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教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第8回)議事録

1. 日時: 平成17年7月14日(木曜日)10時〜13時
2. 場所: 如水会館 2階 「オリオンルーム」

3. 議題:
(1) これまでの論点整理について
(2) その他
4. 配付資料:
資料1   検討の論点(案)
資料2   これまでの主な意見
資料3   教育関係団体からの提出意見の概要
資料4   今後の日程について(案)
参考資料1   学校規模別学級数(平成16年5月1日現在)
参考資料2   学年別児童生徒数別学級数(平成16年5月1日現在)
参考資料3   平成16年度少人数指導等加配活用状況
参考資料4   教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第7回)議事概要(速報版)
5. 出席者:
(委員) 高倉座長、小川座長代理、吾妻委員、伊藤委員、大平委員、門川委員、島宮委員、高浦委員、堀内委員、宮崎委員
(事務局) 銭谷初等中等教育局長、樋口大臣官房審議官(初中局担当)、藤原財務課長、杉浦初等中等教育局企画官、小熊教職員配置計画専門官
6. 議事内容:

【高倉座長】  おはようございます。ただいまから第8回の教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議を開催させていただきます。朝早く、また、ご多忙中にも関わらず、ご参集いただきましてありがとうございました。
 今日はこれまでの7回に亘るご論議をもとにしまして、今後の教職員配置等の在り方はどうあるべきかという方向性を打ち出していくと。方向性を固めていくということでご議論をいただきたいと思います。そういう方向性を打ち出しながらそのプロセスで論点の整理を図っていく、あるいは、論点の整理を目指していく。方向性ないしは論点の整理を目指して今日は議論をお願いいたしますと、そういうことでございます。
 最初に配付資料の確認と説明を事務局、小熊さんからお願いいたします。

【小熊教職員配置計画専門官】  それでは、資料のご確認等をお願いしたいと思います。
 まず資料1「検討の論点(案)」ということで、これは第1回の会議からお示しをしていたものでございます。内容については変更してございません。資料2「これまでの主な意見」ということで、第1回から第7回までにいただいた意見を、緩やかにではございますが、ある程度の項目別に整理をさせていただいたものでございます。本日は、この資料をもとにご議論をいただきたいというふうに考えております。
 資料3でございますが、第4回、第5回、第7回、3回に亘りまして、教育関係団体からヒアリングを実施いたしました。その際の意見を項目別に集約をしたものでございます。第6回のときにお示ししたものに比べますと、若干、この項目数を増やして整理をさせていただいてございます。
 資料4「今後の日程(案)」についてでございます。これは後ほどまたご説明申し上げたいと思います。
 参考資料の1「学校規模別の学校数」、平成16年の状況でございますが、これまでの教職員配置につきましては、学校規模に応じた教職員配置というものが多くなっております。今後の教職員配置をお考えいただく際の参考になるようにと思いまして、参考資料とさせていただいているものでございます。
 それから、参考資料2「学年別児童生徒数別の学級数」、平成16年5月1日の現状でございます。こちらにつきましても、学級編制の少人数化、少人数学級について、小学校低学年等で行うべきではないかというご意見もございましたので、平成16年の状況を示させていただいているものでございます。
 それから、参考資料3「平成16年度少人数指導等加配活用状況」という表でございますが、こちらにつきましては、第4回の会議、ヒアリングを行った回でございますが、小学校、中学校における加配を活用した少人数指導、習熟度別指導の教科別の状況について、私から口頭で申し上げましたが、文部科学省で各都道府県教育委員会に照会をいたしました平成16年度の状況というものを示したものでございます。こちらもご参考にしていただければと思います。
 参考資料4「第7回の議事概要」、これは速報版でございます。こちらもご覧いただきながら、ご議論を進めていただければと思います。
 以上でございます。

【高倉座長】  ありがとうございました。
 それでは、先ほども申し上げましたように、これまでの意見を資料2に集約してございます。それにつきまして、事務局からご説明をいただき、さらに、それにつけ加えるものがあるかどうかなども含めまして、ご議論をまずいただきたいと思います。お願いいたします。

【小熊教職員配置計画専門官】  それでは、資料2につきまして、ご覧いただきたいと思います。これから読み上げさせていただきますので、その後のご議論の参考にしていただければと思います。

 
少人数教育について
【少人数学級・少人数指導等の評価について】
第7次改善により少人数指導の加配が進み、成果が上がっている。
習熟度別指導は定着し、効果を上げつつある。
子どもたち、保護者も少人数指導を高く評価し、安心感を得ている。チームを組んだ教育への教師の意識改革が授業の改善、指導力の向上に結びついている。
少人数学級にすれば目が届きやすいのは事実だが、少人数学級に合った指導方法についても工夫・検討の余地がある。
少人数学級でも指導方法の改善は必要だが、指導方法さえ改善すればよいということではない。
40人の学級集団は多すぎる。小学校1・2年で35人学級を実施している一方、中学校3年時点で35人、30人学級にして、きめ細かい進路指導をすることなども大事ではないかという意見もある。多様な方法を研究し、実践しながらよりよい姿を求めていきたい。
少人数学級の実施状況は千差万別(39人学級や一部の学年での実施、研究指定校における実施など)であり、その意義は様々であることに注意が必要。
少人数学級・少人数指導は効果があるようだが、(まるまる人学級など)一律に数字の固定をしない方がよいのではないか。
学習集団も生活集団も何人の規模での指導が効果的があるのかはっきりとしない。まずは少人数指導の改善を図り、その上で生活集団の規模について議論するのがよい。
学校における生活集団と学習集団は一体不可分。生活集団を少人数化すれば、学習集団も質的に変化する。学級が増えれば教員が増え、課題別学習が可能となるなど、子どもにとってはよいこと。
少人数教育の評価だけでなく、学校評価というフィルタを通して成果を確かめていくことが必要。少人数が生む波及的な効果などの検証が重要。
小さな集団で問題を抱えるところもあり、必ずしも少人数がいいとは言えないのではないか。結局は教員の姿勢の問題ではないか。

【少人数教育等の実施に伴う非常勤講師の配置について】
非常勤講師対応が増えている。学校は生活全般を通して人格形成をする場所であり、非常勤講師にはそれだけの余裕がない。正規教員を計画的に増加させ、少人数学級を編制していくべき。
少人数学級を実施するために非常勤講師を配置しているところがあるが、正規の教員がいる学級と格差が生じている。
現場では非常勤ではなく、学級担任もできる常勤の教員が求められている。退職者の傾向も視野に入れて、どのように対応するか検討する必要がある。
非常勤講師の質の低下を懸念する声があるが、採用が厳しい中、経験を積んでおり必ずしも質が低いとは言えない。研修等に本務者に限らず参加させるなど、指導力向上の努力が行われている。
常勤を減らすようなことがあってはならないが、現在の行財政事情の中では非常勤講師の活用も効果的である。
正規教員の採用が難しい場合、非常勤講師に対する十分な研修を行い、学校全体で成長させていく必要がある。

【今後の学級編制、少人数教育の在り方について】
  (少人数教育の在り方)
少人数学級を導入することにより、少人数指導、習熟度別指導のための人員が減ってしまうようでは困る。まだまだ少人数指導の指導方法は研究段階。
第8次改善計画は第6次・第7次を発展的に継承すべき。
少人数学級にすれば効果が上がるものではなく、少人数学級導入を機会に学級・学校経営の改善、指導方法の改善を図ることが効果を上げるポイントである。
少人数学級、少人数指導の実施は各学校に丸投げするだけでは成果が出ない。都道府県や市町村がリードして、自覚的に実践に取り組む必要がある。
山形県や犬山市の少人数教育への取組をみると、生活集団と学習集団を一致させて、いろいろな能力の子どもが学び合い教え合うという共同学習を通して効果を上げており、小学校低学年は特にこの点に配慮する必要がある。
子どもへの教育課程の定着と、いじめや不登校の問題にどのように対応するかという課題がある。これらに対応するため、各都道府県は持ち出しで少人数学級・指導を実施している状況。これを国でしっかり負担するべき。画一的に40人学級とせず、校長の裁量でバラエティに富んだ学級規模にできるようにすべき。
地方財政も厳しい中、努力して少人数学級をやっている。少人数学級と少人数指導が両方必要だということを強く打ち出していくべき。
効果が上がったから少人数学級をやるのではなく、効果を出すことを目指して少人数学級を行うのではないか。PISA調査等では日本の学力水準は高いとの結果があるが、塾での勉強も含めての結果。まだまだ分かる授業を進める必要がある。国の財政は厳しいが、英米も政府が教育を推進している。日本も政策選択をして8次改善計画を実施するべき。
具体的な効果の実証が大きなポイント。教員だけでなく、子どもや保護者のアンケートでも高い評価が出るのではないか。少人数学級にしていく線は打ち出しつつ、少人数指導も続けていく体制が必要ではないか。

  (生活集団の適切な規模について)
少人数学級の実施に当たっては、下限の設定が必要。実際の配置は各学校の実態に応じ、校長権限によって選択することも考えていくべき。
生活集団、学習集団という概念をやめてはどうか。算定基礎は教員1人に対する子どもの比率にして、集団の編成は学校に任せてはどうか。
生活集団の人数を決めるのは無意味ではないか。大都市以外は少人数になっており、学校現場で判断すればよい。指導の目的によって編成する集団の人数は異なるものであり、大規模校、小規模校にかかわらず与えられた条件をどう活かすかが現場の問題。
1学級の下限上限の問題も重要だが、1学年の学級数によって状況が異なる。最低学年に3学級あれば、様々な取組をしたいという学校の思いが学級編制に活かされる。
少人数指導と少人数学級について、学校長に裁量を与え、両方を組み合わせて行うのがよい。学校現場に裁量を与えつつ、学校評価、教員評価、学力評価をして検証していくべき。一般論として何人学級が良いという人数を決めるのは難しい。
国民の関心は、現行の40人学級を維持するか、30人程度の学級に踏み出すのかである。30人学級に踏み込んで、なおかつ少人数指導も継続するべき。すでに42道府県が少人数学級を実施しているが、そのために増員されている教員のほとんどは常勤講師で、常勤の教諭ではないだろう。教諭の採用につなげるためには、文部科学省が30人程度の学級に踏み込むべき。現状維持では国民が納得しないのではないか。
多くの道府県が少人数学級をやっているからといって、国として30人程度の学級に踏み出すのはあまりに拙速ではないか。これまでの研究でも明確な成果は出ていない。少人数学級を推進しようとするのは、学級を固定的に考えすぎだからではないか。中学校は全ての教科で集団が同じである必要はない。

教職員配置について
【現場の諸課題に対応する教職員配置の在り方について】
職種を超えた定数崩しが可能となるとよい。
総合的な学習の時間や、少人数指導などをうまく進めるためのカリキュラムコーディネーターの導入や、スクールカウンセラーの配置なども検討してはどうか。
小学校も中学校並の教職員配置があるときめ細かい指導ができる。
学校栄養職員は、食の指導の重要性からも全ての学校にきちんと置くべきである。
読書活動の重要性が叫ばれる中、司書教諭の配置について検討すべきである。
事務の共同実施では、複数校で経験の浅い人も深い人もフォローしあいながら実施するなど学校運営を円滑に実施する工夫をしている。
機能的な学校事務、警備員の配置、外国籍の子どものための教育など、多様なニーズがある。定数として確保する職種等についても抜本的に見直すなど検討が必要。財政の問題に阻まれる前に、あるべき姿をきちんと示す必要がある。
中教審の教育制度分科会地方教育行政部会のまとめ「地方分権時代における教育委員会の在り方について」において、教育委員会事務局の体制強化として指導主事の配置の重要性が述べられているが、市町村合併が進んでも小規模市町村では配置が難しい。こういったことについても検討していくべきではないか。
そもそも教頭の職務分担の在り方を見直す必要があるのではないか。
教頭の職務は多岐に亘っており、複数配置があれば良いとは思うが、その資質の問題もある。
教頭が長時間勤務している実態は承知しているが、それが本当に忙しいかどうかを実証するのは難しい。校長や事務職員との役割分担が適切かどうか。改善するべき事務はないのかなどについて検証してみないと分からない。
義務教育は国として保障するべきコアな部分の在り方を議論すべき。自治体の裁量による上乗せ分とは切り離して考える必要がある。
新しい仕事が増えているのであれば、定数を増やすのか、その他の職種を増やすのかという点を検討すべき。
長期研修については、教職大学院での研修に対応した代替定数についても考えておく必要がある。
事務職員、学校警備員などの配置により、教員が職務に専念できるようにする必要がある。
スクールカウンセラーや外国人子女のカウンセリングの問題、特別支援教育の問題など、財政的に厳しいが、学校現場にどのような職種が必要なのかを考えた上で、定数を検討する必要がある。

【特別支援教育における教職員配置の在り方について】
特別支援教育の充実に関する議論では、理念はいいが、相当数の教員配置が前提となっている。特殊学級については、一定の免許の保有が義務付けられておらず、担当教員の専門性も大きな問題である。
特別支援教育の観点から1特別支援学校の機能として、地域における特別支援教育のセンター的機能を発揮するための教職員配置の充実、2特殊学級や通級による指導に替わる新たな制度に対応した教職員配置の改善。当面、現行制度を維持するとしても、LD・ADHDを新たに通級による指導の対象とすることが必要。3盲・聾・養護学校において、非常勤講師等として参画している看護士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士や、小中学校における介助員等の支援人材の配置について考慮すべき。
京都市では、4つの総合養護学校に「育みセンター」を設置し、各学校に市単独で介助員を派遣している。育みセンターでは年間1000件を超える相談があり、ボランティアで対応しているが、専門家を置く体制が必要。国の支援が望まれる。
欧米に比べて日本の特別支援教育はまだまだ遅れている。今後コーディネーターとしての職務が増加することから、教職員定数の改善が必要。
定時制高校には障害のある子が入学することが多い。しかし、高等学校段階では、特殊教育の免許を持つ教員がいないし、その対応のための予算措置もなく、制度的には不十分である。

地方における柔軟な学級編制や教職員配置の在り方について
国から地方への権限はだいぶ移ってきているが、市町村、学校の裁量が広がっていない。実際、県に教科、学年、持ち時数を縛られている。県費負担教職員制度が一つのネックになっているのではないか。
学級編制の基準は校長ではなく、国がきちんと定めるべき。
低学年を少人数学級にするなど一律に定めるのではなく、学校ごとの課題に応じて教職員定数を活用するため学校に裁量が必要。そのための教員を増やすべき。
義務教育の学級編制の基準は、国や教育委員会で最低レベルをそろえて定めるべきである。
教育効果を高める教職員配置を検討する必要がある。厳しい財政状況下であるからこそ、しっかり議論をして何のための学級編制なのか、教職員配置なのか明確にする必要がある。
どの職種をどのくらい増やす必要があるかについては、各学校によって状況が違う。定数は増やすが、校長裁量で少人数学級にするのか、少人数指導にするのか判断することができるようになると、より効率的な運営ができるのではないか。
義務教育は国の責任で一定の教育水準を保障するものであり、地方分権といっても自ずと限界がある。同様に学校長に学級編制権まで任せることが本当に良いことなのかどうか。
原則は国が決めていくべき。ただし、40人を超えると20人と21人の学級に切り分けるような取扱いは問題だろう。教科によって弾力的な活用ができるようにして授業の効果をあげていくことができないか。それは地方分権ではなく学校の裁量である。
現在は、市町村教育委員会の存在感がない。市町村教育委員会と都道府県教育委員会の事前協議による同意という関係を見直して、市町村教育委員会の判断が出てくるような対応が必要ではないか。

高等学校における教職員配置の在り方について
高校は選抜されて入学するため、学校ごとに進学指向、生活に問題が多いなど、課題が様々。学校によって、少人数指導や習熟度別指導の加配の活用の仕方が変わってくる。クラスの編制については上限と下限をある程度明示し、その範囲で学校に任せることで個別課題に対応できる。
高等学校について、公教育の信頼回復のためには、高等学校が重要。公立高校が頑張る必要がある。何もかも単純に増やせばいいと言うものではないが、教職員定数の改善は重要。
教員算定式について、小中は40人から引き下げれば学級数が増え、教職員数も増えるが、高校は収容定員なので教職員数が減る現象が起きてくる。定数算定方式について収容定員の総数を基本としながら、学級数も考慮するべき。加配については、学校長の経営計画にのっとって加配が多く確保できるような形が必要。柔軟性が持てるような形が必要。
高等学校は20人学級と言っている。学力格差の問題が言われているが、子どもたちに分かる授業をするために、非常に困難な状況になっていることが見受けられる。日本の学校は総じて創意工夫をしてもそれに対する財政的支援がない。真剣に考えていかないと将来の子どもたちの育成に問題が生じてくる。
義務のシステムと高校のシステムは違っている。高校は設置者がポリシーを明確に打ち出して対応する話がまずあるべき話。高校は30人とか20人と同じレベルではない。設置者の教育政策上の問題。これを義務と同様に検討していくのはいかがなものか。

 

【高倉座長】  ありがとうございました。これまで7回にわたるミーティングのご議論、そのうち2回は、主としてヒアリングに使いましたが、そのときのご議論も含めまして、整理をしていただきました。その整理の仕方は最初にお配りしました資料1の検討の論点(案)となっておりますが、事実上、おおよ、そこの検討の論点に従って議論しておりますので、まとめも大体この流れでまとめていただきました。今日は大体1時間弱を使いまして、これまでのご議論のまとめを、さらに今後の取りまとめの方向性ないしは論点整理という方向に持っていけるように少し絞り上げていこうと思っております。
 したがいまして、まず最初に今、小熊専門官からご説明いただきましたこの中身につきまして、このあたりについてはまだ不足しているのではないかとか、あるいは、もう少しきちっとした説明をしておくべきではなかろうかというような、そういったご意見を頂戴しながら、さらにまとまりのいいもの、論点整理という方向に、さらにさらに近づけるようなものにしていきたいと思います。
 それで、どこからでもという議論もよろしいかと思いますが、その流れ、4つのくろひしがたがございます。少人数教育について、教職員配置について、地方分権時代における柔軟な学級編制や教職員配置について、高等学校の教職員配置の在り方についての問題、この大きな4つのくくりの順番にご議論、ご意見を頂戴していきたいと思います。
 まず最初に、少人数教育について、これがかなりの内容になっておりますが、3ページの中ごろまでですね。これにつきまして、さらにつけ加えるご意見あるいはその他ですね。いずれにしても、これを論点整理ないしは今後の方向性、取りまとめの方向性に向かった内容に仕上げていきたいと思っておりますので、そういった方向性を前提にどうぞご議論、ご意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ、小川先生。

【小川座長代理】  1点ずつではなくて、全体のまとめに当たっての基本的な方向とかポイントみたいなことで、少し意見と、あと、お願いも少し入れてお話しさせていただきたいと思います。ちょっと長くなるかと思いますが、これから私が言う中身は、ほとんど先ほど資料2で説明いただいた協力者会議の主な意見の中にほぼ、すべて網羅されていることなので、その中で何を特にポイントとして論点整理していくかという作業の際に、特に留意すべき点というか、留意してほしい点を4点ぐらいにわたってお話しさせていただければなと思っています。
 1つはここにも出ていますとおり、大きな問題は、少人数指導と少人数学級のこの関係というのを理解しながら、次の第8次改善計画でどういう政策的な選択をしていくかということが大きな問題かと思います。第7次改善計画でも、この少人数学級か、少人数指導かという議論があって、基本的には財政的な事情ということと、もう一つは少人数学級等との系統的な実証データというのが不足しているということで、むしろ第6次のTTなどの実証をさらに発展させながら少人数指導ということが選択されたと思うんです。
 今回も同じような議論かと思うんですが、ただ、第7次改善計画と大きく違っている点は、標準法改正によって、もう既に42道府県、2005年度ではもう45道府県と先行して少人数学級の実践的な試みをこれまでやってきて、それなりの成果等も出してきているという点があるかと思います。私自身は、ここの協力者会議でも発言したように、山形県とか犬山、志木の少人数学級の実践というのを数年間、これまで定点観察してきました。
 そういう中でやはり少人数学級というのは確かにコストのかかる施策ですが、それに値するような成果、少人数指導ではなかなかカバーできない学校全体の経営とか教育活動を総体として質的に高めるという点では、少人数学級のメリットはかなりあると私は感じていますが、ただ、現段階では、やはり多くの人を納得させるような客観的なデータとか、実証的なデータが不足しているという感も否めないなと感じています。
 もう一方では、この協力者会議でもいろいろ議論が出てきていますとおり、少人数指導の様々な成果ということも事実ですし、また、少人数学級というのが自動的に教育成果を生み出すというわけではなくて、それにふさわしい指導方法とか教材開発などが不可欠であるということも了解されていると考えていますので、そうした少人数学級の実践の状況と、少人数指導の様々な成果等々、いろいろ加味しますと、現段階でどちらか一方、国で決定して、それを地方に遵守させていくという格好ではなくて、基本的には国の学級編制標準40人を一律30人とか35人に改善するという方策よりも、自治体には少人数学級か少人数指導の充実化、どちらの政策を地域の実情に応じて選択化していくかという、そうした自治体の選択判断というものを尊重しながら、少人数学級、少人数指導というのを地域の実情に応じて適宜取り組んでいけるような体制づくりというのが現時点では適切な方向なのかなという感じがします。それがまず1点です。
 2つ目の大きなポイントというか、判断の条件は、やはり実質的に財政的な事情というのが非常に厳しい中で、国のそうした義務教育諸学校をサポートするような支援の配置と地方独自の取り組みを尊重するという、この両者のバランスを最大限発揮できるような仕組みはどういうふうな仕組みなのかということを考えるべきかなと思っています。実際、次期改善計画で活用できる教職員の数というのは、これももうこの協力者会議で何回も指摘されているように、自然減で確保されるのが大体8,500人から9,000人と言われていますし、ないしは、少人数指導加配が大体3万9,000人ということですので、大体4万七、八千人というのがある意味では次期改善計画の基本的な原資だというふうに考えていいと思うんですよね。
 これも協力者会議で出てきたように、例えば35人学級を小中全体でやった場合には、4万数千人を超える教職員数が必要ですし、30人学級の場合にはもう11万人ぐらいが必要だという試算も出ていますので、一律に小中学校、全学年で30人学級、35人学級を実現するといった場合でも、数字的にもかなり不可能というか、無理な点があるわけですよね。35人学級はぎりぎり全部、先ほどの5万強を35人学級ということで、全部充てればぎりぎり可能かもしれませんが、それでは他の特別支援教育の支援とか、養護教諭の複数配置とかという、他の様々な問題が全部切り捨てられるということも考えると、35人学級ということを一律、小中、全学年にわたってやるということも無理というか、現場自身がむしろそれは望まないのではないかなと考えます。
 そうした財政状況を最大限考慮すると、国の学級編制標準40人をそのままにしながらも、しかし、もし自治体が一定学年で少人数学級を希望するのであれば、それを可能とすることができるような加配教員というものを拡充して、自治体がその加配教員を少人数学級に活用するか、少人数指導のどのような点に重点を置いて活用するかというのは、もう自治体が独自に判断できるようにするということが一番ふさわしい、現時点で考え得るふさわしい制度デザインじゃないかなと考えます。そうした場合に特別支援教育等々の、他の配置要求が非常に強い領域にも、先ほどの原資の範囲内でバランスよく対応できるということで、学校が全体として学習と支援、ケアというものも教育活動に当たれる体制を作っていけるのではないかなという感じがします。これがまず2点目ですね。
 3点目は、これまで協力者会議でも議論が出てきていることなので、今のように自治体、そして、学校のレベルで自由に判断しながら少人数指導ないしはどのような少人数学級をやるかという判断の方向で、改善計画を考えるとすると、今の学級編制の決定の仕方、仕組みというのを、市町村と学校の判断で決定できるように法制度を改正するということが避けられないのではないかなと思っています。ただ、それを今の段階で、どう具体的に標準法改正するか等々という話は、義務教育費の国庫負担制度がどうなるかとか、ないしは、市町村への教員の人事権の移譲とか、給与負担の仕組みが、今後どうなるのかということが非常に不透明な部分がまだ多い中で、なかなかそれを具体的に制度デザインすることは難しいんですが、可能なところからそうした法制度改正、標準法改正というのはやっていくべきではないのかなと思います。
 あと最後に1点ですが、以上のことを考えるとすると、今日はマスコミの方もいらっしゃっているかと思うんですが、今のような考え方からすると、何か次期改善計画は国の学級編制標準40人をそのままにしているということで、あたかも国の責任によって少人数学級への改善を見送ったというふうな印象もあるかと思うんですが、私は決してそういうことではないと思いますし、そのことを確認すべきじゃないのかなと思っています。厳しい財政事情というような制約の中で、そうした少人数学級への配慮ということと自治体独自の判断を最大限に尊重するというふうな、そういうアプローチの中でぎりぎり考えられるというのが先ほどのような制度デザインではないのかなと考えます。
 その点はきちっと確認しておくべきだということと、もう一つこれはお願いなんですが、2011年以降の児童生徒数の減少を見ますと、そうした自然減で確保できる教員の数というのが大体2万数千人というふうに推測できますので、その数をそのまま確保できた場合には、もしも第9次改善計画を策定できる可能性があるとすれば、その時点で国の学級編制標準の改善というのはいろんな意味での検討すべき可能性というのはあると思うので、できればそうした可能性、次期、第9次改善計画におけるそうした可能性に含みを持たせるような論点ということも考えていただければいいのかなと思いますが、最後はお願いというか、検討していただきたいなという論点ですけれども。
 すみません。長くなりました。

【高倉座長】  今、現実に厳しい財政事情の中で考えていくというような現実的な論点、視点が一つあろうかと思います。しかし、その中でもって、第8次をどうするかという話をしているわけですが、第9次というところまで視野に入れた上での含みを持った展望というようなことを示すことも必要だろうと。そのプロセスの中でもって、やはり地方の選択的判断で必要な対応ができるような、そういう柔軟な取り組みをしていったらいかがかというような、非常に多岐に亘るご提言でしたので、簡単に取りまとめることは私にはできませんが、いろいろと今、ご提言いただいたことも含めまして、どうぞ委員の先生方のご意見を頂戴したいと思います。その頂戴する仕方につきましては、今、小川先生から全般的な考え方について、あるいは、今後の議論すべき方向についてご提言をいただきましたので、4つのくろひしがたに分けて議論するというようなことを言いましたが、それを取りやめまして、全体を通して、小川先生のご提言に対するご批判も含めまして、どうぞご自由にご意見を頂戴できればと思います。
 どうぞ、堀内先生。

【堀内委員】  全般になろうかと思いますが、3点お話しさせていただければと思います。
 1つは、先ほどこれまでのいろんな意見をご紹介いただいたんですが、やはり厳密に考えますと、相互に対抗するような意見が含まれていたかと思うんですね。各回いろんな流れで意見が出たと思いますが、必ずしも全員ここにいるものが共通認識ができたとは思っておりません。
 その1つに、例えば学校サイドの問題で私も発言した覚えがあるんですが、例えば、今の状況の中で、学校に大きな権限を与えるのはいかがなものかというご意見もあったような気がするんですね。現時点で限定して考えますと、私もそれは必ずしも否定できないかなと思うんですが、やはり今、我々が議論しているときに、そこの10年間の法律改正の流れというものとどうコミットしていくのかという、そういう視点もひとつは明確にあってしかるべきではないかと、こう思っております。
 大きく言えば、もちろん地方分権であったり、規制緩和であったりという、そういった教育改革の流れだと思いますが、何よりも特色ある学校づくりを教員の配置等を含めて考えていく。あるいは学校の自立性の確立をこの問題、学級編制であったり、あるいは、教職員の配置であったりということと絡めていって、どうしていったらいいのか。そうしますと、どうしてもその受け皿の問題、ここがいろいろご批判というか、ご意見あったところだと思うんですが、今、各学校がそれだけの経営ができるというものを持っているかどうか、多分その辺の観点があったと思うんですね。これは別途、専門職大学の話であったり、教員養成あるいは教員研修の方での論点もここの会議とは別のところでしょうけれども、同時進行で議論されている話ではなかろうかと思うんですね。そういったものを見たときに、確かに学校の格差も大きいでしょうし、地域の格差も大きいと思うんですが、今言いましたように、個々の学校で使わせていく、そのための経営能力というものを各学校がこれから高めていくんだという前提で、学校サイドも考えていくという、そういうスタンスがあってもいいように私は思っております。
 2つ目は、小川先生も触れられたことなんですが、どうしてもこのお金の問題と関わって、今の教職員の制度そのものですね。特に国庫負担あるいは人事権の問題、これと具体のところで少しシミュレーションすれば、どうしても苦労せざるを得ないだろうと思うんです。この場で、そのことについてこういったことを前提にしてどうのこうのというのは多分できない話だとは思うんですが、やはり幾つかのパターンの中では、想定していく必要があるのではなかろうか、そう思っております。
 3つ目が、マスコミ、世論も含めてどうしても40人という枠を2度も、ある意味では、維持して、現在来ていますので、35人、30人という話が出始めているというか、出ざるを得ない面があると思うんですね。これについて、小川先生の意見も私は基本的に賛成なんですが、やはり従来の40人から35人、30人へという単純と言うと怒られるかもわかりませんが、そういったようなものにもし違う見方をするならば、もう少し明確な制度設計をここでやっぱり示すべきではなかろうかと思っています。
 単純に言いますと、小学校で、今、各学級40人の、6かける40人、仮にです。こういった学校があれば、学級担任教員は6人しかいない。ところが、各学年41人ずつ、6学年、これもそんなことはないんでしょうが、仮にあるとすると、学級担任教員は12人になっちゃう。子ども数は6人しか違わないと。これは今の制度ですよね。そうすると、今の学級編制の何人でもって1学級をし、それに対して教員をどう配置をするかということの限界というものが、40人まではそれできたんでしょうが、それ以下にするときに、テクニカルな問題だけではなくて、具体的な、先ほどから言われておりますように、少人数指導なのか、少人数編制なのかというものも含めて、問われざるを得なかったと思うんですね。
 そうしますと、学校総体として、学級数しかり、また、その児童生徒数しかり、そういったような大枠での教員の配置という新しい観点を、――私はそうすべきだと思っていますから言うんですが、――全く従来の配置とは違う観点での枠組みというものがあってもいいように思います。
 そうしますと、さっき言ったように、40人から30人にして、11万人の教員増ですか、必要になって、総額何千億円の予算が必要だと。それは当然応えられませんという話で終わってしまうところからは一歩、新しい地平というものを生み出すことができるのではないかと、そう思っております。テクニカルな問題はちょっと分かりませんが、各都道府県、市町村、そういうところの実態をいろいろ並べたときに、どのぐらいがやっぱり枠組みとして、多分幾つかの経験をあわせるような形になると思うんですね。40人なら40人で一つの基準で合わせる。だけれども、それに加えて、学校全体の児童生徒数に加えた場合にプラスアルファすべきものがどういったものなのか、それに対して、全国的な予算、それに対して幾らなのか。多分その幾つかデータをいじくってみたときに、初めて全体で納得できるようなスタンダードというものが出てくるのではないか、そんなふうに思っております。
 以上3点、相互に関係づけてもう少し論理化すればいいんですが、そういった枠がまず必要だろうと思っております。

【高倉座長】  ありがとうございました。私、進め方を途中で切りかえたり何かして大変申しわけございませんでした。混乱を生じてしまったような気がしないでもございません。それで、小川先生のご提言の中には、限られた定数をどう有効に使うかというようなこと、あるいは、自然減のことなどが触れられまして、かなり現実的な問題についてのご意見が含まれていたと思います。それで、このことをさらに議論するために、国の財政事情等についてのいろいろな改革が今、進行しておりますので、それについての概略的なご説明ないしは見通しのようなものを事務局の方からご説明いただき、その後で小川先生の先ほどのご発言に関連してもう少し詰めた議論をしていきたいというふうに思います。
 それで、もう一度、最初に私が申したことがグラグラしていて申しわけございませんが、資料2で示していただきましたこれまでのご意見ですね。これについて、さらにつけ加えるものがないかどうか、これは実際にはあとの議論と相互に絡みますので、切り離して議論するということは、これは無謀なことかもしれません。しかし、資料にこれまでの議論をまとめたものでございますので、これについてさらにつけ加えるべきものがあるのかないのかという、そこの議論だけはきちっとした上で、さらに小川先生のご発言及びそれに関連した事務局からのご説明などなど頂戴した上で、さらに議論をもっと実効のあるものにしていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、途中で混乱してしまって申しわけございません。事務局の方でおまとめいただきました、これまで6回、7回にわたるご議論の主な意見の集約ですね。資料2、これにつきまして、これを小熊さんに説明いただきましたが、さらに付け加えるべきもの、あるいは、このあたりについてはさらに議論すべきだというようなことを、ややこれまでの整理ということに重点が置かれますが、そこのところを最初にやっておきたいと思いますので、途中でグラグラしましてすみません。よろしくお願いいたします。
 資料2につきましては、最初にはくろひしがたごとにと言いましたが、くろひしがたをこえて、どこからでも結構ですから、ここにまだ加えるべき視点あるいはご意見等があるのかないのか、それを確認しておきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【高浦委員】  では、意見はまだいろいろあるんですが、今の直接、座長のことについて思うことですが、最初の1ページの最後に、少人数教育などの実施に伴う非常勤講師の配置についてという文章のところなんですが、ここが、極端に言うと2つに分かれているんですよね。つまり、教員加配をしたときに、その常勤定数を振り分けて、柔軟仕様で非常勤を使ってよいということを第7次のときにしたんですよね。これについての意見は半々になっているんですよね。そういう非常勤はもうよくないという意見と、非常勤は、いい面があるよという両方なんですよね。これは私たちはある程度ここで整理しておかないと、今の議論も実はここに非常にコミットしているんですよね。
 というのは、例えばこれから少人数加配をどうやっていくか、あるいは、学級定数をどうやっていくかという議論のときに、例えば文科省と県と市と、学校の校長ですよね。その棲み分けをどうするかという議論もありますが、そのときに、1人、あるいは2人と増えたときに、それを今のように柔軟運用するというシステムを継続するのか、しないのか。つまり、その常勤の定数1ということをどうするのかという議論を詰めておかないことには、この議論のままでは話にならないんですよね。少人数指導を増やしたといっても、うまく非常勤を活用して柔軟に運用をやりなさいと、第7次ではやってきました。けれども、それをすることがよいという面とよくないという両方が出ているんですよね。この大きな問題を乗り越えておかないことには全ての議論に私は響く気がして、それをここにちょっと1点だけ指摘しておこうと思って。

【高倉座長】  この非常勤講師の配置ということによる評価に、1つの割れといいますか、2つの考え方が出てきているそのあたりをどうまとめておくかと。

【高浦委員】  この文章をどういうふうに私たちがここで整理していくかということですよね。これは大きな問題です。

【高倉座長】  はい。ありがとうございました。その点につきまして、どうぞ。門川先生。

【門川委員】  いろいろ意見があるんですけど、その点だけについて申し上げたい。非常勤講師の考え方の違いは、地方の実態の違いによって起こってくるのではないかなと思います。京都のような大学の町で、いろんな優れた若い人材が多いところでは、オーバードクターが非常勤講師で来てくれる。年収を二、三百万円保障すれば、いろんな優れた人が来てくれる。そういうところもある一方、免許を持っている人が全然いないという地域もありますので、確保できる人材によって非常勤講師に対する考え方も違うということが一つ。
 そこで前にも申し上げたんですが、義務教育費の総額裁量制の下で定数崩しという制度がありますが、どうもよく分からないんですが、一人の正規の職員だったら年間800万円の経費。これを崩せば年収200万円の人が4人になるなず。ところが、どうも都道府県を経由して、市町村に来たときには、40時間の時間を20時間と20時間に崩すんだということになって、200万円弱ぐらいの人が2人になる。これはおかしいと思います。また、先日も申し上げたけれども、例えば、1つの学校に正規の教員を1名加配して、あとの3校は加配なしなのか、4校に非常勤講師、年収200万円の人を各1人、4人配置するのか、どっちがいいかという選択、これは人材が確保できたら自ずと答えは出てくると思うんですね。ただし、これを一般化すると、正規職員をパート化するという非常に難しい問題になりますので、一般化しないような歯止めをかける必要があります。そうした点を踏まえて地方の選択に任せればいいのではないか。だから、非常勤についての評価はその人材が確保できるかどうかと学校の要望によって変わってくるので、2論あって当然だと思います。

【高倉座長】  ありがとうございました。このまとめでも、問題があるぞというのと、非常勤講師の質の低下を懸念する声があるなというような2つに、確かに表現は分かれておりますし、これで最終的なまとめをしたわけではなくて、そういった両論併記というわけではありませんが、2つの考え方がある。このあたりをどう取りまとめていくかということにつきまして、ただいまやはり人材による差があるのではないか、地方によっての差があるのではないかというようなことが今、だいぶはっきりしてまいりまして、その辺りを考えていった場合に、地方による独自の選択というようなもの、あるいは判断といったほうがいいのか、そういったことこそ有効なのではなかろうかというご意見かなと理解させていただきました。

【吾妻委員】  今の高浦先生、それから、門川先生の関連のことで絞ってお話ししたいと思います。やはり非常に重要な問題だと思うんですね。国が30人学級に踏み切ろうが、踏み切らなかろうが、加配教員をどう使おうが、どうしてもその部分が講師、いわゆる正規の教諭ではなくて、講師対応になる可能性が非常に強いと思うんですね。この講師対応が今、京都でおっしゃったように、お金さえ出せばいくらでも人材はいるという地域と、優秀な講師を確保できない地域がたくさんあるわけですよね。ですから、この辺をどうするかということを何か方向性を決めておかないと、非常に困るのかなと。
 加配教員はどうしても、毎年その学校だけ考えても事情が変わりますので、きちっとした定数の教員を配置するのは難しくて、どうしても講師対応になると思うんですね。結果として、その講師の指導力の問題が非常にクローズアップされてきているということですので、どうしてもそういう状況だとすれば、その講師の質をどう高めるかというような対応を何か考えて配置をしないと、ただ数さえ配置すれば、あとはご自由にどうぞというわけにはいかないような気がしまして、最近はそれぞれの都道府県で正規の、いわゆる初任者研修だけではなくて、講師対応のいろいろな講習会を実施している都道府県も随分出てきているようですが、その辺のことについて、やはりこの会議でもある程度責任ある方向性を示しておく必要があるのかなと、そういうふうに思います。
 以上です。

【高倉座長】  ありがとうございました。この2ページのところのご意見、2ページの一番上のまる、ここのところにも、質の低下を懸念する声云々のところで、研修等に、本務者に限らず参加させるなど、指導力向上の努力が行われているということだけではなくて、もっとこれを促進するような、そういった対応と申しますか、施策といいますか、もうちょっとここを積極的に書き込んでいく、あるいは、対応していくというようなことを含めたご発言と思います。ありがとうございました。
 どうぞ、このあたり。島宮先生。

【島宮委員】  高等学校ですので、ちょっとピントがずれることがあるかもしれませんが、失礼いたします。
 講師の活用の仕方なんですが、現実的には時間数に対して、それぞれ時間単価で給与計算がなされるということだと思います。それから考えますと、例えば週の中で講師の時間をなくしてしまうということは、その分給与が減額されるという事態が起こる可能性があるわけです。現実には専任であれば、例えば時間割変更して、少人数編成授業などが可能になると思うんですが、講師ですと、その辺の融通性と申しますか、柔軟性がなくなってしまうということがあります。それからさらには、1校だけで勤めていればいいわけなんですが、それが数校かけ持ちという講師もいるわけです。そうしますと、ますますその辺の融通性がなくなってしまう。ですから、講師の質の問題もさることながら、その辺の現場での柔軟な活用の仕方ということを考えると、これはやはり専任のほうがいいということになるのではないかと思います。
 ただ、専任を入れてしまうと、生涯給与を今度は保障しなければいけないという問題が出てきますので、なかなかその辺でどうバランスをとっていくのかというのが難しいところかなと思っております。

【高倉座長】  ありがとうございました。この会議の第1回目のときだったか、2回目のときだったか、私、これまでの経験で、第6次のときの提言に講師の定数化と申しましょうか、これを書き込んだわけで、そこの部分だけが落ちてしまったと。だから、第7次にはそれは必ず復活して、実施してもらわなきゃ困るというような声が非常に強かったと。それが実現したというようなことで、それはそれで大変よかったんじゃないかというように発言しましたが、それは前からの続きを申し上げただけであって、今、先生がおっしゃられたように、講師の質もさることながら、その講師の活用の仕方、また、それ自体にいろいろな問題がないかと。そういうことで、この講師の問題についてはいろいろあろうかと思いますが、もうちょっと最後の論点を整理していくときに詰めた形で論点を整理していくというようなことで、また事務局にお願いいたします。
 ここだけに集中しておりますと、ほかに議論がまたがりませんので、どうぞそれ以外に。

【高浦委員】  結構なんですが、もう一つだけ指摘して、関連していたんですが、今のは直接、例えば加配したときにどうするかという問題でしたが、その判断するときに、結局、文科省、国がそういうことを見るのか、都道府県に任せるのか、地方、市町村にするのか、校長にするのかという、その問題なんですよね。それも同時に考えておかないと、どうもならないという。そのことだけでした。

【高倉座長】  誰が責任を持って、その結果に対して評価をし、次の政策に反映させるのかというような、そんな問題、またよろしくお願いいたします。
 それでは、ちょっと非常勤の話からスライドさせまして、他のところに移っていきたいと思います。どうぞ。

【吾妻委員】  先ほど小川先生から4点お話がございまして、お聞きしていて、概ねそういう方向で落ちつくことなのかなと思いながらお聞きいたしたわけですが、こういうお話をしていいかどうか分からないと言いながら話をしてはまずいかもしれませんが、理想を高く掲げて、自由に論議するだけならば、それでいいんでしょうが、やはり最終的には、見通しの立たない、財政的に裏付けがとても不可能なことをお話ししても仕方がないのかなということも、先ほどの小川先生のお話にあったかと思うんですが、私は、最初の頃申し上げました、少人数指導の良さを生かしながら、少人数学級に踏み切るべきだというお話をしました。しかし、両方を相当の姿で実現するためには、財政的には相当厳しいんだなということもだんだん分かってまいりまして、では、どうしたらいいかということで、正直、現実問題として、どういう方向性がいいのかなと。今日の資料の2の3ページのまるの3つ目、「国民の関心は」というところですが、ここは多分私が何回目かでお話をしたことであります。その下のまるのところで、それは暴論であると。今日は字句が少しやわらかくなって、「拙速」となっていましたが、そういうご指摘をいただいていると思います。私は、単純に、地方がやったから国がやるべきだ、追随すべきだ、そういう意味で言ったんではないんですね。国民のコンセンサスといいますか、国民感情というもの、これはもっと具体的に言うと、子どもを学校に出している保護者一人一人の国民全体としての感情も含めて考えていくべきではないかというのが1つありました。
 それから、もう一つは、国の標準法は40人だと。しかし、都道府県はもう既に今年度は45道府県、30人程度学級に踏み込んでいる。これが1年、2年の話ならいいんですが、これから5年も6年も、国は40人と相変わらず言っている。地方はどんどん多くなっているという、いわゆる国と地方のねじれのような姿であることは間違いないと思います。そういうときに、義務教育に対する国としての基本姿勢、あるいは主導性の問題はどうなのかということを考えなくていいのかなということも考えました。
 現在、中教審でいみじくも問題になっております義務教育国庫負担法の問題と地方の自由度の問題も当然絡んでくるわけでして、何かその辺、非常に難しい表現なんですが、先ほど小川先生のお話で申し上げますと、2番目のことになるんでしょうか。2番目と3番目に絡むことだろうと思うんですが、40人学級はそのまま維持しながらも、各自治体が加配教員を使って、少人数指導と同時に、少人数学級にも使っていいという表現の仕方で、マスコミをあまり意識した話はしたくないんですが、新聞の見出しに「40人学級堅持」というよりは、もう少し柔らかい、この加配教員を使って、40人を切った学級編制も可能だという姿が少しは出てこないと、国と地方の関係が、微妙な状態が長く続くことに対する懸念を抱いているということであります。

【高倉座長】  ありがとうございました。吾妻先生から3ページのご自分のご発言と思われるところからスタートいたしまして、どうもありがとうございました。関連しまして、2ページのところにも、少人数学級と少人数指導が両方必要だということを強く打ち出していくべきというご意見もここにございます。それから、3ページの一番下、これは横山先生でしたね。国と地方のことについて、今、吾妻先生からもご指摘いただきましたが、国として保障すべきコアの部分の在り方、自治体の裁量により上乗せする部分の切り離しというのか、1回と2回とを切り離して議論するということが必要だというご意見もいただきまして、みんな関連すると思いますが、最終的にこのあたりをさらに整理して、論点整理に向けて努力していく必要があろうかと思います。

【門川委員】  私は、自然減を活用した8,000人程度で第8次改善をやるなら、国は40人学級を維持だとはっきりすべきだと思います。それを地方で上乗せしてやるなら、地方に任せますとすべき。そうでないと、7次改善のときも、20人で数学、英語は指導できます、そういう施策が推進されますとマスコミでさんざん報道されました。実際には、中学校でも、先生が1人以上増えたところが7割余り、1人も増えてないところが20パーセント超えている。小学校では4割が1人も増えていない。また、これから5年間で、約3万5千校の小・中養護学校がある中で、8,000人しか増えないのなら、5校に1人、5年間で先生を増やしますということをはっきりすべきだと思います。いたずらな幻想を持たすべきでない。あとは、国が責任持てませんから、地方で工夫してください、こういうことを言わなければ、この会議は無責任になると思います。今、義務教育について非常に国民的な関心が高く、給与負担についても議論があるときに、あやふやなことを言うべきでないと思います。国の財政事情が厳しいですから、これ以上のことはできない、やるなら地方ですよと言うべきで、幻想を振りまいて、コンセンサスは得たようなことにすべきでないと思います。そこで私が思うには、単純に学級規模を小さくすれば、教育効果が上がるということではないということは、概ねコンセンサスができていますが、習熟度別指導等の指導方法の改善を組み合わせれば、教育効果が上がるということについても、コンセンサスが得られていると思っております。そのためには、教員総枠を増やしていく必要がある。小川先生のおっしゃったことも含めて、国の段階で画一的に35人学級にしましょう、30人学級にしましょうということを言えないという事情についても、財政事情を無視することはできないと思うんですが、それなら、せめて8千人というのではなく、あえて小川先生が、第9次改善で、2万何千人かの自然減があるとおっしゃったのですから、それを含めて前倒しして考えてはどうか。今まで、第4次改善では、自然増が3万8千人必要なときに、更に2万4千人の改善となっている。自然減と改善増をぴったりと合わせたのは、第7次改善だけですね。もちろん自然減の半分でしか改善できなかった第6次改善というのもあるわけですけれども。
 したがいまして、これだけ義務教育への関心が高く、教育が困難なときに、8千人ではなしに、次の5年分を先取りしてでも取って、第9次改善分の2万数千人を含めて、「改善増の財源を国において確保しましょう」とすべき。そしてその使い方は、指導方法の改善をするのも、学級のサイズを小さくするのも、それを両方やっていかなければならないと思うんですが、「地方で工夫しましょう」と。ただ、そのときには地方の教育委員会が指導力を高めなければならない。校長裁量を拡大すると同時に、校長の経営能力を改善し、学校評価、授業評価、教育力評価というのを、外部評価も含めてきっちりとやり、説明責任を果たしていかないといけないと思います。
 今、義務教育全体として、給与負担も含めて関心の高いときに、枠をはめてしまって、自然減の範囲で、しかも既に学校に加配され指導方法の改善や、学級規模を減らすために活用されている2万6,000人分を含めて改めて活用方法を議論するんですよと、そんな財源の範囲でするんですよということの議論は、非常に厳しい。あまりにも厳しくて、ゼロ地点に戻ってしまうような感じではないかなと率直に思います。私どもも行政を担当している者として、夢ばかり求められませんが、せめて第9次改善分も含めて、その分を5年前倒ししてやっていきましょうとかいうことがなければだめなのではないかなと思います。

【高倉座長】  ありがとうございました。あやふやなことはやめろということになると思いますが、先ほど小川先生から第9次分が、可能性に含みをというような、やや文学的な表現でございましたが、第9次分の先取りということで、かなりはっきりとご発言いただきました。
 先ほど申しておりましたように、事務局からご説明いただいた後のディスカッションにもかなり入り込んでいると思いますが、それはそれとしまして、もう少し資料について追加すべきこと、あるいは考えるべきことなどなど、もうちょっとご意見いただけますでしょうか。

【高浦委員】  私の意見ですけど、私も、40人学級標準は維持することで、それで8,500人は、原資という言葉でしたが、加配制度を維持すると。あと、具体的な補足事項が今回はいろいろ、第7次の場合とちょっと違っているような気がするんですが、そのときの一つは、今言った、国としてやる限りは、義務教育水準の維持というか、学力をどう規定するかはともかくとして、学力向上のためにやっているということは維持するにしても、そのための手引き書をここで作ったらよいと思うんですね。そうしないと、いつの間にか変な縛りが入ったとか、はっきりしないことがまかり通るんですね。あるところによると、例示をしたうちの一番最初聞いただけとか、あとは帰っちゃったとか、いろいろあるものですから、いろいろな事例で、事例説明というよりも、手引き書ができたらいいと思うんですね。それが一つ。
 それから今度は、あとは都道府県とか市町村、学校長の責任権限の分担のことなんですが、それはどうするか、私もよく分からないんですね。ただ、いずれにしても、責任主体が今度は、一番具体的な場面のところで、実際いろいろな集団編成ができるようにするのがいいと思うんですね。例えば学級の小規模化に使ってもよし。少人数指導の具体化にしてもよし。それから、こういうところに使うとか、それは任せてもよいと思うんですけれども。手引きは、主に学習集団の方なんでしょうけど。そうすると、生活集団についても、柔軟な運用が出てきますので。ただ、そういう柔軟な運用全てを任せるときに、1つだけお願いしたいのは、そういう指導をしたことが本当に学力向上に結びついたのかどうかというデータを逐一出してもらうということが必要ですよね。今、それがちょっと薄かったような気がするんですね。そして、それによって効果があるなしを判断するのは、しかるべき委員会などを作って、あるいは文科省でやっていただいて、ないところにはかなり指導してもらわなくてはならないと思うんですね。そういうことをしないと、今度原資そのものが維持できるかどうか分からないんですね。私たちはみんな、今までそういう状況で動いてきましたよね。第7次は2万6,900人でしょう。今度は8,500人と言っていますけど、この時代ですよね。だから、そういう入り口だけじゃなくて、出口もしっかりやっていかないとね。それを義務づける必要があると思うんですね。ただ、「こういうふうにしました」ということだけではなくて、それが本当にどんな効果を生んだのか。そうしないと、いろんな学力調査とか起こっていますけど、その後、どう対処するかは、あれから何にも出てこないんですね。だって、日本全体でやるわけでしょう。そうすると、例えばPISAにしても、その中の学校がどんな授業をしているかということは、全然分析がないわけでしょう。だから、結果だけ見たって、何もならないんですね。しかし、今度は「少人数でこういう学習集団を作って、こういう授業をしました」とか、「こういう学級集団を作って、こういう授業をしました」という教育効果を出すようにすると、「あの県のこういう取組は非常に効果がある」とかいう結果が出てきますから、すぐほかの県とか市でそれを追認しようと思ったら可能になるわけですね。そういうきめ細かな一面で調査研究というものを同時に義務づける必要があるように思うんです。それが私の考えです。

【高倉座長】  ありがとうございました。前半のところは、4ページの地方における云々の、ここのところについて、権限の分担ということでご発言いただいて、学力の向上に結びつかないと話にならないんだ、このことは先生、前から何度も何度もご発言くださっていることで、そのことをはっきりさせるために、調査研究の義務づけというようなことにまで踏み込んだ書き込みが必要なのではないかというようなことが、最後のところだと思いますが、どうぞ宮崎先生、お待たせいたしました。

【宮崎委員】  小川先生がおっしゃったことと関係することですが、少人数指導と少人数学級の関係というお話、それから、次期の改善計画のことも念頭に入れた対応が求められるのではないかと。含みを持たせるというお話だったんですが、吾妻先生、門川先生のご意見にもあったことなんですが、やっぱり私は、吾妻先生がおっしゃった、現状維持ということで本当にいいのかなと。施策というか、ポリシーというか、そういう考えでいくとすると、ある程度次の次の改善計画にも踏み込んで考える必要性があるのではないか。参考資料の2を見せていただいて感じたことなんですが、これは年度によってかなり変化をするものであるということも十分踏まえてですが、大体26人から35人学級が小学校では5割を超えている。それから、中学校で4割6分以上という。ただ、それと対照的に、20人以下と36人以上のところがやや拮抗する形で、両方にかなりのパーセントで学級編制がされている。特に中学校が、36人以上学級が大変多いという現状がございます。このことが同じ公立の学校として考えたときに、これを残したまま、現実には20人学級というのは、結果的に、各自治体の子どもの数によって変化が出てきますので、一概には言えないんですが、36人以上学級を改善する仕組みを踏み込む必要性があるのではないか。そのことが気になりました。これは同じ公立の学校として、どう考えて踏み込んでいくかということは持っておかなければいけないのではないか。そういった意味で、学級改善に含みを持たせるということは、是非考えておかなければいけないのではないかなと思いました。
 それから、もう1点ですが、この後のものとも関わることで申し上げたいんですが、ここのところ、いろんな学校を見学させていただく機会が多くなっているんですが、ある区立の小学校で、特別支援教室を作ったと。子どもたち、保護者の了解を得て指導をしている。これは非常勤講師で対応しているんですが。この小学校は、区立の70校あるうちの最下位にランクされた学力を持った小学校なんですが、仕組みを変えて、1年たったときに、下から3分の1よりはちょっと上のランクまで学力が向上したという報告を校長先生から聞きました。これと少人数指導をうまく組み合わせながら、特別支援教室に通っているお子さんと、少人数指導を受けている、一番課題を持った指導を受けている子どもたちが、ほとんど変わらない状況があったと。この人たちにかなり手厚い指導をすることで、学校の学力が向上しているという実態が出てきているんですね。ですから、さっき小川先生がおっしゃった、少人数指導、少人数学級を実施しているところの成果が、実証的なデータが少ないというご指摘がありましたが、これは集めれば、実証的なデータというのは出てくるのではないかなと思われます。また、そういう実践がたくさん出ておりますので、その点でも、少人数学級の考え方というのは、ある程度私どもは継続しながら考えていくものは持っておかなければいけないのではないかと私は考えたいんですね。ですから、そういう意味では、門川先生がおっしゃったように、次の次の改善計画にも踏み込んだ考え方ができるようなものというのが、この中でも取り入れられるべきではないかなと考えました。第9次を念頭に入れてということです。

【高倉座長】  ありがとうございました。大平先生、どうぞ。

【大平委員】  毎回参加をしながら、厳しい財政状況ということを踏まえた物言いをしなくてはいけないのか、あるべき姿をきちっと踏まえて物言いをしなくてはいけないのか、毎回悩みながら会議に参加しているわけなんですが、今のお話の中で、文科省は、こういう財政状況の中で、8,500人を原資としていくんだということで、40人学級を原則として維持していくんだよということになると、私は、学校現場の人間として、元気が出ないのかなと思います。地方自治体によっては、決して裕福ではない中でも、子どもを大事にし、教育への予算を手厚く配当しているところもありますが、多くの自治体は、教育予算が年々削られる状況の中でやっているんだろうと思うんですね。福祉と教育と並べてよく言われるんですが、現在の社会状況の中だと、どちらかというと、福祉のほうに手厚くて、教育のほう、子どもたちのためにという予算は、少なくなっているように感じています。
 そういう現状からみると、ここで国から、何らかの形ででも、35人という数字が出てくるだけで、だいぶ全国的に教職員の気持ちが違ってくるのかなと。数字的に、全学年35人学級というのが、そう望みながらも、現在の状況ではなかなか困難だろうなということは重々承知しています。
 そういう中で、自治体の判断なり、あるいは学校の判断でもって、学年いずれかは、35人学級も可能な人的配置をしますよと、国がその姿勢をきちっと示すことによって、学校現場が新たなファイトを持って取り組むようになるのかなと思っております。実際に45人学級から40人学級に移って25年以上過ぎているわけです。もう、ここら辺で、国として、子どもたちの教育を手厚く考えていくんだということをしっかり示す必要があるのかなと考えております。
 あと、先ほども、最初にお話があったんですが、現時点の判断でなくて、今後10年ぐらいの大きな教育改革の流れだとか、社会の動向だとか、それも考慮する必要があるだろうというご意見があったと思うんですが、私も同感です。特に、学校はここ四、五年、急激に変わっています。おそらく過去20年や25年の間の変化より、この5年、あるいは3年間ぐらいの変化の方がもっともっと大きいと思っています。
 それは1つは、学校評議員制度が定着してきているということもありますし、学校に対する外部評価、これに各学校が急速に取り組んでおります。そして、それに対する説明責任ということもきちっと果たし始めております。ここ数年のうちに、日本の全ての学校にこれが定着するのではないかなと思っております。そうしたときに、学校現場が、今はこうだからこういうことはちょっと難しいのではないかということではなくて、本当に地域社会と一緒になって、保護者と一緒になって学校を作っていくという体制が学校にはでき始めていますので、幾つかご心配の点が学校現場に対して寄せられておりますが、ここら辺は、学校での努力でもって乗り越えられるところかなと判断しているところです。

【高倉座長】  ありがとうございました。学校現場に元気が出るような施策が望まれるということだと思います。先ほど大平先生のご発言の最初にも、財政の状況を考慮しながら、一方では、望ましい姿を追求していかなくてはならないということのジレンマについてお話しいただきました。
 一旦ここで切りまして、先ほど申しましたように、事務局から、現実問題としての財政状況等についてのご説明をいただいて、さらに小川先生の先ほどのご提言、それから今、各委員の先生方からいただいたご発言等々を加味しながら、さらに議論を進めていきたいと思います。個人的なことですいませんが、二、三分、インターミッションをお願いいたします。

【小熊教職員配置計画専門官】  しばらくご休憩いただくということでございます。

 
<休憩>

  【高倉座長】  どうも失礼いたしました。
 それでは、後半のディスカッションに入りたいと思います。先ほど来、資料2に基づきまして、これまでのご議論の取りまとめについて、さらに追加したご発言等をいただきました。それの手始めに、小川先生から非常に有益なコメントを頂戴し、それをベースにしながらの議論ということの展開もございました。
 それでは、先ほど申し上げておりましたように、あるいは大平先生のご発言にもありましたように、どうも財政的な制約と申しますのか、事情と申しますのか、こういったことというのは、どうしても我々の脳裏から離れないというようなことも事実でございまして、そのあたりが実際にどうなのかというようなことにつき、事務局からご説明をいただきたいと思います。お願いいたします。

【小熊教職員配置計画専門官】  それでは、国全体、特に教職員の人件費に関係いたします状況について、簡単にご説明を申し上げたいと思います。このことにつきましては、以前にも資料等をお示ししながらご説明申し上げたことと重複いたしますが、確認の意味でお聞きいただきたいと思います。
 まず、6月21日に閣議決定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005、いわゆる「骨太の方針」と言われているものでございます。これについては第5回の会議でも資料を示させていただいてございます。お手元の厚いファイルの中にも入れさせていただいておりますが、その中で言われておりますのが、公務員の人件費改革ということでございます。資料といたしましては、第5回の中に含まれております、骨太の方針の9ページから10ページになっておりますが、その内容を簡単に申し上げますと、公務員の総人件費削減ということで、国・地方ともに定員の純減目標などの明確な目標を掲げて強力に取り組むと。そして、地方団体においては、新地方行革指針の純減目標を達成できるよう、集中改革プランに定員の数値目標を明示するよう取り組むということでございまして、ここで言っております地方行革指針というものが示されておりますが、その中では、地方の公務員全体につきまして、今後5年間において4.6パーセントの削減を見込むということが目標として掲げられております。その上で、地方公共団体はそれぞれ純減目標を決定するようにという内容になっているものでございます。
 一方、同骨太の方針の中では、教育改革についても触れられておりまして、その中では、習熟度別少人数指導等、多様な教育、指導方法により、確かな学力の向上を図るということも一方で言われているところでございます。
 続きまして、18年度の予算編成の基本的考え方についてということで、さかのぼりまして6月6日の財政制度等審議会においての提言でございます。これにおきましても、歳出改革の基本的姿勢ということで、その中に人件費の抑制についても書かれております。その中では、教育、警察など、国が定員管理等に関与している職員の人件費については、総人件費抑制の観点から厳しく見直しを進める必要がある。これにより、地方歳出のスリム化、さらには地方交付税総額の削減につながることが可能になると言われております。
 さらには、文教科学技術、文教予算の中の初等中等教育について触れられている部分において、義務教育国庫負担制度について触れられている部分がございます。その中で、少人数学級編制等のため、教職員を増員することを教育水準の向上と同視するといった安易な発想は排し、関連法、これは標準法等でございますが、その廃止も含めた抜本的な見直しに取り組む必要がある。また、三位一体の改革に係る義務教育費国庫負担制度の見直しを進めるに当たり、例えば学校の設置運営者である市町村や、学校現場等の関係者の創意工夫を一層生かせるような仕組みに改革することによって、教育の質の向上を目指していくべきであると言われております。
 もう一つ、これは6月10日の地方財政審議会の意見でございます。これは第7回の会議に示させていただいたものでございますが、その中で地方公務員の定員管理及び給与の適正化について触れられているところでございます。
 まず1つは、先ほど申し上げました新地方行革指針において、4.6パーセント以上の純減を図るということが記されております。その上で、その際、教育、警察を含め、国が法令で人員配置の基準等を定めている分野の比重が大きいことから、国の各行政機関においては地方公共団体の定員の縮減、増員の抑制に資する施策を積極的に推進するとともに、地方公共団体の職員数の増加、または機構の新増設をもたらすような施策については厳に抑制すべきである。また、法令等において、地方公共団体に義務づけられている施設設置や、職員配置の基準について、その必要性を根本的に見直し、縮減に努めるべきであるということが意見として出されているという状況でございます。
 周辺的な状況については以上のようなところでございます。
 それから、先ほどから一つ議論にも上がっております、今後の教職員の減少見込み、これは教職員定数の減少見込みでございますが、平成18年度から5年間において、これは見込みでございますので、なかなか確定的なことは申し上げられないのでございますが、8,500人から9,000人程度の減少が見込まれるということでございます。過去の改善において、第7次については2万6,900人の自然減に対して、2万6,000人の改善増で、これはプラス・マイナス・ゼロでございました。第6次につきましては、自然減に対して改善増が約38パーセント程度の改善であったと。自然減の方が多かったという状況になっております。しかしながら、この改善を考えていく際には、直近が第7次の改善でございまして、ここが自然減の範囲内で行われたものでございましたので、それを考えますと、そこが上限になってくるということが必然的な方向であると考えざるを得ないところでございます。

【高倉座長】  ありがとうございました。周辺的というのか、ベーシックなのか知りませんが、国の財政政策に関わる3つの事柄につきましてご報告をいただき、そして、教員の自然減の見込みについてお話しいただき、現実には、自然減の範囲内でもって、今後の第8次と仮に呼ぶとすれば、その問題を考えざるを得ないだろうと。しかし、これまでの委員の先生方のご意見は、それだけではなくて、もっと学校の先生方、あるいは国民に対して元気の出るようなメッセージを含むものを考えていく必要があるだろうと、そういったご意見が先ほどまでいろいろと述べていただけたものと考えております。
 それでは、第2ラウンド、どこからでもご議論いただければと思います。ご発言いただければと思います。どうぞ、堀内先生。

【堀内委員】  今の説明を伺いまして、言ってもしようがないと分かっていながらなんですが、もともと考えまして、公務員の削減の話ですね。これ、どこかでどなたかがしっかりデータを出してもらいたいたと思うんですが、私が読んだある本によりますと、といういいかげんな言い方なんですが、今の先進国の中で日本が国民の人口に対する公務員の比率が一番低い国であるということが言われているんですね。これはあまり一般に通っていませんが。こう言いますと、今の内閣、政府の基本的な公務員削減方針はどうなのかというところまでいってしまいますし、まさにこの会議で言ってもしようがない話だと思うんですが……。と言いながら、もう一方、先ほどいただきました参考資料の2に、大変わかりやすく学級数が出ているんですが、例えば30人学級、これは単純な話です、小学校でおよそ11万8,000学級、学級数が31人以上あるわけですから、これが2つになるということで、小学校だけで約11万人。中学校は教科担任等で担任は計算しませんが、同じようなシミュレーションでいくと、これは8万人ですよね。要するに20万人という数が30人学級では増やさざるを得ない。もう一方で、マスコミ一般とは言いませんが、政党レベルももちろん政策として30人学級を掲げていらっしゃるところもあるし、様々なんですが、こういったことと、今説明のありました公務員の抑制、あるいは特に義務的経費が伴う義務教育教員ということとの辻褄合わせというのは、どうも見えてこない。その抜本的な部分を置いておいて、我々も何度もご説明いただいておりますし、それから何万人、何十万人という数のことが頭にあって、今の全般的な状況の中で、単純に35人、30人というのはあまり意味がないだろうということで言っているんですが、もう一方で、30人学級ということの必要性、あるいは政策の問題もあると思うんですね。
 そうしたときに、どこかで我々国全体の財政の責任を持つ立場にいるわけではありませんので、教育という枠の中で、なおかつ定数改善という問題を扱っている。そういったときに、この11万人、あるいは20万人という数字というものが、もう少し客観的な性格を持って語っていいのではなかろうかと思っています。
 もう一方で、先ほど門川教育長の話もあったんですが、国の責任の問題と、それから7次改善の過程の中で、各地方が独自の努力を重ねてきただろうと思うんですね。これは国庫負担と関わりますので、大変微妙になると思うんですが、例えば今、国と地方とでの教員給与負担のシェアの問題が出ている。今のところは国の原資をもって交付税化の問題も含めて語られていると思うんですが、例えば7次改善の過程の中で、地方が独自財源で手当てした部分は相当あると思うんですね。こういったものまで考えたときに、果たして今言ったような単純な前提で考えていいのかどうか、やはり地方も同じように住民のニーズに応えて教育行政をされているわけですから、厳しいのは当たり前の前提なんですが、その厳しい中で県によっては何百億円という単位の自己負担をされて少人数編制をしているところがある。だから、その辺の原点に返って、国民的な合意って一体何だろうかという話が、ここでしてもしようがないと思いながら言っているんで、大変むなしいんですが、やっぱり論議がこういう形で上がる以上は、一定の整理があっていいような気がします。データ的に言いますと、地方が7次改善の5年間の中でどのぐらい自己財源の支出をされたのか、もちろん濃淡はたくさんあると思います。例えばトータルに考えて、全都道府県で、42道府県云々という話があったんですが、国からの定数改善だけではなくて、独自財源の措置でどのくらいのお金を使われたのか、もっと言いますと、それでは第8次に向けて期待していいような原資なのかどうか、そういったような見込みまで考えて、35人なのか、30人なのかという話もあっていいような私は気がしています。

【小熊教職員配置計画専門官】  今、堀内委員からお話のありました第7次、平成13年度から少人数学級の導入が可能になったということでございまして、その財源については、基本的には地方がお持ちいただくという前提ではあったんでございますが、平成16年から少人数指導のための加配定数などもその財源に充てることができるというふうな弾力的な運用としたところでございます。この結果、平成16年度は42道府県において、39人以下の少人数学級が実施されているわけでございますが、それに必要となった教職員の数と、その学級を増やすことのために使われた教職員の定数の数というのが、全国で6,154人と報告を受けているところでございます。この内訳といたしましては、標準法による基礎定数を活用された方――要は学級数等に応じて教職員定数が算定されるわけでございますが、その際に、どうしても国の標準法の定数と県で実施されている実際の学級数に応じた配分基準というのは、差がございます。その差の部分などを使って配置された方――が1,258人、それから加配定数を活用されたというのが2,419人でございます。そのほか、総額裁量制を活用して配置されたという方が705人でございます。
 そのようなことからしますと、6,154人のうちの4,382人でございます。約71パーセントについては、何らか国庫負担が入っていると。2分の1国庫負担されている方の数ということになりまして、県が単独で配置された方は1,343人、約22パーセントでございます。それから市町村が独自に教員を採用されている。これは構造改革特区の認定を受けたりとか、非常勤講師を使われているというふうなことでございますが、これが429人分ということで、約7パーセント、地方が持ったものは、そうしますと29パーセントというところになっているわけでございます。参考までに申し上げます。

【高倉座長】  ありがとうございました。堀内先生、関連して、どうぞ。

【堀内委員】  それこそ先ほどの門川さんのご発言にもあったんですが、今、小熊さんがおっしゃったのはやっぱり人数なんですよね。私、地方分権をもっといろいろな意味ですべきだという意見を持っているんですが、地方に任せたら、今言った人数の話ではなくなると思うんですね。要するに額なんですよね。文字どおり、先ほど年収800万円ぐらいの標準給与で、非常勤で対応したら二百数十万円と、4人とれますよという話と多分通ずるところです。だから、何千人という話ではなくて、一体何億円なのかと。地方に裁量を任せた場合に、人数で考えずに幾らかという話になってくると思います。今のご説明はご説明でいいんですが、それの観点の問題で、私、先ほどあえて申し上げましたのは、地方が財政負担をどのぐらいできるのか、これは首長さんの話でしょうけれども、財政負担をしてまで県民や住民の期待に応えようとするのか、そのファクターというものを我々は留保していいのではないかと、そういうことです。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、門川先生。

【門川委員】  文部科学省が非常に厳しい財政状況の中で、また文部科学省を取りまく厳しい諸条件の中でご奮闘いただいていることはよくよく承知した上でのことなんですが、第3次から第5次までの改善は自然減を大きく上回る改善計画を実施してきているわけですね。もちろん行財政状況は違うということはよく分かっています。そして、今、文部科学省等が義務教育を守るために、一丸となって、政治力も発揮されながら、地方6団体との関係も含めて頑張っておられる、これもよく分かっているわけです。
 その中で、期待を込めて発足したこの専門家等も含めた会議で、8,500人、これは多分、極端な言い方ですが、全国の義務教育教職員の1パーセントぐらいになるんですかね。それから5年間で自然に減っていく分をどう使いましょうかという議論で終わらせるべき会議ではないというように思うんです。文部科学省も自信を持って学校現場の実情を見てもらいたいと思っています。行財政改革で地方公務員を減らせという大合唱が起こっていますし、また国民はそれを支持しているようですが、地方へ行けば、地方公務員の減というのが学校の先生を減らすということだと思っている人は誰もいないと思っています。現に警察官は増やせという声がありますし、学校の先生も増やしてほしいという切実な声が現にあるわけです。
 私は今、学校の先生を増やして、きちっと行き届いた教育をしなければ、将来警察官ばっかり増やすことになりますよというぐらいのメッセージを文部科学省は出してほしいし、この会議の中から出していくべきだと思っています。非常に深刻な状況がある中で、地方は片方で一般職の公務員を減らしながら、京都市の例で10年間で2,800人減らしながら、独自予算で構造改革特区を活用して、35人学級など様々な取り組みをしています。それはそれだけの効果があるからやっているわけです。したがって、私はせめて35人学級ぐらいのメッセージは打ち出すべきだというふうに思いますが、35人学級を打ち出せば、今日まで積み上げた少人数指導等が全部できなくなるとういことではだめなんで、具体的な取り組みは地方に任せていただいて、せめて財源的に8,500人増で勝負するのではなしに、残念ながらまだ少子化は進むでしょう。だから、小川先生もおっしゃった、さらに次の5年間の自然減の2万数千人分の財源を先取りしての計画が打ち出せないものか。それは多分国民の支持を得るのではないか。8,500人の範囲でやりますということではなしに、そうした先取りをしていかなければ、幻想だけで結局しりすぼみという落胆を与えるのではないかなと思います。是非ともよろしくお願いしたいと思ってます。

【高倉座長】  ありがとうございました。伊藤先生、ご発言いただいておりませんが、よろしいでしょうか。

【伊藤委員】  今までの議論をずっと聞いているわけですが、やはり財源という縛りの中で一クラスの人数をどうするかという議論について、小川先生がおっしゃられるような現状の中で、この5年間、それなりの成果を少人数で出してきている、一方で、行政を担当されている専門の先生方は、40人を35人あるいは30人という議論が出ているんですが、これは、国全体のかじ取り、大きな財政の制限の中で、先ほどの門川先生のご発言のように、将来、警察を増やすのか、あるいは教員を増やすのかということを考えると、次の8次改善というのが5年間のスパンで八千何百人という議論で考えるよりは、先ほどの小川先生のご提案のように、10年間のスパンで考えるのが良いのではないか。今50代の教員がこの10年でかなり定年を迎えるという、――また一方で、それが現場の先生方の若い先生がいないというところで、小中学校で、特に教育実習生が行くと若い先生が来たということで喜ぶわけですが――そういう先生方の世代の1つの波のちょうど端境期をどう乗り切るかという状況を考えると、これは制度的にはやはり30人、あるいは35人という数字を出しながらも、財政的な制限の中で、5年、10年のスパンを見極めてかじ取りをしていく必要があるのかなと思います。そのトランジッション(過渡期)の間には、持てるものはすべて使うという意味では、例えば教員養成を担当していますと、教員免許を取っても教員にならない生徒がたくさんいる――まあ、今定員がありますからなれないわけですけれども。――大学で教員を目指して、教職を取って教鞭を取る学生に比べて、教員になる学生は3倍、4倍いるわけですが、そういう学生で、例えばインターンシップでこの5年、10年を半年、あるいは何カ月か小中に送るというのも、1つは現場の先生方が元気、あるいは子どもに対して若い力が入ることで元気が出ると。教員養成全般でも今、見直しが別の委員会でされていますが、単に定数だけではなくて、トータルでこの制度全体を見ていく必要があるのかなというのが今までの議論を聞いた印象でございます。

【高倉座長】  ありがとうございました。どうぞ、高浦先生。

【高浦委員】  私は、またその次のことなんですが、今の議論を聞いていて、もう一回整理する必要がある気がしたんですが、今30人とか35人学級ということが出てきますが、第7次改善計画では、学級という概念を分けているんですよね。今まで学級という概念は3つの機能を果たしてきたということを言っていますよね。1つは、教職員定数を算定するときの基礎であるということで、40人で定数算定していくわけですね。今までさらにそれが40人上限ということで、41人になったら20人、21人という実際に作る集団ですが、それは生活集団と呼ぶということなんですよね。そして、学習集団はそういう見方をしないということにしたんですよね。41人になっても、20人とか21人に作って、それで授業するということではないわけですよね。こういうふうに今の第7次計画では学級概念を分割してやってきたわけですが、そうすると、今、議論している30人学級とか、35人学級ということは、何を言っているのか私はさっぱり分からないんですよね。つまり、教職員の定数を算定するために30人、35人と言っているのか、あるいは35人となると、36人になったときに、18人、17人ですよね、それは学習集団として編成するのか、生活集団として編成するのか、両方入れて意味しているのか、さっぱり分からないんですよね。そういうふうになっていけば、私は今度は行き着く先というと、学級数、いわゆる標準法はあくまでも教員定数を出す基礎だけということに限定していくと。そうすると、あとは何人学級というときには、何人ぐらいの生活指導集団にするか学習集団にするかは全部任せていくと。それは実質的にはやっぱり校長になるかもしれませんよね。そうすると、地方とか県とかの教育委員会は、その行政指導は監督というか、支援ですよね。だから、サポート・ウィズ・ノー・コントロールというのが一番いいと思うんですよね。今はむしろコントロール・ウィズ・ノー・サポートという感じでしょう。だから、反対にして、そして結果も出してもらうと。そう考えていけば、また今までとだいぶ違ってくる気がするんですよね。だから、私たちは今そういう議論をしているのに、あえて何十人学級という概念を使う、その学級は何を意味しているのかということをもう少しはっきりして、もう学級という概念は使わずに、あくまでも教員定数を算定する基礎ですと、あとは学級集団というときの生活集団なり、学習集団は何人にするか、教科でも違うでしょうし、そういうことは校長に任せるとやったらどうかと思うんですけれども。

【高倉座長】  このディスカッションの初めのころ、生活集団と学習集団というような仕分けをして考えるのはもうやめようではないかというようなご発言がございましたが、さらにそれを明確化したというようなご発言をいただいたというふうに理解させていただきました。ありがとうございました。
 もうちょっと非常に大切なところですので、ご意見をいただけますでしょうか。どうぞ、堀内先生。

【堀内委員】  今、高浦先生おっしゃったことは前この場で申し上げたつもりでありまして、先ほどの30人、あるいは35人云々という話ですね。これはやっぱりマスコミ云々というところから始まったと思うんですが、1つの政策設定というか、そういう政治的なレベルの言い方として、あまりにも大きな意味合いを今持ってきている。それに対してどうなのかという部分ですね。それから、今、高浦先生おっしゃったのは、ある意味では大変専門的なと言っていいと思うんですが、学校の実態を分かったところから言うと、そういう話になってくる。これが今乖離している状況を何とかしないといけないだろうと思うんですね。現状、第7次改善でそれなりの少人数指導云々で措置がされ、学校の中もそういったプラス効果が出ている。これを押さえた上で、なおかつそれをもっと効果を高めるべく、財政措置をどうしたらいいんだろうと。そうすると、原資云々という話になるんですが、これについて、今の国庫負担制度の見直しがどうしても絡まざるを得ない。今、高浦先生のおっしゃったのは、国の基準、これは単なる配置の、要するに財政的な基準である。前の平成10年の中教審の答申でも明確に打ち出した話であったはずなんですよね。そうすると、これは都道府県に下ろしても不十分になってくる。さらに市町村、最後は学校になると思うんですよね。
 そうすると、ここでのデザインをどう作るかという話ですが、最初に今日発言させていただいたところもそこになるんですが、そうすると、学校に権限を下ろしていくことに対する危惧のご意見もかなり出たと思うんです。今の改革の方向の中で、どうしてもこの問題、すなわち教職員の配置の問題で考えた場合でも、学校ごとの多様な実態に対して一番効果的な教員の配置をどうすべきかというところに、我々は答えを出していいように思います。
 そのためには、学校サイド、あるいは校長の権限というものはどうしても考えなくてはいけない。さらに、それを今ある原資だけでやるという話では、やっぱりまずかろうと。だから、それにどういう上乗せをしたらいいのか、そのときの基準で、これは本当に1人刻みで数字は変わってくると思うんですが、現在40人でやっているならば、先ほど地方云々という話をしたんですが、地方はそれなりに努力をされてきている。とするならば、37人でも38人でもいいと思うんです、そういう意味ではね。それに対して、個々の学校を平均して、今25人の本務教員のいるところならば、28人になりますよと。3人をどこかの学級を2つに割ってというばかな話はやめて、学校裁量で、いろいろな有機的な使い方をしてもらうという大きな教員の配置の考え方の転換というものを謳って、そして、なおかつ、それをサポートする国の努力がここにありますよという1つの大きな枠組を最終的には描かないと、最初、この論議で始まりましたように、やっぱり40人となったのではないか、あるいは35人にいかなかったのではないかというようなところがひとり歩きしてしまう。そういった、グランドデザインと言っていいと思いますが、個々のパートだけではなくて、全体を束ねたような大きな枠組の提示ということを最終的には考えて、お願いしたいと思っています。

【高倉座長】  配置の考え方の転換というようなところで、収めていただきましたが、ありがとうございました。どうぞ、宮崎先生。

【宮崎委員】  全く、今の高浦先生、堀内先生が発言されたことに、学校現場が多様化している実態からすると、そこの仕組みをつくるのは確かに理があるなという気はいたします。つまり、学級というのが教職員定数算定の基礎にあると。だけど、実態的に行われている中で、例えば私の専門である特殊教育の立場からすると、今、通級指導教室ですとか、新しい仕組みである特別支援教室などの仕組みを考えた場合には、学校現場を利するものになると思うんですね。4ページのペーパーの中に、特別支援教育の充実に関する論議は、理念はいいが、実際にはこれがなかなか現実的ではないのではないかみたいな書きぶりではあるんですが、各学校の現場から言うと、各団体から出されている配置に関する要望の中でも、かなり強い意見が多くなっていると思うんです。今、制度設計について検討されているわけですが、教室という概念を持ち出して対応する場合には、今回の学級定数基準の考え方からすると、なかなか難しい問題がある。そこへの配置ということを考えたときに。その他、様々の学校現場で今行われている多様な仕組みを考えたときに、教職員配置の基礎としての標準法の考え方の構造を変えるという視点が出てくれば、様々な試みに対応することというのはできるのではないかなと思いながらお話を伺ったんです。このことが可能かどうか、その点では是非検討していくことというか、そういうものではあるなという気はしています。

【高倉座長】  ありがとうございました。
 まだまだたくさんご意見があろうかと思いますが、細かいことといいますか、具体的なご提言、ご意見等の取りまとめは特にいたしませんが、いずれにしても、学校あるいは教育の関係者、あるいは国民の方々に対して希望を与えて、そして、元気の出るようなメッセージを含むものに仕上げていかなくてはならないという、非常に強いご要望、ご意見があったというように理解しております。その他、いろいろな具体的な考え方、あるいは具体的な施策等々につきましては、かなりはっきりした方向性ないしはイメージというのが確立してきたように思います。
 それで、今日までにいただきました様々なご意見というものを集約いたしまして、ここで一応の取りまとめ、答申ではございません。中間報告的なものの取りまとめをしていきたいと。そうしませんと、何しろこれは現実の問題ですが、概算要求という国のスケジュールの中に乗せていくということが一方では不可欠のことでございますので、そういったタイミングの問題も考えていかなくてはならないと思います。
 それで、事務局と相談もさせていただきましたが、次回、21日に予定しておりました会議は、29日まで延ばしまして、その間に中間報告の素案と申しますか、そういったものを作りまして、そしてそれを素案、あるいはたたき台と言ったほうがいいのかもしれませんが、そういったものを作って、それを29日に大いににたたいていただいて、できるだけ早く中間報告をしていきたいというように考えております。また事務局ともそういった話し合いをしております。
 そこで、大変恐縮でございますし、また僣越でございますが、そのたたき台もしくは素案をつくる作業を事務局と座長であります私、もちろん小川座長代理のご意見を頂戴するということは当然でございますが、ご一任いただけますでしょうか。

〈一同異議なし〉

 ありがとうございました。それで、できれば、少しでも早目に素案、あるいはたたき台をお送りさせていただいて、次のディスカッションが効果的に行われるようにできればと思っております。ただ、ギリギリ間に合うかどうか分かりませんが、間に合うような努力をして、事前にお配りできれば大変いいなと思っております。そういうような努力もさせていただきたいと思います。
 それでは、今日の非常に活発な、しかもかなり方向性が出てきたと思われるご議論、ありがとうございました。これで本日のご議論を終わりにさせていただきます。なお、事務局から今後の日程について、具体的にお願いいたします。

【小熊教職員配置計画専門官】  ご熱心なご議論、ありがとうございました。
 それでは、資料の4をご覧いただきたいと思います。座長からご説明いただきましたとおり、予定しておりました7月21日、来週木曜日でございますが、この会議につきましては、取りやめとさせていただきたいと思います。そして、新たに第9回となります会議を7月29日金曜日、14時から17時、こちら如水会館3階の「松風の間」で開催を予定させていただきたいと思っております。つきましては、席上に7月29日のご出席の予定表を配付してございますので、お書きの上、事務局までご提出いただければと思います。また、これに伴いまして、日程が若干ずれてまいります。8月の上旬に第10回を予定させていただきたいと考えております。先生方のご都合をお聞きしたいと思いますのでこれも机上配付してございます日程調整表、こちらにご予定をお書き込みの上、事務局にご提出いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【高倉座長】  ありがとうございました。それでは、本日はこれで閉めたいと思います。

―了―



(初等中等教育局財務課)


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