ここからサイトの主なメニューです
教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第3回)議事録

1. 日時: 平成17年6月8日(水曜日)17時〜19時
2. 場所: 虎ノ門パストラル 8階 「けやき」

3. 議題:
(1) 少人数教育について2
(2) 教職員配置について
(3) その他
4. 配付資料:
資料1   これまでの主な意見
資料2-1   中央教育審議会特別支援教育特別委員会における検討について
 (宮崎委員発表資料)
資料2-2   発達障害者支援法について
資料3   学校現場の諸課題に対応する教職員配置
資料4   今後の日程について(案)
参考資料1   検討の論点(案)〔第1・2回会議配布済資料〕
参考資料2   教育山形『さんさんプラン』実施状況
参考資料3   教職員定数の算定について
参考資料4   教諭の平均教科担当授業時数について〔第2回会議配布済資料〕
参考資料5   教頭の職務内容等について
参考資料6   司書教諭について
参考資料7   養護教諭の職務内容等について
参考資料8-1   栄養教諭等の役割と職務内容
参考資料8-2   「栄養教諭制度ができました!」
参考資料9-1   学校事務職員の職務内容等について
参考資料9-2   「宮崎県佐土原町広瀬地区の共同実施」
参考資料10   養護教諭・事務職員の配置実態
参考資料11-1   学校栄養職員の配置実態
参考資料11-2   平成17年4月からの栄養教諭の配置状況について
参考資料12   スクールカウンセラーについて
参考資料13   問題行動等の状況について
参考資料14   外国人児童生徒教育の現状と取り組み
参考資料15   教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第2回)議事概要(速報版)
(机上配付資料)
  ○特別支援教育を推進するための制度の在り方について(中間報告)
  ○特別支援教育資料(平成17年5月、特別支援教育課)
  ○生徒指導上の諸問題の現状と文部科学省の施策について(平成17年3月、児童生徒課)(抜粋)
5. 出席者:
(委員) 高倉座長、吾妻委員、伊藤委員、大平委員、門川委員、島宮委員、高浦委員、渡久山委員、堀内委員、宮崎委員
(事務局) 銭谷初等中等教育局長、樋口大臣官房審議官、前川初等中等教育企画課長、藤原財務課長、山下特別支援教育課長、杉浦初等中等教育局企画官、小熊教職員配置計画専門官ほか
6. 議事内容

【高倉座長】 それでは、定刻でございますので、第3回の協力者会議を始めさせていただきます。まだ出席の予定でお見えになっていない渡久山先生、堀内先生、いらっしゃいますけれども、始めさせていただきたいと思います。
 前回、少人数教育について、この検討の論点の第1番目のくろまるのところにつきましてご議論いただきました。その中で特に山形県の実践のケースにつきましてご報告いただいたということでございます。しかし、少人数教育についての議論が、30分時間を延ばし、さらに30分を延ばしましたけれども、なかなか十分に煮詰まらないということがございましたので、今日は前回の議論について事務局のほうで整理をしてくださっておりますので、その整理をしてくださっているのをもとにして、さらに30分ないし40分程度、ご意見を承りたいと思っております。
 その次でございますが、前回もお話ししましたように、参考資料の1「検討の論点」の2番目になります教職員配置について。その中で今日は特に特別支援教育に関係する教員の配置について、あるいは、一番最後のまるの特殊教育諸学校における教職員配置の在り方について、さらに加えて一番上のまるのところの小中学校における特別支援教育、この問題についてもお触れいただけると思います。これにつきまして議論をお願いしたいと思います。
 教職員の配置につきましては、それ以外にたくさんのテーマがここに並んでおりますけれども、今日は、まず特殊教育における教職員の配置の在り方についてご議論いただくということにして、さらに時間がとれるようでしたらば、その他のまる印、あるいはさんかく矢印の問題についてもご議論いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 特別支援教育につきましては、前回もお話ししましたように、宮崎委員からまず最初にご報告をいただいてディスカッションするということで進めさせていただきたいと思います。
 それでは、まず最初に配付資料の確認、若干の説明等を事務局からお願いいたします。

【小熊教職員配置計画専門官】 それでは、私から資料のご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1でございますが、教職員配置等の在り方に関するこの調査研究協力者会議第1回、第2回目におきまして各委員の先生方からいただきました主な意見をまとめさせていただいたものでございます。これについてはまた後ほどご説明をいたしたいと思います。
 それから、資料の2の1でございます、「中央教育審議会特別支援教育特別委員会における検討について」、また資料2の2もございます、「発達障害者支援法について」ということでございます。これは特別支援教育に関連いたしまして、後ほど宮崎委員のほうからご説明をいただくこととしたいと思います。
 資料の3でございますけれども、「学校現場の諸課題に対応する教職員配置」ということで、教職員配置全体の中でも加配教員の定数についてお示しをしたものでございます。加配教職員定数につきましては、ここに挙げましたように指導方法の工夫改善定数ですとか、そのほか市町村合併支援、通級指導対応、児童生徒支援、研修等定数、養護教諭の定数、また学校栄養職員、事務職員、それぞれの項目に沿って加配定数ということで、学級数等に応じた定数に加算される定数がございます。内容等については、ここに書かれているとおりでございますけれども、こういった定数があるということでご覧いただきたいと思います。
 資料4につきましては、今後の日程についてでございます。これはまた会議の最後にご説明を申し上げたいと思います。
 続きまして、参考資料1につきましては「検討の論点(案)」ということで、第1回の会議、第2回の会議にも示させていただいたところでございます。内容等については変更はしておりませんけれども、今回はこの1つ目の少人数教育についての若干の積み残し分と、2つ目のくろひしがたの教職員配置についてのご議論をいただくということでございます。
 続きまして、参考資料2でございますけれども、「教育山形『さんさんプラン』実施状況」という表題になってございます。これにつきましては第2回の会議の際に山形県教育委員会の義務教育課長から山形県における33人学級の取り組み等についてご説明をいただいたわけでございますけれども、その際、話題になりました増加学級数でございますとか、その指導のために配置されている教員の数、またそれに係る経費について示させていただいているものでございます。
 簡単にご説明を申し上げますと、16年度の欄をご覧いただきたいと思います。山形県では16年度において小学校1年生から6年生において少人数学級ということで上限を33人とする学級編制を行っているわけでございます。それを実施している学校数としましては全69校ということでございます。そして、69校の中で学級数が増えましたのが211学級増加したということになります。そして、その下の2番目のまるをご覧いただきますと、教員の配置数ということになっておりますが、1の常勤教員のところをご覧いただきたいと思います。合計数で211人増加したということになってございます。これは学級担任を1名ずつ配置をしたということで、増加学級数と一致する数になっているわけでございます。
 必要となる学級担任の定数をどこから持ってきたかということでございますが、基礎定数から23人。基礎定数と申しますのは、標準法で算定されます定数、その中で例えば小学校の専科教員のために算定される定数等がございますけれども、それを全県からある程度端数分といいますか、標準法で算定されるものと実際に配置される先生の数との多少のすき間が出てまいりますので、そういったものを集めて23人確保されている。それから、加配定数115人と申しますのは、指導方法改善のための定数加配がございますけれども、それを少人数学級実施のために、ここは振り替えをして使っていらっしゃる。それから、あと残り73人につきましては県で別途予算措置をされて確保された人数ということでございます。合わせて211人の増加を図っていらっしゃるということでございます。
 そのほかに非常勤講師75人というのがございますけれども、これは40人学級でいきますと学年1学級なのだけれども、子どもの数が34人から40人までの学級について非常勤講師を配置して少人数指導を実施されているというものでございます。これらに係る経費といたしまして、県が義務教育国庫負担金を上回って独自の予算措置をされているのが5億4,574万5,000円ということでございます。
 続きまして、参考資料3につきましては、「教職員定数の算定について」ということで、義務標準法に基づきまして算定される簡単なルールを示させていただいているものでございます。小中学校につきましては、校長定数が学校数かける1、そのほか、教頭及び教諭等の定数につきましては、学級の規模ごとに乗ずる率が法律上定められておりまして、これによって定数が算定されるということになっております。
 お手数ですが、4ページをご覧いただきますと、教職員の学級規模ごとの、これはあくまでもモデルでございますけれども、率を乗じて算定した場合の数が入ってきております。参考までにご覧いただきたいと思います。
 また2ページにお戻りいただきますと、教頭複数配置の状況、また生徒指導担当の定数算定など、また職種が変わりますが、養護教諭定数の算定、栄養教諭及び学校栄養職員定数の算定、事務職員定数の算定などを示させていただいております。
 3ページをご覧いただきますと、特殊教育諸学校の定数の算定方法となっております。小中学校に準拠した上で特殊教育諸学校の特色に応じた定数ということで、教育相談担当教員であるとか自立活動担当教員、また寄宿舎舎監定数などが算定されることとなっております。そのほか、小中学校と同じように養護教諭定数、栄養教諭等の定数、事務職員の定数等ございます。4にございます寄宿舎指導員定数というのが特殊教育諸学校の特色ある教職員配置ということになろうかと思います。
 そして、3ページの下の枠でございますが、加配定数ということで、先ほど資料3でご覧いただきましたけれども、その総括的な事柄を書かせていただいているところでございます。ここを簡単に読ませていただきますと、「教科の特性等に応じた少人数指導、習熟度別指導等を行う場合、また社会的条件について教育的配慮を行う場合、教育上特別の配慮を必要とする児童生徒に特別の指導を行う場合、教職員が長期の研修を受けている場合、学校において教育指導の改善のための研究が行われている場合にあっては、上記により算定された定数に文部科学大臣が定める数を加える」という規定となっているわけでございます。
 4ページ、5ページにつきましては、先ほどご覧いただきました小中学校の学級規模別の教職員配置の例でございます。教職員定数の例でございます。
 6ページをおめくりいただきたいのですが、ある小学校、公立学校における教職員配置の例でございます。全体20学級の学校に教職員が校長1名、教頭1名、教諭等が24名、養護教諭1名、事務職員1名、計28名、これが標準法定数の対象となる教職員として配置をされているというものでございます。そのほかに市費負担の職員としまして用務員、給食調理員、事務補佐員、司書補など、また外部人材の活用として学校いきいきプランの活用、これは非常勤講師ということになろうと思いますが、例えばコンピューター教育の指導などに外部人材を活用している例でございます。
 同じように7ページが中学校の例となっております。中学校につきましては、右下のほうをご覧いただきますと外部人材の活用でスクールカウンセラーが配置されているという実態の例でございます。
 続きまして、参考資料の4をご覧いただきたいと思いますが、これは第2回の会議にも提出させていただきましたけれども、教諭の平均教科担当授業時数についてでございます。小学校が平成13年度で1週間当たり21.5時間、中学校が15.6時間、高等学校が14.4時間となっております。特殊教育諸学校は盲学校が13.2時間、聾学校が11.8時間、養護学校が18.5時間となっているところでございます。これらについては特別活動、学校行事、また総合的な学習の時間を含んでいない教科の時間となっておりますので、子どもたちの指導には平均的にはもう少し携わっていらっしゃるというものでございます。
 参考資料5をご覧いただきたいと思います。教頭の職務内容について示させていただいておる資料でございます。教頭につきましては、校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育を司るということで、学校教育法上、規定をされている職でございます。その職務内容等については資料の中身をご覧いただければと思います。
 また、4ページをご覧いただきますと、教頭の複数配置についてということで、平成17年5月23日の中央教育審議会総会に報告された「義務教育特別部会における審議経過報告」におきまして、教頭の複数配置の引き続きの推進等についてご意見をいただいているということを示させていただいております。
 参考資料6でございますが、こちらは「司書教諭について」でございます。司書教諭につきましては、学校図書館法の規定によりまして置かれる職でございますけれども、これは教諭をもって充てることとするとされている職でございます。先般、司書教諭の配置についても検討すべきというご意見をいただきましたものですから、資料として示させていただいております。現在、12学級以上の学校に置くこととされているものでございます。
 参考資料7でございます。「養護教諭の職務内容について」という資料でございます。養護教諭は児童の養護を司る職員として学校教育法上、位置づけられている教員でございまして、心身の健康に問題を持つ児童生徒への指導、また健康な児童生徒についても健康の増進に関する指導を行う、また一般教員の行う日常の教育活動においても積極的に協力を果たすという役割が課されているわけでございます。最近ではヘルスカウンセリングといった役割も非常に重要視されているものでございます。
 参考資料8の1をご覧いただきたいと思います。栄養教諭の役割と職務内容についてでございます。栄養教諭は児童の栄養の指導及び管理を司るという職務が学校教育法上、規定をされております。具体的な職務内容としましては、児童生徒への個別的な相談指導、児童生徒への教科・特別活動等における教育指導、食に関する指導の連携・調整、さらに学校給食管理というものが課せれているわけでございます。
 資料番号はございませんが、「栄養教諭制度ができました!」というパンフレットを入れさせていただいております。こちら、参考資料8の2とさせていただいてございますが、こちらもご覧いただきながら参考にしていただきたいと思います。
 続きまして、参考資料9の1についてでございます。「学校事務職員の職務内容等について」でございますが、事務職員は事務に従事すると学校教育法上、規定されている職員でございます。職務内容としましては校務運営に関する連絡調整であるとか、人事異動、予算の策定、児童生徒の学籍等に関する仕事を行うものでございます。過去の提言といたしまして、学校事務・業務の効率化について3ページに記載されておりますけれども、平成10年の中教審答申において学校事務・業務の共同実施を推進するための方策を検討するということ、また、平成16年12月の中教審作業部会の審議のまとめにおいても、やはり事務処理体制の整備を図ることということが提言されているところでございます。平成13年から開始しております第7次の教職員定数改善計画におきましては、この学校事務職員の共同実施についての定数加算、定数加配を行っているところでございます。
 続きまして、資料番号はございませんが、「広瀬地区の共同実施」という水色のパンフレットを入れさせていただいております。これが事務職員の学校事務の共同実施に係る例ということでお配りしているものでございます。見開きを開けていただきますと、真ん中のページに宮崎県広瀬地区における共同実施の進め方、また共同実施で行う業務内容といったことが書かれております。学校運営の円滑化に資するために共同実施がなされているという観点でご覧いただければと思います。
 続きまして、参考資料10は、「養護教諭・事務職員の配置実態」ということで、16年5月1日現在の状況でございます。養護教諭につきましては、教職員定数算定上の配置率といたしましては98.3パーセント、事務職員では96.3パーセントまで配置できるように今、改善が進められてきたところでございます。そして、学校基本調査上、下の枠でございますけれども、実際に本務養護教諭のいる学校では97.7パーセント、県費負担の事務職員の学校は95.9パーセント、事務職員の補助職員、これは市費負担の事務職員も含めまして配置されているものとしましては96.5パーセントまで配置が進んでいるという状況でございます。
 続きまして、参考資料11の1「学校栄養職員の配置実態」でございます。給食単独実施校におきましては、1校当たりの平均の配置人数といたしまして0.49人。ですから、ほぼ2校に1人の配置がなされている状況でございます。共同調理場におきましては、1調理場当たり1.35人が配置されているという状況でございます。
 参考資料11の2「平成17年4月からの栄養教諭の配置状況について」というものでございます。栄養教諭制度が17年4月から本格的に施行されたところでございます。福井県、高知県において公立学校に栄養教諭が配置されておるところでございます。
 参考資料12「スクールカウンセラーについて」の資料でございます。こちらについても第1回目の会議でスクールカウンセラーの配置についても考えるべきではないかというご意見がございましたので用意させていただいたものでございますが、現在、中学校を中心に約1万校にスクールカウンセラーを配置できるだけの予算的な措置をしているところでございます。補助率は2分の1という状況でございます。
 参考資料13「問題行動等の状況について」、簡単な資料ではございますけれども、学校の抱える諸問題として、ここに3つ挙げさせていただいておりますのは暴力行為といじめの発生件数、また不登校児童生徒の推移ということで、経年推移を挙げさせていただいておるところでございます。暴力行為については3年ぶりに増加、いじめにつきましては8年ぶりに増加、不登校については2年連続で減少という状況でございます。
 参考資料14「外国人児童生徒教育の現状と取り組み」ということでございます。こちらも先般の会議でご意見を賜ったところでございますけれども、現在、日本語指導が必要な外国人児童生徒の数は約2万人でございます。在籍校は5,000校に上るということでございます。これは小中高等学校を含めての数ということでございます。こういった状況もご覧いただきたいと思っております。
 参考資料15は、第2回会議の議事概要(速報版)ということで事務局で簡単にまとめたものでございます。議事録につきましては、またご確認いただきますけれども、この会議の参考にしていただくために速報版を配らせていただいているところでございます。
 そのほか、机上配付資料といたしまして、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」というピンクの冊子、それから「特別支援教育資料」ということでオレンジの冊子、さらにコピーではございますが、「生徒指導上の諸問題の現状と文部科学省の施策について」の抜粋でございます。
 資料については以上でございます。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 堀内委員、この前、山形県の金額等々についてご質問があった。山形県からご発表いただいた教員の加配等の経費についての答えはこれでよろしいわけですか。

【吾妻委員】 山形の参考資料2ですけれども、2つ目のまるの「さんさんプランにおける教員配置数」、1常勤教員の枠の中の3つ目、いわゆる県単ですけれども、16年度73人、その下の非常勤講師75人。これは非常勤講師ですからわかるわけですけれども、1の常勤教員の県単の16年度の73人の中身といいますか、いわゆる正規の教員なのか、常勤の講師なのか、その辺、もしおわかりでしたら教えていただきたい。
【小熊教職員配置計画専門官】 実際、常勤の講師でも、委員がおっしゃるのは正規採用の人間か臨時採用の方かということでございますね。現在、承知してございません。確認をしておきたいと思います。

【高倉座長】 吾妻先生、よろしいですか。

【吾妻委員】 くどいようですけど、いわゆる各県で30人程度学級を実施しても、正規教員で行うのと、いわゆる講師でやるのとは違うと私は思うんですね。その辺が非常に問題だと思いますので、この会でも前回話題になったと思うんですが、講師の質といいますか、指導力といいますか、そこが非常に問題なのかなと思っていますので、できればわかればありがたいと思います。
 以上です。

【高倉座長】 前回も正規の教員を配置すべきだというようなご意見をいただいておることと関連すると思いますが、これ、山形県に問い合わせておいていただけますか。ありがとうございました。
 それでは、盛りだくさんの資料でございましたので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。前回は少人数教育についてご議論いただいたわけでございますけれども、特にその評価に焦点を当ててご発言をいただくということをお願いしましたけれども、なかなかそのあたり、十分には詰まってなかったのではなかろうかと思います。それで、まず最初に前回いただいたご議論を事務局のほうで整理してくださっておりますので、事務局からご説明願います。

【小熊教職員配置計画専門官】 それでは、資料1をご覧いただきたいと思います。第1回、第2回を通しましての主な意見をまとめさせていただいておりますが、前回の会議からの続きということでございますので、少人数教育についての部分を簡単にかいつまんでご説明申し上げたいと思います。
 少人数学級・少人数指導等の評価についてでございますが、まず第7次定数改善の少人数指導の加配が進み、成果が上がっている。
 また習熟度別指導は定着し、効果を上げつつある。また、保護者も高く評価しているということで、少人数指導については、それなりに肯定的な評価をいただいているのではないかという意見を頂戴いたしました。
 また、少人数学級についてでございますけれども、目が届きやすいのは事実。しかしながら、少人数学級に合った指導方法についても工夫・検討の余地があるということ。
 また、少人数指導でも指導方法の改善は必要だが、指導方法さえ改善すればよいということではない。
 40人の学級集団は多過ぎる。小学校1・2年で35人学級を実施している一方で、中学校3年時点でも少人数学級を実施して、きめ細かい進路指導等を行うことは大事ではないか。多様な方法を研究し、実践しながら、よりよい姿を求めていくべきであるということ。
 また、少人数学級の実施は実際にされてはいるけれども、都道府県により取り組みは千差万別であるということに注意することが必要であるというご意見。
 少人数学級・少人数指導は効果があるようではあるけれども、一律に数字の固定をしないほうがよいのではないかというご意見。
 学習集団も生活集団も何人の規模での指導が効果があるのかなかなかはっきりとはしないのではないか。まずは少人数指導の改善を図り、その上で生活集団の規模について議論するのがよいのではないかというご意見。
 それから、学校における生活集団と学習集団は一体不可分である。生活集団を少人数化すれば学習集団の質も変化をするというご意見がございました。
 少人数教育の評価だけでなく、学校評価というフィルタを通して成果を確かめていくということが必要である。少人数が生む波及的な効果などの検証が重要であるというご意見がございました。
 小さな集団でも問題を抱えるところもあり、必ずしも少人数がいいとは言えないのではないか。結局は教員の姿勢の問題があるというご意見もいただきました。
 次に、少人数教育等の実施に伴う非常勤講師の配置についてでございます。非常勤講師対応が増えている。正規教員を計画的に増加させ、少人数学級を編制していくべきというご意見。
 2枚目でございますが、正規教員がいる学級と非常勤講師が配置されている学級では格差が生じる。今後の退職者の傾向も視野に入れて、どのように対応していくか検討する必要がある。
 非常勤講師の質の低下を懸念する声がある。研修等に本務者に限らず参加させるなど、指導力向上の努力が行われているという現状のご意見。
 また、非常勤講師の活用も効果的であるという意見もございました。
 それから、正規教員の採用が難しい場合、非常勤講師に対する十分な研修を行い、学校全体で成長させていく必要があるというご意見も頂戴いたしました。
 続きまして、今後の学級編制、少人数教育の在り方についてでございますが、少人数学級を導入することにより、少人数指導、習熟度別指導のための人員が減ってしまうようでは困る。少人数指導の指導方法はまだまだ研究段階であるというご意見。
 第8次改善計画は、第6次、第7次を発展的に継承すべきというご意見。
 少人数学級にすれば効果が上がるというものではなく、少人数学級導入を機会に学級・学校経営の改善、指導方法の改善を図ることが効果を上げるポイントであるというご意見がありました。
 少人数学級、少人数指導の実施を各学校に丸投げするだけでは成果が出ない。都道府県や市町村がリードして自覚的に実践に取り組む必要がある。
 また、少人数学級の実施に当たっては下限の設定が必要である。実際の配置は各学校の実態に応じ、校長権限によって選択することも考えていくべき。
 義務教育における課題として、子どもへの教育課程の定着と、いじめや不登校の問題に見られるような学校が楽しくない子どもの増加がある。これらに対応するため、各都道府県は持ち出しで少人数学級・指導を実施している状況がある。これを国でしっかりと負担すべき。画一的に40人学級とせず、校長の裁量でバラエティに富んだ学級規模にできるようにすべきというご意見がありました。
 最後に、生活集団、学級集団という概念はやめて、算定基礎は教員1人に対する子どもの比率にして、集団の編成は学校に任せてはどうかというご意見を頂戴したところでございます。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 資料1は前回まで1回目と2回目のご意見等をおまとめいただいたものでございます。その中で今、ご報告、ご説明いただいたのは、特に前回の少人数教育についてのご議論の結果をまとめていただいたということでございます。これが、先ほども言いましたように、ちょっと時間に追われまして、必ずしも最後のところがうまく詰め切っていない、そんなことがあろうかと思いますので、15分あるいは20分ぐらい、時間をかけまして、もしもう少し詰められれば詰めていきたいと思っております。
 今、小熊専門官からご説明いただきましたように、かなり盛りだくさんになっておりますけれども、前回のご議論にだけ限定していきますと、5つか6つに分けて整理して、さらに整理ができるのではなかろうかと思います。
 第1番目に少人数指導ということで見ますと、そのための教員配置については効果が認められるというようなこと。これは指導ですね。それから、少人数学級については規模を小さくすればいいということではなくて、指導方法の改善と相まって効果が発揮されるのだと。
 第2番目、さらには少人数学級というものを実施することを1つのきっかけとして、指導方法の改善というものに真剣に取り組まなければいけないというようなご意見がかなりあったと思います。
 しかしながら、先ほど吾妻先生からもご指摘いただきましたけれども、非常勤講師による指導が行われている学校も多くある、少なくはない。教員の資質の確保ということが課題になるだろうと。学校活性化の観点からも正規教員を配置すべきであろうと。こういったご意見がたくさんございました。
 4番目に、児童生徒に対するきめ細かな指導を行うためには30人とか35人学級というものを実施するべきだろう。これに対して数は言わないほうがいいんじゃないかというご意見がございました。
 5番目、少人数指導や少人数学級編制は校長の判断に応じて実施できるようにすべきだ。校長の裁量の問題ですね。確かにそういったご意見がたくさんございました。
 最後の頃になりまして、少人数学級等の評価をするということに際しましては、学校全体、あるいは学校経営全体を見ていくというような総合的な評価の視点が改善につながるのではないかというようなご意見をいただきました。私は評価の在り方がここで問われているというようなことを言いました。ただ、それはそうなのでございますけれども、そういった視点からのデータ等がまだ蓄積されているわけではございませんので、委員の先生方、そういったデータをお持ちの場合にはお出しいただければ大変ありがたいと思いますし、いずれにしても、評価の在り方、評価の仕方については、さらに今後また詰めた議論をしていかなければならないと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。おまとめいただいたのをさらにうわなぜするということでちょっと時間をとってしまいました。
 それで、いろいろな点にわたってまたご意見があろうかと思いますが、1つだけ、生活集団としての規模はどの程度が適切なのかと。先ほど指導のための集団としましては30人、50人というような学級の数が出てきておりますけれども、生活集団としての規模ということで考えれば、どの程度が適切なのかと。この前も児童生徒が切磋琢磨し、社会性を身につけていくためには何人程度の学級が適切なのか。1つ、そういうこと。
 それと同時に、下限の人数をどう定めるのかということが議論になっておりますけれども、それについての具体的なご発言というのはいただいていない。
 もう一つ、さらに下限をもし設定するとするならば、下限を設定するという理由づけというのは一体何なのだろうかということまで含めて、そのあたり、生活集団としての規模はどうなのだろうか。下限の設定というのは一体どういうふうに考えたらいいか。その理由も含めて、そのあたりについて特にご意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
 どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】 先ごろの会があってちょっと遅れてきまして、すみませんでした。
 1つは今の話で、この間も議論が出たと思うんですよ。生活集団とか、そういうように何か人数を決めてやることについては無意味じゃないかということなんですが、確かに今、子どもたちの置かれている状況を見ますと、小学校も中学校も36人以上の学級は過半数近くいますよね。でも、これは大都市圏ですね。そうじゃないところでは非常に少人数になっているんですね。ですから、僕は学校現場で望ましい集団というのは、そんなに子どもたちを集めて、小分けするほどに恵まれている条件があるとは思わないんですね。ですから、そういうことの議論というのは、もうなくてもいいんじゃないかという気がします。これが1つの理由。
 また、多くの子どもたちがいるところでも、集団指導の場合にどういうことを目的にした集団指導かということによって、また人数規模は全然違うと思うんですね。変わると思うんです。ですから、そういうような観点から見ても、生活とか、あるいは集団の大きさというのを規定することは、またそれも無意味じゃないかと。要するに指導の目的によって人数は違うんじゃないかというようなことで私は考えられるんじゃないかなという気がします。
 私の体験からしても、大規模校で授業をしていても、あるいは小規模校で授業をしていても、与えられた条件をどう生かすかということが現場の問題であって、決して望ましいからこうしましょうというようなもの、望ましいのか望ましくないかということではないような気がいたします。

【高倉座長】 小熊専門官からのご報告でも、生活集団、学級集団という概念はもうやめようじゃないかというようなご発言が前回ございましたけれども、その延長でのご発言と思います。ありがとうございました。
 どうぞ、堀内委員。

【堀内委員】 今、渡久山先生のご意見と重なる部分があると思うんですけれども、1学級の下限・上限という問題もそうなんですが、多分、1学年何学級かという問題のほうが子どもの問題としては大変大きいような気がするんです。標準設定というのは一応文科省がされているんですけれども、例えば今のお話で、地方に行っても当たり前に1学級1学年しかないというところはたくさんあるんですが、複数学級を持った場合に、例えば今言ったように何人で割ったときに何学級になるかという問題とかかわるわけですね。
 例えば学級編制をするときに子どもたちの入れ替えといいましょうか、担任もそうなんですけれども、そうすると、1学級だともちろんそのままストレートに上の学年にあがってしまう。2学級だったらば変わるんだけれども、その効果というのは極めて限定されている。これも教師のほうの経験的な言い分が大きいと思うんですけれども、最低3学級は欲しいなという声はよく聞くんですね。
 そうしますと、学年が変わったときに、かなり新しい学級編制体制というのは組める。今おっしゃいましたように、どういう目的で、例えばいろいろな行事を組む、あるいは各学年の子どもたちの特性みたいなものが学校に表れてくるわけですね。いわゆる問題のある子どもも含まれていると。そうすると、どういう組み合わせで最適の指導体制が組めるのかと。2学級だと半数交代でぎりぎりであると。3学級ぐらい持っていると、今言ったように学校の思いというものが、かなり学級編制に生かされるという、こういった声はよく現場の先生方から聞くことがあります。ですから、逆に言いますと、同じ人数でも2学級よりも3学級に割れるような、例えば定数の問題ということも別の観点からは必要ではなかろうかと、こんなふうに考えるところがあります。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 どうぞ、門川先生。

【門川委員】 少人数指導と少人数学級との議論があったわけですけれども、結論から言うと、学校長ができるだけ権限を持って、指導方法の改善と学級編制の標準の引き下げとを両方組み合わせてできるようにするのがいいと思うんです。国と地方の行政はその条件を整える。例えば今、堀内先生がおっしゃったとおり、1学年3学級ぐらいあるほうがいいわけですね。ところが、中学校で3学級の場合は非常に少人数指導の展開がしにくいとの声もある。例えば3学級の場合に、数学で習熟度別授業をやるということになると、それを3学級を4グループに分けたい。そうすると、どうしても4人の数学の教師が同時に必要になる。これを学級編制を4学級にすると、2学級・2学級に分けることができ、それぞれの2学級を3グループに割って習熟度別指導を行えば3人の先生でできる。授業の現場でカリキュラムを実際に組むときに少人数指導というのは、同時進行でそれだけの同教科の教師が要る。もちろんそのときに優秀な非常勤講師がいれば、展開できるわけですけどね。
 現場のいろいろなカリキュラムの編成、教師の教科別の人数ということを考えたときには、1学年の学級数は偶数のほうがいいと、奇数は困るという声をきく。何で君のところは習熟度やらへんのやと聞くと、この教科の教師の人数ではできないんですとなる。同じ教師の人数でも現場の創意工夫でやるほうがしやすい場合もあり、そういうことを現場で柔軟にやっていけることが必要。
 もう一つは、生徒指導上の課題など、非常に困難な子どもがいる場合などは、より分母を少ないクラスにしたほうがいいという場合もありますし、個々の教師の指導力によって変わっていかなければならない。学校に権限を与えつつ、それを外部評価も含めた学校評価ですとか、教員評価、学力評価も含めて検証していけばよい。何もかも学校に任したら良くなるということではありませんので、権限を与えつつ評価し、検証していくというシステムを作っていくということが大事じゃないかと思います。一般論として学校ごとの下限人数がどの程度がいいのかというのは非常に言いづらいところがあると思います。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 下限設定というようなご発言もこれまでございまして、それにこだわるのがいいのか悪いのか、いろいろとご議論のあるところだと思いますけれども、下限の設定ということについて何かご意見ございましたらばいただきたいと思います。
 それでは、この問題、引き続きご議論をしながら煮詰めていかなければならないところが多いと思いますが……、どうぞ、吾妻先生。

【吾妻委員】 下限設定ということではないんですが、先ほど座長から少人数教育については15分〜20分で次に入られるということですので、大体議論は1回目、2回目で出尽くしたとは思うんですけれども、このまま先に行くとすれば確認しておきたいんですが、今回のこの協力者会議での一番のポイントといいますか、あるいは国民の関心といいますか、結局は第7次、現行の標準法の40人学級でそのままいくのか、そうではなくて、30人程度の学級に文部科学省として踏み込むのか、そこが私は一番のポイントだと思うんですね。何人という人数は議論しても意味がないという話ではないと思うんですよ。何人学級で第8次に入るのだという、そこが私はキーポイントだと思いますので、その辺がもう一つ、この会でどうなのかなという思いをしながら今聞いていたんですが。
 最初のときに、私は40人から30人学級に踏み込むべきだという話をさせていただきました。ただし、そのときに30人学級に踏み込んで、必要な定数が少人数指導からもぎ取ってやるのでは困りますよという話を私はしました。少人数指導がせっかく軌道に乗って、いよいよ成果が出るというときに少人数学級にとられて、少人数指導のほうが薄くなったのでは困るという話をさせていただきました。ですから、どちらもやっていただきたい。少人数指導を充実させながら少人数学級に踏み込んでほしいという思いをもう一度述べさせていただきます。
 なぜ少人数指導を大事にしたいと言いながら少人数学級もということを言うかというと、これも最初にお話ししたと思いますけれども、既に全国で42の道府県が30人程度学級を行っているわけですね。ですから、42道府県で行っている少人数学級は、さっき山形県のことをもう少しもう一度というお話をしたのは実はそこなんですけれども、各県で自主的に、いわゆる加配教員を十分使って、非常にうまく使ってこれをやっているわけですけれども、それ以外の県単の部分は、私はこの73人は多分正規の教員ではないと思うんですね、常勤であっても講師だと思うんです。
 そうすると、このまま各県の実施に任せておくと、ここの部分がいつも講師対応になってしまう。それが文科省の標準法を変えて、三十何人になるかは別にして、40人学級から30人程度に踏み込めば、ここの部分が正規の教員の採用につながっていくのではないか。イコール義務教育の充実につながるのではないかということで、少人数指導を大事にしながらも、40人学級、このままでは、おそらくこの会議が終わって結論が出たときに、国民はおそらく「ええっ?」という感じはしないのかなと。これだけ各県で30人程度学級が進んでいる以上は、そこを40人学級から30人程度に踏み込むかどうかという話は詰めないと、ちょっとまずいのかなと私は思っています。
 以上です。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 先生がおっしゃりたいことは、いろいろ議論していながらも、その中で第6次、第7次を踏まえて、その延長線で考えていこうというようなご議論はございましたけれども、第8次というキーワードというのはどうもはっきりと使われていない。定数改善というような言葉も、そう明確には使われていない。そのあたりに対して何かもう少しスカッとした気持ちで議論をしたいなというようなことかと思います。このあたりにつきましてはいろいろなことがあろうかと思いますけれども、事務局のほうから何かご発言、あるいは感触的でも結構でございますけれども、何かそのあたりのご発言いただかないと、どうもハンドルが切れないような気がしますので、どうぞ、藤原課長。

【藤原財務課長】 非常に難しい問題で、まさにそのあたりをご議論いただく前提というか、材料というか、そこをご検討いただくのがこの協力者会議の趣旨であろうかと思っております。それで、第7次の改善計画の延長線で次期改善計画を組むのか、あるいは40人という標準をさらに引き下げていくという方向性でいくのか。これは従来の政策を延長していくのか、若干かじを切っていくのかという大きな政策判断になるわけであります。 それを判断するに当たりまして、2つの要素があるのかなと私は個人的に思っております。
 まず1つは、確かに多くの県で実際に総額裁量制のもとで40人学級から35人あるいは30人という形で実施をしている実態があるわけでありますが、その具体的な効果というか、少人数の学級をやっていることによって、40人学級に比較してどの程度の効果があるか。これはある意味で財政的にそれなりにプラスして、その結果、よりきめ細かい教育条件整備ができているわけなので、その結果として、40人学級のどういう部分で具体的効果が上がってきているのか。それは学力の面だけではなくて、生活指導その他、いろいろな要因があるんでしょうけれども、その辺についてある程度実証的なデータがそろわないと、今後、財政当局に対して折衝していくに際して、何となく良いんですという印象論だけでは、我々事務局、文科省として財務省に折衝するときに非常に厳しい事態になるわけでして、それがまず具体的な効果をどの程度実証できるのかということが1つあるのかなということがあります。
 それから、大きな2つ目の要素として、1点目にも若干絡むんですが、財政的な要素というのがあると思います。第7次計画を5年間でやったわけですが、今後、18年度から5年間の先を見通したときの子どもの数の減少による教職員定数の自然減がおよそまいなす8,000人ぐらい見込まれるということになるわけでして、現在の国の財政状況が非常に厳しい中で、現行、第7次計画ですら自然減がまいなす2万6,900人に対しまして、改善増がそれと同数の2万6,900人ということで差し引きゼロだったということであれば、第8次改善計画についても、おそらく自然減の範囲の中で対応することが財政当局からは強く求められるということになる。
 これは実際やってみないとわかりませんが、そういう形が極めて高いということになりますと、マックス8,000人の改善計画にしかならないわけでして、8,000人までとれればいいほうだと思うんですが、8,000人について改善計画の具体的な要素としてどういう事項でやるのかということを考えますと、例えば35人学級なり30人学級を全学年、小学校1年生から中学校3年生までやるということになると、これはかなりべらぼうな財政負担が新たに生じてしまうということでありまして、数千億のオーダーで出てきてしまうということになるわけで、これは現実問題としてなかなかとり得ないということになると、少人数学級をやるのであれば、どういう形で進めていくのかということを財政的な制約の中で考えなければいけないということにもなるわけであります。そうすると、おのずとある程度、選択肢の幅というのが現実論としては狭まってくるということになるわけでして、その辺も含めて、よく検討していただかなくてはいけないことになるのかなと。
 繰り返しになりますが、1点目としては実態的な効果、データの検証ということが必要不可欠だと思いますし、2点目としての財政的な制約ということはあるわけなので、その辺を総合的に判断して、最終的に吾妻委員がおっしゃる2つの方向性、どちらをとっていくのかということをこの協力者会議においてご検討いただき、文部科学省に対してアドバイスしていただければ大変ありがたいなと思っております。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 吾妻先生、何かコメントございますか。

【吾妻委員】 皆さんのご意見をお聞きしたいと思うんですが、ただ、私が一国民として、一保護者として、あるいは教育に関心のある普通の人として、第7次が終わって第8次になるときに、先ほど申し上げましたように、42道府県で30人程度学級を、自主的という言葉はおかしいんでしょうけれども、それぞれの立場でやっているこの日本全体の教育的な雰囲気の中で、文部科学省はそこの部分は全く踏み込まないと。少人数指導だけということで国民が納得するのかなという感じを素朴に持っております。
 以上です。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 どうぞ、門川先生。

【門川委員】 文部科学行政として、現在の財政事情等を無視した施策は立てられないというのはよくわかるんですけれども、これだけ教育が困難で、かつ教育に対する国民、保護者の関心が強い中、地方で非常に財政事情が厳しいにもかかわらず、例えば京都市でしたら、独自に5億円近いお金を使って小学校1・2年生35人学級をやる、かつ京都府の措置ですけれども、小学校1・2年生では31人以上には、非常勤講師による複数指導をするということに、なけなしのお金、独自予算を投入してやっている。国ではそんな中で、第七次改善では学級定員を減らすのではなく、少人数指導による指導法の改善を行われ、全国的にいろんな成果が上がってきた。これも評価されるべきであります。しかし、小学校で41パーセントの学校が1人も少人数指導加配がされていないという現実があります。また、これはまいなす2万6,900人の自然減の枠組みの中では35人学級に踏み出せないという中での一つの工夫だった面もあります。しかし、この教育改革真っただ中のときに、今の延長線で、かつ財源が自然減のまいなす8,000人の枠の中でやるんだったら、こんな会議を作り、議論しなくても、もう地方に全部任せていい話でして、8,000人の予算を地方に任せたらいいわけです。この会議として、やはり国民に、また政府に、あらゆるところにアピールしていくんだったら、少人数学級と指導方法の改善を両方組み合わせて、教師の大幅な定数増はどうしても必要なんだということを力強く打ち出していかなければだめだと思います。
 地方は、そんなに余裕のあるお金でやっているところはどこもありません。国も大変だけど、地方も大変な中で、京都市でしたら、この10年間で市職員2,300人を削減して独自予算での教員を採用しているわけです。その辺もお考え願いたいと思っています。今、行財政改革の中で地方公務員を減らしていこうという方針が出されていますが、教員も地方公務員になるわけで、非常に危険な感じがしております。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 高浦先生。

【高浦委員】 私は、やっぱり幾ら地方で35人とかの数が多くなったといっても、それはそれだけでしょうし、私などは、何の効果を出そうとしたのか見るんですけれども、を。それは、地方になると、教育的な要求だけじゃなくて、政治的な判断とか、いろいろあると思うんですよね。中には、市長選挙のために30人学級を公言したから、当選したからしなきゃいかん、そういう場合だってあるわけですよね。だから、私は、少人数学級を導入する県の数が多くなったからやらなきゃいかんというのは少し暴論のような気がするんです。実際、私どもは、研究してみて、そういう成果はないんです。
 さらに、今日の何人か委員の議論を聞いて思うんですけれども、何か学級という集団を固定化するというのか、学習集団といいながら、やはり学級集団に捉われているというんですか。いい証拠に、中学校の話はあまり出てこないんですね。中学校は教科ごとに教員が違いますよね。数学と英語と国語と、同じ先生じゃありませんよね。ところが、ベースはというと少人数になった学級の子どもたちが大体受ける場合が多いんですよね。だから、子どもからいえば、数学も英語も国語も、みんな同じ集団で受ける。しかし、逆に言えば、英語と数学と社会、理科というふうになったときに、教科でほんとうにみんな集団が一緒でなきゃいかんのか。学習集団を分けるということは、そこが同じでなくてよいということですよね。ところが、どうも学級ベースに集団を考えていくと、少人数学級とか少人数指導といっても、少人数学級を作って授業をすれば少人数指導をしているという錯覚に陥るんですよね。調べてみると、少人数指導をしていますというのを見ると、3学級を4グループにするとか。子どもたちを実際見ると、30人や40人いてもばらつきが多いのに、集団を分けますから、物すごく子どもの差が見えるんですよね。それで少人数指導をやっていますというから、それでは中学校の教科別に柔軟に学習集団を編成して授業するということは、もう応対できないんですよね。私はそんなことも思うんですけれども、やはり効果があるというふうに見ていくなり、何かそういうデータを持たないと、ただ市町村が増えたからというだけでは、私なんかはちょっとそういう議論には乗れませんね。そんな気がします。

【高倉座長】 ありがとうございます。
 どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】 一つは、先ほど課長から言われていた件だけれども、実証性というのは、まだ国としてはやっていないでしょう。だから、実証性はこれから出てくるんだろうと思うから、実証性を示して、効果が上がりましたよ、だからという話じゃないですよね。これからこういう効果を上げるためにやるんですよという話だろうと思うから、それは今後の課題でいいと思うんです。ただ、この間の山形の例もそうですが、鳥取は義務教育特別部会で知事からも発言がありましたよね。実際効果を上げている。特に、僕は、最近、各自治体が40人を割ってやってくる、各自治体が非常に主体的に教育にかかわってきているという熱意が感じられます。その中で、学校がだんだん変わってきている。
 だから、不登校が減っていくというのが僕は一番魅力的じゃないかなと思うんですね。要するに、一つは、学校が楽しくなくちゃならない。しかし、楽しい学校がなかなか作り得ないというのがあります。ただ、一部の政治家、また、学者ではないでしょうけれども、識者の中に、私は60人学級で勉強してきたけれども、ちゃんと自分みたいに立派になったという。しかし、あのとき、60人の中のどれぐらいが大学を卒業したかということを見れば、今の進学率とは全然違うわけですから、トータルとして、日本の国民の学歴というのか、学習歴というか、あるいはそういう意味での一つの、あまりいい言葉ではないけれども、人材力、人間力というのは、相対的に、全体的に見て非常に向上してきていると思うんです。ですから、そういうことから見ると、やっぱり一つの歴史的な経過の中での実証性というのは当然だと思う。
 それから、外国がそうですね。フィンランドの例なんかは、僕は説明するのにいいと思います。日本の今のPISAなんかの学力というのは、学校でやった学習にプラスして、塾でやった学習を足して、フィンランドよりも上か下かとなっていますから、塾がなければどうなるんだということになったら、これは大変。韓国もそうなんだそうです。ですから、韓国の教員と話していて僕も初めて気づいたんだけれども、韓国も、塾をプラスして今のあのPISAの成績になっていると言っていましたから、そういうことを考えますと、そういう面では、日本は、学力の指導、いわゆる分かる授業というのがまだ十分に具体的にされているとは言えないと僕は思うんです。ですから、そういう面でももっと効果が上がるような条件整備というのが必要だと思います。
 先ほどから出ていますように、指導の仕方もあるんですよね。別に、少人数にしたら、はい、効果が上がった、そんなものではないと思うんです。では、僻地の子どもたちは学力は全部トップクラスかというと、そうではないですよね。やっぱり人数が少なくてもそうはいかない。そういうのは指導の問題等がある。ただ、私は、個人的な問題で、ちょっと田舎で中学校3年生、2年生、1年生全体で5人の複式学級を持っていたことがあるんですが、教科を別にして2人で持っていたんです。やっぱり個人指導ができていくんです。何で多くの子どもたちが塾に行くかというと、個人指導ですよね。ということで、学習効果を上げるには、やはり子どもたちとマンツーマンできちっと教え込むということは非常に大事なんです。そういう条件整備というのが非常に必要になってきていると思います。外国の例を見てもそうですね。
 ただ、財政負担の問題は言われたとおりでありまして、国も地方も財政は非常に厳しい。ただ、問題は、果たしてこれを政策選択の問題にしてどうするんだということだと思うんですよね。政策選択だと思うんですよ。どっちに金を使うかというようなことがあるんですね。もう既に、財務省あたりは交付税を切ればいいじゃないかとか、あるいは財政規模をもっと減らせという話をずっとしているようですが、それはそれでして、国の財政の問題というのはあってもいいけれども、やはり国として政策選択をすべきだと。これは、イギリスでもアメリカでも、逆に政府が義務教育に力を入れて、金を出しているんですよ。これは何かというと、将来の自分の国のあるべき姿というものを見越しているからでしょう。そういうことを考えて、私は、第8次の定数改善はきちっとすべきだ、それから人数についても、私の主張は小学校の低学年に対しては25人学級でいくべきだという考えを持っているんですよ。あとは30人でも35人でもいいんですけれども、そういうことでやっていかれたらいいなと思います。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 大平先生。

【大平委員】 まだ国の財政状況がこのような中で、非常に難しいというのは実際に感じています。そういう中で、財務省とこれから交渉していく上では、具体的な効果の実証がどう出せるかということが大きなポイントになるのかなと思います。今、課長がおっしゃったとおりだと思うんですね。
 また、前々回の資料の中で、教員が少人数指導あるいは少人数学級についてどのような受けとめ方をしているかという教員サイドのアンケートがあったと思うんですけれども、あれは確かに教員サイドであって、悪い結果が出てくるはずがないのかなと思います。ただ、ここで、子どもサイド、あるいは保護者サイドで同じようなアンケートをきちっととってみたらどうだろうか。おそらく、子どもサイドでのアンケートにおいても、保護者サイドでのアンケートにおいても、私は非常に高い評価が出てくるんじゃないかと思っております。そういう点で、いや、教員が評価するのは当たり前じゃないかという財務省の考えに対して、やはりもっと違った角度で迫っていく資料を作っていく必要があるのかなというふうに思います。
 それに、吾妻委員あるいは門川委員からもお話があったんですけれども、少人数学級にしていくんだという一つの線はきちんと打ち出すべきじゃないかなと私も思います。それと同時に、これもお2人からお話がありましたが、少人数指導も続けていく体制を作らなきゃいけないんだろうと思います。確かに、どれほどの成果があったのかということが明らかに出てこないという部分もあるんですけれども、学校現場サイドで正直な感想を申しますと、まだ今は研究途上についたところかなという感じがしているんですね。だから、この5年間の中でどれだけの成果があったのかという問いかけをされると、なかなか実証するきちっとしたものが出せないということもあるんですけれども、今思うと習熟度になかなか取りかかれなかったような部分もあったりで、足並みがそろって動き始めたというのは、実感的にはここ一、二年ぐらいのものなのかなと思います。だから、その成果がどうだったかということをあまり早く結論づけていくのではなくて、まだ研究途上なので、これから少人数指導の良さがどんどん出てくると私は信じています。
 それと、学級規模をもっと小さくする、少人数学級にするということで、いろいろな指導体制を組めるんだろうと思います。例えば、人数が多い方がよい活動においては2学級一緒にやっていけばいいわけであって、40人学級で教員定数が少ない中でそれを2つに分けても、なかなか効果が上がらない。だから、学級編制の標準の人数を減らして教員を増やし、いろいろな状況、児童の状況や学習内容などによって指導体制を柔軟に組めるようにするためにも、やはり少人数学級というのをきちっと打ち出していくべきじゃないかなと思っております。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 非常に厳しいご意見、そしてその中でも、何か方向性をかなりはっきりさせていただいたような気持ちもいたします。いろいろなご意見を頂戴して、ほんとうにありがとうございました。事務局のほうで、そのいろいろなご意見を少し整理いたしまして、次にもう少し前に飛び出した議論ができるように、ぜひ論点整理をしていただきたいと思います。
 では、次のプログラムがございますので、一応ここでもって、前回に引き続いたご議論は、本日は終わらせていただく。あとは、事務局のほうで整理し、論点を明確にしていただきたい、こういうふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ちょっと時間が押してきてしまいましたけれども、宮崎委員から、本日の第2番目のプログラムでございます特殊教育諸学校における教職員配置の在り方について、同時に小・中学校における特別支援教育の問題も含めて、両方の話をすると大変になるかもしれませんが、メインは特殊教育諸学校における教職員配置の在り方についてご提言いただいて、ディスカッションしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【宮崎委員】 それでは、資料2の1、それから資料2の2をご覧いただきながらお話を聞いていただければと思います。
 現在、特別支援教育を推進するための制度の在り方については、中央教育審議会の特別支援教育特別委員会において検討しているところでございます。この特別委員会の設置に関して、そこに3行書いてございますが、現在、障害のある子どもの教育に関して、一人一人の教育的ニーズに応じた特別支援教育を推進するため、さまざまな施策の展開がされております。文部科学省が特別支援教育推進体制モデル事業を2年間、15、16年と行いまして、各都道府県あるいは市町村教育委員会がかなり積極的にそのことに取り組んでくださっておるところでございます。
 この特別支援教育を推進するということに関しては、次のような背景がございます。
 一つは、盲・聾・養護学校に在籍する児童生徒の重度・重複化が進行しているということでございます。盲・聾・養護学校に在籍する子どもの半数近くが、肢体不自由校においては約4分の3、あるいは80パーセント程度が重度・重複学級に在籍するといったような、障害の重度・重複化が進んでおりまして、そこに対応することが喫緊の課題となっております。
 それから、小・中学校において、LDあるいはADHD・高機能自閉症等のお子さんへの支援が非常に重要な課題となっているということです。これは、今後の特別支援教育の在り方について文部科学省の調査協力者会議が平成15年3月に報告書をまとめた中で、各小・中学校にこうしたお子さんがどの程度いるかという実態調査をいたしまして、約6.3パーセントの割合で存在している可能性が高いということ、県によってこの6.3パーセントというのは様々あるわけですが、かなりの比率で存在している可能性があることが明らかになった。そこで、そうしたお子さんへの支援をきちんとしていく必要性があります。
 それからもう一つは、政府全体の障害者施策の流れがございます。平成15年を初年度とする障害者基本計画において、障害者の社会参加を支援するという観点から、関係機関が連携して、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した支援体制を整備するということが言われていること、また、LD・ADHDなどの発達障害に関しては、昨年の秋に、議員立法で発達障害者支援法が成立して、国政上の重要な課題になってきているというようなことがございます。
 そういったことから、昨年の2月に特別支援教育特別委員会、高倉座長が委員長として設置をされた委員会でございますが、関係団体へのヒアリング等を行いながら、現在、特別支援教育を推進するための制度の在り方について検討を進めてきているということです。審議の経過は、資料をご覧いただければと思います。
 この委員会は、昨年12月に中間報告を取りまとめてございます。中間報告のポイントについては3点、盲・聾・養護学校制度の見直し、小・中学校における制度的見直し、その他関連する事項ということで、2枚目をおめくりいただきますと具体的にそのことが書いてございます。
 基本的な考え方としまして、特別支援教育とはどういうことか、これはもう皆さんご承知のとおりですが、従来の特殊教育の対象となっている児童生徒に加えて、小・中学校の通常学級に在籍しているLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒も対象とするということが明確にされたということでございます。
 もう1枚おめくりいただきますと、特別支援学校という色つきのものがございます。これは、「盲・聾・養護学校から特別支援学校へ」という考え方を示してございます。盲・聾・養護学校については、障害の重度・重複化等に対応するために、これまでの障害種別の学校から、障害種別を超えてさまざまな障害に対応した特別支援学校にしていこうという考え方でございます。
 それともう一つは、この特別支援学校に地域の特別支援教育のセンターの役割を担う機能を位置づけることを提言しているということでございます。
 もう1枚おめくりいただきまして、「小・中学校における特別支援教育の推進」ということでございます。これは、小・中学校における制度の見直しを図っていきたいということです。現行制度の中では、特殊学級、それから通級による指導、通常の学級で特別ニーズを持ったお子さんの指導をしているということになっております。そこで、こうしたありようを改めて、特別支援教育を推進するために、「特別支援教室」に移行することが、今後の特別支援教育の在り方の報告で提起されているんですが、そこへ行くための制度設計をするということが検討課題として挙げてあります。特殊学級と通級を一本化して、LDやADHD・高機能自閉症等の子どもを含めて、障害のある子どもが、通常の学級に在籍した上で、必要に応じて別の場所で指導を受ける形態をとっていく。このことについて、現在、現行制度の弾力化という形で検討したらどうかということが出ているということです。
 特別支援教室の制度設計では、さまざま検討課題というのが出てまいりました。直ちに特殊学級を廃止して特別支援教室に転換するということに関しては、なかなか難しい面もあることから、いわば段階的な移行ということも論議されている。移行のための第一段階として、現行制度の弾力的な運用、場合によっては通級による指導を拡大していくということ、あるいは巡回による指導の制度化といったものが提言されているということです。
 資料2の2をご覧いただきたいんですが、発達障害者支援法、この4月から施行されたものでございますが、これに関しましては、これまで、いわゆる支援の施策の谷間になっていたLD・ADHD・高機能自閉症などの発達障害者への適切な支援を国や地方の責務として法律上明記をした法律であります。
 この方々については、知的な遅れがないということから、通常の学級で教育をしてきたわけですが、さまざま課題が生じていた。そこを、きちっと教育の現場でも支援体制を整備して対応する必要性が出てきたということでございます。こういったようなことから、今般、今後の教職員配置の在り方に関する検討に当たって、特別支援教育を推進するための教員配置の充実という観点から、私としては3点提言をさせていただきたいと思っております。
 1点目は、特別支援学校における教職員配置の充実ということです。特別支援学校については、その機能として、小・中学校等に対する支援、あるいは関係機関との連携調整などを行う地域のセンター的機能を明確に位置づけるということから、こうしたセンター機能を発揮するための教職員配置の充実が必要であると考えられます。具体的には、コーディネーター的な役割を担う教員、これは小・中学校、医療福祉関係機関、保護者との連携調整などに当たる教員でございますが、既に特別支援教育コーディネーターの研修等も行われて、各学校で配置をしつつあるところですが、この役割を担う教員の配置が必要になるであろうと考えます。それから、教育相談の業務を処理する教員、あるいは地域の小・中学校への巡回指導に当たる教員などが必要となるのではないかと思われます。
 2番目は、小・中学校における特別支援教育の推進のための教職員配置の充実ということでございます。特殊学級や通級による指導に代わる新たな制度について、引き続き検討していっているところでありますけれども、その実施のための教職員配置について検討が急がれるわけです。仮に、当面、特殊学級制度を維持するという結論になるとしても、少なくともLD・ADHD等を新たな通級対象とすることが必要であると考えられますし、その場合の教職員配置についての検討がなされなければいけないというふうに考えています。
 それから3番目が、教職員以外の支援人材の確保のための措置でございます。盲・聾・養護学校では、医療的ケアのための看護師の配置をはじめとして、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士といったさまざまの専門家が非常勤講師等の形で学校教育に参加するようになってきてございます。また、小・中学校においては、平成15年度から、いわゆる認定就学制度が実施されていることもありまして、市町村の単独予算による介助員等の配置が広がってきております。これらの支援人材に関して、昨年度までは国の緊急雇用対策事業の予算の活用がされておりました。本年度から国費の予算がなくなっておりまして、地方からは何らかの新たな配置を求める声が強いというふうに聞いております。定数改善というのとは別の課題かもしれませんが、このあたりを検討する必要性があるのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 今、特別支援教育特別委員会の委員長を私がさせていただいておりまして、非常に苦慮しているところがございます。いろいろと問題を抱えておりまして、総論賛成だけれども、各論反対じゃないんですが、各論は様々だというところを柔軟にどう取りまとめるかということで、大変苦慮しております。しかし、方向は見えてまいりました。
 そこで、教職員の配置ということに関連して、教職員以外の教育の支援者というものを含めまして、今3点にわたって配置の改善、あるいは人の確保というようなことについてご説明いただいたわけでございます。詳しくは、中間報告がございますので、ご覧いただきたいと思いますが、その中間報告の中で、教職員の免許の問題につきましては、これにさらに書き加えをする準備が整っておりますが、それは先ほどご報告いただいた資料2の1に書いてあったとおりでございます。制度的に分かりにくい点もあろうかと思いますが、3点にわたって宮崎委員から配置の問題、あるいは職員を新しく配置しなければならない問題等々についてご説明いただきました。どうぞ、ご質問。

【宮崎委員】 若干、補足的にお話をさせていただきたいんですが、少人数指導、少人数学級の編制という観点でいえば、現在、検討されている制度見直しの中の、LD・ADHD・高機能自閉症等を含めた、障害のある児童生徒に対する支援という視点から、少人数学級編制というのは非常に効果があるということを私も伺っております。
 その視点で、若干お話をさせていただきたいんですが、前の話の中に、生活集団を少人数化すれば学習集団も質的に変化をするんだと。したがって、学級が増えれば、教員が増えて、課題別の学習が可能となっていくというようなお話があったわけですが、これは様々の、いわゆるモデル事業の中で展開された小・中学校で行われている例でございますけれども、学年集団を幾つかの課題別編成にして、国語とか、算数とかいうふうに分けて指導する。そのときに、自分の課題が明らかに分かっている子どもたちにだんだんなりつつある。必ずしも、自分の得意、不得意とするところが分からないということではなくて、はっきりと自分の課題を意識して、自分がいくべきグループに所属して、そこで学ぼうという動きが出てきているんです。小学校2、3年ぐらいから、既にそういった動きがはっきり出ております。そして、かなり効果を上げている学校が出てきているということも事実です。6.3パーセントというのは大変大きな数です。なおかつ、このほかに障害があるというふうにはっきりわかっているお子さんなどを入れたら、約1割近くのお子さんが何らかの課題を持って通常学級にいるんだという実態を念頭に入れて、やっぱり私は少人数指導や少人数学級編制のことも考えていかなければいけないのではないかと考えます。
 その点で、少人数が生む波及的な効果なども当然検証はしなければいけないですが、そういった実情や、実態というのも既に出始めていますので、この点も特別支援教育という視点からも、ぜひ取り上げていただきいたいと思っているところでございます。
 ちょっと、補足いたしました。

【高倉座長】 ありがとうございます。
 この制度、非常に大きな考え方から、制度それ自体も大きく変えていこう。その場合には、やはり条件整備というものがきちっとしないことには、全然この制度が走り出せませんので、そういうことでいろいろ苦慮しておるわけでございますが、どうぞご質問。

【高浦委員】 趣旨はごもっともですが、一方の財政負担のほうは、どういう答申をしているんでしょうか。
 これは例えば、先ほどの学級のこともそうなんですけれども、誤解されては困るんですけれども、政府とかがやるぞと言えばいいわけですよ。私たちは、教育の専門家として中身をやっぱり考えなきゃいかんわけで、そうすると、今の特別支援教育も確かに成果はありますが、同時にこういう答申を出すときの予算措置はどういうふうに考えているんですか。これは、同じパイの中で、こっちにもよこせという話なのか、あるいは、新たに財政当局に特別枠としても申請するということなのか、そこも一緒に説明が欲しいんですけれども。

【高倉座長】 ちょっと、伊藤先生のご発言をいただいた後、山下課長……。

【伊藤委員】 実は、私も大学で教員養成をしてますと、卒業生で、中学、高校の教員がメインでけれども、多くの卒業生で中学の教員になった学生が、大体1クラス2、3人はLDに該当するような子どもがいる、そういう子どもを抱えて40人の規模で教育をしているということで、常にいろいろな苦情等を聞くんですけれども、先ほどの30人の議論もそうですけれども、教師の多忙感、特に若い先生が少ない、小学校、中学校の中で若い先生の負担、これはいろいろなところで議論になりますけれども、多忙感はどんな職種でも同じじゃないかという議論はあるんですけれども、若い先生方が就職して5年、10年でこんなきつい仕事は嫌だといってやめてしまうような状況も一方である。60歳までの定年を勤め上げられない。現職先生で、かなり最近の途中退職者が増加しているという傾向は、おそらく、そういう多忙感、あるいはそこの閉塞感のようなものがあるんだろうと思います。
 そういう中で、今の特別支援教育についても、私は一般のクラスの中にいろいろな障害者を入れるインテグレーションというシステムは、世界の趨勢で、先進諸国が取り入れて実践していますけれども、10年ぐらい前にイタリアの政府とイタリアの学校のインテグレーションの実際を、視察に行ったことがあるんです。イタリアは国で政策としてインテグレーションの法案をつくって決めてはいますが、結局、障害者を入れたクラスに1人の補助教員をつけるというふうな政策で、それも地方あるいは県、自治体独自の予算措置で、財政が豊かなところはできている。ところが、財政の十分でない南部のイタリアではほとんど制度はあるけれども、実際は財政的にできないという地域格差が生まれているという状況を見てきました。それは理念としてはすばらしいのですが、結局、先ほどの議論と絡んで、財政的な措置が、国なり自治体なりでできない中で行われているために地域の差がどうしても生まれてくるというふうな状況ですね。ですから、そういう今の日本の状況で6パーセント程度のというのは、おそらく事実にかなり近い数字だと私も卒業した学生から聞いて分かるんですけれども、そういうものを幾らかでも負担を軽くするという意味でも40人では多いというのは学生からの実態、あるいは学校の現場を見て、40人でいいのかという先ほどの議論と絡まってくるのかなというふうな感想です。
 以上です。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 じゃあ、どうぞ。

【山下特別支援教育課長】 財務課長がおられないものですから、私がお答えできるのも少し限度がありますが、最初にご指摘いただきました財政負担、全体として、やっぱり考えるべきではないかというエールであると受けとめさせていただきたいと思います。この特別支援教育特別委員会で取りまとめていただきました中間報告の中でも国の役割というところで所要の条件整備もきちっと検討せよと。これは、委員会の中でのご意見でもたくさん出ておりまして、一応、こうした形で記述をしてございますし、この中間報告についてパブリックコメントを昨年の12月にさせていただいて、1,700件近くご意見がございましたが、やはりその中でも、まさに今伊藤先生がおっしゃったようなことも含めて条件整備をしっかりやってくれというご意見がございました。
 ただ、今回、新たに特別支援教育の制度の中で今検討しておりますのは、今も通常の学級にいるLD等の子どもへの支援の枠組みでございまして、今、盲・聾・養護学校に在籍している子を通常の学校のほうにどんどん送り込もうというようなことでは必ずしもございませんので、いわゆるインテグレーションないしインクルージョンということがございますが、そうしたことを今真っ正面からこの中で検討しているわけではなく、今も通常の学級にいる子どもに、より支援を充実しようというのが基本ラインであるということは申し上げておきたいと思います。
 何とぞ、どうぞ、よろしくお願いしたいと思います。

【高倉座長】 伊藤先生、よろしいですか。では、ありがとうございました。どうぞ、またご発言いただければ。
 今の件ですけれども、これの中間報告の19ページの国の役割についてというところでございますけれども、義務教育費国庫負担制度の改革の動向等を踏まえつつ、教職員配置等の所要の条件整備について、あわせて検討する必要がある。あわせて検討する必要があるのは当たり前なんですが、もうちょっと勇ましく、アピールの度合いの強いような表現に、あるいは答申までに手直しをするかもしれませんが、いずれにせよここの条件がそろわないことには、せっかくすばらしい理念のもとにインテグレーションないしはインクルージョンというような教育のシステムをつくってそれを発展させようと思っても、なかなか進まないということだけは確かなわけです。そういったことを国民的な課題として認識して、こういった条件整備についても同様に進めていくということが求められている
と思います。どうぞ、先に門川先生。その次に渡久山先生。

【門川委員】 京都市では文科省、また宮崎先生のご指導も得まして、8年間のいろいろな研究、実践の取り組みのもとに、昨年4月に養護学校を新たに1校新設して、7校体制とし、我々は総合養護学校といういい方をしておりますけれども、複数の障害のある子どもの学ぶ場として発足し、そして、それぞれの養護学校に育みセンターという相談と通学圏の小・中学校を支援する体制を作りました。もちろんすべての学校に看護士を配置するとか、いろいろな取り組みをしましたけれども、地方や学校の独自負担が大きくなってきています。教職員は熱心に取り組んでいただいていますけれども、セブン・イレブンというような朝から晩までの状態で、校長先生・教頭先生や部主事は1ヶ月に土日を含めて1、2回しか休めないというぐらいの限界の中で頑張ってくれています。育みセンターは、年間1,600件を超える相談があるという状態です。当初は、試行錯誤しながらも親に地域に、あるいは小・中学校に信頼されているため相談が多いわけですけれども、やはり、本当にこれから大事な部分について人員が要る。そこで、背に腹はかえられませんので、それぞれの養護学校が、今ボランティアを募集・育成し、活躍していただくため各校20名募集し、養成講座を各校で開催しています。しかし、そういうボランティアも大事なんですけれども、同時にやはり専門家の体制が必要だと思っております。先進的な取り組みの例から、国のご支援の必要性を強く感じており、どうしてもお願いしたいと思います。

【高倉座長】 前に特別支援特別委員会において、京都市の取り組みについてヒアリングでもってご報告いただきました。ありがとうございました。
 渡久山先生。

【渡久山委員】 今、宮崎先生から言われたのを僕は全面的に支持するというか、支援するという立場に立ちます。ただ、この中間答申も何かというと前の協力者会議の報告に比べて後退しているという感じを受けるわけです。今、いろいろありましたように、インテグレーションとか、あるいはインクルーシブというのは世界の流れです。特に、障害児や障害者教育のための、アメリカだとか、あるいは北欧あたりは、もっともっと前進しているわけです。金も使っているんです。それからいうと、日本はまだまだ遅れている。状況としては非常に遅れているというのが全体的な問題じゃないかなという気はします。そういう面では、先ほど、先生もまた課長も拘られたんですけれども、現在の中で最低この程度はという感じです。ですから、やっぱりもっとこれは今後、答申を出される場合、これは高倉座長が担当されるわけですから、もっときちっとした、きちっとという言葉は悪いんですけれども、やはりほんとうに欧米に比べて、遜色のないような障害児教育や障害者の取り組みや教育をぜひ打ち出していただきたいというのが1つの希望です。
 具体的な話で申し上げますと、今出ているものの中で、それは教員あるいはまた教員以外の職種は配置を可能にし、また増やすということも非常に大事ですが、ただ、1つは現場感覚でいうと、コーディネーターなどは新しい職種じゃないけれども、仕事が増えるわけです。そうすると、これはきっと兼務だと思うんです。そうであれば、煩雑になる、兼務になるということになってくるから、これをどうするんだと。やっぱり、それらに対してプラスアルファの定数が必要じゃないかということが1つです。
 それからもう1つは、先ほど言われた免許制度です。 免許も今度、要するに、複数障害に対して対応できるようにという免許になります。そうすると、一般教員よりもプラスアルファの単位をとらなくちゃならないです。そうしますと、そのための新しくできてくる免許を持った教員はそれなりに待遇されるのかどうなのか、今までと同じになるのか、そうだったら、ちょっと単位を義務的により増やさせて取らせるわけですから、そうであれば、それなりの待遇というのがあってもいいんじゃないか。そうでないと、どうもまた、専修免許みたいになっちゃって、これでは熱意が伝わらないような気もしますから、そういう面を含めて両方の面から教職員定数の改善というものは十分考えていただきたいし、待遇改善も考えていただきたいと思います。

【高倉座長】 どうも、ありがとうございました。
 協力者会議の報告書より後退したというような意味というのは、いろいろな意味でとられているようでございます。特に、小・中学校における特別支援教室の設置の問題につきましては、どうも少し腰が砕けているのではないかというようなご批判が一方ではある。しかし、一方からいいますと、先ほど1,700件ものパブリックコメントに対するさまざまなご意見の中で、今の特殊学級というのは、子どもたちの居場所なんだ。この居場所だけは取り崩さないでくれというような現状維持のご意見というものも非常に多い。そのあたりをトータルにどう判断していくかというような非常に難しい問題も一方ではあるわけでございます。
 したがいまして、新しく提案されております、特殊学級にかわる特別支援教室に急に移行するということではなく、やはりいろいろな実践の成果というようなものも踏まえながら、徐々に、しかも弾力的に実現を図っていこうというようなスタンスでいるわけです。そのことが、後退した、後退したと言われる1つのポイントでもあるわけなんですが、そこのところで蛮勇を奮ってそれ進めというようにいくかどうか。理念云々というようなことも確かにありますけれども、実際に今、特殊学級に子どもを通わせている保護者の方々のご意見というものは、子どもたちの居場所としての特殊学級を潰さないでくれというような、非常に切羽詰まったご意見が渦巻いている。このことも、やはり十分考えていかなきゃならない。その意味で言いますと、単に、後退した、後退したというようなことを言われるということは、ちょっと気になるんです。
 ただ、バックアップ、条件整備のことにつきましては、これはやや腰が引けているんではないか。どうぞ、先生。

【渡久山委員】 今のバックアップ体制、これはこれからやっていただきたいということで、教職員定数の改善と待遇の改善というのはやってほしいということなんですが、今、後退したと言われるのは、私は2つあると思うんですよ。
 1つは、やはりサラマンカ宣言あたりで出てきていたインクルーシングをやはり進めていくべきじゃないかと、いく方向でいいんじゃないかというのが協力者会議の流れだったと思うんです。しかし、今先生おっしゃったように、障害者団体とかいろいろ聞いてみたら、現状維持でいいじゃないかと、1つは、じゃどのように改善されるのかということに対する不安がある。だから、確実にこういうようによくなるんだという感じがどうもこない。だから、それだったら今でいいじゃないかということが1つ。
 もう1つは、財政問題とかいろいろ出ていますように、日本は国全体として障害児や障害者に対する理解が非常に薄い。まだ、十分じゃない。そういう中で、このようなことをやっていくことによって、本当に障害を持った子どもが幸福になるだろうかどうなのかという、またそのような不安がある。それで、現状維持という話が出ていて、特に、しかしそういったって、例えば、今先生おっしゃったように、今までは特殊学級といっていたのが、特別支援学級という言葉を変えていくというのは、やはり一歩前進です。ですから、すべてが後退しているというような評価ではないですけれども、そういうようなことのようですから、ちょっと誤解をなさらないように、また私が後退していると結論的に言いましたけれども、必ずしもそれだけの問題じゃないですから。

【高倉座長】 私が後退していると言うのは、現状から後退というんじゃなくて、協力者会議の報告書から見ると後退しているのではないかというふうなお叱りをいただいていることは事実だということを申し上げておるわけです。
 どうぞ、いろいろエール、その他、お願いいたします。島宮先生。

【島宮委員】 高等学校の現状なんですが、定時制課程にやはり障害を持つお子さんが入学するケースが多いんですね。結局、高等学校段階では免許を持つ教員がまずはいない。それから、その生徒への対応、そのための予算措置というものがなかなかないという点でかなり制度的に不足している不十分な状態であるというふうな現状があります。
 あと、やはり高等学校ですから、単位の認定等、その他いろいろあるわけです。こういう点についても非常に難しい状況に今落ち込んでいることがあります。
 それから、さらには修学旅行等で引率する場合、やはり特別にその生徒に対応するためのメンバーと申しますか、やはりこの枠が予算的にとれないというふうな現状があります。非常に今、抱えた学校にとって、言い方はあまりよくないかもしれませんが、非常に苦慮している。そういう状況が現在あります。是非、小・中学校で、義務教育の中で条件整備が進めば、高等学校部分についても波及効果があらわれるのかなと期待しております。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 このディスカッションする場合に、最初は義務教育という枠内でもって、あるいは少なくとも、そういう枠内に中心を置いて議論をしていたということは確かなんですが、それではまずいと、もうちょっと後先、幼児教育の問題、それから後期中等教育の問題、後期中等教育ばかりではなくて、これは総会でご指摘を受けましたけれども、後期中等教育等を終わって、就労を目指した職業教育の充実や、高等教育機関での就学支援という、そこまでやはり踏み込むべきだというようなご指摘をいただきまして、したがいまして、答申では後期中等教育等における特別支援教育の在り方についてということで幅広に、しかも就職支援の問題まで書き込むというような踏み込み方をしているわけでございます。しかし、書き込むのはいろいろと書き込めますけれども、そのためにはそれを実現するためにはどんな条件が整えばいいのかという、非常に大切な問題、課題を抱えているわけでございまして、そのあたりにつきまして、いろいろとご理解、ご支援、あるいはアドバイスなどなど頂戴したいというわけでございます。
 どうぞ、もうちょっと、あとお1人ぐらいよろしいでしょうか。急にいろいろと特別支援教育の改革の問題については、いろいろと情報を得られていらっしゃると思いますけれども、また今日初めて聞いたよというような部分もあるんではなかろうかというように思います。いずれにしましても、中間報告の本体を用意してありますし、そこに新しく加わるものとしては、免許の問題、先ほど渡久山先生からもいろいろご発言がありましたけれども、これもまた、いろいろ大切な問題ですが、それが入り込んでくる。それから、今、いわゆる特殊教育の担当の先生方には普通の免許状プラス特殊教育の免許状というものが、プラスして課されるというのが筋道でございますけれども、特例によりまして、当分の間、何十年もが当分の間ということは私はいかがかと思いますけれども、そういった制度になっておりますけれども、その当分の間は外していこうと、必ず特殊教育に関するそういった免許というものを所有しなければならない。しかし、そうなったらなったで、渡久山先生のご指摘じゃございませんけれども、2階建てになるわけでございますから、2階建ての免許というものが取れるのか。しかも、特別支援学校におきましては、基本的にはこれまでの盲・聾・養護学校というような、そういうような仕切りを取り払おうというのが基本的な考え方でございますから、だとすれば、これまで盲・聾・養護学校の免許状というようなものを1階建ての上に建てていたので、それですんだのかもしれませんが、そいったものを束ねて、さらにはコーディネーター、あるいはその他さまざまな役割機能を果たせるような資質能力を備えた、あるいは資質能力を担保するような免許というのは一体どういう中身になるのか、大変なことになろうかと思います。そういったことも含めて、それのバックアップ、広い意味での条件整備、条件整備というのは金がかかるわけでございますので、そういうことについて、いろいろなご理解、あるいはいろいろなアドバイス等々を頂戴したいということでございます。
 私も相当追い詰められておりますので、いつまでも、いつまでも、答申延ばし延ばしにしているというわけにはいかない。しかしながら、一方では、財政の問題というものは避けて通れない。そのようなところで、どういうふうなことにおさめていくのか苦慮しているところでございますけれども、もっと苦慮しているのは課長でございます。私は応援団、そんなことを言っちゃいけません。当事者能力を発揮していきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それじゃ、ちょうど時間になって……。吾妻先生、どうぞ。

【吾妻委員】 今日のテーマと違うことなんですが、今日頂いた資料4の今後の日程を見ますと、次回からは関係団体のヒアリングに入るんです。それで、最初の検討の論点の中で、くろひしがたの2つ目の教職員配置についてのまるさんかくの2つ目の教員の資質向上のための研修等定数についてということに該当するんだろうと思って発言するんですが、中教審の教育制度分科会の地方教育行政部会、昨年1年間やったわけですけれども、この橙色の部会のまとめ、17年1月13日付でいただいているわけですけれども、これの13ページのところに教育長・教育委員会事務局の在り方の見直しの(4)のところですが、教育委員会事務局の体制強化ということで、教育行政の質は、指導主事、社会教育主事など、専門的職員の存在に大きく左右されるものであり、その配置を充実することが重要である。特に、指導主事は学校に対する評価専門的な指導を行うもので、教育委員会事務局の中で、中核的な職員であると言える。都道府県や政令指定都市では、学校指導に必要な一定の指導主事が配置されているが、市町村ではその規模が小さくなるにつれ、配置されない傾向があり、指導主事を配置している市町村は、全体の約3割にとどまっている。今後、市町村において、指導主事の配置を充実することが望まれるという文言があるわけでけれども、規模の大きい都市部は心配ないと思うんですが、町村合併がどんどん進んでも、やはり町村は残るわけです。そこの教育委員会の事務局が非常に脆弱だといいますか、専門的な職員が少ないという中で、この指導主事を小さい町村でも配置するような何らかのことが、今回の中で一度議論をいただいたほうがいいのかなというようなことで、一言申し上げておきます。
 以上です。

【高倉座長】 ありがとうございました。
 その問題というのは、かつて臨教審の当時、教育委員会の活性化の議論をしまして、報告書等々をまとめたそのときも、また同じようなことを書き込んで、10年たってもさっぱり事柄は動かないのかなというようなことを思いますと、何て言ったらいいのか、残念です。今、ご発言をいただいたことを我々が議論している教職員配置の報告の中に盛り込めるのかどうか、事務の共同実施、あるいは教職員の資質向上のための研修、指導主事が資質向上のために果たす役割というのは非常に大きいわけですので、そういった意味で、やはり何らかの形で触れていくということが求められるではなかろうかというふうに思いますけれども、また事務局といろいろ相談して、そのあたりのディスカッションの論点を整理させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それじゃ、小熊専門官どうぞ。今後のスケジュールについてお願いいたします。

【小熊教育職員配置計画専門官】 今日はご議論ありがとうございました。
 今後の日程についてでございますが、次回第4回、6月20日月曜日、14時から16時、東京国際フォーラムで予定をしております。内容といたしましては、教育関係団体のヒアリングを行う予定としております。第5回を6月23日に行う予定としておりますが、こちらは2回にわたりまして、教育関係団体のヒアリングとさせていただきたいと思います。実質的な議論になりますのは第6回でございますが、現在は7月1日金曜日を予定しております。日程を変更しております。前回、6月29日でお知らせをしておったかと思いますけれども、7月1日に変更させていただいておりますので、ご了承いただきたいと思います。場所については、また追ってお知らせしたいと思います。
 以上でございます。

【高倉座長】 どうも、ありがとうございました。
 それじゃ、ちょっと時間をオーバーしてしまいました。非常に難しい問題、しかし私ども、次の世代を担う子どもたちをどういうふうに守っていくのかというふうな非常に重要な課題に当面しているわけでございますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。今日は、ありがとうございました。

―了―

(初等中等教育局財務課)


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ