審議会情報へ

幼稚園教員の資質向上に関する調査研究協力者会議

2002/02/19
幼稚園教員の資質向上に関する調査研究協力者会議(第5回)議事要旨


幼稚園教員の資質向上に関する調査研究協力者会議(第5回)議事要旨


1.日  時 平成14年2月19日(火)10:00〜12:00
2.場  所 経済産業省各省庁共用会議室  1014会議室(別館  11階)
3.出席者 (協力者) 無藤委員、岩立委員、宇田川委員、合野委員、酒井委員、
柴田委員、島内委員、園委員、原委員、望月委員、森本委員、
湯川委員、渡邊委員
(文部科学省) 小松幼児教育課長、小田視学官、山崎企画官神長教科調査官、浅子指導官、ほか関係官
     

4.議事内容
  
(1)事務局から配付資料の説明が行われた後、株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役小宮一慶氏から企業研修の状況を踏まえて意見発表があった。

   【小宮氏意見発表要旨】

(2)小宮氏の意見発表を踏まえ、意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。
  
   ○   教育の場合も経営の場合も根本的に重要なのは、モチべーションだと思うが、期待×(かける)価値だけでなく、その人が元々から持っているやる気の傾向や達成動機以外の失敗回避動機を持っていることも論じられており、課題の成功確率や報酬を条件として与えれば済む問題ではないような気がする。
  
   ○   研修でもそうだが「適切な人をバスに乗せる」ことが必要であり、モチベーションが元々低かったり、リスクを取りたくない人たちを無理矢理研修させ、モチベーションを高めようとしても難しい。どんなプロジェクトでも、適切な人をバスに乗せない限り、バスの中が混乱したり、バスが走らないことがある。
  
   ○   教員の場合は、モチベーションが低いから低いままでよいというわけにはいかない。また、人は、それだけきちんと測定評価できるものではない。選抜を通ってきた人には、独立して、できるだけのサポートをしていきたいという気持ちもあるが、階層構造のはっきりしたヒラはヒラでいいという職場とそうではない非常に重みのある職場との違いをどう考えたらよいか。
  
   ○   企業の場合は、頑張った人に対して地位と報酬・給与の2つで報いることができる。全員を社長にはできないが、利益が上がれば給与を上げられる。企業もふるい落とそうとしているわけではなく、採用した人を十分活用したい。そういう意味での研修も必要である。その上で、モチベーションが高まらない人にまで、研修をし続けなければならないのか。そして、そういう人がドロップしない仕組み自体が間違っていないか考えなくてはいけない。研修と戦略、人事、給与、報酬制度は切れないものである。人事、報酬制度を改定することなく、研修だけでモチベーションを高めることは難しい。1回採用したら一生何もせずにいられるというのは、今の世の中に合っておらず、研修の効果を上げるためにも人事評価制度とからめて研修制度を検討すべき。
  
   ○   企業のどういう分野に使っていこうかということが資源の配分。戦略を考える場合はゼロベースから、今の環境に合わせて何をするのか、幼稚園として何をするのが一番いいのか考え、それに合わせて資源配分して人に動いてもらうのが正しい行動ではないか。
  
   ○   1人1人の持ち味については、「適切な人をバスに乗せる」のと同じ。自分の幼稚園にとって何をしなければならないかを考え、適性を見極めて、それに合った人を採用し、または勉強させる。採用するときにその人を見極めないと、質を落とすことになりかねない。採用の3つのコツは、1番目は素直であること。2番目はエネルギーがあること。3番目は、学歴に関係なく言ったことがすぐ分かる、人が思ってることが分かることだが、大変難しい。誤った採用をしてその人を良くしようとするより、優れた人を採用して少し良くなってもらうほうが簡単である。
  
   ○   研修以外で気楽にまじめな話をする場にする工夫は、通常の業務を離れてオフサイトミーティングをするのもいい。その場で、職場の欠けていることを話すと、自分が欠けていることに気づく。一番大事なことは、評論家にさせず、自分たちががんばったらこうなるというように持ってくれば、その研修はどんな研修よりも有効である。全部を自分の責任のほうに持ってきて考えられるようになると、何でもうまく行く。「周りの環境が悪いからうまくいかない。」では何も解決しない。難しいが、そういった場を研修でも作りだすことが必要。
  
   ○   園長は、何がしたいのか目的を明確化したプレゼンテーションが下手である。誰にも分からず、その中でやっているから、学校が変わらない。幼稚園は組織が小さいため、何とかなってきたが、目的のはっきりした研修が園長にも大事である。
  
   ○   トップの考え方が非常に大切で、トップのレベルが高ければ下のレベルが上がる余地があるが、トップのレベルが低ければ下のレベルが上がることはない。経営する人のレベルを上げていかないと下のレベルだけ上がることはない。
  
   ○   採用に関しては、私立の場合は自分たちで選ぶため、自分が大変緊張もし、失敗することもある。最近、3年ぐらい経つと違う仕事もやりたいという人が徐々に多くなってきた。それは自園に魅力が足りないのか、また本人達の思いを認めてあげることが必要なのか、いろいろと悩むが、企業ではどうか。
  
   ○   「来る人拒まず、去る人追わず」で、自分達のどこに魅力が足りないのかやめる人によく話を聞いてみることが大事。
  
   ○   学級崩壊が起きたときに先生を変えることによって、ほとんど解決したという話があったが、校長が持ってるコマに余裕がない。それを変えたところで、そのコマが他のところに行けば、またそこでまずいことになる。ある程度余分なコマがないと競争の原理が生まれない。
  
   ○   一度採用した人をその社会から除外できないところに問題がある。手持ちのコマに余剰をもたせることも大切だが、若い人の就職が非常に難しい時期であり、人をどんどん入れられるはず。将来を考えてみても、一定の年齢になっても素質・素養のない人を抱えているより、若く優秀な人にどんどん入れ替えるような仕組みにしていかないと国全体がよくならない。
  
   ○   園そのものを評価するシステムが必要であり、園長を評価するようなシステムも一方でないと下で頑張っている人達も頑張れないのではないか。
  
   ○   企業の場合は、企業全体の評価は社会がして淘汰されるが、幼稚園全体に淘汰システムがあるのかどうか。幼稚園の社会的評価の中で自然に淘汰されていくような仕組みがあってもいいのではないか。
  
(3)引き続き、練馬区立光が丘むらさき幼稚園園長  森文子氏から幼稚園におけるITの活用状況を踏まえて意見発表があった。
  
【森氏意見発表要旨】

(4)森氏の意見発表を踏まえ、意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。
  
   ○   自園はパソコンが3台あり、全員パソコンを使う。事務の省力化という点から、書き直しが大変楽で、事務がとても楽ということは実感している。専門の人がいてもパソコンの前に長時間いるのは幼稚園の場合無理があり、それが今後の課題。
  
   ○   肖像権については、ホームページに限らないが、写真を出す時に、必ずお子さんの写真、作品等のホームページ掲載に関し、保護者から同意をとっている。
  
   ○   幼稚園へのパソコンの設置は、現在1台。国のIT推進と連動して、地域でのIT講習が増えている。
  
   ○   先生達のパソコンを使うための研修ではなく、パソコンを使って研修を面白くしたり、何か分かったことをパソコンにデータとして入れていくなどの方向はあるのか。
  
   ○   そういう研修主題が出てくるように働きかけている。区幼協の発表では、全部パソコンを使って行っていた。
  
   ○   幼稚園だけでなく、家庭からも直接、区や教育長にメールを送ることもできる。
  
   ○   幅広く意見を吸い上げる方法として、メールの活用などが今後の1つの解決法にもなってくると思う。
  
   ○   父親が会社からパソコンを使ってアクセスしたりするという点では、普段とは違った意味で新しい保育参観みたいな形式ではないか。
  
   ○   ある幼稚園関係のホームページに掲示板をつくったところ、いたずらをされた。悪用され、一保育者の細かい点までチェックされるとなると、学校の在り方そのものが難しくなってくる。コンピュータを学校が導入していくには、きちんとした考え方を持っている必要がある。新しいメディアに対する学校の取り組み方の研究をしておかないと、振り回される。
  
   ○   危機管理システムなども含めて検証する必要がある。また、母親と情報交換していく場合にパソコンの所有率は大変上がっているが自宅で端末をおけない方、そういう方にはどういった形で説明責任とかを果たしていくのか、あるいは情報交換をしていくのか。
  
   ○   情報全てをインターネットでというふうには考えておらず、十分討議して頂いて、それを参考にさせて頂き、これからのことを考える。今は公式ホームページには掲示板は開いていない。
  
   ○   パソコンの活用や、IT化を図ることによって、どういう教員像をもっているのか。また、パソコンの活用の前に持っていた教員像と、IT化を図ることにより教員像がどう変わったか。
  
   ○   1人1人の持っている資質は、それほど変わるものではない。時代に応じて、専門だけではなく、ある程度全て対応しなければならないが、得意なものがパソコンであったり、音楽であったり、パソコンができるできないにかかわらず、いろんなところでその先生が光っていけばよいと思っている。

(初等中等教育局幼児教育課)

ページの先頭へ