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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 調査研究協力者会議等 > 初等中等教育における国際教育推進検討会 > 第1回 配付資料 > 参考資料



学習指導要領における主な国際理解教育の取扱い

高等学校学習指導要領(抜粋)

第1章 総則

1款 教育課程編成の一般方針
 学校における道徳教育は,生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基づき行為しうる発達段階にあることを考慮し人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことにより,その充実を図るものとし,各教科に属する科目,特別活動及び総合的な学習の時間のそれぞれの特質に応じて適切な指導を行わなければならない。
 道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
 道徳教育を進めるに当たっては,特に,道徳的実践力を高めるとともに,自律の精神や社会連帯の精神及び義務を果たし責任を重んずる態度や人権を尊重し差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行われるよう配慮しなければならない。

4款 総合的な学習の時間
 総合的な学習の時間においては,各学校は,地域や学校,生徒の実態等に応じて,横断的・総合的な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものとする。
 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。
(1)  自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
(2)  学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の在り方生き方を考えることができるようにすること。
 各学校においては,上記2に示すねらいを踏まえ,地域や学校の特色,生徒の特性等に応じ,例えば,次のような学習活動などを行うものとする。
 国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動

第2章 普通教育に関する各教科

第2節 地理歴史

1款 目標
 我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての理解と認識を深め,国際社会に主体的に生きる民主的,平和的な国家・社会の一員として必要な自覚と資質を養う。

2款 各科目
第1 世界史A】
 目標
 近現代史を中心とする世界の歴史を,我が国の歴史と関連付けながら理解させ,人類の課題を多角的に考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

 内容
(3) 現代の世界と日本
 地球規模で一体化した現代世界の特質と展開過程を理解させ,人類の課題について考察させる。その際,世界の動向と日本とのかかわりに着目させる。
 地球社会への歩みと日本
 1970年代以降の市場経済の世界化や地球規模での問題の出現を理解させ,日本が世界の諸国,諸地域と多様性を認め合いながら共存する方向などについて考察させる。
 地域紛争と国際社会
 冷戦終結後の世界で起こった地域紛争の原因や歴史的背景を追究させ,国際社会の変化や国民国家の課題などについて考察させる。
 科学技術と現代文明
 原子力の利用,情報科学,宇宙科学の出現など現代の科学技術の人類への寄与と課題を追究させ,人類の生存と環境,世界の平和と安全などについて考察させるとともに,国際的な交流と協調の必要性に気付かせる。

 内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
 諸地域世界,交流圏,国際関係の展開などを取り扱う際,比較文明的視点も考慮するとともに,各時代における世界の中に日本を位置付けて考察させること。
 風土,民族の扱い,人類の課題の考察,歴史地図の活用などについては,地理的条件との関連に留意すること。
 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア)  単に知識を与えるだけでなく,現代の世界が当面する課題について考察させること。その際,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,民主的で平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させること。

第2 世界史B】
 目標
 世界の歴史の大きな枠組みと流れを,我が国の歴史と関連付けながら理解させ,文化の多様性と現代世界の特質を広い視野から考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

 内容
(1)  世界史への扉
 身近なものや日常生活にかかわる主題,我が国の歴史にかかわる主題など,適切な主題を設定し追究する学習を通して,歴史に対する関心と世界史学習への意欲を高める。
 日常生活に見る世界史
 衣食住,家族,余暇,スポーツなどから適切な事例を取り上げて,その変遷を追究させ,日常生活からも世界史がとらえられることに気付かせる。
 世界史と日本史とのつながり
 日本と世界の接触・交流にかかわる人,物,技術,文化などから適切な事例を取り上げて,接触・交流の具体的様相を追究させ,日本列島の歴史と世界史との密接なつながりに気付かせる。
(5)  地球世界の形成
 科学技術の発達や生産力の著しい発展を背景に,現代世界は地球規模で一体化し,相互依存を強めたことを理解させる。また,国際対立と国際協調,科学技術と現代文明などの観点から20世紀の歴史の特質を考察させ,未来を展望させる。
 国際対立と国際協調
 核兵器問題,人種・民族問題,第二次世界大戦後の主要な国際紛争など,現代の国際問題を歴史的観点から追究させ,国際協調の意義と課題を考察させる。
 これからの世界と日本
 国際政治,世界経済,現代文明などにおいて人類の当面する課題を歴史的観点から追究させ,これからの世界と日本を展望させる。

 内容の取扱い
 内容の(5)については,次の事項に留意すること。
(ア)  単に知識を与えるだけでなく,地球世界の課題について考察させること。その際,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,民主的で平和な国際社会を実現させることが重要な課題であることを認識させること。

第3 日本史A】
 目標
 近現代史を中心とする我が国の歴史の展開を,世界史的視野に立ち我が国を取り巻く国際環境などと関連付けて考察させることによって,歴史的思考力を培い,国民としての自覚と国際社会に主体的に生きる日本人としての資質を養う。

 内容
(4)  第二次世界大戦後の日本と世界
 第二次世界大戦後の民主化と復興,国際社会への復帰,経済の発展と現代の日本について,世界の動向と関連付けて考察させるとともに,我が国の課題と役割について認識させる。
 現代の日本と世界
 経済や文化の国際的交流,科学技術の発達と世界の平和,我が国の国際貢献の拡大などに着目して,現代世界の動向と日本の課題及び役割について考察させる。

 内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
 我が国の歴史の展開を,諸外国との政治的な関係,経済・文化の接触・交流や地理的条件などと関連付け,世界の中の日本という視点から理解させること。
(2)  近現代史の指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くようにするとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成するようにする。その際,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,民主的で平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させること。

第4 日本史B】
 目標
 我が国の歴史の展開を,世界史的視野に立って総合的に考察させ,我が国の文化と伝統の特色についての認識を深めさせることによって,歴史的思考力を培い,国民としての自覚と国際社会に主体的に生きる日本人としての資質を養う。

 内容
(1)  歴史の考察
 歴史を考察する基本的な方法を理解させるとともに,主題を設定して追究する学習,地域社会にかかわる学習を通して,歴史への関心を高め,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
 歴史の追究
 我が国の歴史の展開について,時代ごとに区切らない主題を設定し追究する学習を通して,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
(エ)  世界の中の日本
 我が国と外国との交流や相互理解などに着目して,外国人が日本をどう見ていたか,また日本人が世界をどう見ていたかについて追究させる。
(7)  第二次世界大戦後の日本と世界
 第二次世界大戦の終結から今日に至る我が国の歴史について,世界の動向と関連付けて考察させるとともに,広い視野から日本の文化や課題について認識させる。
 現代の日本と世界
 国際理解の推進と日本文化の特色,世界の中の日本の立場や我が国の国際貢献の拡大などに着目して,現代世界の動向と日本の課題及び役割について考察させる。

 内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
 我が国の歴史と文化を,各時代の国際環境や地理的条件などと関連付け,世界の中の日本という視点から理解させること。
(2)  内容の(1)の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
 イについては,歴史的思考力を深めさせるため,内容の(1)のイの(ア)から(オ)までの中から,生徒の実態等に応じ,二つ程度を選択して主題を設定し,適切な時期に実施すること。主題の設定に当たっては,特定の時代や地域に偏らないようにするものとし,例えば次のような観点が考えられること。
(ア)  我が国の文化と伝統の特色とかかわらせてとらえること。
(ウ)  政治的,経済的な条件や国際環境など時代的背景とかかわらせてとらえること。
(3)  近現代史の指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くようにするとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成するようにする。その際,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,民主的で平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させること。

第5 地理A】
 目標
 現代世界の地理的な諸課題を地域性を踏まえて考察し,現代世界の地理的認識を養うとともに,地理的な見方や考え方を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

 内容
(1)  現代世界の特色と地理的技能
 現代世界の地域性や動向を作業的,体験的な学習を通してとらえさせるとともに,地理的技能を身に付けさせる。
 結び付く現代世界
 交通・通信の発達,人や物の国際間の移動などに関する資料の収集,分析などを通して,諸地域間の相対的な位置,距離関係が変化し,人々の地理的視野が拡大するとともに国家間の結合や国際貿易などが活発化,複雑化していることをとらえさせる。
 多様さを増す人間行動と現代世界
 世界各地の消費や余暇に関する行動,観光,ボランティア活動などに関する資料の収集,分析などを通して,世界の人々の多様化する行動を地理的環境と関連付けてとらえさせる。
 身近な地域の国際化の進展
 生活圏,行動圏に見られる世界と結び付く諸事象の地域調査やその結果の地図化などを通して,身近な地域の国際化の進展や日本と世界との結び付きの様子をとらえさせる。
(2)  地域性を踏まえてとらえる現代世界の課題
 現代世界が取り組む諸課題のうち,異文化の理解及び地球的課題への取組に重点を置いて,それらを地域性を踏まえて追究し,現代世界の地理的認識を深めるとともに,地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
 世界の生活・文化の地理的考察
(ア)  諸地域の生活・文化と環境
 世界諸地域の生活・文化を地理的環境や民族性と関連付けて追究し,生活・文化を地理的に考察する視点や方法を身に付けさせるとともに,異文化を理解し尊重することが必要であることについて考察させる。
(イ)  近隣諸国の生活・文化と日本
 近隣諸国の生活・文化の特色を追究し,日本との共通性,異質性を地理的に考察する視点や方法を身に付けさせるとともに,近隣諸国の生活・文化を理解し尊重することが必要であることについて考察させる。
 地球的課題の地理的考察
(ア)  諸地域から見た地球的課題
 環境,資源・エネルギー,人口,食料及び居住・都市問題を地球的及び地域的視野から追究し,地球的課題は地域を超えた課題であるとともに地域によって現れ方が異なっていることを理解させ,それらの課題の解決に当たっては各国の取組とともに国際協力が必要であることについて考察させる。
(イ)  近隣諸国や日本が取り組む地球的課題と国際協力
 近隣諸国や日本が取り組んでいる地球的課題を追究し,それらの現れ方は国によって異なっていることや,その解決には地域性を踏まえた国際協力が必要であることを理解させ,日本の役割などについて考察させる。

 内容の取扱い
(1)  内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
 現代世界の動向や地域の変容に留意し,歴史的背景を踏まえて地域性を追究するようにすること
 各項目の中にできるだけ日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察させること。
(2)  内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
 内容の(1)については、次の事項も配慮するものとする。
(イ)  アについては,球面上の世界のとらえ方に慣れ親しませるよう工夫すること。その際,地図の投影法には深入りしないこと。略地図の描図については,世界地図の全体や部分が描けるようにすること。日本の位置と領域については,世界的視野から日本の位置をとらえるととも
 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア)  アの(ア)及びイの(ア)については,世界を広く大観する学習と具体例を通して追究する学習とを組み合わせて扱うこと。その際,イの(ア)の環境,資源・エネルギー,人口,食料及び居住・都市問題はそれぞれ相互に関連し合っていることに留意して取扱いを工夫すること。
(イ)  アの(イ)及びイの(イ)については,いずれかを選択して扱うこと。その際,アの(イ)については,東アジア,東南アジアの国々やロシアの中から二つ又は三つの国を選び,また,イの(イ)については,それらの国々及び日本が取り組んでいる地球的課題の中から二つ又は三つの課題を選んで扱うこと。

第6 地理B】
 目標
 現代世界の地理的事象を系統地理的,地誌的に考察し,現代世界の地理的認識を養うとともに,地理的な見方や考え方を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

 内容
(1)  現代世界の系統地理的考察
 自然環境,資源,産業,都市・村落,生活文化に関する地域性について世界的視野から考察し,現代世界が多様な地域から構成されていること,それらの地域には類似性や空間的な規則性などがみられること,分布から幾つかのまとまりでとらえたり,幾つかの地域に区分したりできることを理解させるとともに,現代世界を系統地理的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
 自然環境
 世界の地形,気候,植生などから系統地理的にとらえる視点や方法を学習するのに適切な事例を幾つか取り上げ,世界の自然環境を大観させる。
 資源,産業
 世界の資源・エネルギーや農業,工業,流通などから系統地理的にとらえる視点や方法を学習するのに適切な事例を幾つか取り上げ,世界の資源,産業を大観させる。
 都市・村落,生活文化
 世界の都市・村落や消費,余暇に関する行動,人々の衣食住などから系統地理的にとらえる視点や方法を学習するのに適切な事例を幾つか取り上げ,世界の都市・村落,生活文化を大観させる。
(2)  現代世界の地誌的考察
 地域の規模に応じて地域性を多面的・多角的に考察し,現代世界を構成する各地域は多様な特色をもっていることを理解させるとともに,世界諸地域を規模に応じて地誌的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
 国家規模の地域
 世界の国家を事例として幾つか取り上げ,それらの地域性を多面的・多角的に考察してそれぞれの国を地誌的にとらえさせるとともに,それらを比較し関連付けることを通して国家規模の地域を地誌的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
 州・大陸規模の地域
 世界の州・大陸を事例として幾つか取り上げ,それらを多面的・多角的に考察してそれぞれの州・大陸を地誌的にとらえさせるとともに,それらを比較し関連付けることを通して州・大陸規模の地域を地誌的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
(3)  現代世界の諸課題の地理的考察
 現代の世界や日本が取り組む諸課題について,広い視野から地域性を踏まえて考察し,現代世界の地理的認識を深めさせるとともに,地理的に考察する意義や有用性に気付かせ,地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
 地図化してとらえる現代世界の諸課題
 世界各地に生起している地球的課題に関する諸事象を地図化して追究し,その現状や動向をとらえさせるとともに,地図化することの有用性に気付かせ,それに関する技能を身に付けさせる。
 地域区分してとらえる現代世界の諸課題
 世界各地に生起している地球的課題に関する諸事象を分布などに着目し地域区分して追究し,その空間的配置や類似性,傾向性をとらえさせるとともに,地域区分することの有用性に気付かせ,それに関する技能を身に付けさせる。
 国家間の結び付きの現状と課題
 現代世界の国家群や貿易,交通・通信などの現状と課題を地域の環境条件と関連付けて追究し,それらを世界的視野から地域性を踏まえてとらえさせるとともに,国家間の結び付きを地理的に考察することの意義に気付かせる。
 近隣諸国研究
 近隣諸国の生活・文化を地域の環境条件と関連付けて追究し,日本との共通性や異質性及び異文化を理解し尊重することの必要性をとらえさせるとともに,近隣諸国との交流の在り方や日本の役割などについて考察させる。
 環境,エネルギー問題の地域性
 環境,エネルギー問題を世界的視野から地域性を踏まえて追究し,それらは地球的課題であるとともに各地域によって現れ方が異なっていることをとらえさせ,その解決には地域性を踏まえた国際協力が必要であることなどについて考察させる。
 人口,食料問題の地域性
 人口,食料問題を世界的視野から地域性を踏まえて追究し,それらは地球的課題であるとともに各地域によって現れ方が異なっていることをとらえさせ,その解決には地域性を踏まえた国際協力が必要であることなどについて考察させる。
 居住,都市問題の地域性
 居住,都市問題を世界的視野から地域性を踏まえて追究し,それらの問題の現れ方には地域による特殊性や地域を超えた類似性がみられることをとらえさせ,その解決には地域性を踏まえた国際協力が効果的であることなどについて考察させる。
 民族,領土問題の地域性
 人種・民族と国家との関係,国境,領土問題の現状や動向を世界的視野から地域性を踏まえて追究し,それらの問題の現れ方には地域による特殊性や地域を超えた類似性がみられることをとらえさせ,その解決には地域性を踏まえた国際協力が効果的であることなどについて考察させる。

 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
 現代世界の動向や地域の変容に留意し,歴史的背景を踏まえて地域性を追究するようにすること。
 各項目の中にできるだけ日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察させること。
(2)  内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
 内容の(1)のアからウまでの各項目については,世界的視野から扱うことが可能な二つ又は三つの事例を選び,具体的に扱うようにすること。その際,各事例は分析,考察の過程を重視し,現代世界を系統地理的にとらえる視点や方法が身に付くよう工夫すること。
 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア)  アからウまでについては,地域の規模に応じて取り上げる視点や方法などが異なってくることに留意して取扱いを工夫すること。
(イ)  アについては,学校所在地の地域のほかに日本又は世界から一つの地域を選んで扱うこと。
(ウ)  イ及びウについては,それぞれ地誌的にとらえる視点や方法を学習するのに適した二つ又は三つの地域を事例として選び,地誌的に考察する学び方が身に付くよう工夫すること。その際,地域性を地誌的に考察するに当たっては,取り上げた地域における特徴的な事象とその動きに着目し,他の事象を有機的に関連付けるかたちで多面的・多角的に追究する地誌と,取り上げた地域の多様な事象を項目ごとに整理するかたちで多面的・多角的に追究する地誌とがあることに留意し,この両方の地誌を学習できるよう工夫すること。また,イにおける国家及びウにおける州・大陸に替えて,州・大陸を幾つかに区分した規模の地域を選ぶことができること。ただし,その場合,替えるのはイ又はウのいずれかにすること。
 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア)  アからエまでの中から二つ,オからクまでの中から二つの項目を選択して扱うこと。その際,内容の(1)及び(2)の学習成果を活用し,地理的事象を見いだし追究する過程を重視し,現代世界の地理的認識を深めさせるとともに,地理的考察の方法に慣れ親しませるよう工夫すること。
(イ)  各項目ともそれぞれの特質を考慮して二つ又は三つの地域又は課題を事例として選び,具体的に扱うこと。エについては,東アジア,東南アジアの国々やロシアの中から選ぶこと。クについては,領土問題の現状や動向を扱う際に日本の領土問題にも触れること。

3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(2)  中学校社会科及び公民科との関連並びに地理歴史科に属する科目相互の関連に留意すること。

 各科目の指導に当たっては,情報を主体的に活用する学習活動を重視するとともに,作業的,体験的な学習を取り入れるよう配慮するものとする。そのため,地図や年表を読みかつ作成すること,各種の統計,年鑑,白書,画像,新聞,読み物その他の資料に親しみ,活用すること,観察,見学及び調査・研究したことを発表したり報告書にまとめたりすることなど様々な学習活動を取り入れるとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用して学習の効果を高めるよう工夫するものとする。学技術と現代文明などの観点から20世紀の歴史の特質を考察させ,未来を展望させる。
 国際対立と国際協調
 核兵器問題,人種・民族問題,第二次世界大戦後の主要な国際紛争など,現代の国際問題を歴史的観点から追究させ,国際協調の意義と課題を考察させる。
 これからの世界と日本
 国際政治,世界経済,現代文明などにおいて人類の当面する課題を歴史的観点から追究させ,これからの世界と日本を展望させる。

 内容の取扱い
(2)  内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
 内容の(2)及び(3)については,次の事項に留意すること。
(イ)  比較文明的視点から世界の歴史の中の日本の位置付けにも着目させること。
 内容の(4)及び(5)については,次の事項に留意すること。
(イ)  広い視野から世界の動きをとらえることとし,各国史別の扱いにならないようにすること。
(エ)  日本と関連する諸国の歴史については当該国の歴史から見た日本などにも着目させ,世界の歴史における日本の位置付けを明確にすること。
 内容の(5)については,次の事項に留意すること。
(ア)  単に知識を与えるだけでなく,地球世界の課題について考察させること。その際,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,民主的で平和な国際社会を実現させることが重要な課題であることを認識させること。

第3節 公民

1款 目標
 広い視野に立って,現代の社会について主体的に考察させ,理解を深めさせるとともに,人間としての在り方生き方についての自覚を育て,民主的,平和的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う。

2款 各科目

第1 現代社会】

 目標
 人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて,広い視野に立って,現代の社会と人間についての理解を深めさせ,現代社会の基本的な問題について主体的に考え公正に判断するとともに自ら人間としての在り方生き方について考える力の基礎を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

 内容
(2)  現代の社会と人間としての在り方生き方
 現代社会について多様な角度から理解させるとともに,青年期の意義,経済活動の在り方,政治参加,民主社会の倫理,国際社会における日本の果たすべき役割などについて自己とのかかわりに着目して考えさせる。
 国際社会の動向と日本の果たすべき役割
 世界の主な国の政治や経済の動向に触れながら,人権,国家主権,領土に関する国際法の意義,人種・民族問題,核兵器と軍縮問題,我が国の安全保障と防衛,資本主義経済と社会主義経済の変容,貿易の拡大と経済摩擦,南北問題について理解させ,国際平和や国際協力の必要性及び国際組織の役割について認識させるとともに,国際社会における日本の果たすべき役割及び日本人の生き方について考えさせる。

第2 倫理】
 内容
(1)  青年期の課題と人間としての在り方生き方
 自己の生きる課題とのかかわりにおいて,青年期の意義と課題を理解させるとともに,先哲の基本的な考え方を手掛かりとして,人間の存在や価値について思索を深めさせる。
 国際社会に生きる日本人としての自覚
 日本人にみられる人間観,自然観,宗教観などの特質について,我が国の風土や伝統,外来思想の受容に触れながら,自己とのかかわりにおいて理解させ,国際社会に生きる主体性のある日本人としての在り方生き方について自覚を深めさせる。
(2)  現代と倫理
 現代に生きる人間の倫理的な課題について思索を深めさせ,自己の生き方の確立を促すとともに,よりよい国家・社会を形成し,国際社会に主体的に貢献しようとする人間としての在り方生き方について自覚を深めさせる。

第3 政治・経済】
 目標
 広い視野に立って,民主主義の本質に関する理解を深めさせ,現代における政治,経済,国際関係などについて客観的に理解させるとともに,それらに関する諸課題について主体的に考察させ,公正な判断力を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

 内容
(1)  現代の政治
 現代の日本の政治及び国際政治の動向について関心を高め,基本的人権と議会制民主主義を尊重し擁護することの意義を理解させるとともに,民主政治の本質について探究させ,政治についての基本的な見方や考え方を身に付けさせる。
 現代の国際政治
 国際政治の動向,人権,国家主権,領土などに関する国際法の意義,国際連合をはじめとする国際機構の役割,我が国の防衛を含む安全保障の問題について理解させ,国際政治の特質や国際紛争の諸要因について探究させるとともに,国際平和と人類の福祉に寄与する日本の役割について考察させる。
(2)  現代の経済
 現代の日本経済及び世界経済の動向について関心を高め,日本経済の国際化をはじめとする経済生活の変化,現代経済の機能について理解させるとともに,その特質を探究させ,経済についての基本的な見方や考え方を身に付けさせる。
 国民経済と国際経済
 貿易の意義と国際収支の現状,為替相場の仕組み,国際協調の必要性や国際経済機関の役割について理解させ,国際経済の特質について探究させるとともに,国際経済における日本の役割について考察させる。
(3)  現代社会の諸課題
 政治や経済に関する基本的な理解を踏まえ,現代の政治や経済の諸課題を追究する学習を行い,望ましい解決の在り方について考察させる。
 国際社会の政治や経済の諸課題
 地球環境問題,核兵器と軍縮,国際経済格差の是正と国際協力,経済摩擦と外交,人種・民族問題,国際社会における日本の立場と役割などについて,政治と経済とを関連させて考察させる。

第8節 外国語

1款 目標
 外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養う。

3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)  教材については,外国語による実践的コミュニケーション能力を育成するため,各科目のねらいに応じ,実際の言語の使用場面や言語の働きに配慮したものを取り上げるものとすること。その際,その外国語を日常使用している人々を中心とする世界の人々及び日本人の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴史などに関するもののうちから,生徒の心身の発達段階及び興味・関心に即して適切な題材を変化をもたせて取り上げるものとし,次の観点に留意する必要があること。
 世界や我が国の生活や文化についての理解を深めるとともに,言語や文化に対する関心を高め,これらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
 広い視野から国際理解を深め,国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに,国際協調の精神を養うのに役立つこと。また,題材の形式としては,説明文,対話文,物語,劇,詩,手紙などのうちから適切に選択すること。
(4)  各科目の指導に当たっては,指導方法や指導体制を工夫し,ティーム・ティーチングやペア・ワーク,グループ・ワークなどを適宜取り入れたり,視聴覚教材や,LL,コンピュータ,情報通信ネットワークなどを指導に生かしたりすること。また,ネイティブ・スピーカーなどの協力を得て行う授業を積極的に取り入れ,生徒のコミュニケーション能力を育成するとともに,国際理解を深めるようにすること。

第3章 専門教育に関する各教科

第13節 英語

1款 目標
 英語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養う。

2款 各科目
第4 異文化理解】
 目標
 英語を通して,外国の事情や異文化について理解を深めるとともに,異なる文化をもつ人々と積極的にコミュニケーションを図るための能力や態度の基礎を養う。

 内容
(1) 日常生活
(2) 社会生活
(3) 風俗習慣
(4) 地理・歴史
(5) 科学
(6) その他の異文化理解に関すること

 内容の取扱い
(1)  内容の(1)から(6)までの中から,生徒の特性等に応じて,適宜選択させるものとする。その際,電子メールの交換や実際の交流などのコミュニケーション体験を通して理解を深めるようにする。
(2)  必要に応じて,日本の日常生活や風俗習慣などを取り上げるとともに,他の教科との関連にも配慮するものとする。

3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
 英語に関する学科の指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1)  「総合英語」及び「異文化理解」については,原則として,すべての生徒に履修させること。
 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(2)  教材については,英語による実践的コミュニケーション能力を育成するため,各科目のねらいに応じ,実際の言語の使用場面や言語の働きに配慮したものを取り上げるものとすること。その際,英語を日常使用している人々を中心とする世界の人々及び日本人の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴史などに関するもののうちから,生徒の心身の発達段階及び興味・関心に即して適切な題材を変化をもたせて取り上げるものとし,次の観点に留意する必要があること。
 世界や我が国の生活や文化についての理解を深めるとともに,言語や文化に対する関心を高め,これらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
 広い視野から国際理解を深め,国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに,国際協調の精神を養うのに役立つこと。また,題材の形式としては,説明文,対話文,物語,劇,詩,手紙などのうちから適切に選択すること。
(3)  各科目の指導に当たっては,指導方法や指導体制を工夫し,ティーム・ティーチングやペア・ワーク,グループ・ワークなどを適宜取り入れたり,視聴覚教材や,LL,コンピュータ,情報通信ネットワークなどを指導に生かしたりすること。また,ネイティブ・スピーカーなどの協力を得て行う授業を積極的に取り入れ,生徒のコミュニケーション能力を育成するとともに,国際理解を深めるようにすること。

第4章 特別活動

2 内容
 ホームルーム活動
 ホームルーム活動においては,学校における生徒の基礎的な生活集団として編成したホームルームを単位として,ホームルームや学校の生活への適応を図るとともに,その充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応及び健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。
(2)  個人及び社会の一員としての在り方生き方,健康や安全に関すること。
 青年期の悩みや課題とその解決,自己及び他者の個性の理解と尊重,社会生活における役割の自覚と自己責任,男女相互の理解と協力,コミュニケーション能力の育成と人間関係の確立,ボランティア活動の意義の理解,国際理解と国際交流など


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