初等中等教育における国際教育推進検討会報告 -国際社会を生きる人材を育成するために- はじめに

21世紀においては、人・物・資本・情報が今まで以上の速さと量で移動し、その形態も多様化、複雑化している。今後も、世界的規模の相互依存と社会の国際化は、一層進展していくことが予想される。
 地球環境、エネルギー・資源、人口、平和、人権などの地球規模の諸問題は、一国のみで解決できるものではなく、国際社会全体が一致して取り組むべき問題である。人類共通の課題である「持続可能な開発」の実現に向けて、ユネスコを中心に「国連持続可能な開発のための教育の10年」が推進されているが、我が国もまた、世界の中の日本という視点を持ち、国際社会の一員としての責任を自覚し、これら問題の解決に積極的に参画し貢献することが一層重要になっている。個人においても、これら国境を越えた人類共通の課題の解決に積極的に取り組もうとする公共心が求められている。
 日本人が外国に出かけ異なる文化に接する機会とともに、日本を離れて外国の社会の中で暮らしたり、日本人が国際企業や国際機関の一員として働くことも増えている。個人レベルの国際化も求められており、我が国が競争力のある国家であり続けるためには、人間力の向上を図り、国際社会に通用する優れた人材を育成していくことが必要である。
 一方、日本の国内においても、多くの人々を外国から受け入れるようになっている。日本にいながらにしても、異なる文化や生活習慣をもつ外国の人々と、日常的に接する機会が多くなり、地域においてはそれらの人々と相互に理解し協力し合いながら生活することが求められるようになってきている。また、学校においても、多様な文化、生活背景、教育経験をもつ子どもたちが学んでいる。例えば、外国人の子ども、国際結婚の家庭の子ども、生まれたときから日本あるいは海外で育った子ども、帰化した子どもなど、様々な実態をもつ子どもたちがおり、学校の多国籍化・多文化化に対応した取組が求められる。
 本検討会では、このような情勢の変化を受け、海外子女教育、帰国児童生徒教育、外国人児童生徒教育、国際理解教育等を有機的に連携させ、これまで各分野で蓄積されてきた人材や経験の有効活用を図るなどの観点から検討を行った。そして、ここに、国際化した社会を生きる人材を育成するため、初等中等教育における国際教育の在り方について、その基本的な方向性を示すとともに、国際教育を取り巻く現状と課題を多面的に捉えた上で、今後の国際教育の充実のための方策について提言する。

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