイントでございますので、ここについてどうぞご意見を頂戴できればと思います。
 どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】  これ、基本的な考え方で、私は非常にいいと思いますね。ここまできちっと説明したほうがいいと思う。特に、ヒアリングの中ではほとんどの関係団体が40人以下学級、あるいは30人学級、あるいはもっと少人数学級ということで随分皆さん主張していらっしゃいましたから、それを協力者会議としてもきちっと議論をしたというようなことの経過というのは非常に必要だと思いますね。しかし、今の国家財政の膨大な財政負担というのがこのようにして出てくるからということでやっていって、同時にまたそこで一定程度の国際水準というのが示されておりますから、その中で良識的な人が読めば、日本はまだ少人数学級への取り組みについて国際水準に達していない不十分さというものがよく分かると思うんですね。これが財政規模の問題だ。これ以上踏み込めないと思いますが、私ならもっと、これはまさに政府の政策選択だというぐらいな思いはあるわけでけすが、ここまで書いていただいたことはいいと思います。あとの2つの理由はあまり理由にはならないと思いますが、まあ、いいのではないでしょうか。それが1つです。
 それからまた、ナショナル・スタンダードの問題、あれは僕は率直に申し上げてやめたほうがいいと思うんですよ。確かに義務教育特別部会では出ていますが、それで今パンフレットができていますが、あれにはナショナル・スタンダードという言葉は出てないですよね。教育水準と出てるんですよ。やっぱり水準という分かりやすい言葉がいいのではないですかね、国民的に。ローカル・オプティマムは地域における最適な状態と訳していますから、状態だからオプティマムであったと思うんだけれども、地域におけるいろいろな選択の可能性ということを考えたときに、必ずしもそういう状態を表すというような、何か英語の持っている意味をあえて強調して、広がった意味に使っているから、何かそんな感じですね。なかなか訳しにくいと思うんですが、そういう状態という形にとらえないで、選択だと。だから、地域における創意工夫という感じにとらえたら、あえてカタカナを使わなくてもいいのではないかという感じがするんです。これは全体に流れていますから、そこまでやっていくかどうかという気がいたします。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。先ほども申しましたように、中教審絡みの他の答申、あるいは報告書、あるいは取りまとめなどなどでもかなり頻繁に使われていたというような認識で一方ではおるわけですが、今先生から、いや、それが大分遠のいているといいますか、後退しているというような印象を含めたご発言をいただいたわけでございます。ちょっとそのあたりも整理していかなければと思いますが、いかがでしょうか。茂里さん、何かご意見ありますか。

【茂里財務課課長補佐】  ほかの状況も見ながら、どういう言葉が良いか事務局でも検討してみたいと思います。

【高倉座長】  もともとこういうディスカッションをするときに、ナショナル・スタンダード、ローカル・スタンダードという言葉で話をしていたのが、いや、ローカルの場合にはオプティマムが適切だという寺島先生のご発言というのが非常にききまして、それ以来、全体としての言葉づかいのトーンがこういうふうな形になってきていると私はこれまで理解していたわけですが、そのあたり、何かございますか、山中審議官。

【山中審議官】  例えば義務教育特別部会の審議経過報告ですが、この中で、国と都道府県、市町村、それぞれの役割と関係と、そこのところを整理する中で、特に義務教育に焦点を絞りまして、まずナショナル・スタンダードを設定して、それが履行されるための諸条件を担保する。そういう観点から国が学校制度の基本的な枠組の設定とか、教育内容に関する全国的な基準の設定を行うという国の役割というものを言うためにナショナル・スタンダードという言い方をしております。そのもとに、都道府県、あるいは市町村がどういう形で学校についての施策をやっていくのか。地方はそれぞれの地方の実情に応じて、主体的に教育の質を高め、ローカル・オプティマム、それぞれの地域において最適な状態を実現するという流れでございまして、そういう文脈でナショナル・スタンダードが国の役割、そういうスタンダードの中で、それに基づいてやっています。その中で、それぞれの地方がそれぞれの地域に合った形での最善の教育を行うというローカル・オプティマムという役割分担といいますか、そういう流れで今まで総会、あるいは義務教育部会で使われてきたと、その言葉を受けて、ここでもそういう流れの中で使っている。あくまでも義務教育というものの中での国の役割と地方の役割。

【高倉座長】  私は初中部会で最初に使われ始めた……。

【山中審議官】  地方分権の会議でかなりこの言葉は……。

【高倉座長】  分かりました。どうぞ、高浦先生。

【高浦委員】  私も最初から言っておるのは、今のことは分かるんです。ところが、それを実質化する文章を探すときに、例えば9ページのまる3つありますよね。このまるはどっちを言うのかという、これはナショナル・スタンダードを確立して、ローカル・オプティマムを実現するという基本方針があって、では、まる3つ書くのは、これはナショナル・スタンダードを確立して、あるいは確立するために、次期教職員定数改善計画はこうですよと。そうすると、一番下のまるは、結局ローカル・オプティマムをしっかりやれということですよね。そういうことを支援する。いわゆるまる3つはどれを言っておるのかという問題がいつも残っていて、私が危惧するのは、一番最初のまるに、きめ細かな指導というのがありますよね。2番目のまるに、より多様な指導形態や指導方法というのがあるでしょう。3つ目のまるは「教育課題に柔軟に取り組むとともに学校の設置者がその取組を支援できるようにする」、この3つのことがどういう関係でここに出ているのか。
 私はそれの関係があるんですけど、それとともにきめ細かな指導、より多様な指導形態、指導方法というのは一体何のことを指しておるのか、何のための目的かというのがないんですよね。そうすると、前のページを見ると、知・徳・体のバランスのとれた人材育成のために、きめ細かな指導やより多様な指導形態、指導方法、それから設置者が取組支援ということになるのか、第7次のときには生きる力ということがあったんですよね。今回は知・徳・体のバランスのとれた人材という、その目的のためにきめ細かな指導をしなさい。では、きめ細かな指導とは一体何ですかという。それから、より多様な指導形態、指導方法というと、それがここで初めて文章が出てくるんですよね。あるいは、ここに書いてあることは何をイメージしているのか。
 私は個々に今度自分で引用しようと思ったときに、ちょっと引用しても何のことですかって聞かれたら言いようがないんですよね。きめ細かな指導ですよというと、実際にはどんなことを考えておるんですか。より多様な指導形態、指導方法って、同じことではなかったかなという感じもして、よりきめ細かな指導の一環として、より多様な指導形態、指導方法があったし、それから、少人数学級はありませんでしたが、少人数学級も含めて少人数教育という言葉が上に出てますよね。だから、しかもこれは5、6ページのこれまでの課題と取組みの評価と実は一体になった文章なんですよね。それで私はきめ細かな指導、このまる3つの説明なり、充実をさせてほしいんですよね。そうしないと、適当にきめ細かな指導をしなさいというと、地方のほうで校長さんが、私はこれがきめ細かと考えた、それがきめ細かな指導になるのかどうか、そうすると、それがナショナル・スタンダードを確立して、ローカル・オプティマムを実現するという方針に沿った考えなのか、あるいは国はもう少しこういう条件で使ってくださいと、いろいろ学校はあるでしょうけれども、とりあえずこういうことはまず最初に考えてくださいよということを書くのかどうか、そこを僕はちょっとはっきりしないんですよ。くどいんですけど、上のまる2つは少し内容を指示したような言葉でしょう。一番最後のまるは何も指示してないんですよね。要するに学校がすることを支援するんですよということだから、内容を規定してないんですよね。ここは一番大事な気もして、少し文章を補足したり、目的から書いてほしいなと思うところなんです。

【高倉座長】  ありがとうございました。まる3つの流れの問題ですが、一番上は諸課題云々ということで、12ページ以降から出てくる諸課題の対応、ここのところをまず最初に述べて、その次はそれぞれの実情に応じて、諸課題よりももっと具体的なといいますか、よりそれぞれの地域・学校に即した実情に応じて。ただ、きめ細かいとか多様なという、ここの表現をどうするかというのは、ちょっとまた議論しなきゃならないと思いますが、諸課題、実情というのはそういうことで、第3番目のまるというのは、ちょっとそれとは違う説明の仕方で、誰がやるのかという取り組んでいく主体を単なる学校ではなくて、学校全体として取り組んでいくんだという形で述べていた。その場合に、設置者がそれに対してどういうふうな対応ないしは協力・連携等々するのかということをここで書き込んでおこうと、こんなことですね。ですから、これにさらに都道府県の役割等々が後で出てくるわけですが、全体としていえば、学校が主体だと。現場主義とはそういうことでしょうね。現場主義のことをとりあえず設置者と学校とのセット、しかも学校全体という形で書き込んでおいたということですね。
 どうぞ、お願いいたします。島宮先生。

【島宮委員】  今のまるの3つ目なんですが、なかなか理解しにくい文章であると。「学校が学校全体として教育課題に柔軟に取り組む」ということと、学校の設置者による取り組みの支援、この2つを組み合わせた文章だと思うんですが、最後の「できるようにすることを基本として取り組むことが必要と考える。」これは、誰が必要と考えているかよく分からない。この辺も整理をもう少ししていただいて、意味が明確になるようにしたほうがいいと思います。
 それから、まるの2つ目ですが、「自主的・自立的」という文言が出てくるんですが、「自立的」の「立」は「立つ」でよろしいでしょうか。文章内に何カ所か出てくるんですが、律するほうなのか、立つなのか、この辺もしっかりと調整していただきたい。

【高倉座長】  これは前に混乱していたのを全部「立つ」に統一したんです。自律のほうがよろしいですか。

【茂里財務課課長補佐】  補足説明をさせていただきますが、「リツ」は自ら律するのほうと、自ら立つほう、両方あるんですが、律するというのは、自分で自分の方向性を律していくということを強調する。自ら立つというのは、独立して、自分の考えに基づいて自分の責任のもとにやっていくんだというところを強調したい。辞書のほうでもその違いが見られました。
 あと、地方団体からよく出される要望書等を確認しますと、むしろこっちの「リツ」のほうが多かったわけでございますので、できれば学校現場が自らきちんと責任を持ってやるというような議論がこれまでもございましたので、そういったことから、立つのほうに整理をしてございます。
 それと先ほど高倉先生からお話がありました件、何のためにやるかというのはごもっともな話なんです。それはお話の中にもありましたように、「基本的な考え方」の一番最初の部分、「知・徳・体のバランスのとれた人材を育成」ということが一つ、ポイントと、その大目的のために何をするかというのは、「今後の」というフレーズが真ん中以下にありますが、今後云々のところで、教育の内容とともに条件についても当然整備を進めるんだと。具体的に教育の条件をどう進めるかというのがその後につながってくるわけでございます。
 確かにまるの3つの関連性というのは分かりにくい部分もありますので、ここはちょっと工夫したいと思いますが、あくまでも、これまでの議論にないことは整理できないので、議論にあったことをベースに整理いたしますと、1つ目のまるは、教育上の諸課題、要するに今日的な教育の課題に、きちんとそれを見過ごさないで対応していきましょう。そのためには、質、量ともにきめ細かな指導ができるような体制が必要だという考え方。2つ目には、その際には一律ではなくて、それぞれいろいろな事情がありますので、そういったものに対して弾力的に対応できるような手法であるべきだということ。これはなおになるのかもしれませんが、その際には、今までは学級王国という、学級の概念にとらわれがちであったけれども、それを集団化するなり、また学年を越える、学校を越えるというような広がりを持った取り組みがこれから必要だという考え方を簡単に表そうとしたところが、もうご議論があったわけでございまして、それを簡単にし過ぎたところがありますので、若干そこは補足して、整理をし直す必要があるかと考えております。

【高倉座長】  ありがとうございました。「自立性」の「リツ」は「立つ」か「律する」かというのは、ちょっとこれまでも字が少し行ったり来たりしたところがありますので、もうちょっとそのあたりも腰を据えて、どっちの「リツ」を使うかということを決めていきたいと思います。
 3番目のまるについても今ご説明いただきましたが、3番目のまるについては前回、吾妻先生から、取り組み諸課題に対応していく主体というものの具体的なイメージが分かるような書き方をというご指摘がございましたので、ここのところで、こういった形でそれに応えたわけですが、取り組むことが必要と考える、ここまで来るとちょっと分からなくなってきてしまうという話ですが、全体として、また整理をする作業をしたいと思います。しかし、もう今夜、徹夜でということになるかもしれませんが、それはともかくといたしまして、どうぞ、宮崎先生。

【宮崎委員】  8日の議論に参加していないものですから、送っていただいたものを読ませていただいて、非常によくまとまっているという印象を持ったんですが、私も引っかかったことが幾つかあって、今のところでいきますと、最初の8ページの第一表明のところは、やっぱり気になったんですね。「国際的なグローバル化が進展し、世界的な大競争時代を迎える中、」と書いてあって、何の競争時代、国際的なグローバル化って何だという気になりました。このトーンだと、知の世界的な大競争時代を迎えるというのがここで書きたかったものなんだろうなと。特に後段の部分の、いわゆるPISAの問題とか、そういったことを踏まえていらっしゃるので、それと、前の8日に、注を書き過ぎるというご意見があって整理されているんだと思うんですが、ここは少し気になったんです。
 それから、8ページには、具体的に30人学級ができない理由が書いてあって、9ページのまる3つが書いてある。実はその部分は、これまでの取り組みの評価と今後の課題について具体的に6ページの6行でしっかり書いてあるので、この部分とまる3つが関係するのかなと思って見たんです。最初のまるは後ろと関係をするんだろうと、先ほど説明があったので分かったんですが、前との関連をきちんと整理しておく必要があるということだろうなと思ったんです。
 あと、気になったのは、「ナショナル・スタンダード」と「ローカル・オプティマム」という言葉がたくさん散りばめられていて気になりました。これは率直に気になったということで、むしろ最初の総論のところでは、まず、まだそれでもいいかな、5ページで書いてあるものについては若干まだよかったんですが、後ろのほうが何度も出てくるように、この言葉を使ったために、何を整理するかという視点が少しぼけてしまうのではないかという気がいたしております。
 最後に、実は各関係団体からのヒアリングがあったときに出てきたことで、特に少人数指導にするか、少人数学級にするかというのは、校長の意見具申を受けて市町村、いわゆる各設置権者が判断をしていく仕組みに多分なるんだろうと思うんですが、このときの校長の裁量とか、意見具申とかいうような問題は、ここでは整理しなくていいんだろうかというのが6ページあたりに、書くとすれば今後の課題で書けるのかなと思うんですけど、そのあたりはどんなふうに整理をしたほうがいいのか。これは関係団体からかなり出ていたことですので、ここは入れるか、入れないかも含めて少し協議をしていただきたいところです。

【高倉座長】  ありがとうございました。幾つか固めなきゃなりませんが、8ページの最初の行に「知の」というところ、知だけ前面に出てきているのではないかというご指摘があったために、「知・徳・体」というのが後で出てきて、前の「知」は取った。しかし、おそらく先生の今のご意見ですと、もう知のこれはあっていいんだと。後のほうも、それはそれであっていいんだ、そんなことなのかなと思いますが、その前に、「国際的な」なのか、「国際的に」なのか、このあたりはどっちでもそのとおりだと思いますが、どちらがより適切なのかちょっと考えてみたいと思っております。
 ナショナルとローカルの話、確かにたくさん出てまいります。若干たくさん出過ぎるので削ろうということで、若干は削りましたが、これだけ残っている。しかし、使い慣れない言葉というのは、使っているうちに定着してくるんだという面もありますが、一方から言いますと、過ぎたるは及ばざるがごとしということもありますので、そのあたりの調整につきましても、あるいはナショナル、ローカルと言いながらも、その何についてナショナル、ローカルということを言っているのか、何でもありというようなことでいいのかどうか、そんなことも含めまして、ちょっと最終的に事務局と調整をさせていただきたいと思います。
 それから、ヒアリング絡みでもって、特に校長の具申権云々というのでも、ここのディスカッションでも、委員の先生方から、校長の具申権の話というのは出てまいりました。具申という言葉は特に表現する自体は使っていないけれども、校長ないしは学校と設置者との連携協力とか、そういう形の中に押し込んだような書き方で統一してあるわけでございますが、やはりどうしても校長の具申権というのかどうか。それに対して、この前の議論、先ほどの蒸し返しになりますが、校長が代われば、学校経営の方針も180度変わるというようなことがある中で、校長の具申権ということだけ前面に出していいのかどうか。もう少し連携、その場合に、くどいようですが、都道府県の役割、機能のことも念頭に置いて考えよう、そんなことにだんだんおさまってきたのかなと思っております。その辺につきまして、茂里さん、具申権の話につきまして。

【茂里財務課課長補佐】  具申権、具申とか、協議同意とかいうのは、法制上どう整理していくかの過程で出てくる話なのかなと。基本的な考え方は、学校現場の判断が尊重される仕組みということに尽きてしまういのかなと考えています。
 それで、9ページのまる2つ目のところの自主的・自立的判断云々というところは、基本的な方向性として、今のお話がありました具申のことも念頭に置きつつ、そこは基本的な方針としてまとめた上で、具体的には次の9ページの真ん中、中ほどちょっと上ぐらいに、具体的には云々と書いた後、学校現場の判断で学級編制が弾力的に実施できるよう現行の仕組みを見直すことについて検討を行うと、一応そこは整理をさせていただいているつもりでおります。

【高倉座長】  これはちょっと確認ですが、地教行法でいう、具申権、内申権、任命権というのは教員の人事に関することであって、どういう指導形態、あるいはどういう課題にどう対応するかというようなことについての話ではちょっとないような気がします。何でもいいから設置者に対して物を言うのが具申権なんだということでは、そのあたりは制度論としてはどうなんでしょうか。人事権ですね。

【茂里財務課課長補佐】  人事権の具申でございます。それは地教行法上の人事権に係るところの校長の具申権ということでございますので、具申なのか、協議同意がいいのか、その他、それは、設置者は市町村ですので、設置者と学校の関係をどう整理するかという法制度の問題がこれから出てくるかなというなんです。

【高倉座長】  宮崎先生、確かにヒアリングのときにも具申という言葉は出ておりましたし、ここでのディスカッションの中でも何人かの委員の先生方から、「校長の具申」という言葉もお聞きしたことは確かでございますが、具申という言葉が人事に絡む、人事具申、内申、任命というような一筋のテクニカルであったというような考え方もあるようでございますので、それよりももっと、とにかく意思疎通というものをしっかりやりましょう、協力をしっかりしましょうという、そこのところが書き込めるようなことでまとめればどうかなと思っております。また、ちょっとこのあたりも事務局と最後の詰めをさせていただきます。そんなところです。
 どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】  9ページ、3つのまるがあります。私は私なりに理解したんです。一番最初のまるというのは、可能とする条件の改善というような感じで大きくくくっていたのではないかなという気がするんです。
 2番目のまるははそれでいいと思うんです。それぞれの多様な指導形態、あるいは指導方法を学校で自主的・自立的に展開する。
 3番目のまるは、それでいいんですが、ただ、「ことを基本として」という「こと」が3つを一緒にくくるとすれば、「以上のことを基本として」とすればもう少し分かりよくなるのではないかなという気がいたします。「以上のことを基本として取り組むことが必要である。」とすればいいのではないかなという気がします。
 それから、今、宮崎先生が言われたのは、次の10ページの学級編制のところで随分書かれているんです。校長の具申権というのは、今、座長が言われたように人事の問題だと思いますから、学級の編制については、それぞれが責任を持つということは必要だと思いますが、一番、日本の場合、学校現場の責任といいましょうか、権限が非常に弱いんです。ですから、この際、本当にそうするなら、もっと学校現場に権限が移るようなことが非常に大事ではないかなという気がいたします。ですから、ここで書かれていることで書ききれているかどうか、読み方によっては、書かれているようでもありますし、しかし、そうでもないような気がします。ただ、ここで「都道府県に権限を与え」という場合、私は率直に申し上げて、今の教育行政の中で都道府県の権限というのは、形は非常にあるんですが、実態としてどうなんだろうかという気がいたします。それよりは、もっと設置者である市町村、もちろん高等学校は都道府県が設置していますが、そういう義務教育に関しての設置者である市町村の権限というものをもう少し大きくし、現場の裁量権をもう少し大きくするというようなことが非常に大事ではないか。いつも申し上げているんですが、なかなか動かないのが学校の管理規則なんです。これは学級編制の問題ではないのですが、管理規則がなかなかハードで、なかなか動きにくいんです。ですから、それを動かさなければ、権限がきちんとしないのではないかという気がいたしますが、表現上はそれでいいと思いますが、とにかくもう少し学校現場の裁量権を増やす、自由度を増やすということをしていかなきゃならないのではないかという気がいたします。そういうことを前提にして、校長なり教職員なりとの、それと行政との関係を考えていくべきではないかという気がいたします。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、宮崎先生。

【宮崎委員】  すいません。私の言い方が若干舌足らずだったために、ちょっと誤解を招いたと思いますが、実は6ページの下から3行目、「学校の裁量をいかに高め、市町村や都道府県の判断をどのように尊重していくかについて十分な考慮が必要である。」と書いてあって、9ページの具体的な方策のa)の先ほど茂里さんからご説明いただいたところ、学校現場の判断で学級編制の弾力的な実施ができるように現行の学級編制の仕組みを見直すことについて検討を行うべきだと、ここでよく分かるんですが、実は学級編制の弾力化、あるいは特に少人数学級にするか、少人数指導にするかについては、これまでは具申をして対応していくという考え方だったので、どちらかというと、学校現場の判断というのがこれから非常に強くなってくることになるんだと思うんです。そういう仕組みをつくらなきゃいけない。そのことから考えたときに、もう少しトーンが、非常に文言的には難しいんだと思うんですが、学校裁量、責任の所在も含めてですが、対応する必要があるんだということを書く必要があるんだと思うんです。その点では、その上の行に現行制度を見直して、学級編制に係る学校や市町村教育委員会の権限と責任の強化をする必要があると書いてあると言えばそのとおりなんですけど、この制度をやるためには、相当学校の責任が強くならなければ実現できないでしょうね。その部分を少し強調しておく必要があるのではないかと考えたという意味だったんです。

【高倉座長】  ありがとうございます。その点、非常に大切なことでございますが、今までのディスカッションの中で、学校の裁量というものを中心に、あるいはそれにできるだけ力点を置いていこうという考え方が強調される。それは確かにそのとおりです。しかし、一方では、設置者、あるいは都道府県の役割がどんどん消えていってしまうのではないかという意味合いで、学校、市町村、都道府県の協力関係、あるいはバランスという言葉、そういったバランス感覚的なご意見というものもかなり多く聞かれたということも事実です。ですから、そのあたりをどう腹ぐくりをして、アクセントをつけていくのか。いずれにしても、これまで十分に考慮されなかったこととして、学校の裁量、あるいは裁量権という言葉が正しいかどうか分かりませんが、それをこよなく大切にしていこうということは全体として異論のないところだと思います。ただ、その場合に、くどいようですが、設置者やら都道府県の役割、機能というものとの関係をどう調整していくか、そこも重要に考えなきゃならない。

【宮崎委員】  それは十分理解した上で。

【高倉座長】  その辺の書き方について、さらに。
 吾妻先生、どうぞ。

【吾妻委員】  ただいまの学校の裁量といいますか、その辺のことは何度か話題になって、多分、私と門川委員とが学校任せではというお話をしたかと思うんですが、それは実態を申し上げまして、いろいろ学級編制を含めて人事関係の仕事を進めていく上で、学校現場の本当の状況を把握しないでは、都道府県教育委員会との話はうまくいかないわけでして、そこは手前みそになるかもしれませんが、地方の小さな町ですけど、教育長をやっている立場で申し上げますと、市町村の教育委員会と学校現場は比較的近いといいますか、一緒になって物事を考えているわけですけど、一番問題は、市町村レベルと都道府県の関係がなかなかうまくいかない。よく国の規制が強いとか、上意下達とかという言葉がよく出てくるわけですが、現場から見ると、都道府県の規制なのか、国の規制なのか分からないことがたくさんあって、実は都道府県と市町村の関係がなかなか難しくて、学級編制あるいは教員の加配問題などについても、県の首がどちらに向くかで市町村に配当する教員が相当違ってくるというようなことで、むしろ私は今回の中で強調してほしいのは、学校の現場はもちろんですけど、学校の現場イコール市町村はかなり近いという前提の中で都道府県と市町村の関係について強調していただいたほうがありがたいと思っております。
 もう一つは、完全に学校をということになると、それでうまくいかない学校も全国津々浦々考えていくとたくさん出てくるわけでして、これはちょっと物の言い方、奥歯にものがという言い方で悪いんですが、学校にはそれぞれの顔がありまして、現状がありまして、やはり市町村の教育委員会と学校というのは、ある意味では非常に一体的にやっていかないとうまくいかないと私は認識しております。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。これは、文書を表現していく場合にめり張りをどうつけるかということと同時に、バランス感覚をどう発揮するかというのは非常に難しい問題があろうかと思いますが、いろいろ貴重なご意見をいただいてありがとうございました。
 一たん予定した時間でいいますと、あと30分しか残っておりませんが、若干延長しなければならないと思います。一応最後まで読み切っていきまして、もう一遍、必要に応じて戻らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 いろいろな問題を含めて、いろいろ貴重なご意見、ありがとうございました。
 9ページの最後の「具体的方策」のところ、制度の問題と、その後の定数改善の方向等々です。特に12ページの諸課題への対応がいろいろとご意見があるところと思います。ご意見があるところは、一つ一つの課題のグループについてのご意見ということと同時に、この前から出ている羅列的云々というようなことがうまくここで解消されているのかどうかということです。12ページの頭のところにプレアングル、前書きをつけて、そこを解決するような努力を事務局でしてくださっておりますので、そのあたりをプリントを見ながらご意見をいただきたいと思います。
 9ページの下から、具体的な方策のところで、制度の問題、それから義務教育の条件整備についての、ここのところでまた、これは大きく直したわけではございませんが、国と都道府県の役割が出てくるわけですね。
 それから、都道府県の努力ということで、特に10ページ、11ページの中ごろまで、これにつきましては若干柱立てを変えたというところでもって、大きな変更はないわけでございます。ナショナル・スタンダードなどの文言の話はまた後でするとしまして、ここは特に大きな変更はございませんが、ここのところはいかがでございましょうか。
 さらに教職員定数の改善ということで、改善の方向のところ。12ページの「諸課題への対応」の前までのところ、いかがでございましょうか。
 どうぞ、高浦先生。

【高浦委員】  読ませてもらったので気がついたところなんですが、なかなか苦労されて、よく文章ができていると思うんですけど、「改善の方向性」、11ページです。これが、いわゆるこの議論に出ていた原資をどうするかとか、そういう話にも及ぶと思うんです。
 私は2点お願いしたいんですけど、ここの改善の方向性というときに、今後の改善定数とか、改善数をどうするかというときに、その際、きめ細かな指導のための規模、それから指導形態・方法ができるような規模の教職員配置ということがあるんですけど、その際、仕組みというのがありますね。そうすると、ここで書かれた原資というのか、何人ぐらいというときに、この規模の問題をすると、一体どのくらいの規模があれば、きめ細かな指導とか、指導組織ができると考えているのか。前の定数の第7次でしたら、こういうことを書くときに、1つの基本は、前の30人にするとパンクするとかいうこととともに、今後、40人定数をすると何人ぐらい見込まれて、それをこっちの原資に充てるとかいうことが少しあるんです。ここには具体的にどの定数を改善に当てるかというのがはっきりしていないということが1つと、それから教育課題ということをあちこちで使っておるんです。
 文書を作られて大変申しわけないんですが、例えば一番先には、私が思ったのは、6ページに帰るんですけど、ここに、LD・ADHDなど第7次のときにはなかったような今日的な教育課題の対応も必要となっているという部分があります。先ほどのまる3つで見ると、一番目は、学校現場が抱える教育上の諸課題というのがあるでしょう。3つ目のまるは、また学校は学校全体として教育課題に取り組む。区分けされているのがあるんですが、そうすると、ここのLDとか、第7次のときになかった教育課題というのは一体どこに出てくるのか。そうすると、これが個々の、私は11ページのところに出てきたような気もするんです。こういう第7次のときになかったような課題にも対応するように考えなきゃいけませんよと。そうすると、これは改善の具体的な方向性ですから、そうすると、これが実は前のまる3つを実質化するということなんです。
 私は、ここで言う課題ということがあちこち出てきますので、第7次で考えていなかったLD・ADHDとかの課題はどの文章に出てくるのか。それから地域や学校、生徒の課題とちょっと区別されておると思うんです。そういう問題が1点です。
 それからもう一つ、大きな問題は、「改善の方向性」のところで、例えば今の定数で教員を充てるときに、第7次に、教員1という国の補助の定数で非常勤を活かすようにするのか。今後は、定数からは非常勤はしないというのか、そういう問題がここにない気がするんです。山形とか、随分議論が出ましたが、定数1で、条件というときにいろいろ話題があったようです。そうすると、ここで改善の方向性でまず原資にする規模の問題が出ていますけど、この規模からすると、どのようにして定数の規模を決めるのかという問題と、それから、その規模から出された改善数というものは非常勤等のものを充てるのかどうかという問題、これを書いていないとあべこべになるのではないかという気がして、私は、それは踏襲するんだろうと思うんですけど、そうすると、第7次のときのような定数の扱いもここで少し書いたらどうかなという気がしたんです。

【高倉座長】  2点ございました。ありがとうございました。前半の新しい課題というものがあちこちに出てきて云々というようなことで、第7次のときになかった課題が云々というのは6ページの話です。具体的にどこに出てくる。これは12ページ以降のところに幾つか出てくるということで、それで……。

【高浦委員】  その前に。

【高倉座長】  これは、前には、特にこれが最初に出てきて、それを具体的に12ページ以降で書いている。
 非常勤の話につきましては、事務局からご説明ございますでしょうか。どうぞ、茂里さん。

【茂里財務課課長補佐】  3点あったと思います。まず、原資、極めて現実的な話になるわけですが、それは以前、この場の会議で、例えば自然減は幾らなのかという話で、マイナス9,000人ぐらいという話が出たと思います。その前に、現実的な線でこれを考えていった場合に、どういう方法がいいのかと。30人学級を導入した場合には年間7,800億円かかる非現実的な政策であるということを言っておりますので、その裏を返せば、大体どのあたりが原資になるかというのは想像できるのかなと。ただ、求めたいところはどこかというと、一番最初に書いてありますOECDの部分を引いておりますので、そこは理想を保ちながら、どこまで現実的な路線で第一歩を歩むことができるかというのが1つ、考え方なのかなと。
 ただ、先生がおっしゃったように、ここで数字を書くということになると、では、その数字の根拠という話になってしまいます。ただ、例えば自然減がマイナス9,000人あるから、それを全部活用するんだというのではなくて、今日的な課題があって、それを積み上げていった場合にどのぐらいになる、数万規模になるのか、その部分はこれから具体的な中での調整が必要なってくるのかなと思っております。なかなかその数字を書くのは厳しいかな、それが1点でございます。
 もう一つ、課題の部分の話がございました。ごもっともです。そこは、まず考え方としては2つ、大きく分けてございます。学校や地域ごとの課題というのが1つ、もう一つは、教育上の諸課題という書き方をしてございます。それを2つ大きく分けた上で、教育上の諸課題の中に今日的な課題というものを加えてございます。その心はと申しますと、この間、これまでご議論いただきながら、話が出てきている、特に今日的な課題という部分に対してピンポイントで対応していかなければいかんだろう。それがきめ細やかな指導のもう一つの中での考え方なんだろうという話もございましたので、もう1回、精査しますが、考え方としては、課題の使い方はまず大きく2つ、地域や学校との課題と教育上の諸課題と分けた上で、今日的な課題というものを引き出したいがために、教育上の諸課題の中で整理をしていくという流れに一応してございます。
 非常勤の話は、確かに7次改善計画のときの報告書に出ておりまして、そのときは、定数崩しという新たな制度改正を行ったわけでございます。それを1つ、目玉として書くのかなと。ただ、今回その制度は引き続き残るわけでございますので、それを活用しながら、実際の運用は、基調に流れております現場の考え方で、それを選択していただくことになるんだろうということで、あえてそこは書いていないのが今のところの状況でございます。

【高倉座長】  ありがとうございました。

【高浦委員】  気持ちは分かるんです。ただ、第7次とかのところは残るんだろうというところがどこに出ておるのか、全体として。私なんか、これを見るときにそういう頭で考えるんですけど、文章でどこかないと第7次のこの計画を踏襲するんですとか、基本に、ベースにあるんですということがどこかにないと、きめ細やかなとか、書いたからといったって、生きる力というのは出てこないですよ。知・徳・体のバランスのとれた人材ということでしょう。それは違うんです。
 それから、新たな教育課題ですから、そこは基本的な考え方のところかどこかにこれを書かないとという気がします。
 それから、最初の数字は、私もそうこだわるのではないですけど、例えば第7次を見ると、ご存じのように、例えばこういうのがあるんです。「児童生徒数の減少に伴う学級数の減少に連動して教職員の定数が減少する、いわゆる自然減が今後も発生するという状況は変わらない。」数字ではない。だから、これももし第7次の踏襲ということになれば、必要なくなる。つまりここにない、いろいろな議論は、これが生きておるんだということになるんだから、そうすると、今回、第7次のときになかった、新たな課題がありますね。それが加わって、しかも新しいことは、学校現場というから、学校長と市町村が中心で、県がその補佐に回る、それが大きいところだと私は思うんです。ちょっとそこのところは気持ちだけでは、どこかに一文ないとちょっとという気がするんです。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、橋本先生。

【橋本委員】  11ページの「改善の方向性」のところです。ここに個に応じたきめ細かな指導が徹底できるような規模等々が書かれているわけですが、この個に応じたきめ細かな指導が最後のまとめのところにも、21ページでしょうか、「おわりに」というところにも、「学校教育の充実を図る方策として、個に応じたきめ細かな指導の徹底が不可欠とした上で、」と書かれているんですが、何のために個に応じたきめ細かな指導の徹底が必要なのかということが、8ページにまた戻ります。今、高浦先生からもお話があったんですが、8ページに、「知・徳・体のバランスのとれた人材を育成することが一層重要になっている」という文言を入れているわけなんですが、この文言はここきりないんです。最後のまとめに至るまで何も出てないんです。
 なぜこのように入っているのかということは、先ほど宮崎委員から、1行目の「世界的な大競争時代を迎える中」、何の世界的、何が大競争時代を迎えるんですかという、知のというところがないではありませんかということでご指摘があったわけですが、私は、知がとても大事、それはよく分かっているわけです。でも、それだけではないでしょうということで、この義務教育の年代というのは何を育てなければいけないのかというようなことで、先ほどの知・徳・体のバランスのとれた人材を育成するということが出されているんですが、それがここ以外どこにも出ていない。ですから、そのことをただ単に、個に応じたきめ細かな指導とか、指導法や指導の充実、指導法や内容の充実でしょうか、そういったことが出されているんですが、それは方法論であって、何を育てるのか、どういう資質を身につけた子どもたちに育てるのかという大きなことがあって、そのためにこういうことが必要ですということがより具体的に出されるのがということを思っているんです。それが繰り返すようになりますが、どこにも出てこない。本当に大きな、どういう子どもたちを育てていくのかという、次世代を担う子どもたち、どのような子どもを育てていくのか、そのためにこういうことが必要だというようなことが、そういう記述が必要かなということをずっと最後まで読んでみて、そのように思ったわけです。方法論は幾らでも出ているわけですが、そのことがありました。
 それから、あとは本当に細かいことになってしまって申しわけないんですが、3ページの下から2行目、ここで先ほど私のほうでは、都道府県または市町村という記述が必要でしょうなんていう話をしたわけですが、ほかのページ、6ページの下から2行目の記述、それから10ページの下から12行目、これは今の3ページの下から2行目と同じところなんですが、それ以外に、11ページの「教職員定数の改善」と書かれたところから、さらに上に2行目、これは市町村教育委員会と都道府県教育委員会の連携が必要、これはいいんですが、それ以外に、11ページの上から5行目、12行目、この記述の仕方です。特に3ページ、6ページ、10ページ、ここの場合に、例えば市町村や道府県とか、記述の仕方を一緒にしたほうがよろしいのではなかろうかということです。それ以外に、使い方がいろいろありますが、そちらを整理されたほうが読み手にとって分かりやすいのかなと思いました。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。前半のことは非常に大切なことでございますが、前半のところを丁寧に書いていきますと、これ全体が義務教育の在り方についての答申を書くみたいなことになってしまいますので、そのあたりは、初中分科会、あるいは義務教育特別部会等々で進んでいる議論のエッセンスの部分だけを使わせていただいて、やや簡潔に書いてあるということで、今、先生ご指摘のような、やや説明不足の感があるかもしれません。そのあたり、そういった説明不足にならないように、なおかつ簡潔にというようなところのバランスをとりながら、また事務局と相談させていただきたいと思います。
 後のご指摘の部分は、市町村と都道府県等々、それのかかわりをどう書いていくか。言ってみれば、学校と市町村と都道府県が3つ出てくるわけですが、そのときでもって学校にポイントを当てて、学校の裁量権にポイントを当てて物を言おうとしているのか、あるいは設置者なのか、それとも都道府県の役割をここで尊重して云々ということなのか、そのあたりを何にウエートを置いて、そこの説明をしているのかということも十分に念頭に置きながら整理をさせていただきたいと思います。

【橋本委員】  追加で申しわけございません。知・徳・体のバランスのとれた人材を育成というようなことについては、全体にということではなくて、11ページ、または21ページ、このあたりに少しでも触れることによって最初のところが生きるかなと思いました。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。
 どんどん時間が過ぎていきますので、大変申しわけございませんが、一旦ずっと読み切っていって、また戻りたいと思っております。
 今、11ページまでのところについてご意見を伺ってきたわけですが、ちょっと11ページの一番下のところ、その際、学校間の巡回云々という、この巡回について、「巡回」と書いてあることについて、もう少し具体的に書かれてはいかがかという吾妻先生のご意見がございましたので、巡回をただ巡回云々ということではなくて、各地域が抱える云々、専門的な職員を配置し、かなり思い切って書いていったわけでございますが、専門的な職員という表現で何をイメージするかということもあろうかと思いますが、吾妻先生、こんな書き方でいかがでございましょうか。ここはちょっと確認しておきたい。
 それから、専門的な職員を配置しというところで、これはわざわざ例えばというようなことを書く必要があるのか、ないのかということもあろうかと思います。事務局、茂里さん、専門的な職員というのは具体的に二、三、イメージしている職種等々を考えるとどんなこと。

【茂里財務課課長補佐】  ここは2つ、話があったかと思っておりまして、要は、学校を越えて、地域でちゃんと対応できるようにしたほうがいいというのと、限られた財源の中で、効率的にそれ活用するためには、これは門川先生のお話なんですが、もっと学校間をちゃんと面倒見るというような専門的スタッフというような位置づけを検討していく時代になっているのではないのかという、2つのご意見があったかと思っています。それを踏まえまして、より具体的に後を書くようにというご指摘もございましたので、具体的に書くとなると、専門的な職員ということしかないのかな。それが例えば指導主事なのか、教員として、例えば門川委員からありましたように、兼務という方法もあるかと思います。そういったことはこの中から考えられるのかなということを思っております。

【高倉座長】  吾妻先生、よろしいでしょうか、ここのところの表現。

【吾妻委員】  結局、理想は各学校に全部配置になれば一番実態に応じて、だけれども、そういうことは多分不可能だと。せめて教育委員会とか、あるいは幾つかの学校を兼務してとかということで、教員がそれぞれの学校の実態に応じて配置になればいいのかなということでの話だったと思いますが、記述はこうなるかなと思います。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、宮崎先生。その次に、渡久山先生。

【宮崎委員】  今のところです。11ページの新たに加えられた部分ですが、この書きぶり、学校間を巡回する、巡回指導が現実に今、始まっておりますので、そういう点では、書き込みができたというのは大変ありがたいことだと思って、これは6ページの「さらに」と書いてある、第7次でなかった、新しい課題への対応という点では目玉である部分であろうかと思うんです。LD・ADHD、高機能自閉症、あるいは始まった食育の問題ですとか、キャリア教育などではかなり活用できる場面だろう。ただ、専門的な教員を配置する云々ということに関して言えば、その地域の独自性などがありますので、これを自由に活用できる仕組みを残しておくといった形でよろしいのかと個人的には思っております。

【高倉座長】  渡久山先生。

【渡久山委員】  この部分は、先ほど吾妻委員が言われたように、定数配置をきちんとすることを前提にして、必要な職員については巡回と考えないと、逆に定数減らしのための便宜的な措置という形になったら困るんです。今、栄養職員だったら兼務していますね。ですから、兼務校があったりして、そうすると、主務校にはなかなか行けないというのが現状なんです。だから、十分に食育指導なんかできない状況ですから、それを前提にして回せばいいだろうという話ではないと思いますので、よろしくお願いします。これはもう既に最後までいいんですね。先生、もう後ろまでずっといいですか。

【高倉座長】  12ページ以降、諸課題の対応に入って。

【渡久山委員】  16ページに司書教諭の問題があります。ここは非常に大事だと思います。特に国語力、言語力が非常に不足していて、読書離れが進んでいるという状況の中で、僕は司書教諭の定数化は必要で、書き込んであるのはいいと思います。高等学校の場合もありますから、これを専任化していくというのはいい。ただ、司書教諭とはいうんですが、教員免許状の司書教諭はないんです。みんな国語の教員とか、あるいは他の免許状を持っていて、司書のための数単位を取って司書教諭になっています。だから、これも司書教諭という形の制度化というのが必要ではないだろうか。これはここでの議論ではないかもしれませんが、意見として言わせていただければと思います。
 それから、19ページに研修等のための定数を書いていただいて、これは非常によかったと思います。確かに今、専門職大学院ができても、現場を離れて研修することは非常に厳しいんです。それでいて、研修は大事だなんて言われる。しかし、研修条件がない。研修の場の条件がない。そういう意味では、これを書いていただいて、あとは、何パーセントぐらい配置されるかが問題なんです。ですから、これは本当にそういう意味では定数法のきちんとした改善ができないという状況が今あるとすれば、最大限、そういう形で現場での条件を整えることが非常に大事だと思います。
 それと同時に、研修、これは法定研修、行政研修が中心になっていますが、もっと研修の在り方というのは検討されるべきだと思います。もしもここでこれぐらい19ページに研修を書くなら、研修の在り方、特に10年研です。せっかくできたんですが、果たして今のままでいいだろうか。また、初任研もそうなんです。例えば初任研の、2人も学校でもらったら、それこそ指導教員を含めて、非常に学校現場は忙しいだけではなくて、子どもたちへの指導にも影響が出てくるのが現状なんです。そうでありましたら、そういう研修にまつわっての定数問題は非常に大きな課題ですので、是非ともお願いしたいと思います。
 それから、20ページの学校評価があります。ここでは何かというと、自主評価について主に書かれていますが、先ほどの学校協議会の話もありますが、なかなか開かれた学校づくりが難しい。そうであれば、より客観的な第三者評価というものをどうしても持っていって、学校の評価の妥当性を考えなければ一方的な評価になりかねないということもありますから、より客観的で妥当な第三者評価の検討ということは必要ではないかと思います。これは「おわりに」に書いています。僕はこれでいいと思いますが、今度の定数の協力者会議の1つは、30人学級を含めて40人学級をもっと学級規模を縮小するんだということが一等最初の議論になっていましたが、財政的な事情でできなかったという非常に苦渋の結論というか、決断をせざるを得なくなってきたわけで、次期教職員定数改善については、学級規模の在り方等を含めて、縮小と書いたらまたいろいろあるかもしれませんが、学級規模の在り方等を含めて改善する。それと同時に、ここに今、国際的な問題も前には出ていましたが、終わりのほうには、国際的な水準等も勘案しながらということも記述していただければ非常にいいと思います。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。先生がおっしゃってくださいました司書教諭の問題につきまして、これはどう書こうかということをいろいろと途中で協議しました。やはりこれは現行制度のところでまとめていくべきだろうと。司書教諭を独立した職種として、例えば栄養教諭とか、養護教諭のような独立した職種として確立する云々というのは、教員養成部会の仕事が専決だろうということで、ここでは特に書かないけれども、とにかく読書指導のための措置はしっかりやろうということで、これは処理させていただきました。
 最後におっしゃってくださったことは非常に大切なので、私も気になっていたんですが、今まで例えばこの議論の中で、とにかく第9次改革の前倒しという言葉も出てきたほどに、第9次改革へのステップとか、ジャンプとか、あるいは希望やら励ましを与えるような表現なり内容が欲しいというご意見がございましたが、それは、特にそこまでは書き込んでいない。そのあたりをどうするかということについてのご意見を、例えば「おわりに」のところで何か書き込めないかというご指摘かと思いますが、今までの流れから言うと、確かにそのとおりで、わざわざ落としたわけではありませんが、そこまでといいますか、それについて触れるかどうかということもディスカッションをまだしている最中でございます。
 どうぞ、高浦先生。

【高浦委員】  その評価の問題で、私も「おわりに」にあるんですが、今のご趣旨は、僕は出ている気がするんです。19ページのところです。個に応じたきめ細かな指導の徹底と、それから指導形態・方法、指導組織の効果的なことかどうかを見る。そして、その結果を次に必要となる教育施策の実現に役立てる。僕は、この文章がそういうことも含めてやっておるという気がしたんです。ただ、この文章は、この評価と学校自体の評価が2本線になっている気がするんです。というのは、学校がする教育の質的な向上を図る評価というのは一体、ここで言う次の教育施策の実現のきめ細やかな指導とかいう、この評価と、学校がする評価は同じことなのか、違うことなのか。学校の教育の質の向上ということで、僕はちょっとパラレルになった気がするんです。そうすると、私が最初イメージしたのは、国がこういうことをして、専門的な見地から国もしますと。実は学校もそれをやってください。そういうデータをまたすべて拾い上げて、次の施策に行くんですということを考えておったんですけど、「また」のところが、「また」が別の評価主体が動き出したような気がして、これは大きなこの委員会のそれこそPlan・Do・Check・Actionになる気がするんです。ちょっとこれは別な気がするものだから。

【高倉座長】  施策評価の問題と学校全体としての評価の問題というものがちょっとここで渾然一体というよりも、混じっていると。そのあたりの仕分けをする。今非常に積極的なご意見をいただきましたのが、これまでの施策評価について、その効果を検証することが求められる。これからどうするか。これで十分であろうというご意見、あるいはまだ足らんのではないかというご意見等々あろうかと思いますが、ちょっとそこのところだけ私は気になっているんですが、ジャンプだとか、ステップだとか、希望を与えるとか、前倒しはともかくとして、いろいろな言葉で先生方のご意見を頂戴しておりますが、いかがでございましょうか、そのあたり。どうぞ、橋本先生。

【橋本委員】  この学校評価、同じところなんですが、今、学校で行われている学校評価は、ここで言われている自己点検評価がありますが、外部の点検評価も行われております。外部評価と言われています。今、年間を通して学校評価を行い、さらに、これは自己点検評価だけではなくて、外部評価も行い、その中で学校が1年間のすべての見直しをしているのが現状なんです。外部評価で、特に保護者も含めた外部評価というのは大変厳しいものがありますので、それを全教職員とその評価を一身に受けとめながら、次のステップを踏んでいるのが現状です。これによって、学校教育全般が変わってきていることは事実です。
 ですから、19ページのところには、学習指導のことであるとか、もろもろ書かれているわけですが、20ページのところに赤字で書かれているところ、ここでちょっと追加をしていただけるといいのではないかなと思っているのは、「学校自体が行う自己点検評価や外部点検評価を行うことにより」というようなことで、外部点検評価、外部評価と一般には言われていますが、それらを入れることが必要なのかなということと、それから、ここでは学習指導、生徒指導等に係る取り組みについてと規定してあるわけですが、これだけではなくて、教育活動全般にかかわる評価がすごい重要なんです。それによって、教育活動全般、これは、本当は学習指導や生徒指導も全部含まれるわけですが、文言をどのようにしたらよいのかということはご検討いただくことが必要だと思いますが、校長の立場で申しますと、やはり学校全体を透明性のある学校経営をしていくためには、自己評価だけではなくて、外部評価も大変重要と考えております。
 以上です。

【高倉座長】  学校全体というようなことにつきましては、9ページの3のところでも書き込んでありまして、学校全体云々のことを考えていこうというのは、ご意見はいろいろ今まで委員会から頂戴して、このことはずっと貫いているつもりですが、まだ足りなかったらば、どこかにまたもう一遍、強調しておく必要があろうかなと思います。第三者評価云々については、渡久山先生からもご指摘いただいた件で、このあたり、ちょっと補強する必要があれば、補強しておく必要があるだろう。
 それから、先ほど高浦先生から、19ページ絡みで、今後のホップ・ステップ・ジャンプ、その言葉はともかくとして、今後への展望ということで、19ページ、「その結果を次に必要となる教育施策の実現に役立てることが肝要である」ということで十分だろうということでご発言いただきました。さらに書き込む必要があるんでしょうかということもまた検討させていただきますが、これで十分だというご意見が多数のようでしたらば、ここでおさめさせていただきたい。さらにこれに対してホップ・ステップ・ジャンプを書き込んでしまうと、次の協力者会議の作業まで制約してしまうというのはまたいかがなものかということもございますので、とにかく次の施策に必要だと。そのためにはこんなことをやっておきなさいと。ただ必要だというのではなくて、そのためには、これだけはきちんとやっておこうという心構えといいますか、具体的な方法について書いてあるので、できればこういうことでおさめたいと思います。
 それから、「諸課題への対応」というのはアから、ア、イと書いてありますが、特に新しい課題として出てきている中で、「特別支援教育の充実」がございます。これは特殊教育という言葉をやめてはどうかという渡久山委員のご発言にございまして、こういった形で書いておいたというわけで、ここで特別支援という言葉が書けるのかどうかということも検討しましたが、現行法上の言葉でもって、ここのところは整理していこうということで、特殊教育という言葉がある種のイメージをはらんでいるという方々もいらっしゃることを十分承知した上で、現行の学校種をずっと書かせていただいたということです。ただ、ここをさっと読んでいきますと、専門的に担当されている部局では問題がないのかもしれませんが、「児童生徒等」と「等」が入るのと、あるいは「児童生徒等」、これはいいんですが、「LD・ADHD」の次に「等」が入っているのと「等」が入っていないのとがあるわけです。
 どうぞ、専門家がいらっしゃいますので、今、LD等の話を。

【宮崎委員】  13ページから14ページにかけて大変丁寧に書き込んでいただいて、なおかつ特別支援教育の充実ということでお書きいただいたことは大変ありがたかったと思います。その上で、13ページの最初の「盲・聾・養護学校及び小・中学校の特殊学級等に在籍する」という書きぶりはよろしいのではないかと思います。「特殊学級」という言葉は法律上の文言ですので、呼び名は全国でさまざまあるんですが、今のところ、これしかないだろうと思います。
 その上で、座長からお話があった、「小・中学校においては、LD・ADHD等」と書いてあるところと、それから「本年4月から実施さている発達障害者支援法においては、LD・ADHD等」、これはこれでいいんですが、これまでの調査研究、協力者会議やいろいろなところで整理されているのは、「LD・ADHD・高機能自閉症等」と、高機能自閉症もここは入ったほうがいいだろうと、この2つについては思います。
 その後の「しかしながら、現行制度においては、LD・ADHDについては、」というのはこのとおりなんです。LDとADHDは、通級による指導の対象に現在なっていない。高機能自閉症は、情緒障害教育の対象として対応しているものですから、通級の指導の中に入っているんです。

【高倉座長】  既に入っているんですね。

【宮崎委員】  はい。

【高倉座長】  分かりました。

【宮崎委員】  ですので、ここの下のは「等」が入らないで、現行法の整備をすると点で整理されたものと理解をしています。
 それで、14ページのところがちょっと気になったんですが、「また、」というところで、「センター的機能を担うことについての検討が進められている。」これは続いたほうがいいと思うんです。「このため、盲・聾・養護学校がセンター的機能を十分発揮するために必要な教職員の配置を充実させる必要がある。」ここで切って、段落を変えて、「また、小・中学校」、「また」が続くんですが、「小・中学校においては、」と、盲・聾・養護学校の部分と小・中学校の部分を段落を分けて、制度的に整備する必要があるとお書きいただくほうがありがたいと思いますし、課題が明確になってくるのかなと思います。

【高倉座長】  「また」で改行ということですね。

【宮崎委員】  はい。改行ということです。そのほうが両面にまたがって特別支援教育の体制の整備が必要なんだということが分かる。細かいことで大変申しわけなかったんですが、そんなように思いました。全般的には、本当に特別支援教育の推進の整備についてお書きいただいていて大変ありがたいと思っています。
 以上です。

【高倉座長】  全般、第2パラグラフあたりも「LD・ADHD等」でも間違いではないけれども、こちらの中間報告なんかは、そこのところに丁寧に高機能自閉症云々、それを入れた上での「等」ですね。だから、そこをちゃんと書いておこうという話ですね。

【宮崎委員】  はい。

【高倉座長】  よろしいですか。何か、課長。

【瀧本特別支援教育課長】  宮崎先生、ありがとうございました。13ページの特別支援教育の第2段落の「また」の最初のところは、先生ご指摘のとおりでよろしいかと思うんですが、2つ目の発達障害者支援法のところは、ここに高機能自閉症を書いてしまうと、発達障害者支援法そのものは高機能に限定せず、かなり広く発達障害、自閉症、法律の条文そのもので書いておりますし、限定するのはどうかなというところもあって、また、どういう形がいいか、記述については宮崎先生と、あと座長とご相談させていただけたらと思っております。ここで書きたかったことは、先生ご指摘のとおり、「このような中」以降のLD・ADHDも今後、追及の対象とするいう、新しく今後の部分がきっちり書きたかったところがございまして、他の中でも大変吟味をして、最初の2カ所は記述をそろえましたが、より適切な方向になるようにご相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それから、宮崎先生の2つ目のところも、表現というものは形式の話ですけど、どういう形が一番いいか、大体ほかの教育的諸課題のところも、「このため」以下で、新たな配置の対応についてまとめていますので、先生の形でいくとセンター機能のところが「このため」以下のところに出てこなくなってしまうので、またそこら辺は工夫させていただきたいと思います。ありがとうございました。

【高倉座長】  ありがとうございました。これはごめんなさい、例の中間報告の表現と、支援法の表現と、今現実に制度として通級の対象になっているのがどうなのかということが混在しておりますので、非常に分かりにくいことになってしまって、そのあたり整理して、しかし、あまりくどくどと書かずに、意図するところが伝われば、それでいいのではないかという気持ちもいたしますので、またちょっと担当課とも相談してと思っております。よろしくお願いします。
 どうぞ。

【島宮委員】  18ページのところに、「高等学校教育の充実」ということで書き込んでいただきまして、ありがとうございます。
 気がついたところを何点か述べたいと思いますが、第2段落のほか高等学校においても読書活動等の充実が求められている。これは非常に大切なことなんですが、ただ第2段落はちょっと座りが悪いのではないかという気がします。やはり第3と第4で、第3では生徒指導体制の充実、第4ではキャリア教育の一層の推進と述べられていますので、このところに読書活動等の充実を書き込んでいただければなという気がします。
 第2段落は、あくまでも高等学校の個性化、多様化が進むということが書かれているわけなので、ですから、読書活動は別段落で起こしていただければと思います。

【高倉座長】  16ページに入れてしまうと。こちらのカの読書活動等の支援のところに持っていってしまう。

【島宮委員】  そうです。ただ、高等学校のところにぽんと入ってきているものですから、ちょっと座り、扱いがまた変わるのかなと。それともう一つなんですが、最後の段落です。「第6次高等学校教職員定数改善計画を踏まえつつ、高等学校教育の特色化、多様化や上記に述べたような課題への対応を図る観点から、少人数教育など個に応じた」とつながっているわけなんですが、学習指導において、このような配慮をしていただくことは非常にありがたいことなんですが、上に書かれている生徒指導上の体制の充実や、またキャリア教育の一層の推進がここではぼけてしまっているような気がします。ですから、少人数教育に並べて、これらを盛り込むか、または少人数教育というのを取ってしまうか、その辺は文章表現上の工夫になるかと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

【高倉座長】  少人数だけに限定せずに、今日的な諸課題も含めた上での課題対応だということですね。ありがとうございました。
 どうぞ、橋本先生。

【橋本委員】  ちょっと細かいことになりますが、15ページのところです。14ページから食育の充実について、このように具体的に記述していただきまして、大変よいことだと思っているわけですが、15ページの上から7行目のところ、生きる力が書かれておりますが、これが生きる力とゆとりが出されたときには、たしか大括弧だったと思うんです。いつの間にかかぎ括弧に変わっているようなことがあるわけですが、その記述について、私どもも生きる力、ゆとりずっと大括弧で、大括弧というのは90度のあれです。

【高倉座長】  ダブルの括弧。

【橋本委員】  それが文科省の最近の資料は、いつの間にかかぎ括弧にずっと変わってきているのもあるんですが、そのあたり、もう一度、記述のほうでよろしくお願いします。

【高倉座長】  橋本先生、この前、学校栄養職員に関連して、栄養教諭、栄養職員に関連して、家庭科の教諭のことはどうなんだというご発言をいただきましたので、ここに「等」と。これは「等」では少し軽過ぎるというお考えもあろうかと思いますが、「栄養職員」、「栄養」という言葉で並べていって、ここに「等」を入れて家庭科教諭との協力の話はこの中に含めて考えさせていただいた、そういう「等」でございます。これはよろしいでしょうか。

【橋本委員】  本当は納得できないんですが、いたし方ないと思っております。この中で教科指導が出ておりますので、本当はご意見申し上げたいところだったんですが、この「等」に入れたのだろうと理解をさせていただきました。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。
 ごめんなさい。あと全体で今後の日程も含めてですが、あと10分ということになってきてしまいました。最後の諸課題のところにつきまして特にそうですが、全体を通しまして、もう一遍、ローラーをかけ直して、全体を通してご意見いただけますでしょうか。
 宮崎先生、どうぞ。

【宮崎委員】  13ページ、14ページの特別支援教育の充実と、児童生徒への支援、心のケアを含むなどとの関係が非常に強いんですが、実は特別支援教育コーディネーターという仕組みの提案があって、最近、各学校でコーディネーターを設置するところが増えているんですが、このときに、スクールカウンセラーとか、あるいは生徒指導担当教諭との連携プレーは非常に重要になってきているという話題が強くなっております。特にカウンセラーさんが発達障害児にかかわっての相談件数が非常に増えているというデータ等もあって、こういうときに、いろいろなさまざまな仕組みが導入されていて、このあたりを整理して、両方の役目を担っている人の連携プレーといったこととか、あるいは整理ということなども各都道府県あるいは市町村教育委員会等で検討されることなのかもしれませんが、仕組みを作るときに整理をしておく必要性があるようなものがどんどん出てくる可能性があるんです。そのあたりについては、どこかで触れておく必要があるのかなと思いながら、定数管理上の問題も含めて今後の検討課題になるのかなと思っております。一言だけ。

【高倉座長】  ありがとうございました。このあたりの書きっぷりにつきましては、何々の配置という、配置という言葉がついているところに非常に大きなポイントがあるわけでございまして、全体の仕組み等々について、あまり詳しい書き込みはしなかったということもあろうかと思います。
 どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】  17ページに、学校事務職員の配置というのがあるんですが、ここの上に、教員が子どもの教育に専念できるような環境を整備するという、僕は非常にいいことだと思うんです。ですから、これは非常に多様な形で、例えば文書の問題の整理の仕方もあろうし、あるいは事務職員を増やすことによって事務量を軽減させて、本当に教員が教員として子どもたちの教育に専念できるような状況を作るのは非常に大事だと思います。そういう意味では、ここに書かれていることは非常にいいことだと僕は思います。ですから、多方面の形で、いろいろな方面から教員の多忙感解消のための努力を是非していただきたいと思います。日本の学校の場合は、教員以外の職種の職員が非常に少ないんです。ですから、これもいろいろな観点から、どんな職種がいいのか、いろいろありますが、ここで具体的に1つずつ挙げませんけれども、そういうことも是非今の文章にかけて、是非とも検討し、具体化していただきたいと思います。
 以上です。

【高倉座長】  多様な職種については、前回も先生はご発言くださっていたわけですね。
 どうぞ、橋本先生。

【橋本委員】  先ほど15ページに戻ります。どうしても引っかかっていることなので、一言だけ言わないといけません。15ページの食育の下から3行目です。キャリア教育の充実の上の3行目。「教科指導」とありますね。ここのところは栄養教諭、栄養職員は教科指導ではなかろうと思っているんです。教育課程内にきちんと位置づけられているものではありませんので、「教科」というところを「食育の指導」と直していただけると分かりやすいのかなと思います。関連して、教科の指導にもTT等で加わることはできるわけですが、実際には教科指導はできませんので、そこのところを「食育の指導」、このように思います。
 それから、もう一つ、17ページの下から6行目のところです。真ん中あたりに「児童生徒同士の国際理解を深める観点から」と書いてありますが、ここでは「児童生徒相互の」という使い方になるのではないかと思います。最近は、「どうし」という言葉は当然漢字でも使いませんし、平仮名でも、開いても使いませんので、「相互」のほうが望ましいと思っています。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。先ほどの15ページの食育のところですが、これは学校教育法の第18条の中に書いてあるような文言が簡潔に表せるようなものにしたほうがいいかと思います。その後の「個別指導」というのはよろしいですか。
 では、急ぎで大変申しわけありませんが、あと4分で、最後にということで、どうぞ。

【高浦委員】  1つ、21ページ、最後です。「おわりに」の真ん中ぐらいに、「7次にわたり、……6次にわたり、それぞれ改善を図ってきたが」という文章ですが、これは「それぞれ改善が図られてきたが」のほうがいいと思うんです。そうしないと、図ってきたのは文科省ですので、私どもはそうではなくて、図られてきたということがいいのではないかと思います。
 それから、全体的な印象なんですが、今の第7次でなかった課題というか、一部あったように思うんですが、強く出してくると、3つのまる、9ページ、これがいつも残るんです。今のを総整理すると、私の感じは、これは文章を整理していただいたわけですが、一番下のまるは、どうも第7次でなかった、新たな課題を指すような気がするんです。そうすると、今度は、「したがって」という上の文章の「国がナショナル・スタンダードを確立し、地方がその上にローカル・オプティマムを実現する」、これは、この基本指針の1つとして独立させたほうがいいですね。そして、それを1つの大原則にして、国がナショナル・スタンダードを守る上から、地方がどういうことをするときに望むという形で3つぐらい書くんですね。それがいいのではないかと思う。

【高倉座長】  先ほどから、3つのまるのところのおさまり具合がやや不安定でしたから、ありがとうございました。

【高浦委員】  目的は書いてほしいです。

【高倉座長】  ありがとうございました。細かな指導……。

【高浦委員】  どうも20人程度のことという頭が強かったようですが、私は、それをあまり強調すると一斉指導の逆戻りなんです、20人にして授業すればいいという。しかし、TTとか、個に応じた指導とか、習熟度別指導というのは必ずしもそういうことではないわけですので、どうも作文したり、我々の委員の中がきめ細かな指導とか、多様な指導形態というと、どうも20人程度の集団をつくって授業すればいいのではないのと考えている風がある気がするんです。僕は、それは改めるべきだと思います。それを最後に。

【高倉座長】  ありがとうございました。最後に小川先生にご発言いただきます。その前に、梅田先生、ご発言いただけますでしょうか。

【梅田委員】  私は、専門的なことはあまりよく分からないんですが、全体的にこの程度でいいかなと思っております。特に8ページの基本的な考えのところで、教育はお金だけで論じるべきではないということを思っておりますので、この下に書き加えられましたところで、「生活集団の規模としては小さすぎるのではないかという意見もある」というようなことは非常にいいなと思っております。我々にとってはよく分かる。ですから、これがあることによって、私たちはほっとするなという意味で思っております。
 それから、基本的な考えの一番上の「世界的な大競争時代」、ここはこれでいいのではないか。大競争時代というのはいろいろな意味のすべての競争ではないか。そのための方法として、武器として知がある。そして、それは知・徳・体のバランスから生まれてくるだろう。ですから、この表現でいいかなと、そんなことを思っております。

【高倉座長】  「知の」ということは取ってよろしいと。

【梅田委員】  だから、あえてこれは「知」は入れないほうがいいのではないか。知だけではなくて、いろいろなものの競争を迎えるんだろうと。

【高倉座長】  「国際的に」、「国際的な」というあたりは言語感覚の問題でして。

【梅田委員】  これですか。これは、「国際的に」がいいのかなという感じがします。

【高倉座長】  形容詞で書くか、副詞で書くかの話なんです。

【梅田委員】  あまり細かくしないほうがいいかな。私としては、素人ですから、この書き方は、よく分かる部分です。

【高倉座長】  ありがとうございました。

【梅田委員】  それからもう一つ、「おわりに」、まとめのところは、私は非常にうれしく思っておりますのは、教育を提供する側からの発想だけでなく、教育を受ける側の発想に基づいた取り組みが必要とされている。この文言が非常にいいなと私は思っておりまして、これで全部が理解、納得できる、そんなことを思っております。ありがとうございました。

【高倉座長】  ありがとうございました。吾妻先生。

【吾妻委員】  是非ということではないんですが、ちょっと担当でご覧になっていただければということで、11ページなんですが、11ページの前半の文章の最後の段落の「今後の学級編制の実施に当たっては、」というところの記述なんですけど、「その場合においては、1教職員の人事」云々、「2少人数学級をはじめと」、この書き方は、この文章全体の中でここだけのような気がするんですが、こういう12、ここだけの書き方がいいのかなということをちょっと1つ感じましたことと、それから、2の最後のところをずっと行きまして、「少人数教育の推進が都道府県の努力で行われており」、そこまでいいんですが、「少人数教育の一層の充実のためには」、この市町村と都道府県の連携協力となるんですが、何か少人数教育充実のためには、都道府県と市町村の連携協力というのがちょっと気になりまして、これだけではないだろうということです。都道府県が少人数教育を行ってきてという意味でこういう文章になったと思うんですが、都道府県と市町村の連携協力ということを強調するんであれば、「一層の充実のためや地域や各学校の教育課題の解決などに対しての特色ある教育の推進のためにも」のような意味も含めて何かうまい表現があれば検討してみていただきたい。

【高倉座長】  いずれにしましても、先生、おさまりどころは、これまで以上に市町村教育委員会と都道府県教育委員会の連携協力が必要となると入りますね。

【吾妻委員】  それは大賛成で、是非お願いしたいんですが、少人数教育の一層の充実のためにはというのが限定的に聞こえるものですから、ちょっと気になって。

【高倉座長】  それでは、ちょっと時間オーバーしてしまいましたが、最後に、座長代理の小川委員から、コンクルーディングリマークスをお願いいたします。

【小川座長代理】  中身については、異論は全然ないので、ただ、少し事務局のほうにお尋ねしたいのは、報告が出されて、これに基づいて標準法の改正等々で動いていった場合に、都道府県と市町村の連携協力のもとで各都道府県ごとでさまざまな対応が生まれてくるのではないかと予測されるんです。この報告に基づいて法改正された場合に、教職員の標準定数の算定というのが都道府県から市町村ごと算定になるということとか、あと学級編制の決定というのが今の都道府県から市町村におりて、いわゆる事前協議と同意制というのがなくなるとか、そういう市町村への権限移譲がこれで進むわけですが、ただ、もう一方、教員の給与と人事権は県費負担教職員制度という前提があるわけですから、例えば加配の申請等々については、市町村がやるわけではなくて、あくまで給与負担と人事権を持っている都道府県が加配の申請をして、また、文部科学省からいただいた加配を県内の市町村にどう配置するかというのは、都道府県の裁量が強く働く場合もあるし、また、都道府県のそうした裁量というのを抑制して機械的に、市町村にある基準でもって配置するとか、等々というような動き方があると思うんです。そういうことを考えた場合に、文部科学省とすれば、今後のそうした都道府県ないしは市町村のいろいろな動き方に対してどういう基本的な対応をしていくのかというのは、この制度運用にとってすごく重要なことだと思うんですが、それについて、将来のことなんですが、基本的なお考えなんかがあれば確認しておきたいんです。

【藤原財務課長】  今、小川座長代理からご指摘いただいた点は非常に重要な点だと思います。基本的に、この協力者会議での中間報告につきまして、打ち出していただいている方向性というのは現場主義という方向でいただいていると思うんですが、基本的に、その中身については、現行の制度がまず前提になって、給与負担とか、人事権とか、それを前提として、今、この方向性を出していただいているわけでございまして、そういう中身については、今後、私どもとして、中間報告を具体化して概算要求に向けて制度設計をするに当たりましては、まず、市町村にできるだけ権限を移すという学級編制等の問題についてあるわけですが、他方、県についても引き続き、小川先生のご指摘にあったような加配の配分権の問題などがあるわけですので、その辺、制度設計に当たりましては、きちんと都道府県と市町村の連携協力を前提として、都道府県の役割というものはなおあるわけですので、そこは十分配慮していきたいと思っておるわけであります。
 他方、中教審の義務教育特別部会におきましては、そもそも国、都道府県、市町村の役割分担について、人事の問題とか、あるいは給与負担の問題について、まさに現在、審議を進めておられるわけでありますので、その辺の動向を踏まえて、当然この中間報告で今回ご指摘いただいている中身についても、さらに議論すべき問題がもしかしたら出てくるかもしれませんので、その点については、私どもとしても十分目配りしていきたいと思いますし、また、この中間報告という位置づけそのものは、そういった観点から、これがファイナルなものではないということだと思いますので、当然必要があればこの会議にもご相談申し上げて対応しなくちゃいけない事態も出てくるのかもしれないと思っておりますので、その辺は引き続きよろしくお願いしたいと思っております。

【高倉座長】  ありがとうございました。大分時間をオーバーしてしまいました。これまでいろいろとご議論をいただきまして、前回までのところでもって報告の基本的な枠組みと方向性というものについてご了解をいただきました。そして、いろいろいただいたご意見を具体のところでもってどう書き込むかというようなことにつきまして、事務局と何度も相談をしながら、本日、案をつくっていただきました。それにつきまして、今日、さらにまたいろいろな貴重なご意見を頂戴いたしました。したがって、それらをもとに、さらに報告文の案をとるために、報告の案から案をとるために、もう一踏ん張り努力が必要かと思います。
 もし委員の先生方のご了解を得られるならば、ちょっとこの先また急ぎますので、急ぐからということではありませんが、急ぐということも大きな要因の1つでございますが、今日いただきました貴重なご意見をできるだけ取り込みながら、全体として中間報告を取りまとめるという作業を座長と座長代理及び事務局にご一任いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【高倉座長】  ありがとうございました。
 では、そういう形で、今夜は徹夜になりますが、覚悟で作業をしなきゃならないと思います。ありがとうございました。
 それで中締めというのか、本締めにはならないかもしれませんが、銭谷局長からお言葉をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【銭谷初等中等教育局長】  委員の先生方、本当に熱心なご審議を賜りましてありがとうございました。この会議は5月10日の中教審の義務教育特別部会を受けて設置をされまして、5月20日以来、3カ月という短期間に10回に亘るご審議をいただいて、今日、中間報告案の検討まで至ったわけでございます。高倉座長をはじめ委員の先生方、本当にお忙しい中、ご審議を賜りまして、心から御礼を申し上げたいと存じます。
 5月20日の初会合のときも申し上げたと思いますが、義務教育、あるいは高等学校教育の水準の維持向上ということを考えた場合に、とりわけ義務教育においては人確法と国庫負担制度と並んで、必要な教職員の配置ということは大変大きな課題だと私どもは思っております。協力者会議には、それぞれのお立場の方に今の現場の状況を踏まえながらご議論いただいたわけでございますが、あわせて関係団体からも積極的な意見聴取を行っていただきまして、幅広い視点からご議論いただけたと思っております。
 実はこの教職員の配置改善、定数の問題になりますと、渡る世間は非常に厳しい見方をしております。鬼ばかりということではないんですが、大体定数改善はいつまでやるんだ、7次までやってまだ終わらないのかとか、教員も公務員でございますので、これから給与の削減はもちろんでございますが、数も減らそうというときに何で教員だけ定数改善が必要なんだといった大変厳しい見方がございます。加えて少子化が大変進んで、子どもの数が減っていくのに、それに応じてどうして先生の数は減らないんだとか、小・中は今、標準学校規模が12学級から18学級ということになっていますが、11学級以下の学校が例えば小学校ですと49パーセントぐらい、中学校ですと50パーセントを超えているわけでございますが、どうして小規模校の統合を進めないんだとか、そういった厳しい意見が非常に聞こえてくるわけでございます。
 そういった中で、教職員の定数の問題をどう考えるのか。一方では、PTAや教員の間からは、30人学級、35人学級は是非実現してほしいとか、あるいは現実に子どもが大変変わってきているし、家庭も変わってきている中で、教師の多忙感、あるいは指導の困難性ということにもっと目を向けるべきだというご意見もあるわけでございまして、そういう中で、本当に先生方には広い立場から、また、教育現場をよくお知りになっておられる立場から十分なご議論を行っていただいた点に対して厚く御礼を申し上げたいと思っております。
 今回の中間報告では、まず1つは、早急に次期の教職員の定数改善計画は実施すべきだということをおっしゃっていただいているわけでございまして、この点は、私どもしっかり受けとめていかなきゃいけないと思っております。
 それから、学級編制につきましては、全国一律に標準を引き下げるということではなくて、今日的な教育課題の対応のために、学校現場に近いところが現場主義ということで実情に合わせた教職員配置ができるようにしたらどうかいったご提案もいただいておりますし、さらに取り組みを実効あらしめるために、こういう資質向上やら政策評価のための仕組みが必要であるといったことにも言及をいただいているところでございます。本当に多角的、多方面からご検討いただいたことに重ねて御礼を申し上げたいと思います。
 なお、文部科学省としては、この後、座長のもとで整理をしていただく中間報告を受けまして、18年度の概算要求に向けて次期教職員定数改善計画の策定に早急に取り組んでいきたいと思っております。
 それから、最後に、小川座長代理からもお話がございましたが、市町村教育委員会や学校現場の学級編制に関わる権限を今後どうするのか、拡大していくのか等、所要の制度改正につきましては、今後、中教審の義務教育特別部会でも、これは人事権の移譲等々と絡みまして幅広くご議論される課題でございますので、こういった義務教育特別部会での議論を踏まえまして、先生方にはさらに最終的な報告に向けた詰めの作業ということもお願いすることもあろうかと思いますので、ご多忙中かとは存じますが、引き続きこの問題につきましてご協力賜りますようお願い申し上げる次第でございます。本当に短期間でございましたが、ありがとうございました。

【高倉座長】  局長、どうもありがとうございました。
 それでは、今後の日程につきまして、事務局からご報告を頂戴いたします。

【小熊教職員配置計画専門官】  それでは、今後の日程についてご連絡申し上げます。まず、あす、8月23日でございますが、本日いただきましたご意見をもとに修文された中間報告につきまして、高倉座長から銭谷局長にご報告いただくこととしております。これを受けまして、明後日、8月24日でございますが、開催される予定の中教審義務教育特別部会第30回になりますが、こちらにご報告をしていただく予定としております。
 また、先ほど銭谷局長から申し上げましたとおり、文部科学省におきましては、本中間報告を受けまして、概算要求に向けた作業を加速していくこととしております。
 なお、本会議につきましてはしばらくお休みとさせていただき、また、別途日程調整をさせていただいた上で、中教審の審議の状況等も踏まえて開催をさせていただきたいと思っております。引き続きご協力賜りますようよろしくお願いをいたしたいと思います。

【高倉座長】  ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、本当にありがとうございました。また、事務局の皆様方、大変な労力、またご苦労をお願いしまして、本当にありがとうございました。
 本日の会議は以上をもって終わりとさせていただきます。ありがとうございました。また召集令が来そうでございますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


―了―

(初等中等教育局財務課)


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