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エルネットにおける教員研修は、衛星で流すことが前提なので、著作権処理が完全に済んでいる状態である。このことにより、今までの研修プログラムをうまく蓄積して、後から見られる仕組みができればいいなと思っている。また、先生方の講演も許可の上、オンディマンドを目指した形の番組をつくって流せる仕組みができればいいと思っている。
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今年の2月に大学間のネットワークで教科情報についての教員研修のシンポジウムを行い、そのときに岐阜大学と岐阜のセンターの間をISDNでつなぎ、エルネットに乗せるという、2つの日本の教育の大きなシステムがつながる画期的なことが起ったが、この時の岐阜県の反応等、尋ねたい。
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大学と連携したものをエルネットで流す、情報の提供については、比較的熱心に行っている。それから、講師の講演については、ライブで流したり、あるいは収録して後で見られるよう、大事なコンテンツの1つだという認識で蓄積するよう動いている。
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今、残念ながらNHKの番組等の教習番組をそのまま研修に使うことはできない状況である。政策的に考えれば、使えるようにしていくことは1つの方法で、いろいろなチャンネルを使って研修が行えるようにしていく必要がある。講演以外の方法で新しい方向等を知るようなチャンスは、テレビの映像、ビデオ、エルネットの映像等をどんどん活用していくのが1つの方法だと思う。
もう1つは、先生方がタスクを持っていないと、講演や研修しても効果がないと思う。先生方が何のために研修を受けているのかということを強く自覚してもらう必要があると思う。そのときに気になるのは、情報教育や教育の情報化の研修の内容が、いつも新しいものばかりに向いているような感じがする。それはおもしろいとは思うが、逆に学校の授業に自信を持ってやっている方にとっては、かえってそれが奇異に見えるのではないかと思う。
例えば、普通の授業にある意味で満足している先生方に、高価なシステムで授業を展開しても、それがあまり教育的に意味がないように感じたら逆効果になる。研修の軸の中に、学習内容を豊かにする、方法を多様にする、共生の心を育てる上で、ITがこう使えるいうメッセージが必要なのではないかと思う。先生方がそれに同意しない限りは、いくら研修をしても自分とは違う世界にあるというふうに思っているのではないかと思う。ITがさりげなく使われていて、普通の授業よりもうまくいっているような例を見せていくことが効果的だと思う。
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研修においては、タスクを与えて、学校に帰ったら2枚にまとめて先生方に配るとか、教育委員会に提出するようにすると一生懸命聞くようになるかと思う。それは保護者に対する責任でもあると思う。学校の中で無料でできて、特に評価されるわけでもなく、何もしなくても済んでしまうということは、自費でパソコンスクールに行って練習する保護者との間に感覚のズレが生じていると思う。やはり、タスクを与えて、それができたか、できないかをきちんとする。それが子どもに還元され、地域に還元されることになる。あの先生はどこどこの研修に行って、その成果でこういうふうになってたということをアカウントするような仕組みをきちんとすることが、責任として大事だと思う。
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研修所に集まって研修をすると、最新の環境で全部やらせてくれて、こういうこともできるのかと目が覚めるところがあるが、いざ現場に戻ると、「うちのシステムでは使えない」と情報主任に言われることがある。出前研修という言葉もあったが、これを考えるとき、現場のシステムを見てもらって、どこまでできるか考えた上で研修されると、もっと現場に結びつく研修になるのではないか。
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今年千葉県では全公立学校にネットワークを引き、教室にもLANも全部引き、170数校全部に入ることになった。その結果、ネットワークの運用にSEとコーディネーターを全部回してしまったところ、市町村から、去年までやっていた出前講座がないことに対し、かなりおしかりを受けた。学校の環境にあわせSEの方々に手取り足取りやってもらう作業が研修では一番いいと感じている。
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現在、経験10年目以下の先生方はコンピュータに対する抵抗感はほとんどないが、授業設計の中で、コンピュータをどういうふうに活用するかということがわからない先生方が結構多い。
特に40代以降の先生は、コンピュータに完全にアレルギーを持っている人も多い。子どもたちがコンピュータ室で何かトラブルを起こしたらどうしようという不安で一歩を踏み込めない人たちと、やっぱりコンピュータもやらせたいし必要だと思うが、いざ機械の前で子どもにどうやって教えるかということがわからない人たちがいる。そこで、情報教育担当者が授業を持たずに専任でいれば、見通しを持った授業計画が立てられることにくわえ、TTにより、コンピュータに慣れていない先生のサポートしてもらうことができる。また、授業でコンピュータを使った効果等を文章で残すことはできない多忙な先生のかわりに、いろいろな授業の指導案が集められ、提供したりできると思う。
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昨年度、ナショナルセンターのホームページを県センターの研修に取り入れたら、大変好評で、各学校の校内研修においても取り入れているようだった。そういう教育情報をこれからも積極的に研修の中に取り入れていって、どんどん活用を図ることも1つの支援かと思っている。
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操作のことは本屋に行けば売っているが、授業でどう使うかというのは、本がないかといえばあるが、あまり身近でない。そのときに、手にとれる参照資料がないというのが問題だと思う。それで、とにかくたくさんの授業で活用するときのヒントになるものがたまっていて、それが参照可能になっているというのは非常に望ましい形であり、進めていかなくてはならないと思う。これはタスクを持った教員から見れば、そういう情報がないというのは致命的だろうと思う。
もう1つは、今度は役に立つ蓄え方というのはどういうものかというのが1つ大きな問題だと思う。指導案の形式でためられているものが本当に参考になるのかというと非常に微妙で、指導案を読んでも、わからない部分が結構あり、典型的なコンテンツを典型的に使っているワンショットの授業シーンを1分ぐらいの動画で提供するなど、学習場面を編集したものが一番伝わるという気がしている。
これからはコンテンツを開発する時代から、コンテンツの活用例を蓄積する時代になっていくが、具体的に何をためていけばいいかというところは、注意が必要であると思っている。
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結局は、教員個々に端末が持てるような環境がない限り、自ら研修会に足を運ぶ必要もあるし、あるいはコンテンツをとる場合もCD−ROMとかセンターに行く必要がある。もう少しネットワークも高度に発達した暁には、教員個々が端末が持てる環境にならなくてはいけないと思う。
それともう一つは、データセンター等を各自治体で完備するなり、国で完備するなりして、その両方が今後整備されないと、共有化という意味合いにならないと思う。
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教育情報ナショナルセンターでは、特にJAPETから今まで出されたものに関して、ナショナルセンターから皆さんに使ってもらえるような形で提供できる方向で検討している。ナショナルセンターでは、先生用、生徒用、一般的な生涯学習も含めて、体系的に情報を収集して提供していく仕組みをとっている。すべてナショナルセンターのサーバーに置くということを考えているのではなく、それぞれのサーバーに置かれているものがナショナルセンターからうまく引き出せる仕組みとなっている。現在、広く散らばっている情報をナショナルセンターから全て連携できるという形をシステム的に構築しているところであり、8月末の完成を目指している。そうなれば本来目的とする他の国のナショナルセンター的になってくるというふうに考えている。
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せっかく作った出来のよいコンテンツが現場に伝わっていないと思う。その1つの解決方法として、コンテンツをCD−ROM化し、研修の中にどんどん組み入れていく必要があると思う。
今までつくるほうにコストをかけていたが、どんどん新しいもの新しいものに行くよりは、やはり今までつくったものを広めていくほうに戦略を移したほうがいいと思う。少なくともこれまでつくられてきたコンテンツを、実際に教員の前で説明したり、実際にやってもらったりするような政策に結びつけていく必要があると思う。その具体的な研修は、国でやる必要はなく、各都道府県でやればいいと思うが、そういう活動までフォローしないと、なかなか使い方が伝わっていかないと感じる。
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出前研修は、学校のハード的なものに対してジャストフィットする研修を受けられるという点では、コンピュータに対して抵抗感を持っている人たちにとって、ものすごくいいと思っている。
また、同じコンテンツを使っても、授業設計でどこの部分でどのように使うかによって、子どもたちへの効果に差が出てくると思う。同じコンテンツを使った幾つかの授業例を集め、こういう場面ではこんな効果があった、こういう使い方をすると残念ながらあまり効果は見られなかった、プラス・マイナス両面を含めて、研修の場面で提示することも、1つの方法なのではないかと思う。
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市町村レベルであまり情報化が進んでないところを見ていくと、ビジョンをつくり、それを推進するような人がうまく位置づいていないと感じている。情報化に関するコーディネーターというか、推進役になる人をつけていくことが必要なのかと思っている。専任でつけるのもいいが、地域の情報化を引っ張っていくような人を委嘱する形の支援の仕方というのがあるのかとも思う。
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1人の専門的な情報教育堪能な先生が来るというのは悪くはないが、その先生にどうしても頼ってしまうということになる。むしろ、ボランティアが一緒になって先生たちと知恵を絞っているほうが、支援体制としては、いいのかなという感じを持っている。
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学校現場の1つ1つに対する支援の形は多様でないといけないと思う。SEもボランティアも、校内のリーダーの育成も大事だと思う。また、各教育委員会レベルに教育情報推進コーディネーターを置くことも大事だと思う。
私が知っている事例では、例えば徳島県のある郡には、教諭籍だが、1人そういう方がおり、郡内のいろいろ学校を順番に見て回っている。基本的にはメーリングリストで先生たちの質問に答えたり、リモートで見られないところは行ったりしているが、実際に行くことが実践交流になっている。学校の中というのは、1人の担任の先生がほかの先生の授業を見る機会なんていうことは皆無に等しいし、また研究授業があっても年に数回のことであり、そう考えると、実践のちょっとしたことをうまく人から聞けるような機能があればいいと思っている。
各教育委員会で教育の情報化のために、例えばハードウエア、ソフトウエアを整備しても、うまく使うための活用に結びつくための事例をうまく見せるような仕組みにまで、なかなか頭が回らないという状況がある。こういう場合に、コーディネーターの存在によりうまくいくという気がするので、学校横断的に機能するボストが配置されればいいと思う。
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情報化の政策は、英語教育に似てるように思った。英語の場合は、AETを学校に入れることによって、子どもたちが直接ネイティブの声を聞くことにより英語に親しむという効果はかなり出ているのではないかと思う。授業における教師とは別の形で、ITをうまく教育に活用していく人材を入れていくということが大事だと思った。教育と情報のことがわかっている人をAETのような形で横に組み込んでいく必要があると思う。
それから、ネットワークを技術的に支援することと、授業の中でITをうまく活用して授業を生かすことを一緒にすると話が難しくなると思う。技術的なことは企業に向けられているため、SE派遣等でサポートしているが、授業を機能させるためには、また別の人材が必要だと思っている。
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小中学校においても、情報の蓄積、体系化の専門家の人がいると効果が高くなると思う。
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国民が税金を払って、それが公的な資金として行政の施策に反映されるが、この公的資金的なもの をボランティアに活用するというようなことも、検討したらおもしろいのではないかと思う。 |