【高倉座長】 ありがとうございました。これまで7回にわたるミーティングのご議論、そのうち2回は、主としてヒアリングに使いましたが、そのときのご議論も含めまして、整理をしていただきました。その整理の仕方は最初にお配りしました資料1の検討の論点(案)となっておりますが、事実上、おおよ、そこの検討の論点に従って議論しておりますので、まとめも大体この流れでまとめていただきました。今日は大体1時間弱を使いまして、これまでのご議論のまとめを、さらに今後の取りまとめの方向性ないしは論点整理という方向に持っていけるように少し絞り上げていこうと思っております。
したがいまして、まず最初に今、小熊専門官からご説明いただきましたこの中身につきまして、このあたりについてはまだ不足しているのではないかとか、あるいは、もう少しきちっとした説明をしておくべきではなかろうかというような、そういったご意見を頂戴しながら、さらにまとまりのいいもの、論点整理という方向に、さらにさらに近づけるようなものにしていきたいと思います。
それで、どこからでもという議論もよろしいかと思いますが、その流れ、4つの がございます。少人数教育について、教職員配置について、地方分権時代における柔軟な学級編制や教職員配置について、高等学校の教職員配置の在り方についての問題、この大きな4つのくくりの順番にご議論、ご意見を頂戴していきたいと思います。
まず最初に、少人数教育について、これがかなりの内容になっておりますが、3ページの中ごろまでですね。これにつきまして、さらにつけ加えるご意見あるいはその他ですね。いずれにしても、これを論点整理ないしは今後の方向性、取りまとめの方向性に向かった内容に仕上げていきたいと思っておりますので、そういった方向性を前提にどうぞご議論、ご意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
どうぞ、小川先生。
【小川座長代理】 1点ずつではなくて、全体のまとめに当たっての基本的な方向とかポイントみたいなことで、少し意見と、あと、お願いも少し入れてお話しさせていただきたいと思います。ちょっと長くなるかと思いますが、これから私が言う中身は、ほとんど先ほど資料2で説明いただいた協力者会議の主な意見の中にほぼ、すべて網羅されていることなので、その中で何を特にポイントとして論点整理していくかという作業の際に、特に留意すべき点というか、留意してほしい点を4点ぐらいにわたってお話しさせていただければなと思っています。
1つはここにも出ていますとおり、大きな問題は、少人数指導と少人数学級のこの関係というのを理解しながら、次の第8次改善計画でどういう政策的な選択をしていくかということが大きな問題かと思います。第7次改善計画でも、この少人数学級か、少人数指導かという議論があって、基本的には財政的な事情ということと、もう一つは少人数学級等との系統的な実証データというのが不足しているということで、むしろ第6次のTTなどの実証をさらに発展させながら少人数指導ということが選択されたと思うんです。
今回も同じような議論かと思うんですが、ただ、第7次改善計画と大きく違っている点は、標準法改正によって、もう既に42道府県、2005年度ではもう45道府県と先行して少人数学級の実践的な試みをこれまでやってきて、それなりの成果等も出してきているという点があるかと思います。私自身は、ここの協力者会議でも発言したように、山形県とか犬山、志木の少人数学級の実践というのを数年間、これまで定点観察してきました。
そういう中でやはり少人数学級というのは確かにコストのかかる施策ですが、それに値するような成果、少人数指導ではなかなかカバーできない学校全体の経営とか教育活動を総体として質的に高めるという点では、少人数学級のメリットはかなりあると私は感じていますが、ただ、現段階では、やはり多くの人を納得させるような客観的なデータとか、実証的なデータが不足しているという感も否めないなと感じています。
もう一方では、この協力者会議でもいろいろ議論が出てきていますとおり、少人数指導の様々な成果ということも事実ですし、また、少人数学級というのが自動的に教育成果を生み出すというわけではなくて、それにふさわしい指導方法とか教材開発などが不可欠であるということも了解されていると考えていますので、そうした少人数学級の実践の状況と、少人数指導の様々な成果等々、いろいろ加味しますと、現段階でどちらか一方、国で決定して、それを地方に遵守させていくという格好ではなくて、基本的には国の学級編制標準40人を一律30人とか35人に改善するという方策よりも、自治体には少人数学級か少人数指導の充実化、どちらの政策を地域の実情に応じて選択化していくかという、そうした自治体の選択判断というものを尊重しながら、少人数学級、少人数指導というのを地域の実情に応じて適宜取り組んでいけるような体制づくりというのが現時点では適切な方向なのかなという感じがします。それがまず1点です。
2つ目の大きなポイントというか、判断の条件は、やはり実質的に財政的な事情というのが非常に厳しい中で、国のそうした義務教育諸学校をサポートするような支援の配置と地方独自の取り組みを尊重するという、この両者のバランスを最大限発揮できるような仕組みはどういうふうな仕組みなのかということを考えるべきかなと思っています。実際、次期改善計画で活用できる教職員の数というのは、これももうこの協力者会議で何回も指摘されているように、自然減で確保されるのが大体8,500人から9,000人と言われていますし、ないしは、少人数指導加配が大体3万9,000人ということですので、大体4万七、八千人というのがある意味では次期改善計画の基本的な原資だというふうに考えていいと思うんですよね。
これも協力者会議で出てきたように、例えば35人学級を小中全体でやった場合には、4万数千人を超える教職員数が必要ですし、30人学級の場合にはもう11万人ぐらいが必要だという試算も出ていますので、一律に小中学校、全学年で30人学級、35人学級を実現するといった場合でも、数字的にもかなり不可能というか、無理な点があるわけですよね。35人学級はぎりぎり全部、先ほどの5万強を35人学級ということで、全部充てればぎりぎり可能かもしれませんが、それでは他の特別支援教育の支援とか、養護教諭の複数配置とかという、他の様々な問題が全部切り捨てられるということも考えると、35人学級ということを一律、小中、全学年にわたってやるということも無理というか、現場自身がむしろそれは望まないのではないかなと考えます。
そうした財政状況を最大限考慮すると、国の学級編制標準40人をそのままにしながらも、しかし、もし自治体が一定学年で少人数学級を希望するのであれば、それを可能とすることができるような加配教員というものを拡充して、自治体がその加配教員を少人数学級に活用するか、少人数指導のどのような点に重点を置いて活用するかというのは、もう自治体が独自に判断できるようにするということが一番ふさわしい、現時点で考え得るふさわしい制度デザインじゃないかなと考えます。そうした場合に特別支援教育等々の、他の配置要求が非常に強い領域にも、先ほどの原資の範囲内でバランスよく対応できるということで、学校が全体として学習と支援、ケアというものも教育活動に当たれる体制を作っていけるのではないかなという感じがします。これがまず2点目ですね。
3点目は、これまで協力者会議でも議論が出てきていることなので、今のように自治体、そして、学校のレベルで自由に判断しながら少人数指導ないしはどのような少人数学級をやるかという判断の方向で、改善計画を考えるとすると、今の学級編制の決定の仕方、仕組みというのを、市町村と学校の判断で決定できるように法制度を改正するということが避けられないのではないかなと思っています。ただ、それを今の段階で、どう具体的に標準法改正するか等々という話は、義務教育費の国庫負担制度がどうなるかとか、ないしは、市町村への教員の人事権の移譲とか、給与負担の仕組みが、今後どうなるのかということが非常に不透明な部分がまだ多い中で、なかなかそれを具体的に制度デザインすることは難しいんですが、可能なところからそうした法制度改正、標準法改正というのはやっていくべきではないのかなと思います。
あと最後に1点ですが、以上のことを考えるとすると、今日はマスコミの方もいらっしゃっているかと思うんですが、今のような考え方からすると、何か次期改善計画は国の学級編制標準40人をそのままにしているということで、あたかも国の責任によって少人数学級への改善を見送ったというふうな印象もあるかと思うんですが、私は決してそういうことではないと思いますし、そのことを確認すべきじゃないのかなと思っています。厳しい財政事情というような制約の中で、そうした少人数学級への配慮ということと自治体独自の判断を最大限に尊重するというふうな、そういうアプローチの中でぎりぎり考えられるというのが先ほどのような制度デザインではないのかなと考えます。
その点はきちっと確認しておくべきだということと、もう一つこれはお願いなんですが、2011年以降の児童生徒数の減少を見ますと、そうした自然減で確保できる教員の数というのが大体2万数千人というふうに推測できますので、その数をそのまま確保できた場合には、もしも第9次改善計画を策定できる可能性があるとすれば、その時点で国の学級編制標準の改善というのはいろんな意味での検討すべき可能性というのはあると思うので、できればそうした可能性、次期、第9次改善計画におけるそうした可能性に含みを持たせるような論点ということも考えていただければいいのかなと思いますが、最後はお願いというか、検討していただきたいなという論点ですけれども。
すみません。長くなりました。
【高倉座長】 今、現実に厳しい財政事情の中で考えていくというような現実的な論点、視点が一つあろうかと思います。しかし、その中でもって、第8次をどうするかという話をしているわけですが、第9次というところまで視野に入れた上での含みを持った展望というようなことを示すことも必要だろうと。そのプロセスの中でもって、やはり地方の選択的判断で必要な対応ができるような、そういう柔軟な取り組みをしていったらいかがかというような、非常に多岐に亘るご提言でしたので、簡単に取りまとめることは私にはできませんが、いろいろと今、ご提言いただいたことも含めまして、どうぞ委員の先生方のご意見を頂戴したいと思います。その頂戴する仕方につきましては、今、小川先生から全般的な考え方について、あるいは、今後の議論すべき方向についてご提言をいただきましたので、4つの に分けて議論するというようなことを言いましたが、それを取りやめまして、全体を通して、小川先生のご提言に対するご批判も含めまして、どうぞご自由にご意見を頂戴できればと思います。
どうぞ、堀内先生。
【堀内委員】 全般になろうかと思いますが、3点お話しさせていただければと思います。
1つは、先ほどこれまでのいろんな意見をご紹介いただいたんですが、やはり厳密に考えますと、相互に対抗するような意見が含まれていたかと思うんですね。各回いろんな流れで意見が出たと思いますが、必ずしも全員ここにいるものが共通認識ができたとは思っておりません。
その1つに、例えば学校サイドの問題で私も発言した覚えがあるんですが、例えば、今の状況の中で、学校に大きな権限を与えるのはいかがなものかというご意見もあったような気がするんですね。現時点で限定して考えますと、私もそれは必ずしも否定できないかなと思うんですが、やはり今、我々が議論しているときに、そこの10年間の法律改正の流れというものとどうコミットしていくのかという、そういう視点もひとつは明確にあってしかるべきではないかと、こう思っております。
大きく言えば、もちろん地方分権であったり、規制緩和であったりという、そういった教育改革の流れだと思いますが、何よりも特色ある学校づくりを教員の配置等を含めて考えていく。あるいは学校の自立性の確立をこの問題、学級編制であったり、あるいは、教職員の配置であったりということと絡めていって、どうしていったらいいのか。そうしますと、どうしてもその受け皿の問題、ここがいろいろご批判というか、ご意見あったところだと思うんですが、今、各学校がそれだけの経営ができるというものを持っているかどうか、多分その辺の観点があったと思うんですね。これは別途、専門職大学の話であったり、教員養成あるいは教員研修の方での論点もここの会議とは別のところでしょうけれども、同時進行で議論されている話ではなかろうかと思うんですね。そういったものを見たときに、確かに学校の格差も大きいでしょうし、地域の格差も大きいと思うんですが、今言いましたように、個々の学校で使わせていく、そのための経営能力というものを各学校がこれから高めていくんだという前提で、学校サイドも考えていくという、そういうスタンスがあってもいいように私は思っております。
2つ目は、小川先生も触れられたことなんですが、どうしてもこのお金の問題と関わって、今の教職員の制度そのものですね。特に国庫負担あるいは人事権の問題、これと具体のところで少しシミュレーションすれば、どうしても苦労せざるを得ないだろうと思うんです。この場で、そのことについてこういったことを前提にしてどうのこうのというのは多分できない話だとは思うんですが、やはり幾つかのパターンの中では、想定していく必要があるのではなかろうか、そう思っております。
3つ目が、マスコミ、世論も含めてどうしても40人という枠を2度も、ある意味では、維持して、現在来ていますので、35人、30人という話が出始めているというか、出ざるを得ない面があると思うんですね。これについて、小川先生の意見も私は基本的に賛成なんですが、やはり従来の40人から35人、30人へという単純と言うと怒られるかもわかりませんが、そういったようなものにもし違う見方をするならば、もう少し明確な制度設計をここでやっぱり示すべきではなかろうかと思っています。
単純に言いますと、小学校で、今、各学級40人の、6 40人、仮にです。こういった学校があれば、学級担任教員は6人しかいない。ところが、各学年41人ずつ、6学年、これもそんなことはないんでしょうが、仮にあるとすると、学級担任教員は12人になっちゃう。子ども数は6人しか違わないと。これは今の制度ですよね。そうすると、今の学級編制の何人でもって1学級をし、それに対して教員をどう配置をするかということの限界というものが、40人まではそれできたんでしょうが、それ以下にするときに、テクニカルな問題だけではなくて、具体的な、先ほどから言われておりますように、少人数指導なのか、少人数編制なのかというものも含めて、問われざるを得なかったと思うんですね。
そうしますと、学校総体として、学級数しかり、また、その児童生徒数しかり、そういったような大枠での教員の配置という新しい観点を、――私はそうすべきだと思っていますから言うんですが、――全く従来の配置とは違う観点での枠組みというものがあってもいいように思います。
そうしますと、さっき言ったように、40人から30人にして、11万人の教員増ですか、必要になって、総額何千億円の予算が必要だと。それは当然応えられませんという話で終わってしまうところからは一歩、新しい地平というものを生み出すことができるのではないかと、そう思っております。テクニカルな問題はちょっと分かりませんが、各都道府県、市町村、そういうところの実態をいろいろ並べたときに、どのぐらいがやっぱり枠組みとして、多分幾つかの経験をあわせるような形になると思うんですね。40人なら40人で一つの基準で合わせる。だけれども、それに加えて、学校全体の児童生徒数に加えた場合にプラスアルファすべきものがどういったものなのか、それに対して、全国的な予算、それに対して幾らなのか。多分その幾つかデータをいじくってみたときに、初めて全体で納得できるようなスタンダードというものが出てくるのではないか、そんなふうに思っております。
以上3点、相互に関係づけてもう少し論理化すればいいんですが、そういった枠がまず必要だろうと思っております。
【高倉座長】 ありがとうございました。私、進め方を途中で切りかえたり何かして大変申しわけございませんでした。混乱を生じてしまったような気がしないでもございません。それで、小川先生のご提言の中には、限られた定数をどう有効に使うかというようなこと、あるいは、自然減のことなどが触れられまして、かなり現実的な問題についてのご意見が含まれていたと思います。それで、このことをさらに議論するために、国の財政事情等についてのいろいろな改革が今、進行しておりますので、それについての概略的なご説明ないしは見通しのようなものを事務局の方からご説明いただき、その後で小川先生の先ほどのご発言に関連してもう少し詰めた議論をしていきたいというふうに思います。
それで、もう一度、最初に私が申したことがグラグラしていて申しわけございませんが、資料2で示していただきましたこれまでのご意見ですね。これについて、さらにつけ加えるものがないかどうか、これは実際にはあとの議論と相互に絡みますので、切り離して議論するということは、これは無謀なことかもしれません。しかし、資料にこれまでの議論をまとめたものでございますので、これについてさらにつけ加えるべきものがあるのかないのかという、そこの議論だけはきちっとした上で、さらに小川先生のご発言及びそれに関連した事務局からのご説明などなど頂戴した上で、さらに議論をもっと実効のあるものにしていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、途中で混乱してしまって申しわけございません。事務局の方でおまとめいただきました、これまで6回、7回にわたるご議論の主な意見の集約ですね。資料2、これにつきまして、これを小熊さんに説明いただきましたが、さらに付け加えるべきもの、あるいは、このあたりについてはさらに議論すべきだというようなことを、ややこれまでの整理ということに重点が置かれますが、そこのところを最初にやっておきたいと思いますので、途中でグラグラしましてすみません。よろしくお願いいたします。
資料2につきましては、最初には ごとにと言いましたが、 をこえて、どこからでも結構ですから、ここにまだ加えるべき視点あるいはご意見等があるのかないのか、それを確認しておきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【高浦委員】 では、意見はまだいろいろあるんですが、今の直接、座長のことについて思うことですが、最初の1ページの最後に、少人数教育などの実施に伴う非常勤講師の配置についてという文章のところなんですが、ここが、極端に言うと2つに分かれているんですよね。つまり、教員加配をしたときに、その常勤定数を振り分けて、柔軟仕様で非常勤を使ってよいということを第7次のときにしたんですよね。これについての意見は半々になっているんですよね。そういう非常勤はもうよくないという意見と、非常勤は、いい面があるよという両方なんですよね。これは私たちはある程度ここで整理しておかないと、今の議論も実はここに非常にコミットしているんですよね。
というのは、例えばこれから少人数加配をどうやっていくか、あるいは、学級定数をどうやっていくかという議論のときに、例えば文科省と県と市と、学校の校長ですよね。その棲み分けをどうするかという議論もありますが、そのときに、1人、あるいは2人と増えたときに、それを今のように柔軟運用するというシステムを継続するのか、しないのか。つまり、その常勤の定数1ということをどうするのかという議論を詰めておかないことには、この議論のままでは話にならないんですよね。少人数指導を増やしたといっても、うまく非常勤を活用して柔軟に運用をやりなさいと、第7次ではやってきました。けれども、それをすることがよいという面とよくないという両方が出ているんですよね。この大きな問題を乗り越えておかないことには全ての議論に私は響く気がして、それをここにちょっと1点だけ指摘しておこうと思って。
【高倉座長】 この非常勤講師の配置ということによる評価に、1つの割れといいますか、2つの考え方が出てきているそのあたりをどうまとめておくかと。
【高浦委員】 この文章をどういうふうに私たちがここで整理していくかということですよね。これは大きな問題です。
【高倉座長】 はい。ありがとうございました。その点につきまして、どうぞ。門川先生。
【門川委員】 いろいろ意見があるんですけど、その点だけについて申し上げたい。非常勤講師の考え方の違いは、地方の実態の違いによって起こってくるのではないかなと思います。京都のような大学の町で、いろんな優れた若い人材が多いところでは、オーバードクターが非常勤講師で来てくれる。年収を二、三百万円保障すれば、いろんな優れた人が来てくれる。そういうところもある一方、免許を持っている人が全然いないという地域もありますので、確保できる人材によって非常勤講師に対する考え方も違うということが一つ。
そこで前にも申し上げたんですが、義務教育費の総額裁量制の下で定数崩しという制度がありますが、どうもよく分からないんですが、一人の正規の職員だったら年間800万円の経費。これを崩せば年収200万円の人が4人になるなず。ところが、どうも都道府県を経由して、市町村に来たときには、40時間の時間を20時間と20時間に崩すんだということになって、200万円弱ぐらいの人が2人になる。これはおかしいと思います。また、先日も申し上げたけれども、例えば、1つの学校に正規の教員を1名加配して、あとの3校は加配なしなのか、4校に非常勤講師、年収200万円の人を各1人、4人配置するのか、どっちがいいかという選択、これは人材が確保できたら自ずと答えは出てくると思うんですね。ただし、これを一般化すると、正規職員をパート化するという非常に難しい問題になりますので、一般化しないような歯止めをかける必要があります。そうした点を踏まえて地方の選択に任せればいいのではないか。だから、非常勤についての評価はその人材が確保できるかどうかと学校の要望によって変わってくるので、2論あって当然だと思います。
【高倉座長】 ありがとうございました。このまとめでも、問題があるぞというのと、非常勤講師の質の低下を懸念する声があるなというような2つに、確かに表現は分かれておりますし、これで最終的なまとめをしたわけではなくて、そういった両論併記というわけではありませんが、2つの考え方がある。このあたりをどう取りまとめていくかということにつきまして、ただいまやはり人材による差があるのではないか、地方によっての差があるのではないかというようなことが今、だいぶはっきりしてまいりまして、その辺りを考えていった場合に、地方による独自の選択というようなもの、あるいは判断といったほうがいいのか、そういったことこそ有効なのではなかろうかというご意見かなと理解させていただきました。
【吾妻委員】 今の高浦先生、それから、門川先生の関連のことで絞ってお話ししたいと思います。やはり非常に重要な問題だと思うんですね。国が30人学級に踏み切ろうが、踏み切らなかろうが、加配教員をどう使おうが、どうしてもその部分が講師、いわゆる正規の教諭ではなくて、講師対応になる可能性が非常に強いと思うんですね。この講師対応が今、京都でおっしゃったように、お金さえ出せばいくらでも人材はいるという地域と、優秀な講師を確保できない地域がたくさんあるわけですよね。ですから、この辺をどうするかということを何か方向性を決めておかないと、非常に困るのかなと。
加配教員はどうしても、毎年その学校だけ考えても事情が変わりますので、きちっとした定数の教員を配置するのは難しくて、どうしても講師対応になると思うんですね。結果として、その講師の指導力の問題が非常にクローズアップされてきているということですので、どうしてもそういう状況だとすれば、その講師の質をどう高めるかというような対応を何か考えて配置をしないと、ただ数さえ配置すれば、あとはご自由にどうぞというわけにはいかないような気がしまして、最近はそれぞれの都道府県で正規の、いわゆる初任者研修だけではなくて、講師対応のいろいろな講習会を実施している都道府県も随分出てきているようですが、その辺のことについて、やはりこの会議でもある程度責任ある方向性を示しておく必要があるのかなと、そういうふうに思います。
以上です。
【高倉座長】 ありがとうございました。この2ページのところのご意見、2ページの一番上の 、ここのところにも、質の低下を懸念する声云々のところで、研修等に、本務者に限らず参加させるなど、指導力向上の努力が行われているということだけではなくて、もっとこれを促進するような、そういった対応と申しますか、施策といいますか、もうちょっとここを積極的に書き込んでいく、あるいは、対応していくというようなことを含めたご発言と思います。ありがとうございました。
どうぞ、このあたり。島宮先生。
【島宮委員】 高等学校ですので、ちょっとピントがずれることがあるかもしれませんが、失礼いたします。
講師の活用の仕方なんですが、現実的には時間数に対して、それぞれ時間単価で給与計算がなされるということだと思います。それから考えますと、例えば週の中で講師の時間をなくしてしまうということは、その分給与が減額されるという事態が起こる可能性があるわけです。現実には専任であれば、例えば時間割変更して、少人数編成授業などが可能になると思うんですが、講師ですと、その辺の融通性と申しますか、柔軟性がなくなってしまうということがあります。それからさらには、1校だけで勤めていればいいわけなんですが、それが数校かけ持ちという講師もいるわけです。そうしますと、ますますその辺の融通性がなくなってしまう。ですから、講師の質の問題もさることながら、その辺の現場での柔軟な活用の仕方ということを考えると、これはやはり専任のほうがいいということになるのではないかと思います。
ただ、専任を入れてしまうと、生涯給与を今度は保障しなければいけないという問題が出てきますので、なかなかその辺でどうバランスをとっていくのかというのが難しいところかなと思っております。
【高倉座長】 ありがとうございました。この会議の第1回目のときだったか、2回目のときだったか、私、これまでの経験で、第6次のときの提言に講師の定数化と申しましょうか、これを書き込んだわけで、そこの部分だけが落ちてしまったと。だから、第7次にはそれは必ず復活して、実施してもらわなきゃ困るというような声が非常に強かったと。それが実現したというようなことで、それはそれで大変よかったんじゃないかというように発言しましたが、それは前からの続きを申し上げただけであって、今、先生がおっしゃられたように、講師の質もさることながら、その講師の活用の仕方、また、それ自体にいろいろな問題がないかと。そういうことで、この講師の問題についてはいろいろあろうかと思いますが、もうちょっと最後の論点を整理していくときに詰めた形で論点を整理していくというようなことで、また事務局にお願いいたします。
ここだけに集中しておりますと、ほかに議論がまたがりませんので、どうぞそれ以外に。
【高浦委員】 結構なんですが、もう一つだけ指摘して、関連していたんですが、今のは直接、例えば加配したときにどうするかという問題でしたが、その判断するときに、結局、文科省、国がそういうことを見るのか、都道府県に任せるのか、地方、市町村にするのか、校長にするのかという、その問題なんですよね。それも同時に考えておかないと、どうもならないという。そのことだけでした。
【高倉座長】 誰が責任を持って、その結果に対して評価をし、次の政策に反映させるのかというような、そんな問題、またよろしくお願いいたします。
それでは、ちょっと非常勤の話からスライドさせまして、他のところに移っていきたいと思います。どうぞ。
【吾妻委員】 先ほど小川先生から4点お話がございまして、お聞きしていて、概ねそういう方向で落ちつくことなのかなと思いながらお聞きいたしたわけですが、こういうお話をしていいかどうか分からないと言いながら話をしてはまずいかもしれませんが、理想を高く掲げて、自由に論議するだけならば、それでいいんでしょうが、やはり最終的には、見通しの立たない、財政的に裏付けがとても不可能なことをお話ししても仕方がないのかなということも、先ほどの小川先生のお話にあったかと思うんですが、私は、最初の頃申し上げました、少人数指導の良さを生かしながら、少人数学級に踏み切るべきだというお話をしました。しかし、両方を相当の姿で実現するためには、財政的には相当厳しいんだなということもだんだん分かってまいりまして、では、どうしたらいいかということで、正直、現実問題として、どういう方向性がいいのかなと。今日の資料の2の3ページの の3つ目、「国民の関心は」というところですが、ここは多分私が何回目かでお話をしたことであります。その下の のところで、それは暴論であると。今日は字句が少しやわらかくなって、「拙速」となっていましたが、そういうご指摘をいただいていると思います。私は、単純に、地方がやったから国がやるべきだ、追随すべきだ、そういう意味で言ったんではないんですね。国民のコンセンサスといいますか、国民感情というもの、これはもっと具体的に言うと、子どもを学校に出している保護者一人一人の国民全体としての感情も含めて考えていくべきではないかというのが1つありました。
それから、もう一つは、国の標準法は40人だと。しかし、都道府県はもう既に今年度は45道府県、30人程度学級に踏み込んでいる。これが1年、2年の話ならいいんですが、これから5年も6年も、国は40人と相変わらず言っている。地方はどんどん多くなっているという、いわゆる国と地方のねじれのような姿であることは間違いないと思います。そういうときに、義務教育に対する国としての基本姿勢、あるいは主導性の問題はどうなのかということを考えなくていいのかなということも考えました。
現在、中教審でいみじくも問題になっております義務教育国庫負担法の問題と地方の自由度の問題も当然絡んでくるわけでして、何かその辺、非常に難しい表現なんですが、先ほど小川先生のお話で申し上げますと、2番目のことになるんでしょうか。2番目と3番目に絡むことだろうと思うんですが、40人学級はそのまま維持しながらも、各自治体が加配教員を使って、少人数指導と同時に、少人数学級にも使っていいという表現の仕方で、マスコミをあまり意識した話はしたくないんですが、新聞の見出しに「40人学級堅持」というよりは、もう少し柔らかい、この加配教員を使って、40人を切った学級編制も可能だという姿が少しは出てこないと、国と地方の関係が、微妙な状態が長く続くことに対する懸念を抱いているということであります。
【高倉座長】 ありがとうございました。吾妻先生から3ページのご自分のご発言と思われるところからスタートいたしまして、どうもありがとうございました。関連しまして、2ページのところにも、少人数学級と少人数指導が両方必要だということを強く打ち出していくべきというご意見もここにございます。それから、3ページの一番下、これは横山先生でしたね。国と地方のことについて、今、吾妻先生からもご指摘いただきましたが、国として保障すべきコアの部分の在り方、自治体の裁量により上乗せする部分の切り離しというのか、1回と2回とを切り離して議論するということが必要だというご意見もいただきまして、みんな関連すると思いますが、最終的にこのあたりをさらに整理して、論点整理に向けて努力していく必要があろうかと思います。
【門川委員】 私は、自然減を活用した8,000人程度で第8次改善をやるなら、国は40人学級を維持だとはっきりすべきだと思います。それを地方で上乗せしてやるなら、地方に任せますとすべき。そうでないと、7次改善のときも、20人で数学、英語は指導できます、そういう施策が推進されますとマスコミでさんざん報道されました。実際には、中学校でも、先生が1人以上増えたところが7割余り、1人も増えてないところが20パーセント超えている。小学校では4割が1人も増えていない。また、これから5年間で、約3万5千校の小・中養護学校がある中で、8,000人しか増えないのなら、5校に1人、5年間で先生を増やしますということをはっきりすべきだと思います。いたずらな幻想を持たすべきでない。あとは、国が責任持てませんから、地方で工夫してください、こういうことを言わなければ、この会議は無責任になると思います。今、義務教育について非常に国民的な関心が高く、給与負担についても議論があるときに、あやふやなことを言うべきでないと思います。国の財政事情が厳しいですから、これ以上のことはできない、やるなら地方ですよと言うべきで、幻想を振りまいて、コンセンサスは得たようなことにすべきでないと思います。そこで私が思うには、単純に学級規模を小さくすれば、教育効果が上がるということではないということは、概ねコンセンサスができていますが、習熟度別指導等の指導方法の改善を組み合わせれば、教育効果が上がるということについても、コンセンサスが得られていると思っております。そのためには、教員総枠を増やしていく必要がある。小川先生のおっしゃったことも含めて、国の段階で画一的に35人学級にしましょう、30人学級にしましょうということを言えないという事情についても、財政事情を無視することはできないと思うんですが、それなら、せめて8千人というのではなく、あえて小川先生が、第9次改善で、2万何千人かの自然減があるとおっしゃったのですから、それを含めて前倒しして考えてはどうか。今まで、第4次改善では、自然増が3万8千人必要なときに、更に2万4千人の改善となっている。自然減と改善増をぴったりと合わせたのは、第7次改善だけですね。もちろん自然減の半分でしか改善できなかった第6次改善というのもあるわけですけれども。
したがいまして、これだけ義務教育への関心が高く、教育が困難なときに、8千人ではなしに、次の5年分を先取りしてでも取って、第9次改善分の2万数千人を含めて、「改善増の財源を国において確保しましょう」とすべき。そしてその使い方は、指導方法の改善をするのも、学級のサイズを小さくするのも、それを両方やっていかなければならないと思うんですが、「地方で工夫しましょう」と。ただ、そのときには地方の教育委員会が指導力を高めなければならない。校長裁量を拡大すると同時に、校長の経営能力を改善し、学校評価、授業評価、教育力評価というのを、外部評価も含めてきっちりとやり、説明責任を果たしていかないといけないと思います。
今、義務教育全体として、給与負担も含めて関心の高いときに、枠をはめてしまって、自然減の範囲で、しかも既に学校に加配され指導方法の改善や、学級規模を減らすために活用されている2万6,000人分を含めて改めて活用方法を議論するんですよと、そんな財源の範囲でするんですよということの議論は、非常に厳しい。あまりにも厳しくて、ゼロ地点に戻ってしまうような感じではないかなと率直に思います。私どもも行政を担当している者として、夢ばかり求められませんが、せめて第9次改善分も含めて、その分を5年前倒ししてやっていきましょうとかいうことがなければだめなのではないかなと思います。
【高倉座長】 ありがとうございました。あやふやなことはやめろということになると思いますが、先ほど小川先生から第9次分が、可能性に含みをというような、やや文学的な表現でございましたが、第9次分の先取りということで、かなりはっきりとご発言いただきました。
先ほど申しておりましたように、事務局からご説明いただいた後のディスカッションにもかなり入り込んでいると思いますが、それはそれとしまして、もう少し資料について追加すべきこと、あるいは考えるべきことなどなど、もうちょっとご意見いただけますでしょうか。
【高浦委員】 私の意見ですけど、私も、40人学級標準は維持することで、それで8,500人は、原資という言葉でしたが、加配制度を維持すると。あと、具体的な補足事項が今回はいろいろ、第7次の場合とちょっと違っているような気がするんですが、そのときの一つは、今言った、国としてやる限りは、義務教育水準の維持というか、学力をどう規定するかはともかくとして、学力向上のためにやっているということは維持するにしても、そのための手引き書をここで作ったらよいと思うんですね。そうしないと、いつの間にか変な縛りが入ったとか、はっきりしないことがまかり通るんですね。あるところによると、例示をしたうちの一番最初聞いただけとか、あとは帰っちゃったとか、いろいろあるものですから、いろいろな事例で、事例説明というよりも、手引き書ができたらいいと思うんですね。それが一つ。
それから今度は、あとは都道府県とか市町村、学校長の責任権限の分担のことなんですが、それはどうするか、私もよく分からないんですね。ただ、いずれにしても、責任主体が今度は、一番具体的な場面のところで、実際いろいろな集団編成ができるようにするのがいいと思うんですね。例えば学級の小規模化に使ってもよし。少人数指導の具体化にしてもよし。それから、こういうところに使うとか、それは任せてもよいと思うんですけれども。手引きは、主に学習集団の方なんでしょうけど。そうすると、生活集団についても、柔軟な運用が出てきますので。ただ、そういう柔軟な運用全てを任せるときに、1つだけお願いしたいのは、そういう指導をしたことが本当に学力向上に結びついたのかどうかというデータを逐一出してもらうということが必要ですよね。今、それがちょっと薄かったような気がするんですね。そして、それによって効果があるなしを判断するのは、しかるべき委員会などを作って、あるいは文科省でやっていただいて、ないところにはかなり指導してもらわなくてはならないと思うんですね。そういうことをしないと、今度原資そのものが維持できるかどうか分からないんですね。私たちはみんな、今までそういう状況で動いてきましたよね。第7次は2万6,900人でしょう。今度は8,500人と言っていますけど、この時代ですよね。だから、そういう入り口だけじゃなくて、出口もしっかりやっていかないとね。それを義務づける必要があると思うんですね。ただ、「こういうふうにしました」ということだけではなくて、それが本当にどんな効果を生んだのか。そうしないと、いろんな学力調査とか起こっていますけど、その後、どう対処するかは、あれから何にも出てこないんですね。だって、日本全体でやるわけでしょう。そうすると、例えばPISAにしても、その中の学校がどんな授業をしているかということは、全然分析がないわけでしょう。だから、結果だけ見たって、何もならないんですね。しかし、今度は「少人数でこういう学習集団を作って、こういう授業をしました」とか、「こういう学級集団を作って、こういう授業をしました」という教育効果を出すようにすると、「あの県のこういう取組は非常に効果がある」とかいう結果が出てきますから、すぐほかの県とか市でそれを追認しようと思ったら可能になるわけですね。そういうきめ細かな一面で調査研究というものを同時に義務づける必要があるように思うんです。それが私の考えです。
【高倉座長】 ありがとうございました。前半のところは、4ページの地方における云々の、ここのところについて、権限の分担ということでご発言いただいて、学力の向上に結びつかないと話にならないんだ、このことは先生、前から何度も何度もご発言くださっていることで、そのことをはっきりさせるために、調査研究の義務づけというようなことにまで踏み込んだ書き込みが必要なのではないかというようなことが、最後のところだと思いますが、どうぞ宮崎先生、お待たせいたしました。
【宮崎委員】 小川先生がおっしゃったことと関係することですが、少人数指導と少人数学級の関係というお話、それから、次期の改善計画のことも念頭に入れた対応が求められるのではないかと。含みを持たせるというお話だったんですが、吾妻先生、門川先生のご意見にもあったことなんですが、やっぱり私は、吾妻先生がおっしゃった、現状維持ということで本当にいいのかなと。施策というか、ポリシーというか、そういう考えでいくとすると、ある程度次の次の改善計画にも踏み込んで考える必要性があるのではないか。参考資料の2を見せていただいて感じたことなんですが、これは年度によってかなり変化をするものであるということも十分踏まえてですが、大体26人から35人学級が小学校では5割を超えている。それから、中学校で4割6分以上という。ただ、それと対照的に、20人以下と36人以上のところがやや拮抗する形で、両方にかなりのパーセントで学級編制がされている。特に中学校が、36人以上学級が大変多いという現状がございます。このことが同じ公立の学校として考えたときに、これを残したまま、現実には20人学級というのは、結果的に、各自治体の子どもの数によって変化が出てきますので、一概には言えないんですが、36人以上学級を改善する仕組みを踏み込む必要性があるのではないか。そのことが気になりました。これは同じ公立の学校として、どう考えて踏み込んでいくかということは持っておかなければいけないのではないか。そういった意味で、学級改善に含みを持たせるということは、是非考えておかなければいけないのではないかなと思いました。
それから、もう1点ですが、この後のものとも関わることで申し上げたいんですが、ここのところ、いろんな学校を見学させていただく機会が多くなっているんですが、ある区立の小学校で、特別支援教室を作ったと。子どもたち、保護者の了解を得て指導をしている。これは非常勤講師で対応しているんですが。この小学校は、区立の70校あるうちの最下位にランクされた学力を持った小学校なんですが、仕組みを変えて、1年たったときに、下から3分の1よりはちょっと上のランクまで学力が向上したという報告を校長先生から聞きました。これと少人数指導をうまく組み合わせながら、特別支援教室に通っているお子さんと、少人数指導を受けている、一番課題を持った指導を受けている子どもたちが、ほとんど変わらない状況があったと。この人たちにかなり手厚い指導をすることで、学校の学力が向上しているという実態が出てきているんですね。ですから、さっき小川先生がおっしゃった、少人数指導、少人数学級を実施しているところの成果が、実証的なデータが少ないというご指摘がありましたが、これは集めれば、実証的なデータというのは出てくるのではないかなと思われます。また、そういう実践がたくさん出ておりますので、その点でも、少人数学級の考え方というのは、ある程度私どもは継続しながら考えていくものは持っておかなければいけないのではないかと私は考えたいんですね。ですから、そういう意味では、門川先生がおっしゃったように、次の次の改善計画にも踏み込んだ考え方ができるようなものというのが、この中でも取り入れられるべきではないかなと考えました。第9次を念頭に入れてということです。
【高倉座長】 ありがとうございました。大平先生、どうぞ。
【大平委員】 毎回参加をしながら、厳しい財政状況ということを踏まえた物言いをしなくてはいけないのか、あるべき姿をきちっと踏まえて物言いをしなくてはいけないのか、毎回悩みながら会議に参加しているわけなんですが、今のお話の中で、文科省は、こういう財政状況の中で、8,500人を原資としていくんだということで、40人学級を原則として維持していくんだよということになると、私は、学校現場の人間として、元気が出ないのかなと思います。地方自治体によっては、決して裕福ではない中でも、子どもを大事にし、教育への予算を手厚く配当しているところもありますが、多くの自治体は、教育予算が年々削られる状況の中でやっているんだろうと思うんですね。福祉と教育と並べてよく言われるんですが、現在の社会状況の中だと、どちらかというと、福祉のほうに手厚くて、教育のほう、子どもたちのためにという予算は、少なくなっているように感じています。
そういう現状からみると、ここで国から、何らかの形ででも、35人という数字が出てくるだけで、だいぶ全国的に教職員の気持ちが違ってくるのかなと。数字的に、全学年35人学級というのが、そう望みながらも、現在の状況ではなかなか困難だろうなということは重々承知しています。
そういう中で、自治体の判断なり、あるいは学校の判断でもって、学年いずれかは、35人学級も可能な人的配置をしますよと、国がその姿勢をきちっと示すことによって、学校現場が新たなファイトを持って取り組むようになるのかなと思っております。実際に45人学級から40人学級に移って25年以上過ぎているわけです。もう、ここら辺で、国として、子どもたちの教育を手厚く考えていくんだということをしっかり示す必要があるのかなと考えております。
あと、先ほども、最初にお話があったんですが、現時点の判断でなくて、今後10年ぐらいの大きな教育改革の流れだとか、社会の動向だとか、それも考慮する必要があるだろうというご意見があったと思うんですが、私も同感です。特に、学校はここ四、五年、急激に変わっています。おそらく過去20年や25年の間の変化より、この5年、あるいは3年間ぐらいの変化の方がもっともっと大きいと思っています。
それは1つは、学校評議員制度が定着してきているということもありますし、学校に対する外部評価、これに各学校が急速に取り組んでおります。そして、それに対する説明責任ということもきちっと果たし始めております。ここ数年のうちに、日本の全ての学校にこれが定着するのではないかなと思っております。そうしたときに、学校現場が、今はこうだからこういうことはちょっと難しいのではないかということではなくて、本当に地域社会と一緒になって、保護者と一緒になって学校を作っていくという体制が学校にはでき始めていますので、幾つかご心配の点が学校現場に対して寄せられておりますが、ここら辺は、学校での努力でもって乗り越えられるところかなと判断しているところです。
【高倉座長】 ありがとうございました。学校現場に元気が出るような施策が望まれるということだと思います。先ほど大平先生のご発言の最初にも、財政の状況を考慮しながら、一方では、望ましい姿を追求していかなくてはならないということのジレンマについてお話しいただきました。
一旦ここで切りまして、先ほど申しましたように、事務局から、現実問題としての財政状況等についてのご説明をいただいて、さらに小川先生の先ほどのご提言、それから今、各委員の先生方からいただいたご発言等々を加味しながら、さらに議論を進めていきたいと思います。個人的なことですいませんが、二、三分、インターミッションをお願いいたします。
【小熊教職員配置計画専門官】 しばらくご休憩いただくということでございます。 |