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初等中等教育におけるITの活用の推進に関する検討会議

2002/08/28議事録
初等中等教育におけるITの活用の推進に関する検討会議(第9回)議事要旨

初等中等教育におけるITの活用の推進に関する検討会議(第9回)議事要旨


1.日  時  平成14年8月28日(水) 14:00〜15:00

2.場  所  虎ノ門パストラル「ヴィオレ」

3.出席者
(検討会議委員)坂元委員,清水委員,赤堀委員,大野委員,小澤委員,永野委員,松田委員
(専門委員)今泉専門委員,小幡専門委員,小泉専門委員,成田(歌)専門委員,成田(雅)専門委員
(文部科学省)加茂川大臣官房審議官,小畔初等中等教育局参事官,樋口専門官,中井情報教育調査官,繻エ学習情報政策課長,中村教科調査官ほか関係官
(オブザーバー) 総務省情報通信政策局情報通信利用促進課,総務省情報通信政策局情報通信政策課,経済産業省商務情報政策局情報処理振興課,(社)教科書協会,(社)日本教育工学振興会,(財)日本視聴覚教育協会,(財)コンピュータ教育開発センター

4.議事内容
(1) 事務局から配布資料の説明が行われた後、資料「ITで築く確かな学力 〜その実現と定着のための視点と方策〜 ―報告書―(案)」のとおり報告することを全委員が了承した。
(2) 坂元座長から加茂川大臣官房審議官へ報告書を提出した。
(3) 加茂川大臣官房審議官より挨拶があった。
(4)審議の終了に当たり、各委員及び専門委員から、本検討会議及び報告書についての感想という趣旨で発言がなされた。

  報告書の中にも出てきたLOM検索システムについてであるが、教育情報ナショナルセンター(NICER)のサイトにおいて9月6日(金)より稼働させることになった。登録された学習情報のタイトル・概要・キーワードのほか、学習指導要領についてもLOM情報をデータベースに蓄積している。
  現在は無料のものだけを扱っているが、有料で優秀なものも産業界には多く存在している。今後は産業界の方々と相談しながらそれらの情報を付与し、それらの所在が分かる形にしていけるといいと思う。
  こうしたLOM検索システムは、日本でははじめてのものであるが、情報先進国と呼ばれるアメリカやイギリス、韓国などにおいては、LOM検索システムがむしろ主流であるため、ようやく世界レベルになったのではないかと実感している。

  学力とIT(また、ITのみならず様々なシステム、制度、メディアを含めたもの)との関連は、今後ますます重要なものになると思われる。学力や(情報教育でいえば)情報活用能力などについても、技術や研修を含めたものとの連携が重要だ。第2章の最後に「各要素のつながり」という項目により、それらの連携について示せたのはよかったと思う。

  本検討会議には、地方の教育委員会の立場で参加させていただいたが、特にITを活用した教育については、単なる学習内容だけでなく、行政側による様々な施策(コンピュータ整備等)も含まれてくる。こうした行政の立場と、教員側の立場がリンクし、整理されていかないとこういった教育は定着していかないということをつくづく感じた。
  また、教員の意識改革が非常に重要だと感じた。世代的なものもあると思うが、教員の間では従来の学校の(黒板・チョーク・教室というような)イメージが根強いため、今後、ひとりひとりの教員がこうしたITを取り入れることのすばらしさ、良さについての意識改革をしていかなければならないだろう。最終的には「確かな学力」を築くことで子どもたちに還元していくことが大切だと再認識した。

  ITが学力向上に寄与するということについては、ITは直接的にではないが、確かに効果があると思う。
  子どもたちが学習をする上での情報が、地方ではすぐには得られないことが多い。しかし、ITを活用すれば、(間接的にではあるが)中央にある素晴らしいものに触れることができる。日本全国どこにいても同じような学力が保証されるという点でも、ITを活用することは非常に大事なことだと思う。
  また、会議においては、ITが推進されればされるほど情報化推進リーダーになるひとの仕事が増える、という話が出ていたが、生徒に関わる問題(生徒指導の問題など)が多様化し、少ない時間の中で教員がいかに効果的に教材研究等して学習指導を充実させていくかという点でも、ITの活用は(これも直接的にではないが)教員の側にも非常に効果的なものだと思う。
  本年度から学校週五日制が始まり、教員の現場の研修体制が非常に変わった。より意欲的な先生方が求めるいろいろな研修が出ているように感じている。本日の報告を受けて、来年度以降ますます変わっていけるのではないかと期待している。

  報告書の最後のところ(第3章5.の部分)に、教員同士で作る研究会の活用を支援する予算をつけるという部分は、新しい方向性ではないかと思う。
  コンピュータを操作できる教員の割合が平成13年度までの目標に届かなかったということだが、教員の指導力向上については、どちらかというとこれまで国と現場では、トップダウンで行ってきた部分が多い。しかしこれからは(「概ね全ての教員がコンピュータを用いて指導できるようにする」ための目標年度である平成17年度までは)むしろ、下から育っていくことを促すようなことを国はしていったほうがよいのではないかと思う。
  ハードウェアやソフトウェア的予算については、二十年ほど前に比べれば遙かに国民的な理解も得られ、教育の中でもいろいろな形で実現されていると感じるが、教員の指導力向上に関しては一部の人たちが引っ張っているような感じを受ける。しかしそれにも限界がある。やはり教員ひとりひとりがいろいろ見えてくれば自力で推進していくようになるのではないだろうか。そのための情報提供、環境整備は重要であり、また、それを実現するための予算措置や教員へ啓蒙していくような活動がこれからのテーマになってくると思う。

  次のステップは来年度から始まる教科「情報」という教科の立場と教員の立場が不明確にならなければよいなということである。各教科でのIT活用が進んでいくことで、独立教科である「情報」の役割も明確にしていく必要があると思う。「情報」という教科がこの先五年、十年後に果たすべき役割は何かということを改めて考えさせられた。新たな課題を頂いたという思いでいる。

  先ほども話が出たが、この夏、先生方の動きが変わった。出勤日が増えたために先生方の時間が増えた。これは校内研修を充実するチャンスだと思う。
  教育センターで開催されている無料の研修にも応募者が増えているし、また、お金を払ってでも研修を受けようという先生も増えている。しかし全く初心者の先生が、コンピュータの操作法を学びたいという意欲を持ってきている段階であり、コンピュータを授業に活用するという段階にまでは至っていない。
  そこで、校内研修を使わない手はないのではないかと思う。が、そのためには、ITを活用することの意義を管理職が理解し、校内研修にきちんと位置づけていくことが必要なのではないかと思った。

  本検討会議で行った実地調査では、複数の地域十数校を見て歩いたが、そこではIT活用について、先生方が個々に頑張っている姿を目にした。しかし、学校全体、地域全体としてIT活用が進んでいくためには、やはりそれらを繋ぐコーディネータ的な人材が鍵となると感じたし、そういった人材が、教員研修、ハード・ソフト整備に繋がっていくと思う。
  また、この報告書においては、教科毎の教員同士の研究会や、教科毎でのIT活用の知識を広めていくということも強調されているが、ある数学教育関係の先生方の集まりでは、一人一台グラフ電卓を使ってグラフを描き、描かれたグラフと式との間の関連性を見るような、テクノロジーを活用した活動を進めており、そういったテクノロジーを活用することが前提の教材などもかなり開発されている。教科毎のこういったIT活用を紹介する場の重要性を感じた。

(5) 座長より、報告に至る一連の審議は今回で終了するが、検討会議は平成15年3月末まで存続するため、本検討会議の下に設けられた作業委員会での検討が終了した時点で次回の検討会議の開催の有無について検討したい旨説明があった。

(6) 閉会

(了)

(初等中等教育局参事官)

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