議事内容
【高倉座長】 それでは、定刻でございますので、ただいまから第6回の協力者会議を始めさせていただきます。今日はどうもお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
前回第4回と第5回は、教育関係団体からのヒアリング、非常に盛りだくさんでございましたが、本当にありがとうございました。今日はそのヒアリングに続きまして、以下述べます2つのテーマを中心にご論議をいただきたいと思います。後に入っております参考資料1、最初の第1回のときにお配りいただいた検討の論点をお出しいただければと思います。
まず最初は、参考資料1というところに入っておりますが、検討の論点(案)でございます。今日ご議論いただきます第1は、2番目の 、教員配置についてでございます。この2番目の教員配置につきましては、小中学校における特別支援教育については第3回で議論をいただきました。あわせて一番下の のところですが、特殊教育諸学校における教員配置の在り方についてもご議論いただきました。若干それ以外にもご議論はいただきましたが、養護教諭・栄養教諭等々以下いろいろ載っておりますが、これの問題につきまして今日ご議論いただきたいと思います。
なお、第4回、第5回の関係団体からのヒアリングにおいて、司書教諭の問題、外国人子女等に対応する日本語指導の教員の問題、児童生徒の支援に当たる先生方、スクールカウンセラー、スクールガードという新しいと申しますか、今日的な課題を含んだ提言が、あるいはヒアリングのときにいろんなご意見を頂戴しておりますので、それらを含めまして教員配置について各々の問題、あるいは課題等々についてご論議いただきたい。これが第1でございます。
第2は の3番目です。地方分権時代における柔軟な学級編制や教職員配置の在り方について、この2つが主な今日のご議論いただきますテーマになろうかと思います。 なお、第4回のときに、第1回目から第3回目までのいろんなご議論を、論点整理ということでまとめていただきたいと事務局にお願いしてございます。論点整理というところまではまだちょっと早いので、第1回から第3回までの主な意見をまとめていただいたのが、今日お配りいただいている資料の中にありますが、それにも、もし時間がございましたら、これまでのご意見を整理したものについてもう一遍ローラーをかけ直してみようと思っておりますが、これは時間との競争でございますので、ご説明をいただくというところで終わるかもしれませんが、どうぞご了承いただきたいと思います。
以上のように教職員配置についてのパート2、それから地方分権時代における柔軟な学級編制について、これもこれまでご議論はいただいておりますが、中心的にこれについてご議論いただく。最後に申しました1回目から3回目までの主な意見の整理がなされておりますので、それについてさらにご意見をいただく。こんなことで進めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは最初に、小熊専門官から配付資料の確認をお願いいたします。
【小熊教職員配置計画専門官】 それでは、事務局から資料の確認と簡単な説明を申し上げます。
まず、資料1でございますが、教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議第1回から第3回の主な意見ということで、先ほど座長からお話がございましたが、これまでの議論の主な意見について集約をさせていただいたものでございます。 につきましては、第3回で示させていただいた第1回及び第2回までの意見でございます。今回、加えさせていただいておりますのが、2ページ以降にございます の意見でございます。内容等についてご確認をいただければと思います。
続きまして、資料2、これは前回及び前々回のこの協力者会議で、教育関係団体からヒアリングをしたものを集約して一覧表にしたものでございます。
参考資料の議事概要にそれぞれの会の関係団体の意見の概要をお示ししてございますが、項目別に集約しましたものでございます。参考にご覧いただければと思います。
続きまして、資料3−1 学級編制及び教職員配置に関する国、地方の役割ということで、これは先ほど座長からお話のありました地方分権時代における柔軟な学級編制、教職員配置の在り方についてご議論をいただく際に、参考にしていただくものでございます。これについては後ほど詳しくご説明申し上げます。
資料3−2につきましても、国、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校・校長の権限関係の例ということで、市町村立小中学校の場合を想定して、それぞれの役割を一覧表にしたものでございます。これは中教審に示させていただいたものでございますが、これもあわせて後ほどご説明をしたいと思います。
資料4 今後の日程についてでございます。これも最後にご説明をいたします。
参考資料2でございますが、中央教育審議会総会が5月23日に実施されました。その際にご審議いただいた義務教育特別部会における審議経過報告の抜粋ということで、学級編制並びに教職員配置の在り方についてご意見をいただいた事柄について抜き出しているものでございます。
参考資料3でございますが、教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第4回)、これは教育関係団体ヒアリングのその1でございます。それの概要を取りまとめたものでございます。
参考資料4につきましては、教育関係団体ヒアリングのその2でございます。それの概要を取りまとめたものでございます。
机上配付させていただいている資料が1点ございます。全国都道府県教育長協議会からの教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議に対する意見でございます。この全国都道府県教育長協議会につきましては、現在、各都道府県の教育委員会に対して意見照会を行っているということで、今回、教育関係団体としてのヒアリングについては、出席は見合わせるということでございました。また、独自の調査研究を進めているということですが、この協力者会議において議論を深めていただくために、教育長協議会として現在の課題について提出をされるということで、意見ということではございますが、ご提出いただいたものでございます。ヒアリングには来られませんが、資料配付をさせていただいているところでございます。
簡単に概要を見ていただきますと、まず1つは学級編制及び学習集団の在り方についてでございまして、今現在、少人数学級の取り組みが各都道府県等で行われていますが、例えば小学校低学年の時期においては基本的な生活習慣であるとか、人間関係、社会生活ルールとあわせて、学習習慣の定着を培うという観点から実施されていることなどの実施状況がここに示されております。さらに、生活集団の規模、学習集団の規模等につきましては、さらに議論を深める必要があるということがこちらに記載されております。そのほか小学校高学年における教科担任制や副担任制などの導入についても検討が求められるとされているところでございます。
3番は教職員配置に在り方についてでございますが、少人数指導及び習熟度指導のための教職員配置について、いまだまだ十分ではないところもある。しかしながら、その成果は非常に表れているので、今後、一層拡充発展を図るべきであるというご意見でございます。
(2)ですが、現場の諸課題に対応する教職員配置の在り方についてということで、教頭の複数配置の充実、また養護教諭の配置基準の検討、栄養教諭の配置基準の検討、特別支援教育コーディネーターの配置の創設、司書教諭の配置の充実、定数化などが求められるというものでございます。それから、生活指導上の課題に対応する教職員配置として、生徒指導上の課題に対応する教職員配置の充実などについてご意見を述べられております。
最後のページですが、特殊教育諸学校における教職員配置の在り方ということで、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職種に対する必要性が高まっていること。また、地域の特別支援教育のセンター的機能を発揮するために、高い専門性と連絡調整に係る能力を有する教職員の養成、または配置が必要であるということ。
(4)ですが、高等学校における習熟度別指導及び少人数指導に係る定数の拡充が求められる。
(5)ですが、これからの教職員配置の在り方について、地方の自由度を高める方向で加配定数の見直しを行うことといった内容の意見が述べられているものでございます。
簡単ではございますが、ご紹介を申し上げました。
この意見につきましても、先ほどご覧いただきました資料2でございますが、次回7月7日にまた一部ヒアリングも予定してございますので、それらと合わせまして一覧表に落とさせていただきたいと考えています。
簡単ではございますが、確認と説明は以上にさせていただきます。
【高倉座長】 ありがとうございました。それでは、先ほどお願いいたしましたように、最初に教職員配置のパート2についてご議論いただきたいと思っております。これまで配付されました資料等につきましては、机上配布されているファイルの3の見出しといいますか、これを開けていただきますと、参考資料5から教頭の職務内容、司書教諭等々ずらっと並んでおりますので、これもまた参考までにご覧いただければありがたいと思います。
それで、先ほど申しましたように、ここに出ておりますように、教頭先生の配置の問題、これもいろいろとヒアリングのときに出てきておりますが、それも加えまして養護教諭、栄養教諭等々、参考資料1のところに記載されております教職員の種類ごとにご議論をいただき、さらに先ほど申しましたように、スクールカウンセラーやらスクールガードなどの問題につきましても追加してご議論いただければと思っております。
それでは、たくさんございますが、まず教頭先生の配置の問題について、複数配置その他いろんなご意見がございましたが、さらにそれにつけ加えて、あるいはこれまでのご意見に対するさらなるご意見、様々にあろうかと思いますが、教頭先生の問題、養護教諭、栄養教諭・学校栄養職員、事務の共同実施、教職員の資質向上のための研修等の定数、司書教諭等々、これはずっと続けて考えていきたいと思いますが、最初に教頭先生の配置の問題について、これまでのご議論にさらに加えてご発言いただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【小熊教職員配置計画専門官】 資料2をご覧いただきますと、A3でございますが、ちょうど折り目のあたりに教頭複数配置の拡大等ということで、3つの団体からご要望をいただいているところでございます。
【高倉座長】 それでは、1つの目安としまして、検討の論点、参考資料1でも結構ですが、資料2の特別支援のところも議論が一応済んだということで、これはスキップしますが、これの横に並ぶ形で進めさせていただきましょうか。教頭複数配置の拡大等ということにつきまして、さらにご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
また後で戻ってきても結構でございますので、養護教諭あるいは栄養教諭等、このあたり一括りというのは大変失礼な話でございますが、ご発言しやすいようにどちらからでもという意味で一括りというように申しました。どうそご意見いただけますでしょうか。
事務職員の方々の設置の問題で、特に事務の共同実施ということに絡んで、事務職員をどういうふうに配置すればいいのか。これもまたヒアリングのときにもいろいろご議論いただきましたが、いかがでございましょうか。
その他のところに、便宜的に一括りでその他ということにさせていただきましたが、司書教諭、外国人子女等の日本語指導の対応、児童生徒の支援の対応、さらにスクールカウンセラー、スクールガードの問題が新しい課題として挙がってきておりますが、1つ1つ区切ってというのをやめまして、どこからでも結構でございますので、自由に切り込んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【堀内委員】 教頭の複数配置のことですが、当たり前といえば当たり前なんでしょうが、学校規模で複数の基準を作ってきましたよね。これは養護教諭なんかにもそうだと思うんですが、これは実際に教頭職の仕事を見ていますと、学校規模だけの問題ではないような気がするんです。要するに1つの学校である限り、共通に関わってくる職務というのは相当なものが残っている。
私の場合は付属ですので、またちょっと観点は違うんですが、大抵土曜日は教頭は学校に来ざるを得ない状況があります。月のうち4週あれば、多分、3回は間違いなく来ています。これは例えば今いろんな地域との関係等々がありまして、学校施設の利用があったり、育友会関係の行事があったり、学校管理責任ということでどうしてもだれかいなくてはいけないということがあったり、こういった問題を考えますと、規模の大小に関わらず学校である限り、どうしても教頭職の仕事というのは、量的に限界に近いところまで来ているんじゃないかと感じざるを得ないわけです。
ですから、基準としまして、順次、大規模なところからその基準を引き下げていくというのも論理としては分かるんですが、もう少し抜本的に学校の校務を整理するという職務の内容からして、教頭職として今やっているものの分担をどう考えたらいいんだろうと。言ってみれば、校長の仕事は割とはっきりしていて、教務主任以下の仕事もそれなりに教諭職としては限定されている。残務の部分がみんな教頭のところに回ってくるというのが多分現状だろうと思うんです。
ですから、1人でやっているところを2人にしていただければ、当然、単純に考えれば2分の1で済むということで、積極的に進めていただきたいと思うんですが、今言ったように、学級規模云々ということで線を引かれるその前の段階で、校内のいろんな職務の配置といいましょうか、職と職務の分担の在り方ということで、教頭職の在り方というのを一度見直した上での配置基準の見直しという手順が必要なような気がいたしております。
前回か前々回か、教頭会のご意見の開陳があったと思うんですが、その回は欠席いたしましたので、教頭会自身のご意見がどうであるのか、よく掴んでおりませんが、実際に実感的には教頭の職務というのは物理的にかなり限界に来ていて、早急に改善していただきたいという考えを持っております。
【高倉座長】 ありがとうございました。校長先生方のご意見はいかがでございましょうか。大平先生、角田先生。どうぞ大平先生から。
【大平委員】 今、お話がありましたが、全く同じようなことを感じております。おそらく一番短い教頭でも12時間労働ぐらいしているんじゃないか。よくセブンイレブンと言われて、結局、そのぐらい仕事量が多いということなんです。私なんかは隣で見ていましても、教育管理職という部分を十分に発揮できないぐらいに事務的な仕事量が多いと感じております。
また、横浜の場合ですと、団塊の世代の校長がここ2年後、3年後、4年後と小学校だけでも毎年80人以上退職していく時代の中で、果たして今の仕事をしていて、本当に校長としていろんな幅広い視野から学校経営ができる素地を養うような時間の過ごし方ができているんだろうかと懸念するぐらいに仕事量が多いのが現実です。
ですから、どこかで基準を切っていかなくてはいけないんでしょうが、現状から見ると教頭職が非常にハードであって、複数配置が可能なら是非ともお願いしたいという気持ちです。
【高倉座長】 ありがとうございました。角田先生。
【角田委員】 教頭の仕事というのは実に多岐に亘っておりまして、ざっと浮かんだだけでも、人事のこともある程度教頭にやってもらう。特に、今、人事考課制度の問題が出てくると、校長の前の段階で1次評定、教員のものを教頭がやらなくてはいけない。それから、教育事務の中でも教務主任以上の者になると、これは教頭の仕事になってくる。
あるいは特にPTAであるとか、地域との関わりということになると、これは絶対に教頭でなければ、一般の教員はできないといったようなことがあります。さらに、地域行事でも土曜日のことなんかで子どもが、例えば今プールを開放するとか、子ども会の活動があるというと、この管理をする責任者としては校長なり教頭なりが出なければならないといったことで、こんな仕事もしなくてはならない。
さらには、学級がなかなかうまくまとまらないというときに、誰が入れるかというと、教頭が入るより仕方がない。本当に人事から、教務から地域のこと、コーディネートも含めてやるというのが、今の教頭の現状だと思います。
したがって、確かに複数配置にしてくれればありがたいなとは思うんだが、複数配置にしたから解決できるかというと、必ずしもうまくいかない。なかなか難しい状況があります。
東京都では今、主幹が配置されるようになりまして、今までの教務主任や生活指導主任とは違ったもう1ランク上の仕事をするようなことができるようになって、教頭が少し仕事を整理できるようになってきているような感じがします。ですから、一律に教頭をすぐに複数配置ということでなしに、校長、教頭のその下のラインのところにもう1つ主任とは違った権限を持っている者が存在してくると、随分変わってくるのではないかと思っています。
一律に教頭を2人、あるいは養護教諭を2人、栄養教諭をどうというふうに分けるのではなくて、うちの学校だったらば養護教諭は2人欲しいということができるともっといいのかなと思っています。
【高倉座長】 橋本先生、どうもご出席ありがとうございます。今、教員配置につきまして、これまでの議論で十分にご議論いただけなかったことの冒頭に、教頭の複数配置等についてということがございますので、そこから今ご議論いただいているところでございます。
それでは、高等学校の場合を視野に入れながら、島宮先生、どうぞ。
【島宮委員】 高等学校でございますが、今まで皆さんがお話ししたように、やはり教頭は忙しい、とにかく忙しい。書類事務から、あといわゆる管理業務と申しますか、PTAの対応、外部との対応、そういうことで土曜日に出てくることが多いようです。そういう教頭の姿を一般の教員が見ていまして、例えば管理職選考、教頭選考を受けようという教員が今少なくなっています。いかに教頭が大変なのかというのが、現場の教員から見た実感であろうと思います。そのような意味で複数配置していただけるということであれば、例えば多少なりとも余裕を教頭が見せられるようになるのかなというふうに思います。
しかし、複数配置されたとき、定数上どうなるのかという問題があります。ですから、定数上2という形でしっかり割り振っていただければ結構なんですが、その辺があいまいですと、例えば教頭が2人配置されても、2人とも授業を担当しなければいけないということになりますと、ますます多忙さが増すばかりということになるんのではないかと思っております。
【高倉座長】 ありがとうございました。先ほど角田先生から校長、教頭の下のラインのところに主任とは異なる権限、ないしは役割を持つ方々の配置の問題が出てまいりましたが、またそれはもうちょっと膨らませるとして、渡久山先生。
【渡久山委員】 今も出たんですが、結局、各教育関係団体の意見を見ていますと、学級編制の中の30人だとか、35人学級の教員配置をどうするかというのが最も主な意見だと思うんです。ですから、これは非常に大事なことですし、あるいは少人数指導の充実のためのものというのも非常に大事なので、これはどちらの団体からも多く要求されているわけです。
ただ、教頭の複数配置については、管理職団体から大体要求されているんですね。ですから、管理上の問題として、大規模校には教頭を複数配置したほうがいいというのが考えだと思うんですが、ただ実際、学校の場合、授業を持つか持たないかというのは、先ほども出たんですが、非常に大きな問題なんです。ということは、授業定数で決められていて、結局、その定数が授業を持たないということになれば、ほかの一般教員にしわ寄せがいくというのは当然のことです。そうしますと、今、日本の学校で一番大事なことは、どういう形で分かる授業が、あるいは楽しい学校づくりを、特に分かるような授業ができるかということが非常に大事なんです。ですから、今度の定数改善で何かを考えると、そこに徹底的にシフトして物を考えたほうがいいんじゃないかというのが1つです。
それからもう1つは、今の教頭の場合、確かに土曜日に出てきて提出事務だけやっているというのが非常に多いんです。そうすると、その事務の中に、例えば事務職員等を配置して、そこの事務職員でできる事務というのはないのか、教頭でなければならないのかという部分もありますので、そうでありましたら、ここにも幾つかの団体が出ていますように事務職員の配置、もちろん今も配置をされているわけですが、それを充実する。それと同時に、事務の共同処理をすることによって事務調整をつくるとか、そういう形でもっと学校に幾つかの種類の職種を置いていくのがいいのではないかという気がします。
それからもう1つは、ここにも出ているんですが、今日も実はスクールミーティングへ行ってきたんですが、学校司書ですね、図書館に専任にしたらどうかという要望が非常にあるんです。ということは、今、総合学習の時間を充実させるためには、図書館を中心にした教育活動が非常に大事だろうと。そのときに、そこで専任の司書教諭がいたほうがいいのではないかという意見等もあります。
それから、栄養教諭をきちっと配置していくということが今大事になってきているんじゃないかという気がします。ただ、聞いてみますと、今、共同調理場でやっているから、学校現場に配置する必要はないという意見もございますが、ただ複数配置された栄養教諭、今の場合は学校栄養職員がほとんどですが、見てみると主務校だけに4日いて、あと1日か2日ちょっと兼務校にいくという感じで兼務辞令を出されているけれども、それが成功してないということもありますから、この団体の幾つかの要望を見ますと、栄養教諭の配置については非常に大きなものがあります。ですから、新しく制度化されて、果たしてそれを栄養職員から栄養教諭にする、しないという自治体の判断もありますが、これは国としてもせっかく栄養教諭制度をつくったんですから、推進する方向で栄養教諭配置をやったらどうかという感じを受けています。
【高倉座長】 ありがとうございました。橋本先生、今、教頭の複数配置を特にめぐりまして、小学校、高等学校の校長先生からご意見を頂戴したということでございます。渡久山先生からはもう少し大局的な立場からご意見をいただいたわけでございますが、橋本先生、中学校のお立場から教頭の複数配置を巡ってどういうふうなお考えなのか、ご意見をいただければ大変ありがたいと思います。
【橋本委員】 教頭の複数配置ということですが、先ほど角田委員が言われておりましたように、必ずしも複数配置に全部すべきであるとは思っておりません。ただ、大規模校、また各都道府県でそれぞれ校長が全国の仕事や県の仕事を抱えていて、どうしても校長の仕事を教頭が行うという学校も中にはあるかもしれませんが、そのようなところには各県によっては複数配置をしているところが現在あります。東京都はありませんが。
学校の実情に応じて複数配置をすることについてはよいかもしれませんが、基本的には複数配置をしても、現在の教頭の仕事が半減することはないと思っています。複数配置をしている学校の様子も聞いたことがありますが、一番難しいのは人間関係です。2人の仕事がきちっと、例えば生活指導担当、教務担当と分かれている学校もあるかのように聞いておりますが、教頭、東京都でいえば副校長の仕事はそのように真二つに分かれるものではありません。そのため、複数配置よりは、現在、東京都が実施しております主幹制度は、中間管理職的な立場になるわけですが、主任と教頭の間にと責任を持った中間管理職として責務を果たしていく。このような制度の方がよいと思います。
そのときに心配されることは授業時数です。現在、授業時数の軽減等が少ないですから、さらに配慮していかなければならないと思っております。中学校の立場では、正規教員が増えてほしい。今の教職員の定数にプラス2名ぐらいは絶対増加して欲しいのです。これは小学校でも強い要望だと思いますが、そのように正規教員が増えてほしい。
中学校で今一番大変なのは生徒の健全育成に関わる生活指導が大変です。その中でクラスが担当でき、授業も当然担当する。それで、生活指導をしっかりと行える。こういう教員を増やしてほしい。このように思っています。
教頭の複数配置のことから一般教諭のことまでお話しして申しわけありませんが、そのように考えております。
【高倉座長】 横山先生、すみません、お待たせしてしまって。
【横山委員】 私も教育行政を担っている立場からしまして、教頭が大変な長時間勤務を強いられているという実態は承知しています。ただ、それは本当に忙しいかといったら、実証的に非常に難しいんです。というのは、長時間の勤務は分かりますが、その中で校長と教頭の役割分担は本当に適正化されているのか、教頭が実際にやっている事務と事務職との関係はどうなっているのか、あるいは現実にやっている事務の中で改善すべき点はあるのかないのか。意外と学校現場というのは来た事務をどんどん積み上げていく。やめていく事務というのはないんですと。そういう努力はしないんです。そういった意味での事務の見直しは一体どうなっているのか。その辺の忙しさの分析というのは意外とないんです。これがないがゆえに、忙しいといっても対外的な説得力がないというのが現状だろうと私は思っています。
それから、複数配置云々というのは、基本的にものを考える場合に、学校の組織編制権は法令上も地方自治体にあるわけです。ただ、それを義務教育であるということで、法令で例えば校長あるいは教頭、配置職員が決まっている。だから、基本的に考えれば、私が見ても、例えば東京都の都という立場で見ると、まさに地域というのは千差万別、いろんな実態があるわけです。それを一律に法令で決めることも、義務教育ですから自由でしょう。その上で、地方自治体の実態に応じた配置が可能なような自由度は必要だろう。
ただ、問題は、そうすると実際これは経費がかかる話ですから、それは今の義教国庫負担金制度との兼ね合いをどう考えるんだという、この辺のところなんですね。少なくとも義教国庫負担金を自由にしろとは現実には言えないわけです。だから、その辺の個々の自治体の裁量の中でやらざるを得ない。
私は前から申し上げているんですが、義務教育というのは絶対にどこにいても保証されべきコアの部分と、それを自治体の裁量で上乗せする部分と、2層があると私は考えているわけです。例えば教頭の複数配置にしても、それは2層の上の部分だろうと。今、ここで多分、協議されているのは、少なくとも義務教育の標準的な形の云々という話ですよね。だから、それを自治体の裁量でやる部分とそうでない部分、これは法令上もきちんと保証すべき制度の部分は分けて考えないと、非常に議論が雑多になるような気がいたします。
【天笠委員】 この複数配置という考え方が1つポイントになってくるのかなと思うんですが、昨今、いろんな学校でトラブルが起こり、そしてマスコミ等々で取り上げられる場合に、副校長あるいは教頭がメディアに出てきて、いろいろ応答するという場面があるんですが、その学校の危機管理は教頭が実は鍵を握っていて、名教頭ですとそのあたりのところはうまく措置でき、必ずしもそうじゃない場合というのはもっとトラブルが深くなってくるということがあって、そういうことを考えていった場合に、教頭はすべての学校に関わる事務を背負うような形になっているわけですが、昨今のそういう状況からすると、非常に難しい保護者への対応ですとか、学校で危機が起こった時の対処ですとか、そういう対外的、あるいはそういう状況に対応する担当としての教頭の存在は大変大きくなっているのかなと思うんです。
そうした場合に、教頭という役をそこに求めていくのか、それとも、仮称ですが、例えば危機管理担当官ですとか、そういうふうな職務もある程度確立しておいたほうがいい。ですから、要するに仮に教頭を2人置いて、あとは学校の中で分担を決めてくださいというやり方をとったほうがいいのか。教頭は教頭としてお1人で、そして一方においてはむしろ危機管理担当官とか、地域コーディネーターとか、そういうふうに職務を比較的明確にして、もう1人加えたほうがいいのかどうなのか。これについては複数配置のほうがむしろ実際に学校で動かしやすいのか。あるいはいろんな社会の状況等々から、学校に新たな職種が生まれようとしているということで、その職務の人を学校に配置したほうが、より学校の組織の機能として適切なのかどうなのか、という検討すべき点があるんじゃないかと思います。
養護教諭の複数配置についても、もしかすると同じようなことが言えるんじゃないかと思うんですが、複数配置というのはどうも見えないような形になってしまっているということで、学校の裁量を活かすということではいい方向性なのかもしれませんが、もう1つはどうしても割り算の世界になってしまって、効果的な機能がよく見えなくなってしまう。むしろ、職務をもう少し明確に分析して、そこで新しい職がもし必要ならば置くという考え方をとっていったほうがいいんじゃないかと思います。
確かに量的に規模がどのぐらいでいうのは、よく分かるんですが、もう少し職務の内容を明確にして、その上で配置というのを複数ということで考えていくべきではないかと思います。
【高倉座長】 角田先生、橋本先生から主幹の問題についてお触れいただいていますが、今、先生がおっしゃられたことはちょっと主幹とは違うお考えですね。
【天笠委員】 それとは違います。
【高倉座長】 堀内先生。
【堀内委員】 先ほど教頭の複数配置で留保した言い方で終わったんですが、一言で言いますと管理職がもっと欲しいんです。さっき土曜日のことも言いましたが、結局、普通の学校では校長、教頭しか管理職でありませんので、勤務時間の関係で、例えば教務主任とか、実際上は教頭を十分にカバーできる人がいたとしましても、休日等の出勤を命じることはできない。それから、いろんな形の校外行事等があります。これも必ず管理職が行かなければ、責任上の問題でということになります。
付属学校について発言をしましたのは、「実は明日の土曜日なんですが、9時にちょっと学校へ出なきゃいけない。文化行事で外部講師が来ますから、校長先生、挨拶に来てください」となるんです。挨拶は校長ですからというような形に付属ではなるんですけれども、結局、公立学校で考えた場合でも校長、教頭で分担をしていく、今の状況を考えて、いろんな形で学校を開きましょう、あるいは地域との連携をしましょうという形でそれを奨励しながらも、それを管理していくシステムそのものが成り立っていない。
ですから、主幹であろうと、副教頭であろうと、それはいろんな形があっていいだろうと思うんですが、絶対的に校長プラス教頭の2名で、今言ったような形の校内のいろんな職務を分担するには限界が来ているだろうと。校長さんが、ここにいらっしゃる先生方はそうでしょうが、お忙しくなればなるほど教頭さんの仕事は多分大きくなるだろうと思います。それが1点でございます。
それから、養護教諭の問題もそういうのが関わってきまして、これは当然ながら、児童生徒数が多ければ養護の先生の関わる仕事は多くなると思うんですが、実際見ていまして、例えば修学旅行等々養護の先生は付き添いで行くわけです。そういった留守になったときの対応というのは、大変各学校で困っていらっしゃるのではないかと思うんです。だから、複数配置ももちろん望ましいと思いますが、何らかのエリア設定で派遣型の養護教諭が置けないか。例えばどの学校がいませんというときに、留守を守るといいましょうか、ぱっと事故が起こったときに対応できるような有機的な配置みたいなものも必要だろうと思います。
付属なんかでもよく言われるのは、付属は親のほうの援助で複数配置を実はしてしまったですが、これは大変好評です。それのきっかけになりましたのが、子どもに事故がありまして、病院なんかに養護の先生が付き添いでいきますよね。その間にまた子どもがけがをしたことが若干起こったことがありまして、どうしても1人ではもたないということでやったんですが、今言った観点からしますと、教育委員会の判断で、一定のエリア単位で今言ったような形で臨機応変に派遣できるような方を置いていくというのも1つだろうと思います。
このことに関わりまして、実は第7次のときの論議で、定数崩しという概念でいろんな職種間の問題が出たんですが、結果的に報告書では教諭の非常勤という報告書しか出なかったんです。ご一緒された先生が何人かいらっしゃるので、ご記憶があると思うんですが、職種を超えた定数崩しは相当論議した記憶があるんです。それで、何で報告書でそのことが表に出なかったのかなとちょっと残念な気がしているんですが、なおかつこれは橋本先生なんかもずっとおっしゃっていますように、当たり前に40時間の常勤職を20時間ずつ2つに割るような学校はないんです、当たり前に。
言ってみれば、それはお金の計算をちゃんとしていただいて、例えば800万円人件費がかかっている。それを20時間ずつ2つに割って400万円ですよと。これはいわば行政が得するとは言いませんが、これは計算上おかしいわけでありまして、800万円は好きに割ってくださいよというぐらいに学校裁量――その800万円の中で、例えば事務職員があったり、養護教諭の非常勤があったり、多様な組み合わせで例えば有機的、有効に使っていくような――段階にそろそろ来ているんじゃないかと私は思います。
座長がおっしゃったひとまとめにしたところの中で、今言った、教頭はちょっと置きますが、養護教諭であったり事務職員であったりと。養護教諭は教育職になりましたが、非教育職も含めたいろんな職の配置というものを学校のニーズ、あるいは状況に応じて学校がデザインしていくという発想がそろそろあっていいように思います。 だから、定数崩しという概念が今大変限定されて表に出ましたが、本来的にはいろんな職種を超えて、できればコストパフォーマンスといいましょうか、実際のお金というものを学校が裁量できるぐらいのところ、実際の給与まで学校で決めなさいとは言いませんが、校長はこれだけの人件費をうちの学校でどう使うんだと。最適な職員の配置は何だというぐらい経営感覚が持てるようなところまで、今言った問題は進んでいいような気がいたしております。
【横山委員】 私も今の堀内先生の意見に大賛成なんですよ。といいますのは、例えば教員配置を一律にこうしろと言っても、これはあまりにも地域の実態、個々の学校の実態が違いますので、それは非常に難しい。
そこで、文科省に私が一番聞きたいのは、今後とも総額裁量制の弾力化をさらに進めていくという方向ですよね。そうしますとどの辺まで一体それを進めていかれるのか。今、堀内委員がおっしゃったような職種を超えた弾力的な対応まで考えておられるのか。そこまでいかないと、確かにあまりにも実態の異なる学校への教職員の配置の弾力化といいますか、それが非常に難しいような気がするんです。今の段階で樋口審議官がもし答えられる範囲がありましたら、その辺の見通しをお聞かせ願いたいんですが。
【高倉座長】 第2番目のご議論をいただきますテーマのところに自然に入ってきておりますが、あまりそのことにはこだわらずに、どうぞ。
【樋口初等中等教育局審議官】 また、補足をしてもらいますが、今、総額裁量制でかなり自由度が地方の現場にあるようになってきていると思います。職種間の異動についても、総額裁量制の枠の中では原則的にできることになっております。ただ、ご案内のとおり、盲・ろう聾と普通の小中学校を一体にして、養護学校との負担金の区分はございますが、これもいずれ一本化していこうということも一応方向性としては示しておりますので、そうしますと全体の負担金の総額裁量制の中でどのように教職員配置をするのか。それから、定数崩しの問題もかなり弾力的にできる方向に議論は進んでいくだろう。そのことと同時に、負担金で財源を保障し、そして学校現場がその負担金でいただいたものをある程度、学校長のリーダーシップのもとに教職員の配置とか、学級編制の在り方の中に弾力的に活かしていくということも、今後は1つの検討課題になってくるだろうと思っております。
【高倉座長】 どうぞもう少し具体な話を。
【小熊教職員配置計画専門官】 今の義務教育費国庫負担金の総額裁量制の件でございますが、総額裁量制になりまして、平均単価掛ける教職員定数というふうな大くくりな負担金の算定方法になっている中で、その定数の使い方につきましては、その総額の中であれば、それはいろいろな職種の中で弾力的に使うことができるという仕組みに既になっているところでございます。
それから、定数崩しという観点でございますが、非常勤講師は原則的には教諭のかわりに非常勤講師が入っていくという形になっております。これは平成13年の法改正で国庫負担の対象にもなっております。そのほか昨年の8月に地方公務員法が改正されまして、事務職員、そのほかの職員でもございますが、短時間勤務の地方公務員制度というものができております。ですから、これは勤務時間に応じまして、1人分の定数週40時間の勤務を想定しているわけでございますが、その40時間を例えば20時間、20時間に分けて、2人の短時間勤務の事務職員を採用するということも制度上可能になっているわけでございます。
【高倉座長】 ありがとうございました。今日の2番目のテーマのところに自然に入ってきておりますが、それは2番目のテーマのところでもう少し議論を詰めていくといたしまして、先ほど申し上げましたように、スクールカウンセラー、スクールガード、こういった名称が最近かなり頻繁に登場しておりますが、このあたりにつきまして特にご意見いただければありがたいと思います。
【高浦委員】 ちょうど今話が出ましたので、繰り返すことも半分あるんですが、この資料に「その他」と書かれているのはいかにもまずいんですよね。ほかは、例えば教員の増員、1人当たり児童生徒数の改善。教頭複数配置、それから特別支援教育への対応コーディネーター等、養護教諭、栄養教諭等、事務職員、その他となっていますよね。そうすると、その他にまとめていろいろなものをざっと入れられると、その他という職員がつくられるわけじゃないんですよね、スクールカウンセラーとか、スクールガードとか。
私は第7次のときを考えながら見ていると、養護教諭とか栄養教諭、事務職員の複数配置ということ、それから教頭の複数配置というのは前回もあったんです。ですが、今回は前回とちょっと理屈が違っていると思うんです。前回は、総合的な学習が入るから、私たちがしなくてはいけないから、その分教頭を1人増やしてくださいという意見が強かったんです。今回は学校の生徒指導が荒れているとか、校長の職務が忙しいからとか、複数配置の理由が時々で変わるんです。変わるということは、それだけ柔軟なポストであるのか、あるいは定数崩しと言われたように、新たな職務化をする必要があるのか。それを考えていかないと。
私は総合的な学習は大事と思う人間なんですが、1人も配置しなかったでしょ、特別コーディネーターとか、カリキュラムコーディネーターとかあったのに。それで、全部職員に任せた格好になったんです。それで今、中学校なんかはほとんど、この前の調査にあったように、だれが担当するかというと、私たちはみんなで担当しろと言ったら、みんな譲り合いが起こるんです。
そうすると、第7次改善計画で、もしそういうコーディネーターなり、新しい少人数指導コーディネーターとかを県とか事務所にもし置いていれば、困ったときにはすぐ派遣できたでしょ。ところが、それですら現有勢力に任せたから、学校の教員は一斉授業だけじゃないんでしょうが、私の感じでは総合学習という新しいお荷物が増えたと思う意識が強いんです。
それから、少人数指導という新たな指導をしなくてはいけないという受けとめ方が強いんです。だから、今までの指導を見直しなさいと言うんですが、今までの指導をしながら増えたと思うんです。これではいくらやっても解決しないと思うんです。
そうすると、ここでどういう定数が、定数がと言うんですが、枠は決まっているんですよね、ある程度。そうすると、この中で分捕り合戦するのか、じゃ、また政府にこういうのは是非と言っていくのか、それも考えないといけないと思うんです。
そういうことを思ってみると、「その他」の中にしても第7次の指導法改善コーディネーターとか、総合学習コーディネーターとかいうところがないんです。これはどこにも要望がなかったからといえばなくて、私が委員として話すというような感じになって困るんですが、そうするとスクールカウンセラーでしょ。それから、スクールガード。今日出た意見を言うと、いろんな医学療法士、何々士というのがあったでしょ。
外国を見ると、日本の学校の教職員という枠の中の数が外国に比べて少ないんです、教職員というときに。だから、子ども1人当たりと割り算しても、外国の場合は1人当たりといったときの人数が少なくなりますが、日本の場合はその1人がほとんどクラスを持っている子どもとかという数になってくるんです。
だから、これは新しい仕事が増えていくから、複数配置というのか、時とともに仕事が忙しくなったから、複数配置と言っているのか、まずしっかりここで査定しないといけないと思うんです。
だから、「その他」というところは本当に「その他」という議論ではなくて、どれだけ本気で考えるのかしないと。「その他」というといかにも、他は名前は決まっていますから、今回は特別支援コーディネーターのところだけ枠がしっかりしているということでしょ。前回ありませんでしたよね。だから、そういうのをまず見直していかないことにはどうもならないなと思って、だからとりあえず今のことを考えて言うと、「その他」のところを少し分けていって、これは大変多くなってもいいと思うんです。
それから今、言ったスクールガード、医学療法士、それからどんどんいくと、前回積み残していた総合学習なんかは減らすのは具合が悪いと思うんですが、指導を含めて教育委員会が配置して、学校を指導するコーディネーター、それをしないと。今の学校教員に新しい仕事を頼むというと、彼らは新しいと思いますから、それを考えていかないといけないと思うんです。加えていくというよりも、増やすことを考えたほうがいいと思うんです、議論の中で。そうしないと教員配置は、今度は副々配当とかになりますよね。
【高倉座長】 どうもありがとうございました。先ほど申しましたように、「その他」というのは今日は便宜的にそういうふうに括ってみたのであって、また今いろいろ貴重なご意見をいただきましたので、その他のところにつきまして、またさらにローラーをかけていきたいと思います。
今、ご議論いただいた中で、最初に是非ご意見を頂戴したいと思っていたのは、参考資料1にもございます研修等定数、これについては今までご意見が特になかったように思いますけども。
【堀内委員】 これは是非とも1つ申し上げたいことがありまして、この研修定数の意味が逆といいましょうか、違うと思うんですが、今、学校を見ていまして、あるいは学校の先生からいろんな声を聞きまして、都市部で小学校教員の採用数が急増し始めていますよね。これに伴いまして、初任研の問題が相当厳しくなっているという声があちこちから聞こえてきます。結局、初任研に該当する先生が、学校によってだんだん複数生まれつつあるんです。それに対する学校の対応策、要するに初任研そのものの制度は変わっていませんので、かなりの長期間、学校を離れて研修に行かなくてはいけない。それを指導教員等が穴埋めをするという構図で来ているんですが、はっりき言って、それでは追いつかない状況が急に出てきているといったことを相当いろんなところから聞いています。
これは先生方が出たときの研修という話で、もちろん同じことは同じなんですが例えば長期研修だとか云々というイメージで書かれていると思うんですが、大変緊急な問題で言いますと、今言ったように初任研そのものを見直していくよりも、初任研に対するフォローアップの見直しといいましょうか、地域格差が今生じていますので、多分、都市部に今のところは限定されていると思うんですが、相当深刻な状況にあるような気がしていますので、是非ともこれはご検討いただければと思っております。
【高倉座長】 初任研絡みでありがとうございました。先ほど申しましたように、広い意味での研修等定数ということで、もうお1人どなたかご意見いただけませんでしょうか。
【渡久山委員】 今、長期研修ですね、特に今度専門職大学院ができてきて、仕事を休んで2年くらい勉強しに行くといった場合に、その2年間の現場の保証をどうするかという問題があるんです。これがないとまずいんです。しかし、帰ってきて仕事がない。これでもまずいんです。だから、今は研修体制というのは在職しながら、こんなことを言っては悪いが、何か無理して研修しているという感じで、特に行政研修なんかはそれが非常に多いと思うんです。ですから、そういう意味では、きちっとした長期研修に対応するような定数が必要だろうと思います。
また、警備員ですね。最近、非常にセーフティーネットの問題が出ています。そうすると、教員がガードマンにもなる、警備員にもなるというのはまずいと思うんです。だから、この際、定数のものの考え方として、教員は教員としての仕事を非常に限定して、教える仕事を中心にするんだというようにして、ちょっと幅を広げて警備でもやる、何でもやるというのはあんまり考えないほうがいいと思うんです。もっと専門職化していって、それぞれの職種に必要なものを置く。
例えば外国でもそうなんだが、カウンセラーが何人もいるんです。そのカウンセラーでも生徒指導上の問題もあるが、例えば外国の子どもたちがその学校や地域になじむためのカウンセラーとか、いろいろありますから、そういう意味で教員だけにしないという、これも1つの考え方だと思いますので、ひとつ真剣に学校現場における、どんな職種がどう必要なのかということも、この際、基本的な考え方で整理をして、その中から定数をどうか考えるかということをやってもらえば非常にいいと思います。
ただ、今、財政的に厳しいから、財政、財政と言ってくると、例えば特別支援教育が出てきますね。要求はたくさんありますよね。コーディネーターを作れという答申を出した。コーディネーターを定数の枠内で作るのか、別に作るのか、そういうことも非常に仕組みを変えて、特に今度複数で免許がとれますよね。そうすると、逆に今までの1障害に対して定数があったのを複数障害に対する定数配置になってくると、これはまた逆にせっかくの今の特別支援教育の充実が図れなくなってくるから、こういうことも整理して定数問題を考えればと思っています。
【高倉座長】 ありがとうございました。教職員の職種をもう少し膨らませる方向で考えるということと同時に、教員の役割をもう少し限定的に考えるということを詰めていって、そこから教職員の配置の問題を考えるという非常に基本的なご指摘をいただきました。
【天笠委員】 研修に関する定数についてよく分からないところがありまして、教えていただければと思うんですが、今、どういう原則、原理でそれが運用されているのかどうなのか。例えば薄く広くという形で、より多くの教職員の方がそういう機会を得るというやり方でやっているのか、それとも比較的狭く、ある意味では厚くという形で、特定の将来の幹部候補生というんでしょうか、そういう形の運用の仕方、あるいはいずれにしろそれはそれぞれのところにお任せするということで、あとはそれぞれの委員会等々で考えることであって、特段そういうことについての原則、原理等々はさして持ってないということなのかどうなのか。
このあたりのところは、とりわけ先ほどもお話がありましたように、これから専門職大学院等々を考えた場合には、より広くというんでしょうか、より多くの人を対象にしていくということを1つの方向性として考えていく必要が出てきていると思うんですが、そこら辺のところの運用の仕方、扱いの仕方について基本的に押さえておかなければいけない、考えておかなければいけないというのは、どんな点がポイントなのかということをお教えいただければと思います。
【小熊教職員配置計画専門官】 それでは、まず国から都道府県に対しまして、研修等定数の配分をどのような観点で行っているかということについてご説明を申し上げたいと思います。
主には長期研修に先生方が出ていかれる場合の代替のための教員を措置するための定数とお考えいただきたいと思います。長期研修といってもいろいろございますので、まず大学院への派遣ということがございます。これにつきましては新教育大学ですとか教育系大学院、また大学院設置基準第14条の特例を活用した昼夜開講制の大学院への派遣ということで、1年間だけ大学に行って、2年目については在職しながら専修免許状をとるといった場合もございます。大学院に派遣される先生方の代替定数については、100パーセント国で措置させていただいております。そのほか長期社会体験研修につきましては、第7次の改善計画で措置したところでございますので、これも県からのご要望にほぼ100パーセント沿っているものでございます。
そのほか主に研修としてございますのが、大学もしくは県の教育研修センター等に半年なり1年間ということで研修に出られる方がいらっしゃいます。そういった場合の代替定数なども措置しているところでございます。如何せん予算の範囲内でございますので、100パーセントというわけにはいきませんが、できるだけご要望に応じたいと考えているところでございます。
そのほか研修等定数の中では、研究指定校に対する加配、また先ほどお話も出ました初任者研修を行う場合の指導教員の加配のための定数措置もしているところでございます。
【樋口初等中等教育局審議官】 少し補足いたしますと、私どもは都道府県の教育委員会から毎年ヒアリングをさせていただいていまして、大学等への大学院に修学することについての研修状況はどうなっているのかをお聞きいたしますと、各県によってはスクールリーダー養成のために大学院に現職教育で行かせるというケースもございますが、なかなか各県は事情が厳しいということで、新構想大学院等への派遣の数も少しずつ減少しているところもあるやにお聞きしていますし、また必ずしもスクールリーダーということで行っているわけではないということもあって、各県区々の状況になっているようでございます。
いずれにしましても専門職大学院ができますと、今、既定の大学院がある。ここに現職教員を派遣している。新しく専門職大学院ができれば、これはプラスアルファという議論なのかということはよく検討しないといけないと思うんです。実践的指導力を持った教員養成とスクールリーダーを作るということでは、ある意味では今の既存の修士課程の在り方をそのままにして、プラスアルファで専門職大学院が乗って、それに対して加配で私どもが研修等代替定数をまた用意するということが適切なのかどうかということは1つの課題であろうかと思っております。
それから、先ほど堀内先生からお話がございましたが、初任研は制度を変えまして、初任者4人に対して指導教員を1人配置するということで、拠点校方式に切り替えました。これについてはいろんな課題が出てきていることは我々も承知しておりますので、また今後どういう形でこれを見直していけばいいのかどうかについては検討させていただきたいと思っております。
【堀内委員】 言わずもがななんですが、20年、30年前ですか、初任研、教員の質が変わってきているんです。初任者の手間暇のかけ方がひところと全然違っていて、それを引き受けた学校の対応がにっちもさっちもいかなくなっているという状況が最近多くありますので、これは人付けの話なんですが、従来とは違う手厚さで人を付けないとかえって学級崩壊があちこちから起こり始めるんじゃないかということを危惧しておりますので、重々よろしくお願い申し上げます。
【高倉座長】 ありがとうございました。それでは、教職員配置のパート2のご議論はまだいろいろと続くと思います。しかし、今日は一旦そこで切っておきまして、これまで教職員配置のパート2の中で第2番目に用意しました地方分権時代における柔軟な学級編制の問題、あるいは学校における校長の裁量の問題にまでご意見が既に及んでおりますので、教職員配置のパート2の議論はここで一旦切りまして、2つ目のテーマ、地方分権時代における柔軟な学級編制や教職員配置の在り方について、こちらのほうに移していこうと思います。その前に事務局から、その議論をするに際しましての資料等のご説明をいただけますか。
【小熊教職員配置計画専門官】 それでは、資料3−1をご覧いただきたいと思います。
学級編制及び教職員配置に関する国、地方の役割ということでございます。まず、黄色い色がついております左側の学級編制のところからご説明を申し上げたいと思います。
国は学級編制の標準、これは通常学級でございますと40人というものを義務標準法により規定をしてございます。都道府県教育委員会は国が定める標準をもとに学級編制の基準を設定いたします。ただし、都道府県の判断により児童生徒の実態等を考慮して、40人を下回る学級編制基準の設定も可能としているところでございます。そして、市町村教育委員会は都道府県が定める学級編制の基準に従い、学級編制を実施する権限を持っているわけでございますが、ここに上向きの矢印がございますように、都道府県に対して学級編制の事前協議を行います。そして、同意を得るというのが標準法上規定されているところでございます。この同意を得まして、市町村教育委員会は学校に対して学級編制の実施をするわけでございます。
続きまして、教職員配置についてでございますが、国は都道府県ごとの教職員総数の標準定数を設定いたします。これは加配定数を含むものでございます。そして、都道府県教育委員会は標準定数を標準としつつ、都道府県内の独自の判断も織り込みながら、県費教職員の定数を条例で定めるということが法で規定されております。そして、都道府県教育委員会は県費負担教職員の任命権を有しておりますので、市町村の内申を得て、その判断で人事を行うということになってございます。
この内申といいますのは、都道府県教育委員会に対して市町村教育委員会が人事の内申を行う。その前には学校から意見の具申が行われるわけでございます。それを得まして、下向きの赤い矢印がございますが、教職員の配置を行うという仕組みになっているわけでございます。
そこで、学級編制の事前協議、同意がなぜ必要かということになるわけでございますが、都道府県が県費負担教職員の給与費の負担及び人事権を有しているわけでございます。学級編制というのは教職員の配置に非常に深く関連するものでございますので、ここで事前協議、同意が必要になってくるという仕組みになっているわけでございます。
続きまして、資料3−2をご覧いただきたいと思います。
国、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校・校長の権限関係の例(市町村立の小中学校の場合)ということでございますが、基本的な考え方といたしまして、国は基本的な教育制度の枠組みの制定、全国的な基準の設定、教育条件整備のための支援、学校教育の適正な実施のための支援措置、都道府県教育委員会は広域的な処理を必要とする教育事業の実施、市町村における教育条件整備に対する支援、市町村における教育事業の適正な実施のための支援措置、市町村におきましては学校の設置管理、教育事業の実施、学校・校長は教育活動の実施を行うという基本的な任務があるわけでございます。
そして、1番の設置管理及び廃止等のところでは、今回のこの協力者会議に関係するものといたしまして、学級編制を挙げさせていただいております。先ほどご説明いたしましたとおり、国は学級編制の標準の設定を行っております。都道府県は基準の設定、市町村の学級編制の同意、市町村はその学級編制を実施するというものになってございます。役割分担を明らかにしてございます。
そして、もう1つ定数の関係でございますが、2.人事給与等のところの上から2つ目の段でございますが、先ほどご説明いたしましたが、教職員定数の総数の標準を国が設定いたします。都道府県教育委員会は教職員定数を設定するということで、この定数は条例で定数を設定するというものでございます。そして、任命権を行使していくということになってまいるわけでございます。
ごく簡単ではございますが、学級編制及び教職員定数に関しまして、現在の仕組みについてご説明を申し上げました。
【高倉座長】 ありがとうございました。現行制度の仕組みについてそのアウトラインを的確にご指摘いただいたと思います。ただ、これまでヒアリング等でもう少し市町村教育委員会、あるいは校長、学校現場と申しますか、それの裁量をもう少し認める方向でというようなご意見がかなり強く出されていたということでございます。とするならば、この現行について今ご説明いただきましたが、現行の仕組みを一体どういうふうに改革、もしくは改善していったらよろしいのかというところにポイントを置きながら、さらにご議論をいただきたいと思います。
小熊さんの今のご説明に対して質問等がございましたら、あるいは確認的な質問等でも結構でございますので、もしございましたら先にそれを済ませておけばと思いますが、いかがでしょうか。特に質問等ないようでしたら、ご発言の中でそういうふうなご懸念がございましたらば質問をいただくとしまして、どうぞ自由にまた第2のテーマについてご議論いただきたいと思います。
【高浦委員】 2つお願いしたいんですが、1つは柔軟な学級編制で、今、国がここで40人標準ですよね。都道府県、市町村等とここにありますが、そうすると国が40人標準で、都道府県、市町村がそれを下回って設定しても可能というと、可能でないということもあったんでしょうが、そういうときの議論の根拠をどこに置くかですよね。40人標準にしてというのは、一番最初は1学級は60人だったんですよね。
【小熊教職員配置計画専門官】 標準法で定めましたのは50人です。
【高浦委員】 戦後ね。そうすると、50人からその後40人になって、これは歯止めとか、時の金で言うのか、力の均衡関係で言うのか、私はちゃんと根拠を持って言うべきだと思うんです。今、30人学級というのが各地で起こっているから、そういうのを認めようという議論がありますよね。しかし、実際は1学級の平均という数は別にして、1学級平均は小学校も約26人、中学校は約30人。そうすると、今度30人学級になると30人を超えると16人、15人にするのかという議論があるように、そういう数の少なさとか、学級編制というのは何をもとにしてするんだろうかなと思うんです。教育効果が上がるのか上がらないのか。教育効果とは別の議論ですよという議論なら、それはそれでいいんです。だから、私は学級規模を小さくすることはともかくとして、元に戻って50人以上にするということはないでしょうが、今の定数を敷きながら、それを一気に30人とか35人をやれということが大体無茶な気がするんです。ここは1つの教育のロジックを通したら一番いいんじゃないかというのが私の意見です。
それから、もう1つの教職員配置ですよね。そうすると、そういう教育効果を高めるための教職員配置であって、それが基本になるべきだと思うんです。そうすると、今日、前半に議論のありましたLDからその他を含めていろいろありましたよね。そうすると、そういうものは教育効果を高めるために複数配置という議論になっているのかどうか。筋を通さないことには、こっちはこっちで、あっちはあっちだというのでは話にならないと思うんです。特にこの厳しい財政状況のときには一層それをしっかりしないことには。金が幾らでもあるし、幾らでも人間があって、幾らでもいいよというときにはどんどんやればいいと思うんです。しかし、むしろ今、収縮するほうでしょうし、あるいは収縮しないまでも、しっかり議論しておくときにはそういうことを考えておかないとだめだと思うんです。
だから、くどいようですが、結論からもう1回言えば、何のための学級編制であり、何のための教職員配置をここで考えようとしているのかということですよね。そうすると、国でいえば義務教育の水準を維持するというのか。教育を受けさせる権利は親や地方に任せて、それすら地方に権限を移譲するんだと考えるのかどうかという、そういうことも僕は思うんですけど。
【高倉座長】 ありがとうございました。なお、先ほど参考にしていただきました資料2の最初の3つの枠というのは、今、議論している第2のテーマに関わるヒアリングのときのご意見をまとめたものということで、もう既にご承知のことと思いますが、念のためこれをお伝えさせていただきたいと思います。どうぞお願いいたします。次にご意見。
【堀内委員】 文字通り学校裁量、この問題で考えるときにこういうことをよく考えるんです。私立学校の場合、当然ながら設置基準の上限だけが縛りですよね。人の数も給与も当然法人で決めなくてはいけない。従来、私立学校がやっていたことを文科省がやっていたわけです。これが総額裁量制になって、都道府県までやっとおり始めたという段階だろうと。さらに、これをどう同市町村までおろすのか、また個々の学校におろすのか。もしそこを見据えて今のこの場の検討課題があるとするならば、一番極論を言いますと、今の公立学校は私立学校並みの権限が果たしてどこまで可能なのかという話もできると思うんです。
これは先ほどの話のいろんな職種の定数崩しにも関わってくるんですが、例えばこの学校の総人件費が年間1億円ですよと。これに対しても基準はこう定めますよと。あと、どう裁量するかは任せますよと。もちろん採用だとか、異動だとか、教員の年齢構成だとか、どう考えても個々の学校では対応できない問題はありますが、発想というのはそういう問題を含んでいいだろうと思うんです。
もっと言いますと、本当に今、個々の学校が、校長のこれは経営能力と言っていいと思うんですが、そういった発想を持って対応を今までしてこなかったし、する必要もなかったし、校長先生はそうしようともしなかった。今、高浦先生が教育効果という話をおっしゃったんですが、もちろんそれは最終的な意味合いだと思いますが、1つ前の段階で、学校の自律性の確立をどう個々の学校で図っていったらいいかという経営上の問題がある。だから、校長、教頭を含めた学校経営管理者が本当の意味で経営的な自律性を発揮できるだけの力量を、人的なリソースの使いこなしということで考えていくという方向ももう1つ考えていかなければいけないだろう。
かなり大きな話をしましたが、結論というか、どうしても私が言いたいことは、第7次改善のいろんなプロセスなりを見ていますと、多分ヒアリング等で各団体共通した言い方をされたと思うんですが、国としては多分いろんな形で学校裁量までおろしてお考えになったところがあると思いますが、都道府県、あるいは市町村を通しまして個々の学校で受けとめたのは、極めて枠の厳しいというか、きついものでしかなかった。例えば少人数指導の加配ということでも教科だとか、学年だとか、時数だとか、いろいろ縛られて、結局、学校の実態に合わないという声が随所からあったと思うんです。
今、本当の意味で充実性を図り、教育効果を高めていくといった場合に、さっき言った各学校の経営能力という問題はもちろんありますが、それをあえて置いておいた上で考えますと、1つの学校で今言った学級編制まである程度裁量というのはおろせないかと思います。だから、40人という枠でもし考えられるならば、これは設置基準をお変えにならないと思いますので、上限40人と。ところが、財政的な措置が例えば30人とかに仮にできた場合、今まで例えば25人の教員がいたものが28人に増えましたと。当然こうなりますね。従来の30人学級の割り方ならば、ここは31人いますから、この学年は15人と16人の学級に分けますよという問題になってきた。そういうことは意味がありませんという声も一方で起こってきているわけです。
だとするならば、30人という1つの基準で定数を各学校に付けてくださいと。今、言いました25人が28人になりました。じゃ、28人丸ごと抱えて、各学校の裁量にしたらどうでしょうと。ただ、学級編制の上限は40人ですよと。そうすると、ある学年では40人学級。ところが、ある学年では15人学級があったっていいだろうと。本当にこれは学校の実態から考えますと、あの学年は40人を超えたってやっていけるよと。ところが、この学年は30でも厳しいというところが随分あるわけです。そういったことの裁量ができる経営能力を同時並行して求めていくという改革の流れの中の定数改善であってほしいと思っています。
【高倉座長】 ありがとうございました。今、私立学校並みのという言葉がいいか悪いか分かりませんが、私立学校並みの権限云々というお話で、学校の自主性の問題について大分触れていただきました。
角田先生、公立の校長先生から私立の校長先生にかわられまして、今の堀内発言に対して何かコメント等はございませんか。勝手なことを言ってごめんなさい。もしございましたらばいただければありがたいと思います。
伊藤先生、今日はまだご意見がないようですが、よろしくどうぞ。
【伊藤委員】 今の堀内先生の意見に私も賛成なんですが、先生方、例えば校長先生が経営能力ということで、25人が28人に3人増えるというときに、今まで果たして教員養成、あるいは研修を受け持っている大学院、あるいは教育学部でそういう組織経営というのがちゃんと行われてこなかった、あるいは実際に、例えば億単位のお金が学校で自由に使えるというときに、そういう財務的なこともほとんど研修ではされてない。 今まで人事、予算権限がほとんど教育委員会、あるいは都道府県にある中で、それを急にというのは全く無理な話のように思いますし、またそういうことをこれから新構想大学院等も実施に移される場合には、大学院がすべて担うというよりも、むしろ教員養成、あるいは大学院で経営の具体的な財務関係に特化した大学院なり、教え方の指導能力をこの大学院では、あるいは指導能力においても各教科それぞれ違うわけですから、そういう教科による、特化した大学院で個々の研修ではこういうものをこれだけの力に伸ばす、あるいは研修によって積み上げるということの大学院の役割、教育学部の養成の段階での役割をもう1度見直さない限り、いろんな各学校の自立性ということがこれから求められるのは必至であるということを考えると、それを含めてそういう人材をどういうふうな形で学校の今の現場、あるいは教育委員会も市町村教育委員会と学校現場の関係というのは、私は地元のところしか見ていませんが、必ずしもうまく機能してないのではないか。
むしろ学校の現場と市町村教育委員会との関係をもう少しスムーズにすると、今言った事務職員、あるいはいろんな関連の職員の方も市町村教育委員会にいながら市町村の自治体の全体の学校、個々の10校、20校ある学校の中での兼任といいますか、スクールカウンセラーも今全部の学校に1人ずつというわけではないですが、週1回しか来ないスクールカウンセラーが学校の先生とうまくいっているかというと、必ずしもうまくいってないという問題ばかりを耳にします。もう少し自治体と各学校の距離感、あるいは連携を強化する。また、そういう強化のノウハウについては大学院なり教育学部なりが、あるいは行政のそういうところできちっと受け入れ、持たないと、どうも全体としてうまく今までの議論を具体的な力に出せないのではないか。雑駁ですが、そんな感想を持ちました。
【大平委員】 話をもとに戻すわけじゃないんですが、財政枠がある中でおそらく話を進めていかなくてはいけないと思うんです。最初の教頭の2人制も、それは学校現場にしてみれば、1人よりも2人いた方がずうっと丁寧な保護者対応なり、地域対応なり、また教職員への指導なりができるんだろうと思います。同じように養護教諭もそうですし。
ただ、現在の状況でどのぐらい定数が増やせるのかということを考えたときに、そこで教頭2人がいいのか、あるいは養護教諭はどの人数以上が2人なのかという論議が生まれてくるんじゃないか。まさに第2番目の話にあったこともそうだろうと思うんです。
学校現場から言うと、今、経営能力云々というお話がありましたが、どこの学校も突きつけられている問題だろうと思うんです。一律にこの学年は35人学級にしますよというようにしてしまうと、学校経営が非常に難しくなると思います。何が難しいかというと、学校によって状況が全然違うんです。子どもの状況が全然違うことによって、前回もお話ししたんですが、5年生が非常に学級経営や学年経営が難しい状況になっているだとか、1年生だってすごく落ち着いている場合があるわけですから。そういう意味で、定数の枠を増やしながら、なおかつそこをそれぞれの学校の状況に応じて判断できる、校長裁量でいわゆる少人数学級にするのか、あるいは状況によっては少人数指導に振り向けながら、複数で指導に当たっていくような体制にするのかというのは、これは各学校に任せて十分にできることだろうと思っております。
そういう意味ですべての話し合いが、地域状況も違うでしょうし、同じ市の中でも学校状況が違う中で教職員を上手に使って働いてもらうためには、校長裁量の権限を広げていただくということが学校経営の大きな支えになっていくのかなと思っております。
【横山委員】 地方分権時代における柔軟な学級、要するに地方分権時代における学級編制、こういうものを考えますと、義務教育であるがゆえに地方分権を強調することは非常に疑問なんです。それは決して地方分権の流れに逆行しているわけじゃなくて、これは義務教育ですから。義務教育というのは国が責任を持って、ある子に対し一定の教育水準を保障するのが義務教育制度ですから、地方に対する分権という意味でも自ずから限界があると思っています。
同じような意味で、学校長に学級編制まで自由に裁量で任せる。言葉としては非常にきれいなんですが、それは実権ですよね。個々の学校の校長にその学校の生徒に対する実権を任せるという意味ですよ、裁量というのは果たしてそれがいいんだろうか。要するに義務教育というものを考えた場合に、果たしてそれがいいんだろうかというのは私は非常に疑問です。それを一律に。だから、今、文部科学省はいろんな研究指定校で実験的なものをやり、成果について普遍化をしていくという手法をとっているわけです。それが正解であって、実際の今の学校の現場の校長に今議論がなされたような形でかなり分権をしていくというのは、義務教育であるがゆえに危険だと思っております。
【高倉座長】 義務教育という段階でという限定をお付けになったご発言。先ほど私は2階建てなんていうことを言いましたが、2階建ての論法で言うと、1階のところは国のそういったいろいろな基準が強く作用する。2階建てのところは校長先生等の裁量というのは、その話から言うとどういうふうになりますでしょうか。
【横山委員】 実は地方自治体というのはいろんな仕事をやっているわけです、業務を。例えば病院だって命に関わる仕事をやっているわけです。ところが、個々の自治体の首長は何を行政重点にするかというのは自ずから違っているわけです。したがって、限りある財源を、ある首長が福祉を最重点にやるといったら、福祉については非常に手厚い。これは国自身が当然、根本にある話で、それの上乗せという話です。同じですよ、教育も。義務教育である以上、国はある一定の最低限のコアの部分の保証はする。その首長が教育を非常に重点施策でやっていくならば、それに上乗せするわけであって、その部分での校長裁量はあり得るんです。ただ、コアの部分についてはやはり私は国が責任を持って制度設計し、やっていくべきだろうと思っています。そうじゃないと、今の義務教育費国庫負担制度がかなり瓦解します、そういう論法じゃないと。
【堀内委員】 今の横山委員の発言と先ほどの私の発言と多分絡むのか絡まないのか、迷いながら聞いたんですが、座長のおっしゃっていただいたこと、最初はそれに関わると思ったんです。要するに2層構造で今の義務教育の弾力化なり地方分権化を考えられる。この問題を今のトピックに当てはめた場合に、現時点の7次改善まで至ったのを第1層と考えるのはいいと思うんです。今はあくまでも定数改善の話をしているわけであって、だれも改悪の話はしてないわけです。この基準を引き下げるという話はだれもしてない。あくまでも基準をよくする話をしているということは、今の実現されたシステム、あるいは物量というものをコアにして、上乗せをどう裁量したらいいか。私の発想ももちろんそれはそうなんです。
さっき私学なんていう話をしたので、いきなり過ぎたとは反省しておりますが、ちょっと関わっているある学校での話をさせていただきますと、教員は25人おりまして、これは親から援助をいただきまして、約3,000万円人件費を上乗せできました。これを8人の非常勤で使っております。1年生は3クラスありますが、2人学級担任をしております。2年から6年まで学年にプラス1の副担任をつけております。これは合計8人になります。ただし、5年、6年は学年主任を学級から外しました。一番ベテランの先生には学級担任を持たせずに、もちろん学年の他の担任の先生も指導にはばっちり入ってもらいますが、学校経営にも関わってもらうという仕組みをつくりました。
言ってみれば、私のイメージはこういうところにあるんです。このぐらいのことは公立学校でできないだろうか。単純に言いますと、人件費はその学校は約1億8,000万円ぐらいかかっています。全部の人件費です。それプラス3,000万円ということは、大体平均給料でいきますと4人分ぐらいなんです。だから、そう飛びはねた話じゃないと私は思っています。第8次になるかどうかわかりませんが、今回、改善したときにそのぐらいの教員給与の上積みを、国であれ、地方であれ、まさに税金からしていただけるとした場合に、最も有効な使い道は何だろうかというところの話で考えたときに、今言ったように学校裁量というのはこのぐらいのレベルにおろさないと、7次改善の二の舞と言うと悪い言い方をしてしまいますが、閉塞をもっと打ち破るぐらいの大胆な改善につなげるような税金の有効な使い道があっていいだろうという意味で発言をいたしました。
【高浦委員】 ティームティーチング加配のときにこういう声があったんです。うちはTT加配がないから、しなくていいと言うんです。そうすると、今度はTT加配があったら、うちはTT加配が来たんだが、隣はどんな授業をしているかを気にしているんですよね。つまり自主性がどれだけ発揮されているかということが分かりにくいんです。だから、教育効果があるとかないとかいうことよりも、うちは加配があったから何とか使わなきゃいかんとか、うちはないからしなくていいとか、変な議論なんですよね。
だから、これからはただ余裕があるから配るというわけにはいかんと思うんです。だから、地方分権時代におけるというか、一般的にはそういう流れなんでしょうが、そうすると今度は教職員定数でも義務教育を守るためにするとか。そうすると、今まで強く議論に出ているのは、ヒアリングからずうっと校長裁量を増やしてくれという声が強いですよね。そうすると、逆に言えば、現行の40人定数で余剰になる教員を加配するとか。そうすると、それがまた通るかどうかわかりませんよね、今の財務省で。
そういうふうに考えていくときに、この資料で見ると都道府県の権限が強いわけですが、その権限が校長にいくと。そして、教育効果なりどういう授業をするかを出してもらって、あまりよくないところは、言葉は悪いが、チェンジする。そういうところまで本当にここで組み込んでいくかどうか。教員定数は配置した。はい、あとは丸投げとやるのか。それともちゃんと最後までこういう効果を、あるいはそういう効果があるかどうかを絶えずチェックしてほしいとするのか。そういう仕組みにすると、校長によって、例えば学習集団、生徒集団を随分変える校長もいるかもしれませんよね。今のように一律傾向がやや減るかもしれないでしょ。
そうすると、学年によっても、教科によっても、今まで縛りがあった状態から縛りがほとんどない状態ですれば非常に変わってきますよね。それで、学校で教育効果を出してもらう。そうしたら、こういう授業やこういう集団で、こういうふうにやれば非常に効果があるんじゃなかろうかという効果がまた出てきますよね。そうすれば、テストをして、いい、悪いと一喜一憂するよりもよほどよくなりますよね。そういうことをこれから進めていかざるを得ないかなという気がするんです。それが強いて言う、これからの地方分権時代というのか、地方というときにどこまで指すのかよく分かりませんが、校長さんを最終とすれば、そういう棲み分けというんですか、という気がするんです。
【渡久山委員】 我々は基本的には横山委員が言われたように、国がきちっと決めるべきものは決めるべきだと思うんです。ただ、今でも40人学級を決めて、41人になると機械的に20人と21人に分ける。こういうのはあまりにも機械的過ぎているのではないか。その辺は学校裁量があってもいいのではないかと思うんです。それから、今あった生活集団か、学習集団かというのは、教科によっては少人数学級にするが、あるいは教科によっては複数の教員でもっと大きなクラスをつくるとか。だから、ある程度そういうようなものは、学校でより授業の効果を上げるために裁量をさせたらどうだろうかと思うんです。ですから、これを地方分権というか、それとも学校の活性化というか、あるいはより教育効果を上げるためにもっと学校での裁量の余地を拡大しようという感じではないかなという気がするんです。地方分権というと、その権限を持っているところは学校ではないと思うんです。自治体だと思うから。そういうことになってくると、その言葉そのものを含めてもっと別な発想で考えてもいいのではないかという気がします。
それと、複式学級の場合もそうなんです。どういうように分けるかというんだが、学校現場というのは割とこうしたいなと思っても、教育委員会がそれはだめだというのがよくあるんです。ですから、ある程度学習効果、あるいは教育効果を上げるために、学校での裁量権というものを拡大したらどうか。ただし、その場合も前提としては、きちっとした国が標準法なり、あるいはまたいろいろな国庫負担法ということを前提にして配置する。こういうふうにされたらどうかなという気がします。
【天笠委員】 私は先ほど配付されました、またご説明のありました資料3−1の国から学校までの図を拝見しているんですが、この図でいきますと、市町村教育委員会がある意味であまり存在感がなかったというのが実質的だと思います。大体都道府県でのそれが各学校におりてきて、少なくとも都道府県内が一律だったというのが実態だったと思うんです。
今回、市町村教育委員会と都道府県教育委員会との事前協議と同意というあたりのところをもう1度見直していただいて、市町村教育委員会のそういう意味では判断とか、動きというんでしょうか、それが少し出てくるような、あるいはその判断が表に出てくるような対応が1つと、それから全体を通して今の話にもありましたように、各学校の自主性、自発性を誘発するような運用というんでしょうか、措置というんでしょうか、そのことが非常に大切なんじゃないかというふうに思うんです。
そうすると、そのあたりのところは市町村教育委員会が一定の力を持ってくるというか、あるいはこれについて影響力を持つような対応、措置を考えなければいけないのかなと思います。
状況はもう少しこれは複雑になってきているんじゃないかと思うんですが、いわゆる地域運営学校等々みたいなものも、数は少ないですが、そういうものも存在するようになってきますし、言うならばそれぞれの学校、あるいは地域でそういうことを判断するとか、決めていくような仕組みも出てきていますので、そういうところをある程度整理したり動かしたりするという意味では、市町村教育委員会の存在をもう少ししっかりとテコ入れするとか、あるいはある程度動けるような形にしていくことが検討すべき課題なんじゃないかと思います。
【角田委員】 現場の発想からしまして、21人の学級と40人の学級じゃ全然事務量が違うんです。まず、丸つけをやって21人だったら一息でできちゃうんです。それから、事故も結局倍起こる確率が出てくる。親との対応も倍になってくる。それで、今、40人学級ですが、40人を過ぎれば21人、20人になる。この辺のところは、もう少しうまい弾力的な編制ができないか。それを校長に任せるのか、都道府県の教育委員会なり、市町村教育委員会に任せるのかということの議論については、我々の現場サイドの考え方だとちょっと判断できないなというふうに思っているんですが、とにかくあまりにもギャップが大き過ぎるということだけは現場として感じていることです。
ですから、そこのところをもう少しギャップの少ないような方向で学級編制ができないだろうかということ。これは40人学級であれ、35人程度あるいは30人程度の学級にせよ、同じような状況が出てくるだろう。これをどういうふうに改善してもらえるのかということが1つ大事なことだと思います。
それから、校長の裁量といったときに学級編制にまで及ぶとなると、これはいろいろと問題が出てくると思うんですが、例えば今までのことで言うと、ある時期、協力授業としてTTとしてつけるという形があった。ところが、あるところから急に少人数加配にしますよと。これは文部科学省はそういうふうにはおっしゃらないんだけれども、地方によってはもうTTではだめですよと。必ず全部少人数指導にしなさい。そして、少人数加配になった途端に、例えば専科なんかで、担任が授業を持たない時間に、すぐほかのクラスへ行って少人数指導の指導をしなさいと。こういうふうにして強く指導をされる県もあるんです。
ここら辺のところが、今までTTでいきなさいと言ったのが急に少人数加配になり、少人数加配が今度は専科の空き時間も全部奪われるようなことというのは、現場の実態からするとあまりそぐわない。したがって、そういうことの配置について校長に権限を委ねて、校長はある時期はTTでもいいが、ここから先になったらば少人数にしてみようじゃないか。単元によって最初はTTでやって、途中から少人数にしてみようとか、あるいは学年によっては教科担任制にしてみようとか、複数配置の複数担任制を導入しようとか、そういうところを校長の権限に委ねられないだろうか。
ですから、学級編制の権限のところで校長の権限を考えさせると、いろんな問題が出てくる可能性がありますし、それはあくまでも市町村教育委員会の考え方でやるとしても、もう少しいわゆる少人数加配と言われているようなものについて、校長の権限で動けるようにしていく。この辺をはっきりしていくと随分学校の自由度というか、学校の裁量権が増してくるのではないか、校長の裁量権が増すのではないかと思っています。
【橋本委員】 校長の裁量権または権限の拡大ということで先ほどお話がありましたが、校長が人事、財務に関わること、これを現在の状況の中で行っていくということは、大変なことです。権限の拡大ということは責任がさらに重くなり、責任をとりなさいということです。現在は、人事や財務に関わることは行ってないわけですが、例えば特色ある学校づくり、また子どもの実態に見合う教員配置等を考えたときに、まずは現在の定数よりも定数は増員してほしい。その時に校長に権限があるとよいですね。
今までTT加配、少人数加配、スクールカウンセラーの配置等々があったわけですが、TT加配にしてもこれは平成9年度ですか、スタートしたのは。何年度でしょうか。
【小熊教職員配置計画専門官】 第6次の改善計画でございますので、平成5年度から始まっています。
【橋本委員】 平成5年度からスタートしていますよね。それで、こちらは縛りがあるのです。学校にとっては、TTで配置された教科にそれを変えることがなかなかできない理由、新規は認めない、継続可という形で、継続したくなければ加配は要らないという形で申請をしなければならないという縛りがありました。また少人数加配にしても、例えば仮に英語科で少人数加配を1名いただいているとしたならば、ずうっとその教科でいかなければならないというような、これは都道府県によって違うかもしれませんが、縛りがあります。
そういうことではなくて、例えば定数は国で決めてほしい、弾力的な運用がある程度できるようにしてほしい。しかし、学校で願っていることは、自校においてどのような教員、どの教科の教員を配置してほしいのかとか、そういったことで弾力的に少しできるようなことも考えてほしいということがあるわけです。ですから、校長の権限の拡大で、すべてを校長が任せてほしくてそれを主張しているだけではないということがあります。これは先ほども横山委員から話がありましたが、地方分権時代における柔軟な、地方分権にすべて移譲していけばいいのだとなったならば、これで義務教育費の国庫負担制度のことはどうなるのかとか、ものすごく揺らいでいくといいますか、根本が揺らいでいってしまうなんていうことがあります。
国が責任を持って行うところは国が責任を持って行う。各都道府県が責任を持って行う柔軟な対応ができるような制度、さらにそれが市町村教育委員会や学校ではどうなのかという、今までの縛りの中で少しでも限りある財源を生かすためにはどうしていくのかということを考えていく必要があるのかと思うんです。すべて人事権が欲しいとか、財務をすべて学校側で自由になるような形にしてほしいとなった場合には大混乱すると思います。
【横山委員】 先ほど加配教員の活用についての校長権限の拡大という話がございましたね。かなり実態と違うんじゃないかなという私自身印象を持っているんです。私は東京都の教育委員会に関わっていましたので。少なくとも加配教員の場合は加配のリストがあるわけです、メニューが。それを押しつけることは一切していませんから。例えばそのメニューを示して、各区市町村から申請数が上がってくる。区市町村だって各学校にメニューは押しつけはやっていません。あくまでも校長です、もともとの発信源は。その限りで私はかなり校長の裁量はあると思っています。
それから、もう1つの教科の問題について言いますと、これはそれほど弾力的といっても、教員を採用するんですから。だから、今は総額裁量制の中で、非常に弾力的に今後なると思います、非常勤を使えば。少なくとも正規教員配置の場合は、それを見通して採用するわけですから、そうころころ教科を変えるというのは非常に難しい話であって、それは必ずしも校長さんに我慢してくれという意味ではなくて、実務上非常に難しいという側面があるということは理解していただかないと。そういった意味では私は今の加配教員の問題について言えば、もともとの発信源は校長だというふうに理解していますので、校長の発信源というのは校長の権限ですから、必ずしも各学校に対して権限がいってないというふうには私は理解しないと思うんです。
【角田委員】 おっしゃるとおり、もともとの発信源は校長だと。私もそれは確かに認めます。しかし、それは要するに前年度の段階で発信するんです。そして、それによって加配をされる、異動というのは4月からの異動なんです。それによって結局、学級編制だとか、そのときの様子というのは全然変わってくるんです。おっしゃるとおり、校長の要望で加配を求めたんだが、実際に配置される人間、そして、学級、学校を運営していくのはその次の年度。そこにタイムラグがあるわけです。ですから、今の実態のところで要望して、そのところでスムーズにいけるのであれば、それは校長のあくまでも裁量でやっていかなくてはいけない、権限でやっていかなくてはいけないことかもしれないんですが、そこのところに若干のずれがあるような感じがするんです。
ですから、人事権を結局欲しいというのも、その辺のところが影響してくるのではないかと思っているんです。おっしゃるとおり、校長が申し出てやっていることは確かです。しかし、そこにタイムラグがあるということも事実だと思っています。
【高倉座長】 ありがとうございました。議論が白熱してきたところでちょうど予定の時間になってきました。今日の第2のテーマは地方分権時代における云々ということで始めましたが、地方分権時代というものをどういうふうに考えるかということに大分とらえ方の違いがあるように感じました。このままの表現でいいのかどうか、あるいは地方分権時代ということについての共通の認識を私どもは持って、この議論をしなければならないのか。そのあたりについて、さらにまた次回以降にきちっと整理していかなくてはならないのかなと思います。
それから、校長の権限、あるいは校長の裁量云々というところで、地方と校長の棲み分けというご発言もございました。もっと細かく考えていきますと、都道府県と市町村と学校のそれぞれの役割分担ということにもなろうかと思います。そのあたりをきちっとした上で、校長の裁量の問題を、しかも何もかもではなくて、どの領域、あるいはどういう事項に関連して校長の裁量を特に考えるべきなのかということについてのかなりご示唆に富むご発言をいただいたと思っております。
いずれにせよ、まだ最後の詰めのところまでという議論は困難かと思いますが、攻め口といいますか、切り口についていろいろとご意見を頂戴しました。したがって、さらに次回の第7回で、高等学校についての教員の配置についてのヒアリング及びディスカッション等をいただく。そこのところまで、つまり今日のご議論と第7回のご議論をさらに踏まえて、これはご意見の集約じゃなくて、ご意見の整理になりますかね、そこのところを事務局でまたお願いしたいと思います。
なお、今日また橋本先生からも、前回もいろんなご意見をいただきましたが、加配について特に教科に縛られてしまって、動きがとれなくなってしまう。それについては前にも事務局の小熊さんのほうから、加配のときの教科についての記述というのはあくまで例示であったはずなのが、例示が縛りになってしまった。例示が一体どの段階で縛りになってしまったのか。それに関連してタイムラグのお話も出ました。そのあたりも含めまして、さらにまたご議論をいただく必要があろうかなと思っております。
いずれにいたしましても、まだなかなか着地できませんが、どうそよろしくお願いいたします。しかし、一方では、タイムラグじゃなくて、タイムリミットがございますので、それもまた考慮しなくてはならないと思っておりますが、よろしくお願いいたします。
それでは、今日のご議論はこれまでといたしまして、事務局から次回、あるいは次回以降の予定につきましてご指示いただきたいと思います。よろしくどうぞ。
【小熊教職員配置計画専門官】 それでは、資料4をご覧いただきたいと思います。 次回は7月7日木曜日16時30分から19時を予定しております。場所は如水会館2階の「ペガサス」でございます。このときには教育関係団体のヒアリング といたしまして、高等学校関係の団体からのヒアリング、そしてまた地方教育委員会関係の団体の今までできていなかったところからの申し出もございますので、ここにつけ加えさせていただきたいと思います。その上で高等学校における教職員配置の在り方についてご議論をいただきたいと考えております。
8回以降につきましては、7月14日、7月21日、7月29日ということで日程を組まさせていただいております。非常に回数の多い議論になってしまいますが、どうぞご協力をお願いしたいと思います。
加えまして、7月7日の出欠のご予定につきまして、机上に意向調査を配付させていただいております。できますれば、本日ご記入の上、事務局に頂戴できればありかだいと考えております。また、お持ち帰りの節はファックス等で担当のほうにお送りいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【高倉座長】 これは確認ですが、会議の開催は10回で終わるという予定でしょうか、あるいはもうちょっと延長戦もあり得るのか、そのあたり。
【小熊教職員配置計画専門官】 これは状況に応じて、また座長にもご相談申し上げたいと思います。
【高倉座長】 ありがとうございました。今の質問は愚問でございました。よろしくどうぞ。
それでは、以上で本日の会議を終わらせていただきます。どうもいろいろありがとうございました。
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