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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 調査研究協力者会議等 > 初等中等教育における教育の情報化に関する検討会 > (第2回)配付資料 > 資料5


資料5


「『情報教育』の内容の充実について」
委員の意見等の整理(分類)


【 留意事項 】
 以下の資料は、現時点において会議等で出された委員の意見等を項目ごとに分類したものであり、文部科学省としての考え方をまとめたものではない。今後、変更もありうる。


0.検討の前提について

   情報教育の重要性は多くの教員は理解している。情報教育が進まない理由は、どの発達段階で、どのような能力を、どの教科等で身に付けさせればよいか、具体的な指導場面が明示されていない「あいまいさ」にあると考える。


1.情報教育の内容の充実全般について

   「情報教育の内容が不明瞭」というが、内容の明確化はデメリットも含んでいる。体系化、明確化が進めば、教員は、それのみを行えばよいと考えるようになり、教育現場での発展的な教育が阻害されることもあり、また、情報化の進展を無視した指導が行われることも懸念されることもあることを念頭に置くべき。

  (1) 情報教育の「学習目標」又は「指導内容」

    【総論】
    情報教育は、世界各国において、情報化社会、知識社会において重要な課題。昨今、総合的な学習の時間、ゆとり教育が批判にさらされているのは、初等中等教育の段階での教育のあり方が問われているということ。他教科等の学習も重要であるが、情報教育も明確な目的と内容を持った骨太の学習が求められる。教育の方法も重要だが、やはりしっかりとした内容のあるカリキュラム構成が重要。そしてそれを達成するために方法があるのであり、方法が先にあるのではない。新しい科学・技術的学力を情報教育を通して形成していくための明確な枠組みが求められる。それ故、抽象的、理念的目標設定は多くの誤解を招く
   「情報手段」への偏りの修正について
 現状では、情報教育と言えば、多くの教師が情報手段の教育を思い浮かべる。情報手段の活用も大切だが、少し偏りすぎているように思われる。情報手段が高度になればなるほど、「情報の中身」を扱う能力がより強く問われることになるだろう。手段の前に情報そのものを適切に活用して、合理的判断や創造的思考、表現・コミュニケーションなどに役立てる力が必要である。社会の変化速度が増し、情報手段の変化も激しく、ものごとの実体や人々の価値観がどんどん変わる中で適応的に生きるには、よりベーシックな情報活用能力の育成が要求される。なぜなら、ベーシックな能力こそが、最も応用がきき、どのような変化にも対応しやすいものだからである。
   情報教育について、学習目標、それを習得する意義、内容、指導法、評価といった事柄を体系的に捕らえていく必要がある。
 現在、学習指導の在り方と学習目標や内容との関係は不明確。高校普通科「情報」でさえそうで、ましてや他の教科での情報教育は、総合的な学習の時間と相まって、何を学び、どのようなスキル、コンピテンシーが形成されたのかが情緒的なものになっている。指導法の工夫は重要だが、情報教育としての学習目標が多義であるがゆえに、学習活動の内容が軽いものになり、教師個人の勝手な解釈に陥っているように思う。
    諸外国のカリキュラムと比較した場合、情報科学、情報工学、情報システム学に関連する科学・技術的内容が乏しいのではと思う。
   PC等中心のリテラシー教育のみならず、マスメディアのメッセージを鵜呑みにしないで冷静に対応する力を身に付けさせること。マスメディアにおける情報作成者のように、映像などを用いてメッセージを巧みに作成し、伝達できる能力についての学習も必要。
   小中高において情報教育の指針は示されたが、いかようにも指導できるような形になっている。
   これからの情報教育を考えるときに,不易の部分と流行の部分を十分に検討しなければならないと考える。すでに情報教育が進められてかなりの年数が経過している。その中で不易の内容が明確化されてきていると思われる。また,今後に予想される流行の部分については,どのように変化するか把握できるものではないが,できる限りの検討を加え適切な方向性を示すことが重要と考える。
   これまでの情報教育は,コンピュータを使うことに重点が置かれ,それに伴う資質の向上が図られていなかった傾向がある。しかも,どちらかといえばソフトウェアの使い方が中心である。コンピュータを学習の道具として活用することを中心に検討しなければならない

【「情報活用能力」の三分類に関する意見】
   情報教育の3本柱(実践力,科学的理解,参画する態度)の区分には、余りこだわらない

<「情報の科学的な理解」関係>
   科学的な理解については、一定の基礎学力が前提となろう。
   「情報の科学的な理解」について
 情報活用能力の中でも、「情報の科学的な理解」という部分が、学校教育の場で最も理解されていないという印象を常々受けている。非常に重要な部分なので、より具体的な説明が必要だと思われる。科学的な理解を伴わない実践は、場合によっては危険ですらある。情報判断力の育成にしても、なぜ人間は判断を誤ってしまうのか、どのような要因が判断を狂わせるのかといった科学的な観点からの教育が重要であると考える。人間の情報処理のしくみに対する科学的な理解は、自らの情報活用を評価・改善するために不可欠なものであろう。情報教育の授業の中にこうした内容が盛り込まれ、児童・生徒自身の科学的探究活動が取り入れられることは、科学的センスや学習意欲の向上にもつながると思われる。

<「情報社会に参画する態度」関係>
   参画する態度は、小中高全体を通して指導すべき。
    「情報化の影の部分への対応」「情報モラル」等の「学習目標」「指導内容」については、(2)参照。

  (2) 「情報化の影の部分への対応」「情報モラル」等

 「情報化の影の部分」への対応について
 高度情報社会は、同時にまた、高度情報操作社会であり、高度情報詐称社会でもある。従来より高度なテクニックで情報を意図的に操作したり、歪曲・捏造したりということが容易にできる社会である。こうした被害にあったり自らが無自覚に加害者とならないためには、情報モラルのみでは十分ではない情報に対する判断力、それも冷静で理にかなった合理的な判断力が、何よりも必要である。怪しい宣伝や誘導、自らの感情、思い込みに惑わされず、適切な判断を行う方法を身につけることが大切である。こうした情報判断力を育成することが、情報教育においては欠かせないのではないか。

 情報モラルはソフトウェアに関するものが多いと思うが、最近はスキミングによる犯罪なども出てきている。こちらは、ハードウェアに関する問題。
 小学校ではソフト面の情報モラルを関連する教科等で触れ、中学校では技術分野「情報とコンピュータ」で情報伝達に欠かすことができないハード面の仕組みに関する基礎的な知識を学ばせながら、ハードウェアに関する情報モラルの育成を図っていく、というように発達段階に応じた適切な教育を図っていくことが重要。

 日常的に携帯電話等の情報端末を形態できるようになると情報発信に関して匿名性が高くなる。ますます一人一人のモラルが求められ、心の教育の重要性も出てくる。
 基本的なことは徹底して低学年から指導する一方で、情報機器を活用してできた「心のゆとり」や「時間」は児童生徒一人一人をじっくり見て適切な評価を行う認め励ます時間に当てる。情報機器を活用して短時間で学習ができた場合には、残りの時間を実験・実習などの実践活動や体験活動に当てる等、児童生徒と教員がじっくり向き合いともに活動する時間をつくっていくことが大切。

 情報化の影の部分への対応、情報モラル等の指導が不十分である。
  情報モラル、情報化の影の部分への対応を充実すべき。
 情報モラル、情報化の影の部分への対応は、子どもが小さい頃から行うことが大切。「実践力」よりも先に「参画する態度」を学習させる位でよい。身の危険への認識や、人に迷惑をかけないことについては、どんなに急いでいても道を渡るときに左右確認するのと同様に、自然と身に付けられているべきもの。
 一人の教師がそれぞれの教科の中で従来の指導法で学習を進める場面と、ITを活用して授業を進める場面とがあるからこそ、学習効果が上がるのであり、懸念されている情報モラルの部分の指導も充実していくと考える。勿論、「あいさつ」や「交通安全」など基本的生活習慣や社会的生活習慣にあたる基本的な情報モラル部分は小学校の低学年から指導していくべきであるが、道徳でも、いわゆる「道徳的な題材」でばかり指導を展開するのではないように、情報モラルの育成についても多方面から指導していくこと(例えばものづくりをしながら情報化の重要性を学び、その情報化を支えるためのモラルを考える等)が重要
 情報モラルに関するカリキュラムづくりと啓発活動
 情報モラルについては、教員が体験していないところに問題がある
  研修プログラムの充実が必要。
 情報モラルの問題は重要なので、情報化社会におけるモラルの問題として、関連する教科等でも触れるべき。
 情報教育の現状は,特に初等教育では,コンピュータを使用させることが中心となっており,情報の光と陰の部分で陰についての指導がなされていない状況である。これは,これまでにない新しい指導であり,指導者自らが体験しながら指導している現状にあると考える。一般的に教育はこれまでに教育内容として確立(一般化)されたものによって構造化され,カリキュラムとして編成し教授している。コンピュータを中心とした情報教育は,コンピュータの進展とともにその内容は日進月歩であり、指導者も子ども達と同じ次元で程度の差はあるものの学習しながら教育活動を進めていることが現状である。また,子ども達を取り巻く情報環境は,指導者の体験や経験のスピードを遙かに凌ぐ勢いであることは携帯電話などを考えることによって容易に判断できると思われる。このような状況を考えれば,どのような内容を指導すべきか,指導内容の基礎的・基本的な内容を明確にするとともに,陰の部分についても子どもの発達段階を考慮した指導体系を確立する必要があると考える。
 情報モラル教育については、社会の現象を追ってやっても効果がない。不適切なサイトに対応した情報モラル教育などと言っても、子どもは家に帰れば不適切なサイトにアクセスしてしまう。社会全体から見て教育を考えるべき。有害サイトの取り締まりなどを放置して学校教育で、というのは無理がある。

  (3) 各学校段階の指導,その連続性,指導内容のレベル分け
【指導の連続性,指導内容のレベル分け関係】
    小中高の連続性(中略)を再度、十分検討し、能力や態度形成といった事項を学習内容と関連させていく必要がある。
   情報教育の評価については,(情報教育の)教育内容が明確化されなければ困難。子ども達の発達状況を考慮した学習内容を提供し,それらが身に付いているかを評価する構造化が重要である。
   今後,家庭電化製品などもネットワーク化が急速に進展することから,広範囲な内容が考えられるが,子どもの発達段階を考慮した検討が必要である。
   こどもの発達段階に応じて何を目指し、どこをクリアすべきかを明確にする必要がある。小中高のレベル分けが必要。
 情報教育の目標リスト(小学校・中学校)の評価の視点・教育方法の公表。(情報教育の目標リストの吟味 等)
 小中高の連絡会議を設置し、それぞれの段階で目指すべき目標を明確に提示することが大事。
    大学も初等中等教育段階での情報教育の内容に大きな関心を寄せている。
    初等教育では,活用(ソフト的)を中心としながら心の教育の柱立てを行い,中等教育では,ハードウェアを含めた柱立てとすることが重要であると考える。その際,各教科の学習内容を考慮した情報教育の進め方に関する手だてについても併せて検討しなければならない。
【小学校】
   小学校では、関連する教科等で幅広く情報教育を扱っているが、情報教育の位置付けが難しい
【中学校】
   中学校、技術・家庭科「情報とコンピュータ」の意義
 技術分野の学習内容は、「ものづくり」と「IT」という対極にあるかに思われるものであるが、生活の中で生きるITを実感させる上ではこの両者を一人の教員が教えるということに大変意義があると感じている。情報化の光と影の部分がよく話題に上がるが、「ものづくり」と「IT」を技術分野で系統的に指導することにより両者が互補的な役割を果たし、それぞれの「影」の部分を埋めあえると考える。
【高等学校】
   現状では、情報機器操作に関する生徒のスキル、能力、認識にもばらつきがあるが、2,3年後は、高校に入ってくる生徒のスキルも一定の水準が確保されるようになろう。その段階でどうするか、学校としても迷うはず。
    ポスト情報A,B,Cの科目内容の検討

  (4) 各教科等間の情報活用能力の指導分担
 (前略)各教科等の中での守備範囲を再度、十分検討し、能力や態度形成といった事項を学習内容と関連させていく必要がある。

  (5) 情報教育の内容の充実を図る手段
 本検討会で行うべきは、情報活用能力の発達段階を明示し、それを各教科等にマッピングし、学習指導要領レベルでわかるようにすることではないか。
  指導要領、さらにはその解説書に記されていること手引き等としてもう少し具体化したものを教員に提示して欲しい。
 (指導要領等を具体化したものを示す際に、)小中高という発達段階に応じたきめの細かい指導計画等を試作すべき。
 表現・コミュニケーション(仮題)の学力リストの作成、情報モラル教育の重視等
 ハードウェア,ソフトウェア,心の教育(モラル)のようにそれぞれを取り上げて学習するのではなく,総合的に学習する機会を作らなければならない

【IT環境との関係】
    (情報活用能力の育成は)IT環境の整備とも絡む話。教員は簡単なものでなければ使わないという実態も考える必要がある。
    一人一台の学習利用パソコンの貸与の準備
(事務局注:児童生徒の情報活用能力の育成を目的とした部分として
   携帯の普及のように、子どもをとりまくIT環境は急速に進んでいる。携帯等、全てのIT機器を包括した形で情報教育を進めるべき。
    情報教育の充実に当たっては,まずインフラの整備が重要である。施設・設備が整備されていない状況の下で実施できるものではなく,ハード,ソフト面を充実させるための施策が重要である。

(6) 検討を進めるための手段
 新しい教育体制や内容を構想していくにあたり、海外の事例が参考になると考える。a)ITの利用b)情報モラルやITの安全問題、それぞれがどのような科目やカリキュラムで教えられているかということ。また、c)マスメディアなどIT以外のメディアに関するリテラシーについても、どのように教えられているかに関心がある。
 会議においては、そうした資料を配布し、専門家からヒアリングをする等は意味がある。そうした資料が国内に十分蓄積されていない場合、日程的に可能であれば、研究会を立ち上げたり、委託研究を行うことも考えられる。
  大学や社会が何を求めているかを検討する。初等中等教育を終えた子どもたちに、大学、さらには社会が何を求めているかを、アンケート調査等で明確にすべき。その分析の中で、学んで無駄ではなかったという実感の持てる内容を構築すべき。
  「手引き」については、よく書かれている。まずは、これを実践している現場の先生に渡し、その現場の意見を聴取すべき。
 以前、旧文部省の科学研究費で調査した「情報教育のための小中高の接続性を有したカリキュラムの開発」等の報告書があるので、参考にしてくれればと思う。


2.情報教育の定着に向けた取組みについて

    センター試験等を再検討する。「情報」は教科として独立しているから、大学入試センター試験になじまないことはない。
    「情報」の教員に対する大学院レベルの再教育
   情報教育について、(学校ごとに)一人は体系的に指導できる先生がいるようにするべき。手引きも、それにより活用が進むと考える。
   情報教育の必要性に関する国民的理解を得るための啓発活動
(公共広告機構のように、TVなどで必要性をアピール 等)


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