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幼稚園教員の資質向上に関する調査研究協力者会議

2002/01/18
幼稚園教員の資質向上に関する調査研究協力者会議(第4回)議事要旨

幼稚園教員の資質向上に関する調査研究協力者会議(第4回)議事要旨

1. 日   時
  平成14年1月18日(金)10:00〜12:00
 
2. 場   所
  経済産業省各省庁共用会議室  825会議室(別館  8階)
 
3. 出席者
  (協力者) 無藤委員、岩立委員、宇田川委員、合野委員、酒井委員、島内委員、園委員、原委員、望月委員、森本委員、湯川委員、渡邊委員
  (文部科学省) 小松幼児教育課長、小田視学官、山崎企画官、神長教科調査官、浅子指導官、ほか関係官    
   
4. 議事内容(○=委員、△=文部科学省)
(1) 事務局から配付資料の説明が行われた後、島内委員から、前回の意見発表の補足説明があった。
   
  【島内委員意見発表要旨】
   保護者のニーズの多様化により、今後個別対応力が必要となるのではないか。特に、外国籍の子どもへの対応や人権教育のようなものが今後必要である。
     子育ての相談先として、幼稚園・保育所への期待が大変大きいことから、カウンセリング能力や親への対応力など親と子の学びの場としての要請は強まっていくのではないか。
     子どもだけでなく、親にも親になるための発達課題があると思われるので、そのような視点からの親同士のネットワークの場として、またコミュニケーションする場としても幼稚園・保育所があるのではないか。
     幼稚園教育の質を高める意味では、コーディネート力や調整能力といった周りの教育的な資源を生かす能力が必要である。
   
(2) 島内委員の意見発表を踏まえ、意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。
   外国籍の子どもが増加しているが、保護者とのコミュニケーションが難しい。幼稚園の保護者も外国籍の方と交流を持とうという気持ちは持っている。問題は、本人の問題よりも馴れていないということがあるのではないか。
   
   外国籍の保護者や障害のある子の保護者たちと心を通わせ、子どもの教育を効果的なものにしていくことが外せない視点である。また、親となるための学びの場にしていくことが大事。幼稚園教員には、保護者が親として成長していくために、学びの場をどう提供していくのか、どう工夫していくのかという力がもっと必要になってくる。例えば、個人面談など幼稚園で行っていることを一つずつ見直す気構えを持たないと保護者に対応していけなくなる。
   
   教員が悩むのは、親になる準備のできていない親に対して、どのように接したり、気づいていけばいいかであり、これをクリアすれば、子ども達への対応もクリアできるのではないか。今は、親を学校に向かせることがとても難しいが、教員側にもそういう研修がない。
   
   今の子ども達は本当の生のものに接する機会が非常に少ない。そこで、教育研究所では、例えば子ども達にバイオリンなどの生の演奏を直接聴かせようという趣旨で「キッズコンサート」を開催している。
     また、このような活用できる資源はいろいろなところにあるが、その情報について、インターネットなどのメディアを活用して収集できるようになってきている。親も情報について、そのような手段を活用するようになっており、幼稚園としても、情報をどうやり取りするかなど、情報収集や発信をする力が重要である。また、それらの力を親や地域などと話しながら作っていく力が必要となっている。
   
   園の職員だけでは手薄になることでも、特技や体験豊富な保護者の能力を活用することにより、幼稚園の活性化を図っている。また、子どもが自分の父親・母親を改めて尊敬することになったり、保護者同士の交流も深まる。
   
   小学校と比べて幼稚園は小規模なため、小学校のように授業負担を減らすことが難しく、例えば地域に出かけて自治会と話をするといったことから、園外の研修に出かけるといったことまで時間がなく難しい状況がある。そのため、一つの幼稚園で全部やるのではなく、幼稚園のネットワークを組むなどの工夫が必要。
   
   逗子の場合は、3〜4園の保護者会が連携し、講演会を開催したりしている。また、私立は地域ごとに協会を設けている。
   
   幼稚園の場合は、教員が若く社会経験の少ない人が多いため、民間会社で働いた人や子育てが済んだ人が幼稚園に戻ることのできる機会を増やすと変わってくるのではないか。
   
(3) 「専門性」について意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。      
   その人の生き方の中で学び取ってきた人生観が、教員の資質に大きく影響を与え、その人を変えることがある。その辺を自己評価するような機会があるとよい。
     ゆとりのなさが子どもを一つの方向でしか見られない、一つの方向に固めてしまうこともある。
     周りの環境の在り方が、その先生を自分から変えていける気持ちにさせていることがあり、どのような段階で、どのような道筋が、資質向上に寄与しているのか考えていかなければならない。
     その人の中からにじみ出てくるような人間性が、やっぱりお母さん達との対応の中でも大事になってくるのではないかと思う。
   
   専門性を考える場合、教育であるとともに、子育てに密接につながっている中で、知識・技術・技能の面がある一方、人間性や生き方をベースにしている。人間性の養成は無理であるが、その人の経験を生かすとか、十分な経験のある人を採用する、あるいは、10年経った時などに、それまでの経験を見直す機会を用意することはできるのではないか。
   
   最近、研究や保護者の対応など様々な面で圧迫感を感じ退職する教員がいるが、教員としての使命感が感じとれなくなっているのではないか。その先生の存在感や必要性を周りがはっきりと当人に伝えていく必要があり、教員を認める評価を忘れてきているのではないかと感じている。
   
   幼稚園教員の専門性は、総合性が必要であり、また、総合的な指導を行うには、一つ一つの専門的な領域の深まりも必要である。
     一つ一つの深まりとそれを統合するのが専門性と思うが、その中で特に安全学習という面について不足しているのではないか。子どもが生活し、様々なものを使っていく中で、一生涯にわたる安全についての考え方の基礎をつくるような場面があってもいいのではないか。その中に子ども達を育てるための専門性のようなものがあるのではないか。
     例えば、子どもの遊びのひとつのままごとでも、全部最初から完璧に与えるというよりは、本物に近い物で使い方などを教えていくのがよいのではないか。
   
   幼稚園の先生は、いろいろなことを要求され、何でも一通りこなせるが、得意分野が少し欠けているのではないか。また総合的にできることが必要だが、得意分野などを持つことで、自信を持って意欲を燃やしていけるのではないか。
   
   得意分野を幼稚園の各先生が持つことは、養成に関しては難しいところ。
     幼稚園は今、保育自体の部分と幼稚園の専門性を活用して弾力的に対応する部分の両方が専門性として求められる方向に動いている。それが総合性として、同時に求められ、これをそのまま大学なり養成校の教育におろすと細切れになるため、そこをどうするか難しい。
     また、幼稚園の中で色々なスペシャリティーを持つ人が協力するというチームワークも問題になる。
     専門の人が一人でもいれば違うと思うが、研修の問題や幅広さと深さの組み合わせが難しい。
   
   小学校・中学校の専門性と幼稚園の専門性は違うが、能力のある教師が学校に2〜3人いると、学校が大きく変わっていく。小学校の教員が育つことを例に考えると、一つの分野について研究するなどして極めたときに、他の教科についても力が発揮できるようになっている。幼稚園ではそのようなことが少ないようであり、そこに力を入れた研修や養成をすればいいのではないか。
   
   幼稚園は、これまで全部のジャンルに精通するよう指導されてきたが、今はティーム保育が提唱されてきており、一人一人の教員の持ち味を生かしたり、得意分野を生かしていくことがクローズアップされてきている。
   
   民間企業への派遣研修があるが、自分の場所を変えてみて、自分の専門性に気づくことがある。民間企業などの研修担当に、どのように一人一人の専門性を高めているか、どのような工夫をしているかなどについて聞く機会があるとよい。
   
   ある特定の専門性を深めるのと幅広くというのは、大きくとらえれば、教職の教育の中でも、いわゆる教職専門と教科専門、例えば、理科教育の場合に、小学校教育に詳しい人が学生に教える場合と、専門の物理学や天文学などの専門家が学生に教える場合と、4年制の大学だと混じるが、その辺の善し悪しは複雑にあるだろう。
   
   これまでのカリキュラム改革の流れが大綱化であり自由選択の幅も増した。一方、現在複数免許の取得が学生に要請され、その関係上、学生にとってカリキュラム上はものすごく詰まっており、自由選択の幅が狭くならざるをえない状況である。このことを養成側としてはどう捉えていけばよいか考えている。
     また、どのレベルでの専門性について議論がなされているのかということがある。例えば、教科であるのか、保育内容という領域であるのか、その人の持ち味なのか、あるいは一つの技術といったレベルでもよいのか。カリキュラムとして組むと難しい面があるが、サークル活動を奨励するような形であればやっていけるのではないか。
   
(4) 「教員養成と教員の採用」について意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。      
   自分の大学では、専修制であり学生が自由選択するようになっているが、複数免許の取得を進めていることから、自由選択はほとんど不可能な状態で、現実には1つの領域や分野に力点を置いた養成は難しい。それよりは、専門性という立場から、生活の中での行動や行為自体の意味をじっくり考える機会を設けることが養成段階では大切であり、一番欠けているのではないかと思う。技能などの部分については、2年間である程度養成できていると思うが、芯の部分が欠けている状況が考えられるのではないか。その意味では、4年制では少しゆっくり考えられるのではないか。
     また、幼小の連携から、小学校教員を活用するという形での緩やかな連携があってもよい。
   
   養成段階での履修状況がかなり厳しくなっており、教員になった後の研修に回すべき部分と養成段階の部分とを考えなければならない。
     また、特定の部分の特に技術的なスペシャルティをどのくらい伸ばすか、もう少し統合性を大事にするか、実習やインターンシップなどにより子どものしていることを丁寧にみて考えていくか、また、その時間をどう確保するかなどいろいろ問題がある。
   
   文部科学省は、それぞれの免許を深めて、それぞれの専門性を身につけてほしいと考えている。複数免許については、学生の要求があり、また、取得する意味があることから対応する大学が増えていると思う。複数免許を取得するのに、様々な形で取得ができるようにしていきたいと考えている。
        
   今の専門性を高めるために、学生が構成している自主ゼミのようなグループを奨励したり、卒業研究を通した方法もあるのではないか。
              
   教員の得意分野や持ち味も必要であり、養成段階だけでなく、教員になってからの生涯を通じての研修段階でも、自分の得意分野を持つことは十分可能である。このため、園外研修を受けやすくなるなどの条件が整備されてくると、自主的であれ、組織的であれ、研修を受けることができ、研究を深めていくこともできる。
   
   私立幼稚園の中で、長く勤める人と数年でやめる人など職員の勤続年数が2極化してきているが、目的をはっきり持ってやめる教員もいれば、いろんな圧力に耐えられず退く教員もいる。このため、特技を持って入った教員が研修にいけるとか、また現場に戻れるというような融通が利く将来的なシステムがあるといい。最近多くなってきたのは、養成段階で単位に追われてゆっくり考えるゆとりがないままに幼稚園教員になったが、現場にでてはじめて自分の生活と教師という仕事を結びつけて考えることができるようになり、新たなものに興味がでてきたという教員もいる。このことは、いたしかないが、それをどうクリアしていくか、また、養成段階で学生の気持ちを汲み取ることができるようなものがあるとは思うが、受け入れる側と養成校との連携ももっと深めていかなければならない。
   
   専門性は非常に多岐にわたるが、専門性の一つとして総合する力を持つことがあるのではないか。遊びの中で、一つの活動が次に広がったり、広がった活動をまた一つにまとめたり、そういう能力が幼稚園の専門的な力という気がする。専門的な領域を教えるということではなく、総合的な展開を図るということも専門性と考えないと、幼稚園が、高校や大学の先生と同じようになってしまう。
   
   養成段階では、子どもの活動の総合的な展開を図るという意味での総合性を養成している。現実には学生が教員生活をイメージできない状況であり、養成段階では、例えば1年目、2年目、10年目といった教員生活をイメージできない。このため、2年制は2年制なりに、4年制は4年制なりに、現職の研修との兼ね合いの中で、長期にわたる専門性に関する研修のプログラムが必要であり、そのためのプログラムの研究や開発が必要である。また、それを担う機関が必要ではないかと思う。プログラムが提示されることにより、養成校教員も学生に関わりやすくなり、学生にとってもイメージがわきやすくなるのではないか。
   
(4) 「現職教員の研修とその他」について意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。
   
   長期研修は、大学院での期間が異なるなど県により実情は様々。研修先が多数で、研修先を当人が選ぶシステムの県もある。そこで研修を受けた人達が県に戻り、中核教員として、教科ごとの組織のリーダーになり、研修を担当したりする。また、研修先として特定の大学などを活用したりすると、随分と変わるのではないか。
     また、指導的教員や、そのレベルの人達が従来の研修を越えたレベルでやっていくべきであるが、最近は縮小気味であり心配している。
   
   企業でも研修は非常に重要視されており、ITや英語のスキルを高めることは職場でやるが、一方スキル的なものだけではなく、会社の風土や客に接する態度、つまり言葉になりにくいものをどう伝えるかが非常に重要視されている。言葉として伝えられるものは形式知、言葉では伝えられないものは暗黙知というように分け、それをどう研修に入れるかということがあるが、そういったことも参考になるのではないか。
   
   企業における研修で、客のニーズをよく知るための姿勢や相手に伝わる話し方、相手の気持ちのとらえ方、客の興味をひくような動き方などを学んだ。これらは、保護者の気持ちをどう知るか、また保護者の要望だけで幼稚園は動いているわけではないため、幼稚園が大切にしている幼児教育のあり方をどう伝えるかなどの参考になると思う。
   
   地方の場合は、幼稚園を取り巻く機関の連携がほとんどなく、養成校との連携と言っても実習だけしかないのが現状である。幼稚園同士で合同行事を開催したとき、学生の手伝いがあったが、自分たちから来た学生は、自分から積極的にかかわっており、そのような点から少しずつ養成校との連携を深めていかなければならないというのが実態。都市と地方では、ある意味でギャップがあると思う。
   
   新規採用者は採用してからの研修等の工夫はもちろん必要だが、採用の段階で、正式に採用する前に例えばドイツなどのような何段階もふまえた採用方法なども参考にしてほしい。
   
   学校区を取り払うという発想が起きてくると、小学校に来てもらえるように小学校の教員が幼稚園に行くような時代になると思う。そういったことからも、もっと積極的に幼稚園教員と小学校教員の意見交換がされ、また幼稚園と小学校がどのような連携ができるのかということになる。そのような新しい体制の中で、幼稚園の先生はどんな資質を持つのかということも必要になるのではないか。
   
   幼小の連携はかなり以前から言われているが、実際には、積極的に行われてこなかった。しかし、新学習指導要領が実施されることを機に、生活科が総合的な学習の時間とともにクローズアップされ、幼稚園と小学校が本格的に交流しだしたのが現実ではないか。


(初等中等教育局幼児教育課)

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