教育情報ナショナルセンター機能の整備に関する研究開発委員会(第1回) 議事要旨

   
                          議  事  要  旨

   

1  日    時  平成12年6月1日(木)14:00~15:30

   

2  場    所  文部省別館205特別会議室

   

3  出 席 者  

  (研究開発委員)大山(敬三),大山(永昭),小松,高橋,田中,富永の各氏

  (オブザーバー )通商産業省及び郵政省の関係官

  (事     務     局)文部省及び国立教育会館の関係官

   

4  議    事  

(1)研究開発委員,オブザーバー,事務局の出席者の紹介

(2)座長に大山永昭氏を選出

(3)事務局から,研究開発委員会開催の趣旨説明

(4)事務局から配付資料の説明

(5)議事の取り扱いについて,会議は非公開とし,議事要旨を公開するこ

      とを決定

(6)本会にプロジェクトチームを設置し,具体的な検討を行うことを決定

   

5  議事要旨(○は研究開発委員,△はオブザーバー又は事務局)

   ◎<研究開発委員会開催要項>へ

   ◎<研究開発委員会名簿>へ

   

   

1  現状説明

   

○  教育の情報化を進める中でも、特に教育情報ナショナルセンター機能の整備は非常に重要であると認識している。特に、情報リテラシーの向上等を考えると、やはり小さいころからコンピュータに慣れ親しむということが極めて重要なポイントだと思う。
   
△  平成11年末の内閣総理大臣決定のミレニアム・プロジェクト「教育の情報化」により、さまざまな施策を展開することとしている。
  これらを踏まえ、平成12年度においては、情報通信手段を活用してよりよい教育ができるように、全国的な視野から教育の情報化を進める教育情報ナショナルセンター機能の整備の一つとして、教育情報ポータルサイト(インターネットへの入り口のこと。以下、「ポータルサイト」という。)を試行的に開設したい。

  なお、開発に当たっては、通商産業省、郵政省とも連携・協力しつつ、平成17年度を目標に、全体の機能の整備を図っていくこととしている。

  本会においては、教育情報ナショナルセンター機能に関する技術的な問題、あるいはスペックに関する問題、運用に関する問題など、幅広く基本的な方向をお示し願いたいと考えている。

   
○  コンピュータなどのハードウェアなどは5年ももたないのが現状である。その意味でも、よりよいものがどんどん安くなっている時代であり、その辺をしっかり踏まえて計画を作ることが大事である。
   
△  これまで、教育情報提供事業は、教育機関それぞれが情報提供してきたが、それらの情報が一体となった形態での提供は行われていない。

  小学校では回線が平均で2本程度であるが、最近になってISDN回線の導入により1本で2回線分の利用が可能となり、多少改善されてきたという状況である。

  本会でご検討願いたいことの一つには、このような個々の学校の情報通信環境にも対応したサービスをどのように実現していくかということである。

   

2  自由討議

(学校の情報環境)

△  文部省として、これまで自治省等との協力により、2001年度までに全ての学校をISDN回線でインターネットに接続するとともに、平成12年度から、新しい教育用コンピュータの整備方針により、コンピュータ教室のほかに普通教室に各2台を整備する計画を策定したところである。

  しかし、これからの学校における高度情報通信環境の教育条件整備のあり方については何ら新しい指標がないことから、これから教育情報ナショナルセンター機能が整備されることも視野に置きながら、今後の整備の在り方についても併せて検討していただきたい。

   
○  学校インターネットに関する事業に協力しているが、いろいろ大きな壁に突き当たって、日本はこのままだと欧米に比べてまずいなという問題が随所にあることに気が付いている。その中の一つとしては、日本では、情報の作り方、あるいは流通のさせ方という構造が未発達ということである。

  教育情報にからむ情報をクリエイトしたものをどういう形で自由に流通させ、先生方が自由に使えるようにするか、法的なものや経済的な原則の構造を含めて、また、技術的な標準化ということにも関連するかと思うが、そういった環境整備がやはり必要ではないか。

   
△  基本的に教育情報ナショナルセンター機能という中でやはり一番大きなことは、各学校にある情報通信手段を使って、学校教育をいかに活性化するかということに尽きるわけであり、学校の教員に対して有用な情報をいかにスムーズに提供していくかである。

  そのほかに、学校で必要な教材を考える必要がある。文部省では、一つは、国立美術館、博物館、図書館、大学及び関係機関が持っている収蔵資料を学校で使えるようにするということがある。

  もう一つは、例えば、よくNHKでコンピュータグラフィクスを使っているが、学校の生物の授業などでも、そういったものをソフトウェアとして使う方が、より効果的ではないかと考えられる。そのようなNHKや民間企業等が開発したフィルム資料などを、学校での利用に限定するという観点から提供していくような仕組みにできないものかということがある。

  しかし、著作権等の難しい問題があり、是非そういうシステムの在り方についても何かアイデアを示していただければと考えている。

   
○  ハードウェアやネットワークは恐らく陳腐化していくものであり、大体端末は3年ぐらいで更新される。ネットワークも大体そんなものだろう。今後導入されるハードウェアは、新しい技術の導入に対応して、いかに置き換えやすくするかということを研究することが大事である。
   
△  教育情報ナショナルセンター機能の整備については、5年計画で短期的な課題と長期的な課題を同時並行で追い続けていくこととしている。
   
○  教育情報ナショナルセンター機能として整備されるポータルサイトについては、今の時点でベストであるということ、本来こうあるべきではないかと考えることに価値があるのではないか。
   

(コンテンツの流通について)

○  欧米に比べて一種の焦燥感がある。我が国の情報コンテンツを作る環境は前時代的である。コンテンツを作ろうとすると、まるで映画を作るような環境でありトラブルが多い。

  各学校でいろいろなことを行っているが、それをほかの人が使うことができない環境になっており、情報コンテンツがスムーズに流れない情報流通の組織になっている。

  情報システムに関して、「草の研究と木の研究」という言い方がある。草は毎年種から芽が出て花が咲いて枯れる。木はだんだん太っていき、同じ花が咲くが、幹が太くなり枝が増えていくという構造である。教育情報ナショナルセンターの機能の整備については、毎年枯れるのではなく、継続的に幹となり、30年40年先の姿も想定したものにすべきである。

   
○  日本では、人材の流動性が低いために、教育現場の人がコンテンツ開発などの分野にあまり出ていない面がある。

  そういう状況では、ソフトウェアを国が開発費を投入する開発する形態は考えられるが、国が行っても、必ずしもうまくいかない。

  それよりも、現場の人たちに技術的なサポートを与えることにより、現場で使えるものを作っていく態勢作りが重要である。

  一部ではボランティア的に取り組んでいる先生もたくさんいると思うが、現状ではそれを流通させるためのインフラが非常に貧弱である。コンテンツを全国的に流通させるような枠組みが日本では欠けていたのではないかという気がしている。

  是非、コンテンツの流通という観点で、このポータルサイトが機能するようにできないものかと考えている。

   

○  ベンチャー的な、若い人が失敗覚悟で試して作ったものも拾っていける気安さのようなものが日本には欠けているような気がする。生徒が作ったものを上手に拾い上げるための何か気安さのようなもの、そういったものがポータルサイトの仕組みの中に生まれてくればいいが。
   
△  既存のものをダウンロードするだけではなく、自分の作ったものをアップロードし、それをみんなが使える、そのようなコンテンツ流通の場としてポータルサイトを構築していければと考えている。
   
○  最近、ソフトウェアではシェアウェアとかフリーウェアとかいう概念がずいぶん広がってきているので、コンテンツに関しても、あまり抵抗がなくなってきたと思っている。  自分が作ったものを使ってもらうことに生きがいを感じる人もいると思う。
   
○  教材のデータベースについて、ソフトウェアをアップロードする場合、どこまでがオリジナルかというような問題が絶えず出てくる。それを公表していいのかというような問題もあるので、そのあたりの整理はかなり難しい。
   
○  著作権の問題もあるので、インフラの整備という点では、学校なら自由に使っていいという素材を一生懸命集めるのが望ましいかもしれない。

  例えば出版社など、学校で使う範囲内であれば自由に使用してよいというものを開拓していき、できればそれらを使って教材を作ってもらうことにする。そうすれば安心して公開できる。やはり、コンテンツのインフラ整備というのは、そういうところから始まるのではないかという感じがする。

   
[次回の会議は7月を予定。(日程は後日調整)]
   

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