不登校問題に関する調査研究協力者会議
2002/09/05 議事録不登校問題に関する調査研究協力者会議(第1回)議事録 |
不登校問題に関する調査研究協力者会議(第1回)議事録
1.日 時 | 平成14年9月5日(木) |
|||||
2.場 所 | ホテルフロラシオン青山「芙蓉(西)」(2階) |
|||||
3.出席者 |
|
4.議事内容
(○委員の発言,●事務局の発言)
● | 定刻になりましたので,これより第1回不登校問題に関する調査研究協力者会議を開催させていただきます。 初めに,矢野初等中等教育局長よりごあいさつを申し上げます。 【矢野初等中等教育局長】 不登校問題に関する調査研究協力者会議の開催に当たりまして,一言ごあいさつを申し上げます。 委員の皆様方におかれましては,御多忙中にもかかわらず,本会議の協力者をお引き受けいただきましてまことにありがとうございます。 「何らかの心理的,情緒的,身体的あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況」,いわゆる「不登校」の問題は従来から教育上の大きな課題として,国,教育委員会,学校,それぞれの立場において様々な取組をこれまで進めてきたところでございます。 文部科学省におきましては,平成4年にまとめられました「学校不適応対策調査研究協力者会議」,この報告に基づきまして,これまで各般にわたる施策を講じてまいりました。この報告では,基本的な視点といたしまして,1つは,不登校はどの子どもにも起こり得るものであるということ,それから,学校生活上の問題がその原因となる場合がしばしばあり,学校や教職員一人一人の努力が極めて重要であるということ,さらには,子どもの自立を促し,学校生活への適応を図るためには多様な方法が検討される必要があるということ,こうしたことなどの事項を示した上で,学校が「心の居場所」となることをはじめとして,学校,教育委員会,そして,国におけるそれぞれの対応の在り方が提示されているところでございます。 この報告を踏まえまして文部科学省といたしましては,教育相談体制の充実など不登校に関する様々な施策をこれまで講じてきたところでございます。しかしながら,不登校の現状につきましては,これは平成13年度の統計でございますけれども,国公私立の小中学校の不登校児童生徒数は約13万9,000人,在籍児童生徒数全体に占める割合では1.2%といずれも過去最多となっているわけでございます。ここ10年の推移を見ましても,不登校児童生徒数は一貫して増加を続けておりまして,まことに残念ながら歯止めがかからないと言わざるを得ないような,憂慮すべき状況にあるわけでございます。こうした状況にありまして,本協力者会議におきましては,このような不登校の増加の原因は何であるか,また,こうした現状をどう見るか,どう評価すべきかなど,不登校の実態を分析していただきまして,そして,その結果をもとに今後の未然防止,あるいはその対応方策について御検討をお願いいたしたいと思っております。 具体的には,不登校問題の解決に向けて,不登校児童生徒の学校復帰及び自立を支援する観点から,以下申し上げますような4つの事項について調査研究をお願いいたしたいと考えております。その際,先ほど申し上げましたけれども,平成4年の報告において示されました基本的な考え方や対策につきましては,私ども,その多くは今なお妥当性を持つものと考えておりますけれども,それらが今日正しく理解され,また実行されているのか,あるいは様々な社会環境の変化に伴い見直すべき点や改善すべき点がないか,そして,新たな状況に対応した課題はないかなどにつきましても検討を行っていただければありがたいと考えております。 検討をお願いしたい第1点は,まず,「不登校問題の実態の分析について」であります。不登校の原因・背景はケースにより様々であり,家庭の問題や学校の在り方,本人の意識の問題等の要因が様々に絡み合って発生しております。また,不登校の増加については,その態様が多様化していることや,保護者や子どもに「学校へ必ず行かなければならない」,そういう意識が薄れる傾向があること等も指摘されているところでございます。国の数量的なデータのみでは捉えきれない不登校の問題の実態につきまして,幅広い観点からこうした調査研究をお願いいたしたいと思っております。 第2は,「学校における取組の在り方について」であります。不登校の未然防止,あるいは早期発見・早期対応に関して,学校の果たすべき役割が大きいことは申すまでもございません。本年度から新しい学習指導要領,学校完全週5日制の導入・実施がなれさておりまして,学校教育の在り方が大きく変わろうとしているわけでございます。こうした状況を踏まえながら,例えば社会性を育て,楽しく通える学校づくり,未然防止や早期発見・早期対応のための教員の資質向上,あるいは学校の指導体制の在り方ということについて,また,スクールカウンセラーの有効な活用方策について,そして,不登校の態様に応じた学校復帰への適切な働きかけの在り方についてなどに関しまして御検討をいただければと思います。 第3は,「学校と関係機関との連携の在り方について」であります。多様な不登校児童生徒の実態に応じまして,学校復帰に向けたきめ細かな支援を行いますためには,学校における取組のみならず,児童相談所,社会教育施設,そして,適応指導教室,民間施設など,公私を通じた様々な関係機関との連携の充実を図ることが益々重要になっております。不登校児童生徒やその家庭を支援する地域ネットワークを構築するという観点から,例えば適応指導教室の望ましい在り方,また,民間施設との連携の在り方,そして,ひきこもりがちな児童生徒の支援の在り方,また,保護者への支援の在り方などにつきまして御検討をいただきたいと思います。 第4は,「その他不登校問題に関連する事項について」でございます。昨年,文部科学省では,不登校生徒本人から卒業後の状況を追跡調査いたしました,「不登校に関する実態調査」を公表いたしました。この調査結果からは,単に「心の問題」としてのみならず,「進路の問題」として不登校問題をどのように捉えるべきか,また,中学校卒業後の支援の在り方についてどう考えるべきかなどの示唆や課題が示されております。こうした点をはじめとして,不登校問題に関連する事項についても幅広く御検討を賜りたいと存じます。 今回の調査研究会議におきましては,こうした事項につきましてそれぞれの専門のお立場から実践を踏まえた率直で忌憚のない御意見を賜れば幸いでございます。また,御多忙のところ誠に恐縮でございますけれども,年内を目途として一定の意見の集約をしていただき,できるだけ早期に具体的な御提言を取りまとめていただくようにお願いを申し上げたいわけでございます。 文部科学省といたしましては,本協力者会議の御提言を踏まえ,不登校に関する施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。委員の協力者の皆様方の積極的な御協力をお願い申し上げまして,ごあいさつにかえさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 |
● | 座ったまま失礼いたします。議事に先立ちまして,御出席の協力者の方々をお席の順に御紹介させていただきたいと思います。お手元に配付しております資料2,不登校問題に関する調査研究についての資料2枚目を御参照ください。 まずお席の順にこちらから,東京女子体育大学教授でいらっしゃいます尾木和英委員,次に,大阪市立大学大学院教授森田洋司委員,東京国際学園高等部学園長荒井裕司委員,東京都目黒区立下目黒小学校長石郷岡悦子委員,お茶の水女子大学大学院助教授伊藤美奈子委員,名古屋市子ども適応相談センター適応指導部長大橋重保委員,明治学院大学教授下司昌一委員,日本青少年育成協会専務理事近藤正隆委員,本日名簿にございます医療法人爽風会佐々木病院診療部長でいらっしゃいます斎藤環先生は御都合により御欠席でございます。東京都立城南高等学校長斎藤八重子委員,大阪府松原市教育委員会学校教育部次長菅原寛委員,栃木県教育委員会総務課児童生徒指導推進室室長須藤稔委員,広島国際大学助教授相馬誠一委員,日本PTA全国協議会副会長藤田猛委員,岩手県立盛岡北高等学校養護教諭松野智子委員,東京都武蔵野市立第一中学校長山上美弘委員。 それから,文部科学省側の出席者のほうの御紹介をさせていただきます。矢野初等中等教育局長,大臣官房審議官金森審議官,尾崎児童生徒課長,鈴木児童生徒課課長補佐,国立教育政策所生徒指導研究センター長月岡センター長,それから小田主任視学官,宮川視学官,森嶋生徒指導調査官,以上でございます。それから,他省庁からも厚生労働省,内閣府はじめ,関係省庁からも御出席をいただいております。 なお,これより今後の本会議の運営に関する議事に移りますので,記者の方は一度退出をお願いいたします。 |
(記者退出)
● | では,次に,本会議の主査の指名につきまして,尾崎児童生徒課長よりお諮りしたいと思います。 |
● | 本協力者会議の主査につきまして,東京女子体育大学教授の尾木和英先生,それから,副主査につきましては,大阪市立大学大学院教授の森田先生にそれぞれお願いできればと考えているところでございます。 尾木先生におかれましては,生徒指導学会の副会長もお務めいただいておりますし,学校の教員,あるいは教育委員会の指導主事その他の御経験も非常に豊富でございます。文部科学省といたしましても,各種の協力者会議でいろいろお力添えを賜っているところでございます。 それから,森田先生におかれましては,教育社会学が御専門でいらっしゃいまして,先ほど局長からごあいさつを申し上げました,昨年9月に公表いたしました文部省の委託調査,お手元の資料の10になりますけれども,この取りまとめをやっていただきました。その他不登校問題に関しましていろいろ造詣も深い方でいらっしゃいます。以上申し上げました次第でございまして,主査,副主査について尾木先生,森田先生にお願いできればと考えているところでございます。いかがでございましょう。 |
( 拍 手 )
● | それでは,以上のようにさせていただければと思います。これからの進行は主査のほうにお任せをしたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 |
○ | 主査という大役を今拝命をいたしました尾木でございます。先ほど矢野局長のごあいさつにもありましたように,非常に重大な課題でありますし,しかも,年内に一つの方針を出して,今後に向けての実効ある取組に向けての我々の研究協力者会議のまとめというようなことで大変責任も感じておりますが,ぜひ委員の,各界からの御専門の方々のお集まりでございますので,皆様方の御意見,あるいは御指摘をまとめさせていただきまして,いい研究のまとめができますように努力をしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
○ | ただいま御指名いただきました森田でございます。尾木先生を補佐する役割として大役の重みに少し緊張しております。協力者会議のタイトルとして,不登校という,問題を特化したタイトルというのは近年にない形でございまして,学校不適応とか,あるいは少年の問題行動とか,児童生徒の問題行動,非常に大きな広がりを持たせたタイトルがかつては多かったと思います。しかし,この問題は不登校といいましても,これは非常に概念の広いといいますか,幅の広い問題を含んでおりますし,多様な見方が必要だろうかと思います。幸い各界の第一人者の方々がここにお集まりでございます。それぞれの子どもの生活空間のいろいろな側面から,あるいはいろいろな機関から,あるいは団体から見えてきたその姿といいますか,それを集約しながらこの対応策を考えていかなきゃいけない,こういう問題だろうと思っております。その意味で,皆さん方の御協力を得ながら尾木先生を助けて,補佐して進めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
○ | それでは,早速会議に入りたいと思いますが,まず,今後の会議の運営に当たりまして,会議の公開について,事務局のほうから御意見があればお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
● | まず1点目でございますけれども,会議の公開につきまして,この会議そのものを報道関係者に対して公開するかどうかということでございますけれども,これにつきましては原則公開ということでいきたいというふうに考えているところでございます。また,あわせまして,その議事録を公開するということもやりたいと考えているところでございます。なお,今後その協議の内容いかん,あるいはそのゲストとしていろいろヒアリングで来ていただく方々の御意向その他によりましては,それぞれの個別の場面で公開にするかどうかということについてまた委員の皆様にお諮りをして,個別にまた例外的な取扱いをする場合もあり得るかと思いますけれども,原則としては公開ということでいきたいというふうに考えているところでございます。
それから,2点目でございますが,配布資料の関係で,事務局に対して御要望があれば配布をするということを原則といたしまして,主査と御相談の上で適切に対応していきたいというふうに考えております。
それから,最後に,本会議の審議に当たりまして広く各方面の理解,協力を得るということが重要でございまして,審議がある程度まとまった段階,大体年末を想定しておりますけれども,その段階でパブリックコメントという手続をとりたいと。これは文部科学省のホームページを使いまして,広く国民の方々に意見を募るということになろうかと思いますが,以上のような手続を踏みたいと考えているところでございます。
以上3点でございます。 |
○ | ありがとうございました。もう一度今の事務局から御提出されました案を整理いたしますと,3点でございまして,第1点が,まず会議及び議事録は原則公開と。しかしながら,協議内容によっては各委員に公開の方針について再度協議することもあり得る。しかしながら,原則は公開であるということが第1点でございます。 それから,第2点は,配布資料については原則配布とすると,公開とするということでございます。これが第2点でございます。 また,パブリックコメントの期間を設けるということが第3点として出されました。実効あるこの協力者会議を進めていくためには,我々が自由に発言することも重要でありますけれども,それを広く御理解を賜りながらこの会議を進めるという趣旨でございまして,そのことについての御提案であろうかと思いますが,よろしゅうございましょうか,いかがでございましょうか。 |
( 拍 手 )
○ | ありがとうございました。では,議事録等の具体的な在り方につきましては御一任いただければと思います。では,ただいまの原則を確認したところで会議に入りたいと思います。 では,ここで記者の方々の再入室の許可をしたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
(記者再入室)
○ | それでは,再度記者の方々に入っていただいたところで,もう一度ただいまの協議の確認をいたしますが,会議の公開等については,第1点,会議及び議事録は原則公開とすると。協議内容により各界の公開の方針については再度協議することもあり得ると。それから,2点目としまして,配布資料については原則配布とすると。それから,3点目としまして,パブリックコメントの期間を設けるという方針を決定したということで確認をいたしまして,では,続きまして,事務局のほうから配付資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
● | まず,資料1をご覧いただきながら確認させていただきたいと思います。こちらにございます資料1が簡単な議事次第,一枚物になっております。それから,資料2は,封筒の中に入っておりますけれども,不登校問題に関する調査研究について,こちら,先ほど御紹介させていただきました名簿になっております。資料3,不登校問題基礎データでございます。事務局の不備で19ページ,それから,25ページ,差しかえをさせていただいておりますが,ページ数を振っておりませんで,大変申し訳ございません。細かい表のほうが19ページ,それから,適応指導教室に関するデータが25ページ,差しかえになっております。大変申し訳ございませんが,本日このままお持ち帰りいただきまして,事務局のほうでまた2回目以降きちんとしたものを御準備させていただきたいと思います。 それから,資料4,文部科学省における不登校に関する施策,資料5,不登校に関する主な概算要求事項,資料6,不登校に関する勉強会で出された主な意見,こちらの資料は,今年4月から8月にかけまして,児童生徒課で個別に実施させていただきました不登校に関する勉強会でヒアリングをさせていただいた先生方から御意見をいただいたものでございます。資料7,こちら,学校不適応対策研究協力者会議報告,平成4年3月の報告書を入れさせていただいております。それから,資料8,こちらは「登校拒否問題への対応について」ということで,平成4年9月の初等中等教育局長通知を入れさせていただいています。 それから,封筒ではなくて別冊になりますが,黄色い冊子資料9でございます。生徒指導資料第22集「登校拒否問題への取組について」,それから,同じく白い冊子,資料10でございますが,「不登校に関する実態調査」(現代教育研究会,平成13年8月),こちら,森田副主査にまとめていただいたものでございます。それから,青い冊子,資料11「生徒指導上の諸問題と文部科学省の施策について」,それから,こちら,封筒に入ってございます最後の資料ですが,資料12,今後の審議予定(案),一枚物です。それから,資料番号を振っておりませんけれども,封筒の中に尾木先生からいただきました資料,それから,先般発表されました学校基本調査の速報結果に関する新聞記事を若干集めて配付させていただいております。 以上でございます。 |
○ | ありがとうございました。ただいま御説明がありました資料に基づきまして,近年の不登校の現状と,それから,現在行われております施策の概要につきまして,事務局のほうから御説明をいただこうと思います。よろしくお願いいたします。 |
● | 現状と施策についておよそ30分程度で御説明をさせていただければと思います。 まず,現状についてでございますけれども,お手元の資料の3をお開きをいただければと思いますけれども,まず1ページでございます。これは改めて申し上げるまでもないんですけれども,不登校の定義ということで,ご覧いただけますとおり,「何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しない,あるいはしたくともできない状況にあること」,こういう定義で30日以上休んでいる子どものデータを集計をしているわけでございます。ただし,そこに括弧にございますように,「病気,経済的な理由によるものを除く」と。 過去幾つか経緯がございまして,ページの下に(参考)で記載してございますけれども,平成10年度から,それまで「学校ぎらい」と呼んでおりました用語を「不登校」に名称変更いたしました。それから,その下でございますけれども,日数のとり方につきまして,昭和41年以来50日以上の欠席ということでデータをとってまいったわけでございますけれども,平成3年度から30日と50日を両方とると。そして,11年度以降は30日に統一をしたという過去の経緯がございます。 それから,2ページでございますけれども,不登校児童生徒の数の推移,これは30日以上に統一した場合でございますけれども,これで見ますと,先ほど局長がごあいさつで申し上げましたとおり,平成13年度,昨年度の不登校児童生徒数が13万8,696人と,およそ13万9,000人ということでございます。全生徒に占める割合が1.23%で過去最多ということでございます。これは下にグラフを記しておりますが,グラフの左上に小学校,中学校別にご覧いただきますと,小学校0.36%,275人に1人と,中学校が2.81%ということで,36人に1人ということでございまして,特に中学校が多いわけでございますけれども,各クラスにおよそ1人ぐらいいるということでございます。 それから,3ページでございますが,これは平成10年度までとってまいりました50日以上の欠席者のデータでございます。過去の傾向を見ていただきますと,この50日以上の欠席者の数も結構多うございます。平成10年度のところをご覧いただきますと10万6,000人強ということで,1ページ戻っていただきました平成10年度の30日以上の欠席者の数が12万8,000人弱でございますので,かなりの部分が50日以上の長期にわたっていたという結果があるわけでございます。 それから,4ページでございますが,不登校の前年度からの継続の状況ということで,これはそこに2行ほどコメントが書いてございますけれども,前年度から継続している者が約半数いると。学年別に見ると中学校3年生の不登校生徒の割合が高い,61%ほどいるということでございます。小学校トータル,中学校トータルということで見ますと,小学校が44.5%,中学校が50.8%ということで,それほどの差があるわけではございません。 それから,5ページ,これは各県別の不登校児童生徒数を区分をしたものでございます。上にコメントを記しておりますとおり,子どもの数,児童生徒の数1,000人当たりで見ると8.2人から16.0人ぐらいと相当の開きがあるわけでございますけれども,それは我々のほうで個別にいろいろ事情を聞きましても,どの対策がとられてないから多いとか,どの対策がとられているから有効だということはなかなか見出しにくい状況です。ただ,数字的にはご覧いただくような開きがあるということでございます。 それから,6ページでございますけれども,不登校児童生徒の在籍する学校の数ということで見ますと,平成3年度は約39%であったのに対しまして,13年度の場合には57%ということで,半数以上の学校で不登校の子どもたちがいるという状況が見られるということになっているわけでございます。また,それと同時に,1校当たりの不登校児童生徒数が増加をしていると。この両方があって不登校児童生徒数の増加が止まっていないという事情にあるわけでございます。 それから,7ページでございますけれども,学年別の推移を見ますと,不登校児童生徒数の学年が上がるにつれて増加をしている。また,小学校6年生から中学校1年生に上がるときに大きく増えております。激増しておるという状況がございます。これについても国立教育政策研究所のほうでも問題意識を持って研究をやろうというようなことでありますけれども,そういう傾向があるということでございます。 それから,8ページ以下が,不登校になったときのきっかけ,原因ということでございますけれども,8ページのデータは小中学校を全部合計したものでございますが,1ページ飛ばしまして9ページをご覧いただければと思います。こちらでご覧いただきますと,小・中別のデータでございますけれども,不登校になった直接のきっかけ,まず大きな分類として,学校が原因なのか,家庭が原因なのか,本人の問題が原因なのかという,そういう大きな3分類をしております。これを数字だけで結果を見ますと,まず小学校でいいますと,この上の枠のほうでございますけれども,この3分類で見ますと,一番大きな原因というものを単一回答してもらったものでございます。一番大きな原因は,これでいきますと本人の問題が1位,2位が家庭,3位が学校生活というふうに小学校の場合にはなってございます。右のほうを見ていただきますと,本人の問題がトータル36.6%,家庭が28.9%,学校生活が原因と考えられるものが19.7%。これに対しまして中学校,下の枠のほうでございますが,こちらをご覧いただきますと,1位は学校生活,40.2%,2位が本人の問題と,34.6%,3位が家庭生活が原因だと。なお,これは学校から調査をしたものでございます。 あと,それぞれ細かく分類をいたしまして,個別の理由になっているわけでございますけれども,目につく幾つかの傾向がございます。例えば学業の不振というものがございますけれども,これは上の小学校で見ていただきますと,学校生活の3番目にございますけれども,これが3.2%ということでございますが,中学校のほうを見ていただきますと8.9%ということで,小学校では低いけれども,中学校になると高いと。これも細かな理由別に見ても3番目に位置するという状況にございます。ただ,この学業の不振につきましては,経年変化を見ますと,小学校,中学校ともだんだんその割合は下がってきていると,そういう事情にはございます。 それから,細かな分類の中で小学校の場合,家庭生活の割合が結構高いわけでございますけれども,その細かな分類の中で見ましても,親子関係をめぐる問題,これは定義が右下に書いてございますけれども,例えば親の叱責,親の言葉・態度への反発等と,こういった分類のものが16.5%,それから,家庭の生活環境の急激な変化というものが8.2%,これは右下の定義でご覧いただきますと,例えば親の単身赴任等といったようなことになっているわけでございます。 それから,中学校の場合には,特に大きな個別の理由としては目立ちますものは,一番上でございますね,友人関係をめぐる問題というのが,小学校が10.8%なのに対して,中学校の場合は21.9%ということで,友人関係をめぐる問題の割合が高いということがございます。それから,その他本人にかかわる問題というのが本人の問題のところにあるわけでございますけれども,これは小学校,中学校とも28〜29%ということで非常に高いわけでございます。このその他本人かかわる問題というのは,右下にございますように,定義でご覧いただきますと,極度の不安や緊張,無気力などで特に直接のきっかけとなるような事柄が見当たらないものというのが30%近いということで,これがなかなか解決を難しくしている,なかなか見きわめの難しい事情につながっているのかなと思っているところでございます。以上,直接のきっかけの大まかな傾向でございます。 それから,次の10ページをご覧いただければと思いますけれども,不登校の態様とその推移と書いてございますけれども,これは,要するに不登校が続いている,その間の継続している理由といいましょうか,そういったものを分類をしたものでございます。これで見ますと,小・中学校,それから,合計を通じまして,Dの欄に当たります,不安など情緒的な混乱という割合が一番高くて,2番目が複合という,下から2番目の理由,それから,3番目が無気力といったような順序になっているという傾向がございます。この傾向自体にこの数年大きな変化はないわけでございますけれども,複合の割合がやや増加をしてきているといったようなことは言えようかというふうに見ているところでございます。 以上,数字の上から見ました不登校の状況,小・中学校別の大まかな特徴といったものが以上でございます。 それから,11ページ以下,これは今日何度も話題に出ております,11ページの一番下の行に書いてございますけれども,不登校に関する実態調査ということで,昨年森田先生におまとめいただきましたその実態調査,これは本人からの聞き取り調査の部分も含めていろいろ有益なデータでございますけれども,おそらく次回原因の関係でもまた議論していただくことにもなろうと思いますで,時間の関係もございますので,この11ページ以下については,とりあえず私のほうから御説明は省かせていただきたいと思っております。 次に,文部科学省がこの10年来,不登校に関する対策としてとってまいりました第2点のお話に移らせていただきたいと思います。お手元の資料の4と5,まず4をご覧いただければと思います。不登校に関する施策といたしまして,大きく分類といいましょうか,大きなテーマといたしまして,そこにゴシックで○印を頭に付けておりますとおり,わかりやすい授業を実現しようと,進んで学校に来たくなるような,そういう明るく楽しい学校づくりをやろうということ,それから,心の教育を充実していこうと。それから,教員の資質能力の向上を進めていこうと,それから,教員の加配等,学校の指導の体制というものを充実していこうと,それから,教育相談体制の充実をしていこうと,それから,家庭・学校・地域の連携,家庭教育の支援,不登校の子どもたちに対する柔軟な対応という,こういう分類で資料整理をいたしております。およそ考えつくあらゆる手は打ってきているわけでございますけれども,それほど細かくならない程度にわたりまして,ざっとした御説明をさせていただければと思います。 まず2つ目の○でございますけれども,心の教育の充実ということで, ![]() ![]() ![]() それから,教員の資質能力の向上といたしまして,先生方のカウンセリングマインドというものを向上させるといったようなことで,生徒指導,教育相談にかかわる科目と,大学での履修でございますけれども,これを2単位から4単位に平成10年に増やすといったような対策をとっておりますし,各種の研修, ![]() ![]() ![]() それから,次のグループでございますが,教員の加配ということで,全体的な教職員定数の改善を通じまして,基礎学力の向上ですとか,きめ細かな指導を目指すといったようなことを現在進めてございますし,また,生徒指導担当教員の充実といったものも進めてございます。また, ![]() それから,次のグループでございますが,教育相談体制の充実ということで, ![]() 1枚おめくりをいただきまして,このスクールカウンセラーの続きでございますが,ただいま申し上げましたように,平成7年度から調査研究の委託事業として開始をしてまいりまして,154校の配置からスタートしたわけでございますけれども,現在は4,400校ということでございます。今後の予定といたしまして,平成17年度を目指しまして,3クラス以上の公立中学校,およそほとんどの中学校になろうと思いますけれども,その中学校への全校配置というものを文部科学省としては目指しておるという状況に現在あるわけでございます。 次に, ![]() それから,1ページおめくりをいただきまして,家庭・学校・地域の連携ということで,これは不登校に限りませんけれども,いろいろな生徒指導上の問題に各関係機関が手を携えて取り組もうということで,情報連携から行動連携へといったようなことをキャッチフレーズに,サポートチームと称しておりますけれども,学校・教育委員会だけではなくて,児童相談所,保護司,児童委員,精神科医,警察等の各機関がきめ細やかな連携をとって,子どもたちへのケアをやっていこうといったような事業を現在進めているところでございます。また,国立教育政策研究所の生徒指導研究センターのほうで,生徒指導の総合連携推進事業といったような取組も全県で進めているところでございます。 それから,家庭教育に対する支援ということで,まさに家庭教育の機能低下が言われて久しいわけでございますけれども,それに支援をしていこうということで, ![]() ![]() それから,特に不登校にかかわる話といたしまして,次のグループに整理をいたしておりますけれども,出席扱いについての措置ということで,これは平成4年の通知をもって対応したわけでございますけれども,不登校児童生徒が適応指導教室等の学校外の機関で指導を受ける場合に,一定の要件を満たす場合には,学校長の認定という前提があるわけでございますけれども,指導要録上,本来の学校の出席扱いにできることとするといったような措置を講じておるわけでございます。 ちなみに,先ほどお目通しをいただきました資料3の21ページをお開きをいただければと思いますけれども,いろいろな相談機関,適応指導教室等で指導を受けた児童生徒のうちで,指導要録上学校の出席扱いになっている児童生徒の実績でございます。ご覧いただけますとおり,大体7万人から8万人の子供たちがこういった機関で指導を受けているわけでございますけれども,その中で大体1万6,000人から1万7,000人の子どもたちが出席扱いになっている。割合でいいますと大体21〜22%の子供たちが出席扱いという実績になっているということでございます。 また,もとに戻っていただきまして,この場合に通学定期の乗車券制度といったようなものもJR等の理解をいただきまして適用を受ける,いわゆる学割の適用が受けられるという状態になっているわけでございます。 それから,1枚おめくりをいただきまして,適応指導教室の整備ということでございます。御説明が逆転いたしましたけれども,教育委員会が設置運営をする不登校児童生徒の学校復帰のケア,それをサポートする機関ということで,この適応指導を行う適応指導教室というものが,その表にございますとおり全国に928ございます。この設置を推進しているわけでございます。ほとんどの適応指導教室は市町村による設置ということでございますけれども,先ほどの資料の27ページのほうをご覧いただければと思います。この資料3の27ページで,この適応指導教室の指導体制,どれぐらいの相談員をはじめとする方々が戦力として機能していただいているかというデータでございますけれども,ご覧いただきますとおり928機関,平成12年度のデータでございますけれども,右下にありますように,1機関当たりの指導員の数が3.1人ということで,決して十全な体制というわけにはいかないという事情があるわけでございます。その辺のことも念頭に置いていただければと思います。 それから,またもとに戻っていただきまして, ![]() なお,この関係で先に資料の5をご覧いただければと思います。来年度の概算要求,8月末に提出をしたばかりでございますけれども,今御説明を申し上げましたスクーリング・サポート・プログラムの関係で,これを機能強化する趣旨から,資料の5にございますように,スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業というものを現在要求をいたしております。金額的にも今年度までのスクーリング・サポート・プログラムの7億円台の要求から10億円の要求ということで,かなりの増額の要求をしているわけでございますけれども,ざっとしたイメージは,1枚おめくりをいただきまして,そこにモデル図といいましょうか,ポンチ絵を添えているかと思います。それをご覧いただければと思いますけれども,その図の一番下にございますように,全国に928ある適応指導教室に対しまして,先ほど来御説明をしておりますスクーリング・サポート・プログラム,SSPといったような事業を通しまして,実質的なサポートをしてきておるといったことがあるわけでございますが,実はこの適応指導教室に通う子どもたちというものが実績として1万4,000人ぐらいということで,不登校の子どもたち13万9,000人のうちの1割ぐらいに対応できているにすぎないという事情があるわけでございます。ということは,つまり,逆に申し上げますと,その絵でいう右下の部分,つまり,12万人ぐらいの子どもたちは適応指導教室の支援を受けず,場合によっては家庭にいるといったようなことが,単純な算数でございますが,言えるわけでございます。 それで,この適応指導教室というものは,森田先生におまとめいただいたレポートの中でも,通った子どもたちの反応としても非常に有益だったという感想が紹介されているわけでございますけれども,ただ,先ほど来申し上げておりますような,この現在適応指導教室の支援を受けていない12万人の子どもたちにもう少し手厚いケアというものをやっていく必要があるだろうといったようなことを考えておりまして,従来の個別の適応指導教室に対する支援といったようなものをもう少し拡張いたしまして,主として市町村のうちの市部にあります適応指導教室,これは大体400ぐらいございます。その左のところに地域スクーリング・サポート・センターと出ておりますけれども,そういう市部にあります適応指導教室,やや体力のある適応指導教室と申し上げてもよいかもしれませんが,そこら辺をネットワークのかなめのような位置付けといたしまして,そこから関係機関の連携,あるいはNPO,ボランティアとの連携,そういった外部の戦力との連携といったようなものも活用いたしまして,適応指導教室に通ってくる子どもたちのケアと家庭への支援というものを学校の担任と連携をして強化をしたいと,大体そういう思いでこのスクーリング・サポート・ネットワーク整備事業といったような形で,従来のSSPプログラムを強化するといったようなことで,現在概算要求をさせていただいているところでございます。 それから,この資料5の一番最後の3枚目をご覧いただければと思います。ここにスクールカウンセラーの活用事業補助の概算要求の資料も付けてございますけれども,先ほど御説明をしましたスクールカウンセラーの活用事業補助,平成17年度に全中学校を目指しているということを申し上げましたけれども,来年度,2番の内容のところをご覧いただきますと,今年度の予算上5,500校の積算になっているわけでございますけれども,これを7,000校まで広げていきたいというふうに考えているところでございます。 ただ,お気付きの点があろうかと思いますが,予算額を見ますと,一番上でございます。今年度の予算額が45億円ぐらいあるのに対しまして,来年度の予算要求額は40億円に落ちております。これは実は,このスクールカウンセラーになっていただく方々,これは臨床心理士の方々が現状では多いわけですが,実際にはもう数がぎりぎりのところでございまして,学校のニーズが高いのに供給が追い付かないという,そういう事情もございます。そういうこともございまして,従来8時間を原則積算として各学校への積算をしているわけでございますけれども,これを8時間コース,4時間コースというような形で,当面暫定的ではございますけれども,やや薄まきといいましょうか,言葉は悪うございますけれども,そういった形でなるべく多くの学校をケアをしていきたいといったようなことで,予算額が減っている状況にございます。ただ,これについては,だんだんまたスクールカウンセラーの適任者の方々が,平成17年度に向けてまた増えようというふうに予測ができておりまして,こういった形での二段構えというものはいずれ解消ができようかと,また解消したいというふうに私どもとしては考えているところでございます。 また,施策の一覧に戻っていただきまして,残りの部分を簡単に触れさせていただきたいと思います。 以下の不登校の子どもたちに対する柔軟な対応といたしまして,スクーリング・サポート関係のほかに,マルチメディアを活用した補充指導についての調査研究ですとか,例えば7番,一番下でございますけれども,一部研究開発学校の中でも取組を進めるなどしてございます。 また,これは一部の話ではございません。全体に通ずる話でございますけれども, ![]() それからまた, ![]() 非常に雑駁ではございますが,また,折に触れまして,今日,あるいは次回以降に必要に応じまして補足をさせていただければと思います。以上,数字的な現状と大まかな施策の内容でございます。 |
○ | ありがとうございました。多岐にわたる内容を手際よく御説明をいただきましてありがとうございました。今の御説明の中からもこの問題の背後にある様々複雑な要因が絡み合っているということが再度感じられたわけでございますが,ただいまの御説明に関しまして御質問ございますでしょうか。特にございませんでしたら,今の御説明の内容,あるいはデータにつきましては,今後審議を進めていく中でまた様々御質問が出たり,あるいは検討を加えたりするようなことがあろうかと思いますが,またその折によろしくお願いをしたいと思います。 それでは,協議に移りたいと思います。本日は,第1回目ということでもありますので,不登校問題について,まずは自由に論議を進めるということで審議を進めさせていただきたいと思っております。初めに,自己紹介を兼ねて,ただ,予定の時間もございますものですから,非常に難題なんですが,お1人数分で自己紹介と,それから,特に課題と思われる事項,あるいはこの問題に関する問題意識にも触れながら御発表をお願いしたいということであります。 |
○ | こんにちは。私の学校は高等学校のような名前を付けておりますが,全くの無認可校でございまして,無認可校なら日本一の無認可校をつくろうというふうなことで今,活動をいたしております。全国から集まっている不登校を中心とした生徒が約500名おります。75%が学校に行かなかった子どもたちです。15%が知的障害を持ったLDとか,自閉症とか,ダウン症の子どもたちでございます。もう日々葛藤の連続でございますが,そんな中で様々な活動をしてまいりました。カウンセリングセンター,あるいはフリースクールをつくりました。この6月には漢方治療による学校もつくりました。それは,アトピーや生理痛,顔にあざがあったため等で学校に行けなかった子どもたちがたくさんいることがわかったからです。何とかその病気を治してやれないか,「治ったら学校に行きたい」という子どもたちの声からお医者さんを紹介してまいりましたがが,結果的にうまくいきませんでした。そうした子どもたちのための漢方治療の病院ということになったわけです。そんな活動を続けてまいりましたが,今は地域のデイ・ケア,デイ・サービス,そして地元の商工会,産業界,婦人会,自治会の方々に協力していただきコミュニティースクールをつくろうと計画しております。 私は今まで,数千人の不登校の子どもたちと向き合ってまいりました。平成4年度に配布されました「登校拒否問題について」を見まして,対応策としてはこのとおりだなあと思いました。この10年間,かかわった皆さんがこんなに一生懸命対応してきているのに,なぜこのように不登校の子どもたちが増えているのかと考えさせられます。生徒数は10年前の3分の2近くに減っているのに,不登校生たちは倍増しているわけですよね。そうすると発生率というのはもっと高くなるわけです。 どんな対応をしてもこんな状態になっているとしたら,根本的にもう学校のシステムを変えなければいけないんじゃないかと思います。全ての学校を一度にというわけにはいきませんが,一部分を変えた学校,大幅に変えた学校をつくって子どもたちに対応することが必要だと思います。 2番目として,先ほど適応指導教室が出てきましたが,様々な適応指導教室をまわったり,かかわってきて感じることですが,一部は民間に移管し,公設民営型にした方がいいのではないかと考えます。 3番目は教員についてです。今私たちはたくさんの学校をまわって現場の先生方と話をしております。また,数多くのの先生方からメールをいただいております。今学校現場は本当に厳しい状況にあると思います。それは子どもたちの価値観・個性の多様化により,様々な分野に自分の世界をもち,その中に入り込んでいるからです。教員はその子どもたちとうまくかかわりが持てないことが多いようです。したがって教員の採用についても基準を変えて,個性的,多様な価値観を持つ先生,世界的な視野でいろいろな活動をした先生方も採用していくようにしたらどうかと考えます。そうするとどこかで子どもたちとつながることができ,学校に出てきやすくなったり,心を開いて話すことができるようになるのではないかと思います。 4番目として,ボランティア活動,体験活動についてですが,国内の活動の他に,視野を広げるという意味で海外でのワークキャンプやボランティア活動をすることを提案します。外国で活動をすることにより,初めて日本のこと・自分のことが発見できるのではないかと思います。 まだまだ提案したいことや課題はたくさんありますが,それはその都度発表させていただきます。多くの不登校の子どもたちとかかわってきた経験・体験がこの会でお役に立てられればと思っております。よろしくお願いいたします。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | 私は,ここ3,4年で経験したのが,保護者が学校へ何を期待しているのかが全然見えないとか,それから,そもそもどういうふうにして自分の子どもを育ていいのか明確なものを持っていないとか,それから,面談していても何をこの人は,この保護者の方は子どもを育てるときにしつけているのかなとか,そういったようなところから悩んで,こちらが悩んでしまうんですね,親への対応があまりに複雑で。結果として,子供が学校へ来なくて,その学校へ来ないのも家にいることが楽しくって,別に学校が嫌だとかってはっきりしたものがつかめないんですね,私どもに。そういったような形で,いろいろ報告書をお送りいただいたのを見ましたけれども,明るい登校拒否とも違う,学校には行きたくない,それから,家にいて兄弟と過ごしているのが楽しい。親も,「私も昔,登校拒否でしたから」とか,「学校へ行っていませんから」とかというふうな,自分の物差しで見ていて,我が子がそうなっても全然問題を感じてないとか。そんなふうですから,適応指導教室に行っても,そちらの先生と自分の趣味と合うところは話をするけれども,強く,じゃあ,ここへいらっしゃいとか,今度こういう体験学習するからおいでというふうに言われると,そういうことはやりたくない。何か子どもの実態,保護者の養育の態度というのが私たちの物差しでははかり切れなくなってきたなと思うことがここ3,4年,2,3件立て続けに経験いたしました。 学校としてはどんな援助をしてやっていったらいいのか,あらゆることをやってきたというふうには言えないと思っているんですけれども,でも,まだまだこれ以上何をしていいかがわからないというのも私自身校長として思っているところです。 どんなふうな協力ができるのかな,現場のこのような経験でお役に立つのかなと思っているところですけれど,少しでも不登校の問題について皆様からの御示唆もいただきつつ,学校経営に生かしていけたらとも考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | よろしくお願いいたします。現在は大学に籍を置いておりますが,もともとは高校の教師から始まっております。私立の女子高校で教職につきまして,実際クラスに不登校の生徒がいました。そこで子どもの気持ちがよくわからないなあと,そこからもう一度心理を勉強したいということで大学院に入り直したような経緯があります。ですから,現場から出発したところなんですが,現在も現場に帰っておりまして,大学の仕事の傍らでスクールカウンセラーとして,現在公立中学校のほうでカウンセリングをしております。 あと,研究としては何をしているかというところなんですが,不登校に関して申しますと,適応指導教室に関する調査研究,これは個人がやります限りですので,大々的に全国の特徴を知るというほどは徹底したものではありませんが,現状がどうなっていて,それがどういう成果を上げているのかということを知ることをしてきました。実際,私が大学院に戻ったときに,民間じゃないんですけれども,適応指導教室とも違って,児童相談所に付設していた適応指導教室的なところで4年間実践を積んでまいりましたので,そのことも踏まえて適応指導教室には関心を持っております。現在,学生とか院生も近くの適応指導教室で実習させてもらいながら,その実態も見せてもらうということをしております。 あとは,メンタルフレンドに関して,メンタルフレンドは不登校,あるいはひきこもりの子どもたちに派遣される学生ボランティアの制度なんですが,うちの学生がそういったところに参加しておりまして,実際どういう成果があるのか,あるいはそのボランティアがどういうふうに迷いながら,悩みながらやっているのかというところで調査をしてまいりました。そこからいろんなことが見えてきたんですが,不登校の子どもたちの社交性のないところとか,少し明るさをアップするような,そういった取組には随分寄与しているんだけれども,最近の不登校に特徴と言われる未熟さとか,そういったところの改善がなかなか難しいなあというのが一つ見えてきたところですし,メンタルフレンド自身へのフォローの仕方,先ほどの適応のほうもそうなんですが,適応指導教室のスタッフとして動いていらっしゃる指導員の方へのフォローの仕方,スーパービジョンの在り方とか,そういったところがかなり重要になっているかなあということを感じています。 あと,定時制高校,これはうちの院生が研究していたんですが,定時制高校に中学校不登校だった子どもたちが上がってくるんですが,その子たちの予後についての研究も行っています。極めてデータ数は少ないんですが,その子たちがどういう子は残れて,どういう子はやっぱりドロップアウトしてしまうのかというところを見たものも若干ですがあります。 あとは,中国からの留学生の子がおりますので,不登校日中比較ということで,中国にはその子の話によると不登校があまりないとまで言えるどうかわからないんですが,データとしてはそれほど上がっていないということで,その違いを見ようとする研究をやってきましたが,大きなところで意識の違い,学校に行かないといけないという意識は中国はものすごく強いということで,日本の子どもたちの意識との違いがそのあたりに随分明確に上がってきたということもありました。 一番私がメインにやっておりますのは,スクールカウンセリング,スクールカウンセラーとして学校でどう動けるか,先生方とどのように連携していけるかというところが一番の課題です。先ほどもありましたが,不登校の親御さんの意識が随分変わってきまして,学校に行かなくてもいい,この子は学校に行かない生き方もあるというところで,最初からあきらめているというか,全く悩まずに親御さん自身がそういう割り切りをしてしまっているというケースも随分増えてまいりまして,そういうケースにどうかかわるか。それと先生方と一緒にそのケースを抱えていくという方策についてももう少し工夫していかないといけないかなあと思っております。 それと,スクールカウンセラーとして連携の対象となります養護教諭の先生とどう子どもたちにかかわるか。特に保健室登校をめぐって不登校の子たちを学校でどのように対応していくかというところも,これからの課題の一つかなあと考えております。まだ,いろんな関心はあるんですが,なかなか成果に結び付いていかないところで,これからも勉強していきたいなと思っているところです。どうぞよろしくお願いいたします。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | 多分この会議では,全国適応指導教室連絡協議会の事務局として適応指導教室の代表という立場でも話さなくてはいけないだろうと思いますので,その観点でお話をさせていただきたいと思います。 適応指導教室はかなり成果があるなということはもうデータとしても十分上がっているというふうには思います。それは実感として私も感じております。ただ,今抱えている問題としましては何があるのかと,まだ実績としては実質5年だろうというふうに考えております。私がここへ赴任しましたときも,適応指導教室全体が極めて臨床的なかかわりが多くて,子どもたちが動くまで待っていましょうというかかわりが非常に強かったです。でも,それを待っていますと,復帰の時期を見逃してしまって学校に戻れない。長い子ですと7年間も在籍してしまうような子どもも出てしまうというふうな状況があります。 そうなってくると,明らかに適応指導教室が目指しているのはおそらく3つだろうと思います。対人関係の改善と自主性,自発性を育成するということと,次に学力補充というのがあると思うんですが,この3つがほぼでき上がっているのにまだ在籍していると。じゃあ,そこには何が欠けているのか。世の中全体にも言えるかもわかりませんが,適応指導教室で最も欠けていたのはこの5年間で父性,父性性が欠けているということです。無理に行かせるわけではないんですが,君たちはもう行けるよという押し出しが必要だろうということは実感としてわかりました。それによってシステムを変えることによって,当センターでは復帰率,適応指導部に通う子どもたちについては復帰率を2倍にすることができました。53%昨年度帰しています。回復率を見ますとほぼ70%の子どもたちが回復いたします。ですから,1年から1年半の復帰を目途にしまして,そういう体制で臨んでいけば適応指導教室,全国にそういうシステムをとっていけば,ほぼ5割から7割の子どもたちが学校に戻ることが可能だろうというふうに考えております。 それから,彼ら通ってくる子どもたちに共通して言えるのは,先ほど御指摘があったんですが,やはり集団の中に入ることが大変下手です。どうも自分の気持ちが素直に言えない,対人不安もなくなっているんですが,自主性,自発性も出ているんですが,集団の中に入れないというのがありますので,それは学校現場とともに連携していく必要があるだろうということを思います。 それから,学校現場との連携で言いますと,子どもたちの復帰に当たって,学校とどうつながっていくのかということです。具体的には,登校前に子どもたちの言葉をすべて学校へ伝えに行きます。彼らが何曜日なら通うことができるのか,どういう時間帯なら通うことができるのか,どういう場所で過ごすことができるのか,学校の体制はどうすればいいのかということなどを調整します。不登校の子どもたちが学校へ行きますと,先生方は大変快いと思いますので,そうしますと,1時間一緒についてくださるんですが,彼らにとっては必ずしもそれはプラスではない。最初に顔を出していただいて,あと,帰るときにもう一度顔を出してくださいと。非常にきめ細かくコンサルテーションすることによって彼らは学校へ足を踏み出していくわけです。そういった面での父性性というものを強く出さなくてはいけないだろうということです。 それから,あともう一つ共通して言えることは,いろいろな体験不足を非常に痛感しております。小さなときに保護者と一緒に過ごした楽しかった体験,それから,充実した体験と,いわゆる原体験ですね,自然の中での原体験のようなものが非常に不足しています。生きる力の根底にある人間本来としての生きる力を備えていないというのを痛感しております。そういった面ではスクーリング・サポート・プログラムのSSPの予算を非常に有効に使わさせていただいておりますので,またお願いしたいなというのがあります。 それから,もう1点ですが,適応指導教室のほうなんですが,スタッフは人数がここのデータにも出ているように3人ぐらいですよね。うちは非常に大きなところ,ほぼ40名のスタッフで回していますので,昨年度230名の子どもたちを対象にすることができたんですが,小さなところですと,3人いて10人ぐらいの子どもたちが来るとなかなか対応が難しいと思います。そういった点を考えていくと,スタッフの問題というのは大きな要素だろうと思います。なおかつ,定年退職なさいました教員OBの方が非常に多いというのが現実です。その方々が5年,10年おやりになるかというと大体3年ぐらいの目途でかわられてしまいますと,いわゆる積み重ねが消えてしまうわけですね。その引継ぎがなされないと。そうすると,また不登校の子ってどういう子なんだろうというところから同じようにスタートしていくわけです。ですから,積み重ねが非常に低いと。さっきおっしゃってみえたように,非常に小規模なところというのはそういった積み重ねが少ない分,やはり対応能力が非常に低くなってしまう現実があるだろうと思います。 それから,うちも今年から学生ボランティアを入れているわけですが,彼らの力というのは非常に大きいです。私たちでは補えない若さというのがありますので,ちょうど思春期のお兄さん,お姉さんモデルとして不登校の子供たちにとっては非常に大切な要素になっております。彼らが来る日には通所率が高いというデータもあります。是非今後の研修のほうでもお願いしたいというのは,彼らがこういうボランティア活動で現場に実習に出たときにその単位認定をしていただくのが非常にありがたいと思います。私立の大学のほうは非常にそのあたりオープンになっておりまして,たくさんボランティアの方に来ていただいているわけですが,国公立においてはそれがちょっとネックになっている部分もありまして,今後の方向を踏まえてそういった単位認定も含めていただくと,もっとスタッフも充実して,より学生たちにも生きていくものが生まれるんじゃないかなと思っております。 では,長くなりましたが,以上です。よろしくお願いします。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | 私は,今は大学に勤めていますが,以前は小・中学校や教育研究所に勤めていました。不登校児との初めての出会いは,教員をやっている時に兼務相談員として教育研究所で相談を担当していた昭和40年代のことです。その時に初めて「学校に行きたいけれど,朝になると体調が悪くなって行けない」という子どもに出会いまして,「珍しいなあ」と思いました。しばらくして,教育委員会や教育研究所に勤めてからは,様々な不登校の子どもに出会ったり,不登校児のための相談学級の設置に携わったり,不登校に関する教職員の研修を行ったりしました。その後は,スクールカウンセラーや巡回相談員として,不登校児や保護者の方の相談に当たってきました。 これまで,私が行ってきた不登校へのアプローチは,不登校児や保護者の方との1対1の相談が多かったのですが,現在では小・中学校の不登校児が全国で13万人を超すような状況になっていますので,早急に具体的な対応法を考え実行に移すことが大切でしょう。特に,中学校では不登校児が急増していますので,不登校の初期の段階で対応するために何らかのサポートシステムを構築する必要があると思います。 サポートシステムの一つの例を挙げてみましょう。文部省(当時)の「学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議」が,1999年7月2日に公にした「学習障害児に対する指導について(報告)」という報告書があります。その後に,「学習障害の判断・実態把握基準(試案)」が載せられていて,その中に各学校における学習障害児に対する具体的な対応の仕方が提案されています。 まず,各学校で「校内委員会」を設置し,担任教師一人の判断でなく様々な分野の専門教師を含めた複数の目で子どもを見てサポートの方法を考えます。次に,校内委員会で検討した結果に基づいて担任教師が指導実践を行います。そのような方法をとっても効果が上がらない場合には,各都道府県に設置された「専門家チーム」に判断を依頼し,その意見を踏まえて適切な対応を行っていきます。そのような方法で,現在,全国各地の学校でモデル事業が推進されています。 不登校の場合にも,子どもについて一人の担任が判断するのではなく,校内にチームで支援していくシステムを構築することによって,早期発見・早期支援が可能となってくるのではないかと思います。私は,このようなサポートシステムを立ち上げることは,不登校への対策だけでなく,一人一人の子どもの可能性を十分に伸ばしていくためにも必要不可欠であると考えています。 最後に,「日本LD(学習障害)学会」事務局の立場から発言させていただきたいと思います。LD・ADHD・軽度の知的障害(精神遅滞)などの軽度発達障害児は,ちょっとしたきっかけで不適応状態に陥りやすい子どもたちです。また,高機能の自閉症児も対人関係で問題になる子どもたちです。不登校児の中には,このような子どもたちがかなりの割合で含まれているのではないかと推定されます。これらの子どもたちに対する教育制度を整備充実するとともに,不登校児の中に,これらの子どもたちが入っているのではないかとの観点から不登校の再検討が必要ではないかと考えています。以上でございます。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | よろしくお願いします。 私は,20年ほど前にまず個人的に,当時フリースクール研究会というのができまして,私もその設立発起人の一人だったんですけど,今はもうこれはございません。各地方に分散して残っておりますけれども,そのころ非常に多く500人くらいの会員がいた,全国にですね。まず,当時としては非常に大きな研究団体だったかと思います。その後,社団法人を設立しまして,8年前からこの不登校の問題に団体としてより積極的に取り組もうということで,実は私どもの東京本部に相談室を設けたんですけれども,非常に多くの方から御相談がくるんですね。まだそういう機関がなかったということがあるかと思うんですが,地方の方からの御相談が非常に多かったんです。これは何とか対応しなくちゃいけないということで,こちらが出かけていって相談に応ずるというものを始めました。もう一つの進路相談会という形で,例えば高校入試なんかで無理かもしれないというような御相談に応じましょうということで,最初は東京,大阪だけだったんですけれども,それから,だんだん広げてまいりまして,今年は全国30都市でこの相談会を設定しまして,現在もやっている途中になります。非常に様々な御相談があるんですけれども,細かいことはまた後ほどということにさせていただきます。それで,出かけていくのと同時に,相談室を現在東京以下8カ所全国に設けておりまして,相談員と無料の相談電話を設けております。ここで各地域ごとの様々な御相談に応ずるという形で対応しております。 それから,その中からですけれども,不登校の経験のある方々にボランティアをしていただこうということで,これは公募しました,新聞社さんにお願いをして公募をしましたところ,全国から300人以上の応募がありまして,その方々に全員アンケート調査をいたしました。この結果としては,実は森田先生が報告書におまとめくださった結果と大変よく似ております。ということで,もちろんこれも公表をしております。その中から大体100人の方々にカウンセリングの研修をしまして,その私どもの相談会のときに相談員を務めていただこうと。というのは,カウンセラーにしろ,私どもにしろ,相談に乗る側が不登校の経験がないという状態がほとんどですね。そうすると,どうしても気持ちが通じないという部分が出てきてしまう可能性があります。そこで,彼らに手伝っていただこうと。ただ,自分の状態,過去の状態と合う人はいいんですけど,合わない相談のほうが当然多いわけです。それでは困るということで,カウンセリングの研修をその100人の方々に,これも各地で設定をしてやりました。その上で相談員を務めていただきました。 その中から合計で64時間の研修を終わった人たちに対してピアメントーという勝手な資格をつくりまして,これも先ほどからたくさんお話が出ていますメンタルフレンドとして,少しずつ彼らの社会参加にも役立てようということで,これも森田先生の調査にもありますけれども,実際に正社員として働いている方はまだ少ないです。社会参加のために何とか彼らにとっても自信を持っていただこうということで対応しております。それから,今度は,本人が不登校だった経験者というのは,応募者平均年齢が25.6歳ということですから若いんですね。御相談にいらっしゃる方,母親が圧倒的に多いです。年齢のギャップがあります。そこでかつて自分の子どもが不登校だった人,要するに親ですね。親のボランティアを,これを公募しました。親のほうは少なかったんですけれども,現在35名の方々が研修を既に終わりました。来週からの相談会に早速行って相談に乗っていただくということをやります。 資料をたくさんちょうだいしまして,実は非常に多くの御提案がなされておって,これで何で不登校が増えちゃうかなと思うくらいなんですけれども,実際に現場でどう生かされていくか,どう生かされているのかということをぜひ知りたいなと。このたくさんの御提案ですね,どこまで生かされているのかということをお聞かせいただきたいと思います。 それから,私どももそうですけれども,どうしても対症療法,不登校になってしまいました,さあ,どうしましょうというのが圧倒的に多いわけです。そうではなくて,今日は既に矢野局長からお話があったので,大変うれしく思ったんですけど,要するに,予防ですね。未然に防ぐ,そのためにはどうしたらいいか。もうそこにいかないと絶対に減らないんじゃないかなと。これだけやって増えちゃうんだから,もう予防しかないんじゃないかなというふうに考えております。予防の,私のほうの提案も幾つか用意はしてありますけれども,是非この会議では予防という観点からの御提案をみんなで出していければ大変ありがたいと思いますし,それから,先ほど事務局から出していただいたスクーリング・サポート・ネットワークですか,これは大変すばらしいと思います。実は私どもでも,ちょうど来年度から同じような計画をつくっておりまして,やろうと思っていたところなんですね。ですから,これはぜひお進めいただいて,このボランティアさんの人材バンクとか,民間施設に関する情報とか,これは大変必要です。中にはひどいところがあります。不登校生を食い物にしているようなところがあるんですね,残念ながら。そういうところも含めてちゃんとした情報収集をしていくと。それから,それを,情報を提供していくということが必要ではないかというように考えております。以上です。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | よろしくお願いいたします。 義務教育である小中学校と比べまして,97%近くが進学としているとは言いながらも,高校は多少状況が違うのかなという前提のもとにお話を進めさせていただきますが,資料10を前もってお送りいただいたものですから,ちょろちょろ見ながら,きっかけ,不登校になったきっかけが人間関係が多いということは,立ち直りのきっかけも人間関係を改善することで救えていくんじゃないかと。そうすると,不登校という名称がある限り,それはもう9割方学校が責任持って対応していかなきゃならないことではないかと考えると,学校がいかに人間関係をそういう生まない,今,委員から予防というお話がございましたけれども,生まない対策をまず整える。 もう一つは,実際私が教員になってからクラス担任を持ったり,あるいは教頭,校長になってからそういう生徒,保護者の方と話をしていて感じることは,人間関係で救われて学校に来るようになるケースがすごく多いんですけれども,それはあくまでも支えにすぎない。最終的にはその子どもたちが自分自身の活躍の場を見出す,まあ,自立ということですね,あるいは高校の場合だったら出先を探していく。そういうところまで学校が責任を持っていかないと,人間関係で救われたって,そこにいつまでもこれが居場所だということで依拠していると,そこでつまずくとまた戻ってしまうんですね。だから,あくまでも人間関係,養護教諭の先生が一生懸命やったとか,ある担任の先生が一生懸命やって学校に戻したというのは一時的な橋頭堡に位置付けて,最終的にはその子が本当の意味での活躍の場を学校に,そういう意味での居場所をつくっていくところまでが学校の責任ではないのかなと,そう思っています。 そういう意味で,文部科学省の今の資料の中で体験活動ということがすごく出ていたんですけれども,体験活動というのを単に学外に連れていっていろいろ体験させるという意味合いだけではなくて,学校の中にいてもいろいろな人と接しられる教育の機会をつくることも学校長として必要なんじゃないか。といいますのは,生徒と私なんかもよく話をするんですけれども,先生は最終的には成績評価する人だと,そういう意味合いがあるんですね。ですから,高校なんかですと図書館の司書の先生とか,保健室の養護の先生というのは本当に居場所になるんですね。だけども,繊細な子たちですから,養護教諭がどんなに一生懸命やってももともと相性が悪いというケースもあるわけですから,要するに,例えば部活で先輩の人に来てもらって,そこでも,先ほど思春期の若い人は年齢が近いから自由に話せるとか,そういうのがありましたけれどもね,そういう人を多く入れるとか,あるいは市民講師の人も入れるとか,いろんな人と接する機会をつくって,そういう中であの人がいるから,あの人が待っているからまず行こうということで橋頭堡をつくって,その中で文部科学省がすごいなあと思ったのは,進路と結び付けた調査を始めたというところですね。これはすごい大事なことだと思うんですね。というようなことで,最終的な目標を本人自身が,例えば国語が好きだとか,こういうふうになるためには多少人間関係がつまんなくて,嫌なやつがいても,自分はあそこであれを勉強して,将来こういうふうになるために行くんだというところまでもっていけたら成功だな,それが学校の責任かな,そういうふうに思っています。 そういう意味で,小中までは今,文部科学省の予算でスクールカウンセラー全校配置ということになっているんですけれども,高校まではまだまだ手が届かないようで,都の場合ですと,スクールカウンセラーの配置は研究指定校という形で2年間継続で,1年間で20校程度ぐらいしかないんですね。本校はもう大分前に,5年ほど前に研究指定2年受けてしまったので,もう資格がなくなっちゃっているわけですけれども,是非是非理ご解をいただきたいということ。 時間が長くなりますので,最後に,教員の資質向上とか,研修システムということが大分出てきているわけですけれども,私は,基本的には教員には生徒の現状にきちっと向き合ってまず聞く,待つが基本姿勢だということを話しています。というのは,そういう生徒がよく言うのは,学校に来て悩みを相談にくる子というのは行かなきゃいけないという自覚があるわけだから,一生懸命聞いて,教員は抱え込んで一生懸命になる余り,ここはこうしたらとか,こうしないといけないよとか,説教を始めちゃうわけですけれども,それがなおさら本人を追い詰めてしまう部分もあるので,あまり焦って結論を言ってしまうのはよくないというようなことを,最低限の教員のカウンセリングマインドということで話を進めております。 時間が長くなりますので,今日は現状分析ということですので,次から学校の対応ということで直接私どもの課題に踏み込んでお話があると思いますので,御教唆いただくとともに,私も勉強させていただきたいと思います。ありがとうございました。 |
○ | ありがとうございました。これまでの御発言の中で,もう第1回から核心に触れるご発言,あるいは今後の検討に向けての貴重な示唆になるような御発言をいただいているので大変ありがとうございます。 ただ,若干予定の時間が窮屈になってきまして,残り時間がちょっと気になってまいりました。次回以降,ぜひそれぞれのお立場から突っ込んだ御発言をいただいて,それをこの協議の中に生かしたいと思っておりますので,少し御配慮をいただいて,能率的に進めさせていただければと思っております。申し訳ございません。 |
○ | 市教委という,一番学校に近い教育行政といった立場でこの会合に参加させていただいております。これからるる勉強させていただきたいと思うところでございますので,よろしくお願いします。先ほどの主査からの御指摘もございますので,問題意識だけ言わせていただきたいと思います。 問題意識の第1点は,平成4年の学校不適応対策調査研究協力者会議の報告にある,いわゆる心の居場所づくりということが果たす大きな役割だというふうな御指摘があるわけでございますが,今日的には学校をさらに開いて,地域と学校の双方向の連携の中で心の居場所をどうつくっていくのかということも,学校現場をあずかる市町村行政といたしまして問題意識を持っておるところでございます。 2つ目は,もう一度原点に戻りまして,学校そのものの居場所づくりということとかかわりまして,昨今言われております開かれた生徒指導対策の在り方ということをもう一度精査する必要があるんではないかなと思っているところでございます。特に教職員の指導力量の向上と,学校がもっと関係機関の中での調整的な,いわゆるコーディネートの役割も果たしていくようなことも今後求められているんではないかなといったことも含めたことが2点目でございます。 それから,本市といたしまして,教育相談活動の重要性を勘案いたしまして,国の施策の拡充と並行いたしまして,現在,すべての小中学校にスクールカウンセラーを配置しておるところでございます。年間500件ほどの教育相談が保護者,教員,児童生徒,また,その複数からあるわけでございますが,こういった取組での一層の有効な活用の在り方につきましても,また,こういった会合で勉強させていただければありがたいなと思うところでございます。 それから,4点目につきましては,これも適応指導教室,本市におきましても取り組んでおるわけでございますが,特に私どもの適応指導教室に通っておる子どもたちは,大変体験的な学習が好きでございます。私どもが計画しております,例えばスキー合宿であるとか,ものすごい参加率といいますか,いいわけでございます。この前もコロッケコンテストをやったんですが,みんな生き生きと活動しておりました。そういった取組が学校との連携の中でどのような有効的な役割を果たすのかということも一つの問題提起でございます。 最後になりましたが,昨今,IT教育ということが言われております。情報機器をどのようにこういった問題につきましても活用していくのかということが5点目の問題意識でございます。特に本市におきましては,そういった意味で情報機器を活用いたしました「心の窓アクセス事業」というのも今年度から実施しておるところでございます。そういった点,問題意識,いろいろ教えていただきまして,また,府や市に持ち帰れればありがたいなと思っております。以上でございます。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | よろしくお願いします。 まず,不登校増加の課題といいますか,4点ほど考えております。まず1点目としまして,大きくこのように社会が変化しているこの昨今,学校教育以前の問題がその前提として横たわっているということでございます。親の認識,子どもの変化,そして,社会のいろいろな風潮,細かくは申し上げませんが,こういったものが非常に不登校を生みやすい,生み出しやすい,そういう土壌をつくり出してしまっているということが言えようかと,そんなふうに思っております。 2つ目としましては,学校の意義の揺らぎというんでしょうか,この不登校の問題は,その根幹は学校制度そのものにもかかわっていく重要な部分では当然あるわけでございますが,私ども行政でも,問題行動等,実はこの「等」に不登校があるんだよとか,不登校によるリスクですね,そういうものを正面にどんと出せない,どうもそういう何か環境といいますか,雰囲気といいますか,そんなものがあるわけでして,社会化のプロセスを経験していくというものはどの子にとっても必要なわけですから,学校に来なくてもいいということは決して言えないわけでございまして,その辺のところをもっと胸を張って言えるようにすることが必要ではないか。また教員養成の段階や教育組織,教育委員会の組織も含めて,または教育内容,カリキュラム,教育課程ですね,どうもスキルケア,つまり,教科が中心になっておりまして,テイクケア,いわゆる生活学校ですね,子どもを支える,そういう仕組み,またはそういう視点に欠けている。確かに先ほどの予算等の措置で御説明をいただいたわけですが,生活体験,自然体験,しかし,そういったものの基盤になる特別活動そのもの,今の子どもたちは個性重視じゃなくって,個を中心に育ってしまっている。したがって,少なくとも学校だけは集団活動を前面に押し出したいろいろな体験活動をしなければならないわけですが,そういった特別活動が縮小傾向にもあるいはあるのかなと。やはりその辺をもう一度見直してみる必要もあるであろうと。 3つ目としまして,教員の認識がございます。不登校を容認する風潮,これは親もそうでございますが,平成4年の例のだれにも起き得る,そのだれにも起き得るというのを,だから起きても仕方がないんだというふうな誤解,そういう解釈をしてしまう。だから,一人一人にきめ細かな対応をしなければならない,そこにもっていけない。そういう実態が学校現場にはあるわけですね。その辺については後ほど機会があればと思います。 それから,教師にとっては,子どもが学校に来ていないということ,または遊び,非行的なそういう子どもが目の前にいないということ,非難をあえていただくことを覚悟で申し上げるなら,教師にとってはそれは危機ではないんですよ。ある意味では心配はしながらもほっとしてしまう部分が実態としてある。また,特に不登校に関しては効果的な指導方法がないんですね。小学校は病気と区別がつきませんし,中学校になってからは,よく原因などを特定しながらやろう,そうしますと,原因を特定しようとすればするほど複合型になっていくんです。決め手がない。ということから回避傾向がどうしても職員にある。先生方に潜在的に働いてしまう。また対応についての不明確さがあります。教育の問題なのか,社会全体の問題としてとらえるべきなのか,学校の問題なのか,医療の問題なのか,その境目をどこに置くのか,そういう部分が非常に不明確という以上に全くないという,はっきりしない。縮小する学校教育に拡大する教育ニーズです。先生方はゆとりがありません。相談的なアプローチにも限界がありますということだと思います。 それから,4つ目としまして,対症療法への偏り,これは政策の転換といいますか,決して各種答申はそうではないんですが,学校現場の受けとめ方,教育行政の受けとめ方というのはどうしても対症療法だけが前面にちらついていると。これは改めなければならない。学校が主体となって取り組めるのは対症療法ではないと私は思っております。何人かの委員さん方がおっしゃったように予防的な指導でございます。起こさないための指導,または不登校に陥っておりませんが,登校回避感情,どの子どもも持っている,そういう感情ですね,そういったものに適切に対応していくような学校の運営といいますか,そういうものが当然のことながら望まれるであろうということでございます。対症療法だけではなくて,政策面でもこの予防的なものを前面に打ち出す必要があるのかなということ,以上4点でございます。 ということも含めて,実は,私どもは,不登校の予防を目指す発達段階に応じた取組例ということで,現在有識者の方々にお集まりをいただき,御助言をいただきながら,不登校の予防を目指す発達段階に応じた取組例の指導資料を作成をしておるところでございます。例えば母子密着の傾向,母子分離不安,父性,母性的役割,優柔不断な傾向,自己表現が不得手,こういった不登校に陥っている子どもたちの気質と言いますか,そんなものからそれらを集合しまして,自立にかかわること,または,詳しく申し上げませんが,耐性,そして,適応,この3つの発達課題,自立,耐性,適応,これについて主として幼児期から高等学校に至るまで,学校で身に付けること,家庭で,地域で身に付けることは何なのか。そして,それらを達成するための具体的な活動にどういうものがあるのか。そんなものをただいま精査中であるということでございます。以上です。 |
○ | 専門領域は学校カウンセリング,教育相談を専門としております。小学校,中学校,高校の教員を経まして,また,教育行政のほうで教育相談のほうを担当させていただきました。適応指導教室にもかかわりました。私は,昭和55年ごろから教員をやりながら,週1回市の教育相談室で相談員をやっておりましたので,そういう意味では不登校の子どもたちとずうっと長く接してきました。現在も不登校の子どもにカウンセリング活動を行っております。 そういう意味で考えていきますと,2つ,私は問題意識を持っているんですが,1つは,学校の取組の問題,これはもう多くの委員さんからも出ましたけれども,早期発見,即時対応という言葉を平成4年度は使っていますね。即時対応,すばらしい言葉だと思うんですが,また,精神医学の基礎知識,それの欠如みたいなのも学校の取組の中にはあるのかなあと思います。すごく重度化させてしまっているというケースも多々見られます。それから,いじめ問題というのも背景としてあると思います。私は,高校の不登校の子どもなんかでも,明らかに高校中退をさせられてしまった不登校の子供たち,たくさんケースとしても抱えております。そういう意味では,高校中退10万人の問題というのもこの背景の一つとしてあるんじゃないかなと思います。 それから,不登校の子供に対する教育相談体制の問題が一つあると思います。適応指導教室の問題,または教育相談施設関係も含めて,センター関係含めてどのような形が一番ケアとしていいのかというような形で考えております。総括的に考えますと,私は,不登校という問題は日本における教育問題のすべてを集約させているんじゃないかなと。不登校問題はある面ではいい方向性を指し示していくことによって,日本の教育は確かに変わっていくというようなことを確信したいと思っております。以上です。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | この中では唯一素人と呼ばれる部類に入るのではないかなと思っております。親の立場から見て不登校,現実に幸か不幸か私の場合は不登校の子どもを抱えた経験がないというところから,あまりそういった現状については,単位PTAの会長をしている時代に若干校長先生からお伺いする程度で,現実にどういったような状況であるかといったものは,プライバシーにかかわる部分としてあまり公にされてきていませんので,詳細な情報というのはなかなか伝わってきておりません。ただ,そういったお子さんを抱える人たちの話をちらちらと耳にする中で感じた言葉を,今ここでちょっとポイントとして挙げてみたいかなあというふうに考えております。 先ほどおっしゃっていたように,確かに最近宇宙人のような保護者がたくさんおります。我々,同じ保護者同士でさえ言葉が通じない人たちがいらっしゃるんですね。まともに日本語が通じない状況ですので意思が伝わりませんし,何を一緒にやりましょうかという形で声かけをしていってもなかなか伝わりにくい。何でそんなことをしなきゃいけないのって,逆に問い返されてしまうような現実がたくさんあります。そういう方を見ていきますと,大多数の子どもさん自身が持っている原因というよりも,むしろ親自身が社会性の欠如があってそういった必要性というのが認識されない,認識できないということで子どもに強制することもできない。それとか,あと,手を貸し過ぎ,甘やかせ過ぎ,こういった部分の問題点というのをたくさん感じています。意外と時間がたくさんあるお母様の家庭のほうが不思議なことにそういったことになりやすいお子さんって多いんですよね。だから,もしかしたら傾向的にそういったものもあるのかなとも思います。私は今日初めてこの場へ来て,この内容の詳細のデータに目を通していたものですから,具体的にどういう現状にあるのかといったものが正確に把握できていないという問題点がありますので,これからきちんと把握させていただいて,家庭教育が第一というふうに栃木県のPTA,私,栃木県のPTA連合会の会長もしておりますが,キャッチフレーズは家庭教育第一ということで,まず,家庭教育ありきですべての教育を,物を語っていこうというふうに考えておりますので,その中で,親の立場として子どもを育成するという形でもう少しきちんと考えていかなければいけない部分がここの元凶にあるのではないかなというふうに感じております。以上です。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | この学校に来る前は行政におりました関係で現場から離れておりました。でも,現場でも現在どうなっているのかというのは,行政の時点でもある程度はわかっていたつもりでしたけれども,実際学校に入ってみましたら,もうびっくりするほど大変でございました。うちの学校は今,1,000人規模なんですが,一応98%ぐらい進学希望という状況です。入学時期には100%進学という格好なんですが,3年間のうちにいろいろ家庭の事情等も変わりまして,どうしても進学できないという子も出ておりますし,それから,中学校時代の成績をいつも頭の中に持っていまして,現実を無視しているというあたりのところで,なかなか希望する大学と実力とのギャップが大きくなっていって,挫折してしまうという子どももおります。そういう中で学校体制はどうしても進学体制にならざるを得ないものですから,中にはついていけない子どもは厳しい教師の一言に反発してみたり,授業に出なくなったり,そのうちに学校も欠席が続き,不登校ということもありました。 私は,1年目は本当に無我夢中で,保健室が満員で一人だったものですから,お昼の御飯さえ食べる時間がなかったぐらいで,毎日が私にとっては,あれはどうしよう,これはどうしようということで無我夢中で1年過ぎたんですが,2年目あたりから,私はこれじゃだめなんじゃないかという気がいたしまして,たまたま校務分掌の相談課というのもありまして,私は保健厚生課というところに所属するんですが,相談課の中にも所属ということになっておりました。そういう中でいろいろ話し合いをした結果,担任の先生を見ましても,一人でもそういう子どもがいますと,本当に御苦労が多く,結局は手をかけずじまいとなり,来なければ,ああ,今日も休みか,来ないんだ。何やってんだろう,怠けているかなというようなところで過ごしていってしまうと。でも,実際は怠けているわけではなくって,子どもたちには子どもたちのいろいろな理由があるということも,私もだんだん2年目ぐらいになってからわかってきまして,相談課が中心になって校内組織をつくったらいいんじゃないかと。私自身も養護教諭一人で多くの生徒を抱える,例えば保健室登校をさせることは簡単ですが,そこから先が進まない。これではやっぱり解決にはならないんじゃないかと。だから,保健室登校を基盤にしながらも,だんだんある時期を目途に教室に戻れるような,そういうところにもっていかなければ解決ではないんじゃないかというふうに私も思いまして,相談課の中でいろいろ話し合って,やっと昨年度あたりに,試行錯誤なんですが,校内組織としてのチームをつくり,そのチームも小さいチームから大きなチームまでというような格好で今やっております。 今,不登校というのはいませんで,まず学校には来るというところで進めています。保健室であったり,あるいは相談室であったり,いろいろなんですが,生徒たちは来ています。こんなことから思うことは,子どもたちに,母親や父親も一歩引き下がってしまい,子どもに強くものを言えないというあたりのところが見受けられますし,子どもも親から自分は無視されているというふうに思っているみたいなんですね,心配してくれないというような格好が高校生の中にもありまして,ある程度わかってきた早い時期に,御父兄にも学校に御足労いただく場合もありますし,御家庭のほうでも学校がお願いすれば出てきてくださいますので,かなりいろんな進展が見られるというふうに今はなってきております。 と同時に,お母さん方,お父さん方のお話を聞きますと,自分の子どもだけがそういうふうになっているんじゃないか。よその子どもさんはもう立派にちゃんとやっているんじゃないか,と思って,だれにもお話ができないというようなことも訴えられました。そういうこともあって,うちは3年目になるんですが,保護者を対象にしたセミナーを計画いたしまして,夏休み中,あるいはその年によって違うんですが,土日のところでそのセミナーを開いていろんな意見交換をしたり,卒業生の御父兄の中でいろんなことを経験なさった方にお願いして,うちはこうやってやりました,こうでした,こういうときはこうでしたという,実際のお話をしていただくということもかなり御父兄には効果があるのかなと今思っております。 そんなこともありまして,うちの学校もいろんなことがございますので,この機会に先生方のいろんなお話をお聞きしながら,自分の学校に持ち帰れるものは是非御活用させていただき,そして,また,勉強させていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | あまり時間もないようですから,ちょっと具体的にお話しします。対症療法だけじゃなくて予防的対策が大事だとか,いわゆる学校教育の質的な改善の問題とか,それから,学校の取組が大事だと,こういうことも当然のことですけれども,目の前にある13万9,000人にどう具体的に対応するかということが一番大切な課題だと思います。 学校現場のことを具体的に話しますと,文部科学省とか,各都道府県教育委員会,区市町村教育委員会等のいろいろな御援助,御支援がありまして,ハード面では大分整ってきたなと思います。東京ですと各区市教委が各学校を回りまして,どういう不登校がどのくらいいるかというような実態の把握をします。そのときにかかわるのが区市の教育相談所の方であったり,教育委員会の指導室の方であったりいたしますけれども,今,学校にはこれとは別にスクールカウンセラーが配置されつつありますし,また,区市によってはメンタルフレンドが配置されています。例えば学校を訪問して,不登校の生徒の状況について把握しますが,一体その子に対して最終的にだれがどうかかわるのか,スクールカウンセラーと区市の相談所のカウンセラーとの関係はどうなっているのか,メンタルフレンドはどうか,ということになると,役割が不明確なところがあります。したがって,先ほど提起されました中核的機能を充実するというところが一つ非常に重要なポイントになると思います。学校がいろいろな機関に相談をすると,指導・助言的なことが多くて,具体的に登校拒否になっている子にどうかかわるかというと,そこはまず担任が何とかつないでくださいみたいな話になりますね。 学校が何とかできないところからこの14万という数が出てきているにもかかわらず,やはりこういうことが今の学校に問われているんじゃないでしょうかという話になりがちです。もっと具体的なところでこうしなくちゃいけない,ここをこう詰めていく必要がある,といった話し合いが大切です。個々的な事例についてきめ細かな支援とは何かを具体的に明らかにする必要があると思います。実際に,区市教委によっては出現率が減っているところもあります。そこはほかの区市教委と違ったスクーリング・サポート・ネットワークを持っているようです。そういうところを研究してより具体的に対応する必要があると思います。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | 私,いろいろな調査にかかわっておりまして,その一端をここで御紹介するべく期待されていることでございましょうけれども,時間の関係がございますので,その中の1点だけ申し上げさせていただきます。またあと,いろんなデータに関連しまして出てまいりますことは,また次回以降にいろいろとお話しする機会があろうかと思いますので,その都度紹介させていただきます。 この調査は,御存知のように,平成5年度に中学校3年生で不登校だった子どもたち,生徒でございます。これを20歳の時点,つまり,5年間のフォローアップで行わせていただいた。したがって,その調査の趣旨も不登校に至った原因というわけではなくて,その不登校に陥った状況,あるいはそれ以降の5年間の人生の中でのいろんな経験,あるいは思いというものが中心になって分析させていただいたわけでございますので,そういう調査の枠組み,もちろん原因等に触れる部分もございますけれども,調査の枠組みそのものは卒業してから以降の問題が中心になってまいります。 そうやって眺めていきますと,むしろ,在学中,中学校,あるいは小学校を含めまして,その在学中の問題点もそこから逆に浮かび上がってくるという側面がございました。その一番大きな点は,これまで不登校という問題が,不登校に陥った心理的な問題,心の問題,あるいは不登校に陥ったことについての悩みといいますか,心の問題と称していいと思いますが,こういう問題にどのように対応していくかという,その視点で従来対応策が講じられてきた面が非常に一つの柱としては強かった。これはもちろんむだなことでなくて,当然のことでございますが,しかし,その子どもたちが中学校を卒業しまして,その後,成長していく過程でずっと見ていますと,立ち直りの過程というのが,先ほど幾人かの委員の先生方から御発言が出ていますように,やはり人間関係,あるいはその集団,あるいは社会というものへどうつながっていくかという,そこのところが一番大きなポイントになってまいります。 そういう一つの不登校から浮かび上がってきたそのケースの中で,そういうつながりを持っていく子どもたちが20歳の時点で,回復かどうかという問題は別としまして,何らかの社会の中で自分の居座といいますか,ポジションを得ている。そして,希望に満ちながら将来へかかわっていくという可能性を非常に含んでいる子どもたちになっていく。こういう成長のプロセスが見られるわけです。としますと,従来心の問題という背後に,もう一つはそういう大きな一つの社会,人間関係で占める位置といいますか,あるいはつながりというものが心の問題の背景にあって,その問題そのものに対してのつまずき,あるいはいろんな障害,あるいはそこから排除されていく,その問題が心の問題へつながっていく。例えば極端な例でございますが,これは進路問題に集約したくないんで,あまり例を使いたくないんですが,高等学校へ行けなかった,あるいは大学へ行けなかったということそのものは,これは進路,あるいは社会への成員となるための一つの資格,資質を得ていく機会,これを失っていくことに対する心の悩み,あるいはもだえ,葛藤という状態で不登校の状態へ大きな問題としてあらわれてくる。 そうしますと,そういう一つの社会関係,あるいは集団へのつながりというものをどうやってやっていくかということは,心の問題というより,大きな一つの社会への,成員への一員となっていく,その資質をどうやって在学時代,あるいは小学校,中学校を通じながら,あるいは高等学校,あるいはそこから不登校になった段階でどうやってそれを保障していくか,あるいはそれをサポートしていくかという一つのそういう進路の問題が見えてくる。進路というよりも,人生の,一つの大きな自分の人生の進路形成と言いますか,そういうものの一環としてとらえ,その中の問題としてこれをどういう具合に支援していくかという,こういう視点が一つは浮かび上がってきます。 文部科学省や,あるいは大学や小中学校等におりますと,学校そのもので完結するように思いますけれども,社会全体で見てみますと,学校というのは社会への一つの橋渡しをしていく,あるいは社会の成員の一人としてその資質,能力を発達させていく,もちろん個人から見ますと,当然個人の人格の陶冶,いろいろ成長もございますけれども,果たす役割というのはそういうところにあるだろう。それをどうやって子どもたちに支援しながら成長を図っていくかということが一つの公教育の公たる一つの姿ではなかろうか。そういう視点が調査の中から見えてくる。それをどうバックアップしていくかというのも重要な視点かなという具合に一つは痛感しております。まだ,いろいろとこの調査の中からは問題点が浮かび上がってきておりますが,とりあえず感じた一つのポイントだけ申し添えさせていただきます。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | 簡単に私の自己紹介とあわせて,この審議の流れに引き戻したいと思っておりますが,まず,私は,昭和50年,今,大学に移りまして15年余りになるんですが,それ以前は東京都の教育委員会に属しておりまして,専ら健全育成,生徒指導の担当をしておりました。その昭和50年代といいますのは,特に全国的に校内暴力が非常に深刻化した時代でありまして,その時代と接するようにいじめの問題が,教育の問題のみならず,社会問題としてクローズアップされた時代でありました。もう大分記憶が薄らいでまいりましたが,そのころ私が対応していた問題は,社会的な事件としては,東京の町田市というところで忠生中学という学校がございまして,その学校で教師が生徒を刺すというような事件が発生した,そんな事件であるとか,あるいは今度いじめの問題が大きく社会問題として取り上げられるきっかけになりました,中野区の富士見中という学校の生徒がいじめを苦にして家出をし,自殺をするというような事件がございまして,こうした事件の対応をやりました。特にいじめの問題につきましては,非常に社会問題になった折に,いじめの問題に関する実態というようなものが全くなかったんですね。で,全国に先駆けて東京都でいじめの悉皆調査というのをやることになりまして,そんなことが昭和50年代に私が対応していた仕事の中心になりました。 しかしながら,そうした問題とほとんど,したがって,表面にはあまり事件としては出ませんけれども,大きく意識されましたのがこの不登校の問題でございました。その当時は,不登校という,用語自体も非常に様々な用語が用いられておりまして,私の記憶では,学校恐怖とか,あるいは学校嫌い,学校嫌いという言葉が比較的多く使われていたでしょうか。で,その当時,私どもは様々な教育委員会と連携を図って対応策を検討していたわけでありますが,例えば60年に入ったころに千葉県の教育委員会で作成しました指導資料では,「長欠対策指導の手引き」というような形になっていたり,あるいは多かったのは「登校拒否問題について」だったでしょうか。そんなような用語でとらえていて,なぜそんなことを申し上げるかといいますと,その当時もう各学校,あるいは教育委員会,あるいは関係者の間で,この問題については重要な問題という認識はございましたが,その取組についてはかなり試行錯誤的な部分が多かったというふうに私は認識しております。 ところが,その前後しまして,昭和58年に文部省のほうから「生徒指導資料」が作成されまして,そこで登校拒否についての分類であるとか,対応の基本のようなものが示されて,それが一つの手がかりになって,都道府県,あるいは各学校でかなり的確な指導に向けての取組がされていたように私は認識をしているわけであります。その後,先ほどからお話がありますように,平成4年に協力者会議が立ち上げられまして,その中でかなり明確な指針が示されたかと思っております。 さらにその後,今日のそれぞれの委員の方々の御発言の中にも,それぞれのお立場でのほんとうに真摯なというんでしょうか,あるいは智恵を絞ってというような取組がなされてきておりまして,今日の御発言の中でも,例えば適応相談センターのお立場から,こんなような取組をしていけば,学校復帰が随分大幅に改善されるんじゃないかというような御発言であるとか,あるいはこういう取組をしていくことが核心なのではないかという御発言とか,それから,今また,心のケアという面も極めて重要であるけれども,それと同時に,その背景にある子ども一人一人の人生への進路形成としてこの問題をとらえていくということが,今後の対応への一つ重要な示唆になるのではないかというような御発言があり,こうした情報が積み上げられて,現在では都道府県,市町村,あるいは各学校,各地域,各関係の中で,この問題については随分様々な貴重な取組がなされてきていると思うんですね。にもかかわらず,依然として不登校を示す子どもさんたちが増加傾向にあると。冒頭の局長のごあいさつにもありましたように,この問題がこれだけ深刻になっているということは,この取組がある上でのこの深刻化でありますから,そこが我々がこれから協議を深めていくわけでの一つの焦点になろかうかなと思っているわけであります。 集約をしますと,この実態の抜本的な検討,特に関係者の取組にもかかわらず,不登校を示す者が増加している。そこに何があるのかということの解明が次回以降の我々に課せられた重要な課題の第1点であろうかと思っております。 それから,第2点目が,その実態の解明に基づきまして,今後の効果的な取組がどういう方向があり得るのかということの検討が我々に課せられている第2点目であろうかと思います。その取組の方向も2つに整理されて,今日の御発言の中からも明確に方向が示されたと思っておりますが,1つは,現在のこの増加傾向にどう歯止めをかけていくのか。この緊急対策の可能性,あるいはその方向,これが検討の一つの方向であり,もう一つは,今日委員さん方から,多くの方々からお話がありましたように,予防が決め手であると。それから,今,新しい学習指導要領に基づいて,平成14年度から各学校が特色ある学校づくり,あるいは生きる力を育てる学校づくりということで学校づくりをしている,そのこととかかわって,学校づくりの中で一体この問題に対してどういうことが問われているのか。さらに,学校だけの取組では当然限界があるわけでありまして,その中で一体連携,あるいはネットワークの方向としてはどういうことが重要であるのか。そのこととオーバーラップされて,先ほど御示唆をいただきました,子ども一人一人が自分の生きがい,あるいは自己実現,その進路形成としてこの問題をどう位置づけ,そして,今後の対応策を考えていくか,こういうことが我々が今後論議をしなくてはならないことなのかなと思っているわけであります。 そんな今後の取組の方向がおかげさまで委員の皆様方からの御発言の中から明確に今日は把握をすることができた。本来ならば,ここからフリーディスカッションで意見を交換したり,あるいは質疑を交わすことでありましたけれども,むしろ,かえって,今日はここで止めて,我々が今日それぞれの委員さんの方々からの御発言を受け止めて,次回までに少し我々の頭の中で熟成していって,今のような方向へ論議を深めていく,これが次回以降の課題になるんだろうと,こんなふうに考えているわけであります。 本日の審議につきましてはその確認までを審議といたしまして,次回以後の調査研究につきましては,今日のそれぞれの御発言を広げ,あるいは深めて,実効ある我々のまとめに結び付けていく審議の展開にしたいと,こんなふうにして,一応の今日第1回の御発言のまとめにさせていただこうかなと思っています。 ということで,今後の調査研究の進め方につきまして,事務局のほうから案があれば御説明いただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
● | それでは,今後の調査研究の簡単なスケジュールにつきまして資料12をご覧いただきたいと思います。今,主査のほうからお話しいただきましたように,本日いろいろな論点,課題を各委員の方々にもう既に出していただいておりますので,またそういったことを整理しながら,この簡単な資料12にお示ししたものは今後また精査させていただく必要があるかと思いますが,非常に大まかにスケジュールをお示ししたものでございます。 まず,次回第2回でございますけれども,9月24日に不登校の実態,現状分析ということを一つ課題に御議論いただきたいと思っております。それから,第3回,第4回,こちらにつきましては,今も多くの論点を出していただきました,学校における対応をヒアリングも交えて御議論いただき,第5回から7回までにつきましては,学校外の適応指導教室や,民間施設等の機関をはじめとする学校外における支援の在り方につき広く御議論いただき,年内12月の中旬ぐらいから1月にかけまして,それまでいただいた意見の整理をし,審議をまとめていくということで(案)を考えさせていただきました。また最後に,ある程度意見が集約できました段階でパブリックコメントということも(案)に入れさせていただきました。 |
○ | ありがとうございました。今後の調査研究の方法,あるいはスケジュールにつきましてはただいまの御説明があったとおりでございますが,この協力者会議においては,おおむねただいま御説明のあった事務局の(案)に基づいて進めてまいりたいと思っておりますが,いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。 |
(了 承)
○ | ありがとうございます。発足して12月中旬から1月中にはこれまでの意見の整理と審議のまとめ,パブリックコメントということで,かなり集中して論議が必要になりますので,ぜひまた委員の方々にはそういうことを頭に入れてよろしく御協力をいただきたいと思っております。 ちょうど予定の時刻となりましたので,本日はこのあたりまでとさせていただきたいと思っております。次回以降の日程等につきましては,事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
● | 次回会議は,9月24日の火曜日,場所は本日こちらと同じ会場,ホテルフロラシオン青山の芙蓉2階にて開催させていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。 なお,次回の議題として予定しております不登校の現状分析に関しまして,本日も非常に時間がやはり限られているということでございますので,大変お忙しい中申し訳ないですが,委員の方々には事前に増加要因ですとか,不登校の背景につきまして御意見を賜りまして,それをもとにまたディスカッションをしていただくということを予定させていただきたいと思いますので,その際には御協力をよろしくお願いいたします。 また,本日お配りしております資料につきましては大変重いので,そのまま置いていただいても結構でございます。いずれにしましても,次回から本日第1回目の資料は事務局のほうで御用意させていただきます。 |
○ | ありがとうございました。 最後に,この会議を短期集中で効率的に進めるために,私のほうから事務局及び各委員の皆様に,次の3点について御協力をお願い申し上げたいと思います。 第1点は,事務局には大変なことでございますけれども,会議の事前に検討すべき事項などの資料を委員に送付していただければありがたいと,これが第1点でございます。 2点目は,各委員の方々には,事務局からの資料を踏まえて御出席のときには意見を整理し,そして,会議に出席をしていただきまして,本日も大変内容のある御発言をいただきましたけれども,次回以後もぜひよろしくお願いしたいと,これが第2点目でございます。 第3点目は,各委員からこの会議で配付したい資料がある場合には,当日ということではなくて,前日までにある程度の時間を考えた上で事務局のほうにファックス等でお送りをいただきまして,この会議が効率的に進められますように御協力をお願いをしたいということ,この3点,恐縮でございますけれども,お願いをさせていただきたいと思います。 本日はこれで閉会とさせていただきます。御協力をありがとうございました。終わりにいたします。 |
−− 了 −−
(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)