平成23年7月29日(金曜日)14時00分~16時00分
中央合同庁舎第7号館東館7階「7階第1会議室」
福田委員、有村委員、岩﨑委員、梅野委員、大西委員、神山委員、金子委員、桒原委員、谷口委員、林委員、増田委員、
白間児童生徒課長、春山児童生徒課課長補佐、堀江指導調査係長 他
[○:委員、●:事務局]
※ 人権教育に関する実践事例について、分析を担当した委員から報告があり、議論を行った。その後、平成23年度人権教育担当指導主事連絡協議会の開催案について事務局より説明があり、意見交換を行った。
【人権教育に関する実践事例について】
(分析を担当した委員からの報告)
○ A市教育委員会とA市内のB小学校、また別の県のC小学校、D中学校を訪問した。
A市教育委員会は、第三次とりまとめに基づいて学校に具体的な指導をしており、地域性を生かした教育活動を推進している。市教委の取組を見る視点としては、施策の推進、計画の作成、推進体制、学校への情報発信などの視点が考えられるのではないか。
B小学校では、自他理解を深める人権教育の授業を見学し、学校全体の構造がプラン・ドゥ・シーの営みとしてなされており、授業がうまく成功している好事例と感じた。
C小学校では、校長のリーダーシップにより人権教育の重要性を教員や地域社会に発信していた。学べる視点として、校長のリーダーシップ、教育の一貫性、地域との連携などがある。
D中学校では過去に起きた事件から学び、人権教育にかかわる指導をしている。生徒指導や学級経営の視点を大事にしながら、命の大切さを脈々と受け継いでおり、多くの視点を学ぶことができた。
○ 事前に資料を精査し、特徴があり、推進状況が評価できる学校の視察を行った。
E小学校は、「人権学習の時間」を設定していることが特徴的で、系統的にカリキュラムをつくっていた。
F小学校は、人権教育ファシリテーター養成研修を終了した担当者が生徒指導主任と連携して人権教育を積極的に行っている。
2校に共通する点は、校長のリーダーシップの下、学校教育目標の実現のために、学校が組織的に人権教育を推進している点であった。
○ 提出された事例を、学校教育の基底、中核に人権教育を位置付けて取り組んでいるか、「第三次とりまとめ」の基本的な姿勢を的確に理解しているか、などの基準で分析し、幾つかの好事例を挙げることができる。特色ある事例というときに、「第三次とりまとめ」を踏まえた実践になっているかという観点で見ることが重要ではないか。
○ 校長がリーダーシップをとり、学校づくりの中で人権教育を意識的に表に出している学校を訪問した。
G中学校は、市の教育委員会や県の人権啓発センターとの連携がよく取れていて、継続性があり、学校の運営方針としてきちんと説明しながら人権教育に取り組まれていた。
H高校は、子供たちの人権をサポートするような学習活動や交流活動を年間を通して行うという点で、すばらしい取組をされていた。
● 分析を担当いただいた委員のうち、本日欠席の委員2名からは、これまで文部科学省で行ってきた指定校事業などをどう活用するか、事例の公表に当たり匿名性を確保できるか、また匿名性の確保にどれほどの意味があるのか、教育委員会から提出された事例から更に選考を行うのかどうかといった、実践事例の収集・公表のそもそもの方法などについても御意見を頂いている。
こうした点も含めて、御議論いただきたい。
(意見交換)
○ 今回、この会議の委員が各学校を訪問して人権教育の取組を評価しているように、文部科学省の研究指定校や推進地域に対しても、指導・助言を行ってほしい。
○ 平成21年にまとめた人権教育の推進に関する取組状況の調査において、幾つか課題が明らかになっているが、今回報告があった学校はこうした課題をクリアしている事例。実践事例の公表を、調査結果ともリンクしたような形でできるとよい。
○ 学校の全体計画や校長のリーダーシップに基づいて人権教育が進められている事例と同時に、人権尊重の精神に基づいた学習活動づくりのディテールがきちんと紹介されるような、事例の紹介の在り方であれば、学校現場で非常に使いやすい事例集になる。
○ 研究指定校や推進地域の指定に当たって、募集の段階から研究のテーマなどを明示して指定し、実際に研究を行った学校の中から優れた事例を公表していく方が良い。
○ ディテールを総合的に合わせれば人権教育が進むということだが、ディテールにかかわるところが一人歩きすると、これさえ取り上げていれば人権教育をやっているということになりかねない。協力的、参加的、体験的な取組が、人権とどうかかわっているかということをトータルにとらえるアプローチが重要。
○ この会議の目的に基づき、事例の基準として、指導方法と学習教材という視点は必要。また、研究指定校、推進地域の事業の選定基準を含めて基準をつくる方法がある。
○ 基準の作り方として、学校の取組に関しては、校長のリーダーシップ、教育課程、授業展開、教員の人権感覚の育成、などの項目が考えられる。
○ 事例を公表した翌年にはもうやっていなかったということでは参考にならず、継続的な取組であることは重要。基準といっても、この学校は基準をクリアした、していないという判定をするものではなく、整理の仕方ではないか。事例を見た人にとって、自分の学校としてはこのスタイルが参考になるといった見方ができるような、整理の仕方を考えた方が良いのではないか。
(まとめ)
人権教育に関する実践事例については、座長と事務局とで方針案を作成し、これに基づき、次回会議において更に議論を行うこととなった。
【平成23年度人権教育担当指導主事連絡協議会について】
○ 参加する指導主事は、良い実践、良い事例に触れたいという期待を持って参加する。グループ協議は、協議が深まるようグループ編成に注意が必要。
○ 事前にグループの希望を提出してもらい、自分が選択してこのグループに入っているということを意識していただくことは重要。
○ 事例発表、研究協議ともに、学校、教育委員会両方の課題を網羅する内容設定になっているが、参加者は指導主事に絞られているので、その点の検討をしてはどうか。
○ 県の指導主事として指導行政をどう推進するか、学校でどう指導・助言するかといった視点で学ぶことを、指導主事の先生も期待しているのではないか。
○ 文部科学省として各都道府県の指導主事に期待することをはっきりと伝える場にした方がよい。
○ グループ協議の司会担当者が協議を進めやすいようにする配慮が必要。
● 人権教育担当指導主事連絡協議会については、頂いた御意見も踏まえ、座長と相談の上準備を進めたい。
・事務局から、今後の日程等について説明した後、閉会。
電話番号:035253-4111(代表)