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概要
日本国内で国立教育政策研究所が平成13年度に実施した調査(以下、国内調査)にならい、日本人学校の全ての児童生徒を対象にして初めて実施した調査であり、今後の日本人学校における指導の改善に資することを目的にしたものである。日本人学校79校の小学5、6年生、中学1、2、3年生4873人を対象とした。平成14年3月から4月にかけて実施した。
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学力調査の結果
すべての教科、学年にわたり、国内で実施した調査の通過率(正答、または準正答を解答した児童生徒の割合)を上回っている。国内調査と比較し、国内調査の通過率を上回ると考えられるもの、または同程度考えられるものの問題数合計がほぼ全問になっている。小学生ではすべての教科にわたり、国内調査の通過率を下回るものはない。中学生でも、ほぼ同様である。とりわけ、数学と英語については、全学年で国内調査の通過率を上回ると考えられるものの問題数合計が9割をこえている。このことから、日本人学校の教科ごとの対象学年における学習指導要領の目標、内容に照らした学習の実現状況については、国内の公立学校と比較しきわめて良好といえる。
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児童生徒共通質問紙調査結果
日本人学校の児童生徒は、「学校が好き」「勉強が好き」「勉強は受験に関係なく大切だ」という回答が多く、学校と勉強に親和的である。
国内の小・中学生と比較し、日本人学校の児童生徒ほど授業が「よく分かる」という回答が多い。「勉強時間」についても、日本人学校の児童生徒の方が1日の勉強時間が長い。「読書時間」についても日本人学校の児童生徒の方がよく読書をしている。「世の中のいろいろなできごとを知ったり、情報を得たりするために、ふだん、行っていること」として、日本人学校の児童生徒ほど「インターネットを利用する」という回答が多い。特に、中学生では、インターネットをより利用するという回答が60%に達する(国内調査ではその数は約20%である。)
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日本人学校教師調査結果
赴任動機については異文化に触れたいからや国際理解教育に関心があったからをあげる教師が多い。日本人学校の教師は、授業や子ども、そして同僚についても、肯定的にとらえており、日本人学校の教育に意欲的に取り組んでいる。
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学校規模別による違い
学校規模別による違いが大きい。学力調査では、特に小学校において400人以上の大規模校と比較し、400人以下、ないし50人未満の小規模校の方が平均値は高い。小規模校ほど、学習意欲が高く、教師の創意工夫もみられる。
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学力調査からの知見
児童生徒の学力は、国内の公立学校よりも高い。それを支えているのが、学習意欲であり、学習時間である。また、教師も意欲的に日本人学校の教育に取り組んでいる。 |