(1) |
開会(池上座長)
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(2) |
配付資料の確認 |
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事務局より配付資料の確認が行われた。
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(3) |
議事 |
○ |
報告書素案について、事務局から説明を行った後、自由討議が行われた。
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【 |
池上座長】 |
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素案に、例えば「必要がある」とか、「重要である」「大切である」「求められる」「期待される」という書き方がされており、我々が提言をしたのか、ただ単に重要性を指摘したのにとどまっているのかがわかりにくい部分があります。文末にかかわりなく、検討会の具体的な提言として扱われると理解してよろしいですか。
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【 |
齋藤国際教育課長補佐】
そのとおりです。第三章の冒頭に「本章においては国際教育の充実のための具体的方策を提言する」としてありますので、文末にかかわりなく、本検討会の提言事項となります。
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【 |
根道委員】
第3章は1、2、3、最後に4「国際教育の総合的な推進のために」となっておりまして、結局、国として行う政策は教育拠点の形成と資源の共有化・連携強化であると、4の部分に最終的な提言は集約されていると理解をするべきなんでしょうか。
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【 |
山脇国際教育課長】
必ずしも国がやるのは、4の部分に書いてあることのみではないと思っています。今まで、国際教育を進めていこうとしても、なかなか重点的に行う方策はなかったので、今後の取り組みの方向性として、1つは拠点をつくっていく方式、もう一つは底上げを図るような共有化と連携を進める方式、そういうものを組み合わせて進めていくべきではないかという大枠の考え方をここで示していただいたと思っています。
これ以外にも、例えば教育委員会の人事配置上の工夫を促すような方策については、国として別の方策を考えなければいけないかもしれませんし、国で行うべきものは4に書いてあることのみで完結しているというわけにはいかないかもしれません。細かい部分については、3章の1、2、3に入ってくるかと思っています。
ただ、前回ご議論いただいたときに、全体的に総花的で一体何が重点なのか、目玉は何なのかというご指摘もありましたので、最後の4の中で、国の取り組みを二つの観点から述べることといたしました。すなわち、国際教育の先進的取組を行う地域の拠点をつくって先導的に広げていく、という支援方策と、外部との協力のためのネットワークをつくる、教員のワークショップをやっていくなど、国際教育の底上げを図るようなボトムアップ的な支援方策を進めると。このように大きな概念のもとで進めていくほうが、より明確に、支援の在り方がわかるのではないかと整理したつもりであります。
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【 |
紿田委員】
3章の中に書いてあることは、少しオーバーラップしているのかな、という感想を持ちました。だから、最初は、意図的に4の中で、国としての責任について、国が何をやるべきか、あるいは国だから何をやり得るのかということを抽出したのかなというふうに読みましたが、今の説明をお聞きすると、別の角度からもう一回整理しているという位置づけだと思いました。
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【 |
山脇国際教育課長】
オーバーラップはしているんです。3章の1、2、3までは、非常に多面的に、実践力、授業づくりの面からこうするべきだ、あるいは外部資源を活用するためにこうするべきだというふうに、総合的にみて行うべきことを書いています。では、それをどうやって効果的に支援していくか、ということを考えた場合に、4でまとめたようなことがアプローチの方法として使えると。
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【 |
紿田委員】
それが国が本来行うべきインフラ整備という意味ですね。
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【 |
山脇国際教育課長】
そうです。インフラ整備を進めるのに効果的なアプローチの方法を挙げている、という考え方です。それで行うべきことが網羅できると一番いいのですが、漏れていることがないと言い切れないというのが、先ほどのご質問に対する答えなんです。
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【 |
中島委員】
第3章の4を第4章として、方法論とプライオリティーについて書き、いろいろな提言の中で重点を置くべき点を書いてはどうかと考えております。
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【 |
池上座長】
私は4について、我々が提言するうち、ここだけは忘れずにやろうという、国がやるのであれ、どこがやるのであれ、こういうことをやるべきだという提言だと理解しました。予算と労力を割く決意をするため、強く言う必要はあると思っています。
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【 |
紿田委員】
この部分は、文科省が国としてここまでやらなければいけないというふうに自覚しているんだと、非常に善意にとりました。
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【 |
齋藤国際教育課長補佐】
この第4パラグラフは、主語を「国は」と明確に書いております。国はこのような事業の形で現実に行っていくということを言っているわけです。この事業の中で第3章の各提言事項を事業の形で実現していくとこのような形になるということで書いております。
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【 |
紿田委員】
だから、ここでの提言に対する回答の半分ぐらいがここで出ているわけですね。
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【 |
小野委員】
語尾表現について、4については、「推進していく」、「向上を図る」、「強化する」、「支援を行う」と、かなり意識した書き方がされていて、まさに意欲が出ていると思います。だから4の部分を独立した章にするとわかりやすいかなと思いました。
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【 |
小野委員】
これまで、海外子女教育、帰国児童生徒教育、外国人児童生徒教育の3つの分野で養成されてきた人材、手法を活用するということが基本的視点の中で述べられていますが、今小・中・高等学校で行われている国際教育との関連性が全然述べられていないので、国際教育の経験も他の分野に活用するということを念頭に置いた方がいいと思います。
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【 |
多田委員】
構成に関わることですが、3章の2について、(1)「海外経験を有する教員の活用」(2)「個々の努力から共有と連携へ」というのが、(1)がかなり具体的な話で、(2)は比較的理論的な感じがいたします。この(2)の内容を見てみますと、本報告書自体がそうだと思うんですが、いわゆる地域の国際ネットワークを非常に重視しているんですね。そういうことから言うと、(2)を少し分けて、地域の国際ネットワークの形成を打ち出すのとそれに対する支援体制とを分けて、三項立てにするというのはいかがでしょうか。
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【 |
池上座長】
今あるものを利用するだけではなく、そういうものを育てていくことについても入れようということですか。
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【 |
多田委員】
そうです。国際教育の新しい方向というのは地域とのネットワークだとずっとここで語られているわけですから、それが4と対象になる形で、ここでもきちんと出たほうがいいかなという気がしました。
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【 |
池上座長】
本検討会の場でも、映像を使ったり、ネットワークを作って連携しながら国際教育に携わっている団体や、企業出身のOBの会など、様々なグループにご発表いただきましたが、それぞれが活動資金の面で非常に苦戦しているという状況がありました。
そういう意味では、現在存在する団体を活用するだけでなく、そのような団体を意識して育てていかないと国際教育を担う方々が、先細りしていってしまうのが、現状だと思うんです。いい取組を行っているところについては、国として識別した上で育てていくという観点があれば、そういう人たちも非常に勢いづき、元気が出てくるのかなと思います。
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【 |
森委員】
私もインターネットを使った国際交流活動をしているんですが、実際、こういうNPOなどの組織においては、開発資金がすごく得にくいのが課題です。NPO自身が自前で出してボランティアを集めてやっているんです。我々は自治体に場をいただいて、そこで活動していますけれども、新しい国際教育に合ったパッケージの開発支援を視野に入れていただけるといいと思います。
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【 |
岩谷委員】
個々の努力から共有と連携へ、の「個々の努力」という言葉について、やはり個々の団体にしっかりした支援がないと、全体に広がっていきません。個々の団体にしっかりとしたバックアップがあるということはとても有効だと思います。
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【 |
森委員】
ユネスコのパリ本部に行ったとき、もっとITを活用して国際教育をしたい、ということを本部もおっしゃっていました。ユネスコのように大きなところですら、やはりITを使い、専門家を入れる予算はなかなか取りにくいということでした。
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【 |
奥村委員】
ユネスコのアジア教育センターから私どもの学校と区立高校と私立高校が援助を受け、1月末に、タイに生徒を9名ほど連れて、教員が8名ほど出かけました。3月の終わりにフィリピンのマニラに、同じような構成で出かけ、現地の学校と交流してまいりました。
ユネスコの国際教育に基づいて、持続的な開発のための教育という一つのテーマを掲げて、地球的課題を真っ正面からお互いに議論するという高邁な目標を立てて、つたない英語でしたが、生徒が議論してきました。いわば一つの個としての人間である生徒が、タイあるいはフィリピンの生徒とつながったり、結ばれ合ったりしながら、お互いの背景を語り合いながら理解し、異なる文化を越えて理解し合っていく、という過程を見てまいりました。
その中で、本校の生徒が非常に大きな影響を受けたのは、フィリピンやタイの途上国の生徒は、パブリックに対する非常に強い意識を持っている、ということでした。それは豊かな社会で育ってきた本校の生徒が、恥ずかしい思いをすることになったのですが、個と個が互いにつながり合い、はぐくみ合う中で、最後は大きなパブリックの精神をはぐくんでいくことができるのではないか、という大きな期待を得て帰ってきました。
「はじめに」の部分と、資料5「国際『理解』教育と『国際教育』」に掲げられている、異文化や異なる文化を持つ人がつながることのできる力や、自らの国の伝統文化に根ざした自己の確立、そして自ら発信し、行動することのできる力、の前にパブリックの精神というか、民族や国家や地域の違いを超えて、地球的課題につながっていけるということが少し入ればいいかなと思います。
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【 |
池上座長】
NPOやボランティアの育成という点について、例えばアメリカでは行政と民間の間に公的サービスを担うNPOがあって、約120万のNPOで約1,000万人が有償で働いているんです。そのさらに外側には、無償のボランティアの人たちがその何倍かいるという社会で、それが公的サービスの一部を請け負って、例えば病院が行う世話や、老人介護などの本来行政がやっていたものを請け負っているんです。非常に安いコストで、みんなが参加して、自己達成しながら行うという、そのような3つの要素を織り込んだ形で成り立っている。
そういう組織、体制を育てるための資金源はどこにあるかというと、一番大きいのが行政からの補助です。その次が、民間の寄附税制もしっかりしていますので、民間や宗教団体からの寄附などです。アメリカでは、そのように意識して公的サービスを担うNPOなどの団体を育てており、それがあれだけの体制になっていると思います。日本では、行政と純粋な民間の間に、今細々とそうした団体が育ちつつあるという状況です。行政が公的サービス全般を引き受け、全部を自前の予算でやろうとすれば、大変なお金がかかるところを、民間のNPOなどがやってくれるわけですから、それに対しては意識して資金的な支援をして育てていくことが必要だと思います。それから無料のボランティアではなくて、少なくていいけれども有償のボランティアという感覚も身につけるべきではないか、と思います。
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【 |
平野委員】
「しっかりとした指導計画の下で活用する」という部分の主体は学校ですか、文科省ですか。それとも社会一般という、曖昧模糊としたものなのでしょうか。というのは、学校現場は若干まだ国際教育について混乱しているから、学校現場がしっかりした教育計画を持てるかというと、そこまで言い切れないんじゃないかなと思ったので。組織的に行政指導をするというのは、役所がやろうと思えばできます。そういうことを書いているのか、それとももう少し現場の自主性に軸足を置いて書いているのか、ちょっとその辺がわからなくなってきました。
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【 |
山脇国際教育課長】
私の意識では、現場に軸足を置かないとうまくいかないんじゃないかという気がしています。ただ、それが学校だけでできるのかというと、個々の連携とかネットワーク共有というところに重点を置いていることからわかるように、必ずしもうまくいかないと思われます。NPO、NGOとの協力や、国際交流団体との連携をどのように進めていくかということが必要なので、まさしく指導やアプローチの仕方も含めて、学校の先生と外部との協力・協働活動が必要になってくると思っています。
私どもは先日、武蔵野市の取り組みのお話を聞く機会があったんですが、武蔵野市の場合は、教員のワークショップへの支援を国際交流協会で行っていました。運営や企画の段階から学校の先生が入って、一緒に話し合いながらワークショップを作り上げ、先生方自らが参加する形態をとっていました。その中にはNGOも参加して、三者がいつも毎月1回議論しながら、ワークショップの企画立案から実行までをやっている。
そのように、実践ワークショップという研修を形づくることで、外部の方も含めて計画づくりをする、という風に、うまく計画策定の形をつくっていかないといけないと思います。こういう計画でやりなさいといえば先生方はすぐにそのとおりできるというものではなく、話し合いや関係者の意識づくりの中で計画が形になっていくものではないかと思います。そこもやはり試行錯誤があったとおっしゃってましたので、すぐにはうまくいかなくて、武蔵野は5年間ぐらい取り組んで、徐々に広がってきているという事例だったのですが、そのような感じになるんじゃないかなという意識があります。
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【 |
池上座長】
国際的な緊急支援のNGOの出動体制に対して、プラットフォームというのをつくった事例があります。外務省、JICA(ジャイカ)に経団連、NGOも加わって、非常にいろいろな団体が入っていたので、各々の意見が入っていいようですが、反面なかなか機動的にならず、百家争鳴になる可能性もあるなど、理論的には理想形でも、機動力の面で難しさが出てくる可能性もあります。
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【 |
森委員】
子どもたちが国際教育に対してどれだけ向上したかということが最終の評価基準になるので、そういった評価基準自体をこういう大もとのところで開発するのも、重要なことではないかと思います。
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【 |
奥村委員】
異文化を受容し、つながるということは非常に大事で、自己の確立も大事、自らが発信し、行動できるというのももちろん大事なんですが、何のために国際教育をするのかという観点がどこかちょっと欠落しているんじゃないかと思います。そう考えると、もう一項目「何のために」国際教育を行う、ということについて書くことが必要だと思います。個と個、しかも異文化をもつ個同士がつながり、はぐくみ合うことによって、地球的規模の課題に答えていく、という視点はやはり逃してはいけないのではないか。おそらくどこのNPOでもそのような視点は持っておられると思います。
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【 |
吉谷委員】
これまでの国際理解教育は海外に行く人たちのためにあると考えられていたがそれは違う、ということについて学校が共通認識を持ってきている。国内の色々な学校において、学校の多文化化という言葉を明確に使って、国内で生きる上でも国際理解教育が必要だと考えられるようになってきている。
学校の多文化化について、「はじめに」や理念の部分でどれだけ書いてあるかというと、当然のことだからかもしれませんが、触れられていない気がします。これまで、社会が国際化が進むと共に日本国内の多文化化も進んでいるということについてです。外国人の子どもや国際結婚、帰国者の子どももいる。日本国内の多文化化が進むことで、わざわざ外国に子どもを連れていかなくても、国際交流活動ができると話してきたと思います。
そうすると、一人一人の子どもが異文化を受容し、理解することは、インターネットで外国のことを見たり遠くまで連れていかなくても、身近な場所で既にできるようになっているので、その環境をうまく国際教育に取り入れれば、異文化を肌で感じるようにすることは可能だと思います。
また、課題設定の仕方として、海外のどこかの国が非常に飢饉で苦しんでいるから何かしよう、というだけでなく、実はそこの子どもが自分の目の前に友だちとしていて、困っているという風に学ぶ方法もあると思います。その観点から、地域拠点や地域での活動支援について書いていらっしゃるのだと思います。第3章の学校間交流の促進の部分で、外国の学校と交流しようということが書いてあるのですが、国内の外国人学校との交流について、記述が少ないと思いました。
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【 |
池上座長】
異文化体験の重視には、外に行くことだけ書いてあるけど、日本の中にもあるのだ、ということは1つ言えますね。
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【 |
吉谷委員】
東京にはたくさんの外国の学校があり、そことの交流をやっている学校も結構あります。JICA(ジャイカ)が強力に進めているのは、大学の留学生や海外から派遣されている方が、教室に実際に来て、生徒たちと交流するというものです。このような事例があることからも、地域の外国人や外国人学校との交流、という観点はもう少し触れるべきなのではないかと思います。そして、そのような意識については、はじめの方で触れた方がいいのではないかと思います。
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【 |
中島委員】
〈外国人児童生徒とともに進める国際教育〉の部分で、「外国人児童生徒の母語や母文化を紹介し、国際理解を進める」と言って、国際理解教育から国際教育に転換したにもかかわらず、ここでまた理解教育に逆戻りしているところが非常に気になりました。ここを少し変えるべきではないか。
例えば、それぞれの母語・母文化を尊重し、比較分析することによって、ともに地球規模の問題に取り組むという視点になっていただきたいと思います。「ともに進める」というのが、ただ片方のことを理解するのではなくて、両方の価値を認めて、そして一緒に地球規模の問題に取り組むことでともに進められるといいと思います。
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【 |
山脇国際教育課長】
母語や母文化の尊重については、その次のパラグラフにも全体を踏まえた形で進めるべきという形で書いていますので、少し工夫をしたいと思います。最初のところは現状はこうだけれども、今後は地球的規模、という風に。
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【 |
中島委員】
それと、「ともに進める」の意味をもう少しはっきりしていただけるといい。
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【 |
齋藤国際教育課長補佐】
今回の素案では、国際理解教育という言葉をなるべく使わず、国際教育という言葉で統一しています。従来の取り組みについては、国際理解に関する取り組み、などと書き分けています。ご指摘の部分は、「教育」という言葉が誤って抜けたわけではありません。国際教育の中にも国際理解教育という部分が今後ともあるんだろうし、今までやってきたことを全面的に否定することも適当ではないので、なるべく使い分けるようにいたしました。
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【 |
中島委員】
比較文化的な視点、すなわち、両方を同じ立場で平等に対照させて、そして分析して、その違いを認識するということが大事だと思うんです。
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【 |
多田委員】
「教員の実践力の向上」のところで1カ所だけ、「現職教員研修における取組の充実」のところに、国際教育の目的・内容・方法というようなことについてつけ加えていただいたほうがいいと思うんです。なぜかといいますと、1つは教員養成段階では基礎的・基本的知識、現職の場合にはその具体化ですから、そのことがはっきりしたほうがいい。
なぜそこを強調して書いていただきたいかというと、今の現場の実情ということなんです。全国のいわゆる教育総合センターの様子を見ていますと、実は以前の言葉で言えば、かなりの数の国際理解教育の研修会が、小学校英語研修会に衣がえしてしまっているんです。というのは、やはり国際理解教育のとらえ方ということが大きくかかわってくると思うんですね。
それからもう一つ事例を申し上げたいのですが、国際教育課のほうで昨年度、150ほど全国から推薦された事例を集められたんですね。それを拝見する機会があって、一覧表にちょっとまとめてみたんですが、これを見ると、その多くがイベント型の国際理解と英語学習なんです。それはおそらく、一般的には全国の先生方に、国際教育の目的・内容・方法についての意識がまだ育っていないということだと思うんです。
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【 |
吉谷委員】
私もそのご意見に賛成です。実際に養成段階でも、例えば「国際教育について専門的知識と多様な実践経験を持つ大学教員の育成と、そのような大学教員の教員養成の積極的なかかわりが必要となる」と、書いてあるのはいいと思うのですが、現実には小・中・高等学校の先生方と同じような問題が起こっています。つまり、国際教育は英語教育ではない、といいつつ、実際には、すべての教員ではないものの、国際教育の講座を担当している教員が、必ずしも国際教育に関する正確な理解を持っておらず、英語の先生がそのまま入られて、語学教育をやればいい、というような安易な捉えられ方をしている例があるということです。
とすると、大学に関しても提言する形は、私たちのように異文化間教育とか国際理解教育にかかわっている者にはありがたい。しかし、これが今まで同様に英語教育の形で置きかえられてしまうのでは、せっかくここで議論してきた趣旨が十分に反映しないと思うので、大学の現場でも国際教育の趣旨が浸透するよう、頑張らないといけないという気がしています。
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【 |
紿田委員】
先生方が、どういう風に国際教育を行っていけばいいかということがわからないから、安易なところに落ち着いてしまう、というのが実態なのではないでしょうか。だから、そういう現実を政策当局者がきちんと把握して、我々が今、提言しようとしていることを先生たちが実行できるようなスキームやシステムを、どうしたらつくってあげられるかということに問題がいくべき、と思います。
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【 |
池上座長】
本来、教育というのは自主的なものであろうし、それぞれの学問は自由であり、自主的であり、上から抑えたり指導するものではないのかもしれません。しかし、みんなが抱いている教育内容のイメージが全然違うとやはりやりにくい。例えば、1つの教育のプロセスやカリキュラム、シラバスなど、何とかステップぐらいを示さないと、ただ現場では迷ってしまうのではないかと思います。そうでないと、安易な英語教育に落ち着いてしまうということが起こるのではないでしょうか。
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【 |
千葉委員】
小学校あたりは英語教育に落ち着く傾向があると思います。ただ、その中でもただ単に英語活動ではなく、もっと国際教育の観点から英語の活動をやろうという実践も日本全国でいろいろ工夫されてきているなと思うんです。そうした実践が今、いろいろな場で発表されてきており、そこには期待できるかなと思います。
ただ一方で、特色ある学校づくりの一部として、小・中一貫校というのも、特区で認められてきています。そうすると、英語力をつけることによって特色が学力の向上ということになってしまっており、そういった学校もできつつあるというところで、ちょっと今、残念に思っているところがあるんです。
ですから今、どうしても現場は迷走しているところがあると思います。そういう意味では、一定のカリキュラムのようなものができると、かなり現場では勇気が出てくるかなという気がします。
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【 |
池上座長】
例えば成功事例を提供するだけでも、そのようなことなら自分たちにもできる、という自信をもたせられる点で、進歩にはなります。
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【 |
山中審議官】
総合的な学習の時間を今、また見直しを始めていますが、まさにそれによって現場は迷走するのですが、そこに期待したというところが非常に大きかったんですが、そのための条件整備がどうだったか、十分な情報が提供されていたか、というと、不足していた部分も多かったのではないかと思います。
それに対してどういう手立てを講じていくかということを考えるとき、国際教育をする場合に、例えばこういうやり方があるということをカリキュラムのような形で、丁寧に示す、ということは考えられます。国際教育といったときに、英語活動をする、あるいは地域在住の外国人に彼らの国の踊りを踊ってもらったり、話をしてもらうということもあるけれども、それが一体何に結びつくのかということを明確にしたプログラムを示すことが求められているということは、今、痛切に感じております。
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【 |
岩谷委員】
ユニセフ協会でも、開発教育の立場からさまざまな事例を毎年春と秋に全国の学校に配布しております。最近では、研究協力校を全国で10校ほどやりまして、その報告を流しました。そういう優れた事例の提供によって、徐々にほかの学校の取り組み内容がよくなってきていることが見られます。まだ活用し切れていない部分もありますが、そのような情報を提供していくのはとても大事なことだと思います。
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【 |
山脇国際教育課長】
関連する部分として、第3章の「学びが広がり深まる授業づくり」の中の「優れた取組の普及」というサブタイトルの中で、先進的な取組事例や、指導方法の開発・普及について触れていますので、ここの記述ぶりをできるだけ具体的な現状に即して書ければいいかと思います。
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【 |
池上座長】
事例だけでなく、やっぱり1年目、2年目、3年目、と発展的にどんなふうに組み立てるか、そこまでがカリキュラムだと思うので、そこまで踏み込むのはどうでしょうか。最終的な使う、使わないは、現場の判断に任せて。
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多田委員】
私は「発展的」というのがものすごく大事だと思う。今までの事例というのは固定的な事例で、それをそのまま真似するという感覚で現場の先生方は取り組んできた。そうではなくて、事例というのはあくまでヒントであって、それを受けて自らが工夫するようにさせる事例の出し方が今後は必要だと思います。
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【 |
佐藤(裕)委員】
海外経験を有する教員の活用に関連して、「国際教育人材の活用という観点から」の中で、周囲の目が好意的でない、他の教員の理解が不十分、など、私のように優遇されてきた人間としては、こういう表現が必ずしも当てはまらない部分があるのではないかと思います。このようにいえる根拠があるか、やっかみのように受け取られまいかと考えたときに、もしかしたら、帰国教員がもっと頑張れる場があったのかもしれないのに、そこでがんばらなかった自分の非を、周囲のせいにしているような読み取られ方がされるのではないかという気がします。
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【 |
根道委員】
私は、政策的に何をやるかということのほうが重要だと考えております。帰国教員を勇気づける方策として、ネットワークづくりをしていくことへの支援をするというのは、別に帰国教員を優遇する種類のものではないという感じがございます。
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【 |
佐藤(裕)委員】
私はむしろ人事配置上の工夫というのは、例えば福岡とか九州なんかの事例を見ていると、こういう直接的な書き方をした方が、海外から帰国した先生が勇気づけられる気がいたします。
つまり、海外経験に対して全く配慮されずに人事が行われるわけですから、人事上、きちんと評価しなさい、というふうに方針を出したほうが、教育委員会は多分ちゃんと受け取って、反応する気がするんです。
今は、優遇して海外に出して、いい経験をさせ、帰ってきたらその上にまた何かしてあげるのか、そのようなことをしたら他の教員に対して平等ではない、という考え方があると思う。それを、国が方針として示すことで、ああ、やはりそうしていいんだ、と教育委員会も安心してそのようにできる、という部分があると考えます。
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【 |
千葉委員】
私は、教員を文科省の内定者研修などに送り出すときや、都の壮行会などのときに、彼らに対して、帰国教員だということをちゃんと言えるような実践をしてきてくださいと言います。経験を隠すのではなくて、こんなことをやってきたんだと言えるようにならないと、いつまでたっても周囲に「あの人はただ海外へ行ってきただけで、何もやってこなかったんじゃないか。役に立っていない」という見方をされてしまうようではだめだということを私は申し上げているんです。
全海研では、派遣教員の研修の段階から、このようにやってくるといい、ということを経験者として伝えていけるような役割を持ちたいと申し上げて、いろいろな取り組みをしています。なかなかうまくいかないのが現状ですが。
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【 |
池上座長】
マインド面で勇気づける策が必要ということと、制度面で、帰国教員を活用する策の二つが必要なのかなという感じを私も感じます。
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千葉委員】
私たちと同じ研究会に入っている校長の学校には帰国教員が4人もいました。どうも帰ってきたときに、海外で頑張ってきた、それなりの勉強をしてきたんだから、ということで、あえて困難校に配置する傾向があったようなのです。これも一つの方策ではないかと思います。というのは、海外でせっかくいろいろなことを経験してきた教員をもう少し有効に活用するためには、ある程度配置先を同じにする、といった工夫もあり得ると思うからです。このような、行政側の人材活用の方策が非常に大事じゃないかという気がします。
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【 |
池上座長】
人材の適材配置を取り違えて適材を一番有効活用しようとすると、いかにもその人たちだけが優遇されているように見えるというジレンマもある感じがするんです。
その辺は勇気を持って取り組まないと改善が全然進まないと思うので、我々もそこを提言する勇気が必要だと思うんですが、どういう形でやったらいいのかが難しい。これを提言したために、かえってほかの大多数の先生から、「帰国教員がいい目を見る提案をするのか」と取られかねないと思うんです。
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【 |
紿田委員】
私はそれでいいと思います。その程度の刺激がないと、先生方はやはり非常に保守的ですから、結局、振り出しに戻ってしまう。私はこの提案がとてもいいと思うのは、せっかく海外で経験してきたことが、それが平等か不平等かという議論ではなく、生かされていないということがすごくもったいないのではないかと思うからです。
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【 |
山中審議官】
教員政策は、総論として、しっかり個別の先生についても評価しようという動きになってきています。すぐれた実践をして成果を上げている人などは、給料面の手当という方法もありますけれども、まず表彰しようということで、「スーパーティーチャー」として年間50人推薦してもらった中から表彰しますと、いう県もあります。特色のある、人と違う能力を持っている人はそれを認めていこう、またそういう人を引っ張り上げていこうという雰囲気に少しずつ教育界もなってきております。
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【 |
紿田委員】
国際教育によって、違った価値観のものを認め合って、すぐれたものはすぐれたものというふうに理解するようにしようと言っているんだから、先生が変わる必要がありますよね。
海外から帰られた先生を何人かまとめて配置することも、すべてのところはできなくても、意図的にある地域でそういう試みをしてみて、お互いに自分たちのプラスの経験を教育に役立てようと先生方が取り組めば、僕は有効だと思います。
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【 |
長谷川委員】
派遣教員が戻ってきたときにその人を学校教育において生かすためには、まず、活かす側である教育委員会や校長先生の力量や経験を見抜くとともに、意識の転換を図っていかなければいけないと思うんです。
極端な例ですが、帰国教員というと、例えば校長先生などは、あの人は外国に行っていたから英語ができると思われる方がいらっしゃいます。どこの国に行っていても、外国から帰ってきたというだけで、英語の担当や国際理解の担当という、すごく短絡的な発想なんです。海外といってもいろいろあるので、まず教育委員会や現場の管理職の意識を変えていくような提言を盛り込めたらいいかなと思います。
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【 |
根道委員】
私は、日本の社会が非常に集団的な統一性が高くて、特性のある人間が生きるためには、まさしくある程度の人数がいないと、なかなか起爆の役を果たさない。これは先生もそうだし、おそらく生徒もそうではないかと思っております。
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【 |
根本委員】
適材適所の配置や、異なるものや人材をどんどん増やしていく例として、多少話題が変わりますが、国連機関を挙げて、女性の登用というのを非常に進めているんです。同じ資格を持った者であれば、男女ともに候補がいる場合は女性を優先する。そこまではっきりしているんです。
例えば、国連難民高等弁務官事務所は緒方貞子さんが率いていましたが、緒方さん時代にそういった政策を非常に推進したということがあります。あるいは国連世界食糧計画であれば、前の事務局長のベルチーニさんという女性のときにこういった政策をはっきり打ち出し、係長あるいは課長補佐レベルであれば、今や女性のほうが多い、というところまでいったんです。ですから、それぐらい思い切った決断というものをトップ、あるいは国が示していかなければ、なかなか現場というのは変わらないと思います。
普通の方々であれば、「えっ」と驚かれるぐらいのインパクトのあるものを打ち出したほうが、その後の波及効果が見込めると思います。
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【 |
紿田委員】
実際に教員の任命権のある教育委員会や、校務分掌を決定する校長先生といった人たちのの考え方を変える必要がある。校長先生については、海外から帰った経験のない人は校長にしないとなると現実的ではありませんが、例えば海外経験をもつ先生が増えてくれば、適材適所を達成する可能性が出てくるわけです。教育委員会についても、国内での教育しか経験していない人ばかりがやると、やはりどんなに頭でわかっていても、体にしみついている日本人的なものの考え方から抜け切らず、海外経験を有する先生を適切に配置する発想は弱くなる。教育委員会の中には海外に関する見識のある人を必ず3分の1は入れる、など人事を決める人が変わっていかなかったら、現場の先生に変われと言っても無理だと思います。
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【 |
根本委員】
日本ではクォーター、数、数値目標というものをそういった人事面で入れることに非常に抵抗があると思いますけれども、そういった数値目標を入れれば変化が起こりやすいと思います。
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【 |
奥村委員】
帰国した先生をどう活用するかという話については、実を言うと小・中学校の教員に当てはまる話で、海外の日本人学校には高等学校に相当する課程がありませんので、高校の先生が海外へ出て行く機会というのは全くないんです。国際教育の仕上げをしなければならない高等学校の時点で、我々高校の教員は、海外とのつながりを持つ機会は考えてみればほんとうにない。ですから、例えば海外青年協力隊に3年間行ってくるとき、その間は教員の籍をちゃんと確保しておいてあげるよというふうなことができれば、行きたいと希望する若い先生はたくさんいると思うんです。そういう仕組みをつくることも必要かもしれないと思います。
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【 |
山脇国際教育課長】
今、海外青年協力隊の話が出ましたが、それについては現職教員の派遣制度を前に紹介しました。当該制度は、年60人規模で実施している。加えて、教員研修センターなどで教員を海外へ派遣している制度があります。規模的には2けたぐらいのものですが、もう少しそれを充実するという点も報告に盛り込んでいますが、なかなか経費負担の面で難しさがある。国が半分補助しても、地方自治体が負担する経費が半分あり、それが地方財政の悪化で出せないので、結果的に海外研修に行く先生をなかなか出せないということがあります。いろいろ工夫をして、そのような研修の機会を増やしていくべきだということは、この中には出してはいます。
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【 |
池上座長】
海外に日本人学校がない高校教員に関しては、ことにそういう海外での研修の充実を図る必要があるということを入れていただく必要があるかもしれません。
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【 |
吉谷委員】
例えば九州のJICA(ジャイカ)では、先生も入れて、高校生向けの開発プログラムのコンテストをずっとやっています。それを利用すると、子どもたちが開発プログラムを作成し、コンテストを受けるまで、先生も同時に勉強しているんです。そういうのもここには関係してくるかと思います。
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池上座長】
今の日本の製造業は海外での生産のほうが多いぐらいになってきており、それだけ、海外に駐在して国際ビジネスを身をもって体験した企業人がいるということになります。そういう人たちを経験者として起用すると、国際教育に非常に有益になると思うので、地域のNPOが中心に書かれていますが、もう少し企業も意識して書いていただいたらどうかと思います。
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吉谷委員】
言語教育の充実について書いていただいていいなと思っているんですが、外国語教育の充実の冒頭のところは、「英語をはじめとした」というのはやっぱり入れないとまずいのか、「外国語運用能力については」で始めてはいけないのかと思います。地域的には中国語、朝鮮語に取り組んでいるところも増えてきていますので、外国語でいいのではないかと思います。
それから「外国の学校との交流や」とありますが、外国の学校のみならずさまざまな学校との交流があり得ると思うので、さまざまな学校との交流や、と書き換えていただけるといいかと思います。
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多田委員】
学校単体ではなく、面的な国際理解を進めるときに、各地域の国際交流協会の果たす役割が非常に大きいと思うんです。武蔵野市も国際交流協会が下支えになって取り組んでいるし、山形県でもボランティアが105人、ホストファミリーが93人、語学ボランティアが200人、その他各省庁を含めて16団体。約500人ぐらいの方がここに関与しているんです。まさにこういう資源もどこかに位置づけたいという感じがいたします。
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池上座長】
最後の、国際教育にかかわる資源の共有化と連携の強化という項目で提言がいくつかありますが、だれが責任を持って進めていくのかというのが、はっきり見えていないのです。学校ごとか教育委員会か、もしくは両方に国際教育担当を置いて、その人たちが中心になってこの3つをやっていくという、最後の教育資源との連携の中に並列的に交流や配置、データベース化について書いてありますが、だれがやっていくということを、もう少し書くべきじゃないのかと思います。
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山脇国際教育課長】
コーディネーターが学校内部か外部かというのはいろいろな型があるかと思うんですが、「連携のための体制づくり」の中にコーディネーターが連携体制の鍵になる、ということと、「教育委員会や学校における体制整備」の中で、学校側の体制整備として、学校に国際教育の担当者を置くことを通じ、その体制整備をしていくべきじゃないか、ということを書いてあります。
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紿田委員】
ここで、帰国教員に「あなたは英語ができるからやれ」とすぐ短絡的にならないために、どういう人が国際教育の担当者としてふさわしいかということもある程度示さないといけないのかもしれません。
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山脇国際教育課長】
武蔵野市の事例などを聞いていると、実践して興味を持って、授業でやってみて、もう一回悩んでほかの人に相談して、アドバイスを得る、という形でスパイラル的にやっているとおっしゃっていました。
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紿田委員】
そういう経験がすごく貴重ですね。
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山脇国際教育課長】
そのような事例を、国際教育拠点などで作り、うまくいっていたらほかの学校に還元する。そのときには、国際交流協会のような外部団体や、NPO・NGO・国際機関などの協力が得られれば、進むと思います。
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池上座長】
「教育委員会や学校における体制整備」の中で、「国際教育の担当者を置き」の後に「行うなど、その実情に応じて工夫していくことが必要である」というふうに書くと、置くのは一つの例示のような書き方になっている。しかし、もし担当者をおくことを求めるのであれば、書き方をもう少し強くなるように工夫して、さらに4の提言で、担当者が2つのことを中心になってやるんだというところまで書いたらどうかと思うんです。
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小野委員】
「言語教育の充実」で英語をとったほうがいいという意見について、私は英語を入れたほうがいいと思います。現実に80数パーセントも英語活動をやっているのです。一方で、英語教育だけで国際教育をやっていると誤解している、といった議論がありました。それについては、前にきちんと取り上げられており、国際教育は英語活動のみならず、コミュニケーション能力と自分の考えを発信していく力が必要なんだと、述べているわけです。その後の具体的方策として言語教育の充実について述べているんだから、やっぱりここでは英語を例示として出すべきであると思います。
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吉谷委員】
私は、あくまでもここには外国語運用能力と書いてあり、逆に言えば80パーセント普及している中で、わざわざ書く必要もないかなと思います。学習指導要領でも英語を学習するとは書いていなくて、外国語と書いてあるが、実態は英語になるということもあるので。
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小野委員】
しかし、今までは外国語教育で主として英語と、そういう考え方をしてきましたけど、現実にこれだけ英語が学ばれている状況があるので、何でもかんでも英語をとると、そこまで控える必要があるのかなという気がします。
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池上座長】
ビジネスの世界では、外国人が外国語として使う英語でビジネスをやっていまます。そういう意味では英語がだんだん道具として普及してきてはいるので、英語を入れておくのは私はいいと思うんです。
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吉谷委員】
最後の「地域の国際教育資源との連携」等のところは、ファイルで送っていただいたものより削除されてあっさり表現されています。前には、組織をつくれというようなことが書いてありましたが、それが削ってあるような感じを抱きました。地域の国際教育関係機関、団体との連絡会議の設置、などの部分が少しやわらかく、軽くなっています。
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齋藤国際教育課長補佐】
連絡会議というと、連絡会議を置けばいいというふうになってしまうので、交流の促進とかコーディネーターの配置という形でまとめました。
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根本委員】
連携のための体制づくりに関して、学校と外部を結びつけるコーディネーターの方の運営にもよってくると思うんですが、見回してみますと、国際教育にかかわっている団体はほんとうにたくさんあるんです。ですから、共有や連携の前に洗い出しが必要になってくるのかと思います。
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根道委員】
「特性に配慮した帰国児童生徒教育の充実」の部分に、「帰国児童生徒の受け入れに特色を置く学校の設置」について触れられており、その前に「調査研究の成果を踏まえ」と書いてあります。今も実際にそういう特色のある取り組みを行っている学校はあると思いますが、例えば何校ぐらいがこうした学校になり得ると考えたらよろしいでしょうか。予測は難しいものの、例えば1つできましたというだけでは、期待するにはほど遠い気がするのです。
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佐藤(裕)委員】
それに関しては、平成12年度までの帰国子女の受入研究校を復活させることが考えられると思います。ただ、一度そういう受入校が廃止になって、また復活というと学校のほうはかなり混乱するだろう。廃止にしたのは、地域で子どもを育てていくという発想のもとに、特別な学校をつくらないという考えで行ってきたんです。だからその辺の考え方をきちんと提示していかないと難しいかと思います。
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根道委員】
今、国では国際化推進地域という事業をやっており、帰国の子どもも外国人の子どもも両方カバーするというのが、もともとの意図だったと思います。また、全体的、総合的に対策するねらいだったと思うんですが、結果として何が起こっているかというと、みんなの興味が外国人のほうに向いてしまって、幾つか地域の中間報告を拝見しましたが、やはりほとんど外国人の子どものことなんですね。それだけ外国人の子どもの教育が喫緊の課題であるということもあるんですが、そういう中にあって、今、帰国の子どものための特色ある学校がほんとうに立ち得るのか、楽観できない気がするんです。
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長谷川委員】
資料5の「国際『理解』教育と『国際教育』」について、平成8年の中教審で、我々は共生、自己の確立、コミュニケーション能力という大きな3つのことを示されて、これを念頭において国際教育を進めてきました。今度、国際教育では、理解だけでなく、主体性や発信力を重視すると言ったときに、一番目の「つながることのできる力」というのは新しい言葉になってくると思うんです。これはすごく目に飛び込んでくると思います。
そのときに、この「つながることのできる力」の定義はここに示されていることでいいのかということが気になりました。これによれば、中教審の平成8年の「共生」という言葉が大きな中から外れてきますね。国際教育を推進していく際に「共生」という言葉は非常に大きいという感じがあったんです。「つながることのできる力」というのはやっぱり主体性とか、自分からかかわりを求めていくとか、そうすると、例えば「自ら発信し」というところにつながっていくのかなと考えると、「共生」の概念を入れないでいいのか、など、3つの大きな要素のとらえをもう一度整理する必要があるのかなと感じています。
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池上座長】
確かに「つながる」という言葉が新しい言葉であり、またかなり抽象度の高い言葉なので、これが具体的にどういうことなのかというのをもう一度考えてみる必要があるかもしれません。
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今後の日程について
事務局より、今後の日程について説明した。
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閉会 |
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―― 了 ―― |