不登校問題に関する調査研究協力者会議
2002/11/19議事録不登校問題に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録 |
不登校問題に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録
1.日時 | 平成14年11月19日(火) 10:00〜12:30 |
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2.場所 | 文部科学省別館大会議室(11階) |
3. | 出席者
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4. | 議事内容 |
○ | 定刻となりましたので,これから第5回の不登校問題に関する調査研究協力者会議を開催させていただきます。よろしくお願いいたします。 本日の会議につきましても,報道関係者の傍聴を許可するということになってございますので,御承知おきください。 また,本日は,菅原委員さんが御都合により欠席されております。 本日のテーマは,学校外における公的支援についてということでございます。まず最初に適応指導教室のお立場として大橋委員さんから,それから,教育委員会による訪問指導の観点で,横浜市の教育委員会の方から,それぞれヒアリングを行うこととしております。 まず最初に御紹介させていただきたいと思いますが,横浜市教育委員会教育総合相談センター所長の中村満智子先生,よろしくお願いいたします。 |
【中村氏】 中村でございます。よろしくお願いいたします。
○ | 同じく,横浜市教育委員会指導主事の児玉政徳先生です。 |
【児玉氏】 児玉でございます。よろしくお願いいたします。
○ | よろしくお願いいたします。 ヒアリングの後に,その内容を踏まえまして,最初に適応指導教室の現状と今後の課題について,それから,続いて,訪問指導の現状と今後の課題についての御議論をいただくということになりますので,よろしくお願いしたいと思います。 なお,お手元に本日,議論をお願いしたい点について配付させていただいている資料がございますので,御参考にしていただきたいと思います。また,配付資料につきましては,後ほど事務局のほうから説明をいただきたいと思います。 では,早速でございますけれども,これからヒアリングに移りたいと思います。毎回こういう形でお願いをしているんですが,お1人につき,お話を15分ほどお伺いをしまして,それぞれについての質疑応答を5分ほど設けたいと思います。 では,大橋委員さん,まず最初によろしくお願いいたします。 |
【大橋委員】 では,よろしくお願いいたします。
適応指導教室全般の話ということで,私のほうでお話をさせていただきます。また,あと,うちの名古屋市子ども適応相談センターが1つの例として提案できるだろうと思いますので,それも踏まえて適応指導教室についてお話をしていきたいと思います。時間も限られておりますので,内容等ははしょって進めたいと思いますので,また後からいろいろ御質問いただければと思います。よろしくお願いいたします。
まず,「適応指導教室とは」ということでそこに書いてございます。読んでいただくとおりかと思います。位置としましては,それぞれの相談機関,または学校との中間の施設に当たるだろうと我々は把握しております。平成12年度で,全国で928教室が設置されています。それは,全国の市町村の約3割に当たります。また,1機関当たりの指導員は大体3名程度です。後ほどお話しします私どもの施設とは違いまして,やはり,こういった小さな適応指導教室が非常に多いかと思っております。それから,非常勤でお勤めの方が全体の75.8%を占めているというのが現状でございます。
それでは,2番目としまして,全国の適応指導教室の現状と課題ということで,(1)のほうです。施設・設備整備状況は管理運営主体は教育委員会にかかわるようなところが一番多く,57.9%です。教育センター等の業務としては,31.4%で,約9割がそういった関係の管理運営になっております。
設備設置状況はと言いますと,袋のほうに入っています私どものパンフレットがございますが,学習室,面接室,プレイルーム,調理室,和室,おおよそこういったものがそれぞれのところに設置されています。しかし多くの適応指導教室が3名で運営ですので,これだけ設備が充実しているものではありません。おおよそこういったものを設置して活動をしていくということで,子ども向けのパンフレットもございますので,活動内容もおおよそ御理解いただけるかなと思います。
やはり一番多いのは学習室で,学力補充を一番考えていらっしゃるだろうと思います。それから,箱庭ルームのほうは14%で,心理的なものについてはまだまだ整備が不十分のところが多いと思います。
職員構成の内訳ですが,出典資料のほうですが,お手元の袋にあるんですが,オリンピック記念青少年総合センターのほうで,調査対象が347施設で調査されたものです。それでは,少し内容をお話ししていきます。
人数は,そこにありますように,常勤の方が536,非常勤が818,臨時スタッフという方がお見えになります。1施設当たり1.54ということで,文科省が統計をとられたものとあまり大きな差はないと思います。非常勤の方が2.36で,ほぼその倍になると思います。
それから,常勤職員の方の内訳ですが,教育系職員の方が34.9%,退職教職員の方が40.5%になります。これが主力になるかなと思います。それから,行政系の職員の方が12.7,心理系職員の方が3.4%で極めて少ないです。
それから,非常勤職員の方ですが,教育系職員の方が18.6,退職教職員の方が53.9%,心理系職員の方が12.0%,それから,医師が若干ですが1.7%お見えになります。
それから,臨時スタッフのほうですが,学生または大学院生が67.4%,学生以外のボランティアということで,心ある方がいろいろお見えになっているのが24.5%ということです。
それから,1学期末の在籍者数別教室数ということで,0から4人が34.4%,5人から9人が31.7%ということで,大体これだけの人数に少数のスタッフで対応しているというのが現状だろうと思います。
それから,3番目の活動の経過と評価等ということで,平成13年度の通級者数がそこにございます。不登校児童生徒全体の10.5%が適応指導教室に通っています。それから,その評価におきましては,適応指導教室は「大いに役立った」が37.3%,「ある程度役に立った」ということで30.3%になって,合計しますと67.6%の子どもたちが評価をしているととらえております。
それから,通級児童生徒の様態ということで,これは私ども全国適応指導教室連絡協議会というものがございますので,そこを対象にして私どもが調査したものです。全国262の適応指導教室,全適連と言っておりますが,そちらに加盟している適応指導教室で調査したものです。通級児童生徒の学年別ですが,そこにありますように,大体,調査統計と同じような割合になります。中学生がやはり圧倒的に多いということです。
それから,通級期間と通級者数のほうですが,半年から2年までが大半を占めます。1年以上2年未満という子どもたちが一番多いです。
それから,通級期間と子どもの状況ということで,子どもたちがどう復帰していくのかということを見ていきますと,全体で1年未満の通級の子どもたちが非常に多いです。約66%を占めますので,この時期の対応というのが非常に大事だろうと考えております。一応,年数が長くなるに従って,ちょっと学校復帰が遅れてくるという状況がございます。
続きまして,(4)の回復の状態ということで,左のほうに項目が,学校への気持ち,対人関係,自己イメージといろいろ書いてございますが,私どもが用意いたしました冊子のほうの後ろのほうに,回復の状態というのを適応指導教室では着目しております。どのように回復していっているのかというのを段階を設けてアンケート調査をしたものです。おおよそ6割から7割近い子どもたちが回復をしているということで,子どもたちの評価,66.7%と,極めて似た数字になるのかなととらえております。
それから,通級状態のほうですが,37.1%と,54.7%ということで,ちょっと回復の割合が低いように思いますが,そこにも書きましたように,必ずしも適応指導教室に毎日通所することがよいとは言えないということがございます。子どもたちは休みながらエネルギーを高めていくということがございますので,休むときは休むということで,あえて通級を促すということをしないために,回復状況のとらえ方が少し違うのかなと思います。
それから,これは中学校男子の場合を載せたのですが,ほかに小学校女子,小学校男子,中学校女子というふうに分類しましたが,ほとんど同じ傾向を示しましたので,これを1つの例として載せさせていただきました。
それから,回復時での援助の必要性ということで,私どもの場合を書いてみました。うちの施設は,ちょっと全国でも突出した施設だろうと思いますので,うちをもってして適応指導教室がこんなに充実しているのかなと解釈していただくと,ちょっと困ります。
職員構成のほうですが,所長以下,教育相談部に指導主事が2名,相談員が7名,私がおります適応指導部に指導主事が3名,相談員10名。事務方のほうで2名,施設管理運営委員で1名。それから,非常勤のほうですが,医師が2名です。精神科医のほうが,主に教育相談部のほうのスーパーバイズをしていただきます。小児科医のほうが臨床心理士の資格を持った小児科医さんですが,その方が適応指導部に入っていただいて,行事の前の健康診断,それから,スーパーバイズ等をやっていただいています。それから,セラピスト,週1回勤務ですが17名という形をとっております。それから,学生ボランティアが週1回の活動と行事参加ということで,現在,34名の学生,院生が登録しております。
全体の数なんですが,名古屋市の不登校者数は13年度で1,800になりました。そのうち,情緒的混乱による不登校者数ということで分類されたのが509名,うちのセンターのほうに申込があったのが230名,そのうち受理したのが204名です。他の26名はどうしたのかといいますと,他機関へ紹介したほうがこの子にとっては好ましいということで,受理会のほうで判定いたしまして,他機関に紹介しました。それから,この子は学校で対応したほうがはるかに回復が早いだろうという場合には,学校のほうへお願いします。その場合,指導主事のほうが学校に出向き,コンサルテーションにおいて説明をして,対応のほうもお話をしてきます。
それから,適応指導部学校復帰者数が相談部と適応指導部両方含めますと,13年度は83名でした。相談部だけの通所の子もたくさんいますので,また,親だけというケースもありますので,復帰者数全体でいいますとそのぐらいになります。ただ,適応指導部に入りますと,復帰は随分高まると思います。13年度で言いますと,115名在籍しまして,復帰した子どもたちは53%,61名です。回復者数というのは,そこにも書いてございますが,学校に登校しながら通所しているという子どもたちで,順次学校へ戻っていく子どもたちという数です。それを含めますと,大体69%の回復率があるととらえています。
その回復していく率を上げたといいますのは,そこに学校コンサルテーションによる援助例ということで,1から5まで書きました。適応指導教室において,ほとんどの子が元気を回復してきます。その回復状況に応じて,学校への気持ちを確認すること,それから,登校可能なら学校へ出向くことについて子どもと話し合って了解を得ます。それから,その状況を保護者に伝えて,保護者のほうの了解も得ます。それから学校へつないでいくことの了解も得ます。
3番目としまして,学校へ出向いて,子どもたちの現在の気持ち,それから,子どもたちがどういう条件なら登校できるか,登校できる時間帯といいますか,例えば,子どもたちが全部教室に入った後,だれにも会わない時間帯なら登校が可能だということです。場合によっては放課後なら登校が可能だという場合もあります。それから,過ごす場所はどこで過ごせるのか。教室以外の場所はどこを提供していただけるのだろうかと。それから,対応の方法なんですが,学校の先生方のほうは,子どもたちが行きますと,きちんといつも対応してくださる方が多いものですから,1時間行きますと,1時間そのまま先生が横につかれるという場合がございますので,これはかえって子どもたちには負担を強いることが多い場合がございます。そこで先生方のほうにお願いするのは,最初に顔を出していただいて,話しかけていただいて,あと,また先生がお見えになることができる時間帯にまたおいでくださいということだけで,子どもたちだけで過ごせる時間を多くしていきます。現実,そうしていかないと,学校の先生方の負担も非常に大きくなりますので,実際のかかわりがどれだけできるのかということで話し合いをしていきます。
それから,活動内容というのは,主に学習内容が多くなると思うんですが,中学生でも分数計算しかできない子どもたちには,そういった学習をさせてあげてくださいと。教室ではできませんが,相談室のようなところならできますというようなお話をします。
4番目としましては,必要に応じて子どもや保護者に付き添って登校いたします。今年の例ですと,小学校1年生のときに76日間登校しただけで3年半登校しなかった子どもを学校に戻すに当たっては,一緒に我々が付き添いました。相談室やくつ箱はどこなのか,それから,ここで過ごすんだよというお話,先生はこの先生に声をかけなさいということで登校が始まり,現在,週に4回ほど授業に出るようになりました。
それから,回復状況に応じて,順次登校時間や日数を増やすということで,読んでのとおりです。子どもの状態に合わせてだんだん登校回数を増やしていっているという,このコンサルテーションによってかなりの人数の子どもたちを学校へ帰すことができたということがあります。
時間が来ましたが,5番,適応指導教室と学校との連携の在り方ということで,最初,(1)のほうですが,なかなか子どもの回復状況が全国的にも学校へ伝わっていないというのが多いということがあります。それから,電話だけの連絡ではなかなか伝わらないものがあり,人員の問題だとか,どういった対応をしてほしいという具体的な話がなかなかできていないというところがあると思います。それが(2)を含めた言葉です。
それから,(3)のほうですが,進路の問題というのは非常に大きな問題でして,適応指導教室が進路を抱えてしまうと,ほんとうにその子どもに合ったニーズに対応できているかというと極めて疑問なところがございます。やはり,進路問題というのは,学校のほうがはるかに専門的領域でございまして,子どもたちも進路につきましては先生方と非常に会いやすいです。そちらのほうで学校へつないでいくということを考えると,進路の中心はやはり学校であろうととらえております。
それから,学力補充は先ほどもちょっと申しましたが,やはり深刻な問題です。不登校が長期にわたったために非常に学習内容が遅れた子どもたちを今後どうしていくのかと。どこでそれを対応していくのかということがあると思います。
それから,5番目としましては,別室登校の際に,やはり学校もそんなに居場所があるわけではございません。教育相談室はございましても,保護者の方がお見えになる。または非行系の生徒に対応しなくてはいけない。進路指導室は別にあるのですが,場合によっては,進路相談のため他の生徒のために提供しなければいけないということで,なかなか不登校の子どもたちの場所というのは確保できないということがあると思います。
それから,(6)のほうで,学校との情報交換の場合に,学校によってはほんとうに大きな差がございます。先生方のほうに,非常に基礎的なこと,基本的なことから説明していかないとなかなかお話が伝わらないことで,2時間にわたっての話し合いになるということもありますので,やっぱり学校の教師の知識の問題も大きいと思います。
それから,適応指導教室での活動内容自体が,学校に十分知られていないということもあると思いますので,お互いが一体何をやっているのだろう,子どもを預けて,そのままという状況もあるかと思っております。
現状の課題のほうですが,たくさんございますが,特にアのほうですが,実際に適応指導教室の運営にかかわる職員が嘱託さんである場合が非常に多いと思います。実態を把握された方向性,予算計画,人員配置,設備整備,そういったものにかかわれることが非常に少なくて,なかなか小さな適応教室自体のレベルが上がらないということがあり,それをどこかでカバーする必要があると思っております。
それから,飛ばしながら話をしていきますが,ウの職員の力量向上のためということで,研修の場がやはり少ないだろうと思います。退職されまして,全く違う状況の場に置かれました指導員の方は戸惑われるというのが現状でございます。
それから,やはり適応指導教室の数ももっと増えてもいいだろうと思っております。少なくとも,全国で5割ぐらいをまず目指したいと思います。
カのほうですが,何度も申し上げますが,小さな適応指導教室が多いです。この前も,全適連の地域会議がございまして,参加された方とお話をしておりましても,やはり自分がやっていることに非常に不安があると。これでいいのかなということで,こういった大会に来て,皆さんの御意見を聞きたかったということがございますので,実際は,そういった適応指導教室が多いと思っております。
それから,キとしましては,特に交通手段が不便な地区では,子どもたちが通うのに大変困難を来たしている地区もあるようです。
それから,田舎のほうへ行きますと,視察にお見えになりまして,学生ボランティアの話をこちらがしても,周辺になかなか大学がなくて,ボランティアがいないというお話をされます。そういった問題もあるかなと思います。
コのほうですが,家から出られない子どもへの対応ということで,適応指導教室にもなかなか難しい問題がありまして,人員不足があり,子どもたちが教室にいる中で,そこのスタッフが訪問指導に行けるかといいますと,なかなか難しい状況があります。
それでは,望ましい在り方ですが,課題の裏返しになりますが,適切な方向性が示せる常勤職員を置くべきだろうと思います。力量向上も非常に大事だろうと思います。それから,学校のほうへのお願いになるんですが,できるだけ空き教室等ございましたら,別室登校しやすい場所を提供していただけるとありがたいと思います。
それから,人材不足を補うために,教員の適応指導教室での研修等も位置付けていただけると,かなりの戦力アップになるかなと思っております。
大学生ボランティアに関しては,そこでの実習の単位認定というのは今後あってもいいと思っております。
以上です。長くなりまして申し訳ありません。
○ | ありがとうございました。 具体的な対応に関連しまして,例えば,子どもの登校時の配慮について,情報交換が不十分じゃないかとか,あるいは学校,あるいは関係機関の間の役割分担の問題であるとか,また,今後の課題についても大変貴重な内容を含む御発表をいただきまして,ありがとうございました。 では,後にまた協議をさせていただくということにしまして,この時点で,今の御発表について御質問がございましたらどうぞ,どなたからでもよろしくお願いいたします。 |
○ | 名古屋市の取組に非常に関心を持って聞かせていただいたんですけれども,名古屋市のほうで職員構成として,常勤職員として相談員7名,適応指導部で10名というのは,これは正規採用職員ということでよろしいんでしょうか。毎日勤めている常勤職員ということでしょうか。 |
【大橋委員】 嘱託の方で,毎日勤めて見える方というふうになります。
○ | すべてそうでしょうか。 |
【大橋委員】 指導主事,事務方以外はすべて嘱託の方になると思います。
○ | ありがとうございました。それと同じような形で,時々,常勤職員が比較的多く入っているような感じで思われるんですが,例えば,この間のオリンピック記念センターの中身でも,常勤職員で退職教職員というのが217人,40.5%としてあるんですが,これも恐らく嘱託というように考えてよろしいんでしょうね。 |
【大橋委員】 おっしゃるとおりです。すべて嘱託の方だろうと思います。
○ | ほかにいかがでしょうか。 |
○ | 全国の適応指導教室の連絡会(全国適応指導教室連絡協議会)には,いわゆる75条学級(学校教育法第75条![]() |
【大橋委員】 適応指導教室にはそこの数はないと思います。現状,ここでは述べておりませんが,発達障害を持った子どもたちはたくさん適応指導教室に通っておりますが,その中で対応しているということで,特別にそういう教室というのはないと思います。
○ | 私のほうからも1つ教えてください。 資料の3枚目,6ページ目になるんでしょうか,子ども適応相談センター全体というふうにおまとめいただいている表の中の一番上のところに,名古屋市不登校者数が11年度,12年度,13年度と示されています。名古屋市においても,当然,関係の方々,平成10年度以前にも様々な取組をされているに違いないと思うんです。御努力をされているにもかかわらず,11,12,13年と不登校者数の数が増えていますよね。13年度には1,800人に至っているわけですが,先生のお立場からは,増加の原因をどんなふうに分析されておられるのか。それから,こういう実態を踏まえて,先生のお立場から言うと,今後の対策として重要なことは何だとお考えになっているのか,ちょっと教えていただけるとありがたいんですが。 |
【大橋委員】 不登校全体が様変わりしているんだということはたしかだろうと思います。平成4年度にこういった会議が立ち上がったときは,過剰適応の子どもたち,心理的なものが非常に多かったんですが,現状,言葉は悪いんですが,明るい不登校という子どもたちが結構多くなってきております。
ですから,学校へ行かないことに,以前の子は罪悪感だとか後ろめたさを持っていたんですが,それを持つ必要はないと思うんですが,そういったものが全くないと。やはり,全体としては,耐性がない子どもたちが増えてきていると思います。それに対して保護者のほうでなかなか耐性を子どもに身に付けさせることができない部分が増えているのかなというふうに把握しております。
1つの例が,適切かどうかわかりませんが,小学校に入学しましても,子どもが「近くの子が落とした消しゴムを拾ってくれない」と。僕は,もう,それでいじめに遭っているということで,それに対して保護者は,「相手のほうに言ったほうがいいんでしょうか」とおっしゃるということがありまして,やはり,子どもをどう育てていくかというところをもう少し見ていかないとだめだろうということと,学校現場に,不登校の子どもたちに登校刺激を一歩避けようというところがまだまだあるというのがありまして,子どもの状態を把握してもう少し積極的にかかわってもいいと思っております。
その2点を,今,我々のほうは考えておりますが。
○ | ありがとうございました。 今のこの数字もそうですし,お話しいただいたようなことについては,これは名古屋市だけの問題ではなくて,全体的な傾向にも通じる問題なので,後にまた少し協議を深めたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。 ほかに御質問はありますか。 |
○ | お伺いいたします。先ほどは御発表ありがとうございました。 5番目の適応指導教室と学校との連携の在り方で7点ほどお挙げになっているわけでございますが,全くそのとおりだろうなと,そんなふうに思うわけでございます。 そして,最後のページの(2)今後の望ましい在り方として人的なものや職員の研修であるとか,特にエなのでございますが,「適応指導教室の数を増やすことが必要。また,それぞれの学校では空き教室等の利用を一層進める」と,こういう内容になっておりますが,この後段の学校での空き教室等の利用を一層進めるということは,先生のイメージとしましては,それぞれの学校で校内での適応教室的なスペースを確保する,そのための人的な配置をするということでよろしゅうございますか。 |
【大橋委員】 空き教室で適応指導教室に準じると言ったらおかしいんですが,子どもが教室の中での集団の威圧感に耐えられないときにほっとできるスペースというのは,やはりあってもいいだろうと思っております。そちらのほうに特別の人員配置をするというのはなかなか難しくて,現状,「心の教室」,「心の相談室」で心の教育相談員さんたちが対応されるということがあると思います。このほかに今,学校の中でできる範囲でまずできないだろうかということです。もし,予算が許されるのだったら,専門の先生方を1名配置していただければ非常にありがたいと思います。
○ | 大変興味ある御発表で,もっともなところが多いんですが,ちょっと現状と,これからの展望を含めたことについてお伺いしたいんですが,進路指導の問題でございます。主として中学校で行うのが望ましいという,連携の在り方のところでおっしゃっているわけでありますが,いろいろな先生のところでお伺いになっている適応指導教室すべてが,それぞれが皆同じような機能ではなくて,例えば,コア的な機能を担わせるような適応指導教室といいますか,つまり,進路指導というのも,狭義の進路指導になりますと,受験だとか,そういうことを抱えておりますけれども,現在,非常に多様化している状況で,不登校自体の状況も多様化しておりますし,ニーズも非常に多様化している。そういう状況にどうこたえていくかというのは,1つの大きな課題になってくると。それをすべての適応教室,あるいはすべての中学校で担わせるというのは,大変難しい状況もございますので,そういうコア的な存在というのが随分必要になってくるだろう。幸い,今,名古屋市というのは非常に充実した設置状況にありますし,そういうプランニングというのはどういう形で考えておられるのか。そして,それが中学校を終えた段階で,私どもがやりました追跡調査でもそうですが,その段階である1つのステップへ進んだとしましても,状況によって,それがある意味では治療過程といいますか,回復過程につながっていくならば,次のステップをさらに考えながら,次の進路指導を,中学校を卒業した段階で行っていくという,こういう措置が必要になってまいります。そうしますと,その機能というのは,単に中学校だけのレベルではかかわらずに,そういうコア的な存在の適応指導教室に,ある程度,そういうフォローアップ機能というのも,恐らくは担わせなければならない部分が出てくるだろうと思いますが,これは後の議論の問題になりますけれども,とりあえずは今,名古屋市さんのほうで,そういうコア的な機能の中で,例えば,かなり医療的な部分はリンクされている。あとは,就労と,高等学校以外の様々な教育機関という,そういうニーズの多様化に対応した進路指導の在り方といいますか,こういうものの模索というのはどういう形で行われているのか,御意見があればお聞かせいただきたいと思います。 |
【大橋委員】 名古屋市につきましては,小中学校を対象としたものですので,高校生,または専門学校等のそういった相談等に応じるというのは,教育センターのほうで面接相談,電話相談ぐらいしかございません。基本的に義務教育を卒業したら,あとは任意の就学になりますので,まだそういったスタンスですが,それは今後の課題としては非常に大きなものがあると思います。
実際に,うちの適応指導教室を出まして,夜間の定時制,昼間定時に行った子どもたちでも,続かないだろうなという子はおります。その後,我々のほうもそちらの高校等へお邪魔するんですが,やはり中途退学という場合がございますので,そういった子どもたちをフォローしていくような場所というのは必要だろうと思います。
現状でも,我々のセンターのほうを出まして,彼らが高校で友人関係でつまずきますと,我々のところに相談に来ます。学校へはまだまだ足が遠いようでして,だれも来なくなるのが一番いいんですが,現状,1人,2人,毎年必ず深刻な相談を持ってまいります。
○ | 貴重な発表をありがとうございました。 先ほど,尾木主査のほうが数の問題で6ページのところ,子ども適応相談センター全体の数のところでお話がありましたが,11年度から12年度,13年度と,非常に数が増えていっておりますが,学校復帰者はそう変わらないというようなところでございまして,このところで,私はとっても心配になるのは,ほかの子どもたち,この数に出てこない,1,800人の中の復帰者の差の数です。残りの子どもたちはどうなっているのか,どういう状況にあるのかというのは大変に心配といいますか,この辺はどのようにお考えでございましょうか。 |
【大橋委員】 当センターが対象としますのは,心理的な理由によって不登校になった子どもたちということで,そこに絞って対応しております。それから,発達障害を持った子どもたちも受けております。じゃあ,あとの子どもたち,その子は一体どこで相談等を受けているのかということで,教育センター,児童福祉センター,少年センター,大体名古屋市で言うとこれぐらいの機関の数です。それから,県の教育センターのほうにも相談機関がございまして,そちらのほうのカウンセリング等で通っているというのがございます。あと,民間のカウンセリングのほうに通っている子どもたちもおります。
こうした機関に通っていない子どもたちの多くは学校で対応していただいております。いかにも子どもたちは学校から離されてしまったようなんですが,決してそうではありません。学校の先生方というのは非常に努力されて,一生懸命やっていらっしゃるだろうと思います。私どもはサイレントマジョリティというふうに把握をしておりまして,言葉は発せられないんですが,きちんと先生方のほうも訪問指導,対応等をやっていただいておりますが,なかなか現状回復ができないという状況だろうと思っております。
○ | ただいま出されました御質問も,今後,またここで話し合いを深めていかなければならないことにかかわっております。 それから,先ほど出された,進路指導とのかかわりにつきましても,ちょっと個人的なことになりますが,一昨日,私はある学会での会合がありまして,そこでも,進路指導の問題が,狭い意味ではなくて,もう少し広くとらえていって,子どもたち一人一人の自己概念を明確にしていく,あるいは自己実現の方向を明確にしていくというような指導と,不登校の問題の克服ということが非常に大きなかかわりがあるのではないかとうことが,話題としては非常に強く出されまして,これも後ほどまた,今日になるのか,また別の機会になるかわからないんですが,テーブルに乗せる必要があるのじゃないかと,私,個人的に思っておりますので,ちょっと付け加えさせていただきました。 まだ御質問をお持ちの方もいらっしゃると思いますが,後にまた協議のところでお出しをいただくということにしまして,次に移らせていただこうと思います。 続きまして,横浜市教育委員会教育総合相談センターの中村満智子所長,よろしくお願いいたします。 |
【中村氏】 よろしくお願いいたします。
お手元にございます資料をもとに,横浜市の公的な相談並びに不登校の支援の概略を私のほうから説明をさせていただきまして,後半を具体的な訪問指導について,児玉のほうから御説明を申し上げたいと思います。
この資料をご覧いただきたいと思います。
1ページをおめくりいただきたいと思います。そこに,横浜市教育総合相談センターの事業と組織ということで表になってございます。教育総合相談センターは平成9年4月に立ち上げまして,6年目を迎えており,教育相談事業と不登校の対策事業を行っております。
上段のほうに,教育相談事業,すなわち児童,生徒,保護者,教職員がどんなところで相談ができるかというところを示してございます。教育相談は関内にございます教育総合相談センターの中にございます。いじめ110番,これも同じように関内の教育総合相談センターの中にございます。街の教育相談,これは身近なところで気軽に,そして,きっかけづくりになればということで,今年から始めた事業でございます。4つ目が区教育相談ということで,ここから一番不登校の相談がたくさん,私どもには入ってまいります。
ちょっと説明をさせていただきたいと思いますが,この区教育相談というのは,横浜市は18区に分かれております。その18区のそれぞれに福祉保健センターがございます。その中で子どもたちや家庭に関する相談を専門に受けとめるところが子ども家庭支援相談というところでございます。ここで教育委員会から派遣をしております学校カウンセラー,教育相談員が相談に乗っているところでございます。もう一方で,教育の専門家,心理の専門家が学校を訪問して相談を受けているというのが,区の教育相談というところの示している図のところでございます。
こうしたところで御相談を受けるわけですが,御相談を受けた中身によって,また,不登校の子どもの状態に応じて,下のほうに書いてございます,ハートフルフレンド家庭訪問事業とか,適応指導教室,相談指導学級という,横浜市で行っているいろいろな施策について御説明を申し上げまして,それぞれの子どもの状態に合ったところで御相談に乗っているというところでございます。
もう1枚めくっていただきますと,そこに不登校対策事業の相談指導の流れというのがございます。ここでもう少し具体的に申し上げたいと思いますが,不登校に関する相談を保護者,教職員,児童生徒から受けた中で,先ほどからお話が出ておりますように,学校と緊密な連携を取りながら,横浜市としては,子どもたちが再び学校に通えるようにという指導を行っているわけですが,そこに,児童生徒に教育総合相談センターのハートフルフレンドの家庭訪問事業を御紹介する訳ですが,これは後ほど詳しく申し上げます。家庭に引きこもって外にも出れない,そういう子どもたちに対してハートフルフレンドの家庭訪問事業を御紹介し,大学生,大学院生を家庭に派遣することによって,そこから再登校できる子どももいます。しかし,外に出ることができても,学校には足が向かないという子どもたちについては,先ほどお話がございました適応指導教室を御紹介しております。
適応指導教室の中で,情緒の安定や人間関係の改善を図りながら,再び学校へ登校できるように指導しています。横浜市の適応指導教室は教科指導を行っておりませんので,子どもたちの中には,普通の学校のように,月曜日から金曜日まで毎日通って,なおかつ,教科学習ができる相談指導学級に通いたいという子どもたちもおります。そういう子どもたちに対しましては,専任教諭と相談をしながら,相談指導学級を御紹介をする。そして,そこで学習への自信回復や,自立心の確立をしながら,再び学校へ通えるようにしていくというのが,横浜で今,考えている相談指導の流れでございます。
子どもたちが再び学校へ通えるようにするためには,不登校の子どもたちというのは,ご存じのように一人一人の状態が違いますので,できるだけその子どもたちに応じた幾つかのコースを用意させていただいて,それに応じた指導を行っているというのが,横浜市の指導の全体的な流れでございます。
それでは,具体的に訪問指導につきましては,児玉のほうから説明申し上げます。
【児玉氏】 指導主事の児玉です。よろしくお願いします。
それでは,ハートフルフレンドの家庭訪問事業なんですけれども,別紙3枚つづりで用意してありますのでご覧ください。
横浜市では平成11年度にハートフルフレンド家庭訪問事業を立ち上げております。今年4年目を迎えまして,少しずつ中身も整理されて,大分成果が上がっております。目的のところについては,これはほかの県や市でも,かなり進められていると思うんですが,横浜市では特に遊び相手,話し相手ということで,大学生や大学院生を家庭に訪問させています。
特徴になるかと思いますけれども,横浜市の場合には,学生を大学の教育の専門家の方たちにアドバイスをいただくという,そういう仕組みをつくっています。
2番目の事業内容のところに入りますが,対象児童は,一応,本人及び保護者から了解が得られた児童生徒ということで,子どもたちが会いたくないというような場合には訪問をしないようにしています。しかし,実際のところ,保護者が子どもも了解しているというような話でこちらに申込をしてくる場合があります。その場合には,かなり挑戦的に,チャレンジとして何回か訪問をして,中ではそこで子どもと会えるようなケースもありますし,昨年の例では,残念ながら,10回訪問したけれども,とうとう会えずに終了したというようなこともありました。
児童生徒ですけれども,平成14年度は50人程度というふうにしていて,後ほど実績を見ていただくと,昨年は75件に訪問しているんですが,横浜市の厳しい財政の折,予算面で削減された部分があって,本年度は人数を絞っているということです。
訪問指導員とハートフルフレンドの資格ですけれども,紛らわしいかもしれませんが,訪問指導員という方が大学の先生方でアドバイザーです。ハートフルフレンドが家庭訪問をしている大学生,大学院生で,一応,心理,教育,または医学,それに関連した学生ということで,特に,不登校に対して意欲的な学生さんを集めています。指導員のほうは今年は30名の方がいらっしゃいます。それから,ハートフルフレンドは100人程度ということで募集しましたが,本年度は132名の登録をいただいています。訪問する人数と登録者の数で言うと,約倍になっているんです。ですから,これで訪問できない学生もいるんですけれども,実際に子どもたちの状況に合わせて,よりよいかかわりのできる学生を選ぼうというときには,やはり登録者は2倍から3倍いたほうがありがたいと思っております。
今年もそうなんですが,その意味では,この132名の方たちを家庭訪問のボランティアだけではなくて,実際に適応指導教室や相談指導学級のほうにも足を向けてもらって,子どもたちとのかかわりをしています。来年度はさらにそれを充実させて,各事業でのボランティアの活動を活発にしたいと考えています。
それから,派遣方法ですけれども,派遣の人数は対象児童生徒1人について1人ということで,指導員の先生をお一方お願いをしています。これも横浜の特徴かと思いますが,原則として10回ということで,2時間程度の訪問を10回ということにしています。実際には10回では訪問が終わらない場合もあるんですけれども,1つの区切りを付けることで,子どもや学生に無理のない範囲での目標を持って家庭に訪問してもらうというふうにしています。
若干省略をして,4番の経費については,ハートフルフレンドの家庭訪問については,1回5,000円の謝金を支払っています。これについては,交通費,連絡費,その他すべてを含めているということで,訪問指導員の先生方の謝金も同じです。ですから,1回につき2万円ということで先生方にお支払いしますけれども,これに交通費と,10回訪問するときのいろいろな指導の費用,電話を使ったり,メールを打ったりというようなことがあるんですが,すべて含めて2万円という形でお願いをしています。
めくっていただくと,そこに訪問実績と成果というのがあります。平成13年度は先ほどお話をしましたが,指導員の数は29人でした。ハートフルフレンドが155人,訪問した家庭は75人です。指導回数が195回ということで,先生方には学生と,それから保護者の方,両方をそれぞれ指導していただいていますので,75件ですから,通常150回,プラスアルファの部分はさらに継続をしたり,難しいケースで,保護者へのアドバイスや学生へのアドバイスをしたという回数です。
訪問回数が945回,これについては10回を基本にしますけれども,やはり2週間に1回ぐらいの割合で訪問しますと,5月,6月ぐらいに訪問した子どもたちについては,かなり早い時期に10回が終わりますので,その後の継続について検討して,さらに10回とか,さらに5回とかいう回数を増やした部分がプラスされています。
結果として,学校へ何らかの形で,これは保健室へ登校するようになったとか,放課後学校へ行けるようになったとか,そういうことも含めてですけれども,22人,適応指導教室へ通室できるようになった子どもたちが18人います。
その下に,ハートフルフレンドが感じた児童生徒の変化というのがあるんですが,ここになかなか書けなかったんですけれども,小学校6年生で3年間不登校でいた子どもが,家族へ入ったときに,訪問した最初の日に,6年生だったんですが,いきなり,麻雀をしたんですね。本人と両親とで4人目にハートフルフレンドが入りましたので,人数がそろったということでしょうか。いきなりそんなことから入って,6年生の間には残念ながら学校へは通えなかったんですが,中学に入って,1日も休まず元気に通っているというようなことで,3年間家庭の中に風が吹いていなかった。訪問したことによって,何らかの家族の変化があったというような,そんな例もありました。
6番目のところに,留意している事項ということなんですが,訪問指導員の方にいろいろアドバイスをいただいて,保護者面接,ハートフルフレンドの指導をいただいていますが,プラス,事務局のほうで積極的にハートフルフレンドとのかかわりをしています。具体的には,毎回,報告書を提出してもらいますので,その報告書の内容を読んで,事務局が学生と連絡をし,また,必要に応じて指導員からのアドバイスを受けるというふうな流れにしています。
家庭訪問のための配慮事項ということで,次のところに,ハートフルフレンド家庭訪問の考え方というのがありますが,これは実際に学生がどんな訪問をするかというときに,不登校の子ということを具体的にイメージしてもらうこと,それから,その訪問の中で,8番に書いてありますけれども,ハートフルフレンド自身を成長させて,やがて横浜の未来を担う成人として,立派なかかわりができる,そんな将来の成人になってほしいと,そういう思いも込めて,学生指導ということにも力を入れて進めています。
もう1枚めくっていただくと,ハートフルフレンド家庭訪問の注意事項があるんですが,これは具体的に家庭を訪問する際にどういうことを注意したらいいかということなんですが,保護者のほうからは,かなり家庭教師的なものを求められます。つい最近もあったんですが,もうここに家庭でのバトルがあるんです。保護者のほうは,ハートフルフレンドに,子どもの目の前で,「英語が得意なんで,ちょっとその辺から見てください」。子どもがその場で「嫌だよ,そんなの」という形で,やはり子どものほうは,勉強以前のかかわり合いを求めているということで,できるだけ遊び相手,話し相手という,そんなところを通してかかわるようにしています。
それから,あとは,7番のところに,一番下の米印なんですが,ハートフルフレンドの連絡先等をプライバシー保護のために,訪問先に知らせないということをしています。これは,実際にこれまでの訪問の中で,学生の電話番号がわかったときに,こちらの事務局を通さずに,直接保護者が授業中とか,学校の生活の中に電話を入れて,今日来てくださいとか,そういうようないろいろな要望が出てきて困ったということで,訪問先の家庭には知らせていません。
そのこととあわせて,やはり学生が,子どもたちもそうなんですが,一番問題になるのが,裏にありますけれども,終了についてなんです。一応,年度単位で家庭訪問を終了させて,次年度は改めて申込をして,訪問をしてもらっています。学生の中には,やはり10回行ったところで縁が切れるということを非常に残念に思って,その後,無料奉仕で訪問したいというようなケースがあります。しかし,非常に敏感な子どもたちですから,バックアップがなくなったときに,万が一のことがあったときに,だれが責任を負うかというようなことで,学生の方にはかなり終了に向けての心構え等をお話しして,そして,一応,そこできちんとした終了の形をとるようにしています。
最後に,今後の課題ということで,一番初めのプリントの裏のところなんですが,7の(4)というところをご覧ください。訪問内容の充実,これはやはりかかわり方をどう工夫していくか。それから,保護者支援ということで,最近は保護者の方が非常に精神的に負担を抱えて,不安定な状況があります。そのために,学生が子どもと会えなくなってしまったり,子どもと会っていても,保護者が不安定なためになかなか成果が得られないというようなことがありますので,先ほどの訪問指導員による面接に加えて,講演会や保護者同士の会,こういうようなものを積極的に行いながら支援をしていきたいと思っています。
不登校の予備軍ということで,保健室登校をしている子どもたち,この子どもたちにハートフルフレンドのような大学生や大学院生が何らかのかかわりができないだろうかと,その辺のことも考えています。
最後に,自分は2年間この仕事を担当しているんですが,昨年,945回の訪問をした中で,指導主事がほかの仕事を兼ねながらこの仕事をするというのは非常に大変な思いがありました。やはり,スタッフの充実ということから言うと,専属の指導主事がついて,きめ細かな指導をしないと,十分な成果は上げられないかなというような思いで今,取り組んでいます。
どうもありがとうございました。
○ | ありがとうございました。 ただいまのお二方のお話に関して,御質問ございますでしょうか。 |
○ | 貴重な御報告をありがとうございました。 ハートフルフレンドについて幾つか伺いたいんですけれども,私が所属しております青少年健康センターのほうでは,むしろ家庭教師という名目で訪問をするメニューがあるんです。つまり,我々が扱うのはむしろ引きこもり,つまり,成人以降の引きこもりが多いわけですから,彼らにとっては何の名目もなしに来られるよりは,勉強を見るという名目があったほうが,プライドが保たれるという部分があったりするんですけれども,先ほどのお話ですと,本人が嫌がった場合,当然見ないというのは当たり前だと思うんですけれども,希望があった場合には多少,勉強を見たりということもあり得るのかどうかということを伺いたいと思います。 それから,社会資源といいますか,地元にも不登校の家族会とか,いろいろあると思うんですけれども,そういったものとの連携というのは,どの程度なさっておられるのか。たしか,横浜は引きこもりに関しては官民一体の団体があって,一体して事業を展開する予定だと伺っているんですけれども,そういった民間の家族会との連携はどういうふうにとられているのかちょっと伺いたいと思います。 |
【児玉氏】 1点目の家庭教師のことについては,やはり保護者からは非常に要望が強いです。ですから,こちらでお願いをしているのは,全くかかわらないということではなくて,お子さんが自分のほうから積極的に自分の勉強していることをちょっと聞きたいと,そういう質問をしてみたいとか,そういう思いにこたえることには対応していこうというふうにしていますが,名目として家庭教師だよということはしていません。
こちらのほうでも,実際,トラブルになったケースで,保護者が,こちらではそういう言い方ではなくてお話をしたのを,家庭教師だよというふうに言っていて,実際に学生はそういうつもりで行きませんから,話をしているとずれてくるわけですね。そのことが5回目の訪問ぐらいにわかって,横浜市から派遣されているんだということになったときに,子どもが激怒して,父親とぶつかり合うようなケースがあったんです。最終的にはいろいろ修復したんですけれども,その中には,児玉が憎いとか,担当している指導主事にまで矛先が向いてくるような,そういう状況もありました。やはり,子どもたちに偽らない正直なかかわり方をするというのがベストだろうと思っていて,そんな意味で,今は必要に応じて勉強のほうもかかわっているということです。
それから,家族会とか民間についてなんですが,これはまだ4年目の話の中で,残念ながらそこまでの連携は取れていません。むしろ,こちらで行っている適応指導教室や相談指導学級の保護者会と連動させて,もう少し,我々のやっている組織の中での会の連携を充実させていこうというのが今の段階で,ただ,その中に,当然,保護者会などをするときには,各学校にも配りますので,いろいろな団体に所属されている方もお見えになりますので,今後,情報交換等をしていきたいと思っております。
○ | さすが横浜と思って,すごくうらやましい限りなんですけれども,所長さん,ちょっと関係するところもありますので,いわゆる常勤,正規職員の分け方を教えていただければと思うんですが。教育文化センターのところは指導主事まででよろしいんでしょうか。4人というところで。 |
【中村氏】 そうです。
○ | それから,その下の専任教員というのは,これは横浜市独自で適応指導教室に派遣しているということですか。 |
【中村氏】 県費職員です。
○ | 県費の職員を独自で派遣しているんですか。 |
【中村氏】 適応教室の専任ですね。これは県費職員ということで,適応指導教室ができた段階で配置された,県費職員です。で
すから,適応指導教室には,専任としてプラス1されています。○ | 全国にはそういう例が少ないんです。 それから,相談指導学級のほうですけれども,これは24というと。 |
【中村氏】 すべて嘱託です。
○ | ここには正規職員は。 |
【中村氏】 おりません。
○ | いないんですか。 |
【中村氏】 はい。教育総合相談センターで行っている事業は,13名以外は全員嘱託です。事業を展開しているほとんどの人たちは嘱託雇用ということで,私たちは事業を展開しております。
ですから,表の上から,所長,課長,相談係長,事務職員,専任相談員,指導主事,適応指導教室の専任教諭が正規の職員で,あとは全員嘱託です。
○ | これだけのスタッフを抱えるというのは,逆に言えば,人の確保が非常に難しくて,これだけの専門的な事業をするというのは,ものすごく経験も必要で,大丈夫なんでしょうか。集まってくるんでしょうか。 |
【中村氏】 人的な面では,1年じゅう,次をどうしようかと,私の頭の中に常にございます。それぐらい,カウンセラー1人,相談員1人については,非常に専門性が求められるだけに,私にとっては難しい課題です。
○ | そういう意味では,これだけの人員をそろえるという,定着の問題とか,人の確保というのはほんとうに大変じゃないかなと思ったんですけれども。 それと,ハートフルフレンドのほうでお聞きしたいんですが,例えば,訪問相談というのはいろいろな問題があって非常に難しいというのが現状だと思うんですが,事前,また開始前,それから,期間中に研修を行うという形でやっていますが,何日ぐらい,どんな内容の研修を行っているのかお教えいただければと思います。 |
【児玉氏】 まず,直接訪問をする学生さんには,インテークということで,訪問する前に一度,保護者と訪問指導員の先生と事務局と学生さんと打ち合わせをしています。その中で,初めに流れとしては,訪問指導員の先生方に保護者と面接をしてもらって,そこでいろいろな家庭の問題とか,子どもの生育歴とか,いろいろな課題を,学生には知られたくないような部分も含めてお話があります。これを30分から40分,時間を取っていまして,その後,学生さんも入って,子どもの様子とか,子どもへのかかわり方の部分をお話をしていただきます。その後,保護者にお帰りいただいた後に,事前の保護者面接の内容を踏まえて,具体的な学生さんの訪問へのアドバイスを指導員の方からいただくということで,これはかなり具体的な接し方を助言しますので,効果を上げているかなと思います。
全体としては,今年から特に,一番最初に登録をする際に,オリエンテーションに参加してもらうことを義務付けていまして,これは昼とか,夜,土曜日,3回,学生さんの来れるときに,1回は必ず来て,細かいアドバイスを受けています。ここで先ほどの家庭訪問の考え方とか,訪問のいろいろな心得とかを全体指導したり,ハートフルフレンドの先輩がいますので,その方たちから具体的な訪問をしたときの経験談を話をしたりというのがあります。
あとは,年間4回ですが,ハートフルフレンド同士が夜集まって,情報交換する機会,それから,昨年は予算があったので,3回にわたって,指導員の先生方も交えた研修会をしたんですが,今年は終了に向けた2月だけ1回,研修をしようということで考えています。
○ | 後に協議をしますので,お2人には,まだずっと終わりまで御出席いただけるんですね。 大幅に予定の時間が食い込んでおりますので,私のほうから1つだけ,恐縮ですが,所長さんにお伺いしたいのは,さっき御配付いただきました,平成14年度の御案内の資料の中の,6ページの8の(3)の,主な相談項目という表がございますが,この一番上のところで,相談内容の不登校に関する内容が,12年度から13年度に関して,相談項目としては減少しています。このことはお立場から考えて,横浜市としては,この問題を克服傾向を示すものだというふうな解釈が成立するのか,しないのかというのが1つお伺いしたいことと,それから,この件数の減少ということと,この問題の解決についてのヒントみたいなことが,もし,おありならば教えていただきたいと思うんですが,お願いいたします。 |
【中村氏】 お答えになるかどうかわかりませんが,先ほど申しましたように,これは区のほうで相談を受けている件数でございまして,区で受けている相談と,学校を巡回しての相談がございます。これもどちらも減少傾向にあるんですが,横浜の場合には今年度から全校にスクールカウンセラーが配置されてきております。昨年もスクールカウンセラーが55校ほど配置をされていますので,そういう効果が少しずつ出てきたのかなと感じております。
というのは,教育総合相談センターを立ち上げたときに,各区に臨床心理士を配置したのですが,最初はなかなか学校も市民もうまく利用できなかったのです。ところが,この事業を進める中で,心理の専門家というのは相談に乗ってくれて,自分たちのことを受けとめてくれるというのが,横浜市全体の中に大分定着をしてまいりました。
教育総合相談センターでの相談件数には,スクールカウンセラーが受けている件数は入っておりません。スクールカウンセラーに徐々に相談が増えてきているということは,13年度のスクールカウンセラーを所管しているのが横浜市では指導第1課ですが,そちらのほうの報告でも受けております。したがいまして,トータルでは件数は同じか,かえって増えているのではないかと思います。教育総合相談センターの相談に限れば,多少,減っているというのは,そういうことかなと私は考えております。
今,横浜は中学校が145校あるのですが,今年度から145校で,スクールカウンセラーが配置され,そちらへの相談が大変多くなっております。14年度の教育総合相談センターの最終的な相談件数は,また多少減るのではないかと私は思っております。その分,スクールカウンセラーの相談が間違いなく増えているという現状を,9月の段階で聞いております。今後,小学校の相談をどうするかが課題でございます。
○ | ありがとうございました。 まだ御質問をお持ちの方が表情からもうかがえるのですが,協議の中で,ぜひまたお出しをいただきまして,協議を深めたいと思います。 ありがとうございました。 では,ここで協議に移る前に,事務局から本日の資料等についての確認,及び説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
● | それでは,事務局から資料の確認,並びに簡単な御説明をさせていただきたいと存じます。 お手元の資料1番が議事次第となっておりますけれども,こちらに配付資料の1番から13まで項目が列挙されてございますので,それぞれ御確認をいただければと思います。欠けているもの等ございましたら,事務局のほうにお申し付けいただければと思います。 また,こちらの資料番号を付していないものといたしましては,論点メモというものがございます。そのほか,全体の一番後ろのほうでございますけれども,下のほうに,前回,委員から御紹介がございました,埼玉県及び市川市の特色ある相談事業に関する概要をまとめた資料を入れております。 また,同じく,相馬委員から,本日の適応指導教室に関する御議論の参考に供するものとして,モデルプランに関する1枚の資料をいただいております。 また,本日御欠席の菅原委員からの提供資料といたしまして,大阪の松原市の適応指導教室に関する現状課題,さらにパンフレットというものを末尾に付けさせていただいておるところでございます。 このほか,毎回同様,従来の会議配付資料をとじたファイルを席上,置かせていただいております。 それでは,簡単に私のほうから,事務局からの資料の3番から12番に関しまして,一通り御紹介したいと思います。 まず,資料3番に関しましては,適応指導教室はどういうものかということに関する,ごくごく簡単な趣旨,施設,活動内容等を1枚にまとめた資料でございます。ご覧おきいただければと思います。 資料4でございますが,これは適応指導教室の設置状況に関するデータで,第1回の基礎資料のほうにも大方のデータは入れてございますので,詳細は割愛させていただきますが,今日新たに御紹介しております資料としましては,この中の3ページ目に,都道府県別の設置率と,市町村がどれだけ設置しているかというデータがございます。全体として約3割弱ということで,都道府県によりましては一番低いところが3%,一番高い県では87%と,かなり,都道府県によるばらつきが出ておるというようなデータでございます。 資料の5でございますが,適応指導教室に関連する国の施策ということでございますが,平成11年度から従来実施しておりますSSPと呼ばれる事業の概要をまとめたものでございます。また,後ろのほうには,このSSPの対象施設となっております施設の,この中には民間施設も若干含まれてございますけれども,そういった施設の利用者数,指導体制等のデータを参考に付しているところでございます。御紹介ありました名古屋,あるいは横浜とはまた別に,全国的にかなりいろいろな規模等のばらつきがあるということがうかがえるのではないかと思います。 また,同じくこの資料のつづりの最後に,平成15年度要求のSSNに関する概要資料を添付しております。 続いて資料6でございますが,こちらは毎回,会議で折にふれて御紹介させていただいております,副主査におまとめいただいた不登校生徒の追跡調査のうちの関係する部分を抜粋しております。利用者,不登校の経験者のほうから見た,いろいろな施設に関する評価ということで,適応指導教室に関しましては,様々な関係機関の中でも比較的高い評価を得られているというデータでございます。 続いて資料7でございますが,これは先ほど,SSPの事業報告書等に基づきまして,適応指導教室に関する課題の例というものを幾つかまとめたものでございます。スタッフに関するもの,学校,保護者,関係機関との連携に関するもの,あるいはめくっていただきまして,対象児童生徒そのものに関するもの,施設設備に関する課題,いろいろとあるところでございます。 一言申し添えさせていただきますと,先ほどの名古屋のお話がございましたように,神経症的な情緒不安タイプに限って運営されておるという施設がある一方で,様々な,多種多様なタイプの子どもを受け入れることによって,なかなか指導体制が整わずに機能を発揮できていないという例も報告としては挙がっているところでございます。 資料8でございますが,これは適応指導教室サイドから見た学校なり教育委員会に対する要望ということで,適応指導教室関係者からアンケート調査をした結果をまとめたものでございます。 続きまして,冊子が入ってございますが,先ほど大橋委員から御紹介がございました,科学研究費補助金に基づく,国立オリンピック記念青少年総合センターでとりまとめた資料の,こちらが本体でございますので,必要に応じてご覧おきいただければと思います。 続いて資料10でございますが,適応指導教室の取組事例ということで幾つか御紹介させていただいております。1ページ目に挙がっておりますのが,対象児童生徒の受け入れに当たってのアセスメント,こういったものを非常にきめ細かくやっている事例といたしまして,静岡市教育委員会のチームカウンセリング事例というものです。 続いて2ページ目でございますが,様々な不登校のタイプに応じた複数の教室を設けている例といたしまして,福島県郡山市。いろいろな心理的要因に基づく不登校タイプの受け皿として,ふれあい学級,さらに性行不良で,いわゆる非行傾向のある子どもの受け入れの学級として,すこやか学級,さらに,引きこもりがちの児童生徒を対象に体験活動を実施する,ニューフロンティアスクール,そういった複数の教室を設けている事例を御紹介している資料でございます。 次,4ページ目でございますが,これは不登校対策のいわば中核的な,センター的な機能を県立の施設が担っている事例としまして,兵庫県の但馬やまびこの郷という施設の事例をここに掲げております。 続いて5ページ目は,訪問相談,こういったものに力を入れている事例といたしまして,仙台市教育委員会の児遊の杜という施設の紹介をしております。 最後の事例といたしまして,次の6ページ目に,これは適応指導教室そのものではございませんけれども,適応指導教室の従来の実績を踏まえて,いわばそれと併設する形で学校の分教室というものを設置しておるという事例で,これにつきましては,国の学習指導要領の例外を認められ,研究開発学校制度の適用を受けているという大牟田市の事例でございます。したがいまして,適応指導教室との比較の上では,比較的,学習支援,学習指導というものにかなり力点が置かれている体制をとっているということで,通常の適応指導教室と正規の学校の,いわば中間的な役割,機能を担っている事例と言えようかと存じます。 続きまして資料11でございますが,これは訪問指導に関しまして,都道府県,市町村が実施している事業の実施状況について,私どもで調査をさせていただいたものを簡単にとりまとめたものでございます。ここにございますとおり,都道府県独自,あるいは市町村独自にやっている事例というものも相当程度見られるというようなことがございます。全般的な実施状況といたしましては,ここにございますような指導員,あるいは対象者数によって実施されておると。対象者1人当たり,平均いたしますと,13回程度行っているというようなデータが出ております。また,一番下に成果とございますが,私どもがかねて御紹介しております,いろいろな学校復帰への改善状況のデータと比較いたしましても,こういった訪問指導にかかる,登校ないし社会復帰等の成果というものは,数字の上でも比較的高い数字が出ているということであります。 めくっていただきますと,2枚目の2ページ目につきましては,これは訪問指導の関係事業の160事業を抽出したものについて整理したものということでございます。比較的,内容的には,学習支援のほうよりは教育相談が中心という運用がなされているということがございます。 さらに,先ほどお話がありました,研修の有無,あるいはマニュアルの有無等についてのデータもございますが,1点修正をさせていただきますが,研修の有無というところがございますけれども,「あり」の割合が66.9%,「研修がなし」というほうが33.1%というのが正しい数字でございますので,恐縮でございますが,御訂正申し上げます。 また,この表の一番下には指導員がございますが,退職教員の方を中心に運営されている事業というものが多くを占めているということでございます。 最後に,資料12でございますが,自治体の訪問指導関連の取組の事例ということでございます。最初の1ページ目にございますのは,訪問指導員用のマニュアル等を作成しておるということで,三重県伊勢市,岡山県総社市の事例を掲げております。 めくっていただきまして2ページ目ですと,こちらは大学生ではなく,専門的人材,そういったカウンセラーを活用している,県レベルでの事業として宮城県の事業を事例として掲げております。また,2ページ目の下半分には,どういう子どもに対して訪問指導を行うかという,その辺の選定というものについてきめ細かい工夫をしている事例としまして,埼玉県志木市の事例というものを紹介させていただいております。 さらに3ページ目は,これは教育委員会以外にも,かなり福祉部局サイドでの訪問指導の展開が見られるところでございますが,厚生労働省が都道府県に対する補助事業として実施されております,メンタルフレンド訪問援助事業というものについての概略を御紹介する資料でございます。 その他,関係資料を添付いたしておりますので,御参照いただければと存じます。 事務局のほうからは以上でございます。 |
○ | ありがとうございました。 ただいまの御説明に質問ございましょうか。 では,これまでの御説明を踏まえまして,学校外における対応について,もう既に先ほど,御質問等の中で内容に触れていただいているわけでありますけれども,さらに御意見をいただきたいと思います。 そこで,今日御配付いただいております協議の論点メモをちょっとご覧いただきたいと思いますが,本日のテーマからの論点をここに整理してあるわけでございますが,まず最初に,適応指導教室に関連しまして協議を深めたいと思います。 本日の御発表は,それぞれ非常に内容があるものですから,御質問についても少し,内容に触れるような御質問をいただきまして,予定の時間から少し押していまして,本日の予定から言いますと,およそ1時間ぐらいでしょうか。その前半を適応指導教室の現状と今後の課題について協議を深めたい。それから,後半,今度は訪問指導の現状と今後の課題について,このメモに示されているような内容について話し合いを深めていきたいと思っております。また,このほか,学校外における公的支援の在り方全般についても,後半で御議論いただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。 御質問も含めて,どうぞ,御発言をお願いいたします。 |
○ | 後半のほうにかかわることですが,よろしいですか。 |
○ | そうですか。じゃあ,後半のところでよろしくお願いします。 前半の適応指導教室に関連しまして,どうぞ。 |
○ | 3点ほどお願いをしたいと思います。 また,本日,文科省から配付いただきました資料ナンバー3,そこに適応指導教室とはということで,適応指導教室の概念規定があるわけでございますが,実は,ここ10年間,不登校児童生徒の増加の背景というのは,特に中学校において半数近くが遊び,非行,または無気力が増加しているという部分にあるわけでございますが,実質的に適応指導教室で対応している対象となる子どもたちは,心因的な,情緒的なと言いますか,そういう対象の子どもさんが中心になるわけでございます。したがいまして,これは実態論から,だからということではないんですけれども,この適応指導教室についての概念規定がこのままでいいのかどうかという部分もどこかで御審議をいただければありがたいかなと,そんなふうに思うのがまず1点でございます。 そして,適応指導教室で対応する心因的なお子さん方というふうに,ある部分での特化した上で,ぜひ,専任の,いわゆる分教室ということではなくて,それぞれの市町村の適応指導教室における専任でしょうか,いわゆる標準法に基づく専任の配置をぜひ御検討いただけたらありがたいかなと,そんなふうに思うわけですが,そういった方向についての可能性などはいかがなものでしょうか。 そして,3点目としまして,全適連等の団体があるということを,先ほどの大橋委員さんの御発表の中で伺ったわけなんですが,どうしても市町村における適応指導教室というのは専任がいないまま,非常勤の先生方が御自分の経験に基づいて,いわゆるカリキュラムを工夫をしながらつくっていると。もう少し,その辺が全体的に復帰を目指したカリキュラムといいますか,科学的なといいますか,整合性といいますか,そういったものが何かどこかでできないものなのかなと,そんなふうに思っているわけでございますが,以上3点でございます。よろしくお願いいたします。 |
○ | 申し遅れましたが,今日は小田主任視学官にも御出席いただいておりますので,どうぞ自由に会議の中に加わっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 今の御要望については,事務局のほうから何か御発言ありますでしょうか。 |
○ | ただいまのことに関連しますので,質問を続けさせていただきまして,事務局の方の御意見,あるいは小田視学官のほうからもお答えいただければと思うんですが,先ほども出ておりましたが,やはり適応指導教室そのものの問題がございますが,これは日本社会全体の問題にもかかわる大きな問題を含んでいると思うんです。 と申しますのは,日本社会全体が,ある意味では労働力の流動化が非常に起こっておりまして,これは各分野で,単純労働といいますか,研修が非常に短期間で可能な職種といいますか,こういうものではすぐさま対応できるんでございますが,日本社会全体の中に,そうしますと,ある意味で技術,様々な能力というもののストックというものが非常に薄くなってまいります。そういう部分が非常に懸念されるんですが,この適応指導教室体制を見ておりましても,そういうものの配慮といいますか,それが今の現状では非常勤が非常に多い。あるいは,嘱託にしましても,退職教員でありますので,多く聞いておりますので,そういう技術,あるいは資質,能力そのもののストック体制というものが非常に欠けてくるきらいがないわけではない。そういうことが懸念されると思う。 ある意味では,そういうものと同時にそれをカバーする予算的な措置も,単独事業予算というものではなくて,様々な国の事業予算を借りながらといいますか,それを使いながらやっていると。そうすると,その事業予算が打ち切られると,途端にそういうものの人材のところへすぐさま波及するという,こういうシステムができ上がってしまっている。こういう非常に厄介な問題を抱えております。 問題点は,いかに人材を探すかという,人材確保の面に今は向いておりますけれども,むしろ,それを受けて,あるいは対応する側の,こちら側の用意するべき方法というのはやっぱりあるのではないかという具合に考えますが,しかし,今の財源の状況,国の全体の状況の中で,それはあえて言うのは非常に困難な時代ではございますけれども,その辺の見通し,あるいは,そういうものへの目配りをどういう具合に行っていくかというのは非常に大きな課題だと思うんですが,この辺も含めて御回答いただければと思っております。 |
○ | 非常に難しい問題が提出されまして,1つは人材確保の問題がありますし,資質,能力のストック体制をどう確立するかという問題がありますし,これをカバーする,これは国だけではありませんで,都道府県,市町村においても,予算体制を常に視野に入れて,どういうふうに組んでいくかという課題ということにも通じるわけでありますが,とりあえずは全体的なお立場からお話しいただけますでしょうか。 |
● | 予算的な,事務的な御質問かと思いますので,私のほうからお答えをいたします。 最初に御指摘のあった話なんですけれども,適応指導教室のそもそもの概念整理といいましょうか,定義として不登校児童生徒の様子を踏まえた,実態に即した定義があるべきではないかという御指摘はもっともだと思います。どういうところに対応の不備といいましょうか,不十分な点があらわれているかということでは,先ほど,大橋委員から御指摘があったとおりで,非常に職員が少なくて,心理相談とか,そういった形の体制がとれていないということが大きな問題になっている。全く同じ問題認識でございます。 それと,残念ながら,不登校児童生徒が非常にたくさんいて,十分なケアができていない中で,資料の4にありますように,適応指導教室で一生懸命子どもたちのケアというのをやっていただいておる。その利用率というものも,パーセンテージを見ていただきますと増えてはいるんですけれども,全体の中の10.5%の子どもたちのケアにとどまっているということは,結局,大橋委員からの御指摘にもありましたけれども,多くの家庭で悩んでいる保護者の方もいるということで,適応指導教室の問題にとどまらず,専門的な相談の体制をどうやって整えていくのかということが大きな問題になっているのだろうと思います。 御案内のとおり,そういったところの相談体制をどういうふうに充実させるかということにつきましては,施策として先行しておりますのは,学校の中での相談体制をどうやって充実させるかということで,平成7年度以来,スクールカウンセラーの配置というものを,これを最優先課題でやっている最中でございます。平成17年度に,3クラス以上の全中学校をカバーできるように,1万校以上ございますけれども,そういったことを今,施策の最重点課題としているということではございますけれども,同時に,先ほど,時間をあまり取らないために説明は事務局としてははしょりましたけれども,適応指導教室関係の相談体制をどうやって充実させるかと。今,申し上げましたような課題にどうやってこたえていくかということで,資料5の後段に付けてございますけれども,928あります,そのうちの大体3分の2ぐらいの適応指導教室を中心に相談体制を整えるということにとどまらず,そこを起点にしながら,どうやってネットワーク体制をとっていくのかということで,スクーリングサポートネットワーク整備事業といった形で,適応指導教室を核にしながら,どうやって戦力補強をしていくのか,相談体制をどうやって充実をしていくのかといったようなことを問題意識として持って,今,概算要求をしているところでございます。 ただ,内輪の事情を申し上げますと,財政当局から言わせると,この目指すことは理解ができるけれども,これはすべて国の役割なのかと。どこも財布の事情が厳しいものですから,非常にしっかりとした体制をとっていただいている名古屋市とか横浜市でさえ,非常に厳しい財政状況にあるということで,国を挙げてみんな苦しい,地方も苦しいわけですけれども,これをすべて国で請け負うということは,とても無理ではないかということで,今,まさに厳しい折衝をやっている最中でございます。 何とかこういった形での体制を整えなければいけないといったときに,例えば,スクールカウンセラーの方々には,今,学校を中心に相談体制をとっていただいているんですけれども,学校を拠点としながらも,例えば訪問指導をやるとき,あるいは保護者の相談をやるとき,そういったときに,自分の派遣された学校に所属する生徒といったことにとどまらず,適応指導教室のところを,連携協力する業務のエリアとして,こういったネットワークの考え方で相談体制をカバーするエリアを広げていくことはできないか。あるいは,例えばボランティアの方々,NPOの方々との連携ですとか,そういったこともしっかり視野に入れて組んでいくべきではないかといたような形で,目指す方向は同じでございます。そういったところで力を入れていくべきではないかという問題意識で現在取り組んでいるところでございます。 お二方から御指摘がありましたけれども,適応指導教室に専任の形できちんとした定数の措置ができないのかということにつきましては,今,ちょうど時期としては定数改善の計画のただ中にありますので,率直に申し上げまして,ただちの対応は極めて難しいだろうと思います。非常に厳しい状況でございまして,その義務教育の国庫負担制度自体が根幹から今,揺さぶりをかけられているという非常に厳しい状況にあるので,率直に申し上げまして,私が担当課長ではございませんが,担当課長の気持ちを代弁すると,おいそれとできる状態じゃないということかと思います。 その中で,我々のとり得るべき手段というのは,スクーリングサポートネットワークにあるような形で,これまである程度,既定路線の中で相談体制を充実するということについて,自分たちが橋頭堡を築き上げることができている世界,ここを拠点にして,なるべくそのエリアを広げるといった形で相談体制を強化するといった形で取り組みたいというのが正直なところでございます。 御指摘に答えていることになるのかどうかわかりませんが,大体,今,そういう状況でございます。 |
○ | すみません,ちょっと補足させていただきますが,私,専任の職員の確保という方向を考えているわけではなくて,今の財源状況の中では,スタッフの資質,能力の継続性,そして,その能力のストックというのをいかに図るかという,この工夫を今の現状の中でやるべきだろうと考えております。 |
● | 申し訳ありませんでした。ちょっと御説明をし漏らしましたけれども,先ほど申し上げましたような相談体制の強化の中で,例えて言いますと,スクールカウンセラーの配置が平成7年度から始まっているわけですけれども,先ほども横浜市の中村所長さんのほうから御指摘がございましたけれども,最初は保護者の方も相談の仕方がわからない,学校の先生もわからないと。スクールカウンセラーの方も学校に行くのは初めてというところから始まったわけですが,現在,約4,500校ぐらいが派遣校になっているかと思いますけれども,毎年毎年,これは先ほど申し上げましたように,派遣校数を増やしております。当然のことながら,そこで一つ一つの学校を見ますと,初めてスクールカウンセラーに来てもらう学校というのがだんだん増えてくるわけです。初めてスクールカウンセラーとチームプレーを組むという学校が増えるわけですから,当然,スクールカウンセラーの側にも,学校の側にも,どうやってチームプレーを組めばいいのかということが初めての経験ということになるわけでございます。 それで,今,スクールカウンセラーの方々,学校の方々に対しても,要するに,うまいチームプレーの組み方ということが課題になるであろうということで,先ほど申し上げました,スクーリングサポートネットワーク整備事業の中で,スタッフ,教職員の側も,専門家の相談体制を請け負ってくださる側も,その辺の相手をよく知る。どうやってチームプレーを組めばいいのかということについて研修の体制を整えていきたいと思っております。 そういう体制を組む中で,今,恐らく副主査がおっしゃっているような御指摘にこたえられるような,要するに専門的な人材の有効な活用の基盤というものがだんだんでき上がってくるのではないかと思っております。 |
○ | ありがとうございました。 先ほど,中村所長さんが,1年の初めからもう人材をどう確保するかということで頭が痛いというようなお話がございましたが,それは単なる人材確保にとどまらなくて,実は,背中合わせに資質,能力のストック体制をどう確立するかということの課題がおありなんだと思うんです。これは,ひとり国だけの問題ではありませんで,それぞれ都道府県,市町村,それから各学校も,そうした課題を共有することが重要であるということが,今日,このテーブルの上で確認されたのは,今日の話し合いの1つの意義だったのかなと思います。 |
○ | ちょっと御提案させていただきたいんですけれども,実は,学校教育相談の実技研修会というのがございまして,これは全教連が主催で,私どもは事務局をここ3年,ずっと続けてやらせていただいておるんですが,いらっしゃる方の中に,適応指導教室の先生方が非常に多いんです。ところが,毎年,ほとんど入れかわっております。これが初任者研修になってしまっている感じがするんです。これは非常にもったないなということがまず1つです。 それから,いらっしゃる方皆さん,「私は多分,来年は来られないでしょう」というような言い方をするんです。これも非常にもったいないと。個人でお金を出してもいいから参加をしたいという人がたくさんいらっしゃるんです。先ほど,ボランティアの方で,個人で指導をしてもいいからというお話もありましたけれども,全く同じように,公的な機関の方でも,とにかく自分で研修費を払ってもいいから研修を続けて,自分をスキルアップしたいという方は実はたくさんいらっしゃると思うんです。そういう方々を何とかいい方向に持っていけば,人材を確保するということ,研修の体制をつくるということが可能ではないかなと思いまして,発言しました。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | 先ほどの課長の説明に若干矛盾するような質問になってしまうのかなという気はするんですが,カウンセラー等の配置をされて,フォローはしていくというようなところで,実際に私が知人から相談を受けた内容としては,カウンセラーが学校に来るので,学校に来て相談に乗ってもらいたいというふうに,直接,親に先生のほうから説明があったわけなんですが,その際に,子どもさんも連れてきていただきたいというふうにお願いを受けたわけですが,その親が言うのには,学校に行きたくない子どもを,なぜ学校へ連れてこいと言うのかということが,大変疑問視されるというような質問を受けたんです。 そういった点を考えると,先ほどの御説明の中に,適応指導教室自体を学校の空き施設を利用して配置するといったような考え方自体も,どちらかというと子どもたちにとってみればすごく抵抗感を感じるものではないんだろうかということで,ちょっと疑問を感じたので,その辺の感じ方について,ちょっと教えていただきたいと思います。どういう説明でそういう場を設けたほうがいいというのか,もっと中間的な場所を活用できないものなのかなというのが,1つの疑問です。 それと,もう1つ,ちょっと今回の話と直接的に関係はないのですが,根幹にかかわる部分であると思うので,あえて今回質問させていただきたいんですが,結局,そういった親御さんたちの質問の視点というのは,学校,並びに教員に対する根強い不信感というのが原因になって,子どもが不登校になっているだろうと考えている親御さんが非常に多いんです。そういった意味におけると,例えて言えば,担任教師が1人,年度当初に担任についてしまうと,1年間変えることはできないわけですね。基本的に,今の制度上でいけば。それを変更するためのシステムが基本的に機能しているというふうには感じられないし,あるようにも思えないというのが,親から出てくる意見の多くなわけです。 ですから,せっかくこういった全国規模の会議でございますので,そういったものも視野に入れて会議の土俵に乗せていただければありがたいなと感じましたので,御意見を言わせていただきました。 |
○ | 前半の問題は物理的な問題で,先ほど空き教室利用ということに関連して御質問がなされたけれども,恐らく,空き教室利用ではなくて,適応教室がもう少し物理的に望ましい方向にあれば,それが望ましいけれども,ベターな方向として,つまり,この適応教室を広げていくという観点から立つと,そういうこともあるんじゃないかという御発言だったのかなと思われますが,今の御質問について何かお考えがおありならお出しいただきたい。 それから,後半の学校,教員に対する根強い不信感があって,それについての対応がどうなのかということについては,先ほど,大橋委員さんのほうからも御説明の中で,名古屋市の場合,適応教室では,休みながら,その中で子どもたちが成長していくということも重視して対応されているということは,学校の中では十分,そういうことの理解ができていない面があるということの御指摘なのかなと思うんですが,これについては,もしできれば,学校関係ということで,関係の委員から,後半で何かお考えがあればお出しいただければと思います。 お願いいたします。 |
○ | ありがとうございます。 私が質問させていただきましたのは,いわゆるこの場で論じられているような適応指導教室,学校外に施設を設けるべきなのかなと,ふだん,そんなふうに思っております。 その上で,学校外のそういった施設での子どもたちの生活について,その子どもたちを送り出している学校の先生方と適応指導教室の方々との密な連絡,またはいろいろな情報交換,そういった部分を,その学校の中で専任でやれる方,または,そういう方が活動できる場といいますか,そういったもの,そういう意味での学校に置く校内の適応指導教室,従来の学校外の適応指導教室に通っていたお子さん方が学校に戻るときに,適応指導教室の先生方と,ほんとうに戻れる状況なのかどうなのか,即教室に行ける状況なのかどうなのかとか,そういった部分も含めて,しばらく校内で活動できるような,そういう中間的な場が必要ではなかろうかと,そんなふうに私は思ったものですから,確認をさせていただいたということです。うまく表現できませんでしたが。 |
○ | 関連してですが,出されている資料5の中にも,適応指導教室はほとんど学校内には設置されていないのが現状です。教育センター,公民館とか,様々なところにあって,学校内に置いているのは6.1%の現状です。多くはそういう現状であります。各市町村が,また,県が非常に工夫しながら行っているのが現状だと思います。 そういった意味で,私は,適応指導教室が,やはり現状の課題についてきちんと正対していくならば,やはり若い人たちに適応指導教室できちんと働いていただかなければいけないんじゃないかと思います。先ほどの意見と全く同じ意見でございます。そういったような形で,今だからこそ,この厳しい世の中だからこそ,そこでやはりきちんと働いていただく。そしてまた,そういうパワーを今,一番必要としているのが,この適応指導教室ではないかなと思っております。 ぜひ,定数の問題ということについては,いろいろな状況があると思いますけれども,やはり肉を付けていただきまして,きちんと血を流していただければ,ほんとうにこれが生きるんじゃないかなという気がしてなりません。 |
○ | ありがとうございました。 今,人の問題と,それから,条件整備の面でもやはりきめ細かい,一人一人の子どもの立場に立って,どういうことが望ましいのかということで考えるべきじゃないかという御発言というふうに承りました。 学校としてのお立場から,何かお考えがあればいかがでしょうか。何かお考えがございましたらお願いいたします。 |
○ | 何か,いつもこういうときになると,学校への不信感が基本にあると。どうもつらいところなんですけれども,今日の論議の中で,それとしてきちんとシステムの問題として,どこが現状を踏まえて変更可能なのかの問題をきちんと論議しなければいけないと思います。 ただし,今日の話の中で,名古屋の適応指導教室のときに,実際,登校拒否の子どもは1,800ですね。不登校の子が増えてきていますね。この中で,いろいろ,名古屋では対応を打っているにもかかわらず増えていると。そして,行っている子が10%。ここですと204人ですからもう少しですけれども。そのほかの子はどうしているのかなというところなんですね。 そうすると,結局,結論としまして,あそこにも通っています,あそこにも通っています,あとは学校が対応していますということなんです。そこに一番の問題があると思うんです。結局,各論だけでこうしよう,こうしようと言うんじゃなくて,もっと論点をきちんと全体の対応を統括する組織の充実の問題を,こういうところを論じないと,各論のところばかり幾ら,ここをこう充実している,ここを充実していると,それは大事なんですけど,そこにかかっている,しかも今,私たちが論議している最初の起点で13万9千ですね。この子たち,多分,適応指導教室に通っている子というのは,13万9千の中に入っていないんですよね。多分,適応指導教室の中には,出席扱いをしている子もいますから,全部は入っていないんです,これ。かなりの部分は,出席扱いされている子だと思います。 したがって,13万9千だということの論議の話とまた別の論議が今,進んでいるんじゃないかと思うんです。この名古屋でも,12年度に1,547人が,13年度に1,800人になったと。そして,実際に適応指導教室に行っているのは,前と同じぐらいだと。あとの子はどうしたんですか。あとのところが非常に増えてきているんですね。ここのところが論議の問題だと思うんです。ここのところが,学校の先生の不信感だとか,そういう話になっちゃうと,ちょっと対応がずれちゃうんじゃないかと思うんです。 ちょっと話がずれましたけれども。 |
○ | 大橋委員さんの説明にも触れて,今,お話を出されましたが,整理をさせていただきますと,我々のこの協力者会議は,不登校の問題全体を協議しているわけでありまして,1回目から,まずは学校の抱えている問題,それから,今日につきましては,適応教室と訪問指導に関連して絞って論議をしていき,さらに次回以降も論議を深めていきまして,まず全体としては,今,挙げていただきました数字に対する対応についての我々協力者会議としての見解を提出していくと。しかしながら,学校外での,数字の上ではともかくとしまして,様々な統計的な処理がございましょうから,ありますけれども,不登校,あるいは子どもたちが一人一人抱えている問題にどうアプローチしていくかということがトータルでは出されていくと,こういうふうな整理の仕方で我々の協議は進んでいるんだと思います。 今日につきましては,適応教室に関連して,大体予定した時間がもう来てしまいましたが,これから今度は訪問指導についてできれば話し合いを深めたいと思いますが,その中で,また全体にかかわる問題についても触れるところは出していくということで進めたいと思っております。その次に,進める前の段階で,事務局のほうからお話がありましたら,どうぞお願いいたします。 |
● | ただいま,統計調査に関する御指摘もございましたので,正確を期すため,若干,私のほうから補足させていただきますと,関連します,今,出席扱いのお話もございましたが,第1回の基礎資料の20ページにございますけれども,実際の各機関で指導,治療を受けた人数,あるいは出席扱いした人数等の整理した表がございますが,これにつきまして,不登校の児童生徒の中で,各機関の指導,治療を受けた人数はどれだけか。さらにそのうち,指導要録上出席扱いをしたのはどれだけかというような整理になっております。 つまり,実際に不登校かどうかを学校基本調査,あるいは問題行動等調査で把握する際には,実際に欠席が30日以上ということでございまして,さらに欠席したものを出席扱いにするかどうかというのは,その次のお話でございます。学校基本調査では,出席扱いの日数については,欠席日数に含めて長期欠席者を把握することになっています。そういった意味では,適応指導教室で指導を受けている子どもたちというのは,不登校全体の中の,基本的には内数になってくる。そのうちに含まれてくる数字であるということは御理解いただければと存じますので,よろしくお願いいたします。 |
○ | 横浜のすばらしい実践発表をいただきまして,理想的な形かなと感激いたしておりますが,実は,適応指導教室の指導,これの教育文化センターでやっているというような内容でございますが,適応指導教室の数がここに出てきていないので,どのぐらいあるのかということと,それから,適応指導教室同士の連携というのはあるのかどうか。 これは,実は,私どもは,今,学校に行けなくなった子どもたち,トータルで何千人という子どもたちとかかわってきたんですが,適応指導教室に行くということは,私が学校に行っていないというレッテルを貼って,そして行くということをみんなに見せつけることになる。つまり,自分のプライドが許さないんだと。したがって,地区にある,地域にある適応指導教室には行きたくないという子どもたちもたくさんいるわけです。そうすると,かなり遠くの,実際,私どものところでは片道2時間半ぐらいかけて来る子どもたちがいるんですが,全然,だれもが知らない適応指導教室に行くと行けるというような子どもたちもいたりするわけです。そうすると,適応指導教室間の連携というものがあったり,いろいろな情報交換をした中で,じゃあ,あなたはこちら,こちらというような指導もできるかなと。そうすると,もっと適応指導教室が利用される可能性が高まっていくんではないかということもございますので,その辺,ちょっとお聞かせいただければと思います。 |
○ | 申し訳ありませんが,時間が大分押しているので簡潔にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
【児玉氏】 褒められた後に,非常に痛いところを突かれたなと思っているんですが,実は,横浜市,適応指導教室は1つしかありません。先ほどの所長の話のように,そこから学校復帰をする子どもたちが約4分の2です。半分です。残りの4分の1が,相談指導学級という,学習のほうも含めて行うところに通っています。適応指導教室と相談指導学級の連携については,研修会を持ったり,つなぎとして適応指導教室から相談指導学級に行くときには,様々な指導資料とかを持って,こちらの指導主事や専任教諭が直接子どもを連れていって,保護者と一緒につないでいくと,そういう形をとって連携を図っています。
○ | 横浜市の教育委員会さんのほうにお聞きしたいんですが,ハートフルフレンド家庭訪問事業の資料の中にありました,7のその他の今後の課題のところにありますけれども,不登校予備軍の児童生徒へのかかわりというのが出ておりましたが,これは具体的に,ハートフルフレンド事業とのかかわりの中で,どういうことなのか,お知らせいただければと思いますが。 |
【児玉氏】 これに関しては,まだ来年度以降の課題ということで,具体的な活動はしていないんですけれども,やはり,先ほどの学校基本調査で言えば,保健室登校の子どもたちはその数には入らないわけです。ですから,その子たちが教室へ戻るために何らかの役割を,先ほどの登録している数から比べて,実際に訪問する数が少ないとすれば,その登録したボランティアを活用できないだろうかというところです。
現に東京都,その他で,実際に保健室へ派遣をしているという例があって,そちらでも経験のある学生が横浜の登録もしているものですから,その方たちの情報からすると,バックアップさえできれば可能なのではないかというふうな思いがしております。
○ | 先ほど,前半の部分で,スクールカウンセラーと適応のことで御質問がありましたので,1つだけ補っておきたいと思ったのですが,実際,学校に来ない不登校の子に接するのに,やはりスクールカウンセラーとしてもすごく矛盾を感じますし,無力感に陥ることもあります。会えない生徒も多いです。 そのときに,1つできる役割としては,専門機関につなぐということがあるんです。スクールカウンセラーが学校で会うんじゃなくて,例えば,私の場合だと,一緒に適応指導教室まで見学に行って,そこでその様子を見せるとか,体験通所するということもあるんですが,そういうつなぎ役としては,ある程度,機能できるかなというのと,実際,仲間と話してみても,その辺で随分,適応指導教室に通える生徒が増えたという報告もありますので,1点,それがあるかなということを補っておきます。 あと,今回はすごくすばらしいハートフルフレンドという制度のお話をお聞きしたいんですが,以前にも申し上げましたが,私は児童相談所が主にやっておりますメンタルフレンド,それから,教育委員会のほうでも随分なされておりますが,それの全国的な調査を粗くしたことがあるんですけれども,その中から見えてきたことを少しだけ御紹介させてもらいます。 成果は随分上がっておりまして,メンタルフレンドが行くことによって,子どもたちの内向性が改善されて,随分,人と付き合うというか,そういったことが改善されるという成果は上がっていますし,人間関係づくりという意味では,小さい1対1の関係から広げていくという効果は随分あるなと思います。 ただ,限界としては,メンタルフレンドに対する児相及び教育委員会からの指導として,友達づきあい,友達として接してくださいという指導が随分入ることが多くて,あまり専門的な治療とか,それ以上踏み込んだかかわりはなかなか難しい。これは多分,メンタルフレンドの力量としても,そこまで求めるのは大変なのかなと思います。ただ,今日お伺いしたような,バックアップ体制が随分ありますと,例えば,大学の先生がついてくださって,スーパービジョンを受けれるとか,そういった場合は,もうちょっと踏み込んだかかわりも可能になるのかなとは思いましたが,実際にそこまで求めるのは結構大変だということです。 というのは,メンタルフレンドの悩みを聞きますと,自分が知らない家庭に入っていくということについての悩みが随分出てきまして,家族からの相談が増える。お母さんがその子について相談したりとか,ほかの兄弟のことも相談を受けたりとか,そういった負担があったりとか,あるいは1人で行きますから,すごく1人で背負っているという,そういった負担感も随分あったりしますし,その辺でのメンタルフレンド自身のケアをしないといけない。 そういう意味で,今日の御報告では,そのあたりを随分と密にされているので,安心かなと思いましたが,今現在,行われているいろいろな制度の中では,そのあたりがまだまだ手薄な状態があったりとか,実際,家庭訪問をしながら,悩みながら,メンタルフレンドが随分しんどい思いを抱えてしまうというケースもありますので,そこを充実させるということが必要かなと。もし,それが充実させれれば,先ほどもありましたが,それによってのメンタルフレンド自身の成長というのも随分と見られますし,実際,それでカウンセラーになるといったこともありますから,そのことも含めてメンタルフレンドを派遣するとすれば,そのケアの部分も今後はしっかりとしていかないといけないなと思います。 あと,もう1点だけなんですが,適応指導教室のスタッフにボランティアを活用すると,ちょっと前後してしまってすみませんが,その次に,最近の試みとして,大学のほうで臨床心理士養成とか,いろいろなニーズが高まっておりまして,それを志す学生が増えておりまして,産学連携というか,大学と適応指導教室とかが手を組んで,インターンシップという形で実習を受けて,それを単位化するということも,実際には随分進んできているんじゃないかなと思いますので,そのあたりも今後,何らかの形で拡充できればいいんじゃないかなと思います。 急ぎ足ですみません。 |
○ | 関連して,あるいはその他,御発言ございましょうか。 |
【児玉氏】 先ほどの,まず,ハートフルフレンドのほうについては,ほんとうに学生さんのケアのほうが大事なんですね。学生にやはりきちんと指導員の方の指導とか,事務局がカバーをしないと,かかわり方は非常に薄くなります。
ですから,一番重視しているのは,報告書なんです。報告書を,事実関係ではなくて,どういうかかわりをして,どんな変化が見られたか,そこを重点に書いていただいています。そのことによって,かなり学生の抱えている課題とか,子どもが抱えている課題が見えるようになりますので,例えば,ファミコンのゲーム1つ,ゲーム内容が変わったことと,子どもの気持ちの変化みたいなことを指導員の先生からアドバイスを受けて,訪問を進めているというケースもあります。
それから,適応については,横浜でも実習を受け入れ始めたんですけれども,やはり,大学院の方々が実習に来ていただくと,非常にほかのボランティアに比べても,目的意識もはっきりしていますし,子どもとのかかわりにも大きな成果を上げて,それぞれにメリットがあるという状況が今,あります。
○ | ほかにいかがでしょうか。 |
○ | 先ほどから話が出ている,ハートフルフレンドの家庭訪問事業についても,まさに研修をきめ細かくやっていかなければ,なかなか成果が上がらない。また,適応指導教室,先ほど出たように,研修会をやっても,常に新しい人が,これが最後ですみたいな形で来てしまう。 そういった意味では,多くの問題を克服するためにも,やはり私は,今,進めているもう1本の柱であるスクーリングサポートネットワーク整備事業,これは非常に価値はあると思います。つまり,いわゆる研修体系とか,いろいろなところでの実践を,やはりきちんと出していく。例えば,横浜はこういうような形でやっていて,こういうような成果があると。松原市ではこういうような形で,こういう成果がある。それがいろいろな市町村にも還元するし,また,いろいろな都道府県にも還元する。そういうネットワーク事業としては,これは非常に成果がある事業ではないかと思っております。 そういった意味で,ちょっと関連するところとしては,さわやか相談員活動とか,ライフカウンセラーの事業とか,資料を用意していただきましたので,そういうところも埼玉県や市川市あたりで独自の事業としてやられていると。そういったこともぜひ念頭に入れていただきながら,いろいろなところがそれぞれ横の連絡をつくりながらやっていかなければいけないし,とりわけメンタルフレンド事業等は厚生省管轄の事業ですが,それを一緒に連携してつくっていく。そういうような体制なんかもやはり必要ではないかと思います。 厳しい予算というのは重々承知なんですけれども,そういう意味では,不登校関係,まだまだ効果的な予算の使い方というのはできるんじゃないかなということを思っております。 |
○ | 関連しての御発言,あるいは先ほどもちょっと申し上げましたけれども,学校外における公的支援の在り方の全般についてでも,お考えがございましたら御発言いただければと思いますけれども,いかがでしょうか。 |
○ | 学校外ということじゃないんですけれども,研修のことが大分出ておりますけれども,私も全くそのとおりだと思うんです。特に,教員の研修については,さっきもきついことをおっしゃられましたけれども,不登校の子どもを抱えている教員が必ず教育相談研修会に行くというようなことはないんです。先生がおっしゃるように,毎年,初任研の中に含まれているというようなことが多いんじゃないかなと思うんです。 前々回だったでしょうか,鳥取の先生だったでしょうか,大学で勉強するんだというふうなことをやっていらっしゃる県もあるとか,それから,もちろんそういう研修会に進んで出るような方法もあるわけですので,こんなこと言ったらいけないのかもしれないけれども,ひところ盛んだったカウンセリングマインドを身に付けようなんていうときは,割と予算があって研修に出やすかったんですけれども,最近,あまりそういうこともなくなったということもあります。ですから,研修させやすい方向というのを考えなきゃいけないかなというのを1つ思いました。 それから,もう1つは,これも言いにくいんですけれども,退職の教職員が教育相談にかかわっているというようなところが,うまくいっていないという部分ですね。そういうところの研修は,横浜市ではどうなさっているのかということも伺いたいと思いますし,そういう先生方も3年なり5年なりすると,変わってしまうわけですよね。ですから,研修が大きな問題になってくるので,そのあたりも考えていただけると,学校が頼りにしているところでうまく相談に乗っていただけないと困るなと。学校はもちろんしっかり受け止めていきたいと思いますけれども,そんなことで研修のことは思いました。 それから,空き教室の話の前に,前回でしたか,松野委員さんから,養護教諭が忙しくてかかわれないけれども,保健室の隣のスペースがあれば,そっちを見ながらという話もありました。それから,電話の話もありました。あんな部分のところも,できている学校もありますけれども,できていない学校も多いと。空き教室もとんでもないところに離れている場合のほうがいいこともあるけれども,保健室の隣だと,保健室の先生にケアしてもらえるということもある。そんなことで,学校がそういう対応をとりやすいような方法というのも考えていただけるとありがたいなと,5回の話をずっと伺って,もう胸が痛くて,もっとも,もっともというようなことばかりなのですが,そんなふうに思いました。 |
【大橋委員】 すみません,ちょっと関連してお話ししていきたいと思うんですが,先ほど,学校に適応指導教室を設けるというのは明らかに矛盾しているだろうと,言葉だけとらえますと全くそのとおりです。なぜそんな場所が必要なのかと。ところが,不登校の子どもたちを見ていきますと,適応指導教室に毎日来てしまって,学校と断ち切れてしまいますと,回復に日数,年数が長くかかっていきます。できるだけ学校につながるような形で,それなりの対応をしていくことが非常に大事と思います。
学校に適応指導教室をつくって,そのまま適応指導をするという意味合いでは全くなくて,さっきお話があったんですが,教員全体のレベルが少し上がれば,適応指導教室と同じようなかかわり合いができるような場所が,学校の空き教室をつくってできれば,かなり予防的効果は高いと思います。初期の段階で対応すれば,不登校自体も大いに改善される余地があるのではないだろうかということです。
それから,適応指導教室の立場からいいますと,学校に戻るようになりまして,1週間に1回休むだけでも,まだ不登校にカウントされてしまいますので,我々のほうの立場としましたら,1週間のうち5日間も行けば,かなり復帰したなととらえますので,そういった見方を少し変えていく必要があるのではないだろうかと思います。
よろしくお願いします。
○ | 学校のことが大分出てきておりますので,学校にいる立場として申し上げたいと思いますけれども,今日のテーマが,学校外における公的支援ということになっておりますが,やはりそれぞれの児童生徒がいろいろな状況にあるということが大前提ですので,学校に行けないということで,あえて学校外の教育相談センター等で救われる児童生徒もいるでしょうし,そういうところじゃなくて,軽いという表現でしょうか,学校には行けるんだけれども,教室には入れないという生徒もいるでしょうし,そういうことを考えますと,私などは,学校外の公的な支援も充実させつつ,各学校内においても,ワンクッション置けるような,中間的な場を設ける必要があるなと,今,考えておりました。 それから,もう1点,横浜市のほうに御質問がありますが,相談件数が13年度になって減ってきているという,数字で示されているわけですけれども,その理由といいますか,分析として,各学校にスクールカウンセラーが配置されていて,そちらを活用するようになったんだろうということですけれども,この点について,じゃあ,この傾向がさらに減ってくるというふうになった場合に,従来行っていたセンターの役割を新たなものに変えようというお考えがおありかどうかということです。 そのお答えの中に,1つ,先ほどから,従来,適応指導教室等は心的な理由を持っている児童生徒を主に対象にしていたけれども,文部科学省の分析等では,遊び傾向ですとか,無気力傾向ですとか,そういうことで不登校になっている生徒も多くなっていると。それに対する具体的な援助というか,そういうのはまだ大分遅れていると思うんです。統計資料の分析で出てきた顕著な例であるわけですけれども,それとのかかわり合いの中で,役割を拡大させようというようなお考えがあるかどうか,その辺をお伺いしたいと思います。 |
【中村氏】 横浜の場合は,145校の全中学校に配置をされているスクールカウンセラーですが,それ以前に,平成9年に,この相談センターを立ち上げたときに,先ほど申し上げました,区の教育相談というところに,カウンセラーと校長OBを配置をしたわけです。したがいまして,今の横浜の状態を見ますと,スクールカウンセラーに相談したくない方は,区の窓口のほうに相談に行っているようです。ところで,スクールカウンセラーにどんな相談が多いかと見てみますと,友人関係,部活などについてはスクールカウンセラーに相談をするようですが,不登校の相談には,区のほうの相談窓口に来るほうが,どちらかというと多いように思っています。
相談する側も,いろいろ選択をしながら相談機関を使っているなということは,ここのところよく見えてきています。ですから,原因はともかく,不登校になるきっかけというのは学校ですから,なかなか学校へ相談に行くというのは,いろいろな意味で難しさがあるようです。教育総合相談センターを立ち上げたときに,同時に区の教育相談を行ったのは,身近なところで気軽に悩みを打ち明けてほしいという思いがあったものですから,そういう意味では,スクールカウンセラーの役割と,教育総合相談センターでは,役割はやはり違うかなと思っています。
最近は,軽度障害の子どもの相談も大変増えております。軽度障害の子どもたちが,不登校になり,不登校という一くくりの中で相談が入ってきて,適応指導教室に入室をする問題で,悩んでおります。これからは,障害児に関する相談や対応を行っている養護教育総合センターとの一層の連携が課題になると考えております。
相談の件数の不登校は,もしかしたらスクールカウンセラーに,もう少しシフトしていくかなと,私たちは思っていたんですが。不登校の相談がないというわけではありませんが,私たちが考えた以上に,友人関係や,そういう関係が中学生の場合には増えているということで,うちの相談センターそのものの機能というのは,まだしばらくはこのままで推移して維持をしていくこと,また,新たな課題がたくさん今,来ておりますので,それに対応していかなければと思います。
適応については,担当のほうから。
【児玉氏】 横浜市の適応指導教室の場合は,年間400名ぐらいを受け入れるんですけれども,できるだけ非行傾向とか,病気とかも受け入れたいという姿勢でいます。ただ,基本的な活動が集団の活動ですので,それを著しく邪魔をしてしまうような,そういう子どもたちについては御遠慮いただくというふうにしています。
ですから,非行はかなりセーブしていますけれども,退学傾向の子どもとか,発達障害なんかでも,ある程度,集団の中で他人に迷惑をかけずにかかわれそうな子たちは受け入れをしています。やはり,ドクターから紹介をされてこちらに来るようなケースもあるんです。医療から教育へと引き渡されたものについて,今,所長からも出ましたけれども,かなり苦労しているケースがあります。ただ,対応の仕方として,集団指導を基本にしながら,小集団ということで,5人ぐらいの活動をしたり,それも難しい子どもには,個別の対応もしているということで,できるだけのカバーをしていきたいということで今,取り組んでいるところです。
○ | 時間が押しているところ,大変申し訳ございません。 私,実は,第1回の課題の中でも申し上げて,大変乱暴な言い方なんですが,適応指導教室の半分は民間に移行してほしいというふうに考えています。これはシステムの問題,学校のルールの問題がありますので,なかなかそうはいかないと思いますけれども,民間との協力というのは非常に必要なのではないか,適応指導教室は特に必要なのではないかと思います。 民間の教育機関というのは,エネルギーがあり余って,何とかしたいという,子どもに対する情熱がほんとうにたくさんある人たちの集まりなんです。そういうところで,私たちが働きかけても,向こうは殻を閉じてしまって,何も応じてくれないというような状況が,実は非常に多いものですから,もっと心を開いていただいて,連携できるところから連携をしていただきたいと思います。先ほど,スクーリングサポートネットワークのお話がありましたけれども,そういうのは地域全体として,1つのネットワークをつくっていくという点でとても大事ではないかなと。公設民営型のという事業の計画もあるとお聞きしておりますが,民間との協力,これはまた次回にもあると思いますけれども,そういうものを適応指導教室にうまくかかわらせていくことが,大変必要なことではないかと思っております。 |
○ | 先ほど,研修のところで言い忘れたんですが,現場の先生方,民間の関係のスタッフの方々も,土日を使ったり,いろいろな形で研修をたくさん受けていらっしゃるのが現状だと思います。だから,研修そのものはみんな,自分で身銭切ってでも学ぶという人たちもいっぱいいると思います。例えば,生徒指導学会しかりですし,日本カウンセリング学会でも,学校教育相談学会でも,そういう人材が学校の中で眠っている現実もあります。 ですから,場合によっては,学校の教職員で,例えば,日本カウンセリング学会認定カウンセラーの資格を持っている,ないしは一生懸命研修している,そういう人たちがやはり有効に活用できるようなシステムというのもつくるべきだなと思います。 それと,今の民間とあわせて,他省庁との関係ということで,横浜のほうで,福祉保健センターサービス課ってありますよね。これは厚生省との関係の絡みで一緒にやっているわけですか。そこのところを,ちょっとだけお願いします。 |
【中村氏】 教育総合相談センターを立ち上げ,区での相談を充実させようと,福祉局と衛生局と教育委員会,要するに縦割り行政の中で3局がとにかく人を出して,トータルで乳幼児から大体20歳ぐらいまでの相談を受けていこうということでスタートしました。区では臨床心理士,校長OB,保健師,保育士などの人たちが相談を受けているわけです。家庭を含めていろいろな問題を,単に相談だけでなく,ケアも含めて,トータルで面倒見ていこうということです。
○ | 私は,これが1つの姿かなというような気がいたします。 |
○ | ありがとうございました。 今日も貴重な御報告をいただきまして,それをもとにして,様々な,今後の対応に示唆をいただくような御発言,あるいは協議をいただいたと思っております。 本日は適応指導教室と訪問指導の関連を中心にして,学校外ということを内容にして話し合ったのでありますけれども,当然のことながら,「不登校」の「校」は「学校」の「校」でありますし,不適応の前提は学校教育への不適応という前提になりますので,当然のことながら,学校教育とのかかわりがやはり今日も論議になりました。 ややもすると,その場合に出てくるのは,学校の指導,あるいは今日も学校,あるいは教師の指導に対する不信感という話が出されましたけれども,学校の名誉のために私もちょっと申し上げますと,私は,学校が様々なネットワークと積極的にかかわって効果を上げている学校をたくさん存じていますし,それから,先生方が何とか子どもの問題を共有したいということで,研修に真剣にかかわっておられる多くの先生方と研修センター等で御一緒しているという経験もありまして,そういう努力がありながら,しかしながら,やはり事実としては,まだまだ学校でこの問題に関する真の認識というような点で課題を残しているし,取組についても問題があるということもまた一方で認めざるを得ないだろうと思うわけであります。 このことに関しては,平成10年6月の中教審の答申の中で,こういう部分があるんです。「不登校問題に関して,学校のみで解決することに固執するべきではない。適応教室の一層積極的な活用を図ったり,民間の指導施設との連携を図っていくことなどをためらわない,開かれた学校運営を行っていくことが大切である」と,こういう文言がございまして,この視点がやはり重要であって,学校としては,やはり今後,不登校の問題についての正しい理解を深めると同時に,指導体制を整えることによって,開かれた対応を積極的に進める。かといって,適応指導教室や訪問指導等に任せきりにするのではなくて,連携,対応を効果的に行って,先ほど御発言もあったように,民間施設のかかわりというようなことについても十分理解を深めて,子どもたちが心の問題を乗り越えることについて,あるいは,不登校を克服する過程で,一人一人の子どもが伸びやかに成長することについて取組を進めていく。このことが大事ということが,今日1つ確認されたのかなと思います。 それから,適応指導教室に関しましては,御発表がありましたように,公的なサポート機関として,学校復帰等の適応指導に大きな役割を果たしてきているという実績と,それから,取組の内容から,貴重な御示唆等もいただきましたけれども,しかしながら,その一方で,こうした取組,あるいはネットワークがまだまだ広がりを持っていくことが課題になっていて,今後は,このばらつきをどうなくしていって,広げていくのか。物理的な整備,充実を図る一方で,既存の適応指導教室の資源の活用,共有,あるいは学校その他の小規模な適応指導教室やフリースクール,あるいは関係団体,病院等の関係機関等の連携をどう深めていくのか。地域ぐるみのネットワークをつくり,不登校に陥っているお子さんや,あるいはその家庭をサポートするような中核的センター,あるいはその機能を持つ教室の整備,こうしたことが課題になっているということが,今日,確認されたことであろうかと思います。 それから,公的な指導方法につきましても,これは一部の自治体で既に実施されて成果を上げているということで,今日の御発表の中にも,その成果,あるいはその可能性というようなことがお話がされまして,そのことと関連して,様々なスクールネットワーク,あるいはシステムづくりに向けての課題というようなことが,今日,出されていまして,これがまた今後,我々がさらに論議を深めていくことになるのかなと思われるわけであります。 こうした,今日の話し合いを深めまして,次回の会議についてでございますけれども,学校外における対応,今日は第1回目でありますので,その第2回目としまして,学校外で不登校児童生徒を受け入れ,相談指導に当たっている,民間施設について,その在り方や議題等について御議論をいただくという予定になっております。 その際,ヒアリングを実施することとしておりますけれども,具体的なヒアリングの対象につきましては,荒井委員さん,近藤委員さんから御推薦をいただいた上で,私と事務局のほうで御相談をさせていただきまして,後日,皆様に御相談,御連絡をさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。 本日も,もう少し議論を突っ込みたいということもありましたが,時間の関係で掘り下げ得なかった点も多少残ったように思います。次回の会議の時間につきましては,ヒアリングの対象の数にもよりますが,できるだけ,お忙しい中から御参加いただいておりますので,時間内におさめるように努力はしたいと思いますけれども,場合によっては,特にヒアリングの数によりましては,30分程度の時間の延長をさせていただくこともあり得るということで御了解をいただけますでしょうか。 また,第4回の議事録案についてですが,別途,事務局のほうから郵送させていただきますので,御意見等につきましては,11月28日までに事務局のほうに御連絡をいただくようにお願いをしたいと思います。 最後に,本会議は本日から,学校外の対応について討議を始めておりまして,学校の指導体制等については,前回で一応の議論を終えたところでありますけれども,時間の関係等で言い足りない点がございましたら,書面をもって事務局のほうへお送りをいただき,この話し合いを深めていく,あるいは充実させていくということで進めたいと思っております。そんなことで運ばせていただいてよろしゅうございましょうか。 予定の時刻を多少回りましたけれども,本日はこのあたりまでとさせていただきます。 では,次回以降の日程につきまして,事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
● | 次回,第6回の会議は,来週,11月29日,金曜日,同じ10時からお願いしたいと思います。 場所は,本日は旧郵政省の建物でございますが,今度は経済産業省の別館,944号会議室にて開催いたしますので,よろしくお願いいたします。 本日も昼食を用意してございますので,お時間許す方は召し上がっていただければと思います。 |
○ | ここで特に御発言何かございますでしょうか。 よろしゅうございましょうか。 ありがとうございました。では,本日はこれで閉会とさせていただきます。本日も,限られた時間の中で充実した話し合いをすることができまして,委員の皆様方,ありがとうございました。では,終わりにさせていただきます。 |
── 了 ──
(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)