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教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第9回)議事録

1. 日時: 平成17年8月8日(月曜日)17時〜19時30分
2. 場所: 丸の内東京會舘 12階 「ゴールドルーム」

3. 議題:
(1) 中間報告素案について
(2) その他
4. 配付資料:
資料1   今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告素案)
資料2   今後の日程について(案)
参考資料1   これまでの主な意見(第1回〜第8回)
参考資料2-1   教育関係団体からの提出意見の概要
参考資料2-2   全国都道府県教育長協議会からの意見書(その2)
参考資料3   平成17年度において学級編制の弾力化を実施する都道府県の状況について
参考資料4   教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第8回)議事概要(速報版)
(机上配付資料)
  ○教員統計調査(中間報告)
5. 出席者:
(委員) 高倉座長、吾妻委員、天笠委員、伊藤委員、大平委員、門川委員、渡久山委員、橋本委員
(事務局) 銭谷初等中等教育局長、山中大臣官房審議官(初中局担当)、藤原財務課長、高橋総括教育改革官、杉浦初等中等教育局企画官、茂里財務課課長補佐、小熊教職員配置計画専門官
6. 議事内容

【高倉座長】  定刻を少し過ぎてしまいましたが、ただいまから第9回の教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議を開会させていただきます。
 ご多忙中にもかかわらず、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、これまでのご論議を基に、今後の教職員配置等の在り方についての中間報告の素案を作ることにつきましては、前回、主査、副主査及び事務局にご一任ということを頂戴しておりますので、今日、資料1でもって配付させていただきましたような中間報告(案)になっておりますが、これは素案でございます。これを用意させていただきました。これをもとにしながら、中間報告に向かって、今日、ご論議をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、大平先生が30分ほど遅刻されるということでございますが、会議は始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず配付資料の確認と説明を、事務局、小熊さんからお願いいたします。よろしくどうぞ。

【小熊教職員配置計画専門官】  それでは、議事次第に沿いまして、資料の確認及び説明を申し上げたいと思います。
 まず、資料1「今後の学級編制及び教職員配置について」という表紙の中間報告の素案でございます。これは後ほど、ご議論いただく前に、読み上げをさせていただきたいと思います。
 資料2「今後の日程について(案)」ということでございます。これは最後に、ご説明を申し上げます。
 参考資料1でございますが、第1回から第8回までの、この協力者会議における主な意見でございます。議論の参考にしていただければと思います。
 参考資料2−1でございますが、各教育関係団体からヒアリングを行った際に出されました意見をまとめた表でございます。A3判の横型のものになってございます。
 それから、参考資料2−2でございますが、全国都道府県教育長協議会から出されました教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議に対する意見書(その2)でございます。この全国都道府県教育長協議会におかれましては、ヒアリングの際に意見発表はなされませんでしたが、概略的な意見を資料として提出をされておりました。その後、同協議会におけるアンケート調査の結果がまとめられたということで、今回、追加の意見提出ということになったものでございます。内容については、お目通しをいただければと思います。
 それから、参考資料3「平成17年度において学級編制の弾力化を実施する都道府県の状況について」でございます。今まで学級編制の弾力化により少人数学級を実施しているのは、平成16年度現在で42道府県ということでご説明を申し上げ、また議論していただいたところですが、平成17年度におきましては、この参考資料3の右下の数字をご覧いただきますと、45道府県に増えております。平成16年度、実施をしていなかった5都県と申しますのが、東京都、石川県、岐阜県、香川県、佐賀県でございましたが、今回、石川県、岐阜県、佐賀県において、学級編制の弾力化に取り組まれるということでございまして、残るは2都県ということになったということでございます。この状況を見ますと、小学校低学年で実施する道府県というのが41道府県でございます。中学年では13府県、高学年では12府県、中学校は27府県ということでございますので、学年区分で見ますと、やはり小学校低学年で実施されている道府県が圧倒的に多いということでございます。
 また、人数区分をご覧いただきますと、30人という人数を基準としているのが10県、31人から34人の幅が4県、35人が26県、36人から39人というところが4府県、そのほか、実態に応じて人数を設定しているというところが13府県でございます。足し算をしますと、そのまま、これは純計でございます。申しわけございません。純計でございますので、このような状況になっているということで、45道府県で実施されているというものでございます。
 各県の実施状況につきましては、2ページ及び3ページに記載されておりますので、こちらのほうもご覧いただければと思っております。
 それから、参考資料4「第8回議事概要(速報版)」でございます。速報版ということでございますので、また議事録を作成する際には、先生方に別途ご確認をいただこうと思っております。
 そのほか、今回、机上に配付させていただいておりますのが、平成16年度に行われました学校教員統計調査の中間報告でございます。先般公表されたものでございます。速報値ベースでございますので、データ自体は国公私立の各学校及び教職員の状況を反映させているものでございます。こちらのほうも、参考までにご覧いただければと思います。
 資料については、以上でございます。

【高倉座長】  ありがとうございました。
 それでは、資料の件はよろしいですね。
 それでは、資料の1──これは本題でございますが──に基づきまして、いろいろとご論議をいただくわけでございますが、何ページになりますかね。19ページ、かなり大部なものでございます。これにつきまして、また大変でございますが、途中で交代されるかもしれませんが、小熊さんから朗読を、ゆっくりとというか、普通のスピードで、是非お願いいたします。よろしくどうぞ。

【小熊教職員配置計画専門官】  それでは、読み上げさせていただきます。
 表紙をおめくりいただきまして、1ページ、ご覧いただきたいと思います。



 

今後の学級編制及び教職員配置について


 本調査研究協力者会議は、中央教育審議会義務教育特別部会からの検討要請を受け、平成17年5月20日の初会合以来、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(以下「義務標準法」という。)及び公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数等の標準に関する法律で定める教職員定数等に関する諸問題及び今後の学級編制と教職員配置等の在り方について、まるまる回の審議を重ね、併せて関係諸団体からの意見聴取を行った。
 これまでの検討結果をまとめ、中間報告として報告する。

1. これまでの学級編制及び教職員配置の改善施策等の取組み
  (1) 従来の取組み
     戦後の教育行政においては、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上の観点から、教育内容の充実とともに教育条件の整備など各種の施策が実施されてきた。
 学級編制及び教職員配置に係る施策についても、昭和33年の義務標準法制定以来、昭和34年からこれまで数次にわたる教職員定数改善計画の結果、「すし詰め学級」とよばれてきた教育環境を改善して平成3年にようやく40人学級が全国すべての学校で実現するとともに、免許外教員の解消やへき地教育・生徒指導の充実、学校の指導体制の確立などが図られた。これにより、全国どの地域においても、40人学級を実現し、児童生徒数や学級数など学校規模に応じて等しい教職員配置の水準を達成することができた。
 近年の児童生徒の変化により、不登校や生徒指導の問題、さらに、学習だけでなく生活・人間関係づくりなども含めて学級に基づく集団生活・指導になじめない児童生徒が増えてきている。これまでの学級を中心とした集団一斉指導などの指導形態や指導方法さらにこれを支える指導組織が画一的なものとなりがちであるため、学校が子どもたちの実態や地域の実情に応じた特色ある教育活動を推進しようとしても必ずしも容易ではない状況もみられるようになっている。

  (2) 近年の取組み
    1第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画等
 このように学校が抱える課題が複雑化・多様化する中、全国一律に画一的な取組みを進めるのではなく、各学校において、子どもたち一人一人を大切にし、子どもたちの学習状況などの実態や地域の実情に合った効果的な指導、すなわち個に応じたきめ細かな指導を行うことができるような、新たな学級編制及び教職員配置がますます求められている。
 このため、第6次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画(平成5年度〜12年度)では、学校において、ティーム・ティーチング(複数教員による協力的指導)等が行われるよう、多様な教育活動の推進に必要な教職員配置がなされた。
 また、第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(平成13年度〜17年度)では、学級を生徒指導や生活集団としての機能を主としたものとして位置付け、これまで一体のものとして含まれていた学習集団としての機能については、学級という概念にとらわれない柔軟なものとした。このうえで、学級編制の標準は40人としつつも、実際の学習指導では教科等に応じて20人程度の少人数指導が可能となるよう、学級編制の標準の引き下げや教職員配置率の改善による一律的な改善ではなく、主として加配定数の改善による教職員定数の改善がなされた。
 このような取組みにより、各学校の特色ある教育課程の編成とあわせて少人数指導などきめ細かな学習指導を行い、また総合的な学習の時間や各教科の指導において多様な指導形態や指導方法を効果的に導入できるようになった。

2学級編制の弾力化
 従来、学級編制については、全国的な教育水準の維持向上を図るため、都道府県が定める基準は国が定める標準と同一のものでなければならないとされてきた。
 しかしながら、地域や学校の実情に合わせて、国の定める標準と異なる基準に基づく学級編制を行うことにより、教育上より高い効果が期待できる場合もある。このため、平成13年度から、第7次教職員定数改善計画に併せて学級編制の弾力化が図られ、都道府県が児童生徒や地域・学校の実態を考慮して特に必要があると認める場合には、40人を下回る学級編制基準の設定が可能となった。

3総額裁量制の導入
 公立義務教育諸学校の教職員の給与費については、本来設置者である市町村が負担すべきところ、財源の安定的な確保の観点から、全額を都道府県が負担することとした上で、都道府県の実支出額の原則2分の1を国庫負担する仕組みとなっている。従来、国が負担すべき限度額の算定に当たっては、給料・諸手当及び教職員定数ごとにそれぞれの基準をもとに国庫負担額を厳格に算定していたが、給料・諸手当についても、国水準並びではなく都道府県の主体的判断が尊重されるような工夫が必要となった。このため、平成16年度から、義務教育費国庫負担制度において「総額裁量制」が新たに導入され、各都道府県ごとの標準定数と各都道府県ごとの平均給与単価により算定される国庫負担金の範囲内で、都道府県が柔軟に教職員給与費や教職員定数を決め、地域や学校の実情に合わせた活用ができるようになった。
 その結果、上記学級編制の弾力化と相俟って、全国的に40人を下回る学級編制が進み、平成16年度には42道府県において全学年または一部の学年で少人数学級が実施されている。

  (3) 取組みの評価
     少人数教育は、教職員が児童生徒一人一人と深く関わることを可能とするものであり、個に応じたきめ細かな指導を進める上で不可欠なものとなっている。この少人数教育については、少人数の学習集団をつくる方法(少人数指導)と少人数の学級編制とする方法(少人数学級)の二つの方法があり、どちらがより効果的なのかをめぐって議論がある。
 少人数指導の場合、ティーム・ティーチング、習熟度別授業など様々な学習指導方法をそれぞれの実情に応じて取り入れることができること、また学級担任だけでなくその他多くの教職員が各視点から児童生徒の成長を見守り支援していくことができる点で評価が高い。他方、少人数学級の場合、生活集団と学習集団の一体化を基礎として学習意欲の形成・喚起を図ることができるとともに、40人学級よりも小さな集団となることにより、子どもどうしの学び合いがより深まって学習・指導の姿がより効果的なものへ変わる、特に小学校低学年など学校生活に慣れ親しむ段階において効果的だ、とする意見も多い。
 少人数教育については、さまざまな教育環境に適合させながら実施されるものであり、全国的に実証データを収集・分析することは難しい面もあるが、これまでのところ表2のような評価が報告されている。また、少人数教育については、これまでの定数改善や制度改正により全国的に普及が進み、定着している。少人数教育の中でも習熟度別授業については、導入当初、不安の声もあったが今では全国的に実施されており、少人数学級など都道府県の独自の判断による取組みも進んでいる。少人数教育の推進については、教育条件整備におけるナショナル・ミニマム(ナショナル・スタンダード)の土台の上にローカル・オプティマム(地域における最適の状態)を実現するという取組みについては、特に評価されるべきものであり、今後も学校教育の充実を図る上で極めて重要である。以上のような取組みは、学校現場や保護者からも歓迎されており、今後その充実が望まれている。
 しかしその一方で、少人数教育は全国的に進んだものの、国・都道府県・市町村・学校の関係は従来のままであるため、学校現場の裁量が十分に高まっておらず、必要なときに機動的な教職員配置ができないことがあるという指摘もある。また、LD・ADHD等の児童生徒への支援や食育、キャリア教育、読書活動等の充実といった第7次教職員定数改善計画策定時にはなかった今日的な教育課題への対応も必要となっており、これらの課題に対応した教育条件整備が求められている。
 今後、児童生徒や地域の実情に合わせた、個に応じたきめ細かな指導を徹底する必要があり、少人数教育の充実が重要となるが、児童生徒や学校・地域の実情、そのときどきの学年・学級の課題が様々である以上、その効果的な実施に当たっては、教職員の配置について、学校の裁量をいかに高め、学校の設置者である市町村や都道府県の判断をどのように尊重していくかについて十分な考慮が必要である。

2. 今後の取組み
  (1) 基本的な考え方
     知の世界的な大競争時代と言われる時代にあって、諸外国は、人材の育成こそ国家的最重要課題と考え、学校教育の充実を目指して国をあげて取り組んでいる。天然資源に恵まれない我が国にとっては、人材育成なくして国家社会の繁栄は期待できない。また、知の大競争時代において今後も持続的な発展を続けるためには、人材育成は不可欠であり、国民の学校教育の充実に対する期待は極めて高いものがある。
 このような状況の中、我が国では、教育条件の整備の上でも教員1人当たりの児童生徒数について欧米並みの水準とすることを目指して定数改善を行い、OECD調査では、初等教育(小学校)で20.3人、前期中等教育(中学校)で16.2人となるなど一定の水準に達している。しかしながらOECDの平均は、初等教育16.6人、前期中等教育14.4人となっており、未だ世界水準に達している状況にはないことも事実である。特に、学力到達度の世界調査において最高レベルにあるフィンランドでは、初等教育では15.8人、前期中等教育では10.6人となっており、教育条件整備の上でも世界最高水準にある。
 今後、我が国が世界最高レベルの教育を国民に提供できるようにするためには、教育内容の充実を図るとともに教育条件の整備を進める必要があり、上記のような状況を勘案しつつ、次期教職員定数改善計画を策定・実施し、定数教職員定数の一層の充実を図る必要がある。
 また、これからの学校教育を考えるに当たっては、国はナショナル・ミニマム(ナショナル・スタンダード)を確立しつつ、地方がローカル・オプティマムを実現するという考えの下に、教育条件についてもそのことが可能となるよう必要な整備を進める必要がある。このため、次期教職員定数改善計画では、新たに生じている今日的な教育課題に対応しつつ、
○ 学校現場が抱える教育上の諸課題に対応しつつきめ細かな指導が徹底されることを可能にする
○ 学校現場がそれぞれの実情に合わせてより多様な指導形態や指導方法を自主的・自立的に判断・展開することを可能とする
○ 学校全体で取り組むことができるようにする
ことを基本として必要な体制づくりを行う必要がある。
 すなわち、地域、学校、学年ごとに抱える課題や状況もそれぞれ異なっており、学級編制の標準を35人などに引き下げるなどの全国一律の画一的な取組みではなく、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取組みが可能となる措置を講ずる必要がある。具体的には、児童生徒や地域の実情に合わせた個に応じたきめ細かな指導の徹底を図る上で、習熟度別授業、ティーム・ティーチング、学級編制の人数などの具体的な指導形態・指導方法の選択については、できるだけ学校現場の判断に委ねるとともに、設置者である市町村や都道府県がそれを支えるような基準を設定できるようにしていくことが望ましい。

  (2) 具体的方策
    1制度の改善
   
a) 学級編制の仕組みの改善
   公立義務教育諸学校の学級編制については、現在、国が定める標準に基づき、都道府県教育委員会が学級編制に係る基準を設定し、市町村教育委員会が都道府県教育委員会の同意を得て学級編制を行うこととなっている。これは、公立義務教育諸学校の教職員の人事や給与負担については、その円滑な実施を期して都道府県が行うこととなっており、教職員の定数管理と深く関係する学級編制について都道府県教育委員会に権限を与え、責任を重くしているものである。
 しかしながら、今後は学校現場の判断により地域や学校の実情に合わせた指導形態・指導方法や指導組織とする必要があるため、現行制度を見直し、学級編制に係る学校や市町村教育委員会の権限と責任を強化する必要がある。具体的には、義務標準法による教職員の標準定数について都道府県ごとの算定から市町村ごとの算定に改めること、学校現場の判断で学級編制が弾力的に実施できるよう現行の学級編制の仕組みを見直すことなどについて必要な検討を行うべきである。
b) 学級編制の標準の改善
   現行制度上、国は40人を学級編制の標準と定めた上で、都道府県教育委員会が児童生徒の実態を考慮して特に必要があると認める場合には、40人を下回る学級編制が可能となっている。現在、42道府県で少人数学級が実施されていることや、学校現場の判断で少人数学級編制を可能とすることが求められていることなどから、これまで例外的な措置とされていた40人を下回る学級編制について自由に選択できる制度とすることについて検討を行うべきである。
c) 義務教育の教育条件整備における連携協力
   義務教育の質の向上を図るためには、教育内容とともに教育条件の整備においても、国・都道府県・市町村が互いに協力し、それぞれの役割を確実に果たしていくことが必要である。
 国は、全国的な見地から、ナショナル・ミニマム(ナショナル・スタンダード)を明らかにし、それが全国的に維持されるために必要な制度的枠組みを整備するとともに必要な財源を確保するという役割を担っている。また、都道府県は、全県的な見地から、市町村ごとに教育格差が生じないよう必要な措置を講ずるとともに、都道府県ごとの実情を踏まえた特色ある取組みを展開してローカル・オプティマムを実現するという役割を担っている。これらの国と都道府県の役割は、学校の設定者である市町村が自主的・自立的に学校運営に取り組めるよう支援するものであり、市町村は、あくまでも学校の設置者として、児童生徒や保護者等に対し、ナショナル・ミニマム(ナショナル・スタンダード)を確実に保障しつつ、ローカル・オプティマムを実現して地域や学校のの実情に合った教育を展開するという役割を担っている。
 今後の学級編制の実施に当たっては、このような考え方に基づき、国・都道府県・市町村がそれぞれの役割を果たすことが必要となるが、その場合においては、1教職員の人事、給与負担、定数管理について責任を有する都道府県との緊密な連携が円滑が学級編制の実施に不可欠であること、2少人数学級をはじめとした少人数教育の推進が都道府県の努力で行われており、少人数教育の一層の充実のためには都道府県の協力が今後も必要であることなどから、これまで以上に市町村教育委員会と都道府県教育委員会の連携協力が必要となる。

    2教職員定数の改善
   
a) 改善の方向性
   教職員定数の改善に当たっては、これまで進めてきた少人数指導や少人数教育を充実させる必要がある。その際、教育上の諸課題に対応しつつ個に応じたきめ細かな指導が徹底できるような規模であって、学校現場の判断による指導形態・指導方法や指導組織が最大限の効果を発揮できるような規模の教職員定数の改善を図る必要がある。その際、学校間の巡回により、学校を超えたコーディネートが可能となる仕組みについても検討する必要がある。
 また、教職員定数の改善に当たっては、各学校はもとより各地域ごとに抱える課題や取組みの進度などが異なっていることなどを踏まえ、これまでと同様、加配定数の改善を基本とすることが適当である。
 
 加配定数:少人数指導を行う場合や災害復興支援など社会的条件について教育的配慮を行う場合などにおいて、学校数や学級数に応じて算定される基礎定数に上乗せして加算される定数。
b) 諸課題への対応
 
ア. 学習指導の充実
   次期教職員定数改善計画では、学習指導における少人数教育を一層充実させ、児童生徒に対する個に応じたきめ細かな指導が徹底される体制づくりを行う必要がある。
 具体的には、第7次教職員定数改善計画の完成により、基本3教科において20人程度の学習集団を構成・指導することが可能となっているが、この取組みを一層進め、より多くの教科において少人数指導等が可能となるようにすべきである。
 また、生活環境や学習環境が著しく変化する小学校低学年において、しっかりと生活習慣や学習態度を身につけさせることがその後の学校生活に大きな影響を与えるということが指摘されており、このようないわゆる「小1プロブレム」などの課題に焦点を絞った対応が必要である。実際、小学校低学年の場合、学級とは別に学習集団を作るよりも、基本的な生活習慣や学習態度の育成のために生活集団と学習集団を一体として少人数化を図ることが効果的と考えられる。このため例えば35人学級などの少人数学級編制や副担任など教員の複数配置による指導などが可能となる教職員配置とすべきである。
 さらに、新学習指導要領の下に導入された総合的な学習の時間については、学校現場の判断によりさまざまな取組みが可能となり、各学校の児童生徒の実情に応じたきめ細かな指導が可能になったという評価がある。その一方で、校外における社会体験、見学や調査、地域の人材活用など渉外を伴う準備に教員が不慣れであったり、総合的な学習の時間に対する準備に教員の負担感は大きなものがあるとの声も上がっている。総合的な学習の時間がその目的を十分に果たして有効に活用されるよう、総合的な学習の時間についての総合的な企画・調整を担う教職員の配置を可能とすべきである。
イ. 特別支援教育
   現在、特殊教育の対象となる児童生徒等は約22万5千人(全体の約1.4パーセント)であり、このうち、義務教育段階では約17万9千人(全体の約1.6パーセント)となっている。
 また、小・中学校にておいては、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症により学習や生活の面で特別な教育的支援を必要としている児童生徒が約6パーセントの割合で通常の学級に在籍している可能性が示されている。一方、本年4月から施行されている発達障害者支援法においては、LD等の発達障害のある児童生徒等に対する支援体制の整備についての国の責務が定められている。しかしながら、現行制度においては、LD・ADHDについては、通級による指導の対象とされておらず、新たな喫緊の課題となっている。
 このような中、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに適切に対応し、適切な指導及び必要な支援を行う「特別支援教育」の理念の実現に向け、小・中学校については、LD・ADHDの児童生徒を通級による指導の対象とし、関係機関等と連携した校内支援体制の整備の在り方について検討がなされている。
 また、盲・聾・養護学校については、障害の重度・重複化を踏まえ、障害種別を超えた学校制度するとともに、特別支援教育等に関する相談・情報提供機能などのセンター的機能を担うことについての検討が進められている。
 このため、次期教職員定数改善計画では、盲・聾・養護学校がセンター的機能を十分に発揮するために必要な教職員の配置を充実させる必要がある。また、小・中学校においては、LD・ADHDの児童生徒について、新たに通級による指導の対象とし、必要となる教職員の配置を可能とするとともに、学校外の関係機関等との連携し、校内支援体制整備の牽引役となる特別支援教育コーディネーターの役割を担う教職員の配置を可能とするなど、各地域における特別支援教育の推進体制を整備する必要がある。
ウ. 児童生徒への支援(心のケアを含む)
   児童生徒の暴力行為、いじめ、不登校等の問題をはじめとして児童生徒を取り巻く生徒指導上の課題は多い。これらの問題の解決のためには、豊かな人間性の育成に取り組むとともに、不登校や問題行動などの早期発見、早期対応を基本として児童生徒のメンタルヘルス等の観点から、カウンセリングの充実や生徒指導体制の充実を図る必要がある。教職員全てが協力してきめ細かな生徒指導を行うことができるようその専門的能力を高めるとともに、スクールカウンセラー等との連携協力のもとに学校全体で児童生徒や保護者への支援に取り組むことが求められている。
 このようなことから、次期教職員定数改善計画では、児童生徒の心身の健康についての総合的な企画・調整を担う養護教諭の配置の充実や児童生徒支援担当教員の配置など、学校全体で心のケアをはじめとして不登校対策など生徒指導に取り組むことができる体制づくりを行う必要がある。
エ. 食育の充実
   食生活を取り巻く社会環境の変化などに伴い、子どもについても偏った栄養摂取など食生活の乱れ、肥満傾向の増大、過度の痩身等様々な食環境をめぐる問題が顕在化している。学校教育の早い段階から、学校の教育活動全体を通じて正しい食事のとりかたや望ましい食習慣を身につけ、食事を通して自らの健康管理ができるようにすることが重要であり、食育は、「健康・体力」を培い「生きる力」を育成する上での重要な課題となっている。
 食に関する指導の重要性が指摘される中、平成16年、学校教育法等の改正により新たに栄養教諭制度が整備された。また、平成17年6月に食育基本法が制定され、食育の指導にふさわしい教職員の設置、教職員等の意識啓発その他の食育に関する指導体制の整備は、国及び地方公共団体の責任であることが明記されている。
 このため、次期教職員定数改善計画では、学校における食に関する指導の充実の観点から、栄養教諭や学校栄養職員の配置の充実を図り、教科指導・個別指導などを通じて、食に関して児童生徒に対する個に応じたきめ細かな指導が徹底される体制づくりを行う必要がある。
オ. キャリア教育
   フリーターが約213万人、いわゆるニートが約64万人と増加している中、若者の勤労観・職業観や職業人としての基礎的・基本的な資質をめぐる様々な課題が取り上げられるようになった。現在、このような新たな社会的課題の解決のために政府が一体となった対策が講じられており、学校教育の段階においても、教育活動全体を通じて、児童生徒の発達段階に応じ、組織的・系統的なキャリア教育を推進していくことが求められている。
 キャリア教育を一層推進するためには、全ての教職員がキャリア・カウンセリングを通じた指導・援助を行うことができるようになるための専門的能力を向上させる必要がある。また加えて、キャリア教育の指導内容・方法の開発、職場体験などを充実させるための地域・企業等とのシステムづくり、家庭との連携・協力など新たな課題に対応できるようなキャリア教育を推進するための条件整備が必要である。
 このようなことから、次期教職員定数改善計画では、キャリア教育についての総合的な企画・調整を担う教職員の配置を可能とするなど、児童生徒の一人一人の勤労観・職業観を育成するためにきめ細かな指導が徹底される体制づくりを行う必要がある。
カ. 読書活動等の支援
   これからの学校教育においては、児童生徒の主体的な学習活動やよりよく問題を解決する能力、豊かな感性や情操、思いやりの心などを育んでいくことが重要である。このため、小・中・高等学校の学習指導要領においては、各学校における教育課程全体の配慮事項として、「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、児童・生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実する」ことが盛り込まれているところである。
 しかしながら、児童生徒の読書離れや「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2003)」の調査結果に示されているように読解力の低下が指摘されており、今後学校図書館の役割はますます重要となることが予想される。
 こうした中、平成13年、子どもの読書活動の推進に関する法律が制定され、子どもの読書活動の推進に関する国や地方公共団体の責務が明らかにされるとともに、平成17年、文字・活字文化振興法が制定され、国及び地方公共団体に対し、司書教諭等の充実を図るなど学校教育における言語力の涵養に資する環境の整備充実が義務づけられている。
 このようなことから、次期教職員定数改善計画では、学校における児童生徒の読書活動等を充実させるため、司書教諭定数を措置するとともに学校図書館に関する事務体制の充実を図るなど個に応じたきめ細かな指導が徹底される体制づくりを行う必要がある。
キ. 学校事務処理体制の充実
   学校事務職員については、総務、財務、管財、経理、渉外等の事務に従事し、学校運営が円滑に実施されるために重要な役割を果たしている。国際化、情報化が進展するなど社会環境が大きく変化するとともに、子どもを取り巻く課題が複雑化・多様化する中、学校事務の内容も以前とは大きく変わってきている。特に、現在、新学習指導要領により体験的な学習や問題解決的な学習が進められているが、これらの学習活動が円滑に進められるためには地域社会との調整が不可欠である。また、家庭・地域・学校の連携協力、生徒指導上の外部機関との連携協力などを推進する中でさまざまな渉外業務が発生している。さらに、学校評議員制度の導入、学校評価の導入、学校現場の権限拡大など諸改革の実施に伴い、学校事務は複雑化・多様化し、業務量も増加するものと考えられる。
 このようなことから、次期教職員定数改善計画では、事務処理の効率化・集中化を図るための事務の共同処理を推進するとともに、教員が子どもの教育に専念できるような環境を整備するため、学校事務職員の配置の充実など学校における事務処理を充実させるための体制づくりを行う必要がある。
ク. 外国人児童生徒への支援
   国際化の進展に伴い公立義務教育諸学校には、多数の外国人児童生徒が在籍するようになっており(約6万人(うち日本語指導を要する者が約1.8万人))、今後もその増加が見込まれている。外国人児童生徒については、国際人権規約等を踏まえ、日本人児童生徒と同一の教育を受ける機会が保障されており、外国人児童生徒の日本語能力の向上や学校生活への適応を着実に図るとともに、児童生徒どうしの国際理解を深める観点からも、その受け入れ体制の充実が必要となっている。
 このようなことから、次期教職員定数改善計画では、日本語指導等に対応する教員の配置の充実や外国人児童生徒支援等についての総合的な企画・調整を担う教職員の配置を可能とするなど、外国人児童生徒への支援や国際理解・異文化理解の推進のための体制づくりを行う必要がある。
ケ. 高等学校教育の充実
   近年、高等学校においては、生徒の多様な能力・適性、興味・関心、進路希望等に対応し、学校が生徒それぞれの個性を最大限に伸長させるためには、生徒の学習選択の幅をできる限り拡大する必要がある。このような中、現在、特色ある学校・学科づくりが行われるとともに、選択中心のカリキュラム編成が進められるなど、高等学校教育の個性化・多様化が進んでいる。
 また、ス−パ−サイエンスハイスク−ルやス−パ−・イングリッシュ・ランゲ−ジ・ハイスク−ルなどにより、高等学校が自主的・自立的に学校の特色化を図ろうとする機運が全国的に高まっており、今後一層、高等学校教育の個性化・多様化が進むことが予想される。
 一方、中途退学の問題をはじめ暴力行為など、生徒指導上の問題が大きな課題となっており、きめ細やかな生徒指導が行うことができるよう、各教職員の専門的能力を高めるとともに生徒指導の体制の充実が求められる。
 また、中途退学の問題と併せて、就職状況の問題、高卒者で就労しているものの約半数が3年以内に離職しているという早期離職の問題や、いわゆるニートの問題等があり、高等学校においても、生徒一人一人の勤労観・職業観を育てるとともに学ぶことの意義を教えることが重要な課題となっている。このため、高校生が高等学校生活を通じて人生の目的を見つけ、自分の生き方を適切に選択できるようにするため、教育活動全体を通じたキャリア教育の一層の推進を図る必要がある。
 このようなことから、次期教職員定数改善計画では、第6次公立高等学校教職員定数改善計画を踏まえつつ、高等学校教育の特色化・多様化や上記に述べたような課題への対応を図る観点から、少人数教育など個に応じたきめ細かな指導が一層進められるような体制づくりを行う必要がある。

  (3) その他必要な施策
   

1 教職員の資質向上
 今後、学校教育の質の向上のためには、個に応じたきめ細かな指導の徹底のための教育条件を整備するとともに、きめ細かな指導を確実に行えるよう教職員の指導力を高める必要がある。次期教職員定数改善計画が実効あるものとなるためには、教職員について質量ともに充実させる必要があり、子どもたちや保護者をはじめとして広く社会から尊敬され、信頼される質の高い教職員を養成・確保することが不可欠である。
 このため、教職員の資質向上を目指し、養成、採用、研修、評価等の全体を通じた不断の改革を進める必要がある。大学における教員養成の改善、現職研修、教員評価、保護者や地域住民の学校運営への参画など様々な観点から対策を講ずる必要がある。また、このような土台と合わせ、教員免許更新制の導入や教職員評価の充実により、教職員が常に緊張感を持って研鑽に努める環境整備が必要である。

2 評価
 学校教育の充実は教育改革の大きな柱である。教育改革が本当に学校教育の充実につながっているかどうかを適正に評価することが必要となっている。また、政策評価が重要視される現在においては、教育も例外ではなく、これまでの教育政策についてその効果を検証することが求められる。
 今後、個に応じたきめ細かな指導の徹底とともに、あわせてどのような指導形態・指導方法や指導組織が最も効果的なのかについて専門的見地からしっかりと見極め、その結果を次に必要となる教育施策の実現に役立てることが肝要である。そのためにも、今後、少人数指導、少人数学級にかかわらず少人数教育全体に関し、可能な限りデータ収集・分析に努める必要がある。
 また、今後、学級編制について学校現場の裁量を高めることとなるが、学校現場においてナショナル・ミニマム(ナショナル・スタンダード)が確保され、ローカル・オプティマムが実現されているかどうかをよく検証することも重要である。このため、少人数教育の成果検証のみならず、学校や行政がそれぞれ学校評価というフィルタを通して、学校教育の質が向上しているかどうかの大きな視点から検証し、その結果に基づき改善を加えていくことが重要である。学校評価についての具体的な仕組みを早急に構築することが求められている。

3. おわりに
   これまでも公立義務教育諸学校教職員定数については、7次にわたり、公立高等学校教職員定数については、6次にわたり、それぞれ改善を図ってきた。しかし、定数改善計画はそれを継続させることに意味があるのではなく、時代の進展とともに発生する新たな教育課題に迅速かつ的確に対応するために必要となるものである。
 このため、文部科学省に対しては、本協力者会議の中間報告を踏まえ、次期教職員定数改善計画の策定・実施に速やかに取り組むとともに、その他学校教育の質の向上に必要な諸施策を講じることを強く求める。
  以上でございます。

 

【高倉座長】  どうもありがとうございました。お疲れだったでしょう。
 それでは、今、読み上げをいただいた中間報告の素案ですね。これについてご論議をいただきたいと思います。最初に、幾つかに区切りながらご意見をいただいて、そして最後に全体を通してローラーをかけていくというやり方で進めたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 これをご覧いただきますと、最初に前文がありますが、1ページの1というのが、これまでの取組みですね。そして8ページ、これは今後の取組み。これからどうするかということで、全体の第2の部分になる、あるいは中心的な部分になります。そして、8ページの2ですね。それの「(1)基本的な考え方」、ここのところが8ページから9ページに亘っておりますが、これが今度提案しようとする中身の基本的な考え方でございまして、これまでご論議をいただいたところを、このように取りまとめていただいたということでございます。そして、9ページ以降が具体的な方策でございまして、最初に制度の問題が11ページまででしょうか。それから、11ページになりますと、諸課題への対応ということで、今日的な課題にどう対応するか、そのために教員の配置等を、改善等をどうするかということについて、極めて具体的に書き込まれております。最後のところに、前からの政策評価についてのご意見を頂戴しておりますが、政策評価について書いてあるということでございます。と同時に、最後に「おわりに」ということで、ここのところは、今まで6次、7次の計画の延長線上でというようなご議論をいただきました。それから考えると若干ニュアンスが違うかもしれませんが、定数改善計画を継続させるということに意味があるのではなく、時代の進展とともに発生する新たな教育課題に対応する必要があるんだということで、この前までのご議論よりも一歩踏み込んでいるかもしれません。そういったことも含めまして、いろいろなご意見を頂戴したいと思います。
 それで、まず最初に、1ページから、これまでの改善の取組みですね。1ページから少し区切りながらいきましょうか。これまでの取組み、1ページから3ページまでですね。そして、5ページからは、その取組みの評価の問題が出てまいりますので、評価、これも取組みと評価をばらばらにするというのはいかがかと思いますので、それでは1ページから7ページ。実質的には6ページまでですね。これまでの取組みとその評価について、ご論議をいただきたいと思います。どうぞ、前文のところは、数行、これは形の上で、この種の報告書には必ずついている形でございますので、これはこれでよろしいかと思いますが、1の、これまでの学級編制及び教職員配置の改善施策等の取組みですね。従来の取組み、それから、2ページになりますと第6次、7次の取組みが書かれておりまして、そして5ページには、主として6次、7次の取り組みについての評価がなされていると、こういうことでございます。
 それでは、評価まで含めまして、ご意見をいただければと思いますが。どうぞ、どこからでも、よろしくお願いいたします。6ページまでのところですね。
 従来の取り組みにつきまして、「すし詰め学級の解消」と、懐かしい言葉が出てまいりましたが、こういったことで書かれておりますし、2ページは、先ほども申しましたように、第6次、第7次の取組みについて、その概略が示されていると、こういうことでございます。そして、5ページが評価。どうぞ、お願いいたします。橋本先生。

【橋本委員】  3ページのところです。ここに総額裁量制の導入ということで、出だしからこのように書かれておりますが、最初、1行、2行、3行、このあたりの表記、これでよろしいのかどうかということが大変疑問に思います。というのは、公立義務教育諸学校……。
 総額裁量制の導入について反論しているわけではありません。それは最初にお断りしておきたいと思います。
 次の表記なんですが、「公立義務教育諸学校の教職員の給与費については、本来設置者である市町村が負担すべきところ」という、国で出すべきことに、このような表記でよろしいのか。また、次のところに、「財源の安定的な確保の観点から」ということですが、ここは違うのではなかろうかと思うんです。といいますのは、公立義務教育諸学校の教職員の給与については、憲法に定められた教育の機会均等、水準確保、無償性、これは義務教育の根幹は国がその責務として担保する必要があるという、そういったことから、現在、国が2分の1、都道府県が2分の1負担をするという仕組みになっているわけですが、このような文言ですと、今、都道府県の6団体の方々が代表で出られている……。

【高倉座長】  義務教育特別部会。

【橋本委員】  そちらですよね。そのあたりで本当に心配だなという気がするんですね。こういうふうに、本当は負担すべきところを、国は財源の安定的な確保の観点から出してあげているんですよと受けとめられてしまうのではなかろうかという、ここの文言は気を付けたほうがよろしいのではないかと思っております。総額裁量制を新たに導入したことによって、各都道府県が柔軟に対応できるようになったということは現実ですので、それはよろしいと思うんですが、そのあたりが心配で、今、お話しさせていただきました。

【高倉座長】  ありがとうございました。
 2つの点、本来設置者である云々と財源の安定的というふうな書きぶりでよろしいんだろうかと。設置者である云々というところは、設置者負担の原則でしょうか。学校教育法第5条後段、それを正確に表現したんだと思います。
 どうぞ、事務局でその2点、何かご説明等。

【茂里財務課課長補佐】  今、ご指摘いただいたところなんですが、座長がおっしゃるとおり、要するに、設置者負担の原則ということを書き表したかったんですけど、そこは少し言葉が足りなかったかなと思っております。
 そこでまた説明すると長くなりますので、お許しいただければ、「本来設置者である市町村が負担すべきところ」というのは言わずもがなの世界で、財源の安定的な確保の観点からとしても意図は繋がるかなとは思っておりますので、そのあたりは検討させていただければと思います。

【高倉座長】  おそらく橋本先生のご意見、義務教育特別部会のご議論等々が念頭にあって、機会均等とか、水準確保とか、そういった文言が欲しいと、こういうようなことかと思います。どうぞ、橋本先生。

【橋本委員】  そうですね。今、特別部会であれだけ審議をずっと続けている中で、やっとまとまっている、そちらをきちっと受けとめていかないといかないでしょうと思っているわけです。ですから、本来設置者である市町村が負担すべきところというところをカットしたとしても、その次のところ、財源の安定的な確保の観点からではない、それだけではないということで、そこのところを、例えば教育の機会均等、水準確保、無償制など、義務教育の根幹は、国が責務として担保する必要があるというようなことを何らかの形で入れておかないと、特別部会で何なんだということになっていってしまうと思います。
 今回の私どもの協力者会議に検討してほしいということも、やはり特別部会での意図もきちっとある、そのことを受けとめていかないといけないのではなかろうかと思っております。

【高倉座長】  どうぞ、吾妻先生。

【吾妻委員】  中教審の義務教育特別部会に参加をしている者として、今の橋本委員のお話は、私も賛成です。事務的な面からいうと、ここの文言になるんだと思いますが、もっとレベルの高いところで、義務教育に対する国の責任という面で、是非意見を十分検討されて、ここの部分を修正をお願いできればと。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 とにかく、特別部会からの検討依頼を受けておりますし、総会でご報告をするというような段取りも必要かと思いますので、そのあたりを丁寧に書いておくということで、よろしくお願いいたします。
 門川先生、どうぞ。

【門川委員】  3ページの総額裁量制のところで「地域や学校の実情に合わせた活用ができるようになった」と書かれているわけですが、議論の中でもあったと思うんですが、現実に市町村レベル、あるいは学校レベルでそうなっているのかなと思います。
 1つは、職種の枠を超えて総額裁量制が活かされればわかりやすい。例えば、総枠の中で事務職員を増やすのか、養護教諭を増やすのか、どの職種を増やすのかを市町村レベルで判断できれば良い。あるいは、定数崩しについても文部科学省が意図されているように、もっと市町村レベルで活かせるのではないか。あるいは、後ほどにかかわってくるわけですが、学校を超えたコーディネーターとか巡回とかにも触れてもらっていますが、こうしたことにも活用できるようにもしてほしい。したがいまして、「地域や学校の実情に合わせた活用ができるようになった」と言い切ってしまうと、これが完璧なようですが、後ほどで、それを完璧にするために市町村単位で配置していくとかということに触れていただいていると思いますので、総額裁量制で大きく前進したが、それが市町村レベルで、あるいは学校レベルで、その趣旨が十分に活きていないところがあるというようなことを書いておいていただければありがたいわけです。

【門川委員】  文科省の意図は、まさしく地域・学校の実情に合わせるというところなんでしょうが、現場のレベルではまだ非常にかたくなっているということがあると思います。

【高倉座長】  門川先生、それはここでもう書いちゃったほうがいいのか、後の5ページ以降の「取組みの評価」のところで書き込んだほうがいいのか、そのあたりは、もし書き込みをいただくとすれば、事務局でどちらで書くか、場所は、そういったことを書き込んでほしいということでございます。ありがとうございました。
 5ページ、6ページの評価のところで書くのか、あるいは総額裁量制といっているここで書いたほうが分かりやすいのか、そのあたりは事務局のご判断で、是非ご検討いただきたいと思います。
 前のほうで、1ページ、「従来の取組み」、これは昭和33年の標準法以来のことを非常に簡潔にお書きいただいて、2ページのところは、6次、7次の改善について、主として加配定数の改善ということで、ずっとお書きいただいていて、弾力化の問題、今、総額裁量制の問題がここで出てきている。
 それでは、ここは一旦これでご議論をおさめまして、次のところに移っていく、そして最後にもう一度ローラーのかけ直しをするということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 「取組みの評価」のところで、何かご意見ございますでしょうか。
 特に、5ページの一番下のパラグラフ以降になりますと、6ページで総括してありますように、今日的な教育課題への対応ということで、今日的な教育課題についてここでちょっとお触れいただき、最後に具体的な問題が書かれている、こういう形になろうかと思います。よろしいでしょうか。
 6ページの最後のパラグラフ、「学校の裁量をいかに高め、学校の設置者である市町村や都道府県の判断をどのように尊重していくかについて十分な考慮が必要である」と。市町村と都道府県、これをここでパラレルに述べておいたと。ここでさらっと書いて、後のほうでもう少し詳しい書き込みがありますが、このあたりの表現、よろしいでしょうか。また、後のほうの詳しい書き込みをご覧になって、もう一遍ここに戻ってくるということも出てくるかもしれませんが、それでは、ありがとうございました。
 8ページ、「今後の取組み」で、特に「基本的な考え方」が8ページから9ページの頭のところに書いてあるわけでございます。9ページの3行目のところで、「学級編制の標準を35人などに引き下げるなどの全国一律の画一的な取組みではなく」云々ということで、これまでのご議論にあったところを、こういうような取りまとめをされているということになろうかと思います。
 どうぞ、ここの「基本的な考え方」というところ、独立して、こういう書き方でいいのかどうかとか、もっと議論すべきところがあるのかないのか、「基本的な考え方」、ここ非常に大切なところでございますので、是非ご意見を頂戴したいと思います。
 どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】  8ページからですけど、何ページというわけではないんですが、今の考え方。ここにも記述されていますように、OECDの調査あたりで見て、やっぱり日本の場合は、学級定数、定員ですが、非常に条件が悪いわけですね。ですから、これは現実的にきちっと踏まえておくべきだと思うんです。何らかの形で定数改善というか、あるいは教職員配置というものをきちっと増やしていかなくてはいけないというのは、僕は現実的な日本の課題だと思うんです。もちろん、財政的な問題もあるかもしれません。そういう認識というのは、きちんと持っておくべきだと思うんです。ですから、フィンランドの場合が出ていますが、よく学力低下の問題で、フィンランドを持ってきて、向こうは非常に成績がいいと言いながら、結局何かというと条件整備というものが、日本が追いつくためには条件整備もやっていかなくてはいけないんだという、基本的な国としての考え方というものを持っていないと、単なる学力低下は、ひょっとすると日本の教員が悪いからって何かバッシングみたいな形じゃないけど、いろいろな形が出てくるわけです。やはりここに書かれていますように、フィンランドの場合は、こういうように条件が世界的にも最高水準に達しているんだという認識の中で、日本も改善すべきだというような考えていくべきだと思うんです。
 それを踏まえて考えたときに、やはり40人学級ではなくてという話がいろいろ出てくるんです。それはそれとして考えられるんですが、例えば30人というのがよく出てくるんですが、30人くらいにしたときに、どれくらいの教員配置が必要になってくるかというようなことについて、質問を1つさせていただきたいのと、今の自然減に見合う分の定数というのはどれくらいあるのか、これをちょっと教えていただきたいと思います。

【高倉座長】  はい。どうぞ、事務局から。

【小熊教職員配置計画専門官】  30人学級、30人を上限とした学級編制基準を設けた場合にどうなるかということでございますが、平成16年度の児童・生徒数をもとに試算したものでございますが、そのために増加する学級数は8万3,000学級、増加する所要の定数としましては11万人、国、地方を通じた教員の給与費というものが7,800億円、それぞれ増加をしていくという試算がございます。
 それから、今後の自然減についてでございますが、今後5年間、平成18年度から平成22年度までの間の教職員定数の児童・生徒数の減少に伴う自然減は、約9,000人と見込んでおります。
 以上です。

【高倉座長】  その30人というのは、小1から中3までが全部入る?

【小熊教職員配置計画専門官】  さようでございます。小学校1年生から中学校3年生まで実施をした場合の試算でございます。

【高倉座長】  ありがとうございました。はい、どうぞ、吾妻先生。

【吾妻委員】  今日、ここに来て、これだけのページ数を見て、一々どこの文言がどうのというレベルの話までちょっとできないと思うんです。多分、確認なんですが、今日でこの案がとれるのではなくて、もう一度あるんだろうと思っていますので、あまり細かい文言にこだわる議論よりは、全体的に、今回この中間報告で位置づけている方向性を確認することのほうが重要なのかなと私は思っているんです。各委員さん方のご意見をいただきたいと思うんです。
 1つは、今、渡久山委員からもちょっと指摘がありました35人云々という話になると思うんです。結局、ずっと議論してきた少人数指導と少人数学級をどうするかという問題で、これは財政的な問題、あるいは自然減の中で確保できる教職員の数云々で、画一的に両方ということはかなり厳しいという中で、40人学級を基本としながらも多様な教育、多様な指導ができるほうを主にとろうと。しかし、その中には、少人数学級をとることも可能であるということで確認をしたと思うんです。もう一度その辺のところを、やはり基本だと思いますので、40人学級を維持しながら、多様な指導、教育に持っていくんだという意味での確認がひとつ必要だと思います。
 それからもう一つ、やはり重要なのは、これは当然今日、後でたくさん議論が出てくるかと思うんですが、学級編制権というんですか、学級編制の主体が都道府県から市町村、あるいは学校現場と、ここの考え方は委員の中からたくさんご意見が出されて、方向性は皆さん賛成だと思うんですが、具体的なやり方、イメージ、当然、人事権とか給与のことを全く無視して学級編制だけもできないのかなというのは、ちょっと不安といいますか、具体的な、事務的な問題も含めて、相当煮詰めておかないと厳しいかなと。
 もう一つは、大まかな話ですが、第8次がすぐ継続して、1年、間を置かないで行うとすると、もう9月からこれまでのやり方でいう学級編制事務が動き出すんです。そうすると、時間的な問題も十分に考慮しながら議論を進めていかないと間に合わない問題も出てくるのかなと。その辺のところを何か意識しながら議論をしていければなと思います。

【高倉座長】  はい、ありがとうございました。4点、ご発言いただきました。全体の方向性の確認、それはもうそのとおりで、それからもう一つは、今日で終わりということではなくて、前にもちょっとアナウンスがございましたが、後で事務局から改めてアナウンスがあると思いますが、もう一度予定を組んでおくのは22日ですね。だから、そのときに最後の詰めをする。ただし、これは中間報告の詰めをする、こういうことです。どうぞ、事務局から少人数学級の可能性、もう少しぴしっと書いておいたらいかがかという、それから学級編制の主体というものが市町村、あるいは学校にどんどん変わってきている、移ってきている、それはそれでいいけれども、具体的なイメージをもうちょっと書き込めないか。それから第8次、これはすぐというのは来年度からということで、実施するとすれば、学校現場等々、それにもう既に対応しなくてはならない、そのあたりの心積もりというのが、そのあたりをどう書き込んでおいたらいいのかというようなこと。それでよろしいでしょうか。どうぞ。

【吾妻委員】  書き込むというよりは議論をしていただければ。

【高倉座長】  はい、ありがとうございました。どうも失礼いたしました。どうぞ、茂里さん。

【茂里財務課課長補佐】  まず、方向性の話ですが、今回は、例えば一律とかいう議論があったんですが、それを超越して、一番今何が求められているかというと、現場の判断というのが一番必要性が高い。少人数学級にするのか、少人数指導のままで行くのかというのは、なかなか決定打がなかったという部分がやっぱりあるんだと思うんです。その決定打というのは、教育効果の面でどこまで効果が期待できるのかという部分だろうと思うんです。それについては、引き続きデータを収集して分析していく。必ずしもそれを未来永劫やらないという話では全くないんだろうなと思っております。
 制度改革は、これから委員の方々にいろいろご議論いただくんだろうと思うんですが、さらっと書いてある。後から出てくるんですが、学級編制の仕組みについて見直しをする、見直しを検討する必要があると、さらっと書いてあるんですが、ここは基本的に今、中教審で人事権とか負担の部分のご議論が進んでおりますので、そういった国、都道府県、市町村の役割分担の議論を十分踏まえながら検討しなくてはいけない部分もあるんだろうと思っております。そこをあえて、例えば都道府県の学級編制の基準を市町村の学級編制基準に下ろしてしまうとか、例えば同意を廃止してしまうとか、そういった個々の事項はあるんですが、それも敢えて書き込まなかったということでございます。
 あと、時間的なものは本当におっしゃるとおりだなと思っているんですが、それもいずれ秋には中教審できちんとした結論が出るんだろうと思っております。その時点と平仄を合わせる形でこれから中間がとれた形になっていくんだろうと、事務局では考えております。そういった、要するに全体のこの部分だけ先行するのではなくて、全体の制度設計の中で決めて、できるだけ速やかに関係者の方々にご説明申し上げるということを進めていかなくてはいけないのかなと思っております。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、門川先生。

【門川委員】  今、財政事情が厳しい中で、文部科学省が大変なご努力をいただいていること、よくよく承知の上での話なんですが、この報告書が国民に分かりやすいものに、また学校現場、保護者、教職員たちを励ます、そういうようなものにならなければならないと思っているんです。一般論として、私どもに対しましても、直ちに30人学級にしてほしい、京都市独自にでもしてほしいという論議があるわけです。私は何度も述べてきましたが、学級規模の縮小は必要だと考えます。ただ、例えば、京都市で小中学校を30人学級にしようと思えば80億円の予算が要るんです。それを誰が負担するんですか、こういうことも説明するわけです。また、現に、30人以下の学級が約半分になっているんです。そうした画期的に教育条件が改善された下で、そこにはいろいろな問題はないんですかということも現にこちらから投げかけるわけです。もちろん、我々は30人学級を求めていきたいと思っていますが、それだけでは問題は解決しないんですよとも言っています。また、本文を読んでいますと、3教科について、例えばこれまでの改善の結果20人程度の授業ができるようになったと書いてある。しかし、国民はそうはなっていないのではないかと思うわけです。小中学校、全国で3万数千校ある、その中で2万6,900人の教職員の定数をあらゆる職種を含めて改善してきた。小学校では実際には約6割の学校に1人、ないし2人の定数が改善されたが、ほとんどが1人だけです。4割は全く改善されていない。中学校は、約8割の学校に1人ないし2人改善された。この程度で少人数指導、20人学級ができますよというようなことにはならないんです。ですから、2万6,900人の定数を有効に活用して、今まで学級王国的な指導だったのが改善され、いろいろな市町村、学校の創意を活かした取り組みによって、多様な取り組みができたことによっていろいろな成果が表れてきているということもはっきり示す。そしてその次に、国民からも、学校現場からも少人数学級を求める声が多い、私もそれをしてほしいわけですが、ただ現実には30人学級をしようと思えば、11万人の教員が必要で、7,800億円の予算が必要であり、35人学級なら4万数千人で、3千数百億の予算が必要ですと書くべきだと思います。これは、納税者が政策を判断していくという点からも必要だと思います。さらに言えば国民の税金で国も地方も全部仕事をしていくのですから。そういう政策判断も求めていったらいいと思うんです。その上で、35人学級、あるいは30人学級を直ちに画一的にやろうと思えば、この5年間の成果である少人数学級などのいろいろな取組が全部なくなってしまって、それでもなおかつこれだけの人が必要なんですということも貫けばよい。みんなが悩んでいるのもそこですから。
 したがって、画一的に少人数学級をやるのでなく、学校とか地方の独自性を発揮させながら、教育施策の効果とを判断して、できるだけ学校、地方が選択できるような方針に変えましょうと。総額裁量制もより柔軟にしていきましょうという結論にしてはどうか。それから同時に、少人数学級をしたり、少人数指導を充実する、あるいは先ほどからいろいろありましたが、食育の問題から、特別支援教育から、読書から、心の教育、養護教諭、外国人問題等々いっぱいある。これもやります、あれもやりますっていっぱい書いてありますが、本当に総枠9,000人でやらざるを得ないというときに、こうは言ってるけど、全然実態は合わないのではないかとみんな思います。全国で、今まで第7次改善の中で、わずかずつ増やしてきた、全国の3万数千校の中からいったら、本当にわずかしかならない。現実は厳しいわけですから、そういうバラ色のイメージだけ与えてたらだめだと思うんです。
 ですから、その辺を分かりやすく表現して、その上で、私は是非ともこの中で書いてほしいなと思いますのは、中教審の義務教育特別部会の中で、国際標準と比べて、教材、施設設備、教員配置について、誇れるものにしようということを明記されているわけですから、フィンランドのことを例示していただいたのは非常にありがたいと思うんです。国際水準から経済大国といわれる日本がいくら財政事情が厳しいとはいえ、誇れるものにしていきましょうと。そのためは、トータルとして、どれぐらいの教員を増やしていくべきか。35人学級を直ちに、一律にやろうと思ったら、4万何人要るので、それはできないけれど、せめて方向性を目指すべきだと思います。そうでないと、今書いてあるのは、教員定数改善は、必要な改善をしましょうというだけなんです。しかし、義務教育特別部会で本当に高らかに言っていただいているんですから、我々は、遠慮せずに言うべきだと思います。
 政策判断を国民が最終的にしていくわけですから、国民に対して説明責任という意味で、この文章の中に35人学級、あるいは30人学級をすればこれだけの経費の負担が必要なんです。ただ、これは今、教育効果の検証も十分されていないし、画一的にやるのは無理なので、こういう方法をとっていきましょうということを分かりやすく書くほうがいいのではないかなと、そうすれば国民の理解も得られるし、目標も出てくるのではないかなという気がします。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、橋本先生、その次、渡久山先生、どうぞ。

【橋本委員】  8ページのところです。「今後の取組み」についてです。ここに基本的な考え方が書かれているわけで、特に知の大競争時代ということで、その下にも知の競争時代のことが書かれているわけですが、確かに知の側面って大変重要なことで、いろいろな調査の結果から、このことが重要なことというのがよく分かっているわけです。私は常々思っていることは、義務教育の目的って何なんだろうかということをよく思います。これは、1人1人の人格形成と、国家、社会の形成者の育成ということで、本当に今、何が課題なのかということを見たときに、1ページのところで課題が書かれているんですね。1ページの下のほうに課題が7行に亘って書かれているんですが、これらの大事な課題があるということが分かっていながらも、やはり取り組みとなると知の側面という形になってしまうんです。ですから、特に1ページの「近年の児童生徒の変化により、不登校や生徒指導の問題、さらに」云々「人間関係づくりなども含めて」どうなのかということが書かれているんですが、実際に8ページのところで、「基本的な考え方」になりますと、知の側面のみで言ってしまっている。
 そこで、豊かな人間性の育成なんか文言などもなくなっているなと、むしろ、本当に国家、社会の形成者の育成として何をすべきなのか。知の側面、これも大事なこと、だけれどもというようなことで一本何か必要かなと思ったんです。8ページの下に3つまるがありますが、これは新たに生じている今日的な教育課題に対応しつつ、このようなことが必要ですねって書いてあるわけですが、一番下のまるあたりに、もう一度ご検討願って、新たな教育課題に対応する中で、1、2、3つ目、何なのかということをつけ加えられるといいなと、そのように思っております。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。渡久山先生。

【渡久山委員】  1つは、言葉の問題だけど、ナショナル・ミニマムとか、ローカル・オプティマムってあるでしょう。あれ、日本語に訳せないの。というのは、教育基本法をやったときに、日本人としてのアイデンティティーというのがあったんです。日本人としてのアイデンティティーというのは、アンデンティティーがないから日本はそういう言葉になってないかという、まず非常に面白い話になったんです。ただ、アイデンティティーという言葉を日本語に直すのは非常に難しいという話だったんだけど、そういうものもあるんです。やっぱり先ほどから出ている分かりやすいということになったら、分かりやすく書いたほうがいいのではないですか。それで、その場所場所で訳が違ってもいい、訳というよりは、表現が違ってもいいのではないですか。それが1つです。
 それからもう一つは、先ほど出たように、今、門川委員からあったように、やっぱり35人学級を30人学級にしたら、これはかなり答えていただいたように、そうすると、財政難の今日、これができるんだろうか、できないんだろうかということは、最終的には政府の施策の選択でもありますし、あるいはまた、国民のどうするかという話もある。まあ、解散になったからどうなるか分かりませんが、そういうこともありますから、どこかで資料的な形ででも、やっぱり提起しておかないといけないという気持ちがあります。なぜかというと、ここの表にも出ています各団体の要求、ほとんど30人学級で出ているんです。だから、それにどう応えるかということは、ある程度、中間報告でも応えておかないといけない。こういうことなんだけども、これだけのことがあって、これは非常に厳しいというなら厳しいという話をやっていっていいと思うんで、それは僕はまた遠慮することもないと思うんです。
 それから9ページにいろいろなことが書いていて、今現在、40人を標準としているけれども、ほとんど42道府県、あるいは45道府県で40人を下回っているわけです。そうであれば、それはもう標準というよりは、上限とか何とか、限度としてという感じに変えて、標準を変えていくということも必要になってくるのではないかなという気はちょっとします。
 それから11ページに「小1プロブレム」というのがありますね。これは僕は非常に大事なことだと思うんです。「小1プロブレム」というのは、やっぱり小学校入ってきて、学級によっては40人いっぱいになっているわけです。そうしますと、幼稚園から入ってきた子どもたち、保育所から入ってきた子どもたち、それぞれにちょっと違うんですね。要するに、学習に対する対応、あるいはグループ、社会的な集団に対する対応が違いますから、もっときめ細かにいかなくてはいけないと思うんです。そうであったら、これを今、考えて、この上には、具体的には20人程度の学習集団を構成することが可能となっているとなっていますね。しかし、県によっては、例えばTTを入れて、40人の学級を必ずキープしながら2人で見ろとか、あるところでは、40人を20人、20人に分けて、別々に見ろというのがあるんです。これがどうも教育委員会がイエスと言わないと学校現場ではできない。これは非常にまずいですね。学校現場で選択させるという形をとっていかないといかない。特に、「小1プロブレム」の場合は、やっぱり学校現場にもっともっと裁量権を与えてやっていかないといけないと思うんです。これは、全体的に流れているトーンではあるけれども、やっぱり具体的にこういうことをやっていくという必要が非常にあると思うんです。
 それから12ページに「特別支援教育」についてあるんですが、「特殊教育」という言葉が1つだけ出てきますよね。これは、ちょっと直したらいいのではないですか。12ページの特別支援のですね。
 それから、このことについても、コーディネーターの問題がよくありますが、やっぱりコーディネーターを別に配置するのか、あるいはそのまま兼務させるのか、これも非常に大きな問題なんです。だから、逆に定数が変わったために、免許とか、要するに障害教育に関する免許が変わったために、逆に定数が十分配置されないということがあったらまずいと思うので、この辺をどうするかという問題があります。今日は、また第1に読解だといいますから、何か言わせてもらいたいと思ったら、この辺が1つあります。もう一つは、司書教諭の関係がありますよね。これは、15ページにありますが、司書教諭制度というのがあったのだけど、司書教諭というのは、制度として確立してないですね。教諭であって、司書免許を取って司書教諭になっていますよね。そうすると、やっぱり現場から見れば、司書教諭というのは制度としてきちっとしたものがあってもいいのではないか。そして、それを前提にして、専任化したらどうかというようなものが現場の要求なんです。そうでありましたら、ちょうど今、栄養教諭が制度化されたように、司書教諭も、要するに教諭をもって充てるになっていますから、それも図書館法ですからね。そうではなくても、ちゃんと免許法の中に入れて、司書教諭として制度的に確立をして、きちっとした、まあ、金があるないは大事でしょうけれども、専任化するというようなことが非常に大事ではないかなという気がいたします。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。ちょっとお待ちください。8ページ、9ページの「基本的な考え方」が非常に大切なのでということで、かなりここに限定してご議論いただいておりましたが、もう既に11ページ以降の「諸課題への対応」ということで、具体的な中身に触れられてきております。したがいまして、「今後の取組み」はまたもう一遍「基本的な考え方」、まだまだこれ、足りないかと思いますが、一旦、今はここで「基本的な考え方」に集中することは、終わりにしまして、具体的な方策の制度の改善の問題、そして、特に11ページ以降の「諸課題への対応」これにも渡久山先生のご議論はそれぞれ入っておりますので、どうぞこれを含めてお願いいたします。なお、門川先生からこういうふうにたくさんあれもこれもと言われて大丈夫なのかというようなお話、それは裏返しにしますと、プライオリティーということについても触れるべきだというような含みもあるのかなという気もしないでもありません。どうぞ、11ページ以降の「諸課題への対応」、そこで特殊教育という、表現の問題にまで言及されたご発言をいただきました。天笠先生、どうぞ。

【天笠委員】  今ありましたように、11ページから17ページにかけて「諸課題への対応」ということで、今、座長ご指摘のような形なので、どうしてもこれが羅列的なような印象を受けて、確かに一つ一つこういう課題があることはよく分かるところなんですが、これをただ単に羅列的に示すのではなくて、ある繋がりのあるものとしてとらえられるようなそういう検討というか、工夫というのが必要かなと思いました。
 その1つとして、「基本的な考え方」のところに戻るんですが、「基本的な考え方」の1つに、私は学校が1つの教育の空間であり、学習の環境であるというトータルに学校を捉えるという発想とか考え方というのが、どうしても私は必要なのではないかと思います。言うならば、それぞれの11ページから17ページあたりのところ、ある意味での学校という空間の中の個別的なそれぞれの課題が1つ1つ出てきているということであって、それは学校全体の環境の設計の工夫を通して、それぞれの個別的な課題の解決に迫っていこうという発想があるんだと思うんです。そうすると、やっぱりどうしても「基本的な考え方」の中に、学校全体を1つのトータルに捉えるとか、あるいは学校の環境を望ましい状態にすることによって、諸課題の解決を図っていくとか、そういうことであって、いわゆる定数の改善というのも、そういうことに貢献していくための方策、取り組みなんだという、そんな考え方、発想というのが……、あるいは「基本的な考え方」をこの中に入れていく。ですから、そういう点で、基本的な考え方の中にそういうところを押さえて、その上で各、諸課題というのがそれに連なっていくような展開が必要なのではないかと思います。そういう点では、学校評価という考え方も後ほど出てくるわけですが、やはりトータルとしての学校の環境が評価の対象になり、そこで教育の成果、効果がどれほど上がったのか上がってないのか、そのことがまたそれぞれの個別的な教育の成果というところに戻ってくるとか、そういう循環サイクルでとらえていくとか、そのあたりのところの発想をもっと私は強調するとか、ここのところに差し込んでもよろしいのではないかと思います。

【高倉座長】  はい、ありがとうございました。学校をユニットとしてというのは、前からいろいろご意見いただいております。18ページに、学校評価、今ご指摘いただきましたけれども、そういうことでまとめて……。もう一カ所ありましたね、学校が全面に出てくるところ。
 はい、ありがとうございました。橋本先生、その次門川先生。どうぞ。

【橋本委員】  2点あります。まず1点は、今、天笠先生がお話しいただいたとおり、羅列ではなくということが全く同じなんですが、12ページのところです。「学習指導の充実」の一番ラストのところなんですが、「総合的な学習の時間についての総合的な企画・調整を担う教職員の配置を可能とすべきである」という、この表記なんですが、本当に学校がこれを望んでいるのかということなんです。総合的な学習の時間においては、各学校において、3年間の見通しを立てた指導計画をもとに今実施しているわけです。ただ単に、企画・調整役を行う教職員の配置を望んでいるわけではないということです。ですから、この表記の仕方についてもご検討願いたいと思っています。
 学習指導の充実とともに、教育活動全般に亘ってのことも大変重要なことがあるわけですが、そういった表記がありませんので、その他をどこかにちょっと入れることも必要なのかなと、学習指導は大変重要なことですけれども。
 それからもう一つになりますが、14ページのところです。これは、13ページの「食育の充実」にかかわるところで、食育を充実させるということで、今回は栄養教諭の創設ということで、大変大事なことが実施されるわけですが、特に14ページの上のところです。「このため、次期教職員定数改善計画では」ということで、「学校における食に関する指導の充実の観点から、栄養教諭や学校栄養職員の配置の充実を図り、教科指導・個別指導などを通じて」ってここに書いてあるわけですが、この栄養教諭や学校栄養職員、その前になぜ、家庭科担当教諭の全校配置とか、家庭科担当教諭の配置の充実を図りとか、そういう文言がないのか。いわゆる、教育課程内で指導を行えるのは、今、小学校の5年生からの家庭科、中学からの技術家庭科の家庭分野、こちらについては、衣食住の生活、または家族と家庭生活の内容を学習しているわけですが、子どもにとっては学習になりますが、特に、食生活に関しての内容を多く学習できるように今、各学校では努力しているんです。ところが、実際は、小学校の家庭科は全科の担任がほとんど行って、専科がいなくなってきている。中学校の技術家庭の家庭分野の教員は、東京の場合は講師、他県の場合には、ほとんど複数教科を持っている先生で専科がいない、こういう実情の中で、食に関する充実、食に関する充実と言われていますが、本当に栄養教諭の配置だけで食に関する充実ができるのか否か、教育課程内、教育課程外、指導の内容が違っているということですね。そういったことを検討しまして、栄養教諭だけで教科指導ができるわけではありませんし、そういったことで、このための充実の観点から、そのあたりのことも考えていただきたいと思っております。

【高倉座長】  門川先生。

【門川委員】  8ページの「基本的な考え方」のところに1つは戻るんですが、一番最後のまるの「学校全体で取り組むことができるようにする」というのが、おっしゃろうとしていることは分からないでもないのですが、ちょっと分かりにくいというのが1点。学校が組織体として有効に機能して、計画的に取り組めるということが非常に大事だということを書いていただいていると思うんですが、同時に、どんどん学校にいろいろなことを任していくというときには、市町村教委の指導性、専門性を高めてきちっとしたコーディネートし、指導することも大事ですので、ここのところを学校全体で組織的に取り組むことができるようにすると同時に、学校の設置者である市町村教委が責任を持って、それぞれの学校の課題に応じた指導とかバックアップをしていく、そうした体制が大事だと。後ほど出てくるコーディネートするとか、学校を超えていろいろな取り組みをしていくとかいうことに繋がればいいのではないかと思います。
 それから、教職員のそれぞれの職種を明示し、課題を書いていただいている、これは第7次からはなかったことを書いていただくということについての必要性はあろうかと思うんですが、その最後に、それぞれに次期定数改善計画においては何々する必要があるという表現になっている。今までの発想で言いますと、全国に3万数千校の学校がある中で、はい、これに300人、これに150人とかいう計画をたて、達成率が何パーセントだということに今まではなってきた。しかし、ここは大きく基本的な考え方を整理して、こういう課題があるけれども、それぞれ何を一番重視するか、選択するかいうのは、学校に、市町村教委に任せていこうという判断が大前提にあるわけですから、一つ一つの職種の中に、こういうことを書くのではなしに、こういう課題を含めて、総額裁量制の中で市町村が何を一番、最も重要視していくかということを考えてやるべきではないかなと思います。そうでないと、先ほどの議論の30人学級であと、11万人必要なのにプラスしてこれだけの職種をそれぞれ重要だ重要だ言っていたら、あと何万人ぐらい増やす計画になるんですかね。夢を語るだけで、現実性がない。あるいは、特定の学校にだけでいいのか、あるいはリーディングケースとしてやっていくということなのか、それぞれ関係する団体、あるいは法律等で決められたことですので、重要性を指摘することは私は必要だと思うんですが、実際的な運用については、地方の時代であって、市町村、あるいは学校の主体性を尊重していくんだということが分かるような形にしていただければありがたいなと思います。
 例えば1つだけ申し上げますと、外国人子女の問題でも、例えば中国語ができる先生が必要な時に今の段階では定数で措置してもらいますから、中国語ができる先生を特定の学校に専任で置かなければならない。しかし、そのような人材は、京都でも得られません。やむを得ず、大学の先生とかいろいろな人に頼んで、週3時間とか5時間とか10時間の非常勤講師で来てもらうわけです。そうしなければ、1日フルタイムで来られるような人で中国語ができるような人は現にいません。そうすると、教育委員会に配置して、巡回指導するようなところまで制度を柔軟にしていかなくてはならない。そういうことが必要ではないかなと思います。
 次に、細かいところなんですが、LD、ADHDに「等」をとつけておく必要があるのではないかなと思います。

【高倉座長】  「等」は、特別委員会のほうでは「等」がついています。アスペルガーを含むというようなことですね。
 すいません、では、吾妻先生と渡久山先生。どうぞ。

【吾妻委員】  先ほどのご意見のところで、できるだけ学校現場にという渡久山先生からご意見がありましたが、これはこの前のときに門川先生からご指摘があったように、学校任せでかえって混乱することもあるのでということは、やっぱり確認しておきたいと思うんです。ですから、最後は学校も教育委員会の承認を得てということが、実は大事なこともあるんだということだけは確認しておかないと、学校だけでやれない学校も全国の中にはなくはないということを確認しておきたいと思います。
 それから、先ほどの門川委員からの8ページのまるの3つ目。私も実は、どういうタイミングでご質問しようかなと思っていたんですが、3つ目のまるが、もうひとつぴんとこないといいますか、何か表記の仕方を工夫したほうがいいのかなと思っております。
 それから9ページの(2)の1のa)のところですが、ある意味では、今回の一番のポイントだと思うんですが、そこのa)の一番下から3行目ぐらいのところですね。「教職員の標準定数について都道府県ごとの算定から市町村ごとの算定に改めること、学校現場の判断で学級編制が弾力的に実施できるよう現行の学級編制の仕組みを見直すことなどについて必要な検討を行うべきである」と。最初のときに申し上げましたが、この考え方は基本的に大賛成ですが、なかなか非常に難しい面がたくさん出てきますので、ここで文言で書くのではなくて、こういうことをこの部会といいますか、協力者会議で答申をして、それを受けて多分文部科学省のほうで具体的な法律改正とか、事務的な取り扱いについて出てくるんだと思いますので、これはこれで表記はいいと思うんですが、何か相当研究を重ねて是非やっていただきたいと思います。
 それから、11ページなんですが、2のa)の中ほどでしょうか、「指導組織が最大限の効果を発揮できるような規模の教職員定数の改善を図る必要がある」、その後なんですけど、「その際、学校間の巡回により、学校を超えたコーディネートが可能となる仕組みについても検討する必要がある」。意味合いは何となく分かるんですが、もうひとつ具体的に誰がどういう方法でみたいなのが、もうひとつイメージが浮かび上がってこないものですから、この辺の表記はどうなのかなということで、ちょっとご検討いただきたい。
 それから、今回、基本的にこの形で進むとすれば、ポイントは加配教員の算定といいますか、算出といいますか、それを現場にどう配置するかがポイントだと思うんです。その辺、先ほどから話題になっているように、いろいろな種別でずっと羅列してありますが、その中で強弱をつけなくていいのかという問題と、もう一つは、これだけ並んでいてもう一つ加えろというのは無理なのかもしれませんが、東京とか大都市は別にして、地方の県で意外と多いのは、小学校6学級、中学校3学級という学校が非常に学校の数として多いんです。そういうところが、いわゆる今の標準法でいう例の数字の掛け算をやっていくと、どうも学級担任ぴったりしか教員が配当にならない。毎年6学級の学校に1人教員を加配してくれないかというようなことで県と市町村が非常に激しいやりとりをするわけですが、その辺の、何回目の会議のときに、どなたからご意見が出たと思うんですが、名目的に非常に立派な加配ではなくて、各学校に1名ぐらいはフリーの、いろいろな対応のできる教員の配置ということを考慮していくことは無理なのかなと、そんなことを考えております。

【高倉座長】  ありがとうございました。いろいろな課題がずっと並んでおりますが、それに強弱云々、それから先ほどは門川先生から学校の主体性でそれを重視していく、どちらも大切かと思いますが、そのあたりについて、またよろしくどうぞ、事務局のほうでお願いします。
 渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】  15ページに学校事務職員の事務処理体制の問題について書かれていますが、いろいろ議論をしてきて、やっぱり学校1人体制っていうのですが、共同的な共同事務の体制ですね、そういうのも1つ考えていってもいいと思います。その一番下の行に「渉外業務」というのがございます。これは、プロパーの事務職員から見れば、果たして自分の仕事かなと思ったりする可能性もあるんです。ですから、これはどういう形のものを事務職員の、プロパーの事務とするのか、業務とするのかというのが1つの問題だと思うんです。
 それからもう一つは、やっぱり門川委員は教育長の立場で言われたのかもしれませんが、学校現場としては、例えばカウンセラーなんかは独自に配置したほうがいい。要するに、教科を持たないカウンセラーを置いてほしい。それからまた、今のように、例えばキャリア教育というのがどこまで具体的になるのか知りませんが、今のニートとかフリーターの問題、もっと職業に対する真剣味というものを子どもたちが自覚的にしていかなくてはいけない。その場合に、教科指導でやるのか、今、職業、進路指導というのは教科を持っているのが、また任務として持っているわけですよね。そうではなくて、学校によっても、例えば私立の学校では、進路指導室というのがあって、そこにきちっとした専門を置いているんです。常駐して置かれているんです。そういうこともありますから、そこをまた考えたときに、やっぱり職業指導のためのものというものとか、あるいは今の外国人の問題がありましたが、僕はそれをアメリカで見たんですが、外国人のための教育のために、特別に配置しているんですね。ですから、そういうようなことがありますから、そういうようにして日本の場合もやっていっても僕はいいと思うんです。そうでないと、教科指導も、生徒指導も、生活指導も、あらゆる指導を教員という中でやられている。もっと僕は専門化していって、職種をもう少し増やしていかないと、学校の今の機能は本当は果たし得ないのではないかなと思うんです。
 例えば、今、情勢分析で多様化しているとか、あるいは非常に困難な問題が出ていると言いながら、それに対して、教員を学級規模で配置しただけでは、僕は対応できないと思います。そういう意味では、ここに書かれている幾つかの問題については、非常に必要な形が出てくるのではないかなという気がいたします。
 特に、高等学校あたりでは、そういうのが非常に大事になってきていますから、現場では生徒指導教員で出てきた場合に、何で彼がかという、あるいは生活指導、あるいは職業指導で来た場合に、現場では彼だけ何か特別に楽しているとか、あるいは何とかしているとかというような感じを持っていたんですが、今ごろ現場でそんな対応できないのではないですかね。例えば、ニートとか、今の子が実際に出てきている。あるいは、高等学校だったら中途退学者なんか出ていますから、これはもう教科指導をしながら、中途退学者にどういう形の生徒指導や生活指導をしていくのかというのは非常に厳しいんですね。そうであれば、やっぱり今の困難な状況や、あるいは教育ニーズや課題にそれなりに専門的な職員を配置するという、教職員を配置するということは非常に大事なことだと思いますので、そういうようなことについても考えていただきたい。
 特に、総合学習の場合です。教員が全部やっていて、もうアップアップだと。だから、総合学習は、もっとサポーターが必要だと。それからまた、今、コンピューターが入ってきて、LANがだんだん入れられてきていますが、実際大学を卒業してきて、コンピューターを使って、特に教材に新しいソフトを作っていくという、開発するというのは、非常に大変なんです。ですから、それは非常に困難がある。そうであれば、やっぱりコンピューター室がある学校、高校なんかはありますから、そこに対しては、専門的な職員を配置するという、事務職員ではなくても配置するという何か今までの学校とはちょっと違った形の、他職種を配置していくという感じのものを持っていただきたいなと、そういう意味では、少し芽が出ているような感じがしますから、これを僕はもっと強く要望したいです。

【高倉座長】  ありがとうございました。ちょっとすいません。問題が非常に多くて、それよりも何よりも、私の会の進め方が非常に不適でございまして、時間、あと4分。とんでもございません。これ、いずれにしましても、最後までご議論をいただかないと次にパスできません。それで、大変申しわけございませんが、ちょっと延長したいんですが、吾妻先生、門川先生、帰りのリザベーションタイムは、まだ先生……。

【吾妻委員】  今日は覚悟してきました。

【高倉座長】  ありがとうございました。では、延長……。

【小熊教職員配置計画専門官】  大丈夫です。30分程度の延長は、可能ということでございますので。

【高倉座長】  ということで、とにかく急いで申しわけございませんが、19ページまでとにかくご議論をいただくということで、天笠先生、どうぞ。教職員の資質等々、政策……。

【天笠委員】  それで、やはり先ほど申しましたように、「諸課題への対応」というのが、どうしてもそこを見れば言いたくなるけれども、それを言い始めるとそれぞれがそれぞれだというふうな位置づけのような配置としては、何かもう1つ、例えば「諸課題への対応」のところに少し言葉を最初に、文言を加えるとか、あるいはどうしてこういう課題が順番に出てくるのかどうなのか、そういうことについての言葉を説明するということが1つかなと思います。
 それから、これはどこのところに位置づくかちょっと分かりませんですが、教職員の資質向上ですとか、あるいは評価とか、こういうことをトータルに含めて、それぞれの学校において、こういう教授、学習組織、指導組織のトータルな改善計画をそれぞれの学校が持つことへの誘いというんでしょうか、あるいは市町村単位において、それぞれ我が学校、あるいは我が地域ではどういう計画を持っているのかとか、そういうことを持たせるようなこと、それの計画に基づいてそれぞれが改善計画を行う必要があるんだというふうな、これまでどちらかというと、それぞれあてがいぶちでやっていたんですが、これからはそれぞれの学校、それぞれのところで独自の計画、そういう意味での教授、学習組織の改善計画を自分なりに持つ必要があるんだという、そんなこともこの中に入れておく必要があると思いますし、そのなかで連携の在り方ですとか、あるいは優先順位のつけ方ですとか、あるいはこういうことについての個々の資質向上を図っていく、学校なり地域なりのプランというんでしょうか、それが必要なんだということをどこかで記述されたらいいのではないかと思います。

【高倉座長】  先生、前に政策評価についてのご発言があったと思いますが、18ページの「評価」、このあたりについてのご意見……。

【天笠委員】  やはり政策評価ってどちらかというと、現在の段階では行政と行政の中てという形なんですが、行政が当然市町村教育委員会に、ある意味では下りてきて、そしてまたそれが学校へということになるわけで、この3者の関係がうまく連動するような形でその成果を確かめていくというふうなことが必要になってくるのではないかと思います。ですから、そういう点では、これからはまだ今後の課題になっていますが、ここでいう学校評価というのと、それからある意味での政策評価というのは、どういうふうに相互に連動させながらその成果を確かめていくのか、あるいは教育の効果を確かめていくのか、こういうシステムづくりですとか、具体的な手法の開発というのが、この第8次の成果を確かめていくときにひとつ必要な取り組みではないかと、こんなふうに思います。

【高倉座長】  これ、ちょっと事務局にお伺いいたしますが、5ページは「取組みの評価」となっております。これはこれまでの第6次、第7次についての評価ですね。18ページは、ぼこっと「評価」と出てきておりますが、ちょっとこれ、もう少し分かりやすく、読んで何をというのと、よろしくお願いいたします。
 どうぞ、伊藤先生、大平先生、今日、まだご発言がございませんが、伊藤先生、よろしいでしょうか。できれば後ろのほうに持っていって、前に戻っても結構です。

【伊藤委員】  8ページのところに「今後の取組み」の「基本的な考え方」というところで、これも議論の中にあったかと思うんですが、まず日本の子どもの数と教員の数の比較でOECD、あるいはフィンランドの中の比較ですが、これも現状で、初回、あるいは2回目で1クラスの平均の人数というのは、確か小学校、中学校で27、28人、あるいは中学校で30人とかという話が出てきたかと思うんですが、これを見ると、かなり先生の数は、生徒に対して足りているような錯覚があって、一方、1クラスの数は40人を標準と、そこの乖離がなかなか一般の人から見ると分かりづらい。一方で都市部でない地方では小学校が6クラス、あるいは中学校が3クラスという形の小規模の学校が多くて、2割程度は1クラス30人以下の学級というのは既に存在していて、そういう中で今1クラスの数の30人というのを一つの議論として、総額裁量制の下で既に42道府県あるいは17年度で45道府県が、今、専門官からも説明がありましたが、30人程度の学級編制に取り組んでおり、その7割程度は国庫負担対象となった上で、地方では40人を下回る学級編制が実施されている。
 そういうところを踏まえた上で、先ほどから議論しているような学校での取り組み、その一人の加配であっても同じ一つの学校で、1、2年生では30人、あるいは5年生、6年生では40人規模でも、実際にもう既にそういう教育政策として学級編制に関しては柔軟に対応できている。それをこの今後の取り組みにおいては、前回のお話でもありましたが、これは第8次、第9次というところの展望までを考えれば、この一つの第8次に向けての改善計画というのは第9次に向けてのステップ、あるいは次のジャンプに向けての何か展望になるようなものを、この基本的な考えの中に入れてもいいのかなという印象がありました。
 それで、学校の組織を考えていく上で、先ほどの個別のいろいろな先生方のそれぞれの多様な今の学校の教育ニーズに合わせて、様々な諸課題において、様々な先生方が必要であるというのも、それぞれ学校で欲しいと言われても、それはやはり設置者の、市町村レベルの教育委員会で学校現場とちゃんとコーディネートしなければ、全部のところに食育のための栄養職員なり、あるいは特別支援のための教諭なりを全ての学校に、全てというのは、これは現実味がない。そういう場合に、設置者である市町村の教育委員会がやはり学校の現場としっかりした調整ができるような、学校の組織と市町村、あるいは県の全体を見渡しての人事に関する政策を見通している県と市町村の、どこまでの権限、言葉でいろいろな市町村に下ろすというような文言でぼかしているようなところがありますが、そのあたりもおそらく今後の基本的な考えの中でもう既に何人かの先生が指摘されているように、道筋をしっかり、この基本的な考えの中に明記する必要があるのではないかというふうに感じました。

【高倉座長】  ありがとうございました。第9次との関係で、ステップとかジャンプというようなお話が出ましたし、前は第9次の前倒しというようなご発言を記憶しております。その第9次との様子見、もっと、次の段階まで見きわめた上での議論の展開というものの必要性というのは前から頂戴していた。それを通して、うそ八百を並べてはいけませんが、夢を与える、そういったことの必要性は前々からご議論いただいていることで、ありがとうございました。ちょっと、大平先生。

【大平委員】  今まで出てきた意見と同じようなことなんですが、まず一つは、都道府県によって、あるいは市町村によって大分実態が違うんだろうと思います。その実態のどこをもとにしてお話をしているかで議論が分かれてくるところなのかなと思いました。
 というのは、後ろにずっと羅列してある課題を見ると、それぞれが「体制づくりを行う必要がある」という言葉でまとめられているんですが、それぞれに必要性があるのだろうけれども、これは1学級が22、23人で成り立っているような学校で、なおかつ加配があるようなところにおいては、このような課題への対応が可能になってくると思うんです。
 ところが、横浜の小学校などは平均が33.何人なので、横浜の学校に加配された場合には、ここにいくら必要性が載っているけど、おそらくこのような教員として、あるいは事務職としての使われ方にはならないと思うんです。そういう状況の中で、このような課題がありますよというような形で羅列的に載っていると、このための配当がされるのかなという誤解を生みやすいという感じがしました。
 あと、橋本先生が先ほどおっしゃられたことは僕も全く同感で、これは大切な部分だと思うんです。8ページの基本的な考え方の中は、いわゆる知的な学力のみが強調されています。ただ、後ろのほうを見ると、かなり子どもたちの生活面なり精神面なりのいろいろな部分が課題として挙げられていて、だから、こういう教員が必要ではないかという指摘がされているわけなんですが、この基本的な考え方だけを読んでいると、後ろの部分がなかなか出てこないのかなという受けとめ方をしました。そのほかにも幾つかあるんですが、時間も迫っているということですので、この辺にしたいと思います。

【高倉座長】  橋本先生。

【橋本委員】  ちょっと根本的なことに戻りたいと思います。今ほんとにそれぞれのいろいろな職種、いろいろな方々が学校にはいるわけです。それぞれ充実させていきますと、とてもよいことなのですが、今小中学校で一番求めていることというのは、教職員の定数の見直しをしてほしいということなんですね。これは、正規の教員の定数を増員してほしいということなんです。
 今、小学校の現状では一人の教員が休みをとりますと、教頭が、東京都では今は副校長と言っていますが、一日授業をしなければならない状況。中学校においてもしかりというようなことで、一人が研修に行きますと必ず補強をだれかがしなければならない。補強要員が足りない場合には副校長が入っております。
 このような現状を考えたときに、本当に子どもたちの学校生活、または学習、いろいろなことを考えたときに、教職員の定数が確実に増員されていなければ何をやってもというようなことです。それで先ほど、総合的な学習の時間の企画とか調整をする人を、配置云々なんていうことを、こんなことを学校では望んでいないと言ったのはそういうことなんです。本当に今子どもたちの生活にかかわり、人格形成をする大事な時期の小中学生の義務教育の年代の子どもたちにとって何が必要なのか。学習面しかり、生活面しかり、大きく言えば、人格形成をどのようにということを考えたときに、教職員の定数の見直しが必要になってくるんです。
 ですから、今ずっと再度読ませていただきながら、何かここでいろいろな方々を配置していけば、学校教育は充実するであろう、確かにそうかもしれません。けれども、根本的なことを忘れてはいけないなということを思って発言させていただきました。以上です。

【高倉座長】  はい、ありがとうございました。門川先生。

【門川委員】  今のご意見ですが、本当にそれぞれの人間の立場がありますので、幅広く、あの職種も、この職種も大事だということを言わざるを得ないわけです。私もそういう立場ではあります。しかし、本当に学校の校長先生が今、一番緊急に増員してほしいというのは、その多くが教諭でしょう。それで、それは校長なり、学校経営に責任を持つ市町村教委が責任を持って判断するというようにすべきだと思います。もちろん当面する問題にだけ対応していることではいけませんので、こういう課題を指摘していただくことは非常に大事ですが、政策優先順位はそれぞれの市町村教委、また学校長が責任を持ってかつ評価していったらいいのではないか。専門家は必要であります。それぞれの専門家は必要でありますが、あまりにも小さな学校にそれぞれの専門家がいっぱいいて、統合する力が十分発揮できないことにも統合するのにまたコーディネーターがいるということになりかねないので、その辺については文部科学省としての立場も分かりますし、私どももある意味では同じ立場ですが、何が一番大切かをよろしくお願いしたいなと思っています。
 それから、17、18ページのところで、教員の研修のことについて触れていただいているのは非常にありがたいと思うんですが、今せっかく教職大学院のことと、免許の更新制のことが議論されていますので、更新制の導入、教員評価に触れているんでしたら教職大学院のことにも触れていただいて、また18ページ、「教職員が常に向上心と緊張感を持って」という部分は、緊張感だけではなしに、そうしたものを持って研鑽に努める、そのための条件整備が必要だとしてはどうか。今研修になかなか出られないという話がありましたが、スクールリーダーへ育てていく専門職大学院ができても、なかなか活きていかないというようなことになったらだめだと思いますので、その点を触れていただければありがたいと思います。
 最後に2点あるんです。これは非常に難しい話なんですが、確かに学校は小規模になっても豊かな、充実した教育ができるということも大事であります。同時に、やはり適正な規模への学校統合というのもコンセンサスを得ながら進めていかなければならない。統廃合のための統廃合を主張しているわけではなく、教育の充実とトータルとしての行財政改革にも資するようにすべきと思っています。統廃合は困難な課題も多いが、汗をかいて統廃合をして、そして教育も充実するということが現に京都でも行われていますから、そのための政策誘導的なものが必要ではないか、それが1点でございます。
 もう1点は、専門家の必要性についてであります。例えば京都市で、小中学校に英語の外国人指導員が全校を巡回指導ができるようにしました。その多くを外部委託し、民間から外国人指導員を配置してもらうことをしました。コンピューターについても、相当な専門家が必要ですが、正規職員で学校に置くとか、あるいは巡回指導を教育委員会の職員が行うということではなしに、民間の活力を導入していくという時代になっているかと思います。どこまで民間を使うかということ、あるいはどこまでの仕事をアウトソーシングしていくかということは、非常に難しいことだと思います。ただそうした場合に国庫補助の対象に全然ならないというようなことになってしまう制度ではだめだと思うんです。その辺を、すぐには無理ですが、次への課題としては入れておく必要があるのではないかなという気がします。

【高倉座長】  ありがとうございました。次への課題ということで、どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】  今の話の中で、次への課題になるのか知りませんが、教職大学院ができますね。最低2年の修養年限が必要です。そうしますと、今の教職員の中には2種免許がありますが、まず1種免許を対象にして、そこの何パーセントかを何年間で専修免許に持っていくと。そのために何パーセント分の教職員を担保するという、研修のための教職員を担保するという形にして、例えば2年行ってきても必ず職場があるということをしていただければ、あるいはまたそういう考え方でいけば、僕はもっと資質向上になると思うんです。もう少しシステム化していかないと、本当に教職員の研修には十分ではないのではないかなという気はするんです。ですから、きわめて理想的な話をすれば、例えば海外研修というのは、このことについても何年間というのをきちっと保証して海外研修に行かせる。例えば僕は、外国語の教員なんかだったらこれが大変大事だと思うんです。ネイティブの外国人を日本に入れるのは安上がりかもしれませんが、逆に行かせて勉強させたほうがいいと僕は思います。そういうような、研修そのものをとってみても、定数との関係で、どういう形で担保し得るかということはやっぱり考えてもらえばいいのではないかと思うんです。

【高倉座長】  ありがとうございました。研修定数の問題ですね。もうそろそろ時間がということですが、どうぞこれだけはというのは。最後の「おわりに」のところについてはご意見を頂戴しておりませんが、「おわりに」のところは特によろしいでしょうか。どうぞ、橋本先生。

【橋本委員】  その前の18ページのところからでよろしいでしょうか。

【高倉座長】  どうぞ。

【橋本委員】  こちらは評価だけになっておりますが、学校評価の充実、または外部評価の充実、外部評価のことも書かれておりませんが、このあたりのことを入れる必要があるのではないかと思います。やはり今かなり外部評価を取り入れている学校がありますが、世間の目は大変厳しいものがあります。保護者の目も大変厳しいです。その中で、学校が大いに変わろうしているわけです。
 それから、ラストのところの「おわりに」というところになりますが、ここはもう少し充実できるのではなかろうかと。やはり最初の基本的な考え方等々のことを受けまして、まとめを充実していただけるとありがたいと思っています。以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、天笠先生。

【天笠委員】  この「おわりに」の部分のところなんですが、「定数改善計画はそれを継続させることに意味があるのではなく」という言い方、これは少し誤解を生む可能性があるかなと思いました。どういう意味かというと、やはりそれぞれ何次と、重ねながら現在のところに来ているわけで、例えばTTの導入等々ですとか、そういうことも6次、7次の積み重ねですとか、そういうふうな形で来ているのではないかと思います。
 一方において、その後新たに発生する課題に迅速に適応するということの必要性というのは、これはまたそれで大変必要なことだと思いますので、ちょっとこの辺のところの言葉をもう少し加えられたほうがいいのかなというふうに。要するに、先ほどもありましたように、次へのステップとか、そういう見方、考え方も当然あるわけですので、積み重ねながら対応していく部分と、それからそれぞれそのときの状況に応じて対応する、両方をやっぱり、バランスを取って考えていくというのが大切なのではないかと思ってます。

【高倉座長】  「あるのではなく」というふうな。

【天笠委員】  ちょっとそこら辺の言葉の整理の仕方だと思います。以上です。

【高倉座長】  渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】  今の話は、8ページに、次期教職員定数改善については、新たに生じている今日的な課題というようにして、「しかし」からここを入れかえればいいような感じがするんです。そのほうが積極的ではないでしょうか。

【高倉座長】  ありがとうございました。さらにございますでしょうか。大詰めのご発言、形の上で申しますと、前文から始まりまして終わりにまで読み切ったということで、司会をしながらほっとしておりますが、どこまでうまく先生方のご意見を引き出せたのかなと、ちょっと、あまりの力のなさに自分ながら少々気を弱くしております。しかし最後の力を振り絞りまして、もうお一人、どうぞ。まとめの意見に近いようなご発言はありませんでしょうか。
 それでは、ずっと読み切っていって、もう一遍初めから終わりまでローラーのかけ直しをするということをいたしましたが、ちょっとその時間もなくなりました。しかし、1ページから19ページまでもう一遍ローラーをかけていって、ここだけは発言をしておきたいということがございましたらば、どうぞお願いいたします。はい、どうぞ吾妻先生。

【吾妻委員】  この内容についてではございませんが、この中間という意味では多分この次が最終になるかと思いますので、事務局のほうにお願いです。できれば何日か前にこの案をお送りいただければ、それぞれの委員が熟読してこれるのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

【高倉座長】  ありがとうございました。

【渡久山委員】  じゃ、一つだけ。

【高倉座長】  はい、どうぞ。

【渡久山委員】  15ページの1番下の段に学校評議員制度というのがありますね。やっぱりこれは運営協議会も入れておいたほうがいいと思うんです。

【高倉座長】  ありがとうございました。ローラーのかけ直しでいろいろ出てまいりますが、よろしいでしょうか。それでは、大変不手際な司会で申しわけございませんでした。しかし一応全部読み切りまして、なおかつローラーもかけ直したということにさせていただきたいと思います。そして今日は非常に活発な、しかも建設的なご意見をたくさん頂戴いたしました。これらのご意見を踏まえながら、さらに整理をした形でもって22日のときに中間報告に向かっての最終的なご議論をいただければというふうに思っております。
 なお、吾妻先生からもご意見を頂戴しましたが、今度もできれば前もってという話がございましたが、実は、ほやほやの紙をいただいた、まだ少し輪転機の熱がこもっているんじゃなかろうかと。しかし熱のこもり方もご議論のほうでも相当熱がこもりましたので、それはそれでよかったのかなというふうに思っております。それで、もし可能でしたらばお送りさせていただくということです。しかし、やってみなければ分からないという点もあろうかと思いますが、どうぞ事務局でよろしくお願いいたします。それでは、よろしいでしょうか。それでは事務局から次回のスケジュール等、インフォメーションをいただきたいと思います。

【小熊教職員配置計画専門官】  それでは資料2をご覧いただきたいと思います。次回は第10回になりますが、8月22日月曜日、二週間後でございます。10時30分から12時30分の2時間を予定しております。場所は本日と同じく、この丸の内東京會舘12階のロイヤルルームでございます。本日につきましては、事前に資料等の送付がなかなかかないませんでしたが、省内各課との調整等も行っていたものですから、ぎりぎりまで調整を行っていたということでご理解をいただきたいと思います。次回につきましてはできる限り努力をさせていただきまして、事前に送らせていただくような段取りができればというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【高倉座長】  よろしいでしょうか。本日は30分延長させたということでお疲れだったと思いますが、ありがとうございました。事務局のほう、本当にご苦労さまでした。またもう一踏ん張りどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

―了―

(初等中等教育局財務課)


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