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不登校問題に関する調査研究協力者会議

2003/03/27議事録
不登校問題に関する調査研究協力者会議(第14回)議事録

不登校問題に関する調査研究協力者会議(第14回)議事録

1.日  時   平成15年3月27日(木)10:00〜12:30

2.場  所 ホテルフロラシオン青山「孔雀(東)」(3階)

3.出席者
(協力者) 荒井委員,石郷岡委員,伊藤委員,大橋委員,尾木委員,下司委員,近藤委員,斎藤(八)委員,菅原委員,須藤委員,相馬委員,松野委員,森田委員,山上委員
(文部科学省等)   金森審議官,小田主任視学官,宮川視学官,尾ざき児童生徒課長,小林課長補佐,鈴木補佐,月岡生徒指導研究センター長
  ほか関係官         

4.議事内容

(○委員の発言,●事務局の発言)

○      おはようございます。定刻となりましたので,これから第14回の不登校問題に関する調査研究協力者会議を開催いたします。
   昨年の9月から約半年にわたって検討を重ねてきましたこの会議も,今回がいよいよ最後の会議となります。まとめの回ということでございますので,本日もどうぞよろしくお願いしたいと思います。
   なお,本日は斎藤環委員及び藤田委員が御都合によって欠席であります。また,本日の会議につきましても報道関係の方の傍聴を許可しておりますので,御承知おきください。
   本日の会議の流れについてでございますが,まず,私のほうから中間まとめの公表についての報告をさせていただきたいと思います。前回の会議の後,私のほうで事務局と最終調整をしまして,去る3月13日に公表いたしました。委員の方々には既に郵送させていただいておるところでありますけれども,本日,改めて御報告をさせていただきます。
   流れとしましては,次に,3月14日から23日までにパブリックコメントを行ったわけでありますけれども,その結果につきまして事務局のほうから後ほど説明をいただきたいと思っております。
   それから,伊藤委員から保護者に対する調査の結果について,前回,途中経過のような形で御説明いただいたわけでありますけれども,これについてデータ入力が済んだものがまとまったということですので,説明をしていただきたいと思っています。伊藤委員,後ほどよろしくお願いいたします。
   その上で,これらを踏まえて報告案をたたき台として最終報告に向けた議論をお願いしたいと思っておりますが,最終報告に向けた議論はこの回が最後ということになりますので,是非またよろしくお願いしたいと思っております。
   まず,事務局から,本日の資料等につきまして確認と説明,あわせてパブリックコメントの結果についてもよろしくお願いいたします。

●      おはようございます。資料の説明をさせていただきます。
   資料1にございますとおり,本日の配布資料でございますが,資料1「議事次第」,資料2は,中間まとめに対する意見募集の概要,いわゆるパブリックコメントと言っているものでございます。資料3が報告案,資料4が今回の別添の資料,資料5が各種データ等の参考資料,資料6が伊藤委員からの保護者のアンケート調査の結果の資料でございます。
   なお,そのほかに,御参考に卓上に,茶色い本ですけれども,平成13年度の生徒指導上の諸問題に関する調査をまとめた資料の印刷ができ上がりましたので,データはもう既に紹介させていただいている内容でございますが,配布させていただいております。
   このほか,前回,委員のほうには送付させていただいております中間まとめを参照用に配布させていただいておりますのと,後ほど紹介させていただきますパブリックコメントにおいて触れられております児童の権利条約の関係の資料を議論の参考にしていただけるよう,御参考に配布しております。
   まず,資料の内容の説明に入ります前に,資料6の,伊藤委員から後ほど御説明いただく保護者からの意見調査についてですが,本調査は文部科学省から,不登校施策の推進に当たりまして参考にするために,伊藤委員に委託して実施していただいたものという整理でございます。これによりまして,多数の保護者からの意見ですとか,行政に対するニーズ,要望などを吸い上げまして,本協力者会議の御提言に保護者の行政へのニーズとして反映していただくということが調査目的の一つであります。したがって,本日は今,主査のほうから御説明がありましたけれども,前回の1,000件の保護者の声に加えまして,最終的に集まりました約3,400件の保護者の声を伊藤委員から後ほど御紹介いただき,それを踏まえて報告案の審議をいただきたいと考えております。
   なお,今回集まりましたデータ等のさらなる活用方策などにつきましては,委託いたしました文部科学省のほうで今後検討させていただきたいと考えております。
   次に,パブリックコメント,意見の募集でございますけれども,お手元の資料にございますように,今回のパブリックコメントでは171件の御意見をいただきました。意見の提出者の主な内訳は,資料にございますように,最も多かったのが不登校経験者の保護者,次にフリースクール等の関係者の方々,それから学校・教育委員会関係者,続きまして不登校経験者などとなっておりました。
   なお,これら171件のパブリックコメントの概要を事務局のほうで整理させていただいたものがお手元の資料の内容になっておりますが,すべての171件の意見につきましても,各委員に既に送付させていただいております。本日は,171件すべてを机上に配布することはしておりませんが,お手元の資料を参考に御議論いただければと思います。
   こちらの内容ですが,かいつまんで御説明させていただきたいと思います。
   まず,1ページ目で,第1としておりますが,これは基本的には第8章まで報告案に対応する形になっております。協力者会議のいわゆる基本姿勢,基本スタンスのところに関しましては,ご覧のように幾つか御意見をいただきましたが,例えば,「子どもの立場に立った方針を示していただきたい。「子どもの声をよく聞いて対応する」,「子どもの視点を忘れず」といった文言を入れていただきたい」という御意見。あるいは,「「不登校について問題ではない」,「行政が不登校生徒数の減少を目指すのはおかしい」などフリースクール関係者から聞かれるが,それらに対する協力者会議の考え方を示して欲しい」といった御意見をいただいております。
   次の2ページ目でございますけれども,不登校の現状につきまして,特に不登校の要因・背景の多様化・複雑化について幾つかいただいておりますものを紹介させていただきます。
   上から3つ目でございますが,「基本的な立場については支持をする。しかし,「検討の視点」については狭いと言わざるを得ない。「社会や親・子どもの意識の変化」について述べられているが,そうなっていった要因については視野に入っていないことにもあらわれている。行政の社会的変化についての検討がなされずに,現象的に社会や意識の変化を取り上げている。この10年間の教育行政の進めてきた施策との関連を検討したものを基本認識にしてほしい」,それから,例えば「学校・行政の側に立ち,不登校の要因を子ども・家庭・保護者に押しつけている」といったような御意見。あるいは,先ほど,ちょっと御紹介いたしましたけれども,1998年の児童権利条約の勧告との関係。
   それから,下から4つ目の○でございますけれども,「「適切な対応策」が必要ということをしているが,「適切」というその判断基準は文部科学省や教育行政が決めがちであるので,「当事者の立場とニーズが反映されるよう注意する必要がある」等の加筆をされたい」といった御意見。あるいは,「学校に来たがらないケースは様々であり,ケース・バイ・ケースでの対応が望ましい」
   それから,LD,ADHDとの関連性につきましては,共感・同意できるといった御意見をいただいております。
   また,「不登校となる要因として,核家族化,親の転勤,老親の介護,障害のある家族など,様々な社会的背景があるため,当事者への配慮のみならず,視点を広げた環境づくりへの支持が必要」という御意見などをいただいております。
   3ページ目の最初の○でございますが,「学校に改善の余地があることは否めないが,一方で学校では限界まで頑張っていることに対して一定の評価が必要であるし,その中から具体的な課題と取り組むべき指針を明確化していくことが必要だろう。学校に元気を与えられるような記述がほしい」
   それから,「「学校に行かなければならないといった義務感が薄れている」との指摘は見当違いである。不登校の子どもたちは,人一倍学校に行かなければならないとの強迫観念に追い詰められている」,それから,「不登校の要因・背景等をひとまとめにしてとらえるのではなく,多面的にとらえている点は大いに評価できる」,あるいは,「「遊び・非行型」の不登校と心に悩みを抱える不登校とでは対応策は大きく異なるという分析に賛成である」。そういった御意見をいただいております。
   また,不登校の実態把握の在り方につきましては,4ページ目でございますけれども,「MCS,いわゆるシックハウスといったような患者への対応の視点が欠けている。こうした患者は環境整備のできていない学校へ通うことはできない」といった御意見をいただいております。
   4ページ目でございますが,不登校に対する基本的な考え方,報告案の第3章に対応する御意見でございます。社会的自立に向けた支援の視点につきましては,「学校復帰という結果のみを目標とすることなく,将来の社会的自立のための支援の必要性を指摘するなど,今後の不登校問題に対する方向性を示すものとして基本的に評価できる」,あるいは,「不登校の解決目標として「児童生徒が将来的に経済的に自立し,豊かな人生を送れるよう,社会的自立に向けて支援すること」という考え方は同感である」,「「進路形成の問題」をとらえた点は高く評価する」等の御意見をいただいております。
   次の5ページ目でございますが,連携ネットワークによる支援につきましては,いわゆるアセスメントについては,「学校内でも必要なことであり,それを言及すべきである」,あるいは,「学校が果たせる役割は一部にすぎず,学習した技術や知恵を生かすためには,学校外の時間や場,人的支援体制が必要である」といったような御意見をいただいております。
   また,働きかけることや関わりを持つことの重要性につきましては,5ページ目の一番下から御意見がありますけれども,「性急な対応はかえって事態を悪化させることがある。「早期対応」に基づいた登校刺激を行うことにより,場合によっては自殺や親子関係の崩壊を招くこともあり,慎重に対応する必要がある」といった御意見。
   6ページ目でございますけれども,「疲れた状態が癒され,心から休めるようになるには,何より本人が十分に肯定されることが必須条件である。それ抜きに本人を変えよう・元気にさせようという働きかけは本人にとって何のメリットもなく,むしろマイナスである」といった御意見。
   あるいは,上から3つ目の箱でございますが,「不登校が続くことは望ましいことではなく,大人は子どもへの働きかけをすべき。こうした意味で,本提言は共感・同意できる」,「登校を促す契機は多様であるとの認識は同意できる」。
   逆に,「この提言を誤解して,控えてきた「登校刺激」を再開する大人が出てくることを危惧する」,「機械的な働きかけに注意を喚起している点は評価できる。しかし,「葛藤期」は「積極的な働きかけを控える」,「初期段階,回復期」は「登校の促し」をするといった指摘は,各教育委員会や学校現場におりるに従いマニュアル化するおそれがある」という御意見などをいただいております。
   最後の保護者の役割と家庭への支援ですが,「家庭への支援については,制度面も含め,もっと具体的な方向性を示すべきである」,あるいは,「家庭生活に起因する不登校への対応については,小学校段階では極めて重要であるにもかかわらず,具体的な対応策が述べられていない。家庭への取組についての提言を強く望む」といったような御意見。
   7ページ目の一番最初の○ですが,「全体を通して,保護者は常に支援を受ける人という位置づけが多い。「連携協力」とあるが,「親の会に教員やスクールカウンセラーが積極的に参加し,親の経験から学ぶというような,ともに考え合う必要がある」といった加筆が必要ではないか」という御意見をいただいております。
   また,学校の取組につきましてですけれども,魅力ある学校づくりのための一般的な取組につきましては,「提言の内容に賛成である。学校外での体験的活動等,子どもの社会的な自己実現を促すために関連づけながら取り組むことが重要である」と。
   あるいは,「「開かれた学校づくり」の重要性については同感する,「子どもの意見が学校に十分反映されるようにする」という「子ども参加・父母共同の学校づくり」という視点についても補ってほしい」という御意見をいただいております。
   また,「学校は常に地域に対して説明責任を果たすべきである」といったような御意見。
   あるいは,具体的な御提言として,「子どもたちの自主的な生徒会活動などについて加筆するべきである」といったような御意見をいただいております。
   また,きめ細かく柔軟な個別・具体的な取組についてでございますが,8ページ目ですけれども,「校長の役割,あるいは各教員の資質の問題,養護教員の役割等,様々述べられているが,そうしたことを進めていく人的環境の措置について全く触れられていない」という御意見。
   8ページ目の真ん中ですが,「「校長の強いリーダーシップによる……不登校児童生徒を大幅に減少させた事例もあり……」という表現が文中にあるわけですが,最終目標が,これでは管理職が果たす役割を不登校の数を減少させることだけだととらえられやすいので,その役割を明確に表現してほしい」
   それから,スクールカウンセラーの政策目標について触れるべきではないかといった御意見。
   それから,個別指導記録につきましては,「「個人情報の取扱いに十分配慮しつつ,そういったものをつくることが有効である」,その記載に当たっては「客観的事実のみを記載」することとしているのには同感である」といった御意見。
   また一方で,個別指導記録については,「個人のプライバシー保護にかかわる重大な問題であるので,子どもやその家族への人権配慮を欠く部分もあるのではないか」といった御意見。
   それから,8ページ目の最後になりますが,「IT活用,あるいは訪問型の支援,柔軟な学習評価などについては一層きめ細かな記述をしてほしい」といった御意見をいただきました。
   それから,同じく学校の取組の9ページでございますが,「問題は,不登校の子どもが動き始めたときに学校に受け入れるゆとりがないことである。カウンセリングマインドのない教師が対応するため,挫折体験となることも少なくない」といった御意見。
   あるいは,「不登校対策におけるスクールカウンセラーの役割は大きなものがあり,ただ単に学校で対応するのではなく,訪問型の支援など,学校外での活用についての提言は新たな方向性を示すものですばらしい」という御意見などをいただいております。
   9ページ目の下から3つ目でございますが,「不登校児童生徒について,機械的に進級・卒業させている実態はやむを得ないこともあるが,保護者等の要望に応じた原級留置や学習補充など,一定の教育的配慮が必要であり,そういった課題を提起してほしい」という御意見。
   あるいは,「転校について柔軟に措置される指摘はいいと思うが,例えば,転校後に再登校しない生徒への非難,「もっと出席できないなら転校も考えてください」などの脅し,学校の不登校減らしのため転校を持ち出すことなどが懸念される」といった御意見もいただいております。
   それから,不登校児童生徒の実態に配慮した特色ある教育課程の試みにつきましては,「無批判に研究開発制度や構造改革特別区域制度について言及している点が問題である。つまり,それらのことが「不登校問題」でどのような役割を果たすのかが検討されておらず,不登校問題は「学校に来られない子どもたち」が提起している問題として考えることであり,そのこととあわせて,「学校に来られているが,精神的には不登校になっているたくさんの子どもたち」の問題を考えることでもあるという観点から,より慎重に述べられるべきである」といった御意見をいただいております。
   第5章の学校外の関係機関との連携による取組のところにつきましては,適応指導教室整備指針についてもあわさせていただいております。
   10ページ目で,「学校が専門家や関係機関と連携して,あらゆる角度から児童生徒を支援する体制を組織する必要があると思われるため,特に適応指導教室の役割や望ましい在り方などについて,成果,課題・問題点を踏まえ,一層きめ細かに記述してほしい」。
   それから,4つ目の○ですが,「「適応指導教室」という名称は改善の余地があるのではないか」といった御意見。
   それから,下から2番目でございますが,「「整備指針」について,相談員は退職教員ではなく,不登校を十分に理解し,子どもの心に寄り添え,かつ教育システムを熟知している人であることとされたい」といった具体的な御意見もいただいております。
   11ページでございますが,「民間団体やNPOとの連携が強調されており,その意義は大きいと考える。しかし,民間団体やNPOは,当然のことながらそれぞれの考えで活動しているものであり,団体の活動が限られている地域では連携が難しい側面もある。このような地域における具体的な対応の在り方について記述いただきたい」という御意見。
   最後に,「某民間施設においては,学校ではないとの理由から通ってくる子どもに対する体罰や虐待が行われている。このような施設もあることを知ってほしい」といった具体的な御意見もございました。
   11ページの訪問型の支援の取組につきましては,「是非積極的に推進していただきたいが,当該児童生徒や保護者の気持ちに寄り添った形での訪問支援をお願いしたい」といったような御意見をいただきました。
   また,中学校卒業後の課題の12ページでございますけれども,上から3つ目でございますけれども,「高等学校,あるいは中卒後の支援にも言及した点は評価できる。不登校の問題は,義務教育期間が終了すれば解決するものではなく,当該生徒は悩み続ける存在である。一人一人の成長をどう支援するかという視点で,より詳細な記述をお願いしたい」といった御意見をいただいております。
   また,行政に求められる役割といたしまして,12ページの教育委員会に求められる役割の中で,例えば,「教員研修を含め,いわゆる教職員の資質の問題についてさらに言及が必要と考える」といった御意見をいただいております。
   13ページ目で,国に求められる役割のところですけれども,不登校施策の改善へ向けた不断の取組の中に対応する御意見といたしまして,「中間まとめの中に,実際にしっかりとなされるのであればすばらしい取組がたくさん盛り込まれているので,その内容が現場で生かされるよう,国は中間まとめの内容をかみ砕いて現場の教員に伝える方策を検討していただきたい」,「不登校への理解が十分されていない状況にあって,対策だけがひとり歩きすることを危惧する」といった御意見。
   あるいは,「いわゆる児童生徒支援加配教員,スクールカウンセラー等の配置や適応指導教室の充実など,相当の財源を必要とするものについて支援の充実についても指摘していただきたい」
   あるいは,「学校教育以外の様々な教育の多様化といった制度的な問題について課題があることは,国の責任をもって取り組むべき課題であるということを明記していただきたい」といったような御意見をいただいております。
   14ページの第9以降は,必ずしも報告案に直接対応するものではないのですが,その他の問題として,例えば保護者調査につきましても,「4,000人分の回答をしっかり生かし,反映してほしい」といった御意見,あるいは,15ページでございますけれども,会議の進め方に当たりまして,「会議のメンバーに当事者が入っていない」という御意見もいただいております。
   以上,大変長くなりましたが,今回いただきました171件につきまして,幾つかかいつまんで御紹介させていただきました。
   なお,長くて恐縮ですが,引き続きまして,今回,お手元に配布しております報告案につきまして御説明申し上げたいと思います。
   報告案につきましては,今回,主な修正部分につきましてアンダーラインをさせていただいておりますので,恐縮ですが,お手元の中間まとめと参照していただきますと,変更点がより明確になるかと思います。
   全体を通しまして,まず一つは,パブリックコメントを踏まえた修正。例えば誤解を受けそうなもの,当事者への配慮を欠くもの,あるいは記述が足りないものなどについて修正させていただいたのが一つ。それから,ミスとか字句の修正などにつきまして修正させていただいたものもございます。また,会議で紹介いたしました資料,あるいは特に本人に聞いたという調査など御紹介申し上げていたわけですが,データが若干不足している部分につきましては,データを追加させていただくことを事務局のほうでさせていただきました。
   先ほど御紹介させていただきましたパブリックコメントへの対応という観点から特に御説明申し上げたいと思います。
   第1章の「はじめに」というところでございますけれども,パブリックコメントの1枚目の,先ほど御紹介しました4つ目の○で,「不登校について問題ではない」,あるいは,「そもそも行政が不登校生徒数の減少を目指すのはおかしい」といったものに対する考え方を示してほしいということでございますけれども,ここは新たに一つパラグラフを書き加えまして,「この観点から,本協力者会議は,教育行政上の課題として「不登校問題」の解決に向けて調査研究を行うことを設置の趣旨としている。しかし,個々の不登校の事例に着目すると,その要因・背景は多様であり,そうした児童生徒の行為すべてを「問題行動」と決めつけるかのような誤解を避けるため,本協力者会議は「不登校問題」という語の使用を控えることとした」ということで,前回,委員からも御指摘いただいておりましたように,「問題」という言葉をこの中では極力避けるようにした説明を加えさせていただきました。
   2ページ目でございますけれども,4番目のパラグラフで,「本協力者会議の審議経過と報告のねらい」ということで,以前は「報告のねらい」ということだけだったんですが,事務局のほうで,こちらの協力者会議のそもそもの設置の目的ですとか,そういった事務的な今までの経緯について加筆をさせていただきました。
   なお,3ページ目はアンダーラインが誤りで,引かれていないので恐縮ですが,3ページ目の最初のパラグラフにつきましては全部アンダーラインがつきます。ここが新たに加筆されまして,パブリックコメントでも,当事者の意見に対するものが十分に反映されていないのではないかといった御懸念の御意見をいただいておりますので,その点につきまして,この協力者会議はどのようにそれを吸い上げてきたかということを記述させていただいております。
   5ページ目でございますけれども,第2章の不登校の現状についてでございます。5ページ目のアンダーライン部分で,パブリックコメントで当事者の意見の反映で,特にいじめや体罰との関連の指摘をいただいておりましたので,その点につきまして,実際の不登校経験者の実態調査でどのような意見が出されていたかということを加筆させていただいております。
   6ページ目でございますけれども,(4)(5)につきましては,事務局のほうでデータを追加させていただきました。会議でも御紹介させていただきました不登校児童生徒に対する指導の実態についてということ。あるいは,今回の会議で進路の問題がいろいろ出ているわけですが,現状がどうなっているのかというのが不足しておりましたので,経験者の実態を加えさせていただきました。
   7ページ目でございますが,不登校の実態について考える際の背景分析のところでございます。ここにつきましては,先ほど御紹介させていただきましたように,パブリックコメントの3ページ目だったかと思いますけれども,不登校児童生徒自身が非常に苦しんでいることもあると。つまり,義務感が一般的に薄れていることだけではなくて,実際に学校に行かれなくて葛藤を抱えているというお話もございましたので,そういった点も含め,不登校経験者が実際に学校に行かれないときに,どのような気持ちを抱いていたかという調査結果を加筆させていただきました。
   7ページ目の一番下のパラグラフでございますけれども,いわゆる教育の部分についての問題でございますけれども,もともとは9ページ目の対応策のところに,どのように対応すべきかというところに記述してあったものをもう少し明確にするために,前の,この「ウ」の部分に持ってまいりまして,不登校の要因・背景との関連をより明確に記述させていただきました。パブリックコメントの2ページ目でいただいた御意見ですけれども,いわゆる社会背景の後に教育における問題も触れるべきではないかといった御意見で,既に記述はされていたわけですが,場所を移して,より明確に加筆させていただきました。特に学校のいじめ等の状況につきまして加筆させていただきました。
   なお,8ページ目でございますけれども,ただし,そういった一方で,先ほどパブリックコメントの3ページ目でも御紹介させていただきましたが,学校が元気になるような記述,あるいは学校が努力をしてきた部分についての評価も加えるべきではないかというお話をいただきましたので,その点につきまして,8ページ目の2パラグラフ目で追加させていただきました。
   また,3パラグラフ目でございますけれども,これもパブリックコメントで,いわゆる一般社会の分析のほかに,いわば競争的な教育環境のようなことに関する指摘もありまして,それを加筆したほうがよろしいという御意見もありましたので,今,ゆとり教育とか言われているところでもございますけれども,そういった面も,関連性は明確ではないものの,不登校の増加の背景が考えられるのではないかということで,そういったものに対する対応について触れさせていただいております。
   8ページ目でございますが,LD,ADHD,あるいは児童虐待など新しい課題についてですが,ここはパラグラフがもともと短くて,唐突に記述されておりましたので,事務局のほうで丁寧に加筆させていただいたものでございます。
   9ページ目の,そういった様々な多様な要因・背景に対応する適切な対応策のところでございますけれども,パブリックコメントの中で,当事者のニーズへの配慮を書き加えるべきではないかという御意見をいただきましたので,アンダーラインのところでございますが,加筆いたしております。
   11ページ目でございますけれども,いわゆる「ひきこもり」問題との関連でございますが,ここは先ほどのLD,ADHDの話と同じなんですが,唐突に両者の関連性についてのデータを引用していたわけでございますが,そもそもの定義といったことが誤解のないように,今回,事務局のほうで最初のパラグラフを加筆させていただきました。なお,最後のパラグラフにつきましては,パブリックコメントの12ページ目などでもいただいておりましたが,「ひきこもり」への働きかけに際しての留意点などにつきましても追加させていただきました。
   12ページの第3章の学校の取組のところでございますけれども,「イ」のところでございます。不登校の時期が子どもにとってどういうものであったかということで,当事者のニーズをより反映させるために,不登校児童生徒がそのときにどのようなことで苦労していたのかという実態についてデータで紹介させていただいております。
   14ページ目でございますが,働きかけることや関わりを持つことへの重要性でございます。ここにつきましては,当事者の方々から誤解を受けないようにという御懸念の御意見をいただいているわけですが,例えば,「また児童生徒の状況を理解しようとすることもなく,あるいは必要としている支援を行おうとすることもなく,ただ待つだけでは」ということで,今までは「待つだけでは状況の改善にならない」と非常に短く記述してあったわけですが,より丁寧に加筆させていただきました。
   15ページ目でございますが,「ウ」のところで,実際の働きかけの方法につきましての記述ですが,今申し上げたのと同じように,パブリックコメントの6ページ目だったと思いますが,要は例示について御指摘いただきました,いわゆる画一的にこういう状態ならこうするべきであるというのは,現場に伝わったときに非常にマニュアル化されてしまうのではないかということで,前回は記述していたところを,パブリックコメントを受けて,すべて削除させていただきまして,そのかわりに不登校となった要因・背景等を把握した上で,適時・適切に,かつ,個々の状況に応じて対応するといった視点であるということで記述を変えさせていただいております。
   また,「エ」のところでございますが,ここは丸々新しく挿入させていただいたところでございまして,そういった働きかけの在り方を考えるに当たりましては,不登校経験者あるいは当事者の意見に耳を傾けることが大切であるといったこと。それから,実際に不登校経験者がどういう気持ちであったかということを調査の中から記述させていただいております。
   16ページで保護者の役割と家庭の支援のところでございますが,これはパブリックコメントの中で「ウ」でございますけれども,保護者からも学び合うという視点も必要ではないかと。支援の対象とするというだけではなくて,そういったことの御提案をいただきまして加筆させていただきました。具体的に,「親の会」に学校の教員やスクールカウンセラーなどの関係者が積極的に参加して,お互いに意見交換するといったような姿勢について言及しております。
   16ページの最後のパラグラフでございますが,パブリックコメントの中で,「一般的な保護者の子育て等に対する支援策について具体的に施策を紹介してほしい」という御意見を踏まえた記述でございます。
   17ページ目でございますが,これも非常に具体的な御提案で,児童生徒の自主的な生徒会活動などが非常に意義あるものであることを丁寧に記述してほしいということを踏まえて,17ページ目で,より具体に記述を加えさせていただきました。
   18ページ目でございますけれども,パブリックコメントの中で学校の説明責任への言及がございましたので,その点につきまして,学校評議員制度の活用については以前も触れておったわけですが,もう少し丁寧に説明責任について説明させていただいております。
   その後が飛ぶのですが,24ページでございます。学校の取組の中で,養護教諭,保健室,相談室のところでございますが,ここは会議の中でデータを紹介させていただきまして,保健室の役割を紹介させていただいたわけですが,若干抽象的な記述になっておりましたので,事務局でデータの補強をさせていただいております。同様に,スクールカウンセラーの事業のことですとか,「心の教室相談員」につきましても,実態について記述されておりませんでしたので,事務局で補強させていただきました。
   なお,25ページ目の最後の下線部でございますが,これはパブリックコメントを受けまして,カウンセラー制度の課題ですとか,政策目標について記述すべきではないかということを受けた記述でございます。
   27ページ目の一番下から28ページ目にかけてでございますけれども,いじめに対する対応につきまして,より丁寧に加筆させていただいております。また,28ページの真ん中でございますが,ここは,以前,委員からも御指摘いただいておりましたことと,また,パブリックコメントでも機械的な進級について言及がございましたので,保護者の要望を聞いた上でこういった配慮,補充指導ですとか,進級時の様々な配慮について加えさせていただいております。
   また,教育課程の新しい試みについてでございます。28ページ目の最後ですが,パブリックコメントの中でも,いわば例外的なものを慎重に扱うべきではないかという御指摘もいただきました。ただ,ここにつきましては,成果の検証が必要であるといった観点から,より丁寧に記述させていただいております。
   第5章が関係機関との連携ですが,29ページ目の一番下の適応指導教室の名称でございます。ここは変えたほうがいいということは中間まとめでも御指摘いただいていたわけですが,パブリックコメントを踏まえまして,事務局のほうでも幾つか案を考えてみて,ここに記述してみましたが,どちらがいいのか,あるいはもっといい名称があるのか,本日,委員のほうから御意見をいただければと思っております。
   あわせまして,30ページですが,適応指導教室の名称を変えた時点で,別添の適応指導教室整備指針などにつきましても名称を変えて表示したいと思っております。
   30ページの真ん中でございますが,パブリックコメントで適応指導教室の様々な課題について,もう少し丁寧に記述が欲しいといったものを踏まえた加筆でございます。
   31ページ目でございますけれども,教育委員会の中には,例えば宿泊型の施設を設置して,中核的な機能を果たしているといった事例紹介をこちらの会議でもいただいたわけですが,そういった具体策について求める御意見もいただいておりましたので,事務局で加筆させていただいております。
   32ページ目でございますけれども,こちらは公的機関と民間施設やNPOとの連携のところで,以前,委員のほうからも,様々な民間施設の実態があることに留意すべきであるという御意見もいただきましたのと,パブリックコメントで体罰の問題などもいただきまして,ここにつきましては,32ページの上段のように,より丁寧に記述させていただいております。
   また,そういった観点から,不登校の児童生徒や保護者がガイドラインを参考にしまして,施設の情報公開の程度などをきちんと把握できることが望ましいのではないかという指摘をさせていただいております。
   33ページ目でITのところでございます。新しいITのような課題につきまして,もう少し丁寧に記述してほしいというパブリックコメントを受けまして,教育相談に関する記述の部分と,いわゆる学習指導に関しましては,まだこれから調査研究が必要である状態であることにつきまして,より丁寧に今の実態につきまして加筆させていただきました。また,既に教育委員会が実践されております無料アクセスなどの事業の事例につきましても加筆させていただいております。
   35ページ目,中卒後の課題につきましてですが,ここも高校入試の選抜ですとか,その部分につきましての記述が簡単でございましたので,会議で実際に御紹介いただいたヒアリングなどを踏まえまして丁寧に記述をさせていただいたのが最初のアンダーラインのところでございます。
   また,(1)の最後のパラグラフの中卒認定試験などにつきましても,パブリックコメントの中で進路について多様な選択肢についての言及が欲しいという御意見をいただいておりましたので,加筆させていただいております。
   35ページ目の下のパラグラフにつきましては,中退について触れさせていただいているんですが,データが全く欠けておりましたので,事務局で追加させていただいております。
   36ページ目の中卒後の就学・就労や「ひきこもり」への支援のところですが,パブリックコメントの12ページ目だったでしょうか,不登校経験者が実際に多様な選択肢を求めている,あるいは,どういった支援を求めているかということで,具体的なデータについて追加させていただいております。
   38ページ目から,行政に求められる役割のところですが,教員の資質向上につきまして,より丁寧な加筆が欲しいという御意見をいただきまして,38ページ目の下から,教員に対する様々な研修の充実,あるいは採用の在り方などにつきまして,より丁寧に加筆させていただいております。
   39ページ目でございますけれども,パブリックコメントの中でも,学校の体制に対する支援,教員配置のことですとか,そういったことに対する御意見をいただいておりましたので,39ページ目の真ん中の(2)のところでございますが,加筆させていただいております。
   40ページ目に幾つか記述させていただいておりますが,例えば,転校に対する措置のところで,いじめや深刻な暴力行為があった際の出席停止措置について的確に対応するべきであるといった御指摘。
   あるいは,40ページ目の最後ですが,市町村教育委員会が主体的に適応指導教室の整備充実を進めていくことが必要であるといったような御指摘。
   41ページ目は,7番目のところで,順番はパラグラフを入れ替えさせていただいておりますので,そこの部分をアンダーラインさせていただいております。
   最後に,第8章の国に求められる役割のところでございますが,ここは記述が若干不足していることも踏まえまして,全体をより明確に整理させていただきました。不登校施策の改善に向けた不断の取組ということで,国においては,各教育委員会の不登校施策の取組の充実を支援するため,不登校施策の改善のための不断の取組をすることが求められる。具体的な内容としまして,まず当面,既存の施策を充実させること。これは,例えば教員の資質向上ですとか,研修などの話,あるいは教員配置の充実による学校の指導体制の強化,加配の措置ですとか,スクールカウンセラーの配置など,既存でやっていることについて引き続き努力していくということ。それから,新たに,当面始めることとしまして,まず,そういった現場でこういうことがより明確に伝わるような指導資料の作成を行うこと。あるいは,適応指導教室を中心といたしました地域ネットワークの整備の実践的な研究を進めていくことについて触れさせていただいております。
   最後に,パブリックコメントなどでも御指摘をいただいておりましたような,例えばスクールカウンセラーの在り方ですとか,不登校児童生徒の実態に配慮した様々な特色ある教育課程の試みなどの課題につきましても,取組の成果と課題を検証して,必要な検討を今後も行うということを望みたいと結んでおります。
   以上,大変長くなりましたが,報告案についての御説明でございます。
   なお,1点だけ,パブリックコメントでいただきました意見をなるべく多く反映させていただくような修正をしてきたわけですが,一つ,先ほど触れた中で,いわゆるシックハウスと言いましょうか,化学物質過敏症の方への対応の視点が欠けているという御指摘をいただいたんですが,これにつきましては,今回,協力者会議の審議の中で議論されていなかったので,報告の中には盛り込んでおりませんが,これはいわゆる不登校の問題としてということではなく,長期欠席の問題としてということで行政としては整理しているわけですが,それを教育行政の一つの課題と認識しまして,文部科学省,国のほうでも担当課において対応させていただいているということでございますので,報告書の中では特に言及させていただきませんでした。
   以上,大変長くなりましたが,御説明申し上げたところでございます。

○      ありがとうございました。本日お配りいただいている資料,それからただいまの御説明について,御質問ございますでしょうか。
   よろしゅうございましょうか。それでは,冒頭にお話ししましたように,保護者調査についての発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○      よろしくお願いいたします。資料の6番で,前回の会議で配りましたものとほぼ同じ形式でつくりましたレジュメをお手元に配っていただきました。これは全部で3,404件です。また,その後,指導主事による聞き取り調査以外の保護者自身が記入たデータ,2,300ほどありましたが,それをもう一度再分析いたしまして,以前の1,000人の結果,それから3,400人の結果,その2,300,保護者直接回答の結果,それぞれ並べてみましたが,傾向としてはほとんど大差がありませんでした。ですので,今日は一番多い全部のデータ,3,404件の分析結果を御報告させていただきます。
   今日はOHPは使いませんので,レジュメに沿っていきます。ただ,レジュメが完成しましたのが昨日遅くで,事務局のほうともやりとりがいろいろ,御迷惑をおかけしたんですけれども,データ,数字のミス等が一部ありますので,こちらで修正を加えながら報告をさせていただきます。
   まず最初にデータの特徴ですが,これは前回も申しましたとおり,3,408になっていますが,すみません,3,404件です。発送が4,000件でしたので,回収率が大変高くて85.2%です。回答者はほとんどが母親で,90.7%。9割がお母さん,母親回答でした。
   その対象となる子どもは,中学生が主でして,8割を占めます。その子どもの不登校の特徴としましては,非行とか暴力を伴わないものが大半を占めております。非行を伴わないと答えている,非行という傾向がないというのが98%ありましたし,暴力がないという回答が82%ありましたので,そういう特徴を持ったデータであるということです。
   子どもの不登校の状態像,これもかいつまんでになりますけれども,1つ目,不登校の継続期間,これは不登校になってから現在までの月数から,一時学校復帰している人もいますので,その場合はその期間を引きました月数を計算しましたところ,平均として1年半〜2年強ですね。学年が上がるとともに,その期間は長くなっているという結果が出ております。
   そのうち完全不登校,つまり週のうち学校に行っている日数が0日という子どもは60%,一方,週の半分以上,3日以上出席しているという者は21.4%含まれています。不登校に随伴するというか,そのほかの症状も聞いてみているんですけれども,無気力とか鬱傾向,身体症状は見られるけれども,非行とか暴力を伴うケースは少ない。これは先ほど申しましたとおりです。
   次に,保護者の意識面を聞いた項目から特徴を拾ってみました。生活面,これは生活時間をきっちり守らせるとか,家の手伝いをさせるとかという対応をして,そういう生活面に配慮し,子どもの気持ちを理解しつつ子どもの意思を尊重しようという,そういう努力をしている保護者が多いというのが今回の意見から伺えています。それと,ストレートな登校刺激はしないが,学校に登校する必要性は感じているというところが伺えました。
   一方,これも特徴的でしたけれども,進路とか将来への不安は大きい。これは自由記述の中からも随分伺えましたので,大変特徴的な結果ではないかと思います。それに対する対応も必要かと思います。
   一方,行政へのニーズ,随分いろいろな角度から聞かせていただきましたが,まず学校への不満と評価,これが前回の分析と大きく異なった点なんですが,以前は4段階で聞きまして,そういう不満とか評価を感じていないというのを除いたものの割合として出しましたが,それでは多少,データの分析として正確性を欠くかと思いましたので,今回,4段階のうち学校に不満を「感じている」から「感じていない」までの4段階で評定しているんですが,その4段階のうち,「感じている」と「少し感じている」,半分ですね。4段階のうち2段階に回答してくださった保護者の合計は,全体の42.2%でした。一方,評価のほうですが,学校の対応への評価を「感じている」「少し感じている」という合計は67.1%になっておりました。
   次も,前回の報告では,不満を感じている人のうち,それぞれの次に挙げるような項目をどれぐらい丸をつけていらっしゃるかというパーセンテージで出しましたが,今回の分析では,全回答者3,404人のうち何パーセントの人が以下に挙げる項目に丸をつけたかという形で分析を改めてみました。
   3,404人のうち,家庭訪問,これは担任の家庭訪問とか連絡の少なさから見捨てられ感を抱いているという保護者が25.1%。それから,いじめや暴力への対応のまずさを不満に思っているという保護者が13.8%。一方,性急に登校を求められることに対する不満というのは10.2%でした。ですから,一方では見捨てられ感を抱いている保護者がいる一方で,1割の保護者は,そういったことにプレッシャーを感じているという両方の保護者がいらっしゃるということです。
   一方の評価についてなんですが,同じく3,404人のうち,教師の家庭訪問や連絡に評価をしておられる保護者が60.3%。それから,教師が相談に乗ってくれるなどの関わりに対する評価をしてくださっている保護者が50.1%。別室登校などの措置への評価は44.6%。これらの評価は比較的高くマークされておりました。次いで,3割〜4割の保護者がスクールカウンセラーや相談機関への紹介を評価するという形で回答してくださっていました。
   今,御報告いたしましたところが,前回から分析を少し変えたところですので,もう一度確認していただけたらと思います。
   続きまして,専門機関について,これはほぼ前回と同様の結果が出ております。認知度,有効度,これはどれぐらい認知,知っていますかということと,どれぐらい効果がありましたかというのを3段階で聞いたんですが,それぞれ高いものから順に並べてみますと,適応指導教室・教育センターの相談室の評価が高かったです。一方,民間のフリースクールは,認知度は低かったんですけれども,有効度は3番目に高かったという結果でした。
   それから専門機関に求める援助目標なんですが,「学校復帰」を1位に挙げる保護者が最も多かった。これは21.4%で,ただし,それと並んで「自信を持たせる」という回答が多くて18.9%。「居場所の提供」がそれに続くという形でした。ただ,2位,3位というのも聞いておりますが,そちらを注目しますと,「対人関係の改善」「自主性・自発性」「学力面の支援」を挙げる回答が多くありました。
   ここでなんですが,先ほど回答者が保護者直接回答のものもあれば,それが一番多かったんですが,聞き取りの形で指導主事の先生とかカウンセラーとかが聞き取ったということもありましたので,昨日おとついで保護者直接記入のもののみで分析をしてみましたが,ほかの傾向はほとんど変わりませんでしたが,専門機関に求める援助目標のところは,この「学校復帰」と「自信を持たせる」の順位が変わりまして,「自信を持たせる」という回答が一番高かったです。比率としましては19.6%,「学校復帰」が18.4%,それほど大差はありませんけれども,この1位,2位というのは両面というか,保護者として大変強い両方の意見として認識していいのではないかと思います。
   それから,担任の家庭訪問について,これにつきましては76.9%の家庭が担任が訪問しているという回答でした。その訪問についてなんですが,ここのところ,一部データを修正させていただきますが,まず担任の家庭訪問ありという保護者のみの結果を分析したんですが,保護者,子どもともにその担任の訪問について,回数とかですけれども,今のままで十分という回答が最も多くありました。
   このパーセンテージなんですが,保護者が76.2%となっておりますが,これは75.5%に修正を願います。子どものほうですが,59.2%,これは恐れ入りますが,59.3%です。ほとんど差はないんですけれども,そういった回答が,今のままでよいということです。一方,「もっと来てほしい」という回答については,保護者のほうが19.5%,子どもは7.3%であり,子どものほうが若干消極的な回答でした。
   それと,訪問なし,担任が家庭訪問していないという家庭の場合なんですが,保護者は,次が44.6%に修正をお願いいたします。保護者は44.6%が「今のままで十分」ということで,残る半数の保護者の意見が,「もっと来てほしい」という肯定派,これが27.3%と,「来てほしくない」という意見が28.1%に二分されるという結果でした。
   一方,子どもにつきましては,訪問していないという状態に対して,「今のままで十分」という答えが31.8%。「来てほしくない」という意見が57.5%,「もっと来てほしい」という回答が10.8%。ここでも,保護者よりも子どものほうが担任の訪問に対して消極的な傾向が伺えます。
   一方,家庭訪問への評価,それを評価する点,マイナス面,両方聞いたわけなんですけれども,学校のことがわかり安心できるという意見が大変多かったんですけれども,登校のきっかけとして,それが再登校のきっかけになったという回答は低くて,他方,それがプレッシャーになるとか,担任が気持ちを理解してくれないなどのマイナス評価は全体的に低いという傾向でした。
   それから,メンタルフレンドにつきましては,これはまだまだ普及していない状態だと思いますが,それを経験した,利用したという回答が1割強でした。それに対して親子ともに好意的な受け取りが多かったと思います。実際に訪問している人の属性を訪ねましたが,大学生のボランティアが大半です。友達的対応や,不登校の状態を理解してくれるという安心感が評価されていまして,その点から,どういう人をメンタルフレンドとして希望しますかという問いに対しては,不登校経験者を希望する声もありました。というか,これが一番多い意見でした。
   続きまして,インターネットによる学習・相談について,これは前回の報告と同じく,現状としてはまだまだ利用率は低かったです。全体の3.2%のみの利用でしたので,あんまりはっきりしたことは言えないんですけれども,利用を望まない背景には,インターネットの世界に深入りすることによる弊害とか,パソコンそのものへの抵抗感,使い方がよくわからないとか,そういったものがあるということが明らかになりました。
   ざっとデータの平均値,変数分布から言えるところをかいつまんで報告させていただきましたが,自由記述からの内容なんですけれども,これも前回御報告したものとほとんど変わりません。やはり一番に多かった意見は,不登校に対する周りからの誤解や偏見,周りの人が不登校を理解してくれなくて,それによって親子ともにつらい思いをすることが多いという意見が大変多くございました。
   それに伴って,不登校に対する周りの理解を求める声が多く聞かれたかと思います。これは保護者の方が自分を振り返って書いてくださった意見ですが,自分自身が登校を焦って,子どもにプレッシャーをかけて,それが子どもを大変追い詰めて,苦しめてしまったということを後悔されている意見も多く聞かれたと思います。
   それと同時に,気楽に相談できる場所とか人がいない。これは場所によっては適応指導教室も近くになかったりとか,スクールカウンセラーも配置されていない,そういう支援になかなか手が届かないという地域もあるようで,そういった意見がかなり聞かれました。
   それから学校への要望も,これも種々様々いろいろありましたけれども,いじめの対応をもっとしっかりしてほしいという意見,あるいは個別指導,一人一人違うのだから一人一人の子どもを見てほしいというご要望,それから教師・教員のカウンセリング的な資質向上を望む,そのための研修をもっとしてほしいとか,あるいは教師がゆとりがないので,先生方にもっとゆとりを持って子どもたちのほうに目を向けてほしいという意見もありました。
   それから,3つ目と同じく多かったのが,進路とか受験についての情報が少なく不安が大きい。これはほんとうに様々な形で意見が寄せられておりました。特に中3の不登校の子どもを持つ親御さんにつきましては,その点への不安がすごく大きいということが伺えております。
   最後に所感,これはこの委員会の中でも私自身も述べさせていただきましたし,委員の方からも随分と出ましたし,今回の報告案にも盛り込まれておりますが,不登校の数を減らすとか,学校復帰ということのみが最終目標とならない子どもの社会的自立を目指した多様で柔軟な対応が必要だなということ。
   それから,正しいアセスメントと理解,これはやはり不登校と言って一くくりにできないというのが現状ですし,この報告案にも盛り込まれていますとおり背景は様々ですので,それに対する正しいアセスメントが学校内外で,学校内で行われるのが理想的ではありますが,それができないことも多々あるかと思いますので,そういうときは外部の機関と連携して,そういう体制をつくっていくということが重要不可欠かと思います。
   それと,パブリックコメントからも出ておりましたが,やはり今回保護者の方の声を聞いておりまして,その声の切実さ,大きさ,それからほんとうに子どもの一番近くで苦しんでいらっしゃる保護者の方の声の厚みというものがありました。ですから保護者を,私はカウンセラーとして支援の対象というか,そういう形で関わることが多かったんですけれども,それだけではなくて,やはり一緒に関わっていく,学校と家庭が連携する,あるいはカウンセラーと保護者が一緒になって,様々な形で対応はあるかと思いますが,そういった取組も必要じゃないかと思います。
   次は,自由記述からもありましたが,子ども本人と保護者がともに気楽に相談できる人とか場所を増やすことがやはり重要であること,それから,これも先ほどパブリックコメントにもありましたが,行くか,行かないかとか,登校刺激をするか,しないかという二分法ではなくて,とかくマニュアル化されるとそういうことが生じるかと私も危惧するんですけれども,そうではない,それぞれの個に,ケースに応じた対応の必要性,マニュアルをつくるのが重要かとは思いますが,それに使われる,それをうのみにするのではなくて,マニュアルを使える人の育成,例えば学校内であれば,教育相談係とか,あるいは専門家,外部の専門機関,そういったところでマニュアルというか,こういった文書,報告案を使える人,ほんとうに理解して,それを使える人の育成というのが今後やはり必要になるんじゃないかと思いました。
   大変粗い御報告で申しわけございませんが,以上です。

○      ありがとうございました。ただいまの保護者の方々からの意見,あるいは行政に対するニーズについての所感の報告と,それからまとめをいただきました。パブコメとあわせて報告書に反映をしていきたいということで,御了解をいただきたいと思います。
   では,本日の議論に移りたいと思います。
   先ほど事務局のほうから,修正箇所等についても御説明いただきましたが,これから参考資料についての報告書及び参考資料についての御議論をいただくわけですが,これまでの会の中では特に章を切って御意見をいただきましたが,本日は最後のまとめということでございますので,特に章を切らずに,どの箇所についても委員さん方から御意見あるいは御感想等をいただきたいと思っております。では,よろしくお願いいたします。

○      先ほど報告について質問をしてもよろしいでしょうか。

○      今の流れの中で,保護者に対する調査の報告についての位置づけを申し上げましたので,それに関連のある内容について,できるだけ絞って御発言あるいは御質問いただくということでよろしいでしょうか。じゃ,よろしくお願いします。

○      報告案の中にも出ていたところですけれども,メンタルフレンドのところで,経験者は1割弱,その最後のところに「不登校経験者を希望する声もある」,この文言が一人歩きするとちょっとまた大変な状況になるかなとも思うので,実質的には1割強の段階で,非常に少ないのではないか。実際そういう希望する声が何%ぐらいあったのか,また実数等を教えていただければありがたい。安易に,例えば訪問型支援をすべて不登校経験者にさせればいいんだというところになってしまいますと,ちょっと大変な状況になるんじゃないかなという危惧からです。

○      ありがとうございます。私も,前回の報告でもそのあたりは少し述べさせていただきましたが,まず質問にお答えいたします。
   ここは,実際の訪問者については経験者に聞いているんですが,希望については全回答者に聞いております。ですので,3,404名のうち,不登校経験者を希望する人数が999名,全体の29.3%です。続きまして多かったのが大学生によるボランティアで,これが561名,16.5%。続きまして心理学や精神医学等の専門家,これが535名で15.7%と続いております。ですから,比率としてはかなり高いという結果なんですが,ただ,この背景にあるのは,やはり不登校経験者というのが自分の苦しみをわかってもらえるということが一番大きな要因にあるんじゃないかと思います。希望する背景の中に,不登校の気持ちをわかってほしいという意見が随分ありましたので,そういうところから出てきた意見かと思います。
   私自身,これが一人歩きすることには大変危惧を持っておりまして,不登校経験者の方がすごく共感してくれて,わかってくれる,そういう相手を不登校の子どもが求めているという事実はあります。ですから,そこはしっかりと受けとめないといけないと思っておりますが,もしかしたらそのことの弊害もあるかもしれません。家庭訪問という形をとりますので,家庭の問題にかなり巻き込まれます。
   私が教えています学生も随分メンタルフレンドをしておりますが,そのメンタルフレンド自身が大変苦しんだりとか,どう対応していいのかわからないということで悩んでいるケースが随分ございますので,これもこの会議の中で出ましたけれども,メンタルフレンドのフォローをしっかりするという前提ですね。研修とか,その中でしっかりとサポートするスーパーバイザーがいるとか,そういったことをしっかりと明記した上でないと,ここはほんとうにこれがどう解釈されるかというのは大変危惧するところですので,そのあたりを,この結果を読み取るときにもほかの皆さんにも是非とも注意いただけたらと思っております。

○      よろしゅうございますか。

○      ありがとうございました。

○      ほかにいかがでしょうか。

○      申しわけないんですが,ちょっとお伺いたいんですが,データの構造がよく私,頭の中に入っていない部分がありますので,ひょっとしたら誤解かもわかりませんのですが,2ページ目の一番上の今の訪問指導のところにありますが,「訪問なし」というグループがございますね。これは,前ページの担任の家庭訪問についての,経験していないグループと考えてよろしゅうございますか。

○      はい,そうです。すみません,ここも説明が不十分でしたが,「訪問あり」の場合というのは,人数で申しますと,担任が家庭訪問しているという保護者が2,561名,全体の76.9%ありましたので,その中でのどれぐらい来てほしいかという回答の結果になります。「訪問なし」は,経験していない771名,23.1%の中での比率とお考えいただければと思います。

○      そうしますと,「来てほしくない」というのは全体の母数全体,有効回収の中に位置づけますと,12〜3%と。ここでは一応57.5%となっておりますが,全数でとれば12〜3%ということになりますね。そう解釈すればよろしゅうございますね。

○      はい,そうです。

○      これ,分けてしまうと,少しぎょっとする数字になりますので,その辺の数字の位置づけだけお伺いしたいと思います。ありがとうございました。

○      ここでこうしたのは,訪問がないから来てほしいのかとか,もしかしたら訪問がないという中に,保護者とか子どもが拒否する,そういう気持ちがあるんじゃないかというところから分けてみましたが,今の御指摘のとおり,ここも注意しないといけないかと思います。

○      「今のままで十分」というのは,ちょっと解釈が変わりますね。来ていない状態がそれでいいという,こういう回答ですね。

○      はい,そうです。

○      ありがとうございました。今の御質問とお答え,おわかりいただいたと思いますが,要するにこういうことですね。まず,「来てほしくない」という設問の前に,「訪問あり」「訪問なし」という大きい枠があって,その中でのことですので,全数,つまり57.5%というのを,そのことを抜いてとってしまいますと,子どもたち,あるいは保護者の方々があまり訪問してもらいたくないんだという受け取り方をすると正確な実態の把握にはならない,こういう御指摘を今いただいたと思いますね。そういうお答えでございました。

○      報告書のほうに入りますが,7ページでございます。この位置づけ,大変難しい,補足していただいた不登校経験者の実態調査でございますが,この中で,最後の「一方で」という,この終わりから3行目で,「学校へ行かないことに何ら心理的不安がなかった」,それから「自分自身は不登校は悪いとは思わないが,他人の見方が気になった」という,このあたりをすべて登校意欲といいますか,あるいは義務感といいますか,こういうものと直結して解釈してしまうというのは少し危険なデータでございますので,このあたりは表現を少し変えていただきたいと思います。
   とりわけ,「他人の見方が気になった」というのは随分やはりございます。データでは明らかにしておりませんけれども,地方へ参りますと近隣関係が非常に密でございまして,本人はやむを得ず仕方がなく行けない状態なんだけれども,人の目あるいは近所の目というのがものすごく気になるという,これは居住形態,地域によってものすごく大きな差がございます。このあたりは,不登校対策を考える上でも非常に重要な部分なんですけれども,意見としては,やはりこの中にあきらめてという部分と,それからやむを得ず仕方がなくという部分がございます。
   それから,これは5年間のフォローアップ調査ですので,現在の状態がかなりいい状態,あるいは社会的なつながりを,前に申し上げましたように,何か形成している場合には,過去の記憶に対しての,ある意味では肯定的な評価といいますか,こういうものがある程度加わってくるというのは,これは報告書の中でも分析しておりますけれども,少し関連して出てくる部分がございますので,ここは少し注意して表現していただければと思います。

○      ただいまの御指摘は,例えば,そこに限らないと思いますが,その設問,あるいは回答の前にある条件があるわけで,その条件についても配慮していかないと,その部分だけでいくと誤解を招く心配がある,こういう御指摘と……。

○      そういうことです。義務感と直結すると,少し危険があると思います。

○      パブリックコメントのことに関しまして,ちょっと意見を申し述べさせていただきたいと思います。
   実は私,このパブリックコメントを送っていただきまして,本当にこの問題に関して前向きに検討して,そして何かいい方向を見つけようという人たちが多いということに感心をしました。内容的には非常に納得できることを,私たちが見落していたということも多かったと感じたんですが,この総数,171件なんですね。不登校経験者は11件,そして不登校経験者の保護者が61件,それからフリースクール等民間施設関係者が24件ということで,この3つで96件なんですね。これは不登校経験者が,こういったパブリックコメントを自分で見てというのはなかなかなく,あるいは保護者も自分1人でというのはなかなかないのではないかな。そうすると,親の会とか,そういったところに出ている保護者,それから本人ということを考える。そうすると,あとフリースクールの民間施設関係者ということで考えますと,その他の56件を除いた115件のうち96件がそういう関係者ではないかなと。
   そうすると,学校関係者,教育委員会関係者16件というのはあまりにも少ないんじゃないかなと。本当にこの問題を考えるとするならば,この数は本当だろうかと私は実は思いまして,このパブリックコメントの1週間という期限が短かったのではないかなとか,本当にこういったものが学校関係者のところに届いているのかなという懸念を感じておりますが,その辺のところはどうでございましょうか。

●      すみません,そこは説明が不足しておりますので,事務局のほうから。
   各都道府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会,都市教育委員会というところですとか,あるいは各校長会のほうに,事前に実は我々御説明申し上げまして,意見書というのをいただいておりまして,今回送らせていただいた中にもそういった団体からの意見ということで集約していただいたものをいただいております。それ以外に,個別に,個人としてお答えいただいているようなものもこの16件の中には入っているかと思います。

○      お願いいたします。

○      28ページの原級留置,また進級時の補充指導に関わりましての感想及び意見でございますが,不登校児童・生徒のこういった問題は,学校現場でいいますと具体の問題でございます。不登校児童の進級や卒業認定について短絡的に取り扱われているという過去からの経緯の中で,進学・卒業の時期に私どもついつい,子どもたちに対する対応ができないという状況の中で,そのまま4月段階に移行してしまうといった実情もございます。
   そういった意味で,最後にございます,「こうした点についての保護者の意見等を聞くなどの配慮をするということが望まれる」と指摘されているわけでございます。私ども,こういった点につきまして補充指導であるとか,進級に関わります保護者の悩み等につきまして,ここにあります「要望のある場合には」ということの前提は,「要望を聞く」ということが出発になるわけでございます。したがって,こういった点につきましては提言だけにとどまらず,一定の具体の対応が,都道府県,市町村等も含めて,今後必要になってくるのではないかなと思うことが1つでございます。
   それと同時に,個別の指導記録に関わりまして,パブコメでもいろいろ指摘もあるわけでございます。こういった点も十分配慮しながら,逆に責任を持って,こういったことが子どもたちの今後の指導に生かせる,生かされていくといった形で,責任を持った対応が一層,特に保護者との理解といった点で求められるのではないかなと思うところでございます。以上でございます。

○      ありがとうございました。特に今の前半の御意見,感想という形で出された点は,具体的な問題としては各学校で,しかも認定が行われた後に問題が生じることが具体的に起こるんですね。それだけに,このことを丁寧に記述をして,是非こういうことが配慮,特に今御指摘があった点と,それからあらかじめ保護者等の意向を聞くという配慮というのは,是非各学校で配慮してほしいなと思います。重要な点を指摘していただいたなと思っております。
   ほかにいかがでしょうか。

○      すみません,先ほど御質問がありました訪問への希望,ちょっと今,手計算なんですが,保護者・子どもそれぞれ「訪問あり・なし」の条件をつけずに全体の数値を出してみましたので,御報告いたします。
   これは「家庭訪問ある・なし」にかかわらず,保護者が「もっと来てほしい」か「今のままで十分」か「来てほしくない」か,子どもがそれぞれどうかというところを人数で出してみました。まず親のほう,保護者のほうですが,「もっと来てほしい」という回答が665人,「今のままで十分」が2,176人,「来てほしくない」という回答が308人です。一方,子どものほう,「訪問ある・なし」を超えて合計してみますと,「もっと来てほしい」というのが239人,「今のままで十分」が1,592人,「来てほしくない」という回答が1,142人です。
   ただ,これは合計しましても3,404名にはなりません。無回答のものを含みますので,全体はちょっとばらつきのある人数でしたけれども,条件なしの生のデータです。すみません,ちょっと介入しましたが。

○      どうぞ。

○      29ページですが,適応指導教室の名前についてですが,「適応指導という言葉に非常に抵抗感がある」というのがパブコメにあったと思うんですが,おそらく指導という言葉が非常に強かったんだろうという気がいたします。指導については,本来言葉からいいますと,適切にそれがなされれば決して不適切な言葉ではないと解釈しております。どうしてもその言葉に抵抗があるんでしたら,名称変更も必要だろうと思うんですが,学習支援という言葉を強く出して,適応指導教室自体が,今まで培ってきたものがかなり後退する可能性があると思います。
   それは,適応指導教室においてはの目標はおそらく大きな柱が3つだろうと思いますので,自主性・自発性の育成,それから対人関係の改善,これがまず一番主になると思いますので,その次に,学校へ戻っていく二次的な障害になっているのが低学力というのがあると思います。適応指導教室に通っている子どもたちというのは過剰適応の子もいまして,勉強させてはいけない状況の子もいます。そういった子どもたちに対しても,関わりが若干変わってくる可能性がありますので,この学習支援という言葉は,あまり適切ではないような気がいたします。なおかつ,相談センターの「相談」という言葉を入れるというのは,一般の利用者から見ますと,教育センターの相談機能との違いをどうしていくのかという問題があります。私たちのほうに,全国から視察にお見えになる方々のお話を聞いていましても,現況,適応指導教室で,かなり元気になるところまでは,皆さん目標を達成されておいでになられまして,その後,学校にどう戻していくのかというところで障害になっているところがあります。それは,相談を通して相談員さんたちがいろいろ関わっていく中で,抱え込みといいますか,転移が起きてしまって,なかなか戻せないという状況がありますので,あまりこの2点を強く押し出していくと問題があるだろうと思います。
   それから,教育支援センターというのは,非常に大きく構えられますので,いろんなことが入るからこれは可能だろうと思うんですが,やはり一番適切な名称を入れるのでしたら,「指導」という言葉をとって,「適応支援センター」というような名称で入れていただくとありがたいと思います。
   また,地域によっても状況が違いますので,地域の状況に応じてということも入れていただきたいと思います。
   それから,ここに入るかどうかわかりませんが,学習問題についても,学校との連携をとっていく場合にも,それをとっていいのかどうかというのは,必ず本人に,それから保護者の了解を得てということをどこかでつけ加えていく必要があるだろうと思いますので,よろしくお願いいたします。

○      ここは,前回から御議論があるところでありまして,本日のこの中間まとめの中では,今後,例えばという形で,学習支援相談センター,それから教育支援センターということを例示として出しているわけでありますが,そこについて,もう少し言葉を補い,また,今,具体的なお話としては,適応支援センターという文言をここに出したほうがいいんじゃないかという御意見でございました。
   関連して,特に今,地域の状況に応じてということでありますので,お集まりの委員さんの中から,何かこれに関連して御意見をお持ちの方があったら,お聞かせいただきたいと思います。

●      すみません,もし,委員の方から御発言がなければ,事務局からで恐縮なんですが,パブリックコメントを拝見しておりまして,今,御指摘いただいた点というのは大変貴重な御提案で,これは事務局のほうがちょっと案がなかったものですから,ほんとうに例示として,とりあえず挙げさせていただいたものでございますので,また時間をかけて主査とも検討させていただきたいと思うのですが,今のお話を伺っておりまして,そもそも適応指導の「指導」ということと「適応」という言葉に対しましても,若干御意見いただいておりますので,例えば,不登校児童・生徒支援センターとか,また御意見いただければと思いました。つまり,今回御報告いただいている中で,先ほど伊藤委員のほうからもございましたけれども,様々な支援の仕方というのがある。多様なものがあって,ここで例示することにより,先ほど委員がおっしゃいましたように,自主性,あるいは,場合によっては学習支援ですとか対人関係の改善ですとか,また,非常に数は少ないわけですが,非行・遊び型のお子さんもいらっしゃるとか,非常にケース・バイ・ケースで,なかなか具体に名称を掲げようとすると難しいものですから,半ば抽象的に,個々個別の内容によるわけですので,抽象的に「不登校児童・生徒支援センター」とか,あるいは先ほど委員からいただきました「適応支援センター」というのも1つの案かと思いますが,ちょっと御検討いただければと思います。

○      趣旨はおわかりと思います。つまり,「適応」という用語,あるいは「指導」という用語自体との関係もあって,ここで,そうした機関について,中間まとめの中では,「その役割や機能に照らして,適切な呼び方」という表現をしているわけですが,その中で例示を示すとしたら,ただいまの事務局の説明の中では,この適応ということについても,また解釈が分かれる要素があるので,例えば,「不登校児童・生徒支援センター」ということも例示としてはあるのかなということでお話しいただきましたが,感想等ございましたら……。

○      前回変えたらどうかということで言わせていただいた経緯もございますので,前回言わせていただいたことにつきましては省かせていただきたいと思いますが,基本的には,適応指導教室といったスタンスから,子どもたちを支援するネットワーク型のセンターというふうな形の転換ということが,基本的な今回の協力者会議の報告等の趣旨とも連動した名称になるのではないかなということでございます。
   したがいまして,そういった支援センターということのスタンスをここで明確にして,先ほども御指摘ございました点も十分勘案しながら,また具体に対応していただければありがたいなと思うところでございます。
   以上でございます。

○      いろんな御意見を伺っておりますが,今,「不登校児童・生徒支援センター」というような名称をお話しいただいたんですが,不登校をしている子どもたちは,これでレッテルを張られてしまうかなと。「おれたちは不登校じゃないんだ」というふうな子どもたち,自分でそういうふうに感じている子どもたちも多くて,また,不登校だと決めつけられることに対して,すごい嫌悪感を感じる子たちも多いと思うんです。
   ですから,子どもたちは,自立していくというふうなことをひとつ考えて,「自立活動支援センター」みたいな名前にしたほうが,いろんなものを含むんではないかなと思ったりするんですが,いかがでしょうか。

●      ただいまの御提案に関しまして,実は,私ども,いろいろな名称を検討する中で,実は,将来的に社会的自立を目指すという意味では,是非,そういうニュアンスの言葉をということも選択肢として考えたのでございますが,1つのネックになっておりますのが,児童福祉施設の1つとしての児童自立支援施設,旧来,教護院と称していた施設でございますが,これが児童福祉法改正によりまして,現在は児童自立支援施設という名称を用いているということがございますので,そのあたりとの混同を避けるような名称がまた一方で求められるということで,また,お知恵を拝借できればと思っております。

○      適応指導教室の名称等についての全国的な情勢というのは,例えば,青空教室とか,けやき教室とか,適応指導教室という言葉を使っているところがほとんどない状況です。ですから,そういった面では,地域の実情に応じて名称を使用する,それでいいんじゃないかなと。別に,具体的な提示ということについては,法案との関係とか様々な規則,それから各都道府県との設置状況との内容もありますので,名称を1つ,ここでまたやってしまいますと,ちょっとまた難しい問題になるんじゃないかなと。むしろ,現状を踏まえて,それぞれ地域の独自性に応じた形でいいんじゃないかなということを思っております。

○      今,議論したことで,お互いに共通理解を図れたことは,これは,様々な条件がある中で,一律にこういうことが望ましいということは,なかなか出しにくいということがわかりました。
   今のお話の中では,「現状を踏まえて」というお言葉がありました。それから,先ほど,「地域の実情に応じて」というお話もありました。今の議論については,まず基本的には,ここにあるように,「その役割や機能に照らし,より適切な呼び方を」ということで,ここはもう動かないところでありますけれども,その例示を出すか出さないか。出すとすれば,どういう形で出すのか。さらに,もし出すとした場合に,その前にどういうふうな形で,そのことについての意味づけを出すのかということも含めて,ただいまの議論については預からせていただくということでよろしゅうございましょうか。事務局のほうは,それでよろしいですか。
   では,そういうことで進ませていただきます。

○      8ページで上から4行目,「なお,……求められる」の部分と,その下の「また,……望まれる」の部分なんですけれども,パブリックコメントのほうの3ページ,「学校に元気が与えられるような記述がほしい」と,おそらくこの部分を受けてこれが出てきたんだろうと思うんです。
   まず,最初の,「なお,このように学校をめぐる」の部分ですけれども,「学校関係者には,いたずらに自信を失うことなく……」,このあたりはパブリックコメントが求めていることに対する答えにはなっていないんじゃないのかなと。つまり,パブリックコメントのほうは,学校現場が自信を失っているという意味合いで,求めているのではなくて,課題はたくさんあるけれども,具体的な課題と取り組むべき指針を明確化してほしいと,それを求めているんです。
   それは,全体を見たときに,いろいろな部分で書かれているので,このコメントに対しては答えが出でいると思いますので,ここの部分は表現としては,学校にいる者としては非常になじまないという印象を受けます。
   それから,下の部分ですけれども,これはパブリックコメントの2ページ,「不登校の要因・背景の多様化・複雑化」の四角の3つ目のところの「激しい競争の教育制度の問題を指摘し云々……」,これに答えた部分だろうと思うんですけれども,「入学者選抜の改善等の取組によって」と締めくくっているんですけれども,ここは「学校については」という形で書いていますよね。入学者選抜制度は,学校単独で改善できる性質のものではないので,ここは工夫が必要かなという印象を受けました。
   以上,2点です。

●      ただいまの御指摘に関してでございますが,まず8ページの第2段落,「楽しいと子どもが感じている」等々の記述に関してでございます。確かに,「いたずらに自信を失うことなく」という表現が適切かどうか,このあたりであろうかと思いますが,パブコメでいただいた御意見に関しましては,まさに,先生御指摘いただいた点もあれば,学校が,必ずしも多くの子どもたちにとって楽しくない,つまらない存在だというわけでは決してないんだということ,この辺を確認してほしいという趣旨と,いろんな意味合いが込められて声をいただいているということがございまして,今,御指摘の点,多少の修正,文言があろうかと思いますが,そういった意味で,子どもたちの評価というものを,これは会議資料でも出させていただいたデータでございますが,ここで位置づけるのはいかがであろうかなと考えております。
   それから,もう1点の受験競争等のストレス,こういった問題に関しまして,学校に関する記述というのは,この要因・背景が言っている「子ども,本人,保護者,学校」とありますが,必ずしもここの記述は個々の学校だけでの取組ということではもちろんございませんで,それにかかわる教育制度の問題,入学者選抜に関しては,もちろん個々の高校でできる部分と国のほうの制度の問題,両方があろうかと思います。そういった意味では,ここの記述に関しては,両方を受ける形での記述であると御理解いただければと思います。

○      今のことに一言だけいいですか。
   この会議に加わっていると,そういう補足説明でそう読めますけれども,これ1冊が出たときに,この流れでそういうふうに読めるかどうかという点で疑問を感じました。

●      趣旨は,今,説明させていただいたとおりなんですが,具体の記述につきましては,今いただきました御意見を考慮して直したいと思います。

○      32ページになりますけれども,これは,民間施設のガイドラインのところで十何行目かでしょうか,2番目のパラグラフで,「また」というところの後にアンダーラインがありまして,「不登校の児童・生徒や保護者は」ということになっているんです。民間施設において,このガイドラインを参考にすると。本人や保護者が,どうやったらこのガイドラインを知ることができるのか,これは教育委員会とかそういうところに,このガイドライン自体,渡っていくと思うんですけれども,保護者とか本人が知るということは,かなり難しいんではないかなと。実は,このガイドラインは前回も出ていたんです。ところが,ほんの一握りの専門的な人しか知らなかったというのが実情だろうと思いますので,何か方法があるんでしょうか。

●      今の点ですけれども,もともとこのガイドライン自体が,個々の施設を判断するんではないけれども,教育委員会が,あるいはその利用者が相談・指導を受ける際の判断の目安としてつくったと,あくまで試案なわけですけれども,そういう位置づけになっているわけです。今,御指摘のとおり,せっかくの判断の目安ですから,これは,おそらく今回の協力者会議の報告の中にもちろん入るわけですけれども,私どものほうでも,改めて公的なルートでは,例えば教育委員会ですとか,そういったところのには,そのことを周知をし,保護者にそういったことを伝えてくださいということをお願いすることになるだろうと思うんです。
   その趣旨をもう少し明確にする意味では,例えば,教育委員会,学校関係者は,このガイドラインの存在だとか考え方について保護者に情報提供するなどということがあれば,結局,学校から保護者に対して,そういう情報伝達ができるというルートが見えてくるだろうと思いますので,そういう趣旨を書き加える方向で検討させていただきたいと思います。

○      ちょっと整理させていただきますと,まず,先ほどの斎藤委員の御発言については,私も今もう一度32ページをずっと読み直していって,この報告書としては趣旨を踏まえていて,前段が学校であり,そして,特に後半のところについては,学校および教育委員会にかけても述べているわけでありますけれども,読む側からすると,そういうことが起こるんじゃないかという御指摘なので,その点も,改めて今の御意見もお伺いして,もう一度見直しをして,必要があれば若干の手直しをしていくということでよろしいでしょうか。
   それから,ただいまのガイドラインについては,1つは,この報告書が出た後,いかにして周知を図るかということについての御指摘であると同時に,この報告書については,そのことを記述することが,もしできるとすれば,どういうことがあるのかということで,検討させていただくということでよろしいでしょうか。

○      13ページでございます。アセスメントでございますが,これは,委員もおっしゃっていましたし,私もかねがね申し上げていますように,これは大変重要な問題でございまして,学校の中にこういうシステムをつくっていく,なおかつ,それが地域と連携してシステムをつくっていくと,これは大変重要なことでございます。
   ただ,その機能が,まず,こういう見きわめ,それから実態把握ということになりますと,その過程で,子どもに対してかなり追い詰めていく,あるいは保護者を追い詰めていくということがございます。
   どうして不登校になったのということを子どもに尋ねていく,これは指導の過程でもよくそういうことが起こるんですけれども,本人もわからない,保護者もわからないところをどんどんそれでやっていくと,何か悪いことをしているとか,あるいは子どもがその状態で追い詰められていくという,二次被害と我々称していますけれども,そういう二次被害が生じるおそれがあります。
   こういうものをいきなりアセスメントして,実態を見きわめなさいという形で,直接,報告書に書いてしまうと。このことへの配慮を少しやりながら,このシステムを有効に生かしていただくということが非常に大事なことでございますので,これを生かすという精神からも少しその点を配慮して,保護者と子ども,児童,生徒を追い詰めないようにとかという,少しはそれを配慮しながらということを補っていただければと思います。

○      ありがとうございました。
   貴重な御意見をいただきましたが,本日の御意見,御議論はここらまでとしまして,最初に申し上げましたとおり,最終報告に向けた協議の場は本日が最後となるわけであります。本日いただきました御意見を踏まえた最終報告については,私に一任させていただくと。
   なお,今日のこの会議が終わった後,お気づきのこと等がございまして,どうしてもということがあれば,また事務局に寄せていただきまして,この会議はもう開催することはできませんので,必要がある場合には,それについては,文書照会等において対応させていただきまして,最終の運びとさせていただきたいと思っております。
   事務局と相談をしまして,4月の上旬を目途として最終報告を公表したいということで運ばさせていただきたいと思っております。こんな運びで進めさせていただくということで,よろしゅうございますでしょうか。
   ありますか,はい。

○      時間のない中,すみません。意見というか感想なんですが,データを発表しますと,どうしてもそれが一人歩きすると困るなということが随分ありまして,慎重になり過ぎるのかもしれませんが,先ほど,担任の訪問に対するデータ,数値を挙げましたけれども,「適時適切」というところで,個に応じて,保護者に連絡をとるなり,子どもには間接的な形で初めて,だんだんに様子を見ながらという対応をしていただけたらという,このあたりの記述で補えるのかなと思っております。
   もう1点,恐れ入りますが,26ページ,スクールカウンセラーのことを書いていただきました。補足で加えていただいておりますとおりかと思います。おおむね評価のほうは高くいただいているという成果が上がっていますが,まだまだ学校現場もどんどん変わっていきますし,昨今,不登校もいろんなタイプが出てきております。ですから,スクールカウンセラー自身が日々研修をしていくとか,研鑽しないと,十分な対応ができないということがありますので,そこの26ページの2行目あたり,「効果的な活用方法について調査研究を進める」ということをプラスしまして,スクールカウンセラー自身の研修システムも充実していくということ,これも我々の中でも随分と議論されているところですし,そのあたりの必要性も加えていただけるとありがたいかなと思います。
   それと,先ほど,アセスメントの御指摘いただきましたとおりかと思います。学校現場で,どうしても,どうして学校に来れないかということが先行しまして,原因探しにきゅうきゅうとしてしまうということがあります。それが,保護者,子どもを追い詰めるという事態も随分とありますので,アセスメントというのは,決して原因探しだけではなくて,まず状況をしっかり理解する,その子の理解,それが前提になるということ。その上でどういうふうに,だれが,いつ,どう対応すればよいのかというのを考えていくということにはつながるかと思いますが,そこのあたりの誤解がないような伝え方というのに配慮いただけたらということを,最後に意見を言わせていただきました。ありがとうございます。

○      時間がないところ,もう一言だけ,すみませんが,この後でございます。こういうものを私ども議論しまして,せっかくいいものが出ましても途中でとまってしまって,そのまま終わるということもなきにしもあらずでございますので,このあたりは周知徹底していただく。現場の教育委員会のみなからず,保護者,あるいはいろんな民間団体の方へも伝わるような形で,ひとつ,是非とも工夫していただければと思います。

○      ありがとうございました。
   先ほど,締めくくりのような形で,私,今後の運びについて申し上げましたが,どうしてもこの機会にという方,御発言ございましたら……。

○      32ページの上から3行目,「民間施設等の実践には評価すべきもの,参考とすべきものが多々ある一方で,一部虐待などの人権侵害行為が疑われる」というところでございますが,NPOとか民間施設との連携というのは,これから非常に大事になってくるという中で,こういうふうな書き方では非常にマイナスになってしまうんではないかなと思いまして,ここは,「多々ある一方で,不適切と思われる対応もあるという指摘」というようなことを,何かその辺をうまくまとめていただいてやっていただけないかなと。

○      先ほどの御指摘も含めまして,ただいまの御指摘もお気持ちはわかります。ここはパブコメを踏まえての表現になっていますので,今の御指摘を受けて検討させていただくということで,よろしゅうございますでしょうか。

○      はい,お願いします。

○      それでは,流れに戻らせていただきまして,先ほどのようなことで今後は進めさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
   それでは,事務局から今後の日程等についての説明をお願いいたします。

●      主査のほうから既に御説明いただいておりますように,事務局のほうと主査と相談させていただきまして,本日いただきました御意見を踏まえて,最終報告の内容を確定しまして,4月上旬を目途に公表させていただきたいと思っております。こちらの具体的な日程が決まりましたら,各委員のほうに御報告させていただきたいと思います。

○      ありがとうございました。
   予定の時間となりましたので,本日はこのあたりまでとさせていただきますが,事務局のほうから,ほかにありますでしょうか。

●      本日が最終の会議となりますので,初等中等教育局審議官の金森のほうから,ごあいさつを申し上げたいと思います。

【金森審議官】      この不登校問題に関する調査研究協力者会議,最後の会議を迎えるに当たりまして,一言ごあいさつを申し上げます。
   この会議は,昨年の9月に発足いたしまして,これまで半年余りにわたって精力的に御審議を重ねていただきました結果,ここに最終報告を取りまとめる運びとなりました。尾木主査,森田副主査をはじめ各委員の皆様方のこれまでの御尽力に厚くお礼を申し上げます。
   事務局といたしましては,主査の御指示をいただきながら,4月上旬の最終報告の公表に向けまして,本日の御議論も踏まえ,最終的な文言の詰めを行ってまいりたいと考えております。
   御案内のように,不登校の現状は,憂慮すべき状況にございまして,その対応は緊急の課題となっております。学校や教育委員会,国,それぞれが,果たすべき役割をしっかりと認識して,不登校への取組を一層推進していくことに,一刻の猶予も許されない,そういう状況だと考えております。
   今回の報告は,こうした取組の大きな方向性を示すものでございまして,文部科学省にとりましても,また,学校,その他の関係機関にとりましても,今後の政策の重要な指針となるものと考えております。
   今後,文部科学省といたしましては,いただいた御提言を確実に実行すべく,その趣旨について,教育委員会や学校をはじめ,広く周知を図ってまいりたいと考えております。
   また,国においては,学校関係者のための具体的な指導資料を作成するなどして,不登校への不断の取組を進めてまいる所存でございます。
   委員の皆様方におかれましては,今後とも,不登校への対応に,引き続き格別の御支援,御理解を賜りますようお願い申し上げまして,お礼のごあいさつにさせていただきます。
   どうもありがとうございました。

○      ありがとうございました。
   ただいま,ごあいさついただきましたように,半年間,委員の皆様方,ほんとうに熱心に協議,積極的な御発言をいただきまして,また,私の立場から言いますと,副主査の森田先生に全面的に助けていただきまして,ようやく最後の会ということになりました。
   それぞれ委員の方々,思いがおありだと思いますが,我々としては,この共通の課題意識を持って,できるだけこの事態の改善に向けて,有効なものになるように努力をしたつもりではありますけれども,これについては,また,最後の詰めをした上で4月に公表し,それから,今,ごあいさついただいたように,私も含めて,それぞれの立場で,この問題,この解決に向けて努力をしていきたいなということを申し上げ,そして,お礼を申し上げて,この会を閉会させていただきたいと思います。
   ほんとうにありがとうございました。
   これで閉会とさせていただきます。

−−−  了  −−−

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)

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