4.国際教育の総合的な推進のために

 国は、以下の施策により、各地域の取組を支援し、国際教育を総合的に推進

  1. 地域の実情や特色を生かし、先進的な取組を行う国際教育拠点の形成
  2. 国際教育にかかわる教育資源の共有化や連携の促進
    • 参加型・実践型ワークショップの実施
    • 地域の人材や組織の連携支援 等

本章においては、これまで、国際教育の充実を図るため、「学校教育活動における国際教育の充実」、「国際教育資源の活用と連携のための支援体制の構築」、「海外子女教育の成果の活用と変化への対応」の三つの観点から、今後の方策の具体的方向性について述べてきた。
 初等中等教育全体における国際教育の推進を図るためには、本章各項で示した広範かつ多岐にわたる充実方策を、国として効果的に推進していくことが必要である。特に、学校における国際教育の充実と地域の国際教育資源の有効活用が重要となる。
 このため、1.先進的な取組を行う国際教育の拠点を形成し、優れた実践を積むことにより国際教育の質の向上を図る、2.外部資源の掘り起こし・共有・連携により国際教育を支援する裾野を広げ国際教育全体の底上げを図る、という2つの政策手段により取り組むことが有効である。
 国においては、以下のような施策を展開することにより、地域における学校や関係機関、NPO等の取組を支援し、国際教育を総合的に推進していく。

(1)地域の国際教育拠点の形成

 国際教育について先進的な取組を行う地域を指定し、国際教育を総合的に推進する国際教育の拠点を形成する。拠点の中核となる学校では、大学等と連携しながら、地域の実情や特色に応じた国際教育にかかわるカリキュラムや教材開発に関する調査研究を進めるとともに、地域の他の学校を先導し、地域全体の国際教育の振興を図る。
例えば、海外経験を有する教員の集中配置、海外姉妹校との交換留学、ITの活用等、地域の実情や特色を生かした国際教育に関する取組が期待される。また、このような取組の中で、個の特性に応じて、国際社会のリーダーとして求められる態度・能力を初等中等教育段階から育成することも考えられる。

(2)国際教育にかかわる教育資源の共有化と連携の強化

 学校における国際教育を支援・活性化するため、学校の外部にある人材や組織、それらがもつ学習プログラムや教材などの教育資源を掘り起こしつつ、それらの共有化・連携強化を進める。このため、学校における国際教育への支援や国際教育資源の共有・連携に取り組む学校外の組織に対して支援を行う。
具体的には、例えば、以下の取組を行う。

  1. 国際教育にかかわる指導力向上のためのワークショップの実施
     国際教育に携わる教員等の実践力向上を図るため、学習方法や教材開発等実践力の向上を目的とする参加型・実践型ワークショップを実施、あわせて研修プログラムを開発。
  2. 国際教育に関する情報発信の充実
     国際教育にかかわる優れた実践事例を収集するデータベースの開発を着実に進める。また、関係者間の情報交換、専門家による助言の提供など自己発展的なデータベースとする。
  3. 地域の国際教育資源の連携
     地域の国際教育資源の効果的な共有・連携を図るため、地域の国際教育関係者の情報交換、コーディネーターの配置、外部人材・組織の活動への支援や掘り起こし、それらのもつ資源の共有化・連携強化など、学校と外部の人材や組織との協働支援を行う。

 これら施策による地方における取組については、全国レベルのフォーラム等を通じて情報交換や普及を図るとともに、現在文部科学省で構築中の国際教育に関するウェブサイトを通じて広く公開する。

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総合教育政策局国際教育課