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教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議

1999/05/21 議事録

教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議 (第10回)議事要旨


教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議(第10回)議事要旨


1  日    時  平成11年5月21日(金)10:00〜12:30

2  場    所  文部省  5B会議室(5階)

3  出席者
  (協力者)蓮見,中島,安彦,天笠,石原,伊藤,小澤,児島,染谷,高浦,永井,橋本,堀内,山極,渡辺の各氏

  (文部省)御手洗教育助成局長,伊勢呂教育助成局審議官,加茂川財務課長,大槻教育助成局企画官,勝山財務課課長補佐,岩本初等中等教育局視学官,徳久初等中等教育局企画官 ほか関係官

  (意見発表団体)全日本教職員連盟,日本高等学校教職員組合,全日本教職員組合,全国養護教諭連絡協議会,全国学校栄養士協議会,全国公立小中学校事務職員研究会,日本教職員組合 


4  議    事
    教育関係団体から,順次,「教職員配置及び定数の在り方について」並びに「学級規模及び学習集団の在り方について」の意見発表が行われ,各意見発表後に質疑応答があった。(○は協力者)

  【全日本教職員連盟】
  私どもは,昨年来,会員に対するモニター調査,各単位団体におけるアンケート調査を基にして,本年度の運動方針に教職員配置の在り方の具体策を掲げている。
  私たちの基本的な考え方については,資料の1番に記述している。
  2番以降は,具体的にこのように改善すればよいのではないかという意見を述べさせていただいた。
  まず,基本的な考え方としては,学校というところは子供達の成長・行動・心などの問題に関し,多くの困難さと遭遇・格闘・解決していかなければならない場であると考えている。そのため,子供達の指導に当たる教職員の資質が1番問われるところであるが,一人一人の子供に教育をするための適正な教職員数あるいは学級編制の仕方というものは,大きな要素であろうと考えている。
  現在は,標準法で一律40人という物差しで学級数が決められ,教職員数もそのまま決められている。公立学校においては,非常に硬直化した状況である。児童生徒数が1人違うというだけで,学級数・教職員数に大きな違いが生じてきているところに問題があるのではないかと考えている。そのようなことで,公立学校の現場は,運営とか組織作りにおいても,非常に窮屈な状態の中で行っているのが現状であると把握している。そのため,学校現場の状況が十分に教育に生かされるようなシステムへの変更が望まれる。
  また,昨年度告示された新学習指導要領も,今の状況ではそのままでは難しいのではないか。
  したがって,我々としては,教職員配置や学級編制の仕方というものを改善していただき,学校現場の実態に応じたやり方を行政の方でしていただければ大変ありがたい。基本的には,教職員定数を増やしていただきたい。2点目に学級編制の仕方というものを弾力化させていただき,より現場に則したものにしていただきたいというのが大きな視点である。
  2番目の教職員定数の在り方については,まず1点目は小学校は1学級当たり1.5人,中学校は2.0人というような線が妥当と考えている。2点目は,現在の教職員定数については,標準法により教頭も含めた定数として措置されているが,教頭は,それなりの職務を沢山抱えているので,やはり教員という立場,子供達を指導するという立場から,教頭を除いた数で措置していただきたい。3点目は,養護教諭,事務職員については,児童生徒数も加味した定数としていただきたい。特に養護教諭については,現在,子供達の心の問題というものが大きく取り沙汰されていることから,複数配置をできるだけ多くの学校に付けるような方向で考えていただきたい。学校栄養職員については,各自治体でいろいろ違うが,自校炊飯方式をぜひ採用していただければありがたい。共同調理場においても,現在の基準を更に改善し,児童生徒数1,500人につき学校栄養職員を1名というような形で配置していただきたいと考えている。
  3番目の教職員の配置については,特色ある学校を求められている関係から,その地域に合ったやり方あるいはティームティーチング,生徒指導の充実といったもののどこに重きを置くかといった配置が,学校長の裁量で十分出されるようなシステムに変えていただけたらと思う。また,小学校では,学級担任制の中で専科教科をより充実させていただき,個性の伸長を図っていただきたい。中学校・高校では,ティームティーチング,選択教科を充実し,個性の伸長を図るような措置ができればと考えている。
  4番目は,児童生徒の発達段階や諸条件に応じて弾力的な学級編制ができるようにしていただきたい。例えば,小学校の低学年では,現在,市町村によっては,小学校の1,2年生だけに,市町村独自で加配を付けて子供達を指導するようにして非常に効果が上がっているとも聞いている。全国的にできるような形にするためにも,学校長の裁量によって弾力的に学級編制ができるように教職員数をさらに増やしていただければありがたいと考えている。また,特殊学級については,現在,都道府県等が基準を持っているが,特殊学級の子供達が1人でもその地域の中にいれば,やはり学校の中で教育を受けられるようにすべきではないか。中には,バスや電車を使ったり,あるいは,父親・母親の送り迎えで遠方の学校に通っている特殊学級の子もいる。そういった場合について考えていただきたい。2点目は,1番大きなところになると思うが,学級編制の基準については,現在,標準法がそのまま都道府県の条例として生かされているが,学校現場の実態に応じるため,学校長に権限を持たせていただきたい。一律何人という形で法律とか条例で決められてしまうと,そのとおりでしか動けない。やはり,学校の現場裁量が生かされる形でお願いできたらと思う。3点目は,学習集団についてであるが,例えば,国語と算数では特性が異なる。大人数でやった方がいい教科や,少人数でやった方がいい教科とかいろいろあると思う。そういったものも,学校の中で自由に集団が形成できるような形にしていただけないか。
  最後の5番目は,学校運営上必要な措置などについて述べさせていただきたい。やはり,定数を改善するためにも,いろいろな学校運営上の措置が必要なのではないかと思う。現在,主任制が十分機能していないような地域もある。あるいは,形骸化されているようなところもある。そういったものもきちんとしていただき,主任というものを資格化されたものとして扱っていただくことで,優秀な教員には,それに応じた待遇を与えるべきだろうと思う。そういったもので給与や人事等に反映をさせていただきたいと考えている。

○  いただいた資料の3教職員の配置と4学級編制と学習集団について,具体的にどういう形で校長の裁量を拡大すればこういうことが実現できるとお考えなのか。

  (全日本教職員連盟)  
  学校長の裁量権限については,具体的には,まだそこまで検討しているわけではないが,学校長が学級編制を決めるという法律上の文言でもあれば,簡単にできるのではないかと思うし,地方分権に係る一括法案の中で,通学区域であるとかそういったものを市町村と都道府県との届け出制に改めるというような部分があると思うが,学校長の届け出制にしていただき,それを市町村なり都道府県が認めていくことによって,可能になるのではないかと考えている。具体的に細かいことについては,まだ十分検討はしていない。

○  資料の「2教職員定数の在り方について」で,1学年の学級数に対する教職員を小学校1.5人,中学校2.0人とある。これと「4学級編制と学習集団について」の弾力的な編制で,例えば小学校の低学年は少し厚く配置している例とあった。それから「3教職員の配置」で教科等によって学習集団を分けていくということがあったが,この1.5人,2.0人ということと,学級集団や学習集団を少し弾力的に考えていくということの関係はどのようにとらえたらいいか。1.5人つけた時に,実際はどういうことをイメージしているのか。

  (全日本教職員連盟)  
  500人のモニターを会員から募り,アンケート調査をした。理想的な学級規模の大きさは,授業をする上での学級ということで書いてもらったところ,やはり20人から30人ちょっと位の数字で幅が広かった。そのようにいろいろな捉え方がある。経験もいろいろあるわけで,例えば小学校で児童生徒が80人いた場合は,現在だったら2学級ということになる。1.5倍すると3人の先生がつくことになるので,それを20数人の3学級に分けてもいいし,2学級にして,1人の先生は加配的な形で2つの教室を受け持つような形や,教科によって2人で受け持ち,あるいは担任がいない時には,副担任というようなことも我々はイメージしながら,1.5人という数字を出した。
  また,中学校の2.0人というのは,学校教育法施行規則で1学級に対して2人の教諭を置くという条文があるので,そのあたりの数字であれば,現在40人で1学級のところが,20人程度ぐらいまで緩和できるのではないかということで,生徒指導の問題等にも十分対応できると考えている。
  特に,我々がイメージしているのは,学級とか学習集団があればそこで最低1人の先生が必ず付き,後の先生は何をするのかというと,1つはそこの手伝いに行く。いわゆるティームティーチング的な形で行く場合もある。中には授業をやっているのはいいが,子供が何かの関係で逃げ出した。それを追いかけて行くような先生も絶対必要ではないか。私は中学校現場にいて,つくづくそれを感じている。やはり子供が逃げ出したら先生方は何もできない。担任の先生が行けばいい。行ったのはいいがその教室はどうするのか。という大きな問題になろうかと思う。そう意味で人的なゆとりというものを考えていただきたいと思っている。

○  教員を単に増やすことだけでなく,教員以外の外部講師とか地域の人材に学校に入ってもらう方が効果が上がるという側面もある。例えば,小学校の総合的な学習の時間で外国語をやろうという学校があった時に教員を増やしてもうまくやれない。ALTに学校に行ってもらった方が効果が上がる。そういう外部の人材の活用ということを,どのようにこの中で考えていこうとしているのか。

  (全日本教職員連盟)  
  私共としては,現在教職員の数だけということで意見を述べたが,今のような推進の仕方,例えば予算に関わってくることかもしれないが,ぜひそういうようなことを推進していただいて子供達のプラスになるような指導ができればいいと思う。ただ,学校というのは閉鎖的な体質が非常に強い面が多いと思うので,外部の人が学校の中に入って指導するという場合に,いろいろと内部の中でも抵抗を感じる人達も沢山いるのではないかと思う。そこを振りほどきながら,いきなりではなかなかできないので,少しずつやっていっていただければありがたいと思っている。
  ALTも最初のうちは,やることが大変難しかったが,だんだんと英語の先生方もそのやり方に慣れてきて,気軽にALTを呼びやすい状況にはなってきた。そういうこともあるので,やってみないと分からないと思うが,ぜひそういったものが実現できれば,プラスになるのではないかと考えている。

  【日本高等学校教職員組合】
  これまで時代に即応して,その都度教育改革が行われ,日本の教育水準が向上してきたということについては,認識しているところである。
  しかしながら,高校進学率が97%に達し,子供達の価値観の相違が生まれる中で,不登校,中途退学,そして校内暴力というふうな状況が訪れるということは,現実であろうと考えている。そういったことを1日も早く解消していく方向の中で,きめ細かな指導を展開するためには,やはり少人数の指導が必要だろう。また,母集団としての学級の人数についても,担任が1人1人に接する時間を確保するということから,学級の人数を減らすことが必要であると考えている。
  1番目の教職員配置及び定数の在り方であるが,児童・生徒一人一人にきめ細かに指導する。あるいは,真にゆとりある充実した教育を実践するためには,教職員の定数増というものが極めて重要になってくると思う。障害児教育諸学校においても,重度重複化といったことで,なお一層十分な指導を行うためには,教職員の定数増が望まれる。しかし,現定数法下においては,標準学級数により教職員の配置及び定数が決定される。将来に渡って考えてみると,生徒が減少する中,学級数の減あるいは財政の悪化等により,教職員の減少といったものが危惧される。こうした中で,学級数を確保し教職員の定数増を図るためには,学級規模での算定基準,あるいは規模加算等の基準を,今以上に見直さなければならないと考えている。また,定数の在り方あるいは配置では,特に実習助手・寮母等については,職名を変更する中で算定基準を見直していただきたい。養護教諭についても,複数配置を中規模校にまで拡大することなどが重要であろうと考えている。また,図書館教育の重要性といった観点から司書教諭の専任化,そして,非常に厳しい財政の状況であるが別枠で配置できるようにしていただきたいと考えている。また,現定数法に位置づけられていない職種についても,明確に定数法上に位置付けるべきであろうと考えている。
  学級規模及び学習集団の在り方については,学級活動は非常に重要な活動である。例えば,学校行事へクラス単位で参加する時,あるいはロングホームで生徒指導や進路指導をする場合,非常に学級活動というものは重要なものである。また,生徒達の学校生活の中で,やはり基礎となる単位が学級であろうと考えている。こうした大切な活動を行う学級規模は,多様化した生徒の様々な個性を見極めながら細かな指導をするため,学級編制基準は,各学校の実状によって弾力的な運用がなされるべきであろうと考えている。そして,漸次30人学級が可能となるような体制が望まれるのではないかと考えている。もう一つ学習集団の在り方ということについては,現在,単位制が全日制にも拡大し,単位制高校や総合学科が導入され,その選択幅の拡大,あるいは少人数教育の必要性が上げられている。こうしたことに関しては,生徒が主体的に学びたい学校を選ぶことができ,生徒の個性を尊重しつつ,きめ細かく効果的な学習が行われるといった観点から,私たちとしては非常に賛成するところである。理想的な学習集団とは,教科・科目の目標や特性に基づき,選択制の幅の拡大が行われる中,選択制が十分機能し必要に応じて,思い切った少人数指導が展開できる集団である。そういった観点からの学級規模であり,学習集団といったものの在り方を考えている。また,そういった集団をつくるめには,教職員の確保あるいは施設設備が十分整えられなければならないと考えている。

○  新しい学習指導要領に創設される総合的な学習の時間について言及していないのは,何か事情があるのか。

  (日本高等学校教職員組合)                                
  総合的な学習時間等については,学校全体の教職員が一丸となってやるということであり,そのことが十分に学校の主体性の中で生きるものであれば,我々としては,賛成していくということであるが,そのためには,当然学校の特徴が出るために,不足する教職員の数を措置することが必要であろうと考えている。

○  高等学校の教員定数について,小・中学校と全く考え方を異にしなければ理解できないと思っている。
  例えば,30人学級という考え方もあるが,実際に高校の先生方は,学級の定数を減らすということについて,特に強い希望を持っているのか。教員の数だけ考えると,大学よりも潤沢という見方すらでき,文系の私立大学などは,学生総数を教員数で割ると,普通科の高校よりも多かったというようなことがある。普通科の高校などの場合,学級数が35位で70人位の先生方がいる。ところが,学級担任という概念でいうと,半分ぐらいの教員が学級担任をしているが,あとは校務分掌の方に回っている。もちろん1人当たりの教科担当の持ち時間が基本にあるので,そういう単純な話ではないと思うが,今平均で14時間程度担当しており,これを17時間程度担当すると1学級の定数を今の40人から25人に落とせる。これは全くの机上の数字だけの話であるが,小・中学校と違っていろんなシュミレーションをすることができる。
  仮に,1,200人位の規模の学校に70人の教員が与えられたとした場合,どのように授業を展開するかという話になるのか,あるいは,単純に40人の学級編制を引き下げるという話になるのか,どういった方向でこの問題を理解しているのか教えていただきたい。

  (日本高等学校教職員組合)                                      
  各現場の先生方は,いろいろな教育問題が山積みしていく中でそれを何とか解消したい,そのためには,きめ細かく1人1人を見つめながらといった形が重要であろうと認識している。だからそういった面で教員数の確保というのは重要だと思う。
  底辺校と言われている学校においては,1人1人を見つめるための教職員の確保という要望が強い。しかし,進学校であると,40人以上でも授業は可能である。むしろ,人数を減らすということは問題にはならない。確かにそういった意見もある。だから,一律では無理だと考えている。しかしながら,いろいろな面を考えると少ない方がいい。各学校の実状あるいはその裁量によって,定数は考えていくべきだろうと思っている。

  【全日本教職員組合】                                                            
  昨年の5月27日から28日の2日間,国連の子どもの権利委員会がジュネーブで開かれた。このジュネーブでの子どもの権利委員会では,条約に関する日本政府報告の審査を行い,6月5日にはそれに基づく勧告が出されている。この勧告は,日本の激しい競争の教育制度を是正し,ストレス,登校拒否,不登校克服の積極的措置を求めるものだった。
  この協力者会議でも,子どもの権利条約に基づくこの勧告という側面からも,学級編制及び教職員配置の検討をいただきたい。
  私たちは,この権利委員会にNGOの一員として参加をしたが,その帰途に,参加していた日本の高校生と一緒にジュネーブのルソー高校の生徒達と交流をした際,この学校が25人学級で実験の際は18人だということであった。「日本では?」というふうに地元の高校生が聞いて「40人だ。」と答えると,「40人のような大勢のところでどうして勉強が分かるの?」と不思議そうにしていた。日本の高校生は,「日本では全部分からなくてもいいんだ。」ということで非常に複雑な顔をして答えたということが伝えられている。
  資料にもあるように,−すべての子どもたちに−という副題を付けている。ここには,私たちの思いが示されている。いろんな子どもがいて,分からなくてもいいということではなく,やはりすべての子どもがということが大事である。そのための教育条件整備が,今,私たちに問われているのだと思う。その点で私たちは,学級定数の小規模化ということが待ったなしの課題だというふうに考え,小学校・中学校・高校30人学級,高校職業科25人,定時制25人にするということを,文部省に対して要求してきたところである。
  この間の調査研究協力者会議での協議の要旨などを見せていただいたが,今の財政状況の下では,新たに大きく定数改善をするということが非常に困難なような感じも受けた。そのため,私達が,教職員配置の定数とか学級規模とか学習集団の在り方を考える上で,その視点をどこに求めるのかということがずいぶん大事になっているのではないか。そういうことから,憲法や教育基本法の個人の尊厳ということばを大切にして,本当に人格の完成を目的とする,そういう教育という営みにふさわしい視点で検討される必要があるのではないかということで,4つの視点と6つの提案は,今これが強調される必要があるのだということで私達が考えていることである。
  4つの視点というのは,1つ目は,子どもと教育をめぐる困難を打開する視点を明確にすることが必要だということである。学校ぎらいを理由にしての不登校の子どもたちの状況,それから学校の授業の理解度の問題。全ての学級は,崩壊の可能性をはらんでいるという困難もある。今の子どもたちと学校教育をめぐる深刻な事態というのは本当に広がっており,学ぶ喜びを奪われた子どもたちの姿に,父母・教職員は心を痛めている。何よりも子どもたち自身が,深く傷ついている。全国的にも,これに対する取り組みあるいは調査が私たちの組織の中でされているが,例えば,全教広島というところが,広島教育研究所と一緒に,子どもの「むかつき」調査を行った。この調査での教師の回答の中でこういうのがあった。「私は,子どもたちにむかつかれているのかと思うとちょっとショックだった。3年生の時まで25人から28人の学級で,4年生になって40人になったので,やはり勉強が分からないとおもしろくない。そう思う子が多いというふうに思った。私もこのことで悩んでいる。」そういう学習の困難ということと,クラスサイズの問題というのは深い関連をもっている。それが,むかつきにつながっているというようなことが出てきている。こういう状況が全国的なものとして今問題になっている。「学ぶこと自身から逃げ出す,学びからの逃走」というようなことが言われているが,あるいは,そのことを合わせて「リテラシーの衰退」というようなことも言われている。私達の未来である子どもたちが,本当にどういうふうになるんだろうというような深刻な状況になっていると思う。そういう点では,それにふさわしい視点での議論,それから教育条件の整備ということが求められているのではないかと考えている。
  2点目は,教職員が子どもたちとじっくり向き合える教育条件整備を図り,学校現場で悩みながら奮闘している教職員を励ますことである。いくつかの調査について,紹介させていただいているが,教職員が本当に今ストレスを抱えながらどうしようかということで悩んでいる。新しい「荒れ」と言われていることに対する特徴的な取り組みというのは,本当に文字どおり1対1の子どもとのつながりを基礎にした取り組みになっている。こういう点でも,少人数学級と教職員定数の改善が図られれば,この取り組みを大いに励ますことになると考えている。
  3点目は,子どもや父母・教職員の願いに応えるということである。民主教育研究所がこの2年間に全国調査をし,その結果と分析について,鳥取大学の先生がまとめたものを出しているが,そのまとめでも,意識の問題として,子ども・父母・教職員それぞれが,少人数学級を望んでいるということが圧倒的に多かった。この願いに応えることが大事ではないか。
  4点目は,少人数学級に向けての全国各地のいろんな自治体の努力に耳を傾け,少人数学級に向けた国民的な合意水準に応える必要があるのではないかということである。こういう自治体なりあるいは全国的ないろんな取り組みというものを反映するということが4点目の視点であるが,そういう視点と併せて政治全体の流れの中でもいろんな考え方・政党があるが,政党の中でも基本的には,少人数学級への移行ということが合意されてきているのではないかと思っている。細かい定数の在り方についての提案等については,お渡ししてある資料のとおりである。全教としては,考えを確定して文部省に要求してきたというものではないが,文部省にもお示しもし,全国のそれぞれのところで議論をしていただくための素材として出したものである。いずれにしても,一律に教職員定数をこういうふうに決めて,それを学校あるいは地域に押しつけるというやり方ではなく,それぞれの地域で議論をしていただいた上で,それを保障できるような配置の在り方ということも必要であると思っている。
  具体的な提案については,1〜6に示してある。1つ目は,1学級の編制は30人以下を基本とするということと,小規模校への加配と複式学級の解消ということは,私達が全国あちこち飛び回って地元の教育長さんなりと話しをした際に,これをぜひ何とかしたいということで強い要求が出るということも話しをしておきたいと思う。
  2つ目は,それぞれの自主的な教育課程や教育計画にそった多様な教育活動を支える教職員配置,そういう定数改善が必要だということである。
  3点目は,持ち時間の上限規定の問題である。内容は省くが,そういうようなことをいくつか提言している。
  教育基本法の前文で個人の尊厳を重んじるということが明記されてる。いつの時代でも,教育は1対1という関係から始まる。財政問題で限定した検討をするということではなく,改めてこのことから出発をして,21世紀に求められる知性を育む,日本の未来を子ども達に託すという,そういう観点でこの課題について在り方を考える必要があると考えている。

○  30人以下学級を標榜しているが,これは少なければ少ないほどいいということなのか。視点の第1の学習と自治能力を育てるとか子供同士の社会的な関係等を育てるという点からみると,ある一定の集団の大きさも必要であろうと思うが,この30人以下の意味するものはどういうことか。

  (全日本教職員組合)  
  30人を基準にしてということであり,今の40人学級と同じ考え方である。40人学級は,実際は40人以下学級という形になっているので,同様の考え方である。2人,3人でも良いという意味ではない。

○  資料の1ページ目で,小学校・中学校・高校30人学級の中で括弧して,高校職業科25人,定時制25人と書いてある。
  特に定時制の場合は,少人数学級を実現するというよりも,むしろ定員割れが深刻な実態で,40人と言いながら例えば1桁しか入学者がいないというように,むしろ生徒の数を確保できないという実態である。そういうことから定時制の少人数ということの趣旨についてお聞かせいただきたい。

  (全日本教職員組合)                                                            
  確かに多くのところでそういうような状況というのは出ている。私達が,定時制の場合25人というふうにまとめる根拠となったのは,全国での定時制の取り組みの中で,皆さんもご承知のとおり,どんどん生徒が退学していくような状況があり,こういうのを避けるということがひとつと,今の定時制高校の子ども達の状況から照らして,ある県の高等学校の教職員組合からは,障害児学校の定数に近いぐらいの対応をしてもらいたいというような意見もあるぐらい,本当に生徒1人1人がいろんな困難を抱えて,でもそこで本当に育っていく,退学者がいっぱい出て実際は少人数学級になったために丁寧な対応ができ,中学校までほとんどものを言わなかった子ども達が,ものを言えるようになったとかいうようないろいろな取り組みを励ます少人数学級編成が制度としては必要ではないかと思っている。



  【全国養護教諭連絡協議会】                                                        
  私達は,養護教諭の複数配置の拡充を心より願っている。
  昨年起きたナイフによって教師が刺殺された事件をご記憶だろうか。大変残念なことに大切な命を失ってしまった。近年,ストレスや不安の高まり,生活習慣の乱れなど,児童生徒の心身の健康問題が深刻化している。これは,いじめ,不登校,薬物乱用,性の逸脱行動,ナイフ等による殺傷行為などの問題行動等の原因になっていると考えられる。このため養護教諭は,救急処置,保健指導といった従来の職務の増加に加え,様々な場面で専門性を生かした健康相談活動や指導を行っている。
  まず始めに,保健室を訪れる児童生徒の増加の現状と養護教諭の対応についてお話ししたい。資料にあるように,今,児童生徒が保健室に居場所を求め数多く来室しており,1日平均の利用者を見ても平成8年度には36.3人と増加している。保健室登校は,特に中学校では37.1%と急増している。しかも,児童生徒の抱えている問題が多様化,複雑化し,1人当たりの対応に従来より多くの時間が必要となってきている。
  2つ目には,来室利用が多様化し,質的な変化が見られる。保健室には,出血や怪我だけでなく,学習面,友人関係,家庭の事情など様々な背景を持った児童生徒が身体症状を訴え来室するようになっている。これらの背景には,ストレスや不安,悩みなどの心の問題があり,身体からSOSのサインを出している。したがって,身体の表面的なものだけでなく内面的な健康状態もきめ細かく観察する必要がある。このような心身の健康に関わるストレスや不安,悩みを抱えた児童生徒に対し,1人1人に合ったきめ細やかな心と身体へのケアを行うヘルスカウンセリング健康相談活動が,養護教諭の新たな役割として重要になってきている。このことは,平成9年9月の保健体育審議会答申の中でも,養護教諭の新たな役割として示されている。養護教諭が,継続的にヘルスカウンセリングを行っている中学校は,平成8年度の調査では,75.8%の割合になっている。
  3つ目には,ナイフによる殺傷事件や薬物乱用,いわゆる援助交際,生活習慣病等の問題行動や健康課題が増加するとともに深刻化し,解決すべき緊急な課題となっている。これは,生命の危機や望まない妊娠等の問題になる事例もあり,その子達への個別指導はもとより,問題が起きる前の指導が決め手になる。したがって,養護教諭が保健や特別活動において,ティームティーチングなどにより集団を対象とした健康教育を積極的に進めることや,生徒指導にも参画することが不可欠である。また,昨年の教育職員免許法の改正により,養護教諭が教諭の兼職発令を受け保健の授業を担当できる道も開いていただいた。養護教諭が授業に参画することで,教室における様子から問題や背景を的確に把握できる。それを保健室の相談活動にフィードバックすることにより大きな効果がある。更に,教育課程審議会答申においても,健康に関する指導の重要性が指摘された。これを受けて,新学習指導要領においても総合的な学習の時間に健康が例示されるなど,健康教育の充実が図られ,指導における養護教諭の積極的な参画が不可欠になる。
  このように,養護教諭の職務は大幅に増大しており,時代の要請に応えるためには1人で対応するのは大変困難になっている。弾力的措置を考える前に,少しでも複数配置を拡充していただきたいと思う。
  先にあげたナイフによる殺傷事件が起きた中学校においては,その後養護教諭が複数配置になり,健康問題への対応はもとより,専門性を生かした健康教育が充実したと聞いている。

○  養護教諭をめぐる環境の変化というのは,確かにご指摘のとおりかと思う。
    複数配置の場合,養護教諭の職務の分担とか,あるいは2人の連携の在り方とか,望ましい姿といったものをどのように描いているのか説明いただきたい。

  (全国養護教諭連絡協議会)  
  ある複数配置校では,校内分掌については,校内分掌ごとの会議等が同時に開かれるので,一方は健康教育部の方に,1人は教育相談部いわゆる生徒指導関係の方に出ている。それから,保健室に来室する子どもの対応については,休み時間等に1度に来る場合が多いため,そういう場合は,2人で来た順番にやっている。あるいは,緊急性を有する者から優先しながらやっているというような状況である。ただ,両方ともどれが誰の役割分担というのは,分掌的にはできる部分もあるが,子ども達への対応については,それぞれ場に応じて対応していくということがある。
  それから,高等学校の養護教諭の声では,相談をする場合,養護教諭を選んでということも聞いている。したがって,相談しやすい相手に相談できるというメリットもあると聞いている。

○  現行では,30学級以上校への複数配置となっているが,現実的に考えると,学校の状況に応じて弾力的な配置がいいのではないかと思われる。そのあたりをお聞かせいただきたい。また,保健の授業に関われるようになり,どんなメリットが起きているのかという現状と,それから,養護教諭が保健室を空けている間はどうしているのか教えていただきたい。

  (全国養護教諭連絡協議会)                                
  弾力的な配置については,養護教諭の職務は質的にも量的にも大変増大し,既に1人では対応できない状況になっている。ある学校では,33学級1,100人の子ども達と対応しているが,とても1人では対応できないというのが現状である。したがって,どこの学校でも同じように,子ども達の求めに応じた対応ができたらいいと考えている。状況に応じてという形ではなく,やはり複数配置の拡充をぜひともお願いしたいと思う。
  ある公立中学校では,子ども達の問題が非常に変化してきているということを日々保健室で感じている。特に生命の危機すらも感じたり,あるいは,10代の妊娠問題を懸念したり,というように緊急な個別指導が迫られている現状が現場の中ではある。  一方,休み時間には,20人を越える生徒が顔を見せる。中には救急処置,身体の対応が必要な生徒,あとはただそこにいるだけの生徒,現在の養護教諭1人の状況では,ただここにいるだけの生徒については,視界の中に留めて,後で必ず今日中に声をかけよう,ということでその時間が終わってしまっている。このような状況を見ると,ぜひ子ども達へのきめ細やかな対応のために,もう1人養護教諭がいてくれれば,後で声をかけようではなくて,その場で「どうしたの」と声をかけて話ができるだろうと思う。
  また,保健学習の参画のメリットについては,ある公立中学校で,ティームティーチングの方法を取り入れながら,養護教諭が年に12時間程度授業をしている。生徒達は,「先生から身体や心の健康について学ぶってすごくおもしろい。」「今度いつやるの。」と声をかけてくれる。養護教諭は保健室で身体や心のことについて,1人1人が抱えている問題を,いろいろ聞くことができる。これらの1人1人の健康の問題を「保健学習」の授業をとおして,集団指導することができる。
  また,保健室の対応については,当然,養護教諭がこの時間は,何年何組の授業に行っているということを管理職を含め全教員が承知しているのできちんと対応をしてもらっている。

○  ヘルスカウンセリングの重要性は,大変良く理解できるが,今,実験的に配置されているスクールカウンセラーとの違いや,重なってくる部分もあるのではないかと思われる。そのような連携や分担はどうなっているのか。

  (全国養護教諭連絡協議会)  
  ある公立中学校には,平成10年3月までの2年間,スクールカウンセラーが配置され,相談活動に当たってもらった。この学校では,自分自身の悩みやろいろな問題を直接相談室に相談に行ける子というのは,非常に限られていた。保健室には,日常的に誰でもどんな生徒でも,怪我をしたとか具合が悪いとかといって来る。その中で関わっている生徒で,同じお腹が痛いという訴えでも,一応身体的な疾患を疑って対応していく中でなかなか解決しない。重ねて会っているうちに,どうも違った背景がありそうな者については,心理の専門家が学校の中にいたので,すぐに相談をし,その子の支援についてどうして行くか協議をした。これは,養護教諭だけではなくて他の先生方も同様であった。
  カウンセラーと養護教諭が2年間仕事をして2人がまとめた結論は,お互いの役割を果たしながら共に働くことができて,子どもにとって非常に良いメリットがあったということであった。

○  複数配置の拡充について,もう少し具体的な考えをお聞かせいただきたい。小規模校であろうとどういう学校であろうと,まず,複数というのが原則であり,もっと大きくなれば,3人,4人といった考えなのか。小さい学校は,1人でなんとかできるが,ある程度の学校になると何人といった具体的な考えがあれば聞かせていただきたい。

  (全国養護教諭連絡協議会)
私共の会で,全国の養護教諭及び校長に対して行ったアンケート調査がある。その中でどういった学校で複数配置が必要かと調査したが,やはり学級規模でいうと,小学校では15学級,中・高等学校では13学級だった。人数的には400人ぐらいは養護教諭1人で対応できるのではないかとは言っているが,実際,アンケートの内容を具体的に読み取ると,6学級以下の学校であっても,あるいは児童生徒数が200人以下の学校であっても,複数配置は必要だという声が強くあった。
  したがって,子ども達がやはり養護教諭を必要としている。あるいは,学校体制の中で養護教諭を必要としている。最近では,親の方もかなり保健室の方に相談にみえたりということで,養護教諭を頼りにしてくれているというような現状から見て,ぜひとも拡充という形で進めていただければありがたいと思う。

○  先程,カウンセラーとの関わりについて伺ったが,心の教室相談員が昨年9月から配置されており,いろいろな学校の対応の仕方等,又はその効果等を耳にされているのではなかろうかと思う。心の教室相談員との関わりについても触れていただきたい。

  (全国養護教諭連絡協議会) 
  カウンセラーがいない中学校については,心の教室相談員が配置されている。心の教室相談員は,特に子どもの指導・問題に対してというより,何か気軽に日々のことを話せる相手ということで来てもらっており,学校生活のことだけでなく,良き話し相手として活動している状況を耳にしている。

  【全国学校栄養士協議会】 
  学校栄養職員の単独校調理場全校配置と共同調理場複数配置についてお願いしたい。
  資料の1番目について,平成8年度のO−157の食中毒の発生は,日本中を震撼させるものだった。学校給食においても,7,000名余の有症者,5名の尊い命を奪われるという大変痛ましい事件だった。学校栄養職員は,従来から調理場において衛生管理の指導は行っていたが,新たに衛生管理の責任者として位置づけられ,食中毒の防止のために細部に渡り仕事が増大してきている。食中毒は今までも発生しているから,なぜそこまで徹底した衛生管理をやらなければならないのかといえば,それは症状により死に至ることがある,少数菌でも起こりうる,食品が広域に流通するようになり新しい菌が発生源となるということである。
  衛生管理責任者として,危機管理体制の整備から始まり,毎日の調理過程における管理すべき点を作業工程表などにより調理従事者に明確に示し,記録等も徹底してきた。また,食材についても流通に関する知識を広め,納入業者の衛生意識や調理従事者に対する衛生管理意識を高めることもやってきている。平成10年度は,関係者の努力により7件の食中毒事件となり,私共だけの力とは言えないが,給食関係者が必死に取り組んできた成果が現れてきたのではないかと思っている。しかし,全国的に学校給食以外では,食中毒は減少していない。油断すれば,またいつ食中毒が起きても不思議ではない状態であり,安全な学校給食を提供するためには,学校栄養職員の配置は不可欠である。
  学校給食単独実施校には,完全配置をしていただき,併せて共同調理場においても,現在1調理場の受配校は6校となっており,2,500食以下は1名の配置となっているため,複数配置にしていただきたい。
  次は,資料2と3について,成長期における生活習慣の乱れにより,貧血・肥満,アレルギーなど将来の健康に大きな影響が現れることが指摘されていることは,ご承知のとおりである。児童生徒や保護者に対する個別指導を含めた食事指導が,私共の重要な役割になってきていると思っている。これらのことは,中央教育審議会の答申でも指摘されているとおりであり,教育課程審議会答申においても,食に関する指導をはじめとする健康に関する指導の在り方が検討され,総合的な学習の時間に健康が例示されたのをはじめ,新学習指導要領においても充実されたところである。健康教育は,単なる知識ではなく児童生徒の日常生活の在り方にかかっているものなので,教員,養護教諭,学校栄養職員らが力を合わせ,保護者・地域と連携して行わなければ実現できないものである。学校栄養職員も,ティームティーチングや特別非常勤講師として指導を行っており,指導内容に広がりができてありがたいと担任教諭からも喜ばれており,非常に効果を上げている。
  食べることは生きる力である。児童生徒に生きる力を付けるのは,食の基本である。専門家として食に関する指導を行うために,自主研修会を開き,資質向上にも努めている。
  私共学校栄養職員が,生きる力に欠くことのできない食べることの専門家として力が発揮できるように,単独校完全配置,共同調理場の複数配置をお願いしたい。
  最後に,この場でお願いすべきものではないかと思うが,全国学校栄養士協議会は,昭和36年設立以来,栄養教諭をめざして頑張ってきた。食に関する指導をしっかり行い,学校給食と健康教育のために役に立ちたいと願っている。栄養教諭実現のためにも定数拡大をよろしくお願いしたい。

○  食に関する指導というのは,今までも部分的にやった実績はあると思うが,具体的にはどのような効果があったのか。また,アレルギーというのは,最近あちこちで良く聞く話だが,これに対してはどのような対応若しくは配慮をしているのか。

  (全国学校栄養士協議会) 
  学校栄養職員は,単独実施校については,1校当たり0.46人であり,共同調理場は,2,500人に1名なので,平均すると1人が6校を受け持っているということになる。そういうことからしても,配置を促進して指導を充実したい。アレルギーについては,学校栄養職員だけでなく,養護教諭・校医・保護者と連携して,今頑張っているところである。また,学校と病院との連携も含めた中で,学校栄養職員がいないところでは,弁当持参という方法で調理しているところが多い。

○  今の質問に関連するが,今後いろいろな教科や総合的な学習の時間に参画されることになるが,具体的に学習に参画する際の仕方や現在うまくいっている学校等の事例があれば,ご紹介いただきたい。

  (全国学校栄養士協議会) 
  学校栄養職員の行っている食に関する指導についてお答えしたい。まず,学校栄養職員は,食事調整という大きな基本的なものがある。この栄養的にしっかりと配慮したバランスのとれた食事を教材として指導することを基本とし,教科の中で教員と力を合わせたティームティーチングで指導を行っている。また,ティームティーチングだけではなく,昨年の7月1日から教育職員免許法の改正をしていただき,特別非常勤講師として,食に関する指導を体育の保健科,家庭科等でも行えることになっている。そのため,私共は,食に関する指導がしっかりと行えるように,昨年の9月から自主研修会を開催し,9,800名全員を対象としてオリンピック記念青少年総合センターで研修を行っており,その効果は大きく上がっていると自負している。

○  単独校の場合には全員配置,共同調理場の場合には複数配置とする根拠は,端的に言うと,食事指導の充実を図るためと受けとめてよいか。

  (全国学校栄養士協議会) 
  単独実施校勤務の場合については,まず衛生管理で申し上げると,現在一応併任という形は取っているが,1度に2つ以上の調理場の衛生管理を行うことは,物理的に不可能である。現在は,主任調理員に任せているが,責任が持てないという声が学校栄養職員の間から多く聞かれるし,学校長など責任者からも学校栄養職員をぜひ配置してほしいという,切実なる声もいただいている。
  また,未配置校の献立作成は,学校栄養職員が行っているが,今までは献立表のみ作成していたのに,O−157食中毒発生以来,2次汚染防止に欠かすことのできない作業工程表,作業導線図も作成することになった。しかしながら,現状では調理場に合わせて工程表を掲示することができない。その上に主任調理員に対して,献立に合わせた衛生管理上のきめ細かな指導も行うことができない状態である。
  次に共同調理場勤務の場合であるが,資料4にあるように,現在平均して6校の受配校がある。取り扱う材料も大量であり,調理過程も分業で行われている。食数が多く一旦食中毒が発生すると,有症者も多数となる。現在の2,500名以下の調理場1名配置では,食材料の納入から調理,学校への配送まで目が行き届かない状態にある。
  今までの配置基準は,O−157やサルモネラなどの少数菌による発症の感染症が増大する以前につくられたものであるので,対策を考える観点からも,ぜひ見直しをお願いしたい。
  また,次に食に関する指導の充実から申し上げると,学校栄養職員の未配置校の指導,共同調理場の受配校への指導のいずれにおいても,今の配置では指導が手薄になっている。先程出たようにアレルギー等の対策を含め,児童や保護者に対する個別指導についても,食に関する専門家として指導は大切であるし,ますます重要性が高まっていくと思われる。以上のような現状から,単独校1校1名完全配置,共同調理場には複数配置を重ねてお願いしたい。

  【全国公立小中学校事務職員研究会】  
  まず次の3点から意見を申し上げたいと思う。一つは,学校規模に関わりなく学校には学校事務が存在し,学校事務を担当する事務職員がいなくてはならないということである。
  二つ目は,学校事務の確立が重要であり,かつ新たな要請を求められている今,事務職員の複数配置基準を標準学級以上の学校にするということである。
  三つ目は,今後の学校事務の重要性・効率化に対応するには新たな加配制度を創設する必要があるということである。
  先の中教審において,学校の自主性・自律性の確立が強く指摘された。また,保護者,地域社会への説明責任,アカウンタビリティーを学校に求めている。教育委員会の事務を精査し教育委員会と学校の事務を再配分し,学校が自主的・自律的に教育活動を行っていくためには,学校運営を円滑に行う制度の確立,人的配置がますます重要になる。そのためには,事務職員の配置と活用がより一層不可欠な要素となることはいうまでもない。私共全事研に参加する事務職員は,各学校において児童生徒の教育活動を支える事務機能の充実・整備・拡充のため,学校事務を担う専門職員としての自負を持ち努力しているところである。
  学校事務職員は,校長の監督を受けて総務,庶務,財務,管財,渉外等の事務を司る職員であり,学校の運営上重要な役割を果たしている。規模の大小に関わらず学校があるところ常に学校事務が存在する。学校事務が存在するところ,そこには事務職員が配置される必要がある。少子化あるいはクラスサイズ縮小の国民的ニーズと相まって学級数で学校の規模の大小が測れなくなる状況がある。現在の定数標準法は,学級数を算定基礎としているが,今後はその物差しが当てはまらない学級編制が地方自治体ごとに行われるであろうことは必至である。私共全事研の立場でいうと学校単位で事務職員の定数及び配置を最低限保障していただく仕組みをご検討願いたい。
  子どもの数の減少により学校の小規模化が進行しており,その一方で総合的な学習の時間の導入や選択教科の拡大,あるいは学校予算を各学校の要求や実践に応じて編成するなど,学校裁量権限の拡大に応じて学校の責任で判断し対応することが必要になる事務,業務が今後増えることが予想される。授業形態,学習集団の編成の仕方に応じた予算編成や執行,教育委員会との連絡調整など処理する事務も増大する。適正,厳正,効率的に事務を執行,処理し,円滑に学校運営を図るには,いわゆる標準学級規模の学校を物差しとすることが考えられる。複数とは2とは限らず3も4も複数であるので,そうした定数算出の基礎をご検討できれば幸いである。私ども事務職員から見ると,学校においても多様な学習集団,学習形態の展開に応じて円滑な教育活動の実施のために学校間,地域社会,公的機関との連絡調整などコーディネーターとしての役割も重要な仕事になってくる。
中教審答申で言われている学校の事務,業務の効率化,業務の共同実施は,重要な課題だと受け止めている。特色ある学校づくり,総合的な学習の時間などの課題と合わせて学校の事務,共同実施の在り方が様々な形で行われて行くだろうと思う。こうした状況に備えるために学校事務の分野においても,TTの発想と同じく事務職員の加配制度についてご検討いただければ幸いである。共同実施するブロックなり拠点校に事務職員を加配すること,さらにこうした学校事務,業務の共同実施体には,高校の事務長に準じた総括者としての事務職員の加配措置が必要だと考えている。今年度新たに定数標準法施行令が改正され,第5条第3項中教育指導の改善の下に「若しくは事務処理の効率化」の文言が加わり,事務職員の長期研修としての加配の制度が新たに発足した。このことは,私ども全事研の願いを叶えていただいたものと文部省に厚く感謝したい。

○  学校の事務・業務の共同実施とそれに伴う学校間の連携,ブロック化,拠点校の重点化と各学校全校配置という主張との関係をどのように考えているのか。
  もう一つは,事務・業務の共同実施というのは具体的にどのようなことをイメージしているのか。

  (全国公立小中学校事務職員研究会)
  共同実施の中味と全校配置の関わりということについては,論理的には矛盾する構造にはなっているが,私達の願いとしては,全校に事務職員を配置していただきたいというのは,基本的な願いではあるが,そのことは,事務職員のパイを確保していただきたいということがある。
  また,共同実施については,これからのクラスサイズの縮小,いろいろな弾力化ということを含めて言うと,定数の算定と配置というのは別個の問題として考えていかなければならないのではと思っている。そういう意味で,全校配置という言い方の中で,現在の事務職員の定数の枠を確保しながら配置をそれぞれの各県の状況に応じて考えてもらうというルールというものも作っていただきたいと思うし,共同実施という在り方の中では,配置の問題として事務職員をもっと有効に活用できる道というのが考えられていくのではないのかと思ってる。
  共同実施という中味の問題は,このことは中教審でも言われたが,教育委員会が行う事務と学校が行う事務とをもう少し再編成し,役割分担を明確にしようという課題も投げかけられているので,教育委員会が行う事務が徐々に学校の方へ裁量権として委ねられていくだろうと思われ,そういう部分を学校の共同実施という中で行うということは如何であろうかということで考えている。具体的には,特に学校予算は,学校現場の状況に応じて現場の中で対処していくことは必要であろうと思うが,特に県費職員というくくりの中では,県の事務というのも大きな比重を占めているので,そのことについては,ことさら学校で処理するよりも一定の規模の共同実施という形で,例えば,教職員の給与,福利厚生や共済組合の部分などは,その共同実施という中で地区の教職員が対応することは十分可能であると思うし,あとはそれぞれ各学校間の事務のレベルアップとか,事務職員自身の研修の問題であり,これが,学校事務のレベルアップにもつながって行くだろうと考えている。

○  定数の問題と配置の問題とは質的に別のものという考えであると伺ったが,現実論として,事務・業務の共同実施については,小・中学校を考えた場合に,数から言うと過半数を占めている小規模な市町村では,例えば,小学校2,3校,中学校1校しかないという場合が多いが,市町村教育委員会レベルでの事務の統合というものが,それなりの意味を持っているものなのか。または,各学校で固有に行わなければならない事務というものを前提に考えなくてはいけないのか。どのような方向をお考えなのか,特に小規模な市町村の場合に限定してお考えを伺いたい。

  (全国公立小中学校事務職員研究会)
  私どもの願望の部分が強いのだが,どんな小さな学校でも学校事務は現に存在するし,3学級,4学級の学校の中でも学校事務の一定の完結という意味では必要であろうと思う。事務の体制というのは必要であろうと考えているが,そのことと共同実施というものを考えると,最低,定数が保障されれば事務職員の配置としては,対応できるだろうと思うが,これも各県の配置状況というのがまちまちであり,全国一律に押し並べて考えるということは,かなり矛盾も生じてくる課題だと思っている。
  加配ということも言ったが,プラスで加配ということが共同実施という一つの単位の中で考えられていければ,一番我々としては矛盾が少なくなるのではないかと考えている。

○  学校事務職員の仕事の中で,庶務,総務,財務,情報,それ以外に学校開放に伴う事務作業や地域との連携に伴う事務がかなり増加していると思う。その反面,地方自治体によっては,OA化に伴い事務職員を減少させる傾向にある。県費職員と区市町村の職員がいるわけだが,県費職員だけの配置で区市町村職員を全部各学校からなくすという方向のところもある。全国的にどのような情報があるのか。


  (全国公立小中学校事務職員研究会)

  地方交付税で措置されている事務職員の配置の状況だと思うが,実態は,標準学級規模である小学校18学級以上のところに,それぞれ市町村が独自に交付税措置の事務職員を配置しているということはある。しかし,これも全部の市町村で配置されているということではない。交付税措置であるため,市町村の財政難という現在の状況の中では,市町村費の事務職員が首長部局の方へ引き上げられている実態はあり,そのことも事務職員の中では大きな問題として捉えている。


  【日本教職員組合】
  日教組は,これまで教育改革について,条件整備が何よりも必要であり,そのためには人的保障が不可欠であるということを申し上げてきた。また,そのための財政の裏付けが何としても必要だということも申し上げてきた。  
  現場の教職員は,目の前の子どもたちに応えたい,いい授業をしたい,そう思っているが,なかなか大変な学校の状況がある。子どもたちもまた本当に人とつながりたい,分かりたい,そして自分らしく生きたいんだという願いを持っているが,私たちはそのような願いには,なかなか応えきれていないと思っている。
  私たちは今,教育を良くしよう,改革をしていこうと運動をしてきているが,まず,子どもたちの願いや教職員の悩み,要求,そういうところから出発しなければならないということで始めているところである。資料「ゆきとどいた教育・ゆとりある学校をめざして,30人以下学級を実現するために」にあるように,私たちは30人以下学級の運動を始めているが,ただ単に30人以下にすればいいということではなく,今の学校の在りようや自分たちのやっている授業内容を,本当に問い直していくことも一緒に進めているところである。
  まず,今の子どもたちはどういう状況か。私たちはこのあたりをきっちり捉えたいと思っている。同資料の1番先にあるように,国際的な調査の中で,学力は高いけれども勉強嫌いであることが明らかになっている。そのことはやはりその後の学力の形成に非常に大きな影響を及ぼしているのではないのか。また,2つ目の資料「教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議説明資料」の1は,広島県教組の1万2千人の調査の抜粋であるが,ほんとに勉強しない子どもたちが増えており,それを学年を追ってみると,中学生になるほど勉強しないという。4分の1はほとんどしない。30分というのが4分の1。その次のページをみると,キレルという言葉が使われているが,授業が分からないほどこういうような状況が明確になっている。無業の状態ということがこの頃よく話題にされるが,中卒者の追跡調査では,4人に1人が無業の状態か不明である。そういう状況を見ると,本当に21世紀の日本社会が危惧されるという状況であり,私たちは,教育を中心課題にしてみんなで考えていかなければならないと思っている。
また,私たち教職員の悩み調査を見ても,77%が子どもたちの変化に悩みを抱え,子どもたちの関わりに悩んでいる。5割近くの教職員が本当にゆとりがないと答えている。つい最近の学級担任調査では,以前では学級担任をしないと一人前として扱われないという考え方があったが,辞めたいという学級担任が34.8%おり,原因として子どもとの関係が非常に難しいといっている。しかし,一方では91%の教員が楽しく学べる授業をしたいと答えている。多忙感ということもしばしば言われるが,この調査をずっと見てみると,多忙感というのは仕事がたくさんあるということもあるが,まず第1に良い授業ができない,子どもたちとの関わりがきちっと持てないということからこの多忙感というのが非常に大きくなっているのではないか,と私たちは捉えている。
  この調査では,小学校の調査であるが,持ち時間が平均26.9時間,複式では27.7時間,校務分掌は平均5で小規模校ほど多いとなっている。クロス調査で,辞めたいという数と校務分掌が多いということが非常に密接に関わっているということが分かってきている。また,教職員の年齢構成も非常にアンバランスで,平均年齢が高くなっている状況である。学校の施設設備では,大規模改修が必要とされる校舎は半数を越えていると言われており,私どもの調査した電話回線も小学校では2回線となっている。今,父母と連携を取りたいと言っても,電話もかけられないという実態である。昔学校は文化の中心だと言われていたが,今はそういうような状況ではない。
  実態からすると,子どもたちが学校に合わないということではなく,学校が子どもたちに不適応になっているという捉え方をしなければならいのではないか,と私たちは考えている。学校改革,授業の改革が必要になってくる,私たち自身の意識改革も必要になるだろうという論議を組織内でしているところである。
  これからの学校の在り方ということも「意見書」の2頁にあげてあるので見ていただきたいと思うが,これからは地域のコミュニティーの拠点としての学校,子育てを地域とともに支援するということ。それから,教員以外の学校に働くすべての人たちが関わり,協力協働の中で子どもたちを育てていくこと。授業や活動の在り方をみても,一斉授業ということでは子どもたちに応えられない。多様化,個別化ということに応えるにはやはり一人一人を見る,共に学ぶ教育というようにしていかなくてはならない。教職員の役割も一人一人が育ち,それから学習課題を捉えるカリキュラムを開発する力,保護者と地域の人々と協力し合う力,そういうことが求められてきていると思う。
学級集団や学習集団の在り方がこの協力者会議でも議論になっていると思うが,現在,学級集団イコール学習集団と捉えられており,小学校では一人の教員が全部指導することになっているが,私どもは学級集団と学習集団の在り方は別々でいいのではないかと考えている。生活の単位ということで学級集団,そして授業の学習内容によってフレキシブルなものにしていくというようなことを考えている。
  「意見書」の3頁の教職員の定数や配置改善の基本というところで,私たちが是非協調したいと思うのは,私たちは30人以下の学級と言っているが,それは教職員定数を算定する基礎数であるということで,それを学校ごとの実態に応じて決めていけるというようなフレキシブルなやり方というものも可能にしていけたらいいと考えている。それから教職員の持ち時間数,特に小学校の持ち時間数のことは是非お考えいただきたいと思う。私どもの調査では27時間に近いが,文部省の調査ではもっと低い数字になっているように聞いている。定数法が小学校26時間を基本にしていると聞いているが,それからしても少しも持ち時間数が減っていない。これは授業時間だけの話で,朝の会とか帰りの会,給食指導,清掃指導などが全部含まれていない。それに,校務分掌,会議,研修などがあり,本当に子どもたちの授業を良くしていきたいというときに,準備する時間も研究する時間もない。それが一番の悩みだというような訴えが最近は非常に多くなってきている。小学校では全教科,毎時間違うので,本当にきちんと子どもたちに応えられないのも,ご理解いただけるのではないかと思う。
  当面する重点の目標ということで,特にアメリカ・テネシー州で行われている「スタープロジェクト」のナイ報告にもあるように,低学年のクラスサイズを小さくするということが,学力向上や,成人してからも効果があるという報告があるので是非お読みいただきたい。学力面だけではなくて男女だとか人種だとかの不平等のギャップも埋めることができるということ。子どもと保護者のつながりを深められたとか,先生が子どもに優しく指導できるとか,教員が自分の指導に自信が持てる,教師同士のつながりが深まる,そういった利点もあるということを研究に関わられた方が強調されていた。是非丁寧な指導が小学校低学年に必要であることを強調したい。
  それから,中学校においては,文部省調査ではもう32.7人になっているということがよく言われるが,30人以上のクラスが83%にも上っているという。このことは,重要に捉えていただきたいと思っている。中学校が大変難しい時期でもある。そういう時期に本当に目をかけて,手をかけて子どもの話を聞いてやらないといけない時期にそういう規模のクラスになっている。それが大規模校のところにやっぱり集中しているということで,ここに是非目を向けた改善をしていかなければならないと思っている。    高校においては,総合学科の講座などを本当に充実させるためには,もっと加配が必要である。それから,新しい教育課題ということで選択履修とか総合的学習ということが盛り込まれたが,そのことに対して今のままではとてもやりきれない。総合学習をするには準備に3倍の労力が必要とされている。今の状況でやりたいと思っても一緒に集まって相談する時間もない。特に中学,高校では非常に難しい状況である。そういうようなことで,コーディネートする人も必要だが,私たちは,そのコーディネートは机上のものではなくて,生徒と毎日関っており,子どもたちの実態や生活課題や学習課題がきちんと分かっている,そういうような人たちがコーディネーターであればいいと考えている。
  授業時数のことで,教頭とか教務主任の授業数は非常に少なくなっているし,指導主事の問題などもあるので,私たちとしては子どもたちに直接関わる授業を持つ人を是非増やして欲しいということが切なる願いである。

○  学級集団と学習集団を少し機能的に分けていこうというご意見をお聞きして,なるほどと思っている。そのときに問題意識として,いわゆる学校の荒れへの対応と,子どもに楽しく学びがいのある分かる授業を行うということもある。もう一つ教員を取り巻く状況として非常に多忙であるということもある。これらの大きな問題を解消しようとするときに,今の学級定数なり学習集団を考えていくことで両方の問題が解決できるのか。例えば,教員の多忙ということを解消することと,定数を改めることがどう結びつくのか,あるいは学級定数を少なくすることで,楽しい分かる授業をすることができるものなのか。これらの点についてどのように整理されているのかお伺いしたい。

  (日本教職員組合)
  かなり大事なご指摘をいただいたと思っている。最初に,多忙感の問題であるが,意見書の方にも書いたが,教職員の多忙感は,解消するには単に定数だけではなく,さまざまな校務分掌の負担の在り方,学級事務,研修,会議であるとか,そういうものをどのように精選していくのかということを考えている。先程申し上げたが,学級担任を辞めたいという傾向と校務分掌負担の数に相関が出ている。校務分掌が4以下である場合と10以上を比較すると,4ポイントずつ高くなっているのを見ると,多忙感というのは子どもと関わっているところから起こっているわけでは必ずしもない。むしろそれ以外のところから起こっている様子がある。このことからすると,校務分掌をどういうふうに削減をしていくのかということや,業務そのものを学校の中だけでなく,地域全体で共同処理をしていくとか,さまざまな改善工夫が一方では立てられなくてはいけないと思っている。
  それから,もう一点の学級集団,学習集団の問題だが,さらに検討を深めていかなければいけない問題,実践的課題というふうに考えている。例えば,各教科の性格や活動の在り方というのは,それぞれ違っていると思っている。中教審答申や教育課程審答申では,現在まだ審議されていないと思うが,これからの学校の教育評価の在り方については,各教科の性格や各学校段階によって違えていくということを示唆されたが,それに見合った考え方は何かということを考えると,非常に系統性が強い教科ではどうしていくのか,表現という教科ではどうしていくのか。それぞれの学習集団の在り方は当然違ってくると考えており,そういった点では,30人学級自身をどういうふうに各学校が具体の課題に即して編制をしていくのかということで,教育課程の改革や授業改革と定数とを必ずリンクして改革をしていくという方向が望ましいと思っている。

○ 他の組合と共通の問題だが,教員の仕事の中身について,教員以外の職員を増やして,コーディネーターといった部分を他の人員に任せ,自分たちはより専門的なことで仕事をしていきたいと考えているのか。あるいは,逆に自分たちは多様な仕事をやらなければならないからこうすべきというふうに考えているのか。

(日本教職員組合)
  協力協働ということを強調したいと思っているが,専門性を生かして子ども達と関わっていくということが基本で,今までの学校の在りようをそのままにしておいてという議論には成らないと思うが,やはり地域の学校を作り上げていくには,いろいろな仕事も加わってくるのではないかと思っている。校務分掌の調査を見ると,本当にこれが学校でやるべき仕事なのかというのが沢山あり,そのあたりの整理はやらなければいけないと思っている。今の学校の在りようをそのままということではなしに考えている。
  簡単に補足すると,教養審がかつて答申を出した際に,これからの教職員の在り方に関して専門性を高めていくということが出された。日教組はその段階で基本的に賛同しているということであるので,きちんと専門性を確立していくということが大事であると考えている。その点では,いろんな職種のいろいろな専門性をどう高めて協働関係をどう作っていくかということが必要だと思っているし,この問題も実は学校段階において考えなくてはならない問題であると思っている。つまり小学校においては,生活課題と学習課題はかなり一緒の問題であるので,小学校の段階でどうあるべきか,中学校でどうあるべきか,高等学校でどうあるべきか。とりわけ高等学校では今後相当丁寧な進路指導というのが求められてくるだろうと考える。今,「一人一社主義」という就職指導をやっているが,このような就職指導の在り方というのは,今後崩れてくる可能性が強いため,どうしていくかという課題に応じてその専門性を高めていくというように,学校段階でそこのトーンは違ってくると思っている。

○  意見書の3頁に図示されている部分について,ここで支援システムという言葉を使っており,その上で支援要員とか課題に応じた支援定員,それから4頁の初めにスクールボランティアの創設とこういう文言が散見しているが,今の教員の専門を深めて,定数の問題でもそこにシフトしていくのか,あるいは教員の仕事を整理して,違う部分で手厚くしていく,それも既存の職種の定数化を図るということと同時に,支援定員や支援ボランティアなど現在定数化されている職種とは違うイメージで書かれているのではないか。例えば,一般の教員のインターンシップなどが考えられるが,教員の世界ではうまくいかない。また,例えば教員予備軍,教員養成系の大学の学生等の活用など,学生にとっても意味のあることだと思うが,教育界は風通しが悪い。学校の仕事の見直しとは,最終的には子どもの教育をよくすることだからそういった方向でのアイディアと受け止めてよいか。  
  (日本教職員組合)
  支援システムといっている場合には,おそらく二つの構造でいっていると思う。現在も,教職員は学校に配属されなければならないという建前になっているが,そうではなくて,ある程度の包括的な定数を地域ごとに算定しておき,各学校で生徒指導上の問題が非常に大きくなってくるとか,いろんな課題があるので,その時にある程度弾力的な定数措置があり得ないだろうかというのが1点目である。
  それから,スクールボランティアには様々な考え方があり,体験的活動をこれから地域プログラムの中でやっていくのにどう支えていくかという問題もあるし,教養審の方でも審議されることになろうかと思うが,教員養成系の学生達が,学校に来て子ども達の活動に関わるということも,やはり連携の関係では考慮されなければならないだろうと思っている。更に言えば,各校種間の連携をどう立てていくかいうことも極めて大事になってくると思う。非常にフレキシブルな支援システムを考えなくてはならない。
  それからもう1点,支援システムと申し上げているのは,これは2002年度から始まる公務員の再任用制度は,いったいどうしていくのか。学校の中だけで抱えきれるのだろうか。問題点もあって提起しているところである。

○  きめの細かい指導,楽しく分かりやすい授業という場合,例えば1人加配がある場合,2人の先生がクラスに入るケースとは別に,習熟度別集団というのを作れば人数も場合によっては少なくなる。あるいは遅れがちな子どもには,極端に人数を少なくしてきめ細かい指導をする。そういう習熟度別学習集団を特に教科によっては作っていくということについては別に抵抗ないか。

(日本教職員組合)
学習集団としては,今でも実施されているところであり,異論はない。

○  中学校の当面する重点目標に書かれているが,一律に30人以下の学級を望まれているのかどうか。例えば,中学校においては現在40人学級だが,35人以下のクラスの場合もかなり多いが,そういった中で,例えば保健体育などでは2つに分かれてゲームをする時,ゲームができないような編制になっている学級もある。だから保健体育の教諭は,ゲームができる編制が必要であると考えていると思う。そのように中学校の場合には,教科によって編制が変えられることを望んでいることも多いと思うが,一律に30人学級の編制を望んで要求されているのかどうか。
  それから,支援システムの創設のところで指導主事制度の転換というのがあるが,各都道府県によって指導主事制度はだいぶ違うと思うが,どのようなことを望んでいおられるのか。

(日本教職員組合)
  教科によっては2つに分けたり,3つに分けたり,特に体育だとか,音楽だとか大勢でやった方がよりいいというものは,弾力的に運用できるようにしてもらいたいと思っている。
  中教審答申の中で,学校に籍を置きながら他の学校のカリキュラム開発等を支援できるような指導的教員,スクールリーダーと言ったらいいだろうか,そういう者を配置したらどうかという答申が出されている。私たちは,そういうことに着目しながら,現在の指導主事の在り方を見てみると,様々な調査統計事務に追われて,実際に学校と関われないという人たちも結構でてきているという点を考えれば,やはり指導主事の本来の役割は,学校の子どもたちとどういうふうに授業革新をやっていくか,一緒に取り組んでいくことがまず大切だろうと思っている。このため,充て指導主事が結構いるが,こういった方が学校に籍を持ちながら一緒に我々とやってくれないだろうか。一方,教育委員会にすれば指導主事が足らないとか,事務職員が足らないという話もあると思うが,現場の方から見ると,逆に現場の方に返してくれないかという気持ちも持っている。ただ,指導主事制度については,私たちの中でも古い議論も残っており,必ずしも歴史的に総括されていないのでもう少し詰めてみたいと思っている。

5  次回日程等
  次回第11回会議は,5月24日(月)午前10時から通産省別館9階902会議室において開催されることが確認された。

(教育助成局財務課)

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