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初等中等教育における国際教育推進検討会(第9回)議事録

1.日時   平成17年6月3日(金曜日)10時〜12時

2.場所   経済産業省別館1107会議室(11階)

3. 出席者
(委員)   池上 久雄(座長)、岩谷 栄子、奥村 芳和、小野 清二、佐藤 裕之、紿田 英哉、多田 孝志、千葉 俊治、根道 博、根本 かおる、長谷川 祐子、船橋 力、森 由美子、吉谷 武志 の各委員
(文部科学省)   山脇国際教育課長他関係者

4. 概要
(1) 開会(池上座長)
(2) 配付資料の確認
 事務局より配付資料の確認が行われた。
(3) 議事
報告書素案について、事務局から説明を行った後、自由討議が行われた。

池上座長】
 「はじめに」の1行目のところで、「人・財・資本」とありますが、「財」と「資本」は、我々の感覚からいうと、同じカテゴリーに属すると考えられますが、どのように使い分けるのでしょうか。

齋藤国際教育課長補佐】
 先日政府が発表した「日本21世紀ビジョン」において、「人・財・資本・情報」という言い方をしております。最初は「人・物・金」という言い方を修正したものです。ただ、「財・資本」というのがどう違うのかについては、なかなかうまく説明できないところもございます。

紿田委員】
 全体的に、長過ぎる気がいたします。読むと重複が多い。整理したら、おそらく半分にできると思います。それのほうが、いろいろなところに見せる時にパンチが効くのではないでしょうか。中身は全然問題ないのですが。
 それからもう1つは、最後の結論において、どうするということを書き、そこに一番焦点を当てなければいけないけれども、前半の状況説明が少し長過ぎる気もいたします。多くの人は、問題があることはもう意識しています。一体どうすればいいのかということに焦点を当てることが一番問題で、議論をしてきたとすれば、こうすべきだということを示すことが1つ。また、誰がどのようにするということも必要で、その部分については、随分整理してくださいましたが、もう少しアピールする書き方ができないか、と思います。

根道委員】
 文章の長さもですが、やはり何をやるかということが明確に書かれているかどうかが大変重要であると思います。何をやるかについては、最後の「地域の国際教育拠点の形成」等コンパクトに書いてあると思いますが、「誰が行うか」ということとともに、「どの程度の規模で行うのか」ということも併せて重要だと思います。今、帰国・外国人児童生徒とともに進める教育の国際化推進地域という施策がございますが、地方の皆さんは、新規の国際教育拠点地域事業と現在の事業のどこにどういう違いがあり、例えば、先生の配置や、予算の規模がどの程度異なるのかということがわからないのではないかという気がしますので、今後説明していく必要があると思いました。

紿田委員】
 文科省が、これから政策立案・実施をしていくときに強力な応援になるものとして、この報告書を使っていただきたい。更に言うと、実際の予算要求で使っていただくなどの形で、政策に生かしていただき、ぜひ実行していただきたい。文科省が我々の提言を、使えるいいものを出してくれた、何か活用しましょうという話になれば、我々としても参加した甲斐があります。提言しっぱなしで、一年たっても何も動かないのでは、一体何をやったのかということになる。

千葉委員】
 私は全海研に所属しており、十数年前、国際理解教育に取り組む初期段階で、国際理解教育とは一体何かを、現場から求められたことがあります。そこで、私どもは多田委員などが中心になって、そのダイジェスト版を短く冊子にまとめました。そういう経験から、今回のこのまとめが、現場の国際教育に携わる人間から見ると、バイブル的な存在になり得るのかと思います。ただ、もう少し表現を端的にしていったほうが、多忙な教員にとってはもっと有効に活用できるのではないかという気がします。

山脇国際教育課長】
 全体的に長い報告書になっているという点については、1つは、国際教育に関連する課題とか今後の方向性の洗い出しを、できるだけしたいという気持ちがあったためです。したがって、分析の部分も、包括的にいろいろな観点からご議論いただき、どういう点が課題であり、方向性なのかというところを出していただきました。したがって、分析の部分や取組の部分が広範多岐にわたる結果となったと思っています。
 きちんと読んでいただかないと、なかなか全体を理解してもらえないので、インパクトは強くないかもしれませんが、受け取る文科省の側としては、非常に多くの論点について方向性を出していただいたので、基本資料・報告書になり得るのではないかと考えています。しかし、この報告書の要点については、きちんと示す際に、今は1枚の紙で要旨をつくっていますが、どういうプレゼンテーションなり示し方をすればいいのか、もう少し工夫ができないか、考えてみたいと思います。
 それから、誰がどのように、いつ実施するのかという点は、これも第3章の1から3あたりでは、教育委員会がするのか、学校がするのか、あるいは外部の人材・組織が するのかというのを、できるだけ書き込んだつもりです。ただ、今の時点で、誰がやればいいのかを明確に定められないものもありましたので、そこは内容だけで、検討課題として残っている部分もあります。
 しかし、第3章の4のところで、大きく先進的な取組を行う国際教育拠点の形成、国際教育にかかわる教育資源の共有化と連携を進める点については、国がやるべきだというお示しを明確にいただいています。実際に今、来年度の予算要求に向けて制度設計などを進めているところです。この会議の場で具体的なところまで決めることはできないかと思いますが、この報告の趣旨あるいは要点、ポイントを踏まえた形での具体的な方向を政策につなげたいと思っています。
 それ以外にも、例えば海外子女教育や帰国児童生徒教育については、大きな方向性で出していただいていますが、実態とかニーズの把握がまだまだ必要ではないかという指摘もいただいています。例えば海外の子どもたちについて、補習授業校に通う子どもたちが変化して、現地校志向が高まっている傾向があります。そういった傾向が進むと、帰国児童の様子も変わるのではないか、と考えられます。そこで実態をきちんと把握しないと、政策立案できないので、実態ニーズ調査も今後実施を計画しています。
 もちろん、この報告書を受けて、すべてを今から実行するというわけにいきませんが、大事なもの、重点的に行うもの、早期実態調査をすべきものなどから取り組んでいきたいと考えています。

多田委員】
 このような報告書は、現場の教員にとってバイブル的なものとなると思います。一方で、例えば総合的学習の事例内容が例示されると、こうしなければいけないと思うのが、現場の感覚です。そういう視点から、今の大きな議論の他に、ここに例示されたものをもう一度見直して、つけ加えたほうがバランスがいいというものがあれば、追加した方がいいと思います。
 例を言いますと、8ページの国際協力機構、国連児童基金、国連世界食糧計画ですが、やはりここにユネスコを入れたほうがいいと思います。冒頭にも、例の「持続可能な」が出ております。それから、18ページの部分が、まさに本検討会の目玉の部分になると思いますが、学校単独ではなく、もっと広がりを持たせた国際理解を推進するべきであると思います。そういう視点から「地域の国際教育ネットワークの形成」のところに、社会教育施設との関連、例えば博物館とか図書館等の文言を入れたほうがいいと思いました。

佐藤(裕)委員】
 5月の下旬に、文部科学省が行う小中学校の指導主事を対象としたある教科の会合に出てきました。2日間だったのですが、国の政策や、教科の現状、課題、そして先進的な地域の事例などを、全国の指導主事が集まって共有化することで、大変勉強になりました。私たちの約1年間かけたこの報告の中身は、大変濃いものであると思っています。これを現場の先生方にただ読めということではなくて、全国の指導主事会議のような場を設けて、きっちり説明していただく機会をとっていただくことで、かなり浸透すると思います。報告書が直接学校に行くだけでは、なかなか実現しないだろうと思います。

山脇国際教育課長】
 国際教育関係の指導主事会議は、年に一回は開いていますので、しっかりと説明したいと思いますし、それだけではなくて、21ページのところに「全国レベルのフォーラム等を通じて情報交換や普及を図る」とあります。フォーラムは、学校、先生方、教育委員会だけではなく、NPOとか国際機関とか国際交流団体とか、できるだけ関連した多くの人が参加して、日頃触れ合えないところを、まず語り合ってもらう場です。全国レベルですぐには政策に結びつかないかもしれませんが、地域でまた連携が広まっていくものです。全国的レベルのフォーラムも積極的に開催して、できるだけ広く伝達していきたいと思います。

岩谷委員】
 全国レベルで発信していただけるというお話の中で、例えば小学校、中学校校長会等がございます。そういうところでもぜひご説明いただけるとよいのではないかと思います。
 4ページの「国際教育を推進するための基本的視点」という、2の四角部分ですが、今回の大きな目玉の中に、国際理解から国際教育へという中身のところで、発信力が大きなキーワードになるかと思います。けれども、発信力の意味づけが非常に難しいので、どういう形で説明するべきかと思いました。併せて、その4行下に「発信し行動できる力」と表現されていますが、行動あるいは実践という言葉はとても大事であると思いまして、発信力と併記するか、あるいは実践に置きかえるかについて、ご検討いただけるといいと思いました。発信は、こちらから出るだけですが、同時に受けるという部分もとても大事であると思います。

根本委員】
 冒頭の説明の中で、国際的な公共益のために、参加・貢献すること、これをより強く明確にうたっていただいたということがありましたが、それをよりいろいろなところで明確にうたっていただくことができないかなと思いました。岩谷委員のご指摘のあった部分でも、国際的な公共益のための参画とか参加とか、そういった言葉も盛り込んでいただければといいと思います。このような参加あるいは貢献という言葉を盛り込める場所というのが、特に第1章の中で随所にあるのではないかと思います。

船橋委員】
 内容を見るといまだに、何のための国際教育なのかというのが、見えません。何でも解決しようみたいな内容になっている中で、リサーチとしてはいいのですが、例えば私が小泉首相だったら、どれから手をつければ一番いいのか、迷うと思います。何のためにやるのかというときに、まずこれを解決すると、次につながりますといった優先順位をつけた提案のほうがわかりやすいと思います。
 資料5と6の、目標や国際教育の定義のところで、国際社会において、このままだと置いていかれる恐れがあるから、日本人はもうちょっと引っ張っていくべき立場になるべきといった側面があると思います。また、地球的視野に立つという記述も、日本人がリーダーシップをとることで、地球をよりよくできるといった、主体的で能動的な意味を盛り込んで書くといいと思います。

奥村委員】
 1ページの下の「現代は、国際的な「知」の大競争時代である。」という部分の下に、「新しい時代を切り拓く、心豊かでたくましい日本人の育成を目指して」という記述がありますが、たくましくない人間も中にはおりますし、むしろそういうところで「信頼される」という一つの言葉を入れたらいいのではないかと思います。また、2ページの「理解から発信」という部分ですが、発信という言葉が、定着している言葉ですのでいいかとも思うのですが、もう少し提言とか提案とか、そういう言葉にすると、相手のことも受け入れて、その上で自分の中で練り直して、一つ世界に対してこういうふうにしたらとこういうふうな形にしていける、その過程で信頼を勝ち得て、日本人による日本の魅力を、世界に受け入れてもらえる、そういう形になるのではないかと思っています。

森委員】
 「つながり」というのは、私のやっているNPOの一つのキーワードなのですが、実際にはいきなりつながることはできません。「つながる」前に、出会いがあって、伝え合いがあって、その後に「つながり」を感じるという、大きく分けると、この3つのフェーズがあると思います。まず、自分を人に伝えるというためには、自分たちを知らなければいけないので、どういうふうに人に見せていくかという、これも「つながる」ためにはとても大事な要素ですし、そうしていくことで、初めて向こうが伝えたいことも聞ける態度が出てくると思います。
 だから、今回のこの案にもありますが、そういうことを試している我々のようなNPOの知見を使っていただければ、コンテンツを持っていますので、まず、自分たちでつくった素材ベースで、共通の興味のところから交換するというようなところで、英語でしゃべれる人たち同士は英語でもいいし、逆に、言葉というものが壁になっているときは、私たちの開発している絵文字と定型文のコミュニケーターを使っていただいてもいいし、そこで、出会える場と伝え合える場というものをつくり出していくことが大事ではないかと思いました。
 あと、この案の中に、すごくいいシーズ(材料)がたくさん入っていると思います。その優先順位をつけるべきという話が出ましたが、例えばこれは5年ぐらいかけてやっていくことだとか、これは10年スパンだとか、これは1、2年先までには何とかしたいという、そういう時間の流れみたいなものがあると思います。デッドラインを設定するのは非常に苦しいので、こういう順番でやっていきましょうとか、文科省でそういうチャネルをつくって、何か簡単なフローチャートで、時間が見えるものが1枚あれば、ここで話されたことがすごくわかりやすくなるのではないかと思いました。

船橋委員】
 私も現状と向かう方向というのはよく見えて、ゴールも見えるのですが、そのゴールが10年後なのか100年後なのかという点で、期限とあるべき状態が見えにくい気がします。一方で、手段とかはいっぱい詰まっているので、期限や状態さえ見えると、現場の方は動きやすい気がします。

池上座長】
 この話を聞いて思ったのですが、最後の会合のときまでに、国際教育課でタイムテーブルもつけて、我々の報告を受けて、実現するためのこのような段取りで、これはいつごろ、これはどの辺というアクションプランはできますか。そうすると、我々にとっては非常に具体性があって、そういう少しユニークなものになっていいのではないかと思います。

山脇国際教育課長】
 時間軸、目標を達成すべき状態というか、何年後にどうあるべきかというアクションプランを示すのは、確かにそのとおりであって、そういう形が望ましいと思うのですが、今のところ、私どもも手探りでやらなければいけない部分もあって、はっきりと自信持って言える状況ではありません。ですが、この案として、これから意見募集を受けて、次の7月の会合で、最後になるかと思いますが、そこでこの報告を受けて、次にどういうアクションを具体的にしていったらいいかを、意見交換していただきたいと思っていました。
 そのための議論のたたき台として、どういう順序でやっていけばいいのか、それに時期を入れて、いつまでにということまで明示できるかわかりませんが、どういう形で進めていこうと思っている方向性を資料として出して、その際にご議論いただければと思っています。それを踏まえて、報告書にすぐ入れる形にはできないかもしれませんが、我々のアクションの参考にしていきたいと思います。
 シーズ(材料)がいろいろとあるとご意見いただきましたが、その中身をどうしていくのかが問題になると思います。一番最後に申し上げた拠点づくりと教育資源の連携を進める施策については、最初の段階でやっていきたいと思っています。その次の段階で、いろいろと成果が出てきたものをどうつなげていくのか、それを定着させるのかという部分もまた考える必要が出てくるかと思いますが、それはもう少し長期的な、中期的な数年のスパンになるのかと思います。そのようなイメージを出していきたいと思います。

小野委員】
 私も全体的には非常によくできているけれども、内容の重点がわからないという気がします。そこで、例えば最初からずっと流れているところは、国際社会で求められている能力・態度と、発信が大事である、自ら表現する力が大切だと、述べているんですが、実際に資料5で見ると、一番大きい枠で「学校教育活動の充実」にみんな目が行くと思うんです。すなわち、各学校に配られたときに、やはりここを見るだろうと思います。やはりこの部分に強弱をつけたら、この報告書のままでいいのかなと思っています。
 例えば、学校教育の充実の中で、実際に何が必要かというところですが、12ページあたりからずっと書かれている内容です。特に第3章で、具体的方策が一番大事で、そこを見るし、そこを視点にして考えていくと思います。そうすると、第3章のナンバーとか枠づけを、少し強弱はつけられないかと思いました。例えば1番目では「教員の実践力の向上」があります。これは当然で、最初に持ってくる内容だろう思いますが、(1)でこういう書き出しで書いてあります。それから、(2)で「学びが広がり深まる授業づくり」となっています。ここが一番また次に大事なところだと思うのですが、そういう授業づくりのために、先生たちは一体何をするのかというところが、羅列的に述べてあるだけなので、見えてこない、いわゆる実践できないのではないかと思います。
 例えば、「学びが広がり深まる授業づくり」では、傍線を付して「各教科の関連を意識した授業づくり」が来ています。実践する上では、かなり意識してこれをやると思います。2番目の13ページの「実践的な態度・能力を育成する授業づくりへの支援」、それから「言語教育の充実」、次に「国語教育の充実」、この4点を実際に各学校がもらったときに、ここを重点にやっていくのかということで、じっくり読んで実践していくところになると思います。
 とすれば、どうも傍線だけの単なる羅列の表現に終わってしまっているので、ここを何かゴシックで変えるとか、あるいはナンバーを改めて、1とか2とかという表現にして強調すれば、特に実践面で学校に示してもらうような報告書ができるのではないかと思います。先ほどのアクションプランで、どこを順番にということも大切ですが、それは報告書には盛り込めないかもしれませんので。

山脇国際教育課長】
 ご指摘のあった12ページの授業づくりの部分は、確かに羅列的に見えるような部分があります。最初に重要なものから書こうという意識はありますので、授業づくりをどうするのか、そのための支援、サポートをどうするのかという観点、言語教育はまた別の重要な点として指摘をいただいておりますので、ここの部分については、考えたいと思います。

森委員】
 この「学びが広がり深まる授業づくり」というところですけれども、全体の流れの中で、教育現場の先生たちに負荷を多くかけるような形での国際教育の取組を推進し過ぎてしまうと、非常に大変だという話がわりと出ていたと思います。議論を重ねてきた中で、いろいろな、ほかの機関と連携したり、そういうコンテンツをそこで使ってもらえるような形にしようというところが、本検討会の議論の中で出てきた、面白いところなのかなと思っています。ですので、そこが何かわかるような形でまとめたいと思います。今までどおりに、先生たちがそれを学んで、うまいこと入れてくださいというニュアンスになってしまうと、どうやって入れていくのかというのが見えないと、ちょっとやりにくいなみたいな話になるので、そこを我々は具体的にフレーズとして出していくと、本検討会としての特色が出ると思いました。

山脇国際教育課長】
 13ページの中ほど、「学習内容・方法の開発」の部分に、そういうのを書き込んでいますが、この部分については全体にコンテンツ開発という点が出るような工夫をしたほうがいいかと思います。

船橋委員】
 資料5を見ていまして、国際教育は、学校だけじゃなくて、学校以外でもできるはずという視点に立って、これを先生に渡すときに、学校内と学校外というのが、まずあってというところから入って、こういう状態をとにかく達成したいというのが、3年後、5年後にあって、そのために補うところがどういうところであると表記することが必要だと思います。
 多分私が学校の先生だったら、国際教育の現状とか、世の中の現状といっても、どこまでやらなくてはならないかとか、明確にわからないと思うのです。その辺が全体から見えてきて、だから、あなたたちはここですとか、学校以外でこういうことがやられていれば、ここはやらなくていいですとか、そういうもう少し大きい絵が1枚あってもいいかと思います。そうすることで、学校の先生も、いっぱいシーズがある中で、どれというのを、もう少し選べるという気がいたします。

池上座長】
 もし、うまくそれを絵でかけそうだったら、後からこちらに送っていただければと思います。一つの参考資料になるだろうと思います。

吉谷委員】
 公民館と学校とか、学校、地域ごとに社会教育の分野で学社連携という形ですごくブームになって進んでいる地域があります。福岡あたりだと、小学校区ごとに地域公民館というのを設置していて、それはほとんど学校とくっついてしまっています。そういうことも多分、応用みたいな形でできると思います。
 それで、地域なり、地方の実態もふまえた形で国際教育を進めることが大切だと思うのです。つまり、東京だからできるので、九州はできませんみたいな話ではないと。それがとても強調されて報告書に入ってきています。キーワードの中にも入っていると思うのですが、例えば第3章のところでは何カ所か、冒頭の議論で、地域の実態に合わせてという形を書いていただいています。14ページの「直接的な異文化体験の重視」では、当然地域の実態とか、あるいは実際の外国だけに目を向けたのではなくて、日本の社会そのもの、学校そのものが多文化、多国籍化しているという現状が、全体としてはあると思います。けれども、3の括弧、直接的な体験、14ページの四角の後に、「外国の学校との交流や留学生の受入れ」という形でいきなり入ってくると、学校の先生たちは、ネットの環境も悪いし、自分は外国語もできないので、外国の方と交流するのは厳しい、できないという、先ほどの話での一種の負担感みたいなものが出てくると思います。
 ところが、実際には地域には外国の学校、地方でもインターナショナルスクールがあったり、外国の学校というと、非常にナイーブな部分も、九州や関西地区などにも多いわけですが、その辺の工夫を「国内外の」みたいな言葉を入れるのがいいのかわかりませんけれども、地域性を活用するのですよという記述を、この辺で触れていただくと、学校の先生たちの負担感は全然違うと思います。
 留学生を呼んでこないといけないとか、外国と連絡をとられなければいけないというと、もうお手上げになってしまうという部分がすごく出てくると思います。そういう意味では、その上の国際教育の充実の三、四行上には、「子どもたちの発達段階を」という部分にも、「子どもたちの発達段階ないし地域の実情に応じて」と、何カ所かで入れてあげると、読んだ先生たちは、自分たちの学校に関係あるとかいう意識になりもう少し負担感も減るのではないのかという気がしました。表現上の非常に小さな点かもしれないけれども、学校の先生たちにとっては、それを見たときの受けとめ方はもっと大きな問題になってくるという気がして、その辺を少し工夫していただければ、ありがたいと思います。

池上座長】
 むしろそういう事例を誰がつくるかということが問題で、文科省で事例を集めるのも大変だと思うのですが、これができれば使い勝手が非常にいいということになるでしょうね。

山脇国際教育課長】
 教育資源の共有化と連携の強化というキーワードで最後に言っていますが、その中には、先ほど申し上げましたコンテンツ的なもの、あるいは実践的な地域の交流事例などを集めて、共有して広げていくということを行ったらどうかと考えています。21ページの「国際教育に関する情報発信」というような言い方で、データベースと書いていますが、実は多田委員にご協力いただいて、どういう形で集めていけば、活用しながらできるか、自己発展型で、新しいコンテンツがどんどん増えるような状況をつくれないかということもやっていますので、さまざまな方式があり得るかと思います。地域性については、少し工夫した書き方が必要かと思います。

多田委員】
 吉谷委員が言った地域性というのは効果的だと思うのは、私も千葉委員と一緒に全海研のときに、46都道府県から事例を集めたことがあるからです。そうすると、目が覚めるというのか、こういう実践でもいいのかと思うことが多くありました。そういう意味では、非常に効果があります。
 別件を一つ申し上げたいのですが、この報告書をインパクトあるものにするためには、後段のところでアクションプランを明確にしていくという論議がありましたが、もう1つ、イントロのところも工夫したほうがいいのではないかと思っています。
 国際教育がなぜ必要なのかということをもっとはっきりと出していいと思うんです。というのは、ここで議論があったように、現行の学校教育の中ではなかなか育てにくいもので、この社会に必要なものを、国際教育は育てるという大きな意味合いがあるのです。ところが、学校現場の現状は、まるで胸元にバラの花をつけるように、つければいいという感覚があると思います。そうではなくて、これはこれからの21世紀の日本人をつくっていくために、今までの学校教育の中ではなかなか育っていかなかったものをきちんとつけるために、学校教育に、あるいは社会教育、あるいは日本の全体に不可欠なものだということを、強く出していいのではないかと思うのです。
 事例を言いますと、大阪教育大附属の池田の中学校で、文部省の指定を設けて市民科というのを実施していて、私もかかわっていたのですが、先ほど根本委員が言っていた参画の問題とか、ボランティアとかジェンダーとか国際貢献の問題とか、それからいわゆるダイアローグ型コミュニケーションというのはどういうもので、それをきちんと見つけることが、国際社会に生きるために必要だと思います。つまり、従前の教科教育その他ではなかなか育ちにくいものをきちんとやるためには、国際理解教育が必要なのです。それは、どの場でやるかは別にして、そういうことをやはりもう少し遠慮なく言ってもいいのではないかという、思いがいたします。

長谷川委員】
 国際教育の必要性が出されて、学校側がどうとらえていくかというときに、「初等中等教育における」というようなものがついているということは、それぞれの学校で学校教育目標を立てているのと同時に、その中に、今度は国際教育の全体教育計画というものをきちんと据えていかなければいけないんだろうと思うのです。現在各学校では、人権教育あるいは国際理解教育というような形の全体教育計画というものを作成しているわけですが、それが、今度国際教育の全体教育計画という形で、小学校でいえば1年生から6年生まで、その発達段階において、どういうことを押さえていくのかということをきちんと系統づけながら、あるいは考えていく必要が出てくるのかと思います。
 そのときに、「つながる力」の部分ですね。今、記述の部分に、共生することのできる態度、能力というような形で、ここに加えていただいた。こういう言葉が出るときに、やはりキーワードとして、今度「つながる力」というのがすごくクローズアップして出てくると思うのです。国際教育というのは、「つながる力」、「自己の確立」、「自ら発信、行動する力」という大きなとらえが出てきて、そして、それでは具体的にといったときに、先ほど小野委員から指摘があった、「学びが広がり深まる授業づくり」あたりが、直接的には授業に関係してくる。その辺の部分をとらえながら、やはり考えていくのかなと思うのです。
 そのときに、問題となるのが「つながる」という言葉です。「つながる力」というのは、どういう状態をいうのだろうか。先ほど森委員から、出会う、伝え合う、つながるというのを、プロセスとして行っているというのを聞いて、やはり「つながる」というのはあるんだな、と思いました。私などは、「つながる力」というと、何か後天的で、実感としてあまりはっきり出て来ないのです。それよりも、今までこの中にも出てきているのですが、「かかわる」という言葉は、今、教育の中で非常に使われています。「かかわり合う力」とか、例えば「かかわる力」とか、何かそのほうがピンとくるのかなと思います。その辺は文言のことなので、「つながる力」で出していくのであれば、一応ここにどういうものなのかという定義づけていらっしゃるので、それは構わないのですが、少しその部分が気になりました。
 もう1つが、第3章の、1、2、3、4という項立てが、「教員の実践力の向上」、「学びが広がり深まる授業づくり」、この項立てがあります。すべて4つは並列的に大切だと思うのですが、自分としては「学びが広がり深まる授業づくり」が一番初めにあって、そのためには、教員の力量、そういうものが必要なのだという、順序としては、2番目が1番目にあったほうがいいのかなという気がします。

船橋委員】
 今の話との関連ですが、我々日本人は、学校教育の中で、日本人の認識、何でそうなっているのかというところをもう少し詰めたほうがいいと思います。どういうことかというと、例えば、「つながる力」とか、「かかわる」という言葉が出てきましたけれども、本当に日本人には、「つながる力」、「かかわる力」がないのでしょうか。多分ここで求めているものと違う力は持っているけれども、ということだと思うのです。
 もう少しわかりやすく言うと、例えばディベートがとか論理的思考力が、日本人が弱いというのがありましたけれども、その一方で、日本人には「あうん」の呼吸やコンテクストがあると言われます。一方、アメリカ人は多民族、いろいろな国の人が来るので、共通言語として、論理的とかロジカルシンキングがどうしても必要だから、それが身についています。それが共通言語、我々で言う、「あうん」の呼吸と変わらないはずなのです。
 日本人は、国際社会では、「あうん」の呼吸なんて通じないから論理的思考が必要で、ディベートが必要で、自ら発信しているつもりですけれども、海外では発信しているように見えないというのは、多分そういうところに理由があるといったところまで意識がいかないと理解しにくいと思います。日本人なら日本人のよさもあるし、けれども、国際社会の場に行くと、どうしても通じない理由とか、そこら辺の自己認識ですか、「つながる力」も多分同じようなものだと思うのです。論理的に話せるようになれば、海外につながりやすいというだけで、何かそういう自己認識というのでしょうか、そういう場面から必要ですとか、その辺まで、この言葉の定義と意味や背景を入れると、現場の人は、よりしっくりくるのではないかと思います。

山脇国際教育課長】
 キーワード的にできるだけ、記述はいろいろと考え方を書いています。それをどうやって短い言葉で、コンセプトを伝えられるかということで、この会合で出てきた、まずは異なる文化を受容して、受容するだけではなくて、次のステップが必要ではないかという議論から「つながり」というキーワードを出したらどうかと考えています。

根道委員】
 ちなみに、英語にすると、何という言葉になるんですか。

根本委員】
 リンケージ(linkage)ではないですか。

森委員】
 私は、ボンド(bond)と訳していました。きずなという意味もあります。

佐藤(裕)委員】
 どうしても私たち教育の現場では、受容したら共生なのかというようなイメージがあります。だから、そこに「つながる」というと、学校現場ではつながって、かかわればいいのかといったゴールの設定が、イメージとしてがどうしても出てくるのかと思います。それから、やはり私も「つながる」という言葉はあまり聞いたことがなかったので、もしこれを提言するのであれば、「つながる」とはどういうことかという説明がされないと、またいろいろな考え方が出てきて、進んでいかないのではという気がしています。

池上座長】
 文章では、「つながり」とはというのは書いてはあるので、意味はわかるのですけれども、表題として出たときに、2つ違和感、言葉の違和感があります。一つは「つながり」とそれから、「人・財・資本」という表現のが、今まではあまり使っていなかった。この「財・資本」というのは書かなくてもいいのではないでしょうか。

山脇国際教育課長】
 わかりました。

池上座長】
 「つながり」は大事なキーワードですから、避けるわけにいかないと思います。

多田委員】
 それは、知識の教育から関係性の教育へという、その中の文言で、関係性ということを、「つながり」という言葉で表現したと思うんです。1990年、ユネスコを中心とする国際理解教育のパラダイムの転換があったのです。その中で幾つかのキーワードがあって、1つは、地域から国際理解教育を考えていく。それからもう1つは、知識偏重の教育から、人と人とのかかわりをつくる教育へ。その言葉が、おそらくルーツの一つだと思います。だから、趣旨としては、そういうことを入れたほうがいいと思います。それを、どういう言葉で表すかというのは論議になるかと思います。

森委員】
 今の「知識から関係性へ」という言葉が、そこに足されるとすごくわかりやすくなると思います。ただ、この国はこんなものであるとか、こんな文化を持っているということを知っているだけではなくて、そこにいる人たちとの実際きずなというか、「つながり」を感じられるような人間関係を築けることを、国際教育の中で行っていきたいと思いました。

多田委員】
 それが、自己の確立とか行動性という、まさに下につながっていくわけですね。

池上座長】
 3ページの「つながる」が初めて出てくるところで、「異文化や異なる文化を持つ人々を受容し、『つながる』ことができる態度・能力」という、文章の中ではわかるのです。それから、その下の123というようなところとその下の文章が、「つながる」ことの具体化かと思います。ただ、「つながる」という言葉だけだと、違和感が出てきます。

船橋委員】
 「つながること」は正直、すごくハードルが高いことだと思います。私自身、異文化の人と「つながる」能力あるのかというと、すごく疑問です。理解する以上に難しいかもしれません。みんな地球という環境でつながっているのだということを知れれば、それで十分かと思います。「つながる力」というと、我々はできるのでしょうかというのも含めて、子どもに求めるのは難しいかと思います。あくまで目指すものですから。

森委員】
 多分私たちがまだ持っていないから、それを持ってもらいたいと思う願いのようなものでしょうか。

山脇国際教育課長】
 どちらかというと、高い目標設定という意味合いですね。

多田委員】
 当初は実際にできるかどうかというよりも、意識の問題から入ってくると思います。そういう意識を持とうという。それは、だから、言語表現とかコミュニケーションということにかかってきて、いわゆる合意形成を目指すとか目指さないとかということにつながってきます。

紿田委員】
 私も初め、すごく違和感を持ちました。ところが、考えていて、みんながソフトに受け入れてしまうことは、あまりンパクトにならないから、ちょっと違和感があるぐらいのほうが、実際にやるときにはいいのかなと、思って受け入れようという気になりました。

根本委員】
 私も10年ぶりに日本に帰ってきて勤務しているわけですが、最初「つながり」という言葉を聞いたときに違和感があったのですが、皆さんは普通に使っていらっしゃるのですね。それで、一定の理解というものが、こういった国際教育、あるいは国際理解にかかわっていらっしゃる方が、使っていらっしゃるので、これはいい言葉かなとも思うのです。最初は違和感があったのですが、いろいろと注意して聞いてみると、いろいろな場所で聞くようになった。ですから、この文書の中で「つながり」という言葉を見たときには、さほど違和感はなかったというのが、正直なところです。

奥村委員】 
 前回も私、個と個の「つながり」という言葉を出したのです。その「つながり」の中からいろいろなものを、お互いに育み合い、そしてパブリックなものへつなげ、次のアクションがあるんじゃないかという言い方で、私自身は、その「つながり」というのは非常に初歩的なものであると思っています。今の生徒というのは、個と個がきちんと「つながる」というか、関係づけるというか、仲間づくりをする、そういうものが非常に下手になってきています。

佐藤(裕)委員】
 「つながる」というところは、やはり4ページから読み直すと、人間関係をつくって、他者とかかわって、問題解決する力までを指しているんです。それを、「つながる」という4文字で代表させていいのかという気はいたします。実は、それが学校現場であまり使われている感じはしないのです。

池上座長】
 巻末に、我々がこういう意味で使っているという用語集でもつけたらどうですか。

山脇国際教育課長】
 4ページの一番上のパラグラフで、「つながる力」、その力とはどういうものかというような、意味づけはしているつもりではあるのです。先ほどの知識と関係性という意味合いがもう少し入ったら、もっといいかもしれません。

小野委員】 
 単純に「かかわる」という表現では、だめでしょうか。

岩谷委員】
 他者を受容し、「かかわる」というような表現では、かなり端的ですね。
 「かかわる」という言葉は、今まではこういう文章等々に多く出ていました。人と人との「かかわり」をというように。先ほど先生おっしゃったように、インパクト与える意味では、「つながる」という言葉は「これ、何?」と、気を引かせることができると思います。そして、「つながる」というのは、子どもたちにとっては非常にわかりやすい言葉であると思うのです。だから、そういう意味で、先生方がきちんとそこを理解して、「つながる」ことを国際教育という一つの売り物にしていくというか、インパクトを与える文言としてはいいかと思いました。

千葉委員】
 このことについては発言を控えてきた理由があるのですが、私どもの全海研では国際教育の一つのねらいとして、キーワードは「開き、つなぐ」という言葉を使っています。非常に使い古された言葉であると同時に、中身としては非常に深いものがあると考えて、使っています。

吉谷委員】
 「つながる」と言ったときに、やはり遠い目標として、「この力とは」の説明のところは、受容して「つながる」みたいなイメージが強いです。つまり、全部受容しないといけないといったような。ある程度受容して、つながってしまえばいいみたいなことに、学校の先生などは多分理解していくのだろうと思いますが。
 ところが、共生という、リビング・トゥギャザーという言葉を、ヨーロッパで使っている場合に、そんなに受容できないけれど、一緒に地域の中とか、その場所にいないといけないこともあるので、その一緒にいることが大事なんだよという話になります。そのときに、お隣はトルコ人で、ムスリムの人で、こちらはキリスト教徒で、一緒にいて、隣同士で住んで、同じ建物の同じ階をシェアしている場合があるけれども、だからといって、「つながる」というのは、いつもお話しして、同じように食事して、仲よくねという話ではないということも含めて、共生、リビング・トゥギャザーという言葉を、彼らは使っているときがあるのです。
 そうすると、日本で「つながる」とか「共生」と使ったときに、そういうふうに理解するかというと、受容という言葉も、何かずっと一緒にいて、隣同士で、ずっと仲よくしないといけないというような、イメージが出てくるので、実態的に「つながる」というふうに使うと全部がつながってしまう気がします。全体の違和感で、「つながる」という言葉が、もちろん説明はしているけれども、目標のところまで一気に走ってしまうような感じがするのです。

船橋委員】
 個人的には、すごくいい言葉だと思います。サブタイトル、「共生へ」、「関係性からつながりへ」とか「共生に向けて」とか、そんなものをつければいいと思うし、あと、ここのメンバーが共通認識を持っていれば、もうあとは戦略性だと思います。

岩谷委員】
 やはり初等中等教育を対象にしたということですので、小学生や中学生が、「かかわり」とか「共生」とかいうよりも、「つながる」というほうが理解しやすいのではないかと思うのですが。

佐藤(裕)委員】
 この検討会議で、例えば「国際理解」が「国際教育」になったとか、「つながる」という言葉が出て、言葉は大分整理されたと思うのですが、一つ質問させていただきたい。これは、一有識者会議としての提言なのか、文科省としての言葉の整理なのか。例えば、私たち教育委員会としては、今まで「国際理解」としていた言葉を全部「国際教育」に直したり、それから目標のあたりでも「つながる」という言葉を使っていったりとか、そういうことも考えていかなくてはいけないのですが、いかがでしょうか。

山脇国際教育課長】
 今の段階では、本検討会の報告として、提言を出していただいたということで、先ほどのアクションプランと同じように、文科省で受け取るものと考えております。今後、中央教育審議会での検討に反映される部分はあるかもしれませんが。

佐藤(裕)委員】
 例えば総合的な学習の時間で、例えば「国際理解」という言葉が「国際教育」という言葉に変わるということまでもイメージしていいんでしょうか。

山脇国際教育課長】
 そこは別途に検討される問題だと思います。そのような検討がなされる際に、本検討会の趣旨をしっかりと伝えていって、深い議論をしていただきたいと思います。

池上座長】
 この国際教育の分野においては、ほかに今、常設の審議会があるわけではないので、この提言はかなり重きをなすと考えていいと思います。最終的には、レスポンスはあるのですか。

山脇国際教育課長】
 世の中に広く伝えていくことが大切だと思います。また、例えば来年度、文部科学省が取り組む施策を通じても、伝えていきたいと思っています。
 報告書についての議論に戻りますが、長谷川委員からお話ありました10ページの「教員の実践力の向上」と、12ページの「学びが広がり深まる授業づくり」、この順序が、授業づくりが、まず最初ではないかというご意見がありましたので、その点について、入れかえたほうがいいのかだけ決めていただければと思います。

小野委員】
 資料5では、左のほうに、「学びの広がり、授業づくり」が左側の四角に入って、最初に来ていますし、2番目の四角も、「授業の実践」として、今度は学びが深まるが下になっているということがありまして、これは統一して、先に「授業の実践」というか、「学び」ではないかという気がします。

池上座長】
 では、この点は、皆さんのご意見と考えて報告書の方の順序を入れ替えることにいたします。

長谷川委員】
 最後に申し上げたいのですが、「つながる力」というのはわかりました。でも、「かかわる」というのだと弱いということがありましたけれども、子どもたち同士、例えば国際教育というのは、外国だけじゃなくて、身近な隣の席の子ども、要するに人間理解という部分ですね、そういうことを考えていくと、先ほど関係性という言葉も出てきたのですが、やはり「かかわり合う力」というのが、すごくよくわかるなとすごく思っていたのです。だから、「つながる」という、それも聞きなれないからだとは思うのですが、何か自分としては、「かかわり合う力」の方が、非常にすんなり入ってくるとということは申し上げたいと思います。

千葉委員】
 報告書全体を読んでみて、わかりづらいとか、くどいとかいうお話もありましたので、私もやはりもう少しそういう部分を修正いただいたほうがいいと思っています。例えば「はじめに」のところの「また」のところは、一文が6行にもわたっています。一文を短くするという工夫と、それから、同一語が一文の中に2つ3つが出てきたり、あるいは1つの段落で多用されている点が気になります。それから、「の」が連続して3回ぐらい使われているところもあります。それから、四角で囲ってあるところの、丸があるところと、ないところがあります。それが統一されるといいと思いました。


(4) 今後の日程について
事務局より、今後の日程について説明した。

(5) 閉会
  ―― 了 ――


(初等中等教育局国際教育課)

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